糖尿病と歯周病は生活習慣病の代表的な病気ですが、お互いに影響しあう関係性を持っています。一体どんな影響を及ぼすのでしょうか。それぞれの影響について、詳しく解説します。 目次 糖生活習慣病の代表「糖尿病」と「歯周病」 糖尿病から歯周病への影響は? 歯周病から糖尿病への影響は? 糖尿病や歯周病を予防するために 糖生活習慣病の代表「糖尿病」と「歯周病」 糖尿病と歯周病は生活習慣病の代表的な病気です。 糖尿病とは、本来は食べ物に含まれるブドウ糖を体内に取り込みエネルギーとして利用するはずが、膵臓(すいぞう)から作り出されるインスリンというホルモンが不足することでブドウ糖が分解されず、高血糖状態が続く病気です。 歯周病は、歯と歯肉の境目の歯周ポケットに細菌が停滞し炎症を起こす病気です。歯周病が進行すると、歯槽骨と呼ばれる歯を支える土台の部分が溶けて歯を支えられなくなり、抜歯しなくてはならない場合があります。 糖尿病と歯周病はお互いに影響しあう関係性を持っているのですが、一体どんな影響を及ぼすのでしょうか。 糖尿病から歯周病への影響は? 糖尿病で高血糖の状態が続くと、体の中の抵抗力が低下して、感染症にかかりやすくなります。ですから、細菌感染で起こる歯周病にかかりやすくなります。また、高血糖は歯茎血管の傷みを引き起こします。歯茎血管の痛みは歯周病を進行させるもととなります。 そして、高血糖状態になると、血液中のタンパク質が糖化します。それにより免疫性細胞が増加することから、炎症性サイトカインが過剰に生産されます。炎症性サイトカインとは、細胞どうしが連絡を取る信号のことで、これが増えると細胞組織の破壊をもたらします。これにより歯周組織が破壊され、歯周病が悪化していきます。 歯周病から糖尿病への影響は? 歯周病に最も関係のある病気が糖尿病です。歯医者で歯周病の治療をしているときに、糖尿病が発見されることも珍しくありません。それほど密接に関わっているのが、この二つの病気です。 歯周病は糖尿病を悪化させる要因のひとつでもあります。 歯周病の炎症時、炎症性サイトカインが血液を通して、筋肉や肝臓へ運ばれます。これらはインスリンが作用する邪魔をします。すると、体に糖が取り込まれにくくなるので、血糖値が上昇します。逆に言えば、歯周病を治療すれば、インスリンがしっかりと効果を発揮してくれるため、血糖値が改善され、糖尿病が改善されます。 糖尿病や歯周病を予防するために このように、糖尿病や歯周病はお互いに影響を及ぼす関連性の深い病気です。一方が悪化すると、もう一方も悪化するというような相互作用がありますし、一方の病気が発見されれば、もう一方も発見されるということもあります。 糖尿病の要因は、高カロリーの食事や運動不足、肥満などがあげられます。一方歯周病の要因は、喫煙や不規則な生活、過剰なストレス、歯磨きをしないことなどがあげられます。 このような生活習慣を改善することによって、糖尿病や歯周病の予防につながります。規則正しい生活を心がけ、バランスの良い食事と適度な運動を取り入れ、食後には歯を磨くことを心がけましょう。 また、糖尿病や歯周病にかかっていても、気がつかないうちに状況が悪化してしまうということもあります。糖尿病にかかると、ドライマウスになることや独特の口臭が漂うなど、口の症状がみられることもありますので、気になる場合は専門の医療機関に相談し、改善を図りましょう。 公開日:2016/07/19
地震をはじめとした自然災害への備えとして、日本では過去の反省から、避難袋(非常用持ち出し袋)の用意、倒れないための家具の固定、避難場所の確認などを実践している家庭が増えました。しかし、健康管理に関する備えは、一般的にまだ十分に浸透していないのが現状です。今回は、避難生活中にできるだけ健康を維持するために知っておきたいことを、(1)歯・口内、(2)糖尿病、(3)妊産婦・乳幼児という3つのテーマで解説します。 目次 歯磨きができないせいで、被災地では多くの命が失われた!? 糖尿病の治療の中断が、そのまま命に関わることも… もしものために!避難所で赤ちゃんが生まれそうになったときの対処法 歯磨きができないせいで、被災地では多くの命が失われた!? 最初のテーマは「歯・口内」です。1995年に発生した阪神・淡路大震災の死亡者6,434人のうち、最多となる5,512人の死因は、圧死や火災などの「直接死」です。しかし、それ以外の原因で震災後2ヵ月以内に死亡した「震災関連死」も922人いました。その中でもっとも多かったのが、死亡者223人(震災関連死のうちの24.2%)の「肺炎」で、そのほとんどが「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」だったと考えられています。 誤嚥性肺炎は、口の中の細菌を含んだ唾液や食べ物が食道ではなく、誤って気管から肺に入って起こる肺炎で、免疫力が低下した高齢者で多くみられます。2011年の東日本大震災でも、誤嚥性肺炎の患者が例年より増えたことが確認されています。 歯や口の中の健康を心掛ける必要があるのは、誤嚥性肺炎が起きやすい高齢者に限りません。避難所への支援として、食料とともにお菓子が届くことも多く、それらを食べ続ける子供は虫歯になりがちです。 誤嚥性肺炎や虫歯の予防には、歯磨きが有効です。しかし、避難所では歯ブラシや水の不足により、日常生活と同じようには歯磨きができない場合があります。避難所でも歯や口の中の健康を保てるように、避難袋の中に以下のものを入れておくことが望ましいと言えます。 歯・口内の健康のために避難袋に入れておきたいもの 歯ブラシ・歯磨き粉 マウスウォッシュ(デンタルリンス) キシリトール入りガム 義歯(入れ歯)用ケース 義歯(入れ歯)洗浄剤 …など 避難生活中に歯磨きができない場合は、うがいを習慣にしましょう。うがいもできない場合、ティッシュペーパーなどで歯を拭くことで、口内の雑菌をある程度は除去できます。義歯(入れ歯)を使用している人はつけっぱなしにせず、洗浄剤がない場合はウェットティッシュなどで拭きましょう。 糖尿病の治療の中断が、そのまま命に関わることも… 2番目のテーマは「糖尿病」です。糖尿病の人は避難生活中も、治療を継続する必要があります。特にインスリン使用者は、治療の中断が命に関わりかねません。糖尿病の人は、避難袋(非常用持ち出し袋)に非常食や懐中電灯(ペンライト)などの一般的なものとともに、以下のものを用意しておきましょう。 糖尿病の人が避難袋に入れておきたいもの 常用薬(経口剤、インスリン自己注射セット)3日~2週間分 血糖測定器 飲料水 お薬手帳・糖尿病連携手帳・保険証のコピー 通院している病院の連絡先・診察券のコピー 低血糖対策のブドウ糖 …など 避難所で手元の薬がなくなったときは、医療スタッフに相談しましょう。ただし、必要としている薬の伝え方が「丸い形をした白い飲み薬」「注射型の糖尿病の薬」というような漠然としたものでは、複数の薬が当てはまるため、どの薬を指しているのか伝わりません。避難所での緊急の医療体制の下では、医師に診てもらえる時間やタイミングは思い通りにならず、薬の選択の遅れが治療の遅れへとつながります。このような事態を避けるために、常用している薬の名前は覚えておくか、書いてあるものを示せるようにしておきましょう。 糖尿病の人はほかにも、血糖コントロールのための「水分の十分な摂取」「散歩やラジオ体操などの運動」や、感染症を予防するための「手洗い・うがい」を行うことが大切です。避難生活中は、物資や環境の面からなかなか思い通りにできないことも多くありますが、可能な限り実践するよう心掛けましょう。 もしものために!避難所で赤ちゃんが生まれそうになったときの対処法 最後のテーマは「妊産婦・乳幼児」です。妊産婦や乳幼児のいる家庭は、ただでさえ健康状態に不安を抱えがちであり、災害時となればなおさらです。妊産婦や乳幼児のいる家庭では母子の健康のために、避難袋(非常用持ち出し袋)の中に一般的なものとともに、以下のものを用意しておくことが勧められます。 妊産婦のために避難袋に入れておきたいもの 清浄綿 生理用品 分娩準備品(紙おむつ・タオルなど) マタニティマーク 母子健康手帳・お薬手帳のコピー 通院している病院の連絡先・診察券のコピー …など 乳幼児のために避難袋に入れておきたいもの ミルク用飲料水・調整粉乳・哺乳瓶 レトルトの離乳食・おやつ スプーン・ストロー・スパウト 授乳ケープ・授乳用肌着 だっこ紐 紙おむつ・おしり拭き おもちゃ 子供用の歯ブラシ 子供用の常備薬 子供の医療証のコピー …など 妊婦は体が冷えるとお腹が張ることがあるので、できるだけ暖かい格好を心がけましょう。お腹が張って出血した場合は、清潔なナプキンを当てて休みます。妊婦は血栓ができやすいので予防のために、不便な避難生活の中で可能な限り「水分の十分な摂取」「ストレッチなどの運動」を実践することも大切です。 また、避難生活中の出産に備えて、助産師や病院と連絡できる環境を整えておくことも必要です。2011年の東日本大震災では、18,000人以上の命が失われた一方で、発生当日である3月11日に、被災地で110人以上が新たに生を受けたことがわかっています。 避難所で赤ちゃんが生まれそうになったら… 「規則的な痛みを伴うお腹の張り」「おしるし(粘りけのある出血)」「破水」は、赤ちゃんが生まれるサインです。無理をせず、すぐに避難所の医療スタッフの助けを求めましょう。破水した場合は紙おむつやタオルを当てて、横になります。陣痛が始まったら横になり、焦らずにゆっくりと呼吸を整えましょう。 赤ちゃんが生まれたら、まずは顔を拭き、呼吸できているかを確認します。その後、柔らかい乾いたタオルで体を拭き、赤ちゃんを胸に抱いて保温します。お母さんは出産後にナプキンやタオルを当てて、2時間程度は安静にしましょう。 公開日:2015/08/31
20代前半の女性によくみられる顎関節症は、歯並びや噛み合わせの悪さや、あごの関節の異常のほか、ストレスによる睡眠時の歯ぎしりなど、さまざまな原因があります。顎関節症の症状、治療法ほか顎関節症が引き起こすその他の症状について解説します。 目次 歯並び、心理的ストレスなど、原因はさまざま 基準のひとつは、3本の指が口に入るかどうか 歯にかぶせる医療器具の装着で治療 歯並び、心理的ストレスなど、原因はさまざま あごの関節の異常で痛みなどが起きる顎関節症は、女性によくみられる病気のひとつとされています。年代別では、20代前半の若年層や、40~50代に多くみられます。 顎関節症の主な原因として、歯並びや噛み合わせの悪さ、歯の痛みなどによる、あごの筋肉の酷使が挙げられます。そのほかにも、関節炎や、心理的ストレスによる睡眠時の歯ぎしりなど、さまざまな原因によって引き起こされます。 基準のひとつは、3本の指が口に入るかどうか 顎関節症になると、主に次のような症状が現れます。 顎関節症の主な症状 ●あごに痛みを感じる 食べ物を噛むためにあごを動かしたときや、口を大きく開けたときに、痛みを感じるようになります。 ●口を大きく開けない 手のひらを地面と垂直にして人差し指、中指、薬指の3本を縦にそろえ、指先を口に向けた際に、3本とも入る程度まで口を上下に開けることができません。 ●あごを動かしたときに音が鳴る あごの関節から「カクカク」または「カチッ」「パチッ」というような音が聞こえるようになります。 これらのほかに現れることがあるのが、頭痛、首から腕にかけての痛み、耳詰まり、めまいなどの、あご以外の部位の症状です。頭痛が繰り返され、薬を飲んでも治まらないので病院で診てもらった結果、顎関節症だったというケースもあります。 歯にかぶせる医療器具の装着で治療 顎関節症の治療には、歯にかぶせてあごを固定する、義歯のようなプラスチック製の器具を使用することが多いようです。日中や就寝時に装着すると、歯ぎしりを防げたり、噛み合わせを安定させたりする効果が得られます。また、痛みに対しては鎮痛薬が用いられるほか、原因に応じてマッサージや超音波治療などの理学療法が行われることもあります。 さまざまな原因が考えられる病気であり、前述のとおり、ただの頭痛だと思っていたら顎関節症だったということもありますので、異常を感じたら早めに医師に相談するのがよいでしょう。 公開日:2012/10/22
歯並びが悪く、笑うときについ口元を手で隠してしまうという方、あなたを悩ませる歯並びは、放っておくと全身の健康に影響するかもしれません。歯並びは遺伝的な要因もありますが、多くは生活習慣によって大きく変化します。噛み合せが悪いまま生活を続けていると、全身にさまざまな悪影響が出てくるので注意が必要です。歯列矯正について詳しくご紹介します。 目次 なぜ歯並びが悪くなるのか 歯列矯正のメリットとは? いつまでOK?大人の歯列矯正 なぜ歯並びが悪くなるのか 歯並びは遺伝的な要因もありますが、多くは生まれた後、子どもから大人にかけての生活習慣、クセによって大きく変化します。とくに成長期の骨格がつくられている時期に、不自然なクセをつけてしまうと、不正咬合を引き起こします。逆にこの時期に両方の歯でしっかり噛むことで、あごの大きさのアンバランスさを改善することも可能です。 歯並びが悪くなる原因 幼児期 遺伝的要因 生まれつき歯の大きさ、形、あごが小さい、変形している 乳歯が抜ける時期 虫歯による抜歯、乳歯がいつまでも抜けない 幼児期のくせ 指しゃぶり、唇をかむ、一方向に向いて寝る、頬づえをつく あごの発達 やわらかい食事によるあごの未発達 成人 虫歯や歯周病などの治療 永久歯の抜歯後、そのまま放置している 詰め物やかぶせ物が合ってない 骨折、外傷によるあごの変形 親知らずによって歯が押し出された 呼吸 口呼吸が多い 食事のくせ 一方向ばかりを使って食べる 歯列矯正のメリットとは? 人間の歯は、乳歯が20本、永久歯が32本です。生え変わりや成長の時期にきちんと噛む習慣がつかないままだと、あごが小さくなります。すると、成長した歯がおさまりきらず、歯並びが悪くなってしまいます。歯並びが悪ければ噛み合わせも当然悪くなり、歯のすみずみまで磨けないといった弊害も起こります。 歯並びが悪いまま放置しておくと…… ●虫歯や歯周病になりやすい 歯ブラシがあたりにくく、磨き残しが出ます。 ●笑顔に自信が持てない 人前で笑うことを避け、ストレスの原因になります。 ●食事がうまく噛めない あまり噛まずに飲み込んでしまうため、胃腸に負担がかかったり、早食いとなることで、肥満の原因にもなります。 ●発音が悪くなる 噛み合わせが悪くなると、うまく発音できない音(とくに英語)があります。 ●顎関節症になりやすい 噛み合わせが悪くなり、口が開かなくなることもあります。 上記のように、噛み合わせが悪いまま生活を続けていると、さまざまな悪影響が出てきます。さらにそれが積み重なると、高血圧や肥満などの生活習慣病、不眠、便秘など、全身に影響が及ぶこともあるので、注意が必要です。 ■欧米では、歯並びキレイが当たり前! 日本では、歯並びが悪いからという理由で、仕事やその人自身の評価が下がるということはまずないでしょう。しかし、欧米は異なります。「歯並びが悪い=健康管理ができていない」とみなされ、評価が下がってしまうのです。また一昔前、日本では八重歯=かわいいというイメージがありましたが、それとは対照的に、欧米では古くから八重歯はドラキュラの歯といって嫌われているのだそうです。 主な歯列矯正装置の種類 ●着脱式と固定式 固定式のマルチブランケットが一般的ですが、見た目の悪さが難点です。 ●マルチブランケット法の応用 舌側に装置をつけることで、見た目を克服します(フルリンガル法)。 ●ハーフリンガル法 上の歯には裏側に装置をつけ、笑ったときに見えにくい下の歯には表に装置をつける方法です。 矯正は長い時間がかかるため、その間の見た目も重視されるようになってきました。最近では、セラミックの装置が登場するなど、従来の歯列矯正装置のイメージの悪さを克服する工夫がなされています。 いつまでOK?大人の歯列矯正 歯列矯正は、成長期のほうが短期間に行えるため、子どものころに行うのが理想的です。しかし、この時期の矯正は親の意思によるところが大きく、装置のすき間のブラッシングなど、細かいケアが求められるため、子どもにも負担がかかります。しかし、大人になってから行う矯正は、見た目の美しさや健康のため、噛み合わせをよくしたいという本人の希望によって行うため、根気よくケアを行うことができ、時間はかかっても、うまくいくケースが多いといわれています。 では、歯列矯正はいくつになってもできるのでしょうか――。答えは残念ながら△。 いくら強い意思があったとしても、歯周病が非常に悪化しているケースなど、歯や歯肉といった周辺の支持組織がすでに矯正に耐えられない状態では、行うことは困難です。また、閉経後の女性は、移動する歯根膜の牽引側の骨が新しくなりにくいため、難しいといわれています。また、子どもの歯列矯正に比べ、歯の移動スピードが遅いため、時間もかかるのがネックでしょう。 歯列矯正、気になる費用は…? 歯列矯正は、基本的に自由診療のため、病院によって費用は異なりますが、70~100万円程度(病院や歯の状態によって異なる)といわれています。 ■健康保険が使えるケース ●唇顎口蓋裂の人の歯列矯正……育成・更正医療機関の指定を受けている施設で治療すると、自己負担分に関しても自治体から補助を受けることができる ●顎変形症と診断された人が外科手術を行う前に実施する矯正……顎変形症の術前矯正は、都道府県から顎口腔機能診断基準施設の指定を受けた施設で行う場合、保険が適用となる ●その他……第一・第二さい弓症候群/鎖骨頭蓋異骨症/クルーゾン症候群/尖頭合指症/トリーチャーコリンズ症候群/ピエールロバン症候群/ダウン症候群/ラッセルシルバー症候群/ターナー症候群/ベックウィズ・ヴィードマン症候群 また、子どもの矯正の場合、申請すれば医療費控除を受けることができますが、大人の場合、美容整形のための歯列矯正(自費)は医療費控除の対象にはならないなどケースバイケースなので、事前に矯正を受ける病院で確認しましょう。 ■どう違う?矯正歯科と審美歯科 矯正歯科は、自分の歯を正しい位置に動かすことで、きれいな口元にすることを目指したものです。一方の審美歯科は、歯の色や詰め物の色をホワイトニングするなどして、見栄えをよくするのが基本で、一部の歯を削るなどして歯並びを修正する治療も行っています。大きくわけると、口元全体のバランスを美しくするのが矯正歯科で、ひとつひとつの歯をきれいにすることで、口元全体を美しく見せるのが審美歯科と言えるでしょう。 公開日:2008/02/04
いつまでも自分の歯で食事を楽しみたい 厚生労働省と日本歯科医師会が提唱する「8020運動」の推進や、歯の病気が全身に及ぼす影響などがメディアで取り上げられる機会が増え、ハミガキの習慣化が進んでいる。それに伴い、高齢になっても自分の歯を残せる人が増えているものの(グラフ参照)、一方では、歯周病患者の増加も指摘されている。 歯周病は、歯肉が腫れたり、出血する「歯肉炎」と、歯と歯ぐきの間に歯周ポケットができたり、歯根が埋まっている骨が溶け出してしまう「歯周炎」の2段階に大きく分けられる。歯周炎まで進行してしまうと、手術や再生療法、抜歯などの治療が必要となるが、歯肉炎の段階であれば、正しいブラッシングによるプラークコントロールだけで治すことも可能だ。「自分の歯を残す」だけでなく、自分の歯で食べる楽しみを味わえる「健康な歯を残す」ためには、ハミガキによるセルフケアが最も重要なのだ。 歯の状態によっても変わるハブラシ選び 正しいブラッシング方法と同様に、大切なのはハブラシ選びだ。その基準は「テレビコマーシャルを見た」「価格が安い」など個々に違いがあるだろう。しかし、ポイントだけは押さえておきたい。最も重要だといわれるのがヘッドの長さだ。下あごの前歯の内側に楽に入る大きさのもので、3cm以下のものを選ぶのが良いといわれている。また、植毛部が平らで、柄がまっすぐな握りやすいものがおすすめだ。奥歯の磨き残しが気になる人は、奥歯やすき間専用のハブラシも併用しよう。 ブラッシング方法別・ハブラシ選び ブラッシング方法 ブラシの毛の長さ ブラシの硬さ、毛先の特徴 毛の脇を使って磨く 10~12mmくらい 毛の直径が太く、かためのもの 毛先を使って磨く 10mm以下 毛先が丸く、やわらかめ~ふつうの硬さ 歯ぐきに炎症があったり出血するときに、硬いハブラシで磨くと、歯肉を傷つけて細菌感染を起こしやすくなる。そんなときはいつもよりやわらかめのハブラシで磨き、炎症が治まったら元に戻すなど、歯や歯ぐきの状態に合わせて上手にハブラシを使い分けたい。また、ブラシがボロボロになるまで使い込むのも正しいブラッシングの妨げになるので、1ヵ月使ったら交換しよう。 知ってる?日本のハブラ史 江戸時代までの日本は、仏教の伝来とともに伝わったとされる楊枝を使って歯の掃除を行っていた。明治に入りハブラシが輸入されると、それを模倣して鯨のひげの柄に馬毛を植えた「鯨楊枝」と呼ばれるハブラシがつくられた。これが日本初のハブラシだという。 大正時代になると、柄はセルロイド、植毛部は馬、豚、ひつじの毛などが使われるようになってきた。この当時は、ハブラシを製造していたのが刷毛をつくる業者だったことから、「歯刷子」と呼ばれていたという。現在販売されているような樹脂とナイロン製のものがつくられはじめたのは第二次世界大戦後で、そのころから今の「ハブラシ」という呼び方が定着してきたという。 スグレものを賢く使おう!歯のセルフケアグッズ 最近では、手動のハブラシだけでなく、高速のブラシストロークでプラーク除去を行う電動ハブラシや音波ハブラシも普及してきた。とくに音波ハブラシは、音波振動によってプラークを除去したり、口内細菌連鎖を破壊するだけでなく、歯周病予防のための歯肉マッサージにも適しているといわれ、人気となっている。 そのほかにも、歯や歯ぐきの状態によって使い分けができるさまざまなセルフケアグッズがある。とくに歯ぐきが痩せてくる中高年以降は、歯と歯のすき間の磨き残しを防ぐための歯間ブラシやデンタルフロスを利用して、歯周病の予防を徹底したい。歯間ブラシは、自分に合わないサイズのものを無理に使うと、歯ぐきからの出血の原因になるので、最初は歯科医師に相談して選ぶのがよい。またデンタルフロスは、抜けにくかったり、すぐに切れてしまうようでは、すでにむし歯になっている可能性もある。痛みがなくても、早めに病院でチェックしてもらおう。 参考文献:「歯ブラシ事典」学建書院 公開日:2007年6月4日
自分ではなかなか気づきにくい歯ぎしり。だが、歯ぎしりはほうっておくと、さまざまな二次障害に発展する場合もある。なんと一晩の歯ぎしりは、一生分のそしゃくに匹敵するくらい、歯やあごにダメージを与えるのだ!本当は危険な歯ぎしりについて、ぜひきちんと知っておこう。 目次 歯ぎしりはなぜ本人にわからないの? 原因は噛み合わせとストレス! 虫歯、耳鳴り、自律神経失調症…歯ぎしりによるおもな二次障害 歯ぎしりはどうやって治せばいい? 歯ぎしりはなぜ本人にわからないの? 夜中にギリギリと大きな音を立てられると、そばで寝ている人はかなわない。目がさめたら最後、気になってなかなか寝つけなくなってしまうだろう。ところが当の本人はすやすやと夢の中。自分自身が立てている音なのに、いったいなぜ気づかないのだろうか。 これは、睡眠中、感覚器の伝達経路が遮断されているため。起きているとき、音は筋肉から脊髄を通って脳へと伝えられる。ところが、眠ってしまうとこの回路がはたらかなくなってしまうのだ。したがって、脳はすぐそばのあごで起こっている騒音を感知できなくなる、というわけ。つまり、誰かに指摘されない限り、自分で歯ぎしりに気づくことはほとんどないといってよい。また、ほとんど音を発することなく、歯をぎゅっと噛み締める歯ぎしりも多いという。このように歯ぎしり人口は意外と多いもの。もしかしたら、あなたも常習者かも!? 原因は噛み合わせとストレス! それではいったいなぜ、歯ぎしりは起こるのだろう。第一に考えられるのが、あご筋肉の緊張がアンバランスとなっていること。例えば、虫歯があって歯が痛いとき、高さが不適合な金属冠があるとき、歯の抜きっぱなしなどにより、噛み合わせが狂っているときなどは、こうした現象が起こりやすい。もうひとつの理由は、精神的、または肉体的なストレスだ。歯ぎしりすることによって、不安や憂鬱を発散させているのである。 虫歯、耳鳴り、自律神経失調症…歯ぎしりによるおもな二次障害 歯ぎしりは、歯やあごに大きな負担をかける。ぐっと歯を食いしばっただけでも、自分の体重程度の負荷がかかるのに、前後左右にぎりぎりと歯を動かせば、ダメージは計り知れない。なんと、一晩の歯ぎしりは、一生分のそしゃくに匹敵する、と言われているほどだ。もちろん、一晩中歯ぎしりをすることはないが、30分以上続くようなら、悪影響が及んでいる可能性が高い。歯ぎしりによるおもな二次障害は次の通りだ。 歯のダメージ 歯が擦り減る 歯周組織が損傷される 外骨腫(歯の周りの骨が異常に突出する病気)が起こる あごのダメージ 顎関節症(あごを動かすと音がしたり痛んだりする病気)が起こる その他のダメージ 耳鳴りがする 熟睡できない 自律神経失調症による、体の諸症状があらわれる 怖いのは睡眠時無呼吸症候群と関連が深いことだ。両者の関係ははっきりとはわかっていないものの、歯ぎしりの直後には、睡眠時無呼吸症が起こることがよくある。睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が停止してしまう症状。睡眠不足から、翌日の生活にさしつかえるばかりではない。脳が酸欠状態となり、突然死を引き起こすこともある怖い病気だ。 歯ぎしりはどうやって治せばいい? 歯ぎしりを治すには専門医に相談するのが一番。歯科医か口腔外科を受診しよう。よく行われるのが、上下の歯が接触しないよう、口の中にマウスピースを入れる「スプリント療法」。筋弛緩剤などによる薬物療法がおこなわれることもある。また、噛み合わせを治すことにより、症状を改善する場合も。ただし、ストレスから歯ぎしりが起こっている場合は、心療内科などを訪ね、心のケアを中心に治療したほうがよいこともある。 このように歯ぎしりを放置すると、思わぬ病気に見舞われることもあるので要注意!家族の深刻な歯ぎしりに気づいたら、早めに治療するようすすめよう。 ■関連記事 良質の深い睡眠「黄金の90分」とは?キャンサーフィットネス・心のリハビリ講座(1) 公開日:2004年12月6日
より若々しく美しく見えるために、歯のホワイトニングが注目されている。笑顔に自信がつき、仕事にも積極的になるなど、その効果は意外とあなどれない。虫歯・歯周病予防には歯のクリーニングがおすすめだ。 目次 いま注目のホワイトニングって何? 歯が変色する3つの原因 ホワイトニングのメカニズム 真剣に歯の健康を考えるなら いま注目のホワイトニングって何? 爽やかに笑う青年の口からのぞく、真っ白な歯。容姿をより美しく若々しく見せる白い歯を保つことは、アメリカ、カナダなどではエチケットとして定着している。日本でも、歯磨き粉のCMなどの宣伝効果もあってか、ここ10年ほどで、芸能人やモデルはもちろん、営業職で働く人たちなど、歯をより白くしたいと考える人が増えてきた。 しかし、残念ながら日々の歯磨きだけで真っ白な歯を保つことは難しい。そこで最近人気が高いのが、歯の表面に薬剤を塗布して、実際の色より歯を白くみせるホワイトニングである。もちろん健康に悪影響はない。 ホワイトニングは、まずメンタル面での健康効果が大きい。白く輝く歯は、その人を若々しく見せ、躍動感を感じさせるからだ。会う人の印象を良くするだけでなく、本人にも自信がつく。 今回、取材に協力してくれたホワイトエッセンスの岡本真理子院長によれば、ホワイトニングを希望する人には、営業や接客の人、就職活動、結婚式前のカップルなどが多いという。全体で見ると20~30代の働く女性が中心だが、「若返るから」と喜ぶ年輩の人などさまざまな年代、性別の人がホワイトニングを受けている。中には笑顔に自信が持てるようになって就職が決まった、仕事がうまくいったという人までいるそうだから、その効果はあなどれない。 歯が変色する3つの原因 (1)歯の表面の汚れ 最も多いのが、食品の色素が浸透して変色する場合。歯のエナメル質は、何百万本という半透明のガラス繊維のような小柱からできている。その小柱と小柱の隙間に残った色素は、歯磨きで取り除くことができない。例えば、コップや茶碗が、毎日洗っていてもたまに漂白が必要になるのと同じことである。むしろ、陶器より歯のほうが色素は残りやすい。また、たばこのヤニも着色の原因となる。 もちろん、毎日丁寧に時間をかけて歯磨きをしたり、着色しやすい食品を摂った後、すぐに歯磨きするなど心がければある程度落とすことができる。プロのクリーニングを受けるだけで落とせることも少なくない。 着色しやすい食品:赤ワイン、しょう油、コーヒー、紅茶、コーラ、カレーなど (2)加齢・遺伝 髪や肌の色が人それぞれ異なるように、歯の色にも個人差がある。遺伝的に黄色っぽい人もいる。また、歯の内部にあり神経を守る「象牙質」は、もともと黄色がかっており、年齢と共にじょじょにその色が濃くなっていくため、透明なエナメル質を通してだんだん黄色が目立つようになるのである。この場合は予防が難しいため、黄色が気になる人は、ホワイトニングをするというわけだ。 (3)歯の内部構造が原因 歯の病気や、歯をぶつけて外傷ができたり、薬剤の副作用が原因で変色する場合。これが原因の場合は、残念ながらホワイトニングでも白くするには限界がある。 例えば、70年代に使われていたテトラサイクリンという抗生物質を、母親の妊娠中や幼少期に服用していた場合、歯が縞模様に着色したり、茶色やグレーがかった色になっていることがある。テトラサイクリンはその後使われなくなったため、このケースは30代の人がほとんどである。また、歯の成長過程で、歯の組織形成が不十分だった「エナメル質形成不全症」の場合、歯が茶色く変色していたり、くぼんだ部分があったりする。 ホワイトニングのメカニズム では、ホワイトニングは実際どのようにして行うのだろうか?ホワイトニングに使われる薬剤は、過酸化水素や過酸化尿素。これらの薬剤は、一定温度になると酸素と水に分解される。その際、酸素が歯のエナメル質の色素と結びつき、着色物を無色透明に分解するというしくみだ。 ただし、象牙質の色は変化しないため、象牙質が変色していれば見た目の印象はホワイトニングをする前と変わらない。その場合は、光の反射でエナメル質が白く見えるように加工する方法がある。ホワイトエッセンスの場合、エナメル質を構成する無数のエナメル小柱の形を角状から球状に変化させることで、光が乱反射するようにする。すると、曇りガラスと同じように透明だったエナメル質が白く見える。その結果、象牙質の黄色が見えにくくなるというわけだ。 施術の方法 「ホワイトニングを行う歯科医院に通院する」「自分の歯に合わせた専用トレイを作ってもらい、自宅で薬剤を入れたトレイを2時間ほどかぶせる」の2通りがある。個人差はあるが、通院の場合、3ヵ月程度で完了という人が多いという。また、ホワイトニングで永久治療ができるわけではないため、だいたい3~10ヵ月で元の色に戻る。白さを保ちたい人は月に1度の通院をするケースが多いという。 ホワイトニングが向かない人 妊娠中、授乳中の女性 18歳未満の人 エナメル質形成不全症の人 人工歯の人 虫歯や歯周病がある人は治療後に 真剣に歯の健康を考えるなら ホワイトニングの効果は、白く見せることで自信がつく、若返るといった美容効果である。しかし、歯を白くするだけでなく、虫歯や歯周病予防効果が欲しいという人におすすめなのは、歯のクリーニング。 食品やたばこのヤニなどが原因の表面の変色を、1回のクリーニングできれいに落とせるだけでなく、虫歯や歯周病の原因となる細菌を除去できるからだ。細菌が元の量に戻るまで3ヵ月が目安なので、3ヵ月ごとにクリーニングを受ければ虫歯や歯周病予防にもなるというわけだ。ただし、クリーニングは、保険がきかないのが難点。歯石を取った後、歯の表面の汚れを除去したり、歯茎をマッサージするという予防的な施術を行うからだ。 ティースクリーニングの方法 塩のジェットパウダーで表面の汚れを除去→歯石とり→専用の薬剤で歯磨きでも取れない汚れ・虫歯菌を除去 自分の笑顔に自信がない人、歯を健康に保ちたいという人は、ぜひ一度近くのクリニックを訪れてみてはいかがだろう。毎朝、鏡の中の歯の白い自分に会うのが楽しみになるかもしれない。 取材協力・資料提供:ホワイトエッセンス 公開日:2016年10月3日
あなたのできやすい口内炎はアフタ性?それともカタル性?ひと口に口内炎といっても、種類はさまざま。その種類と、つくらないための予防策から、できてしまったときの対処法までご紹介します。 目次 口内炎の種類を知ろう! 他の病気の影響でできる口内炎もある!? こんな症状にはご用心! 口内炎の種類を知ろう! 思うようにしゃべれなくなったり、食べ物や飲み物がしみて痛かったり…。できてしまうと、口内炎はなかなか厄介なシロモノだ。 この口内炎の定義は、病院や医師によって多少違うが、「頬の内側や舌の縁、唇の裏側などに、1~数個できた炎症の総称」というのが一般的だろう。 また、ひと口に「口内炎」と言っても種類はさまざまだ。その中でも圧倒的に多いのが「アフタ性口内炎」と呼ばれるもの。多くの場合、できてから約10日~2週間ほどで完治するので、痛みがひどくなければ放置しておいても大丈夫だが再発しやすいのが難点。何度も繰り返しできるときは特に再発性アフタ性口内炎と言われている。 主な口内炎の種類と特徴 ●アフタ性口内炎 中央部が浅くくぼんだ白っぽい潰瘍ができる最も一般的な口内炎。約10日~2週間ほどで完治するが、再発する場合があり、何度も繰り返しできる場合は再発性アフタ性口内炎と呼ばれる。 ●カタル性口内炎 口の中の粘膜が赤く炎症を起こす口内炎。「カタル」とは「流れる」という意味で、アフタ性口内炎と違い境界がはっきりしない。虫歯や歯槽膿漏、義歯の不具合などでできる。ビタミン不足などが原因のこともある。 ●ウイルス性口内炎 ヘルペスなどに感染してできる口内炎。 ●カビによる口内炎 カンジダ症など、カビが原因となってできる口内炎。 ●アレルギーによる口内炎 刺激物や薬物にアレルギーを起こしてできる口内炎。 ●ニコチン性口内炎 ヘビースモーカーに多い口内炎。 他の病気の影響でできる口内炎もある!? 口内炎ができるのは、何も口中に原因がある場合ばかりではない。例えばはしかやしょう紅熱、手足口病などの病気によってできることもある。 また、数は多くはないようだが、潰瘍性大腸炎や尿毒症、白血病、ベーチェット病、クローン病といった他の大きな病気が口内炎という症状となって現れていることもある。単なる口内炎ではすまないこともあるので、注意が必要だ。 こんな症状にはご用心! 単なる口内炎なのか、他の病気による影響でできた口内炎なのかは、当然ながら自分で判断できるものではない。たかが口内炎、されど口内炎だ。安心のためにも、口内炎ができたら、一度、耳鼻咽喉科を受診しよう! また、痛みがひどい場合も受診がオススメ。病院で副腎皮質ホルモンの入った軟膏を塗ってもらったり、シールを貼るなどしてもらえば、痛みはかなり軽減されるはずだ。 もし我慢できる痛みで、なかなか病院へ行く時間が取れない人でも、アフタ性口内炎などなら約10日~2週間で治るのが一般的。それ以上たっても治らない場合は、病院へ行って原因を調べてもらうことが大切だ。 公開日:2003年4月21日
積極的にプロの手を借りてデンタルケアをするための情報をご紹介します。まだあまりなじみのない「かかりつけ歯科医」制度。上手に利用すれば、虫歯から歯周病まで歯のことはなんでも相談できる歯科医を持つことができます。また歯科衛生士による歯のクリーニング「PMTC」を定期的に行うことで、健康な歯の維持につながるのです。 目次 この前歯医者に行ったのはいつ? 「かかりつけ歯科医」制度を利用しよう 「PMTC」で笑顔に自信!標準的なPMTCの流れ この前歯医者に行ったのはいつ? 「痛くならなければ、歯医者に行かない」…これが世間一般の歯医者に対する認識だ。しかし、歯に関しては「痛くなってからでは遅い!」ということを心に留めておいて欲しい。毎年健康診断を受けるように、最低でも年に1度は歯科検診を受けて歯と歯ぐきに異常はないかチェックし、問題があれば早期治療にとりかかるべきなのだ。虫歯や歯周病が進行してしまってからでは治療費がかかるうえ、歯をなくしてしまうことにもなりかねない。 「かかりつけ歯科医」制度を利用しよう 平成13年4月から「かかりつけ歯科医」という新規事項が、医療保険に加わったことをご存知だろうか。「かかりつけ歯科医」とは、病気(歯科疾患)の説明とその治療法の選択、治療日程の情報を、診察を受けた歯科医師本人から提供させることができるという制度のこと。患者側と歯科医師側とがお互いに信頼し合い、長く付き合っていくための合理的なコミュニケーションを図るため、取り入れられた方法だ。 かかりつけ歯科医がいると、虫歯・歯周病などの予防から治療まで幅広い対応をしてもらえたり、家族全体がかかりつけになることで、その人の歯についての生活環境も十分に理解され、予防や治療方針に生かすことができるなど、メリットも多い。 次回歯医者に行ったときは、ぜひ「かかりつけ歯科医」制度を実施しているかどうかを確認してみよう。 「PMTC」で笑顔に自信!標準的なPMTCの流れ 「PMTC」とはプロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの略で、専門家による機械での歯のクリーニングのこと。プロの歯科衛生士が口の中をきれいに掃除してくれるので、虫歯や歯周病の予防に効果的。一度受けてみるとその効果は歴然!歯石がとれ、歯が白くツルツルになる。 標準的なPMTCの流れ 歯垢を染色してよく見えるようにしてから、ブラッシング開始 歯間ブラシやフロスなども使って歯と歯の間の歯垢を除去 器具を使って歯石も除去 ここから本格的にPMTCの開始。ラバーのチップやブラシ、研磨剤を使って歯の表面を磨く。歯垢だけでなく、着色やたばこのヤニもすっきり落ちる さらに歯と歯の間も専用の道具で磨く 仕上げに虫歯予防のためのフッ素を塗って終了 1回およそ1時間前後。口の中の状態によって、数回にわたってクリーニングが必要な場合もある。 料金もケースバイケースなので、まずは歯科医に問い合わせてみよう。健康保険内でやってくれるところもある。 自宅での毎日のケアに加え定期的にPMTCで歯のクリーニングを行って、きれいな歯を長持ちさせよう! 公開日:2002年10月28日
ばくぜんと「加齢と共に歯は抜けるもの」と考えていませんか?実は歯が抜けるのは「歯周病」という病気のせい。歯周病のメカニズムを知って、進行を食い止めなければいけません。 目次 やってみよう!歯の健康チェック 歯が抜けるのは歳のせいではない! 歯周病のメカニズム 歯周病の進行 やってみよう!歯の健康チェック 「歯を磨きなさい!」…子どもの頃、何度も親に言われた言葉だ。大人になった今、歯を磨く習慣がない人はほとんどいないと思うが、自分の歯の健康について関心を持っている人もまた、少ないのではないだろうか?あなたの歯の状態を知るために、まずは下の項目でどれくらい当てはまるかチェックしてみよう。ひとつでも心当たりがあれば、歯の手入れを見直す必要がある。 1年以上、歯科検診を受けていない 歯磨きは、いつもだいたい30秒以内に終わる 歯と歯の間によく食べ物がつまる 冷たいものがしみる 歯が長くなってきた気がする 歯を磨くと歯茎から血が出る 朝起きたとき、口の中がネバネバする 口臭を感じることがある 歯茎がムズムズする(違和感がある) うまく噛めない 参考:「歯の健康ノート4壮年期編」花王株式会社発行 歯が抜けるのは歳のせいではない! 「大人の歯の悩み」について考えるとき、加齢に伴い歯が抜けてしまうとか、入れ歯でうまく噛めないということを想像するのではないだろうか。実際に、1人あたり平均の「現在ある歯の本数」は65歳の段階ですでに20本を切ってしまっている(成人の歯は親知らずを除いて28本)。人生80年とも言われている今、早々と歯を失ってしまうのはなんとも心もとない。 歯周病のメカニズム 「歳をとると歯が抜けるのは仕方がない」と思いがちだが、実は歯が抜けるのは「歯周病」という病気によるもの。歯周病は虫歯とならんで歯を失う大きな原因なのだ。 歯周病とは、歯垢や歯石などの原因から歯周組織(歯肉や歯根膜、歯槽骨など、歯を支えている土台)が破壊されてしまう病気の総称で、歯肉だけ炎症を起こしている状態を「歯肉炎」、さらに悪化して歯槽骨まで破壊された状態を「歯周炎(歯槽膿漏)」という。 歯周病の進行 ■歯肉炎 炎症が起こっている状態。歯肉が赤く腫れ、歯磨きなどちょっとした刺激でも出血しやすくなる。 ■初期歯周炎(軽度) 歯肉の炎症が進み、歯と歯肉の間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができる。歯槽骨の破壊も始まり、水などがしみるようになる。 ■中期歯周炎(中程度) 歯肉がブヨブヨに腫れ、歯周ポケットから膿が出て口臭がひどくなる。歯が浮く感じがして、ものが噛みにくくなる。 ■末期歯周炎(重度) 歯槽骨はほとんどなく、歯根が露出。歯肉が腫れて痛み、歯がグラグラになって最後には抜けてしまう。 参考:「歯の健康ノート4壮年期編」花王株式会社発行 歯周病について、一番警戒しなければいけないのは「初期に目立った自覚症状がないこと」である。歯肉炎の段階で医者を訪ねていれば治療できたのに、中期歯周炎頃になって初めて慌てて医者に行く場合が多い。こうして手遅れになり、歯を失ってしまうのだ。 公開日:2002年10月28日
歯も心臓や胃腸などと同様、人間の体の臓器のひとつです。全身に何か疾病があると、それが歯周病に悪影響を及ぼす可能性も…。また女性ホルモンの影響で、歯周病にかかりやすいという事実もあるのです。 目次 歯周病の原因菌は「大人から子ども」に感染する!? 歯周病にかかりやすい因子 女性ホルモンの変化と歯周病 歯周病の原因菌は「大人から子ども」に感染する!? 比較的若い層に歯周病をもたらす細菌は、大人から子どもに感染するという研究報告もある。10歳くらいの永久歯が生えそろう少し前の時期に、親から子へ感染するというのだ。 まだ子どもだから歯周病のリスクがまったくないという思い込みは誤り。実際、15歳~24歳で歯肉に何らかの異変を持つ割合は60%を超えている。 歯肉の所見について 厚生労働省・平成11年歯科疾患実態調査の概要 歯周病にかかりやすい因子 普段あまり認識することはないが、歯も内臓と同様、私たちの体にとってなくてはならない「臓器」のひとつ。歯周病にかかりやすいかどうかは、食習慣などに限らず、内科的疾患やストレス・喫煙など多岐に及んでいる。少しでもこれらの因子をコントロールするように心がけよう。 歯周病にかかりやすい因子 ●食生活 ●内科的疾患:糖尿病 リウマチなど ●薬物の副作用:ホルモン製剤(更年期障害の治療など)、抗てんかん剤、狭心症の予防薬、免疫抑制剤、カルシウム拮抗薬、抗ヒスタミン剤 ●女性ホルモンの影響:妊娠、更年期、思春期 ●精神的ストレス ●喫煙 ●遺伝的な要因 ほかにも、歯の形態や噛み合わせ、不良な歯科治療などが因子としてあげられる。 内科的疾患や薬物の副作用が因子としてあがっているのを見て不安になった人もいるかもしれない。例えば、「糖尿病にかかると、歯周病にもなってしまうの?」というように…。 糖尿病は歯周病を起こす直接の原因ではないが、歯周病を悪化させてしまう因子と考えられる。糖尿病にかかっている人の場合、歯周ポケットの中の細菌を食べてくれる白血球のはたらきが弱くなってしまうので、短期間のうちに重度の歯周病に進んでしまう可能性が高いからだ。糖尿病の人は健康な人よりも歯周病予防に気を配る必要がある。 ほかの因子に該当するものがあった人も、自分の歯周病のリスクが高いことを認識し、日頃から歯の健康についてもケアすることが大切だ。 女性ホルモンの変化と歯周病 「子どもを1人産むたびに歯を1本失う」と言われるように、妊娠・出産は女性の口の中を悪化させる傾向がある。女性特有の歯周病にかかやすい因子として「女性ホルモンの影響」がありそうだ。この時期には、とりわけ日常のケアが必要だ。 妊娠による女性ホルモン・エストロゲンの増加 歯と歯ぐきの隙間からしみでるエストロゲンが増加することで、歯肉炎の細菌が異常増殖してしまう。この菌はもともと口の中の粘膜などにいる害のない細菌だが、あまりに増え過ぎると悪いはたらきを及ぼすようになる。 また、出産と歯周病との関係で言えば、歯周病菌を撃退する免疫反応として分泌されるサイトカインが羊膜を破壊し、早産の原因になったり、低体重児の出産につながるとの報告もある。 閉経後、骨粗しょう症にかかりやすくなること 閉経後、女性ホルモンの分泌が減少することで骨粗しょう症にかかりやすくなる。歯を支える歯周組織の破壊を加速させてしまうことも。 更年期障害や骨粗しょう症の治療に用いられるエストロゲンの影響 更年期障害や骨粗しょう症の治療にはエストロゲンなどが用いられるが、その副作用で歯肉の健康が損なわれるケースもある。 公開日:2002年10月28日
顔の印象を左右する大切な歯。虫歯や歯周病から守るために、フッ素や塩、重曹など歯磨き剤に使われる成分や、歯ブラシの選び方、ブラッシングの仕方にこだわってみました。また、喫煙と歯周病の関係についてもまとめています。 目次 歯は第一印象を左右する!? 大人の歯を守る3つのポイント 自分でできる歯周病予防1…ブラッシング 自分でできる歯周病予防2…よく噛もう! 歯周病予防にも「禁煙」が近道! 歯は第一印象を左右する!? 「さわやかな笑顔」と聞いてあなたがイメージするのは、歯並びのそろった、若々しい口元をした笑い顔だったりするのではないだろうか? 歯はあなたの第一印象を左右している。奥歯が失われたり、歯周病で歯並びが乱れてくると顎のラインにも当然変化が及び、実年齢より老けて見られることも往々にしてある。いつまでも若々しくあるために、まずは自分の歯に関心を持ち、日々のケアで歯周病や虫歯を防ぐことを心がけたい。 人生変わる!?歯のホワイトニングにご注目 大人の歯列矯正 健康と美しい笑顔を手に入れよう! 大人の歯を守る3つのポイント 根面う蝕から歯を守れ!フッ素の作用 大人の歯の脅威は歯周病だけにあらず!もちろん虫歯も歯を失う大きな原因のひとつだ。 大人には大人特有の虫歯があることをご存知だろうか?「根面う蝕」といい、歯周病が原因で歯ぐきがやせて歯根の部分が出てしまい、そこにできる虫歯だ。歯根の表面は歯冠部より軟らかく、虫歯になりやすいので特にケアが必要。 歯の表面を硬く丈夫にする効果のあるフッ素入りの歯磨き剤で「食べたら磨く」を実行しよう。 フッ素の効果について:フッ素による虫歯予防 歯ぐきを引き締めよう!塩の作用 歯ぐきの状態が悪くなると、歯ぐきがハレたり歯が浮くような感じになる。歯ぐきのハレを防ぐには歯ぐきを引き締めてあげることが大切。日本では古くから指に塩をつけて歯を磨く習慣があり、塩には歯ぐきをひきしめる作用がある。 なんとなく歯が浮くような感じがしたら、塩入り歯磨き剤に変えてみるのもおすすめ。 アルカリで口の中を中和させよう!重曹の作用 歯垢があることで、口の中で酸が生じると根面う蝕の原因にもなってしまう。 この酸を中和させる身近な素材として重曹がある。重曹とは薬局などで「炭酸ナトリウム」として売られているもので、酸を中和させるはたらきとともに、歯ぐきをひきしめる作用もあると言われている。 自分でできる歯周病予防1…ブラッシング 日本では、歯を磨く習慣はほぼ定着しているのに、虫歯や歯周病にかかる人は一向に減らない現状がある。その原因は磨き残しにある。せっかく磨くのだから、正しい磨き方で歯垢を確実に落とすようにしよう。その際、「歯は清掃、歯肉はマッサージ」という感覚で行いたい。 歯ブラシ 植毛部の大きさや毛の硬さをチェック!植毛部が大きすぎると奥歯まできれいに磨きにくいし、歯肉が腫れている人には毛の硬いものは向かない。最近は人体工学に基づいて、磨きやすさを追及した歯ブラシも登場している。歯ブラシひとつでも磨き心地がまったく違ってくるので、歯ブラシの切り替え時(毛が開く前。月1回程度が望ましい)に新しい物を試して自分にぴったりの1本を見つけてみては? デンタルフロス 細いナイロンの糸で、歯と歯の間や歯と歯肉の境目などの歯垢を落とすために使う。 歯間ブラシ 歯と歯の隙間が大きく開いている人、ブリッジや部分義歯を使っている人に。 自分でできる歯周病予防2…よく噛もう! 「よく噛むこと」は歯周病の予防にも効果的だ。 第一に、唾液には殺菌作用がある。よく噛むことで唾液の量が増え、歯周病菌が増え過ぎないようにコントロールしてくれる。第二に、噛むことで歯ぐきや歯周組織が鍛えられ、歯周病菌から受けるダメージも少なくてすむ。 毎日の食事に「噛みごたえのある食材を使う」「大きめに切る」「水分量を減らす」などのひと工夫をプラスすることで噛む回数もアップするはず。 噛めば噛むほど…!そしゃくの7不思議 歯周病予防にも「禁煙」が近道! 歯周病とたばこ。一見何の関係もなさそうだが、実は喫煙習慣は歯周病にかかりやすくなる最大の因子とも言われている。10年後、20年後のあなたの歯を、今日のたばこで失うことになりかねない。歯周病を防ぐためにも、ぜひ禁煙を! たばこによって歯周病にかかりやすくなる・進行を早める理由 ●新しい組織を作る細胞の増殖を、たばこの有害物質が妨げる 歯周病菌に対抗する体の防衛機能が喫煙によって阻害され、その結果歯周病の進行を早めたり歯ぐきの治癒が遅くなると考えられている。 ●ニコチンの影響で歯肉に炎症が出にくくなり、歯周病の発見が遅れる 長年の喫煙習慣によって歯肉が硬くなると、歯周病が進行していても歯肉の表面に炎症が現れず、見逃してしまいがち。 公開日:2002年10月28日
子どもの虫歯は親の責任。「虫歯は親子で感染するの?」「夜、突然虫歯が痛み出したらどうしたらいいの?」など、素朴な疑問にお答えします。年齢別ケア方法もご紹介。大切な子どもの歯を虫歯から守ってください。 目次 年齢別ケア方法 子供の歯Q&A 年齢別ケア方法 小学校に入学するころから、乳歯が抜け始め永久歯が生えてくる。この時期の口の中は、乳歯と永久歯が入り交じりデコボコして複雑だ。特に「六歳臼歯」と呼ばれる最初の永久歯は、物を噛みくだく力が一番大きく、永久歯の歯並びや噛み合わせの基本となる重要な歯。完全に生えるまでに約1年かかるため手前の乳歯より背が低く、生えたのに気づかなかったり、歯ブラシの毛先が届きにくかったりして、虫歯になりやすい状態にある。正しい歯の磨き方を教えたり、仕上げ磨きで、お子さんの歯の健康を守ってあげよう。 乳歯には、大臼歯に相当する歯がない。第三大臼歯は生えないこともある。 ▼0~1歳:乳歯がはえ揃う前 ほ乳瓶に砂糖を含んだ飲料や酸性度の強い飲料などを入れない。 歯がはえ始めたら(生後6ヵ月頃)、食事の後には湿らせたガーゼなどで歯と歯肉をふいてあげるとよい。 お母さんに歯磨きをしてもらってから寝るという習慣をつける。 ▼2~3歳:乳歯がはえ揃う頃 子ども自身で歯磨きを始めさせる。ただし、お母さんによる仕上げ磨きを行うこと(8歳頃まで)。 ▼4~5歳:乳歯がはえ揃った後 歯磨き行動の習慣形成とフッ素入り歯磨き剤の使用(ずっと継続)。 おやつを食べる時間と場所を決める。 かかりつけの歯科医を見つける。 フッ素の塗布。 ▼6~9歳:永久歯がはえ始める頃 <第一大臼歯(六歳臼歯)と上顎切歯の予防> ハブラシ 永久歯の奥歯で一番初めに生える第一大臼歯。噛み合わせを決める大事な歯だが、虫歯にかかりやすいので特に注意。 正しいブラッシング法を教える。 学校などでのフッ素洗口。 シーラント(奥歯の溝を合成樹脂などで埋める方法)なども利用。 ▼9~11歳:永久歯に交換する頃 <上顎前歯の予防> デンタルフロス デンタルフロスの使い方を教える。 正しいブラッシング法とブラッシング圧を教える。 科学的な健康教育-歯垢の知識や間食など摂食行動の理解。 ▼12~16歳:永久歯がはえ揃った後 <第二大臼歯の予防> 歯垢・歯石や歯周病の知識など、健康について理解させる。 子供の歯Q&A Q. 乳歯の虫歯って放っておいてもいいの? A. 絶対にダメ! 乳歯が生え始める生後5~6ヵ月頃には、顎の骨の中にはすでに永久歯がスタンバイしている。「どうせ抜けるから」と乳歯の虫歯を放っておけば、永久歯の芽をだめにしたり、抜け代わる順番を狂わせ永久歯の歯並びを乱す原因になってしまう。 Q. 虫歯がお母さんから子供に感染するって本当? A. 本当。 虫歯の原因・ミュータンス菌はだ液を介して感染(正確には伝播)するため、歯ブラシやスプーンの共有は禁物。熱いものをふーふー吹いて冷ましてあげることも要注意。子供の歯を虫歯から守るには、まずパパママ自身のお口のケアが欠かせないのだ。 Q. 夜中に突然子供の虫歯が痛み始めたら? A. 夜中に子供の虫歯が痛み出したときの応急処置を知っておこう。 ただし、虫歯は予防と早期治療が原則ということをくれぐれもお忘れなく。 (1)痛い歯を見つけ、食べかすを取り除く (2)タオルや冷却シートで顔全体を冷やす(顔全体を覆うようにして冷やすほうが、一点だけを冷やすよりも効果的) (3)体が温まると痛みやすくなるので、お風呂やコタツは避ける (4)小児用の解熱・鎮痛剤を飲む これでも痛みが続いていたり、顔全体が腫れ上がっているようなときは、歯だけの問題ではないことも。思い切って救急病院に相談を! 公開日:2002年5月27日
効果的な虫歯予防はほかにもあります。歯磨きのコツや甘いものを食べるタイミングなど、どれも日常生活ですぐに実践できるものばかり。ちょっとしたことに気を配れば、虫歯予防につながるのです。 目次 正しいブラッシング 歯医者さんでの定期健診 だ液のはたらきにも注目 歯を丈夫にするために必要な栄養をとろう 甘いものを食べるタイミングを考える 正しいブラッシング 自分ではきれいに磨いているつもりでも、歯垢は意外に落ちてはいないもの。奥歯の溝、歯と歯の間、歯と歯肉の境目などの磨き残しやすい所は、気がつかないうちに虫歯になってしまうことも。鏡で確認しながら磨く、磨きにくいと思う所から磨く、毛先をきちんと当てる、軽い力で磨く、小刻みに磨くなどの点を意識して、1本1本ていねいに上手なブラッシングをしよう。また、歯ブラシをこまめにとりかえることも大切。 歯医者さんでの定期健診 虫歯はかなり進行しないと自分ではわかりにくいもの。しかし、初期虫歯の段階で見つかれば、削らなくても再石灰化処置により修復可能だ。徹底的に歯を清掃するPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を行っている歯医者さんも増えており、磨き残しによる歯垢や歯石もきっちり除去できる。早期発見を確実にするためにも、半年に一度は定期健診を受けよう。 だ液のはたらきにも注目 だ液には、虫歯菌が産生する酸を中和する緩衝能や歯にカルシウムなどのミネラルを補給するはたらきがあり、だ液の分泌量が多くなるほど緩衝能も高くなるという。けれど、ひんぱんに甘いものを口にする食生活だと、いつまでたっても歯のまわりは酸性のままで、虫歯の危険にさらされてしまう。キシリトールはこのだ液のはたらきを高める効果があるらしい。お腹をすかせて繊維質の多い食べ物をよく噛んで食べて、ストレスをためないことが、だ液のはたらきを向上させるのによさそうだ。 歯を丈夫にするために必要な栄養をとろう 歯の栄養と言えば、カルシウム。永久歯のエナメル質は8歳までに完成してしまうので早いうちからカルシウムをとるように注意しよう。ほかにも、たんぱく質は歯の土台を作るし、エナメル質の形成にはビタミンAが欠かせない。象牙質の土台にはビタミンCが、カルシウムの代謝や石灰化の調整役にはビタミンDが必要なのだ。歯にとっても、バランスのとれた食事が大切。 甘いものを食べるタイミングを考える どうしても甘いものを食べたいときには、時間を決めてとろう。だらだらいつも何か食べているのは、口の中がいつも酸性に傾いている状態。エナメル質がどんどん溶かされて虫歯ができやすくなってしまう。 宇宙では虫歯になりやすい? 国立感染症研究所などが、無重力状態では虫歯菌が急増するという研究をまとめた(Science、2002/4/26号)。 同研究所では、マウスを飛行機に乗せて、様々な重力の状態を体験させ、口の中の虫歯菌(ミュータンス菌)の増減などを調べた。その結果、無重力状態では地上に比べ、菌が推定40~50倍以上に増えることがわかった。これは、宇宙ではだ液の流れが変化し、歯から洗い流す作用が低下するためと考えられる。 公開日:2002年5月27日
「フッ素」って聞いたことがありますか?世界中で虫歯予防に利用されている元素のことです。このフッ素、虫歯で穴があく前の状態(初期虫歯)の修復を早める作用があるのです。あなたも今日から是非フッ素を取り入れた虫歯予防を! 目次 フッ素ってなに? フッ素は虫歯予防にどう効くの? フッ素の効果 効果的なフッ素入り歯磨剤の使い方 フッ素ってなに? フッ素(元素記号はF)は約100種ある元素のうちのひとつ。自然界では単体としては存在せず、一般には微量元素といわれているが、たくさんの量が地球に存在する。海水中(濃度は約1.3ppm)や土壌中にも必ず含まれている(数百ppm)。 食品にももちろん含まれていて、私たちは日頃普通に食べたり飲んだりしている。例えば、芝えびなどには10~40ppm、お茶、紅茶の葉には100~500ppm含まれており、実際にお茶としてお湯を入れて飲む場合は、0.2~1.0ppmくらいの濃度になっている。 フッ素は虫歯予防にどう効くの? 虫歯は酸などによる歯からミネラルを溶かしだす力(脱灰力)の方が、歯にミネラルを補給して結晶化する力(再石灰化力)よりも優勢関係にあるほど発生しやすくなると言われている。実はフッ素には、虫歯で穴があく一歩手前の状態(初期虫歯)を元に戻そうとする力があるのだ。ではその初期虫歯とはどういうものだろう? 一見、健康そうな歯、でもよーく見てみると、写真のように歯と歯ぐきの境目の部分に白濁があったりする。これは歯の表面の歯垢(菌のあつまったもの)から出る酸によって、歯の内部からカルシウムなどのミネラルが抜け出して密度が低くなった状態。つまり、虫歯で穴があく一歩手前の状態である。 初期虫歯の状態の歯の断面を軟X線写真で(レントゲンみたいに)見たものがこの写真。表面は健康な部分と同じように白いが、その内部は暗く写ってしまうのだ。まさにミネラルが抜けた状態。 穴のあいた虫歯を放置しておいて元に戻ることはないが、このレントゲン写真のように、まだ歯の表面が残っている場合には再石灰化作用により修復されることもある(下図1)。フッ素のいろいろな効果のうち、ミネラルを取り込んで再結晶化する作用(再石灰化)の速度を高め、さらにミネラルが溶け出すのを防止したりする作用が期待できるのだ(下図2・3)。これらの作用はフッ素イオンが0.1から1ppmの低い濃度でも効果のあることが知られている。 フッ素の効果 1.ミネラルが溶け出して初期虫歯が形成 2.フッ素が歯の表面に吸着 3.初期虫歯部分へ、フッ素やだ液中のミネラルが取り込まれ、フッ素は再石灰化を促進 4.初期虫歯が再石灰化される 学校の健康診断結果では、CO:要観察歯としてよく診断される。いろんな言い方はあるが、「虫歯になりそうな歯」「虫歯の初期」「虫歯の一歩手前の状態の歯」などと書かれることも。 効果的なフッ素入り歯磨剤の使い方 「虫歯予防」のためのフッ素活用のルールは、「低濃度を・毎日・家庭で」が基本。フッ素入り歯磨剤を使って効果的に虫歯を予防しよう! ●必要量はブラシの植毛部分の半分以上 ●ブクブクうがいでささっと(磨いた後、なるべく多くのフッ素を口中に残すため) ●寝る直前には必ず歯を磨こう ●忙しくて時間のないお昼休みなども、さっと磨けば効果アリ! 公開日:2002年5月27日
日本人は果たして平均何本の虫歯を持っているでしょうか?様々な数字から日本人の虫歯事情がうかびあがってきます。2002年FIFAワールドカップサッカー出場国別の虫歯保有率もまとめてみました。世界基準に照らして、あなたの虫歯はどのレベル? 目次 日本人の平均虫歯数 虫歯の世界基準 虫歯保有率で見る2002年W杯! 各国の虫歯予防対策と日本の取り組み 日本人の平均虫歯数 日本人ひとり当たりの永久歯の平均虫歯数(DMFT)は15.67本、虫歯が原因で抜かれた永久歯は5.91本(平成11年歯科疾患実態調査/厚生労働省)。永久歯28本のうち、半分以上が虫歯になり、2割が虫歯のために失われてしまったことになる。 虫歯の世界基準 WHOがまとめた「世界の12歳児虫歯罹患状況(DMFT)」などによると日本は2.44(1999年)となっている。WHOで設定した「2000年までに、どの国も12歳でDMFT3以下になる」という目標を一応クリアしているものの、この数字は決してよくない。欧州諸国の多くはWHOの目標を1980年代半ばには達成してしまったのだから。 虫歯保有率で見る2002年W杯! 2002年・日韓共催W杯の参加国を「12歳児の永久歯虫歯保有率」で見たらどうなる!? WHOデータなどをもとに加藤一夫作表 調査年:ウルグアイ(1999)、セネガル(1994)、デンマーク(2001)、フランス(1998)、スペイン(1994)、スロベニア(1998)、南アフリカ(1988-1989)、中国(1995)、アメリカ(1988-1991)、ポーランド(1998)、ポルトガル(1999)、アイルランド(1997)、ドイツ(1997)、イングランド(2000-2001)、スウェーデン(1999)、ナイジェリア(1990-1991)、イタリア(1996)、エクアドル(1996)、クロアチア(1999)、メキシコ(1997)、チュニジア(1994)、ベルギー(1989-1991)、日本(2001) こうして見ても日本の虫歯保有率はかなり高め…。がんばれ、ニッポン! 各国の虫歯予防対策と日本の取り組み アメリカ・ヨーロッパでは虫歯は予防が常識。その決め手は「フッ素」にある。特にアメリカでは1945年に水道水のフッ素化を導入し、現在アメリカの人口の約3分の2がフッ素化された水道水を利用している。アメリカ以外にも、韓国、カナダ、香港、マレーシア、イギリス、シンガポール、チリ、ニュージーランド、アイルランドなどの国々でも、広範囲で水道水をフッ素化している。ほかのヨーロッパの国々では、ミルクにフッ素を加えたり、食塩をフッ素化したり、フッ素入り歯磨剤の使用を予防法として選んでいる。 日本では水道水フッ素化を検討する自治体もある一方、反対意見もある。フッ素は過剰に摂取すると吐き気、腹痛、下痢、けいれん、斑状歯や骨形成を阻害することもあり、発がんに関係しているとの疑いもある。ただし、それは成人で約250mgを一気に飲んだ場合。ほとんど日常生活ではありえないことだ。 そんな現状の中、低濃度のフッ素を高頻度で使用することが、虫歯予防の近道だと言えるだろう。つまり、「低濃度のフッ素を、毎日の歯磨剤などで使って、虫歯予防に利用しよう」ということになる。 公開日:2002年5月27日
歯医者さんに通っている間は「これからは甘いものも食べず、歯をきちんと磨こう!」と心に誓うのですが、いつの間にかまた虫歯ができてしまう…。そんなことを繰り返していませんか?実は虫歯にも発生するタイミングとメカニズムがあるのです。 目次 虫歯発生の4因子 あなたは虫歯になりやすい? 歯のしくみ 虫歯発生の4因子 虫歯は紀元前からあった病気で、医学の父・ヒポクラテスは、歯の中に悪液がたまると虫歯ができると主張していたといわれる。長い長い間、人間を悩ませ続けてきた虫歯。医学の進歩とともに、現在では虫歯はミュータンス菌などによる感染症の一種であることや、ほかにもいくつかの要因が重なって発生することがわかっている。 さらに、新たに注目されているのは「脱灰」と「再石灰化」のバランス関係。「歯にミネラルを補給して結晶化させる状態(再石灰化)」よりも「酸などによって歯からミネラルが溶かしだされてしまう状態(脱灰)」のほうに傾いた場合に、虫歯は発生しやすいと考えられている。まずは知っているようで知らなかった虫歯発生の要因からみてみよう。 「甘いものを食べるから虫歯になる」。多くの人がそう信じているが、実は虫歯の発生にもちゃんとメカニズムがある。 下の4つの重要因子がそろったときに、虫歯が発生するのだ! 1. 細菌(歯垢) 口の中に砂糖が長時間滞在していると、ミュータンス菌などの細菌がこれを食べてネバネバした不溶性グルカンを形成。グルカンは歯にこびりつくと同時にさまざまな細菌を抱き込んで歯垢(プラーク)をつくる。歯垢の中で糖分やでんぷんが分解されると酸が発生、歯の表面を溶かし始める。 2. 食べ物(糖類・特に砂糖) ミュータンス菌などの細菌は、糖分を食べて乳酸を排泄する。歯垢(プラーク)内にたまった乳酸は、歯のミネラル(カルシウムなど)を溶かしてしまう。 3. 歯質 ひとりひとり顔が違うように歯の性質も千差万別。人によっては歯の質が弱い、歯並びが悪いなど、虫歯にかかるリスクが高い場合もある。 4. 時間 歯に歯垢がついている時間が長いほど虫歯になりやすくなる。食べたり飲んだりするたびに歯の表面は酸性に傾いてしまうので、いつも何か口に入れている人はかなり危険!食事や間食は規則正しくとることが大切。 ニューブランの輪 カリフォルニア大学サンフランシスコ校歯学部口腔生物学科の アーネスト・ニューブラン教授が提唱した虫歯の発生理論 あなたは虫歯になりやすい? 残念ながら、虫歯になりやすい人、なりにくい人がいるのは事実。以下の点に多く該当する人は虫歯になりやすいといわれている。 ■ミュータンス菌の数が多い 強固な歯垢を作る虫歯の主な原因菌。多い人は虫歯になりやすいと考えられる。親(特に母親)から子に感染(伝播)する ■ラクトバチス菌の数が多い 砂糖を与えると強い酸を作る菌。多い人は虫歯になりやすいと考えられる ■飲食の回数が多い 食べたり飲んだりする回数の多い人は歯垢(プラーク)が酸性に傾きやすく虫歯になりやすいと考えられる ■歯垢の蓄積量が多い 歯の表面にたまった歯垢(プラーク)が多いほど虫歯になりやすいと考えられる ■だ液の緩衝能が弱い だ液の緩衝能が弱い人は砂糖類を食べて酸性になった歯垢を中性に戻すはたらきが弱いため、虫歯になりやすいと考えられる ■だ液の量が少ない だ液の量が少ない人は歯から菌を洗い流しにくく、虫歯になりやすいと考えられる ■フッ素洗口、フッ素入り歯磨き剤を使用していない フッ素を活用しない人は虫歯になりやすいと考えられる ■虫歯の経験がある 過去に虫歯になった人は今後も虫歯になりやすい 歯のしくみ エナメル質体の中でもっとも硬い組織。水晶よりもやや硬い! 象牙質歯の中心部にあり、骨とほぼ同じ硬さ。 歯髄象牙質の内側にある部分で、いわゆる「神経」と呼ばれる部分。多数の血管や神経を含んでいる。 セメント質歯根の象牙質の一部をおおっている薄くて硬い組織。歯を顎骨に固定するのに役立っている。 歯肉(歯ぐき)歯が植わっている歯槽骨をおおい、歯の周りを取り囲む粘膜などの軟組織。 歯槽骨顎骨の中で歯が植わっている部分。歯のない所には存在しない。歯が抜けた後に、顎の骨がやせてくるのはそのため。 歯根膜歯根の表面にあるセメント質と歯槽骨を結ぶ結合組織。歯が納まっている穴(歯槽)の中で歯を囲むようにして支えている。また、歯ごたえなどの感覚を認識し、脳に信号として送るはたらきもある。 参考:「歯の不思議サイエンス」五十嵐清治監修 ダイヤモンド社刊 虫歯になると、まず一番外側のエナメル質に穴があき、次に象牙質、歯髄と順々に侵されてしまう。ズキズキする痛みとともに、最終的には歯肉から上の部分がほとんどなくなり、二次的に腐敗菌の感染を引き起こして悪臭がすることも。 虫歯になっても軽度のうちに治療をすれば、歯はきちんと機能するようになり、その後も長く使い続けることができる。早期発見、早期治療が不可欠なのだ。乳歯の場合は、永久歯に比べて虫歯の進行のスピードが速いので、要注意! 公開日:2002年5月27日
歯が黄ばんでいると、ヘビースモーカーかな?とか手入れがしっかりしてないのかな?と悪いイメージを持たれてしまいます。やっぱり、白い歯のほうがいいですよね。また、健康な歯ぐきはピンク色をしています。もし、変色しているようなら注意しましょう。 目次 歯や歯ぐきの色は健康? 歯ぐきの変色理由 歯の変色理由 美しい色にするには? 歯や歯ぐきの色は健康? 歯が褐色や黄色に変色したり、歯ぐきが黒ずんでいると、自分でも口元が気になり、口をあけて笑うのに抵抗があったり、そのせいで暗い性格に思われることもあるかもしれない。 なぜ、歯や歯ぐきが変色するのだろうか? 歯ぐきの変色理由 ●歯肉炎、歯周病などになっている歯ぐきは真っ赤に腫れていたりする。正常な歯ぐきはピンク色 ●なんらかの影響(薬の副作用やたばこの吸い過ぎなど)でメラニン色素が沈着すると、全体的に茶褐色がかった色になる ●歯の治療に使われた金属によるアレルギー 歯の変色理由 ●幼少のころや妊娠中にテトラサイクリン系の抗生物質を飲んでいた場合、抗生物質が歯に沈着して黄褐色または灰褐色になる ●たばこのヤニなどによる汚れ ●コーヒーや紅茶など濃い色の飲み物を長年飲んでいると、歯の表面(エナメル質)から内部に色素が沈着して褐色や黄色になる ●フッ素をたくさん含んでいる水を長年飲んでいると、白濁した色になる ●エナメル質が削れたり、形成不全などの病気の場合、象牙質が出てしまいそれが食べ物などにより着色して変色する 美しい色にするには? 歯ぐきの場合、歯肉炎や歯周病にかかっている場合は、まずその治療をすること。歯科医院などへ行き、口の中の大掃除をしてもらおう。歯石や歯垢をとってもらい、口の中をキレイにして腫れたり真っ赤になっている歯ぐきをもとの健康な色に戻そう。 歯の場合、色素が沈着しているのなら歯の表面を削ったり漂白剤を用いるなどの方法がある。まずは歯科医院へ行き、表面の歯石や汚れをきれいにしてもらおう。 それでも満足できず、もっと白くしたい!という人には、歯の表面を白く着色したり、薬を使って歯そのものを白くするホワイトニング法などがある。詳しくは、専門医に相談してみよう。 人生変わる!?歯のホワイトニングにご注目 「真っ白な歯」はヘン!? 白い歯にあこがれる、といっても、あまりに真っ白な歯では、実は違和感がある。本来の歯は少し黄色がかっているのだ。 歯の構造は、歯冠部(歯ぐきから出ている部分)の中心に歯髄といわれる神経と血管があり、その周りを覆うように象牙質がある。さらに、その外側を覆っているのがエナメル質なのである。 このエナメル質が透明度が高いと、象牙質の色が透き通ってみえるわけ。 公開日:2001年10月29日
もちろん、毎日のハミガキなどの手入れが必要ですが、ここでご紹介するのは「温める」という方法。これが、歯周病予防に効果的なんです。さて、その方法は? 目次 歯ぐきが低温? 温めて予防する 歯ぐきが低温? 健康な歯ぐきに比べ、炎症を起こしている歯ぐきは表面の温度が低い、と言われている。「歯ぐきの温度なんて!?」と驚くかもしれないが、その理由は血液の循環。本来、歯ぐきには毛細血管や毛細リンパ管などがあり、そこでは血液やリンパ液、また栄養素も循環しているが、炎症を起こしていると血液などの循環が正常に行われていないのだ。 その結果を表わしているのが、次のグラフ。 出典:口腔衛生学会雑誌第50巻第1号:2000年1月発行 炎症を起こしている歯ぐきは健康な歯ぐきに比べてヘモグロビン量の上昇とヘモグロビン酸素飽和度の低下が見られ、また表面温度も炎症を起こしているほうが低い、という結果が出ている。ヘモグロビンは、酸素を運搬する役目があるが、その酸素が少ない(=酸素飽和度の低下)ということは、新鮮な血液が流れていない、ということである。 温めて予防する お風呂に入ると体が温まって血液の循環がよくなる。それと同じように、歯ぐきを温めることで血液の循環を良くすれば、歯周病などの予防に効果的である、との研究結果が報告されている。さらに、血液の循環だけでなく、リンパ液の循環も正常にする必要があるとのことだ。 そのためには、歯ぐきを温めるのと同時にマッサージをするのがいい、とのこと。しかも、温める温度は40度付近(下のグラフ参照)。 どのようにして温めるのか?といえば、温めたタオルなどを歯ぐきに当てたり、温水シャワーを口に当てる、など考えられるが、最近では、磨いているうちに温かくなるハミガキ剤なども開発されているので、ハブラシによるマッサージとの相乗効果が期待できそうだ。 公開日:2001年10月29日
歯を無くす原因となる歯周病は、歯垢(プラーク)が歯周ポケットに入りこんで、炎症をおこし歯肉が化膿することです。歯周ポケットの中の歯垢・歯石を取り除き、炎症をおさえ、歯周ポケットを無くすと歯周病もなくなるはずです。 目次 ポケットを無くそう! 危険な敵・歯周病を知る! ポケットを無くそう! 歯を無くす原因となる歯周病とは、歯垢(プラーク)が歯周ポケットに入りこんでいき、炎症をおこし歯肉が化膿することです。ひどくなると骨が溶けてしまいます。しかしこの、よく聞く「歯周ポケット」とはなんでしょうか? 歯周ポケットとは? 歯を支える歯槽骨や、歯と歯槽骨をつなげる繊維の歯根膜が、細菌により破壊され、歯と歯ぐきの間にすき間ができてしまったものです。 A:歯肉が炎症をおこし、腫れて出血しやすくなっています。 B:深くなってしまったポケットで歯垢や歯石がたまりやすくなっています。 C:歯槽骨まで進行すると、溶けて歯がぐらつくようになってしまい、最後には歯が抜けます。 危険な敵・歯周病を知る! ●静かに進行する病気 自覚症状がほどんどありません。逆に早めに発見・自覚すれば進行具合がチェックでき、改善もできます。 ●国民病である 他国と比べても日本の歯周病は多いようです。日本人の口の中にはそれだけ細菌が多いということです。 ●自己管理ができる 正しい知識と生活習慣で防げる病気です。
日本人のほとんどが毎日のように歯をみがいていますが、虫歯はなくなりません。虫歯の原因を考えて、良くなるためのヒントを探してみましょう。 目次 虫歯をつくる4つの要素 虫歯をつくる4つの要素 日本人のほとんどが毎日のように歯をみがいています。しかし虫歯はなくなりません。むしろ世界的に見ても日本人の虫歯本数は多いようです。 もっとしっかり原因を見つめてみると、良くなるためのヒントが必ず見つかります。 虫歯は下にあげた4つの要素が複雑にからみあってできています。 歯 酸に対する抵抗力が一人ひとり違っているため、「虫歯になりやすい人」と「虫歯になりにくい人」がいます。生まれつきの性質は変えられませんが、改善できることもあります。表面のエナメル質は、唾液にふくまれるカルシウムやリン酸などを使って、ほんの少しずつ修復されているのです。 唾液がいつも循環するように、口を開けっぱなしにして乾かさないようにします。 カルシウムやリン酸不足にならないよう、食事・運動に気をつけます。 糖質(特に砂糖) 細菌は砂糖を原料として、ネバネバする歯垢(プラーク)を作りだします。歯垢の中に住む虫歯菌は砂糖を分解して、酸を作ります。その酸で歯の表面が溶けたのが虫歯です。 なるべく砂糖を摂らないようにします。摂る場合は賢く摂りましょう。 食べたらすぐ歯をみがきます。細菌は約5~10分で砂糖を分解しだします。 細菌 主な原因はストレプト・コッカス・ミュータンスという細菌です。人間の口には、必ずと言ってよいほど住んでいます。しかし、数を減らすことはできるのです。 歯ブラシをしっかり上手にかけます。歯みがきとは、食べカスをとるというより細菌をとるためのものと認識するといいでしょう。 細菌が集まりすぎると石のように硬い「歯石」となります。そうなってしまうと歯みがきではとれないため、必ず歯医者さんでとってもらいましょう。 時間 砂糖が、いつまでも口の中にあると、細菌は酸を作り続け、歯は溶け続けます。また細菌は夜、人間が寝ている時に一番元気になります。 だらだら食べたり・飲み続けないようにします。 寝る前の歯みがきは、特にていねいにしましょう。 結局、やはり一番大切なのは歯みがきです。しかし、せっかくみがいていても、ちゃんと歯垢(プラーク)が落とせていないのが問題です。
できれば、行きたくない歯医者ですが、虫歯は放っておいても治りません。いつか行かなくてはいけないなら、歯医者に行くタイミングはいつがいいのでしょうか?虫歯の進行とともに見てみましょう。 目次 歯医者で痛い思いをしたくない 虫歯の進行 歯医者で痛い思いをしたくない できれば、行きたくない歯医者。「どうせいつかは行くことになるから、今はまだいいや」と思いたいものですが、では歯医者に行くタイミングはいつが良いのでしょうか? 歯医者さんがツライのは、何度も痛い思いをするからです。 しかし、定期健診(半年に1回程度)で、早期に見つかれば、結局、歯医者に行く回数も、お金も、時間も、そして何より痛みも激減できます。 「いつまで行かなくて平気?」ではなく、「いつも行っておけば、何回も行かなくても平気!」なのです。 虫歯の進行 C1の虫歯 歯の表面のエナメル質に小さい穴が開いた状態です。エナメル質に知覚がないので、痛みは感じません。そのため自分では発見しにくいのですが、この時に定期健診で発見できれば、治療の痛みもありません。 C2の虫歯 穴が広がって、中の象牙質にまで進行した状態です。冷たいものや熱いものが「しみる」と感じだします。冷たいものがしみるときは虫歯の初期、温かいものがしみるときには進んでいると考えられます。 「最近、冷たいものがしみて…」という段階で、なるべく早く歯医者さんへ行っておきましょう。「嫌だなあ~」という気持ちはわかりますが、暖かいものがしみるまで放置すると、神経が腐り、顎の骨が腐る場合もあるようです。 C3の虫歯 歯の中央にある歯髄(神経)まで侵された状態です。歯髄炎を起こし、激しい痛みになります。多くの人は、この段階にならないと、なかなか歯医者に行かないものです。しかし、この段階では、治療がツライのも仕方ないこと。神経まで進んでいるのだから、治療の途中で歯医者さんに行くのをやめないようにしましょう。 C4の虫歯 歯の上部はほとんどなくなり、病巣が歯根まで進行し、歯根膜に炎症がおこり、ウミがたまることもあります。今日、明日にでも治療をするべきでしょう。
甘いもの、特に砂糖は虫歯の大きな原因となります。虫歯予防のためには避けたい砂糖ですが、そうはいってもおいしく食べたいもの。「甘いもの」の危険と付き合い方をまとめました。 目次 「あまい」は「うまい」 甘い飲み物危険! 甘いものはこうして食べよう! 「あまい」は「うまい」 「うまい」の語源が「あまい」であるように、人間にとって甘みは魅惑の味です。しかし「甘み」、特に砂糖は虫歯の大きな原因となります。その危険な食べ方や、生活習慣を次に挙げました。 ●だらだら食べている 常にアメやお菓子、ジュースなど、何か口に入っている状態です。虫歯菌に「ずっとはたらいてていいよ」と言っているようなものです。 ●甘いものが好き 砂糖の絶対量が多いほど、虫歯になりやすくなります。 ●甘い飲み物が好き ジュースなどは液体なので、歯につかないから虫歯にはならないと思っていませんか?次に挙げるグラフの通り、その考えは間違いです。 ●酔っ払って寝込んでしまう 虫歯菌が一番がんばるのは、夜寝ているときです。しかもカクテルなど砂糖の含まれるものを飲んだり、肉じゃがなど一見「甘く」はないものの、やはり砂糖を使ったつまみを食べれば、とても危険です。 甘い飲み物危険! 砂糖液10mlで口をゆすいだ時の歯垢phの変化 このグラフの通り、砂糖を含んだ飲み物は、虫歯の原因となります。しかもほとんどの炭酸清涼飲料は10%程度の砂糖が含まれています。 飲み物別、含まれる砂糖の量は、とても多いのです。 甘いものはこうして食べよう! やっぱり食べたい「甘いもの」!ならば、虫歯の危険を上手に避けて、おいしく食べましょう。 ●まずは量より回数を減らそう 時間を決め、食べる時は一気に食べましょう。だらだら食べるよりダイエットにもなります。そして食べ終えたら、歯に感謝して歯みがきをしましょう。 ●「砂糖」に注意する 虫歯の原因となるのは「砂糖」です。ならば、それ以外の甘味料を使用したものを食べましょう。キシリトールなどの「糖アルコール」の仲間は虫歯の原因になりにくいようです。 ●飲みものは、お茶などにする お茶にはタンニン、フッ素など、虫歯になりにくくしてくれる成分が入っています。ダイエットにも良いでしょう。とにかく砂糖の入った飲み物をできるだけ避け、もし飲む場合は一気に飲んで歯をみがくこと。1日に1~2本以上は飲まないようにしましょう。 ●寝る前には必ず歯みがき 酔っている時の歯みがきは、なかなかツライもの。まずは、そこまで泥酔しないのが基本!「朝みがけばいいや」では遅すぎると肝に銘じてておきましょう。お酒そのものも、虫歯になりやすくするものです。
一度の食事で「噛む」回数は、昔から現在までに激減しました。しかし、「噛む」ことには色々な良いことがあります。 目次 「噛む」ことの意外な効果 虫歯の予防など 「噛む」ことの意外な効果 一度の食事で「噛む」回数は、弥生時代には4,000回、戦前には1,400回、現在600回と激減してきました。しかし、最近その「噛む」ことの健康への効果が見直されてきました。 虫歯予防にも「噛む」と効果があります。ほかにも肥満・視力低下・姿勢悪化解消などなど色々な良いことがあるようです。 虫歯の予防など ●虫歯の予防 食後にリンゴが良いと聞いたことはありませんか?それは、食物繊維が含まれるものをよく噛むことで、食物繊維が歯ブラシの役割をして、歯の表面の汚れを落としてくれるから。 また「噛む」ことの一番の良さは、唾液が良く出るようになることにあります。1日に1,500ccも分泌される唾液は、その流れで口の中を自浄する作用を持っています。また食物中の酸を中和する作用で虫歯、歯周病の予防をしてくれます。 さらに、唾液から浸透してくるカルシウム、フッ素による歯の修復(再石灰化)が行われます。溶かされたエナメル質を治してくれるのです。ただし、これは虫歯のごく初期の段階で、虫歯を予防するという作用なので、痛くなるほどの虫歯は、この再石灰化では治りません。 ●発がんを1~2割おさえる? 唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素が、発がん性物質が作り出す活性酸素を消していきます。それにはよく噛んで、唾液をいっぱい出し、食べ物と唾液をよくからませることが大切です。約30回(30秒)で、毒性が1~2割に薄まるのです。 ●ぼけ防止 よく噛むと、脳血管が拡張し、脳に血液とともにブドウ糖・酸素などの栄養素が流れます。すると、網様体から目覚め信号が出る。脳は覚醒し、ぼけ防止になります。 ほかにパロチンという物質が老化の防止になると言われています。よく噛むことで、内分泌に刺激がいき、パロチンの分泌が促進されて、老化防止のはたらきかけをするので、ぼけの防止になるようです。 ●肥満予防 よく噛み、味覚が刺激されるとノルアドレナリンという物質が分泌されます。この物質は全身の細胞の活動を活発化させます。そのため、熱のエネルギーが出て、肥満予防になります。 またよく噛むと、食事の間に栄養分の消化吸収が開始され、血糖値が上昇し始めます。すると大脳から「もう食べたくない」という指令が出るので、少ない量で満腹感が得られるのです。 ●視力アップ? 人間の眼は、瞳の中でレンズの役割をしている水晶体の厚みを上手に変えることで、近く・遠くを見分けることができます。よく噛むと、この水晶体の厚みを調節する筋肉の老化を間接的に防止するため、視力の回復につながります。 ●姿勢が正しくなる 噛むために必要な筋肉はアゴだけではありません。首筋、胸、背中にある12種類の筋肉を使って下顎を動かしているのです。よく噛むと、それらのすべての筋肉が運動します。上半身が自然と、まっすぐになっていきます。
中高年になると、歯をなくす原因は虫歯よりも歯周病が中心となります。虫歯は、自分で治せなくても、歯周病の早い段階(歯肉炎)なら自分で治すことができます。自分の口の中を、積極的に「自覚」してケアをしましょう。 目次 歯がなくなる原因のNo.1は歯周病! 年齢と残っている歯の数 イキイキ高齢者は歯も元気! 歯がなくなる原因のNo.1は歯周病! 日本人が中高年になったあたりから歯をなくす原因は、実は虫歯よりも歯周病の方にあります。 歯周病とは、毎日かかさず歯をみがいているのに、50歳を過ぎたあたりから、急に歯ぐきに異常が発生し、歯が抜け落ちてしまう怖い病気です。自覚症状がほとんどないため、つい油断しがちで、短期間で総入れ歯という悲劇も起きうるものです。「気づいた時には、後悔しかり」という、まさに口の中の生活習慣病なのです。 虫歯は、自分で治すことはできませんが、歯周病の早い段階(歯肉炎)なら自分で治すことができます。自分の口の中を、積極的に「自覚」してケアをすれば、ちゃんと良くなります。 ある程度進んでいる場合や、しばらく歯医者さんに行っていない場合は、自分で勝手な判断をせず、歯医者さんで一度診てもらうことをおすすめします。 年齢と残っている歯の数 このグラフが示す通り、日本人は50歳くらいを境に歯を失い始める人が多いようです。その後、急激に減りだし、80歳ではわずか平均5本となっています。アメリカでは80歳でも15本程度の歯が残っています。 最近、8020運動として提案されているように、イキイキした老後のためには、80歳でも20本のしっかりした歯を残していきたいものです。 イキイキ高齢者は歯も元気! 上のグラフが示す通り、残っている歯の数と日常生活の状況は、明らかに関連があります。特に歯の根が残っているかどうかは大きな要素となります。つまり、歯の根の病気となる歯周病は、それだけ気をつけたい病気なのです。 また必ずしも自分の歯ではなく義歯でも、しっかりと噛む食事をしていれば、イキイキ生活をおくることができます。
歯周病が気になる方は以下の点をチェックしてみましょう。 目次 歯周病度をチェック! チェック結果 歯周病度をチェック! 正確な歯周病度は、目盛のついた細い歯周ポケット用のスケールやレントゲンなどで、詳しく歯医者さんで診てもらうものです。しかしその前に、歯周病が気になる方は以下の点をチェックしてみましょう。 1. 歯肉がムズムズする感じがある 2. 朝起きた時、口がネバネバする 3. 口臭がある 4. 歯ぐきが赤くなる、歯みがきなどで出血する、腫れる 5. 食べ物が歯にはさまる 6. 固いものが噛めない、噛むと痛い・出血する 7. 歯ぐきがピンクではなく、赤や赤紫になっている 8. 虫歯がないはずなのに、冷たいもの・熱いものがしみる 9. 歯ぐきを指で押すと、ぶよぶよして血やウミなどが出る 10.歯が少しグラグラする チェック結果 上のチェックの結果はどうでしたか? 1.か2.のみ ほとんど健康なので、これをキープしていきましょう。 3.~8.が1つある ちょっと危ないかもしれません。虫歯が無くても、歯医者さんで定期健診を! 3.~8.が複数ある 歯周病の可能性があります。早めに歯医者さんでチェックしてもらい、ケアで改善をしましょう。 9.や10.がある かなり危険な状態です。一刻も早く歯医者さんへ行き、対応しないと口全体がさらにひどくなり、総入れ歯ということも…?
歯周病を引き起こす原因とは?実は、毎日の色々な生活習慣が歯周病の原因となっています。 目次 生活習慣が歯周病をつくる こんなことに注意しよう! 生活習慣が歯周病をつくる 歯周病はどんな原因でおこるのでしょうか? 直接の原因は、歯周ポケットに歯垢(プラーク)がたまることによりますが、それ以上に、毎日の色々な生活習慣が歯周病の原因となっています。 口の中だけでなく、全身を健康に保ち、抵抗力をつけると歯周病予防に効果があります。生活習慣病を引き起こす生活をあらためましょう。 こんなことに注意しよう! 糖尿病 糖尿病は免疫系の機能障害をおこしたり、抹消の血流を悪くするため、歯周病を併発しやすいようです。まずは糖尿病に陥らないような食事や運動、禁煙をこころがけましょう。 血液疾患 血流などの障害により免疫力の低下などが起こり、細菌が原因である歯周病になりやすいようです。口の中は細菌を除去し、積極的にキレイにしておきましょう。 妊娠中 妊娠が歯周病の直接の原因になるわけではありません。しかし、妊娠中はホルモンの変化など、さまざまな生活環境が変化しやすく、そのため二次的に歯周病になりやすいので注意が必要です。
虫歯も歯周病も、直接にはこのプラーク(歯垢)が原因です。プラークの性質をきちんと理解できれば、正しいケアのポイントがつかめます。 目次 虫歯と歯周病の大きな原因 プラーク(歯垢)の嫌な得意技 プラークはナゼみがきにくいところにたまるのか? 虫歯と歯周病の大きな原因 虫歯も歯周病も、直接にはプラーク(歯垢)が原因です。歯みがき粉や歯ブラシの宣伝でも「プラーク・コントロール」と盛んにうたっています。しかし正確にその正体を知っていますか? その正体が見えると、どうすれば良いのかも見えてくるはずです。 プラークとは? 歯の表面についた白っぽいネバネバのことです。歯牙細菌苔とも言い、生きた細菌の大集団が苔のようにヘバリついています。 つまり、決して単なる食べカスではありません。このプラークをとり除くのが、歯みがきの最大の目的です。しかし歯みがきと言うと「食べカスをとるもの」と思っていませんか? その結果、食べカスだけとっても、ネバネバと引っついているプラークがとり切れていないため 「せっかく毎日、歯をみがいても虫歯や歯周病になっちゃった!」ということになるのです。 歯石とは? プラークに唾液中のカルシウムやリン酸が沈着して石灰化したものです。「石」という字の通り硬くなり、歯ブラシだけでは取り切れなくなります。さらに、表面がザラザラしているので、その上にもまたプラークがつきやすくなり、炎症がヒドくなります。 プラーク(歯垢)の嫌な得意技 ●くっつく力が強くたまりやすいです。 ●白血球の食菌・殺菌作用を低下させます。 ●組織を破壊する酵素を持っています。 ●毒素で骨を溶かす破骨細胞を活性化させます。 それによって歯や歯槽骨が溶けます。 プラークはナゼみがきにくいところにたまるのか? 細菌は、唾液が循環しやすい場所にいると、作っていく酸が拡散してしまいます。細菌は酸性(pH5.5以下)が大好きです。 いわゆる「みがきにくい」場所、奥歯の溝や周り、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、治療で詰めた物やかぶせた物の周り、差し歯や義歯のつぎ目。そこは、唾液の循環しにくいところなので、強いネバネバ力で安心して集まってくっついていられるのです。 細菌が密集することで作り出す酸の濃度は高くなり、歯が溶け虫歯になります。
歯を守るために大切なのが「FBI」です。F:フロッシング、B:ブラッシング、I:イリゲーションについて知っておきましょう。 目次 FBI総動員で、細菌退治 正しい「うがい道」 FBI総動員で、細菌退治 「歯を守る」というと、何を思い出しますか?アメリカでは、歯を守るために大切な物を「FBI」と呼んでいます。FBIを実行すれば、お口の平和が守られるはず!? 下の3つを、正しく行えば、虫歯・歯周病対策はバッチリです。 F フロッシング デンタルフロスによる歯と歯の間の掃除のことです。 歯ブラシを普通に使っているだけでは、歯垢(プラーク)は約50%しかとることができないと言われています。特に歯と歯の間は、ほぼ不可能です。 しかし、そういうところにこそプラークは潜んでいます。 そこでデンタルフロスを使いましょう。なんと90%まで落とすことができるようになります。 デンタルフロスのくわしい使い方については「デンタルフロスは魔法の糸」 B ブラッシング 歯ブラシによる基本的な掃除のことです。 虫歯でも歯周病でも、予防・自己治療は正しいブラッシングができなければ始まりません。多くの人が「正しく」ないために、みがいていても歯垢が残ってしまっています。しかし、深刻な歯周病の場合でも、きちんとしたブラッシング方法を覚え、2週間続けたら回復した例もあります。これを機会にぜひ、じっくりブラッシングしましょう。 歯ブラシの正しい使い方については「今日からハミガキの仕方を変える!」 I イリゲーション ブクブクうがいによる歯垢細菌の洗い流しのことです。 ブラシには及ばなくとも、うがいだけでもかなりの効果は期待できます。歯ブラシできない時の緊急手段として活用しましょう。ただし苔のようについた歯垢や、歯石をとることはできないので、寝る前にうがいだけというのは危険です。 正しい「うがい道」 ●食べたらすぐ!のタイミングで ●なるべく「勢いで洗い流すぞっ!」という感じで ●右・左・右奥・左奥・前など場所を分けてうがい ●できればうがい薬も活用したい
歯ブラシを普通に使っているだけでは、歯垢(プラーク)は落としきれません。デンタルフロスで歯と歯の間をしっかり掃除しましょう。デンタルフロスの使い方のポイントをまとめました。 目次 デンタルフロスは魔法の糸 デンタルフロスの使い方(指にまきつける方法) デンタルフロスは魔法の糸 デンタルフロスは1本の糸ではありません。約270本もの細いナイロンの糸をよりあわせて、歯と歯の間、歯と歯ぐきの間の歯垢(プラーク)をかきだしやすいように作ってあります。フロス糸で歯の表面をこすると、眼では見えないくらい小さな細菌の塊も壊して落とすことができます。 使い始めはワックスタイプのものが歯の間に入りやすく、おすすめです。 よくなるポイント デンタルフロスには、糸まきタイプと糸つきようじなどのホルダーつきフロスがあります。 フロッシングは1日1回(できれば寝る前)に行えば十分です。口臭なども改善します。使いすぎは歯肉を痛める原因となるので、注意しましょう。 デンタルフロスの使い方(指にまきつける方法) ●その1 ヒジくらいの長さ(約40cm)までフロスを出します。短すぎると扱いにくくなり、歯垢を落としづらくなるためです。 ●その2 フロスをコントロールしやすいように、左右の中指に2~3回しっかりと巻きます。 ●その3 歯の側面に沿うように、ゆっくり前後(左右)にしごきながら少しずつ入れていきます。無理に垂直に押し込むと、歯肉が傷つくので注意しましょう。 ●その4 歯ぐきの中に少しフロスが隠れるくらいまで、ゆっくり入れ、優しくしごきます。もちろん、位置を変えて反対側も同じように行います。 初めて使う場合は、歯医者さんにやり方をじっくり教えてもらいましょう。「今日はフロスの使い方を教わりに来ました」と言えば、教えてくれるはずです。逆に、教えてくれないような歯医者なら、今後お付き合いしない方が賢明かもしれません。 フロスは、食べカスをとるのが目的ではありません。ネバネバの歯垢を落とすものです。はさまった物がとれたからと言って、ちゃんと歯の間をフロスでみがかなければ細菌の集団はくっついたままです。 歯の間からはずす時も無理をしてはいけません。とれなければ、どちらかの指に巻きつけたものをほどいて引き抜きましょう。
多くの人のブラッシング方法が少し間違っているようです。ポイントをしっかりおさえて、最高の歯ブラシ方法で健康な歯と歯ぐきを作りましょう。 目次 ブラッシングは高等テクニック! 歯と歯ぐきは良くなるブラッシング・5つのポイント みがきにくいところのみがき方 ブラッシングは高等テクニック! 日本人の98%が毎日みがいているのに、悪くなる歯。 もちろん、私たちは頑張ってブラッシングしています。しかし実際に、多くの人のブラッシング方法が少し間違っている、雑である、正しく理解していません。歯はもともと一人一人違うため、実は「これが最良の方法!」というのも人によって違っています。つまり、あなたの歯をキレイにできるプロは、あなたしかいません。 これ以上歯を無くしたくないなら、次に挙げるポイントをしっかりおさえ、今日から自分自身のための最高の歯ブラシ方法を開発し、健康な歯と歯ぐきを作っていきましょう。 歯と歯ぐきは良くなるブラッシング・5つのポイント 次の5つが実行できれば、間違いなく歯と歯ぐきは良くなります。1つ1つは極めて簡単なことです。しかしコレを実行するのが、なかなか難しいことです。つい無意識で、いつも行っている方法に戻ってしまうからです。歯は十分意識してみがきましょう。 1. 鏡で確認しながらみがく 食器を洗う時、見ないで洗う人はいません。お化粧をする時、ヒゲをそる時、大抵の人は鏡をよく見ます。しかし歯をみがく時には、鏡で口の中を見ないのはなぜでしょう?ぜひ大きな口を開けて自分の歯の状態を見ながら、みがいてみてください。 歯は平べったい板ではありません。丸くなって歯ブラシのあたりにくいところや、くちびるにおおわれてブラシが届かないところなどを、すぐにでも発見できるはずです。そこに歯垢(プラーク)がたまっています。 2. みがきにくいと思うところからみがく 無意識にみがき出すと、どうしても自分がみがきやすいところから始め、みがきにくいところは後回しにしてしまい、そのうち歯みがきにも飽きて結局、後回しにされたところはロクにみがかれないままということもしばしばあります。しかし、そこにこそ細菌は大集団をなしています。このままでは、細菌の思うツボ!まずはそこから攻めていきましょう。 3. 毛先をきちんとあてる 特に、歯と歯ぐきの間や歯と歯の間は、ボーゼンとみがいていては、そこに毛先はあたりません。それではネバネバとくっついている歯垢は落とせません。歯ブラシの角度を色々と変え、みがきにくいところに毛先をうまくあて、歯垢をかきだすつもりでみがきましょう。 4. 軽い力でみがく 強い力でゴシゴシすれば、毛先は倒れてしまい、歯垢がとれません。さらに、歯ぐきや歯の根を傷つけてしまい、そこから歯周病にもなりかねません。そっと軽くあてる程度でちょうど良いのです。 5. 小刻みにみがく 多くの人が、ブラシを動かす距離が長すぎです。距離は5mm程度(歯1本分くらいの幅)の細かい往復運動が一番歯垢がとれやすいそうです。まさに1本1本みがくという感じです。歯1本につき10回は動かしてみがきましょう。いっぺんにみがこうとして、大きく動かしても、結局はダメです。かえって手間もかかり、効果も上がらず、時間もムダになってしまいます。 みがきにくいところのみがき方 ●歯と歯の間をみがく ブラシの横はじの毛を使い、少しだけ押し込むようにしてみがきます。みがきにくく虫歯になりやすいので、1本ずつ、ていねいにみがきましょう。隣接した部分を一気にみがこうとして、ブラシの真中を直角にあてたのでは効果が薄いようです。歯のカーブに沿って、隣接部の右・左とみがきます。 ●歯のつけ根をみがく 毛先の横はじを45度の角度であててみがきます。歯周ポケットに効き、歯周病予防には欠かせません。でも、決して力を入れすぎないことです。優しく軽く動かせば、歯肉マッサージにもなります。 ●かみ合わせの部分をみがく 本来なら、みがきやすいところですが、虫歯になる率がとても高いようです。歯のかみ合わせ部分は、思った以上に深い溝があります。そこを勢いよくゴシゴシとやってしまうと、溝に届く前に、毛先は表面を通りすぎてしまいます。直角にあてたブラシを、溝の奥まで届かせるつもりで、小刻みにみがきます。
次々に新らしい製品が出る歯ブラシや歯みがき粉。選ぶためのポイントを考えてみましょう。「安いから」「よく宣伝しているから」ではなく、「自分の歯に良いから」という視点で、しっかり選べてこそ「通」です。 目次 歯ブラシ選びのポイント 歯みがき粉選びのポイント 歯ブラシの替え時は? 歯ブラシ選びのポイント ●目的をハッキリさせて買う 買おうとしている歯ブラシで、アナタは何をしようとしているのでしょうか?歯垢をしっかり落としたい、歯と歯のすき間もしっかりみがきたい? みがきにくい奥歯用、歯周ポケット用、それぞれで選ぶべき歯ブラシは違うはずです。 まずは何をしたいのかをハッキリさせましょう。そして必要なら、用途別に何本かそろえるのも楽しいでしょう。 ●ブラシはふつう~硬め 目的に応じて柔らかめもそろえる 「かたい・ふつう・やわらかい」とわかれていることが多いのですが、歯垢(プラーク)を落としやすいことから、ふつう~硬めのものを選びたいものです。あまり柔らかいものでは、毛先がネバネバ歯垢に対抗しにくいようです。ただ硬いというだけではなく、弾力性のあるものを見つけましょう。 すでに歯周病などで歯ぐきにトラブルが発生している場合は、柔らかめのものにしましょう。 ●ロン毛よりショートカット! ブラシの毛の長さはブラッシング方法にもよりますが、毛先を軽くあて小刻みに動かす方法では「短め(10mm以下)」の方が効果的です。 歯みがき粉選びのポイント 選ぶ際の成分のポイントは以下の通りです。 歯みがき粉 効用のポイント フッ素入りフッ素は歯を強くし虫歯の予防に効果があります。 アパタイト入りC1程度の初期の虫歯に、歯の成分であるアパタイトが沈着して、虫歯が修復されると言われています。しかし唾液にも同様の効果があります。 液体歯みがき主な目的は、口の中をスッキリさせるため。細菌の増殖をおさえる薬用の成分が入ったものは、ドラッグストア・スーパーなどで買えます。 酵素入り酵素が歯垢(プラーク)を分解するといわれています。 血行促進剤入り歯ぐきの血行を良くすることで歯周病の予防効果があります。 歯ブラシの替え時は? 歯ブラシ1本、どのくらいの期間使っていますか? 歯垢(プラーク)を落とすという目的を考えると、歯ブラシの寿命は1ヵ月ほどです。毛先がひらいてしまうと、ブラシが目的の場所にうまくあたらず、次に示す通り、歯垢を落とす効率がいちじるしく下がってしまいます。また、毛先が開いていなくても、1ヵ月使うと弾力性が失われ、毛先そのものが傷んでいるので、やはり歯垢は落としづらくなっています。 あなたが使ってるのはどの歯ブラシ? 新しい歯ブラシ 替え時歯ブラシ 役立たず歯ブラシ 歯ブラシ1本と自分の歯1本ではどちらが大切ですか?「もったいないから」で、歯垢の落とせないブラシを使い続けると、自分の歯の将来が「もったいない」ことになりかねません。健康づくりの道具には、必要なお金をかけるようにしましょう。 役立たず君では、こんなに効率が悪い! このグラフが示す通り、毛先が開いてしまった「役立たず」の歯ブラシでは、新しい歯ブラシの約60%しか歯垢を落とすことができません。毛先が痛んでしまったものを使っていては、せっかく頑張ってブラッシングをしても、60%の効果しか得られないのです。
キシリトールとフッ素。その性質、効果と注意点を知って、うまく使いましょう。 目次 キシリトールとは? フッ素とは? キシリトールとは? 砂糖に近い甘さを持つ天然の甘味料です。白樺や樫などの樹木からとれるキシランを還元し製造したもので、ソルビトール、マンニトールなどと同じ糖アルコールになります。 糖アルコールとは、ブドウ糖、麦芽糖などに水素を加えて還元しており、糖アルコールの中では最も甘く、砂糖と同じくらいです。 糖アルコールは砂糖とは異なり、虫歯の原因とはなりません。 キシリトールの効果は? ●虫歯・歯周病のもと、歯垢を減少させる 細菌の大集団・歯垢(プラーク)のネバネバ(水溶性グルカン)が作られなくなり、集団は解散します。つまり、歯垢が減少し、その中に隠れていた虫歯菌が減ります。虫歯菌が、歯を溶かす酸を作ろうとしても阻止します。虫歯の進行を止めるだけでなく、歯垢の中にカルシウムを取り入れるはたらきもあるため、歯の修復(再石灰化)も促進されます。 ●唾液の分泌を促し、歯の再硬化を促進させる ガムでキシリトールをとる場合、噛むことで唾液が多く分泌され、唾液に含まれるカルシウム、リン酸が歯を強くしてくれます。唾液は発がんをおさえるなど、ほかにも自然の万能薬としてはたらきます。 ●糖尿病の人でも大丈夫 キシリトールを食べると、小腸から体に吸収されますが、代謝するときにインシュリンに頼らないため、糖尿病の人でも大丈夫です。FAO(国連食料農業機関)やWHO(世界保健機構)でも安全性の高いものとされています。ただし糖アルコールは食べすぎると下痢する人もいるので、気をつけましょう。 キシリトールの注意点は? ●カロリーが実はかなりある カロリー的には3.0kcal/g(砂糖が4.0kcal/g)で、決して低カロリーではありません。砂糖の75%もあります。いくら虫歯にならないからと言って、食べすぎればカロリーオーバーになってしまいます。 ●値段が高い キシリトールは砂糖の10倍の値段です。100%のものは値段が高いため、ほとんど歯医者でしか手に入れられません。日常の習慣とする場合は店頭でキシリトールの含有量をチェックして買いましょう。含有量が多いものほど、清涼感のある甘みになります。 ●一緒に含まれるものに注意! 値段が高くて100%は無理な以上、ほとんどの商品にはほかの甘味料も使われています。特に注意すべきは「砂糖」「水あめ」という表記のあるものです。せっかくの虫歯予防用キシリトールガムも、虫歯を作りだす砂糖が含まれていては、歯みがきの後、特に寝る前に口にするのは危険です。 ●あくまで歯ブラシのサポートとして考える 基本的に、歯垢は歯ブラシでかきださなければ減少しません。キシリトールを口にしていれば、虫歯も歯周病もならないと考えるのは大きな間違いですので、気をつけましょう。 フッ素とは? フッ素は自然界にも存在し、わかめ、海苔、魚介類、小魚、お茶などに多く含まれる歯を丈夫にする栄養素です。虫歯予防としては、フッ素液を歯医者さんで直接塗る、スプレーする、フッ素入り歯みがき粉・フッ素入りうがい薬の使用などの方法があります。アメリカなどでは、飲料水に加えたりしています。 フッ素の効果は? ●歯の質を強くする 表面のエナメル質を構成するハイドロキシアパタイト。その結晶の中の水酸イオンに代わってフッ素が入るため結晶が安定し、酸に溶けにくくなります。 ●歯の修復をすすめる 一度溶けてしまったエナメル質が再び結晶化するように、促進するはたらきがあります。ただし、C1程度より進んでしまった虫歯には効果はありません。 ●歯垢(プラーク)の生成をおさえる 歯垢の中にフッ素が停滞し、虫歯菌の活性を阻害したり、酸を作らせないようにします。 ●子どもの虫歯予防に役立つ 歯質が未熟なのに、甘いものが好きで、虫歯になりやすく、歯垢の除去がしにくい子供には、ブラッシングの習慣づけが第一ですが、完全に虫歯を防ぐことは難しく、フッ素を用いることで、かなりの効果が期待できます。もちろん大人にも効きます。 フッ素の注意点は? ●多量に摂りすぎると危険 成人で約250mgを一気に飲むと、吐き気、腹痛、下痢、けいれんなどがおこることがあります。発がんに関係しているとの疑いもあります。しかしそれには、0.1%のうがい薬でも560ccですので、そんなに多量のフッ素を一気に飲むことは、ほとんどできません。さらに10~20倍のフッ素を摂ると致死量となります。 ●効果を過信しやすい 確かにフッ素は、かなりの虫歯予防効果が期待でき、世界中で使用され成果があがっています。フッ素の主な効果は、歯自体を丈夫にできるということです。歯垢をなくしてくれるわけではありません。なので、歯ブラシもロクにせず、フッ素液でうがいするだけでは、歯垢はとり除けないのです。キシリトール同様、歯ブラシの強力サポーターとして考えましょう。
銀行の暗証番号か、はたまた誰かの誕生日か(?)というこの数字、実は80歳になっても自分の歯を20本持っていましょう、という厚生労働省のメッセージ。 厚生労働省がこんな数字をうちだすほど日本人の口の中は荒れ模様で、平均虫歯本数は1人約8本。 虫歯はもちろん、さまざまな歯周病そしてそれに伴うお口のにおいは、まずは歯磨きでブロックできるのだ。 世界に冠たる清潔好き日本人だが、こと歯のことになると事情は少し違うようで…。 毎食後磨いているけど虫歯があるという方、歯医者さんは大嫌いという方は特にこの記事をじっくり読んでください! まずはグッズ点検から あなたの歯ブラシを見て、毛先がボサボサで、新品の物に比べてかなり毛先が開いていればすでに歯ブラシは変え頃。 また歯並びがあまりよくないのにヘッドが大きい物を使っていると毛先がきちんと歯に届かないので、これも小さい物に即交換を。 歯磨きをするときサッパリ感が欲しいあまり、ヘッド全体に歯磨きのペーストをつけるのもNG。 こうするときちんと全体を磨く前に口の中が泡だらけになり全体が磨きにくくなったり、短い時間で清涼感を得られ、きちんとブラッシングできていなくても歯磨きをやめてしまいがち。 最後に歯ブラシの持ち方は鉛筆を持つ要領で。 歯ブラシを握ってしまうと余分な力が入って歯肉を痛め、指先だけでこわごわ持つときちんと毛先が奥まで届かず、また歯肉などへのマッサージ効果も薄れてしまう。 ゆっくり、正確に3分 まず鏡で自分の歯を見てからブラッシングスタート。 上の歯と下の歯を各4ブロックに分け、利き手側の上の奥のブロックから磨き始める。 上の歯の表側はブラシの毛の上の列が歯と歯肉の境(下の歯はブラシの下の毛が境)に当たるようにブラシを押し当て、細かく動かす。 横にゴシゴシは歯肉を傷つけるので禁物。 同じ場所で10回くらい動かしたら、次のブロックに移動。 歯の表側が終わったら、裏側も。 奥歯はまとめて磨けないので1本ずつ歯ブラシを当て、前歯の裏はブラシを立てるように入れ、こちらも1本ずつ歯に沿って上下に動かして磨く。 最後に、並びが悪く、歯が重なり合っているようなところは、ブラシを縦に持ったり毛先を使ったり鏡を見ながら磨き残しがないように。 ここまですれば3分は確実にかかる。 そんな時間ないと思われた方、1度はトライを。 口の中のサッパリ感とサッパリ感の持続が違うはず!
食物を消化する活動のスタートがだ液の分泌 消化活動という食物を加工する巨大なオートメーション・システムのスタートが、だ液の分泌です。 この消化作業は、食物を口に入れる前から始まります。食欲をそそる食物を見たり、おいしそうな匂いをかいだりした瞬間から、頭の皮膚と頭蓋の間にある3対のだ液せんがだ液を作り始めます。 口腔内や歯の浄化・殺菌にも役立つ 口の中に食物が入ると、上あごと舌で食物とだ液を混ぜ合わせながらすりつぶします。だ液は食物を湿らせ、柔らかくして食道を通過しやすい状態にします。 同時に、だ液に含まれるプチアリンという酵素によって、炭水化物の一部を分解し始めます。 また、だ液は口こう内や歯の浄化・殺菌にも役立っています。 1日に分泌されるだ液の量は成人で1~1.5lにものぼります。だ液は約pH7.0で中性です。 歯周炎、口内炎、発熱時、糖尿病などで酸性に傾くと、だ液中のカルシウムが溶け出して歯に悪影響を与えます。