運動は、健康な人にとっても生活習慣病などに悩む人にとっても重要ですが、続けることは簡単ではありません。どんな運動なら続けられるか、一体、自分はどのくらいの量の運動をすればいいのか、ここでは、このような問題を解くヒントになる研究を紹介したいと思います。 目次 健康を増進させるための新しい運動プログラム 高血圧へのゆっくりとした散歩の効果 板倉先生ワンポイントアドバイス 健康を増進させるための新しい運動プログラム アクティブビデオゲームが、健康を増進させるための新しい運動プログラムとして注目されています。アクティブビデオゲームとは、腕や足、あるいは全身を使って行うコンピュータゲームで、すでにこれで遊んだことがあるという方も多いと思いますし、プログラムの豊富さから今では老若男女を問わずに親しめる状況にあります。定期的に体を動かすことが健康に繋がる点は疑いのないところで、特に、家に閉じこもりがちな高齢者にとっては重要です。 そこで、アクティブビデオゲームを散歩やジョギングなどの運動に置き換えられないかというアイディアが出てきます。 実際に、健康な高齢者を対象にした検討が700件近くも行われており、その中からレベルの高かった18の研究を選んで統合して解析した報告があります*1。 これらの研究では、3~20週間にわたって週2~3回、1回あたり40分程度のアクティブビデオゲームを行ったグループと、この間、何もせずに普通に過ごしたグループの運動能力を比べています。運動能力について30秒間に座った状態から立ち上がる動作を何回繰り返せるか(30秒 sit-to-stand)、3mの距離を座った状態から立ち上がって歩き、戻ってくるのにかかる時間(Timed Up and Go)などを使って評価しています。 解析の結果、最初は同じだった30秒sit-to-standの回数が、何もせずに過ごしたグループに比べてアクティブビデオゲームを行ったグループで明らかに増えることがわかりました。 このことは、外に出るのがおっくうな高齢者であってもアクティブビデオゲームで遊べば運動能力が保てる可能性を示していますし、ステイホーム(stay at home)が求められる状況での運動不足解消にも有効だと思います。 高血圧へのゆっくりとした散歩の効果 生活習慣病の人は、どのように運動すればよいでしょうか。高血圧は国民病とも言われ、日本人の生活習慣病の代表格ですが、その予防や改善に対するゆるやかな散歩の効果を検討した研究があります*2。 時速3kmの歩行を50~60分間続けたときに血圧と心拍数にどのように影響するか、平均年齢が30歳弱の健康な人のグループと同年齢の高血圧一歩手前の人のグループの間で比較した研究です。 その結果、1時間程度のゆっくりとした散歩をした10分後には、どちらのグループとも血圧が下がり、心拍数が減ることがわかりました。また、このようなゆっくりとした散歩を2ヵ月間続けた7人の高血圧患者さんでも同じような効果が得られたと報告されています。 運動は健康の維持・増進だけでなく生活習慣の予防と改善にも大切であることが分かっています。それも継続することが必要であり、そのためには楽しく出来ること、体の調子に合わせて無理のない程度の運動でなければ、かえって体の具合が悪くなることもあります。膝が痛くなる場合は軽い運動にしたり、クッション性の良い靴に変えたりなど工夫することも必要です。 ■参考文献 *1:Taylor LM, et al. J Geratr Phys Ther 2018; 41: 108-123 *2:Lu Q, et al. Acta Pharmacologia Sinica 2019; 40: 1119-1126 公開日:2021/03/24 監修:芝浦スリーワンクリニック名誉院長 板倉弘重先生
体を動かさずにいると、骨や関節、筋肉など運動器の衰えにより、「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下してくるロコモティブシンドローム(運動器症候群、以下ロコモ)に陥る可能性があります。平成30年度国民健康・栄養調査の結果では、働き盛りの20~50歳代中心に運動不足の人が多い可能性が指摘されました。そこで、医学会や大学から配信されているオンラインの運動プログラムを紹介します。 目次 20歳代は運動不足が深刻? セルフチェックで適切な運動方法がわかる順天大発の症状別・疾患別の運動プログラム 腰痛・膝痛などの対策に整形外科学会専門医がロコモ予防運動を直伝 順天堂大発のロコモ対策「筋活」講座で足腰の鍛えかたを動画で学べます 20歳代は運動不足が深刻? 平成30年国民健康・栄養調査の結果(平成30年11月に実施された調査です)によると、運動習慣がある人の割合は男性31.8%、女性25.5%と、最近10年間では平成26年調査結果に次いで低い数字でした。男女ともに働き盛りの20~50歳代は平均よりも低く、統計学的な分析では女性は減少が顕著なことがわかりました。 ■20歳以上における運動習慣がある人の割合(平成20年~30年の推移) 出典:平成30年国民健康・栄養調査(PDF) 2020年は新型コロナによる外出自粛の影響が大きく、運動不足の人が増えていることが考えられます。そこで、大学や医学会が配信するオンラインの運動プログラムを紹介します。 セルフチェックで適切な運動方法がわかる順天大発の症状別・疾患別の運動プログラム 順天堂大学保健医療学部理学療法学科は、自宅でできる症状別・疾患別の運動プログラムを動画でわかりやすく解説しています。 セルフチェックで自分に当てはまる症状や疾患を選択すると、それにあった適切な運動をYouTubeで閲覧できます。 自宅でできる症状別・疾患別運動プログラム(順天堂大学保健医療学部) https://hs.juntendo.ac.jp/pt/homeprogram.html 画像:自宅でできる症状別・疾患別運動プログラム(順天堂大学保健医療学部)、順天堂大学プレスリリース 腰痛・膝痛などの対策に整形外科学会専門医がロコモ予防運動を直伝 ロコモ チャレンジ!推進協議会のウェブサイト「ロコモONLINE」では、特設サイト「コロナに勝つ!ロコモに勝つ!」が開設されました。 腰痛・膝痛への対策運動や運動不足を解消するストレッチ、やや負荷の高い運動など整形外科医直伝のトレーニング方法について動画を閲覧できます。 また、健康経営カンファレンス2020のWebサイトや、近畿大学・谷本道哉先生によるロコモ予防スペシャルレッスン」、書道家金澤翔子さんがダイナミックに身体を動かして「ロコモに勝つ!」を書いている動画を閲覧できます。 ロコモONLINE「コロナに勝つ!ロコモに勝つ!」(ロコモ チャレンジ!推進協議会) https://locomo-joa.jp/withcorona/ 画像:ロコモ チャレンジ!推進協議会プレスリリース 順天堂大発のロコモ対策「筋活」講座で足腰の鍛えかたを動画で学べます 順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科では、ロコモ予防のために筋肉量や筋力を向上させる運動プログラムを開発し、ウェブサイト「順大さくら“筋活”講座」を開設しました。 会員登録(無料)すると、「いつでも・どこでも・誰とでも」取り組める自体重での筋力トレーニングの方法やポイントなどが解説された動画を閲覧できます。 順大さくら“筋活”講座(順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科) https://juntendo-kinkatsu.com/ 画像:順天堂大学プレスリリース 医学会や大学の医師などが監修した運動プログラムを活用できるようになりました。どれも自宅ででき、病気や症状に適した運動を動画で学べるものもあります。 足腰が弱ってきたとお思いのかたや運動不足を感じているかた、外出自粛を余儀なくされたことでリハビリテーション医療を受けられないかたなど、ぜひ活用しましょう。 公開日:2020/09/16
新型コロナウイルス感染症対策のための外出自粛、学校の休校、テレワークによる通勤減少などにより、自宅にいることが多くなりました。そうすると、運動不足が生活習慣に影響して肥満やメタボリックシンドローム、病気になりやすくなることが危惧されます。ロコモティブシンドロームを啓発するロコモチャレンジ!推進協議会のアンケート結果でも如実に表れています。感染症の対策とともに運動不足や食生活の乱れへの対策も重要です。 目次 自宅で運動不足の解消のために工夫しよう! 「自宅で座っている時間や寝転がっている時間が増えた」人が多い 自宅で座りっぱなしが続くとエコノミークラス症候群になる可能性も 運動不足による基礎体力・免疫力低下に注意 自宅で運動不足の解消のために工夫しよう! 新型コロナウイルス感染症の影響で自宅に長くいると、体を動かさなくなりがちです。運動不足とロコモーティブシンドローム(以下、ロコモ)に注意しましょう。 骨や関節、筋肉などの運動器に障害が起こりやすくなり、立つことや歩くことなど体を動かす機能が低下してロコモ状態が続くことになるのでよくありません。 そこで、ロコモチャレンジ!推進協議会サイトに掲載されているロコチェック、ロコモ度のテスト〔立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25(25の質問)、ロコトレ(片脚立ち、スクワットなど)などが有用です。 また、運動不足による肥満やメタボリックシンドロームにも注意して、BMIチェックなど自分の状態を把握しましょう。 骨折、寝たきりを予防するために「ロコチェック」! 運動不足じゃないかしら?運動不足度チェック BMIチェック 「自宅で座っている時間や寝転がっている時間が増えた」人が多い ロコモチャレンジ!推進協議会は2020年3月11~12日に、新型コロナウイルス感染症による運動への意識変化を把握するアンケート(インターネット調査)を実施しました。全国の20~60歳以上の男女5000人に聞いた結果を見ると、運動不足が明白でした。 2月上旬以降の1ヵ月間における外出の機会について、昨年同時期に比べて聞くと、「かなり減った」と「やや減った」の回答が50%超で、60才以上の女性では6割でした。 外出を控えていることについては、「外食」が最も多く6割以上、習いごとやスポーツジムに関しては約2割でした。「自宅で動かないでいる時間が増えた」は約3割(「やや増えた」と「かなり増えたの合計)でした。 子どもの運動機会(座っている時間や寝ころがっている時間) が減っていると回答した方の割合は全体の約4割で、40代女性においては約半数がご自身のあるいは、周囲の子どもの運動機会減少を感じています。 また、外出が減った回答者の7割以上が「自宅での運動方法に興味がある」と回答しました。 アンケート用紙と結果の詳細はこちら 【ロコモ チャレンジ!推進協議会】運動への影響_意識調査プレスリリース 自宅で座りっぱなしが続くとエコノミークラス症候群になる可能性も アンケートは、3月11~12日に実施したものです。アンケート実施時期よりも1カ月ほど経っている現状では、外出自粛が強く要請されており、運動不足の状況は深刻化していると考えられています。 一方で、運動不足は肥満やメタボリックシンドローム、生活習慣病を招いてしまいます。 また、自宅で座りっぱなしの時間が長くなると、足の血流が悪くなって静脈に血のかたまり(血栓といいます)ができてしまい、さまざまな症状が現れるエコノミークラス症候群も起こりうる可能性があります。 運動不足による基礎体力・免疫力低下に注意 自宅でじっとしていると、ストレスがたまってしまいますし、うつ状態になってしまうことなど精神的にもよくないことが考えられます。 現状では、身体活動量の不足により、子どもから高齢者まで全ての年代において健康を損なう恐れが高まっています。 それに加えて、運動不足(身体活動量の不足)は、基礎体力を低下させ、免疫力を低下させてしまいます。免疫力の低下により、新型コロナウイルス感染症の発症・重症化を引き起こしやすくなります。 いまを乗り切りながら、運動不足の状態や肥満・メタボリックシンドロームなどをチェックして、自宅でできる運動など、いろいろ工夫して実践していきましょう。 運動不足解消に、まずは簡単に動いてみよう! 体力・運動不足 公開日:2020/04/15 監修:スリーワンクリニック名誉院長 板倉弘重先生
社交ダンスは最近中高年層を中心に静かなブーム。実際、ダンスには、心肺機能を強くする、ストレス解消、姿勢がよくなるなどさまざまな健康効果がある。それを紹介しよう。 目次 どうして今、社交ダンスなの? 社交ダンスには健康効果がいっぱい! どうして今、社交ダンスなの? <写真提供>『ダンスファン(檜山浩治・檜山公美子プロ)』白夜書房 日本では、明治時代に文明開化とともに上層階級の社交の場で踊られるようになった社交ダンス。一般の人たちの間では、戦後の昭和30年代に若者の間で動きの激しいダンスが流行り、その後昭和50年代に中高年を中心としたダンスブームが訪れた。 さらに、平成7年にヒットした映画「Shall we ダンス?」で再びダンスブームに火がついてダンス人口が急増。最近でもテレビバラエティーの芸能人社交ダンス部のコーナーが人気となり、再び社交ダンスが注目されるようになった。 しかし、社交ダンスというと、「異性と踊るのが恥ずかしい」「あの衣装は恥ずかしくて着られない」「ステップが難しくて、こんな歳からでははじめられない」など、トライする前から敬遠してしまう人も。しかし、ダンスには、健康効果がいっぱいある。実際、ダンスをはじめた人に聞くと、「おもしろくてやめられない」のだとか。 今回は、こんな社交ダンスの魅力について徹底分析してみよう! どうして今、社交ダンスなの? さて、社交ダンスにはどんな健康効果があるのだろうか。 ウォーキングに匹敵!楽しんでカロリーを消費できる 社交ダンスは、見た目の優雅さとは反対にやってみると実はハードなスポーツである。 社交ダンスを60分行った場合の消費カロリーは、約200kcal(50歳・体重65kgの男性の場合)。一方、ウォーキングは、普通歩行なら60分で約130kcal、急ぎ足なら約220kcal。 種目にもよるが、実際、ウォーキングと同じ程度のカロリーを消費することができるのである。 ちなみに、厚生労働省は、健康増進のために「1日1万歩」歩くことを勧めているが、これは1日に約300kcalを消費する運動をしよう!というもの。1万歩歩いて300kcal消費しようと思うとかなり大変な気もするが、そのうちの200kcalを社交ダンスで消費してみるというのはどうだろう。 足を使ったダンスは、心肺機能を高める 「足は第2の心臓」といわれている。それは、足が心臓から最も遠い所にあるため。心臓のはたらきだけでは十分に血液が届かない分、足を使うことで心臓のはたらきを助けている。 ダンスによって足を交互に動かすことで、ポンプのような役割を果たし、足の筋肉の血管の収縮運動を活発化させる。そのため血行もよくなる。 さらに、ダンスをすると呼吸する回数も増えて酸素吸収量も多くなり、心臓が丈夫になるのだ。 ぼけの防止にも期待大 足を使ったダンスは、血行をよくする。体の血行がよくなれば、大脳の血のめぐりもよくなり、頭のはたらきが活発になる。また、音楽に合わせて体を動かすことで、脳への刺激もあり、ぼけの防止に期待されているのだ。 姿勢がよくなる よい姿勢は社交ダンスの基本。背筋をピッと伸ばしてダンスをしていると、普段の生活でも自然と姿勢がよくなる。それだけでやせたり、背が高く見えるなどの効果があり、プロポーションが美しくなる。「若返ったね」なんて言われることも!? とくに猫背になりやすい人は、姿勢が悪いために腰痛や肩こりなどに悩まされているはず。こうした悩みが解消されることもあるのだ。 若返りの効果が! 社交ダンスをする人に聞くと、健康のためというのはもちろんのこと、踊るのが楽しくてストレス解消になる、と答える人も多い。 確かにダンスは音楽を聴き、それに合わせて体を動かすことで、質の高い精神的な満足感が得られるスポーツでもある。さらに、同じ趣向の人とおしゃべりをしたり、きれいに着飾ったり、異性と踊ることは、心身ともに刺激を受けるため若返りの効果があるのだ。 公開日:2003年6月30日
単に普段の生活の中で体をよく動かすだけでも、運動量にかなりの違いが出るようです。では、普段の何気ない生活の中で、運動量を増やすコツは何でしょうか。運動量をステップアップさせるアイデアは?気負わず実践できる毎日の運動のポイントと続けるヒントをご紹介します。 目次 買いだめしない、手抜きしない…。毎日の運動量を増やすコツ さあチャレンジ!毎日の運動量を増やすコツ プラスαの運動アイデア 1週間単位で、実行テーマを設けよう! 買いだめしない、手抜きしない…。毎日の運動量を増やすコツ あなたのまわりには、特に運動しているわけでもないのに太らない人はいないだろうか!?そんな人を見て「あの人は体質だから」と別扱いにしてしまうのは早計。「肥満の原因は遺伝3割、環境7割」と言われる。体質だけでは割り切れないのだ。試しに、そんな人の毎日をよく観察してみよう。コマメによく動いていないだろうか。実は、ここに答えがある。 ある研究報告がある。これは、男女16人を集め、毎日食べている量より1,000kcal多い食事を2ヵ月間摂取。その間、生活は平常通りとし、ジョギングや水泳などの特別な運動は一切禁止した。2ヵ月後の結果を見ると、なんと普段からコマメに体を動かす人は肥満せず、あまり動かない人は肥満になったというのだ。しかも、日常生活での消費エネルギー量を比較したところ、コマメに動く人とそうでない人では最大7倍もの差があったとか(「SCIENCE」January,1999/「日常ながら運動のすすめ フィットネスクラブ無用論」長野茂著 講談社+α新書)。 対象者が少ないので断定することはできないが、単に普段の生活の中で体をよく動かすだけでも、運動量にかなりの違いが出るようだ。つまり、日頃コマメに動けば、特にフィットネスジムに通ったりジョギングをしなくても、健康な体重が維持できるのだ。「塵も積もれば山となる」の見本のようなもの。早速、体をコマメに動かして、普段の運動量を増やしていこう。 さあチャレンジ!毎日の運動量を増やすコツ ●買いだめしない 毎日買い物に出かけて、歩く時間を増やそう。 ●掃除もすみずみまで 拭き掃除もしっかりやれば、かなりの運動量。一石二鳥で家を磨こう。 ●お茶煎れ、コピー取り…何でも積極的に 小さなことでも積極的に動いて、運動にしよう。 ●よく見る本は一番下の棚に入れる 本を引き出すたびに屈伸運動を兼ねる。タンスの中身も同様に、毎日替える下着類は一番下に。 ●エスカレーターでも歩く 階段はツライ、と感じるなら最初はエスカレーターを歩こう。「動く歩道」でも、歩けば急ぎ足になるので、運動量を増やすことができるのだ。 ●駐車場では、出入り口の遠くに停める 会社でもスーパーでも。とにかくクルマで出かけたときも「玄関に横づけ」を避けて、できるだけ歩く。 プラスαの運動アイデア 体をコマメに動かすのに慣れてきたら、ステップアップ。もう少し運動量を増やそう。ちょっとした待ち時間や空き時間、通勤途中と、意識すれば意外と運動できる時間はあるものなのだ。 こんなときに こんな運動 歯磨きしている間 コピー待ちの間 電子レンジで「チン!」を待つ間 お湯を沸かしている間 電話中 かかとの上げ下げ つま先の上げ下げ スクワット 屈伸運動 スーパーやコンビニで買い物中 買い物帰り ヒジを直角に曲げて、ペットボトルや荷物の上げ下げ テレビを見ながら 音楽を聴きながら お風呂で 体をほぐすストレッチ 信号待ちで 電話中 電車やバスの中で つま先立ち(むくみの解消にも効果あり) イスに座ってできる筋トレ ●腕を鍛える お腹の前でこぶしをつくり、手首の内側どうしを上下にしてクロスさせる。下の腕は上に曲げようと力を込め、上の腕は下の腕を力で押さえ込むように静止した状態で押し合う。 ●太ももを鍛える 足首を少し浮かせてクロスさせ、下の足は前にけり出すように、上の足は下の足を押さえ込むように、静止した状態で押し合う。 ●胸の筋肉を鍛える 胸の前で合掌のポーズをとり、胸を閉じるように、両手で押し合う。 ●すねとふくらはぎを鍛える 椅子片方の足を、もう一方の足の甲の上にのせ、下の足は足首を曲げるように力を込め、上の足は下の足を押さえて足首を伸ばすように、静止した状態で押し合う。 1週間単位で、実行テーマを設けよう! あまり気持ちに負担がなく、毎日の運動量が増やせるコツを紹介してきたが、いかがだろう。すぐに実行できるアイデアやメニューは見つかっただろうか。 目指すのは「できるだけ意識せずに運動量を増やすこと、コマメに動く習慣を身につけること」だ。それでも、今日から全部を実行しようと思えば嫌気が差すもの。運動は、ひとつでも長く続けたほうが良いわけだから、最後に3日坊主にならない工夫を伝授しよう。 ポイントは自分を飽きさせないこと。そして、できる目標を立てること。このためには、10項目ほどのテーマをあらかじめ決めて、毎週テーマの違う運動にトライするのが良い。 1週目:靴下を立ってはく。 2週目:イスに座ってできる筋トレを朝・昼・晩と1日3回やる。 3週目:朝、駅までの道を少し急ぎ足で歩く。 4週目:できるだけエレベーターを使わずに、階段を歩く。 5週目:駐車場では、出入り口の遠くにクルマを停める。 あまり大きなテーマを設けずに、できることから。また、運動量の多い週の後は簡単なテーマにするなど、テーマの順番も実行しやすく強弱をつけたい。こうして10項目のテーマを設定すれば、一年間でひとつのテーマが約5回は回ってくる。そうしている間に、きっと毎日の運動が習慣化していくはずだ。 もし休みがしっかり取れるなら、休日は別のテーマを決めて少し運動量を増やす工夫をしてみるのもおすすめだ。特に男性は、休日なら家事や庭の手入れなどで、家庭サービスと運動量アップの一石二鳥を実践してみてはいかがだろうか。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 公開日:2003年1月27日
体重コントロールの基本は、食べ過ぎないことと、適度な運動。とはいえ、スポーツクラブやジムに通う時間はないし、面倒。そこで日常生活の中での運動を見直し、毎日コツコツと運動量を増やす秘訣を紹介します。 目次 ウエイトオーバーと運動の切ない関係 男性の肥満が増えている! 塵も積もれば山となる ウエイトオーバーと運動の切ない関係 近頃、あなたは理想の体重をキープしているだろうか。 もし 「ちょっと気を許したスキに体重オーバーぎみ」なら、待ったなし!早速、元に戻そう。体重コントロールの基本は、何といっても食べ過ぎの解消と運動量のアップ。さあ、運動をはじめよう! とはいえ、言うは易し行うは難し…。 旧総理府による「平成12年生活習慣病に関する世論調査」でも、生活習慣病を予防するために「積極的に運動を心がける」と答えている人は49.3%。みんな運動の必要性は十分に知っているのだが、実際に1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続して実行している人は男性で23.2%、女性で19.7%(ともに30~39歳。平成12年国民栄養調査より)。なかなか実行が伴わないのが実情のようだ。 運動しない理由・できない原因ベスト4 1位 運動する時間がない 2位 一緒にやる友人がいない 3位 どのくらい運動したら良いかわからない 4位 運動が嫌い 確かに、ショートケーキ1個約340kcalを運動で消費しようと思えば、時速10kmのサイクリングを100分ほどこなさなければならないのだからツライ。というより、増えた体重分を運動だけで落とそうとするのは無理なのだ。 では、なぜ、運動が必要だと言われるのか。その理由は、体にたまった脂肪を落としながら筋肉をつけて、消費エネルギー量の多い体へと体質そのものを改善していくことが肥満の予防に効果的だからなのだ。 男性の肥満が増えている! なかでも早急に体重コントロールに取り組んでほしいのが、男性陣。「年齢階級別肥満者の割合」のグラフを見てもわかる通り、男性の肥満傾向は年々高まるばかり。見た目のスタイルが悪くなるだけでなく、病気になる危険性があがるのだ。 今こそぜひ、真剣に、積極的に、運動量の増大をはかってほしい。 年齢階級別肥満者の割合(男性) 塵も積もれば山となる さて、運動の必要性を再確認したところで、考え直してほしいのが「運動」というものの中身。運動というと、どうしてもスポーツクラブやフィットネスクラブへ行ってするもの、そうでなければ早朝などにジョギングするもの、と思いがちだ。だが、そういったスポーツばかりが運動ではない。 例えば、階段の昇り降り、通勤時の駅までの徒歩10分、もっと単純なものなら、お茶を煎れに立つ。これだけでも運動になるのだ。つまり「体を動かす動作はすべて運動」なのである。そしてまた、掃除ひとつとっても、なかなか侮れない運動量があるものなのだ。 主な日常生活と家事の消費エネルギー量 ※20代女性、体重50kgの場合/10分当たり ぞうきんがけ ………… 38kcal 拭き掃除 ……………… 28kcal 洗濯(手洗い) ……… 28kcal 洗濯(電気洗濯機) … 19kcal 掃除機による掃除 …… 23kcal 炊事 …………………… 23kcal アイロンがけ ………… 22kcal ガーデニング ………… 26kcal ゆっくり歩く ………… 22kcal 普通の速さで歩く …… 27kcal 急ぎ足で歩く ………… 38kcal 階段の昇り降り ……… 47kcal サイクリング(時速10km)… 37kcal ジョギング(120m/分)… 59kcal 出典:「体脂肪を減らすハンドブック」池田書店 公開日:2003年1月27日
薄着や水着になるときに自信をもてるように、常日頃から筋肉を鍛え、体力をつけておきましょう。それは、決して見かけを良くするだけではなく、健康にとっても大切なことです。 目次 健康と体力は同じではない 筋肉を使わないと、体はどうなる? ムキムキになるのが目的ではない 健康と体力は同じではない 「私は健康で、病気ひとつしたことありません!」と胸を張って言えるなら、とても立派だ。でも、そんな人が駅のホームへの階段を急いで昇っただけで、息切れしてしまうことも少なくない。反対に、どんなに力持ちでもなにか持病を持っていることもある。つまり、健康な人が必ず体力があるとは限らない。 もし、「体力なんて、なくても平気。健康でさえあれば…」と思っているなら大間違い。体力が衰えていると、さまざまな病気を招くことになる。 体力ってどういうもの? 体力とは、大きく分けて2つ。 ●行動力 運動能力という言葉でもよく使われるが、積極的に身体を動かす能力のこと。そのなかには、パワー(行動を起こすための力)、スタミナ(行動を持続するための力)、調整力(行動をコントロールする力)がある。 ●抵抗力 環境の変化に堪えることができ、元気に日々生活するための能力のこと。例えば、ストレスやウィルスなどに抵抗するための力のこと。 普通、体力というと「行動力」のことを指すことが多いが、行動力がつけば抵抗力もつけることができる。ストレスにも打ち勝つ強い力をつけることができ、病気に負けない体をつくることができる。 そのために、筋肉を鍛え、体力をつける必要がある。 筋肉を使わないと、体はどうなる? しばらく使わないと筋肉はあっというまに萎縮してしまう。 もちろん、衰えるのは筋肉だけではない。 筋肉を使わないと? ●骨がもろくなる 骨の成分であるカルシウムが溶け出してしまう。 ●心臓が弱くなる 寝たきりになると、心臓が小さくなり収縮力も低下する。そのため、心拍数が増え、ちょっとした動きでも息切れしてしまうようになる。 ムキムキになるのが目的ではない 「筋力トレーニング」というと、すぐに「ムキムキマンになる!」なんて、想像するかもしれない。でも、そんなことはない。 前述の通り、筋肉トレーニングなどの運動は、筋力を鍛えるだけではなく、骨や心臓、肺、血管などを確実に丈夫にする。その結果、現代病として注意されている生活習慣病の予防になる。 特に、筋力は日常生活にかかる負荷だけではなく、ある一定の刺激を与えなければ向上しない。 あくまでも、ボディビルダーのようなムキムキな体をつくることが目的ではないのだ! 公開日:2001年7月9日
筋肉はおもに3種類に分けられます。また、筋肉には速筋線維と遅筋線維と呼ばれる2種類があり、私たちは遅筋線維を鍛える必要があります。なぜなら、遅筋筋力は持久力をつけるための筋肉だからです。 目次 筋肉は大きくわけて3種類 健康な生活に必要なのは「持久力」 持久力をつけるには? 筋肉は大きくわけて3種類 筋肉は、大きく分けて3種類ある。 ●平滑筋 心臓以外の内臓を形づくっている筋肉。自分の意志で鍛えることはできない。 ●心筋 心臓を作っている筋肉。平滑筋と同様に、自分の意志で鍛えることはできない。 ●骨格筋 足や手、体を動かしている筋肉のこと。これは、鍛えることができる。 ここで問題なのは、鍛えることができる骨格筋。その仕組みがどうなっているのか、腕を動かしている筋肉でみてみよう。 上腕部の筋模式図(肘が曲がる原理) 骨格筋は、筋線維と呼ばれる筋の細胞が数千個集まった、筋束群である。その筋束は、筋膜に覆われている。この筋の収縮により、関節を支点とした動作が行われるのだ。 また、この筋線維は、収縮の特性で分類されている。 健康な生活に必要なのは「持久力」 実は、むやみやたらにトレーニングを行えばいいというものではない。テニスなど、なにか特別な競技をするためのトレーニングならともかく、たいていの人は日頃の運動不足を解消し、健康を維持するために必要なトレーニングを行うはず。 そのために必要なのは、「持久力」である。重いものを持ったり、階段を駆け上がったときに、すぐに疲れてしまうようではダメ。これを疲れなくするためには、「遅筋線維(赤筋線維)」を鍛える必要がある。 ちなみに、速筋線維と遅筋線維の割合は、生まれつき決まっていて、トレーニングによってもかえることはできないと考えられている。が、ある程度まではトレーニングによって鍛えることができ、日常生活を送る上では、そのある程度で十分である。 持久力をつけるには? では、どうすれば持久力をつけることができるのだろうか。 運動強度と活動する筋線維の関係 運動負荷強度と速筋、遅筋の関係を見てみると、運動強度が40%程度のとき、遅筋線維が活動し、運動強度が75%以上になると、速筋線維の活動が始まる。 つまり、速筋線維を鍛えたいのなら、かなり強めの運動をする必要があり、遅筋を鍛えるのなら、それほど強い負荷の運動でなくてもよい、というわけだ。アメリカの研究によると、スプリント選手は全筋線維の76%が白筋線維(速筋)からできているのに対し、長距離選手では70%が赤筋線維(遅筋)からできているという。 結局、持久力を増すには、その筋肉を十分に活用するような運動をするのが一番!ということになる。 公開日:2001年7月9日
筋肉を鍛えるためには、まず筋肉のことをよく知ること。そして、どんなトレーニングがどこの筋肉を鍛えているのかをつかめば、自ずと行うべきメニューがわかるはずです。体型が気になる方への部分的トレーニングメニューもご紹介します。 目次 体にある主な筋肉 脚・腕・お腹を鍛えるトレーニングメニュー 体にある主な筋肉 人の体には、さまざまな筋肉があるが、ここで主な筋を紹介しよう。 大胸筋 胸部の大きな筋肉。水泳など腕を使うスポーツでよく発達している。 僧帽筋首・肩から背中の上部にかけて広がる筋肉。肩こりの場合は、この筋肉を鍛えると血行不良が改善される。 大腿四頭筋腿の全面の四つの筋肉。老化しやすい筋肉で、とくに高齢者がつまづいたりするのはこの筋肉の衰えが原因。 大臀筋お尻を支える筋肉。鍛えれば、きゅっと締まったお尻も夢じゃない? 上腕三頭筋腕の裏側にある筋。悪称「振袖」とも言われるのは、腕をふると一緒に揺れるため!? 上腕ニ頭筋力こぶができる、腕の外側の筋肉のこと。ここを鍛えるとポパイになれる! 三角筋肩のあたりにある筋肉。腕を動かすのに必要。 背筋背中の筋肉をまとめて背筋と呼んでいる。 腹筋腹部の筋肉をまとめて腹筋と呼んでいる。内臓を守り、体を支える大切な筋肉である。 脚・腕・お腹を鍛えるトレーニングメニュー 持久力を増すためには遅筋線維を使ったトレーニングを行うのがよい。そして、そのためには酸素を取り入れながら行う、有酸素運動をする必要がある。ジョギングや水泳などでもOK。 ただし、これからの季節は、薄着や水着になる機会が多く、ぽっこりお腹をへこましたい、プルプル二の腕の肉を取りたい、ほっそり足になりたい、など、それぞれの目的に合わせてその筋肉を鍛えるようなトレーニングを行うのもいい。 ここでは、ダンベルを使ったトレーニング法を少しご紹介しよう。 足を鍛えるトレーニング 両手にダンベルを持って、足を肩幅に開く。息を吸いながら片足を前に踏み出し、脚が床と平行になるまでひざを曲げる。息を吐きながらゆっくり脚を戻す。左右各10回。 腕を鍛えるトレーニング 両手にダンベルを持ち、肘を開かないようにして頭の耳横に構える。そこから前に押し出さないよう、ダンベルを直線的に押し上げ、頭の上に上げる。これを10回。 ※特に上腕三頭筋を鍛えるのに効果的。 お腹を鍛えるトレーニング まず仰向けに寝る。次にひざを軽く立て、ダンベルを両手で首の前で構える。この姿勢ができたら、肩から頭全体を床から浮かすように上げて5、6秒静止。これを10回。 これらのトレーニングをするには、ウォーミングアップとクールダウンのストレッチが必要だ。ストレッチの目的は、筋をしっかり伸ばし体の柔軟性を高めること。 公開日:2001年7月9日
暑い夏には運動したいと思っても、強い日差しのため、一歩間違えると熱中症の危険が伴ってしまいます。かといって、冷房の中でじっとしていては夏バテを招くだけ。日中の暑さを涼しい室内で過ごしながら運動ができれば、健康な身体で夏を乗り切ることができること間違いなし。涼しい室内で楽しくできる運動をご紹介します。 目次 無理のない運動のススメ 運動の継続は、楽しみながら 無理のない運動のススメ 運動不足になりがちな現代社会。生活習慣病の主な原因は、運動不足といわれている。実際に運動というと思い浮かべるのは、水泳、テニスなどハードなスポーツかもしれない。しかし、突然ハードなスポーツに取り組むと、なかなか長続きをしなかったり、はりきりすぎて事故につながりかねない。 そんな場合におすすめなのが、無理のない運動。無理のない運動とは、体を動かすことである。 例えば、エレベーターやエスカレーターを使っていたところを歩く、自転車や車で行っていたスーパーまで歩くといったことも、運動につながる。 歩くことは、「第2の心臓」と呼ばれる足を鍛える良い運動。歩くことで体温調節機能がアップし、身体が冷えにくくなったり、骨が強くなったり、血液循環もよくなり、脳の活性化にもつながる。もちろんダイエットにも効果的。ただし、夏の暑い日中は避け、朝や夕方など時間帯を選ぼう。 場所や時間を選ばずに無理なく運動ができるのは、ストレッチやラジオ体操など。こうした運動は、筋肉をつける。身体の各部を伸ばすことは、肩こりや腰痛などの予防だけでなく、疲労の回復にも役立つ。 運動は、生活習慣病の予防になるだけでなく、ストレス解消にもおすすめ。 ただし、無理は禁物。体調が悪い時には、無理して行わず休むことが大切である。 また、軽い運動だからと、汗をかいてそのままにしておくと、身体を冷やすので注意しなければならない。汗をふきとり、早めに着替えることが大切である。 暑い中での運動は、熱射病や日射病になりかねないので、水分補給を怠らず、炎天下で(長時間)やらないよう気をつけたほうが良いであろう。 運動の継続は、楽しみながら 運動を継続して行いたい場合の秘訣は、無理なく楽しく続けられること。 1人でやれる場合は良いが、運動を継続してやるのが難しいと思う場合には、周りの家族や友人を含めてやってみよう。 運動は、毎日やることをおすすめする。 公開日:2001年9月3日
健康な体を維持するには筋肉が不可欠です。筋肉はどうして大切なのでしょうか。 目次 年をとっても筋肉だ! 筋肉は拡大再生産 年をとっても筋肉だ! 中年以降、弱まっていくのは骨や血管、基礎代謝などですが、これらを若く保つのには、実は筋肉を鍛えることが重要です。肥満や高血圧にビクビクしながら、ぼそぼそと粗食に耐え趣味にも打ち込めないような、ネガティブ老人への道を歩むのはやめ、基礎代謝を良くしてパワフル老人になりましょう。 筋肉は拡大再生産 筋肉は収縮する際、ATP(アデノシン三リン酸)をエネルギー源にしています。ATPは主に脂肪や炭水化物、酸素から作られます。 それらは血液によって運ばれるので、運動するほど筋肉には多量の血液が流れ、そのおかげで毛細血管が発達しています。 エネルギー源を運ぶパイプが太くなったことでさらに、筋肉はより強く、長く運動できます。これらを続けていくことで、基礎代謝量がアップします。 運動している時はもちろん、安静時にも脂肪を燃やせる、まるで若い時のような体になります。すると活動的になり、また運動したくなります。 つまり筋肉を鍛えることによって、筋力だけではなく、体全体に関わる機能がアップし、生活がエネルギーに満ちてくるのです。 筋肉は次の通り、こんなにも大事な仕事をしています! ■脂肪燃焼作用 筋肉を動かすため、脂肪を燃やす。筋肉を鍛えれば、より多く脂肪が燃える体になる。 ■体温調節機能 筋肉をわずかに震わせることで体温を作りだし、保っている。寒い日に体が震えるのはこのため。 ■骨軟化防止 筋肉が動くことで骨が刺激を受け、骨密度が増して強くなる。逆に筋肉を動かさないと、骨はカルシウムが逃げていくばかりで、合成されない。 ■血液循環作用 足は第2の心臓!足の筋肉が動くことで、血管が圧迫され血液を送りだすポンプとなり、重力に逆らって心臓に戻すはたらきをする。
あなたは運動不足ですか?運動不足かどうか、生活習慣をもとにチェックしてみましょう。 目次 運動不足度チェック 判定 運動不足度チェック 自分が「運動不足」かどうか、チェックリストで確かめてみましょう。 あてはまるものを数えてください。 歩いて10分以上かかるところへは、車やバス、電車を使う バスや電車で空席があると、必ず座る 休日は何もしないでゴロゴロすることが多い 1階分でもエスカレーターやエレベーターを使う 人ごみの中で、とっさに人をよけられない 立ったまま靴下をはけない 座ったり立ったりするときに「よいしょ」と言う 10分以上歩くと、ひざや腰が痛くなる 坂道や階段をのぼると、息切れがする 腰まわりが太くなり、合わなくなった服がある 肩や首、背中が凝りやすいほうだ 腕を上にあげると、すぐに疲れる 判定 あてはまるものの数が… ●0~2個:あなたはまだ大丈夫です。 今後も、日常生活の中で積極的に「動く」ことを心がけ、体力の低下を防いでください。 ●3~4個:運動不足になりかかっています。 わざわざスポーツをしなくても、日常生活の中でも運動不足は解消できます。仕事の早く終わった日は、ひと駅前で電車を降りて、散歩をするのもおすすめです。 ●5~9個:もう、りっぱな運動不足です。 なんとなく、体が重く感じるようなことはありませんか?「通勤時にエスカレーターでなく階段を使う」など、できることから始めてください。 ●10~12個:かなりの運動不足です。 「忙しくてついつい…」とばかりも言っていられません。運動不足は体力低下に直結します。日常生活の中で、少しでも多く「動く」ことを心がけ、運動を習慣づけていきましょう。
人間の体を支えてくれる「体力」について考えてみましょう。運動をするなら、まずは自分のレベルを知ることが大切です。自宅でできる簡単な体力チェック法をご紹介します。 目次 そもそも体力ってなんだろう? 自分の体力を測ってみよう! そもそも体力ってなんだろう? よく「体力がある」「体力が落ちた」といいますが、「体力」とは一体なんでしょうか。人間の体を支えてくれるこの「体力」について考えてみましょう。 体力とは、人間の生命維持力を全体的にとらえた概念で、大きくは「行動体力」と「防衛体力」の2つに分けられます。 「行動体力」とは、走ったり跳んだりという運動の基礎になる力のことをいい、「防衛体力」とは体温調節、病気に対する免疫力、ストレスに適応する抵抗力などのことをいいます。 このうち、行動体力は、次の7つに分けて考えられます。 ●筋力:モノを持ち上げたり、つかんだり、押したりする時に使う力 ●瞬発力:投げたり、打ったり、跳んだりするときに使う力 ●筋持久力:モノを持ちつづけたり、繰り返し持ち上げるために使う力 ●全身持久力:いわゆるスタミナのこと ●平衡性:平衡感覚にもとづいた調整力 ●敏捷性:自分の思うように体を動かせる能力 ●柔軟性:体を曲げたり、そらしたりできる能力(関節を取り巻く組織に弾力性があるかどうか) 例えば「全身持久力」が衰えると、ちょっと走っただけでも息切れするようになりますし、「柔軟性」がなくなるとケガをしやすくなります。 横断歩道を急いで渡る途中、転んだりする人がいますが、それは体が固くなって「瞬発力」も衰えたためです。 「筋力」や「筋持久力」がなければ、ちょっと重い荷物を運ぶだけでも体が支えきれず、それこそぎっくり腰になるかもしれません。 このように、これらはみな、元気で快適な日常生活をおくるためにはどうしても必要な力ばかりです。すべてがそろってはじめて「体力がある」と胸を張って言えるのです。 ちなみに、年をとるにしたがって、最も衰えやすいのが「全身持久力」、つまりスタミナになります。これは心臓や肺の機能と非常に密接な関係にあり、とくに中高齢者の場合はこの全身持久力をいかに高めるかが、健康づくりの最大のテーマといってよいかもしれません。 自分の体力を測ってみよう! 効果的に運動をするためには、まず自分のレベルを知ることが大切です。 各都道府県では毎年のように体力テスト(文部科学省制定の壮年体力テスト)をおこなっていますし、フィットネスクラブなどでもできますが、ここでは自宅でできる簡単な体力チェック法をご紹介します。 ■まずは柔軟性をチェック 片方の手を肩ごしに背中にまわし、背中の後ろで両手を握ってみましょう。手を反対にしてもできますか? ■バランスチェック 両手を水平に広げた状態で、片足立ちをしてみましょう。目を閉じていても20秒以上静止できるようならOK!フラフラして5秒も静止できないなら、問題外です。 ■筋持久力チェック 床に座って足を伸ばし、両ひじを床について体を支えます。両足をそろえた状態で、足先で空中に大きく「へのへのもへじ」を描いてみましょう。絵が完成すればOK!
まったく運動をしないと、人間の体はどんどん衰えていきます。人間の体力は、20代前半に早々とピークを迎え、衰えていくのを止めることはできません。しかし、衰えるスピードをゆるめることならできます。それが「運動」です。 目次 まったく運動しないと人間はどうなる? あなたの歳はウソの歳? まったく運動しないと人間はどうなる? 機械が使わなければさびるのと同じように、人間の体も動かさなくては衰えてしまいます。では、どう衰えるのでしょうか。具体的には次のとおりです。 ●筋肉が萎縮して硬くなる ●心臓が小さくなる(心容量の減少)→ちょっとしたことで脈拍が上がる ●心肺機能が低下して、最大酸素摂取量が減り、スタミナがなくなる ●立っていられなくなる(起立耐性の低下) ●骨がもろくなる(骨軟化) これらを証明するのに、興味深い実験があります。 「ベッドレスト実験」といって、健康で若い人を3週間ベッドに寝たきりにさせるとどうなるかを調べたものです。その結果、筋肉が衰えるだけでなく、心臓の大きさ、心肺機能まで著しく低下してめまいを起こし、立ちあがることさえできなくなったといいます。 これは極端な例ではありますが、いずれにせよ運動不足が続けば、こうした悲惨な状況に一歩一歩近づいていくのは明らかです。 あなたの歳はウソの歳? 「体力テストをしてみたら、自分の年齢でできるはずのことができない!」 これがいわゆる「体力年齢」というものです。30代なのに体力年齢が40代50代なんて人も多いようです。実際、中高齢者では約半数の人が、体力年齢が実際の年齢よりも高い、つまり年齢以上に体が衰えているという調査結果もあります。 図は、東京都のある会社でおこなわれた社内体力テストの結果をまとめたものです。中高年齢者4,072人のうち、体力年齢が実年齢より劣っている人が、52.2%にも達しています。 人間の体力は、20代前半に早々とピークを迎え、その後はどんどん衰えていきます。それを、まったく止めることはできません。しかし、衰えるスピードをゆるめることならできます。それが「運動」です。 とくに中高齢者にとって、この運動の効果はかなり期待できるものです。体力で10歳以上も差がつき、生活習慣病にもなりにくくなります。元気に長生きするためにも、運動は欠かせないのです。 「昔から体力には自信があったから」と自分の体力を過信しつづけ、運動をしない人は、ある日自分の体力年齢を知って愕然とすることになるかもしれません。 さて、あなたは大丈夫ですか?
5,000人のデータをもとに エアロビクスという言葉は、いまや一般化し、多くの人に親しまれています。エアロビクスは1968年(昭和43年)、アメリカの運動生理学者ケネス・H・クーパーが、全身の持久性を養うために考え出したトレーニング法です。有酸素運動ともいいます。 クーパーが、アメリカ空軍のパイロットの体力、ことに心臓や肺・血管などに関係した体力を向上させるにはどうしたらいいのかを考え、体力測定を行って、5,000人のデータをもとに運動プログラムを作ったのが始まりでした。 エアロビクスとは、酸素を十分に取り入れながら行う持久性の運動のことですが、5分以上の持続的な運動が必要です。ウォーキングやジョギング、ランニング、ジャズダンス、テニス、水泳などの運動がエアロビクスの代表といわれています。 エアロビクスの効果 エアロビクスの効果は、次のようなものです。 心肺持久力の向上 筋力の向上 全身のシェイプアップ ストレスの解消 1.の心肺持久力の向上によって、酸素を体内に取り入れる能力が高まります。それは、体全体が生き生きとしてくるということです。 2.の筋力の向上によって、体が柔らかくなってきます。 3.のシェイプアップは、激しい運動によって脂肪が燃えるためスマートになるということです。 4.は、1回に1時間から90分、体を全面的に動かしますので、ストレス解消につながります。
改まって運動に取り組まなくても、身体活動を増やすことが健康に大きく貢献することが分かっています。身体活動の一つである歩く機会を増やすために、日常生活での工夫をしてみます。 車やバスに乗らない 通勤にバスを使う人は、幾つか手前の停留所で降りて、目的地まで歩きます。バス停の間隔は300~500m。通勤の往復でかなりの歩数がかせげます。 昼食は外へ 大企業では社内に食堂がありますが、外へ出ることが可能ならば、昼食は徒歩10分程度の場所へ行きます。歩いていると街の様子も分かり、思わぬ発見もあります。 外出は電車で 営業職でなくても、サラリーマンは出掛ける機会が多いものです。車やタクシーは極力避けて、電車を使います。駅にあるエスカレーターは使わずに、可能な限り階段を歩くようにします。 移動中は立ったまま 体力がないと、どうしても電車やバスの座席に座りたくなります。我慢して座らないようにして、つま先立ちや、つり革での筋力ストレッチなどを試してみます。 社内でも歩く OA機器が発達して、わざわざ足を運ばなくても社内の用は足せるようになっています。しかし、内線電話は可能な限り避けて、3、4階の移動程度ならば階段を歩き、コミュニケーションを深めたいものです。 帰りは寄り道 早く帰れる日は、途中下車して本屋さんのハシゴやショッピングに足を伸ばしてみます。お酒のハシゴよりは健康的です。
胸式呼吸と腹式呼吸 呼吸には、胸式呼吸と腹式呼吸があります。 胸式呼吸とは日常的な呼吸法で、息を吸うと胸の中のスペースが広くなって、肺が膨らんで空気が入っていくものです。 それに対し、腹式呼吸は、胸とおなかを隔てている横隔膜をおなかの方に下げて、肺を膨らまし、空気が入っていくものです。 運動すると腹式呼吸になる 声量を必要とする歌手は、たいてい腹式呼吸をしています。なぜならば、腹式呼吸は肺の換気量を効率良く増やすのに一番適した方法だからです。 運動時にも一般的に腹式呼吸になっています。 運動時は、全身の血流が盛んになっているため、心臓により多くの血液が必要となります。そのためには、多量の酸素を肺から送らなければならないからです。 換気量が増えると持久力が増す 運動を続けていると、呼吸器筋が持久力を増し、息切れもしなくなっていきます。そのことによって、さらに運動能力が増すというわけです。これを繰り返すうちに、相乗効果によって全身の持久力も増してきて、お互い、より高いレベルへと進んでゆくことになります。
動的運動と静的運動 運動には2つのタイプがあります。動的(ダイナミック)運動と静的(スタティック)運動です。 前者は、ウォーキング(速歩)やジョギング、水泳などのように全身の筋肉を弱く長時間にわたって使う運動ですが、後者は、相撲、柔道、レスリングなどのように短時間に大きな力を出す運動です。 動的運動は血圧が上がらない 動的運動は、筋肉の緊張とし緩を繰り返すことによって、全身の血液の流れが良くなり、筋肉にも多くの血液が回ってゆきます。 ウォーキングやジョギングなどのそれほど強くない運動の場合、収縮期血圧は上がらず、140~160mmHg程度です。また、拡張期血圧にもほとんど変化がありません。 収縮期血圧とは心臓が収縮して血液を送り出した時の血圧で、中高年の安静時はおよそ140mmHg未満であることが一般的です。一方の拡張期血圧は、血液を送り終えて拡張した時の血圧で、同じく90mmHg未満であることが一般的です。 つまり、動的運動は血圧が上がらないことから心臓への負担が少ない、体にいい運動なのです。
生き生きとした体にする 身体活動は、安静にしている時よりも多くのエネルギー消費を伴います。体を動かす活動は、すべて身体活動なのです。 健康を維持するためにも、日々の生活の中の身体活動の見直しを図り、またそれを健康づくりにも役立ててゆくことが大切です。 身体活動が活発であると、次のような効果があります。 体の活動能力を保持・増強できる 心臓や肺の機能が高まり、最大酸素摂取量が増える 体脂肪を減らして、肥満を防ぐ 筋力が強くなり、柔軟性、バランスを保つ つまずき、転倒、衝突などの事故を防ぐ 体温調節や免疫のはたらきが良くなる 生活習慣病の予防と改善に役立つ 身体活動を活発にすると、次のような生活習慣病の予防と改善に役立ちます。 糖尿病(インシュリン非依存型)、本態性高血圧症、高脂血症など 冠動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞など 腰痛やひざ関節症など 大腸がんなど一部のがんに対して予防効果があるという報告もなされています。 ストレス解消にも効果的 体をよく動かすことは、ストレス解消にも役立ちます。 気分転換、不安感や抑うつ感の予防・改善にも効果があります。 社会生活を豊かにする フットワークが軽くなり、精神的にも能動的になることによって、新しい人間関係づくりに役立ちます。一方で、ボランティア活動へ参加すれば社会貢献への道が広がり、視野も広がってきます。 身体活動不足度チェック 徒歩で10分以上かかる所へはバスか電車を利用する 乗り物で空席があると、必ず座る 休日は何もしないでいることが多い 1階分でもエスカレーターやエレベーターをよく使う 人ごみの中で、とっさに人をよけられない 立ったまま靴下をはけない 座ったり立つときに「よいしょ」と言う 10分以上歩くと、ひざや腰が痛い 坂道や階段を昇ると息切れがする 腰回りが太くなり、合わなくなった服がある 肩や首、背中が凝りやすい 腕を上に上げると、すぐに疲れる 判定 ○3個以上あてはまる:身体活動不足の始まり ○5個以上あてはまる:身体活動が足りません ○10個以上あてはまる:要注意。健診を受けて適切な運動を指示してもらいましょう。 注)6.8.9.11.は病気が原因のことがあります。一度医師の健診を受けてみましょう。 出典:「健康づくりのための年齢別・対象別身体活動指針」(財)日本食生活協会、平成9年)
日常生活の中で身体活動を増やす 身体活動を増やすといっても、何も特別のことではありません。要は、日常の中でどのくらい動こうとするか、工夫の仕方の問題です。 日常生活の中で 自分の机に在席ばかりしていないで、こまめに動く (例)コピー取り、お茶入れなど、自分から動く 家事を分担する (例)布団をたたんだり、食器を洗ったりする 休日はごろ寝を決め込まない (例)週休2日のうち、1日は積極的に外出する エスカレーター、エレベーターは使わない (例)超高層ビルは別にして、3、4階ぐらいの場合は階段を使う 通勤で片道10分は歩く (例)駅やバス停など、間隔が短めのものは積極的に歩く 趣味、レジャー、ボランティア活動の中で 地域の行事に積極的に参加する アウトドア・ライフを楽しむ (例)ガーデニング、釣り、日曜大工など、家の中から外へ Surgeon General(米国厚生省公衆衛生総監)が示す中程度の強度の活動例 車を洗ったり、ワックスをかける エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使う スーパーの駐車場では一番遠い場所に止めて、店まで歩く 休日には芝刈りや庭仕事をする エネルギー消費量 男(60kg) 女(50kg) 1分間に消費するエネルギー(カロリー) 100kcal消費する時間(分) 1分間に消費するエネルギー(カロリー) 100kcal消費する時間(分) ラジオ体操 2.1~5.3 48~19 1.7~4.4 59~23 卓球 5.3 19 4.4 23 バトミントン 5.3 19 4.4 23 階段(下り) 3.2 31 2.7 37 階段(昇り) 7.4 14 6.2 16 急歩(90~100m/分) 4.8 21 4.0 25 正常歩(70~80m/分) 3.6 28 3.0 33 なわとび(70~80回/分) 10.1 10 8.4 12 テニス 7.4 14 6.2 16 登山(登り) 8.5 12 7.1 14 水泳(泳いだり遊んだり) 5.3 19 4.4 23 ハイキング平地 3.2 31 2.7 37 サイクリング平地(15km/時間) 6.1 16 5.1 20 軽い駆足(1500mを11~12分) 9.6 10 8.0 13 普通の駆足(1500mを8~9分) 11.7 9 9.8 10 出典:「健康づくりのための年齢別・対象別身体活動指針」(財)日本食生活協会、平成9年
活発な身体活動が健康をつくる 平成9年、厚生労働省は、生涯を通じた健康づくりのための身体活動のあり方をまとめた「健康づくりのための年齢別・対象別身体活動指針」を策定しました。 この指針のなかでは、これまでの運動に対する考え方を広げ、生活のなかで体を動かすことのすべてを「身体活動」ととらえています。 例えば、家事や労働といった日常生活のなかの活動や趣味、レジャー、ボランティア活動なども身体活動の対象ととらえています。 生活のなかで身体活動を取り入れる 身体活動を定義付ければ、「安静にしている時よりも多くのエネルギー消費を伴う活動」ということになります。 表は、それぞれの生活活動強度におけるエネルギーの目安です。この表を参考にして、日常の中でできるだけ身体活動を活発にするように工夫してみます。 日本人の栄養所要量(第5次改定)[抜すい] 成長期に及び生活活動強度Ⅱ(中程度)における栄養所用量 年齢 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 エネルギー 男 2550 2500 2400 2300 2100 女 2000 2000 1950 1850 1750 エネルギー単位:kcal 生活活動強度Ⅰ(軽い)における栄養所要量 年齢 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 エネルギー 男 2250 2200 2150 2050 1900 女 1800 1750 1700 1650 1550 エネルギー単位:kcal 生活活動強度Ⅲ(やや重い)における栄養所要量 年齢 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 エネルギー 男 3050 3000 2900 2750 2500 女 2400 2350 2300 2250 2050 エネルギー単位:kcal 生活活動強度Ⅳ(重い)における栄養所要量 年齢 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 エネルギー 男 3550 3500 3400 3200 2900 女 2800 2750 2700 2600 2350 エネルギー単位:kcal (注) 「日本人の栄養所要量」(表)の付帯事項 (1) 表で示した栄養所要量は、個人にそのまま適用すべき数値ではない。 (2) 生活活動強度の判別については、参考表「日常生活からみた生活活動強度の区分(目安)」を参照されたい。 また生活活動強度が「Ⅰ(軽い)」に該当する者は、日常生活活動の内容を変えるか、または運動を付加することによって、生活活動強度「Ⅱ(中程度)」に相当するエネルギー量を消費することが望ましい。 参考表 日常生活からみた生活活動強度の区分(目安) 生活活動強度と指数 日常生活の例 日常生活の内容 生活動作 時間 Ⅰ(軽い)0.35 睡眠座る立つ歩く 81231 運動、買物など1時間程度の歩行と軽い手作業などや家事などによる立位のほかは大部分座位で事務、勉強、談話などをしている場合 Ⅱ(中程度)0.50 睡眠座る立つ歩く 87~86~72 通勤、買物のほか、仕事などで2時間程度の歩行と事務、読書、談話による座位のほか、機械操作、接客、家事などによる立位時間の多い場合 Ⅲ(やや重い)0.75 睡眠座る立つ歩く筋運動 86631 農耕、漁業、建築などで座位、立位、歩行のほか、1日のうち1時間程度は重い筋作業に従事している場合 Ⅳ(重い)1.00 睡眠座る立つ歩く筋運動 84~55~642 1日のうち2時間程度は激しいトレーニングとか木材の運搬、農繁期の農耕作業などのような重い筋作業に従事している場合 出典:「国民衛生の動向」( 1997年版)厚生統計協会
運動しないでいても体重の増えない人は「隠れ肥満」 「隠れ肥満」とは、俗にいう「太りにくい体質」の人のことです。このような人は、脂肪を燃やす能力が高いために体脂肪が目立たないだけなのです。 標準体重を基準として考えることが幅をきかせていた時代は、「隠れ肥満」の人は見過ごされがちでした。本人も若いころから体重が変化していないので、生活習慣病とは関係ないと思われていました。 しかし、運動量の極端に少ない人は、体重に変化がなくても筋肉や骨が減少しているため、体脂肪の割合が多い「隠れ肥満」の可能性があります。 「隠れ肥満」は動脈硬化・骨そしょう症のリスクが高い 「隠れ肥満」の人は体脂肪が少ないわけではないので、動脈硬化・骨そしょう症のリスクが高くなります。標準体重であるためにチェックから漏れてしまいますが、運動不足だと思う人は注意が必要です。
運動するとホルモン分泌が刺激され、更年期障害や神経症に効果があります。 目次 女性は脂質異常症と肥満になりやすい 自律神経失調症・精神神経症の改善 女性は脂質異常症と肥満になりやすい 女性が更年期を迎えると、閉経によって女性ホルモンが低下するために急速な動脈硬化が進行しがちです。 特に脂質異常症と肥満になりやすくなります。 更年期の症状は人によって様々です。治療法としては、ホルモン療法によって改善が図られることも多いですが、副作用も心配です。そんな中で、全く副作用の心配のいらない療法が運動による軽快法です。 自律神経失調症・精神神経症の改善 運動すると、ホルモン分泌が刺激され、ほてりや不眠などの自律神経失調症の改善、抑うつ状態や不安などの精神神経症が解決される可能性があります。 運動による更年期症状の改善については、もっと多くの人が関心を寄せるべき事柄かもしれません。
インシュリンは、ブドウ糖の利用、たんぱく質の合成、中性脂肪の形成・貯蔵を促進する生命維持にとって不可欠のものです。インシュリンの分泌が低下すると、血糖が上がってしまい、その状態が続くと糖尿病になります。糖尿病は最悪の場合、細小血管症、動脈硬化、糖尿症性神経障害などを引き起こします。 目次 生命活動に不可欠なインシュリンのはたらき インシュリンのはたらきが低下した状態である糖尿病には運動が効果的 生命活動に不可欠なインシュリンのはたらき インシュリンは、すい臓のランゲルハンス島というところから分泌されています。 ブドウ糖の利用、たんぱく質の合成、中性脂肪の形成・貯蔵を促進するもので、生命維持にとって不可欠のものです。 体内に入った糖分の7割は筋肉に入って消費されますが、糖尿病になる人は、糖尿病になる前から筋肉の細胞がインシュリンに対して効きが悪くなります。 そのままでいると、そのうちすい臓はインシュリンを分泌する負担に耐えられなくなり、インシュリンの分泌が低下し、インシュリンの効きがますます悪くなる状態になります。その結果、ブドウ糖が取り込めず血糖が上がってしまうのです。 インシュリンのはたらきが低下した状態である糖尿病には運動が効果的 血糖が上がった状態になることが高血糖ですが、それが長く続くと合併症を起こしてしまいます。どのような症状かというと、細小血管症(腎性むくみ、網膜症など)、動脈硬化、糖尿症性神経障害(手足のしびれなど)の3つを起こして重大な結果に陥ります。 しかし、運動すると使った筋肉のインシュリンの効き目が良くなり、糖尿病の予防へとつながります。
グリコーゲンと脂肪の密接な関係 体内に貯蔵されるエネルギー源には、グリコーゲンと脂肪があります。グリコーゲンは炭水化物から作られるもので、筋肉や肝臓に貯蔵されます。 脂肪の方が圧倒的に多く利用されます。日常の生活の中のエネルギー依存度は、身体活動によって異なってきますが、必要エネルギー全体の30~80%が脂肪に依存します。 運動によって両者は密接な関係を持ち合います。激しい運動では、筋肉内のグリコーゲンや血中のグルコースが主に使われます。 軽~中程度では、開始時は、筋肉内のグリコーゲンが利用されますが、20分程度たつと、エネルギー必要量の40~50%は、筋肉と肝臓のグリコーゲンに依存し、残りのエネルギー源は脂肪が使われます。 さらに運動が長くなると、供給源はほとんど脂肪だけとなり、炭水化物では血中のグルコースしかなくなります。 筋肉を増やして基礎代謝を上げる 人間の体は、加齢(エイジング)に伴って基礎代謝が活発ではなくなります。これはどんな人でも避けられないことです。それにもかかわらず若い時のように飲んだり食べたりしていると体重が増えてしまいます。 基礎代謝とは「安静時に全身が消費するエネルギー量」のことで、体温を維持するために細胞が消費するエネルギー量のことです。 つまり、基礎代謝という分母が大きければ分子としてのカロリーが多くても、脂肪として残らない、つまり肥満にはならないということです。 では、基礎代謝を上げるために何をしたらいいのでしょうか? 答えは、筋肉の量を増やし、質を上げることです。 体内の最大のエネルギー燃焼場所は心臓と筋肉です。ことに筋肉は、体内で最も多い組織ですから、まず筋肉の量を増やすようにすると、エネルギーの燃焼量も増えてきます。 次はその質ですが、脂肪は酸素と結合しないと燃えません。つまり、酸素をたくさん消費できる筋肉づくりが必要なのです。エアロビクスが盛んに唱えられているのはそのためです。
全身持久力を高めよう よく体力があるとか、あるいはないとか言いますが、体力とは一体どのようなことなのでしょうか。 体力とは下の表のように人間の生命維持力を全体的にとらえた概念で、今日では、防衛体力を充実させ、行動体力を高めることが目標とされています。 最近では、行動体力の中でも全身持久力が高いことが生命維持にとって重要な役割を果たしているとの考えが一般的です。全身持久力が高いと、呼吸循環器系(心臓機能)や内分泌系(ホルモン)などの機能が優れているといえます。 全身持久力が健康を高める 人間の体は、生命維持のために実に良く機能的に働いていますが、中高年になると全てが順調にとはいかなくなります。ことに全身持久力の維持に必要な呼吸循環器系が、生活習慣病によって衰えてきます。 全身持久力をいかに高めていくかが、中高年の健康における最大のテーマといっていいのです。 体力とは 行動体力 行動を起こす力 筋力・瞬発力…筋機能 行動を調節する力 平衡性・敏捷性・巧緻性…神経・筋機能 柔軟性…関節機能 行動を維持する力 筋持久力…筋機能 全身持久力…呼吸循環機能・内分泌機能 防衛体力 物理的ストレスの抵抗力 熱、寒、圧力など 科学的ストレスの抵抗力 CO2、スモッグなど 生物的ストレスの抵抗力 細菌、ウイルス、花粉など 運動、睡眠、時差など 精神的ストレスの抵抗力 恐怖、不安、心配事など
エアロビクスのクーパーが基準値を作った 全身持久力を厳密に測るには、実験室で運動中の最大酸素摂取量を測定する必要があります。最大酸素摂取量とは、運動中に肺を通して血液中にどれだけ酸素を取り込む能力があるかということですが、測定ができるのはごく限られた人だけになります。 実験室ほど正確ではありませんが、12分間歩(走)行テストによって最大酸素摂取量を推定する方式が考え出されています。 エアロビクスを考え出したクーパーが、アメリカ人を対象にした基準値を作りましたが、日本では体育科学センターが日本人に適した基準値(下表)を作っています。 12分間歩行テスト評価表(体育科学センター) 男性 評価/年代 30代 40代 50代 60代以上 1:劣っている ~1290 ~1240 ~1190 ~1140 2:やや劣っている 1300~1490 1250~1440 1200~1390 1150~1340 3:普通 1500~1690 1450~1640 1400~1590 1350~1540 4:すぐれている 1700~1890 1650~1840 1600~1790 1550~1740 5:大変すぐれている 1900~ 1850~ 1800~ 1750~ (単位:m) 女性 評価/年代 30代 40代 50代 60代以上 1:劣っている ~1190 ~1140 ~1090 ~1040 2:やや劣っている 1200~1360 1150~1310 1100~1250 1050~1200 3普通 1370~1520 1320~1470 1260~1410 1210~1360 4:すぐれている 1530~1680 1480~1630 1420~1570 1370~1530 5:大変すぐれている 1690~ 1640~ 1580~ 1540~ (単位:m)
体脂肪って、何? 肥満についての誤解で一番多いのが「体重が多い」ということです。しかし、肥満は、正確には「体重に占める脂肪の割合が多い」ことを指します。 ですから、ボディビルダーのように体重が多くても筋肉で重い場合は、必ずしも肥満とは言えません。 体重を構成するものは、体脂肪と、筋肉・骨・内臓の重量の総和である除脂肪に分けられます。減量とは、除脂肪の中の殊に筋肉量を落とすことなく体脂肪を落とすことなのです。 それでは、体脂肪はどうやったら落とせるでしょうか? 望ましい減量は運動と食事で 食事制限だけによる減量では、体脂肪は落ちるのですが同時に筋肉量も減少してしまいます。しかも、体脂肪の減少は、体重の減少に比して少ないのです。 これに対して、食事制限に運動を加えた減量では、筋肉の減少を防いだり、逆に筋肉量を増やすことができます。ですから運動を加えた減量は、体重の減り方は少ないのですが、体脂肪が落ちているため、わずかな体重減でも引き締まった体になります。
原因は運動不足とストレス ビジネスマンやOLに多いのが、水虫と肩凝り。しかし、残念ながら肩凝りのメカニズムは、実はよく分かっていません。若い時から肩の凝りやすい人は、ミドルになるに従って、ますますひどくなり、背中に鉛の板を背負っているようだと表現する人もいます。 ミドルの肩凝りの原因は、運動不足とストレスがほとんどだと言われています。肩凝りになりやすい人は、運動不足の上に、ストレスが加わり、筋肉に血流が行かなくなって、一種の循環障害を起こしてしまいます。 肩凝りの原因としてはほかに、高血圧と動脈硬化による場合も考えられます。慢性的な場合は、運動不足とストレス以外の病気を疑ったほうがいいでしょう。 いすに座りっ放しは避ける 腰痛を訴える人のほとんどは、デスクワークをしている人で車好きな人だと言われています。いすや車の座席に座りっ放しになると、体全体で支えるべき体重を腰の1カ所に集めてしまいます。そうすると、血液の循環が悪い腰部の椎間板というクッションに負担がかかり、神経が圧迫され痛みを感じるようになります。 それでも若いうちは、デスクワークの合間に一休みして、屈伸運動などをしていれば腰が軽くなってきます。ところが、ミドルになり、運動不足が高じてくると、背中の筋肉がこわばり、腰の周辺の筋肉が使われないために、腰を支える力が弱くなって痛み出すのです。
運動不足で筋肉が衰えると 運動しないでミドルになると、ちょっとした運動やきつい仕事で、ひざや背筋が痛くなったり、腕が上がらなくなることが少なくありません。 なぜならば、若い時は筋肉が柔軟で、運動によって加えられる負担も、柔軟な筋肉が引き受けてくれるのですが、年齢と共に筋肉が固くなると、その負担は関節を取り巻くじん帯やけんが、以前よりも多く引き受けざるを得なくなるからです。 関節の付近は、筋肉よりも血行が少ないので回復に手間取ります。これが節々が痛む原因だったのです。 肥満が加わると関節炎に 運動不足に肥満が加わると更に悲劇的です。運動不足と肥満は悪循環となり、常に関節に負担が加わり、ひどくなると関節炎(変形性関節症)を起こす人も出てきます。 ミドルの訴える痛みは、ストレスによるものもあります。精神活動が思わしくない場合の心因性であったり、自律神経失調症などによる痛みの場合もあり、なかなか原因が見つけにくいことが少なくありません。一時的なものならばともかく、何度も何日も続くようであれば放っておけません。 時には何かの病気のシグナルである場合があります。ぜひとも医師と相談することをお勧めします。
余った栄養分で高血圧に 運動不足と食べ過ぎが続くと、栄養過多になります。余った栄養分は、血液中に入り、高血糖・高脂血状態になります。このように血液中に流れ込んだ脂肪(血中脂肪)は、長い間に血管内壁に堆積して、血管のアテローム変性(動脈の内膜やその下の脂質が巣状になって滞留すること)を起こします。アテローム変性を起こした血管は柔軟性を失い、動脈硬化となります。このような血管は、内径が細くなっていますので血液の流れがスムーズにいかなくなり、心臓は充分な血液を送ろうと血圧を上げ、その結果、高血圧状態となってしまいます。 高血圧は脳血管疾患に 脳動脈にアテローム変性が起こることによって発病するのが脳出血、脳の表層部の毛細血管に脂肪が詰まって記憶機能の低下する脳軟化症などがあります。 高血圧とコレステロールで心臓病 一方、心臓を取り巻く冠動脈が硬化して起こるのが心筋梗塞ですが、その原因で一番多いのが高血圧です。そして、高血圧が悪玉コレステロールと結びつくと、たちの悪い動脈硬化の原因となります。善玉コレステロールが減って悪玉コレステロールが多い症状を、高脂血症といいます。 このように運動不足は、高血圧→動脈内部の障害→コレステロールの付着→動脈硬化→動脈の狭窄→高血圧……と、悪循環の元凶となるわけです。
足が衰えると運動量が後退する 日本には古くから「老化は足から」という諺があります。足の丈夫な人は、よく動き回ることができ、それに伴って頭脳もはっきりしています。 足が衰えるとなぜ老化が進むのかというと、目に見えて運動量が大きく後退してしまうことによって、心臓が弱くなったり、血液の量や成分が変化するからです。それと共に、脳の動きが鈍くなっていくからです。 人間は立っていることや歩いていることで、心臓を鍛え、脳に刺激を加えます。もし、いすに座ってばかりいたり、横になったままでいると、足から脳への司令はスムーズにいかなくなり、やがて脳の老化が始まるというわけです。 二人の医者を動かそう 西洋には、「二本の足は二人の医者」という古い諺があります。二人の医者とは、一人は循環器系の専門医、もう一人は脳外科医を指していて、二本の足が元気に動いているうちは、心臓・脳も元気だということです。 足には全身の3分の2の筋肉が集まっています。足を使う生活をするかどうかで、心臓が常に鍛えられ、若さが保てるか決まるということです。
足と脳は密接につながっている 例え若い人でも3日も寝込んで立ち上がると、しばらくの間、足元がおぼつかなくふらつくことがあります。たった3日間でも、寝込むと歩くための筋肉が衰えると同時に、歩くという司令を出す運動神経も、元気な時のようにははたらけません。 若くて短期間のベッド暮らしならリハビリはいりませんが、中高年以上になって、数ヵ月もベッドから離れられないと、リハビリのために歩行訓練をしなくてはなりません。 このように脳と足の筋肉は密接なつながりを持ち合っているのです。ですから、歩くことによってお互いを育て合っているということにもなるわけです。 人間の進化のプロセスを考えてみると、人間は二足歩行することによって「人間」となったといわれています。 脳は足と共に進歩した 人間が二足歩行を開始すると、それまで体重を支えていた手は、足とは違う発達をしてきました。それと同時に脳が発達し、手が複雑な物を作り始め、足も大きく強くなってきたのです。こうした進化の過程で脳も重くなり、高度な思考を可能にしてきました。まさに足は脳を鍛えてきたというわけです。
足はポンプの役割 「足は第2の心臓」と言われています。なぜならば、足は心臓から最も遠いところにあるため、心臓のはたらきだけでは血液が十分に届きません。歩行がそれを助けるポンプの役割をしているというわけです。 歩行をしていると、足の筋肉の血管の伸縮運動が活発化し、足の血行がよくなります。足を交互に動かすことは、ポンプの役割をしながら血流を促しているということなのです。それは、心臓が膨らんだり縮んだりしながら血流を促しているのと同じことです。それで「足は第2の心臓」と言われています。 歩くことは更に、次のような効果があります。歩けば歩くほど脚の筋肉が強くなり、それに従って呼吸する回数が増えて酸素吸収量も多くなり、心臓も丈夫になります。さらに血行が良くなれば、大脳の血の巡りも良くなり、頭のはたらきが活発になります。 足は鍛えるほどよくなる 便利な機器がある今日、歩かなくても用は足せるようになりました。しかし、使わないでいると脚は少しずつ衰えていきます。衰えていくとますます歩かなくなっていくという悪循環に陥ります。脚は鍛えれば鍛えるほど丈夫になります。無理せず、少しずつ歩くことは、運動不足を解消するてっとり早い処方なのです。
20歳代がピーク 20歳を過ぎれば、努めて運動をしない限り体力は確実に低下していきます。それに、便利な世の中ですので、あまり体を動かさなくても用が足りてしまいます。そこで、ますます体力は低下していきがちです。 こうして、40代にもなれば、運動不足からくる筋肉の衰えと同時に骨ももろくなってきて、体力の低下を思い知らされることになります。 一般に子供の骨は柔らかく、筋肉は細くて固いのですが、20代になるに従って、骨・筋肉ともに最も強く柔軟になっていきます。ですから、若い時は少々無理な運動をしても、その柔軟な筋肉がカバーしてくれ、回復力も早いというわけです。 なぜ節々が痛むのか 運動選手が、20代のころが一番力が出せるのも以上のような理由によります。この時期に筋肉を鍛えれば鍛えるほど、筋肉はどんどん強く柔らかくなっていきます。 しかし、年齢とともに筋肉は硬くなり、その負担は、関節を取り巻くじん帯や腱が以前よりも多く引き受けるようになるのです。関節の付近は、筋肉よりも血行が少ないので回復に手間取ってしまいます。節々が痛むのはこのためなのです。 あなたの体力年齢はどのくらい? 【ジャンプ・ステップ】 両脚で前後左右に跳び、10秒で何回できるか? 男子 1~17回 18~21回 22~24回 25~29回 30回以上 女子 1~15回 16~18回 19~22回 23~25回 26回以上 体力年齢 50歳代 40歳代 30歳代 20歳代 20(強健者) 【閉眼片脚立ち】 片脚で立ち、目を開けず足の位置を動かさないこと 男子 0~30秒 31~49秒 50~69秒 70~89秒 90秒以上 女子 0~30秒 31~49秒 50~69秒 70~79秒 80秒以上 体力年齢 50歳代 40歳代 30歳代 20歳代 20(強健者) 【立ち幅跳び】 爪先からかかとまでをはかる 男子 1~189cm 190~214 215~229 230~249 250cm以上 女子 1~109cm 110~129 130~149 150~169 170cm以上 体力年齢 50歳代 40歳代 30歳代 20歳代 20(強健者) 【腕立て伏せ】 2秒に1回の割合で何回できるか 男子 0~10回 11~15回 16~20回 21~28回 29回以上 女子 0~3回 4~5回 6~7回 8~10回 11回以上 体力年齢 50歳代 40歳代 30歳代 20歳代 20(強健者) 【立位体前屈】 台の上に乗って、台の上を0cmとし、それ以上をプラス何cmとする。最大3秒間とめる。 男子 0~5cm 6~8cm 9~11cm 12~15cm 16cm以上 女子 0~8cm 9~12cm 13~15cm 16~18cm 19cm以上 体力年齢 50歳代 40歳代 30歳代 20歳代 20(強健者) 【息こらえ】 イスに腰をかけ、大きく息をすって止めた時間 男子 1~18秒 19~23秒 24~28秒 29~32秒 33秒以上 女子 1~12秒 13~15秒 16~17秒 18~19秒 20秒以上 体力年齢 50歳代 40歳代 30歳代 20歳代 20(強健者) 参考:体力テストのプログラム(平成3年健康・体力づくり事業財団発行)より
運動しないと筋肉が細く固くなる だれしも、大人になるに従って、適度な運動を続けないかぎり、体が固くなっていきます。体が固くなるとは、筋肉が細く固くなっていくことなのです。 一般に、筋肉はトレーニングによって、強く太く、そして柔らかく弾力性をもってくるものです。一流選手の筋肉は、まるでゴムマリのような弾力性があるといわれるのはそのためです。 しかし、筋肉はトレーニングをおろそかにすると細く固くなってしまいます。 中高年者がよくアキレスけんを切るのは、その典型的な例です。カッコいいところを見せようと張り切ってはみたものの、からだは正直です。今まで使わないでいたアキレスけんは、突然の負担に耐え切れず、「ブツン」と切れるというわけです。 瞬発力も衰える さらに体が固くなると瞬発力が衰えてきます。横断歩道を急いで渡っている途中でよく転んだりする人がいます。足の運びが追いついていかないためです。 筋肉に弾力性があるということは、骨の老化も防げているということにもなります。おっくうがらずにこまめに体を動かして、全身の筋肉をはたらかせましょう。そうすれば、血液の流れもよくなり、血液循環上の問題で起こる病気を防ぐことができます。