治療薬を正しく服用していてもそれが長期間、多量となると副作用も気になるのではないでしょうか?医師や薬剤師は副作用についてもしっかりと勉強し対処方法も熟知しています。事前にしっかりと質問し説明を聞き何らかの副作用が出た場合は早急に相談しましょう。 目次 治療薬と副作用 なぜ副作用が起きるのか 薬の主な副作用 薬剤の使用は適切に 治療薬と副作用 治療薬を正しく服用していてもそれが長期間、多量となると副作用も気になるのではないでしょうか? 医師や薬剤師は副作用についてもしっかりと勉強し対処方法も熟知しています。ですが患者側からすると持病の症状の他にも副作用の症状まで出てしまうと気持ちも落ち込み、負担感が大きくなってしまいます。 事前にしっかりと質問し説明を聞き何らかの副作用が出た場合は早急に相談しましょう。 なぜ副作用が起きるのか 薬の多くは複数の作用を持ち合わせています。主目的の作用だけ体に反応すればいいのですが、本来期待している効果とは別の、予期せぬ作用が出ることもあります。これが副作用です。 副作用の原因にも避けられないものと、注意すれば避けられるものがあります。薬というのは、血中濃度(血液中に有効成分がどれだけ含まれているか)がある一定量に達して、初めて効果が表れます。主作用に必要な血中濃度と副作用が起こる血中濃度の差が少ない場合、副作用が起こりやすくなります。このケースは、薬の成分によって起きているので、避けることができません。 また、自分の薬の飲み方が正しくなかったことが原因で、副作用が起こることもあります。定められた用法・用量で飲まなければ、薬は目的の作用を起こさないこともあります。食べ合わせ・飲み合わせの悪い食べ物を薬の服用中に摂ってしまうこと。お互いの作用を打ち消す、または副作用を誘発するような薬を飲んでいる場合にも薬の副作用は出てしまいます。これらは、事前に医師や薬剤師に相談することで避けることができます。 薬の主な副作用 薬の副作用には多くの種類があり、体質などによっても症状が変わってきます。薬の副作用の症状として代表的なものを紹介します。 眠気 風邪薬などを飲むと眠くなったという経験がある人もいると思います。抗アレルギー薬、抗不安薬、抗てんかん薬などの薬には眠気を抑え覚醒を促す成分が入っている場合があります。副作用の中では最も軽い副作用とも言えますが、車の運転や危険な作業をする前などに飲んでしまうと大変なことになることもあるので注意が必要です。 発疹 薬を内服した際に起こる発疹は「薬疹」と呼ばれます。薬疹が出やすい薬には、抗菌薬、鎮痛剤などがあります。薬を飲んでから薬疹が出るまでの時間は、数分~3・4日と差があります。薬疹の症状はさまざまで、軽い吹き出物から皮膚全体が火傷のようにただれる重症のものまであります。アレルギー反応が出るような細胞や抗体ができるのには1~2週間程度時間がかかるため、全て内服したことのない薬の場合、薬疹は起こらないと考えられています。 下痢・便秘 内服の薬は腸管で吸収されるため、薬の副作用として下痢や便秘などの消化器症状が出ることがあります。抗生物質、解熱鎮痛剤、抗がん剤などが代表的な薬剤です。抗生物質の場合は腸内細菌のバランスが崩れ、ある種の菌が異常に増え、腸管粘膜を傷害されることにより下痢が起きます。 アナフィラキシーショック 薬に対する強い副作用として、「アナフィラキシーショック」があります。抗がん剤、解熱消炎剤、抗菌剤などの医薬品で見られているようです。症状としては「じんましん」や「のどのかゆみ」などの軽い症状のものから、重篤なものになると呼吸困難が出ることもあります。通常、医薬品投与開始から5分から30分以内で症状が現れます。 薬剤の使用は適切に 今回紹介した薬の副作用は本当にごく一部です。このほかにも症状はたくさんあります。 薬は副作用が怖いからと自己判断で急にやめたり、良くなってきたと感じられないからと量を勝手に増やしたりすると副作用を発症することもあります。必ず医師の指示した通りに使用しましょう。そして、万が一副作用が出た場合には、すぐに病院を受診し、医師や薬剤師に相談しましょう。 公開日:2016年10月31日
飲むと元気になる?勝負のときはエナジードリンク!?ブームとなったエナジードリンクですが、いったいどんな成分が入っているのでしょうか。飲み続けていても大丈夫なのでしょうか。いまさら聞けないエナジードリンクの秘密に迫ります。 目次 エナジードリンクの人気の秘密は、カフェインの目をさます作用や炭酸の爽快感など 栄養ドリンクは「指定医薬部外品」、エナジードリンクは「清涼飲料水」 カフェインの摂りすぎにくれぐれも注意!最悪の場合、命にかかわることも… エナジードリンクの人気の秘密は、カフェインの目をさます作用や炭酸の爽快感など 日々の暮らしでたびたびやって来る、くたくたに疲れる場面や、ここぞという踏ん張りどころ。そんなときに手を伸ばす定番の飲み物といえば、かつては栄養ドリンクでした。それに代わるものとして若い人を中心に人気なのが、エナジードリンクです。はっきりとした定義はありませんが、カフェイン、アルギニン、ビタミンなどの成分が入った炭酸飲料が、一般的にエナジードリンクと呼ばれています。 日本でエナジードリンクのブームに火がついたのは、海外の人気商品が販売され始めた2005年以降のこと。飲食店やコンビニなどでよくみかけるようになり、認知度とともに人気は右肩上がりになりました。ノンシュガータイプや女性向けのものなど、多様なニーズに合わせて商品のバリエーションは広がっています。目をさまし、集中力を高める作用のあるカフェインの量や、高麗人参、ガラナなど疲労回復が期待される独自の成分の有無で商品を選ぶ人も多いようです。 栄養ドリンクは「指定医薬部外品」、エナジードリンクは「清涼飲料水」 栄養ドリンクとエナジードリンクは似ているようで、実際には明確な違いがあります。それは、栄養ドリンクが「指定医薬部外品」に分類されるのに対して、エナジードリンクは「清涼飲料水」であるということ。この両者の違いが、含まれる成分や表示に影響を与えています。 栄養ドリンクとエナジードリンクの違い 栄養ドリンク エナジードリンク 分類 指定医薬部外品 人の体への作用が、医薬品よりもおだやかなのが医薬部外品です。その中でも特に、以前は医薬品として用いられていた成分を含むものが指定医薬部外品です。 清涼飲料水 いわゆるソフトドリンクのことで、ミネラルウォーター、お茶、コーヒー飲料、果汁入りジュース、炭酸飲料などがすべて該当します。 成分 指定医薬部外品である栄養ドリンクは、「タウリン」という成分を含有させることが法律で認められています。多くの栄養ドリンクには、このタウリンが含まれています。 海外のエナジードリンクにはタウリンが含まれているものがありますが、日本では海外と同一ブランドの商品であっても、清涼飲料水であるエナジードリンクに使用することが法律で認められていません。そのため、日本の多くの商品では、タウリンの代わりにアルギニンというアミノ酸の一種が用いられています。 表示 指定医薬部外品である栄養ドリンクは、「滋養強壮」「栄養補給」などの表示をすることが、法律で認められています。 清涼飲料水であるエナジードリンクのパッケージでは栄養ドリンクのように、「滋養強壮」「栄養補給」などの表示をすることが法律で認められていません。たとえエナジードリンクを飲んで「元気になった」と感じる人がいても、商品の表示として「疲れに効く」「効果・効能がある」とは言い表せません。 カフェインの摂りすぎにくれぐれも注意!最悪の場合、命にかかわることも… 清涼飲料水であるエナジードリンクに、医薬品のような副作用が現れる危険性はありません。ただし、飲みすぎてカフェインを過剰に摂取すると、次のような症状などが引き起こされることがあり、最悪の場合はカフェイン中毒となって命にかかわります。 カフェインの過剰摂取で起きる恐れのある症状 ・不眠 ・頭痛 ・イライラ感 ・脱水症状 ・緊張感 …など 健康に悪い影響を及ぼさない1日あたりのカフェイン許容量は、健康な成人で400mgまで(内閣府食品安全委員会のファクトシートより)。このカフェインの量を、全国展開しているカフェのコーヒーで表すと、もっとも量の少ないショートサイズ3杯分です(1杯237mlあたりカフェイン約135mg)。妊婦や子供のほか、健康な成人であってもカフェインに弱い体質の方は、これより少ない量でも影響が出る恐れがあります。商品によって異なりますが、主なエナジードリンクのカフェイン量は1本あたり50~150mgほど。コーヒーや緑茶などの飲み物やカフェイン錠なども利用する場合は特に、カフェインの過剰摂取にならないよう注意が必要です。 血糖値が高めの方やダイエット中の方は、ジュースなどと同様、エナジードリンクによる糖質の摂りすぎにも気をつけましょう。パッケージに表示されている炭水化物は糖質とみなせるので、「100mlあたりの炭水化物10g」と書かれた1本250mlのエナジードリンクを飲めば、25gの糖質を摂ることになります。これは、角砂糖を6個かじっているのと同じことなのです(角砂糖1個を4gと想定)。「糖質は気になるけれど、エナジードリンクは飲みたい」という方は、飲む量を少なくするか、糖質ゼロと書かれているタイプを選ぶと良いでしょう。 エナジードリンクは好きな人にとって、元気をチャージしてくれて、生活に刺激を与えてくれる頼もしい存在です。栄養ドリンクとの違いを理解したうえで適度な量を守り、上手にエナジードリンクと付き合っていきましょう。 公開日:2016/01/18
2009年4月から、薬剤師の指導が必要な一部の品目を除き、これまで薬局・薬店でしか購入できなかった品目の多くがコンビニで購入できることになり、購入者自らがリスクを見極めやすくする工夫もなされることになりました。 目次 薬事法改定で変わる薬の買い方 登録販売者制度とは? 便利なだけじゃダメ!自己管理と適正使用が重要 薬事法改定で変わる薬の買い方 1999年3月まで、滋養強壮剤やビタミン剤を購入できるのは薬局・薬店だけだったことを覚えているでしょうか。もはやドリンク剤のコーナーはスーパーやコンビニに欠かせないものとなっており、たまった疲れに思わず1本という人も少なくないでしょう。 これは、高騰する医療費抑制策の一環としてはじまった規制緩和のひとつ。2004年にはさらにその品目数が拡大され、健胃薬や整腸薬なども24時間、コンビニで入手できるようになりました。 しかし、急な体調不良のときに買い求めたい風邪薬や鎮痛剤などは従来通り、薬剤師のいる薬局・薬店でしか購入できませんでした。というのも、これまでの規制緩和では、医薬品だったものを医薬部外品に移行させることでスーパーやコンビニでの販売を行っていたからです。 登録販売者制度とは? 2006年の薬事法改正により、2009年4月から、服用に際して薬剤師の指導が必要な一部の品目を除き、これまで薬局・薬店でしか購入できなかった品目の多くが購入できることになりました。従来のような医薬部外品への移行ではなく、医薬品のまま、販路が拡大したという点がこれまでとの大きな違いでしょう。 ですが、すべてのコンビニに薬剤師を配置するのは困難です。そこで新設されたのが新しい認定資格「登録販売者」制度になります。また、商品に医薬品区分※を明記することで、購入者自らがリスクを見極めやすくする工夫がなされることになりました。 薬局以外でも購入可能となる品目 区分※ 薬事法改正前の販売形態 改正後の販売形態 主な該当品目 1グループ 薬剤師がいる薬局・薬店での販売のみ 従来通り 胃腸薬(H2ブロッカー)、禁煙補助薬、一部の風邪薬など 2グループ 登録販売者がおり、一定基準をクリアした店舗であれば販売可能 解熱消炎鎮痛剤、風邪薬、漢方薬など 3グループ 登録販売者がおり、一定基準をクリアした店舗であれば販売可能 ビタミン剤、整腸薬、健胃薬など 登録販売者制度 2008年8月から各都道府県で随時実施されている登録販売者試験。受験資格としては、一般用医薬品の販売に携わっているなどの実務経験が必要です。試験の内容も、医薬品の特性や基礎知識、人体のはたらき、主な医薬品の作用や安全対策、薬事に関する法制度など、幅広い知識が求められています。この資格ができたことで、大手コンビニチェーンなどが、医薬品販売に参入したり、ドラッグストアチェーンが24時間営業にする方針を打ち出しています。 便利なだけじゃダメ!自己管理と適正使用が重要 消費者にとっては、非常に便利になるという反面、自己管理が求められるということでもあります。当然、医薬品である限り、正しく使わなければ、副作用が思わぬ相互作用が起こることも。 単に「便利になってよかった」ということだけで終わらせないよう、自分の健康は自分で守るという、セルフメディケーションの考え方を持つことがますます求められています。 薬事法改正で通信販売が変わる!? しかし、この薬事法で従来以上に制限されることもあります。インターネットによる通信販売が可能な品目が上記表の3グループのみに限られることになったため、これまでインターネットによる通信販売が行われてきた、風邪薬をはじめとする2グループの品目の取り扱いができなくなります。ネット通販を頼っていた人にとっては、今回の改正は決して喜べない状況なのです。 公開日:2008/11/04
近年、テレビコマーシャルなどで頻繁にとりあげられ、よく耳にする「ジェネリック医薬品」。「低価格」「新薬と同じ効き目」などと紹介され、気になる存在だ。しかしその実体については今ひとつ分からないというのが現状だろう。「ジェネリック医薬品」とはいったいどんなくすりなのか、今のうちに理解しておこう! 「ジェネリック医薬品」って、どういうくすりなの? 医薬品は、大きく2つに分類できることをご存知だろうか? ひとつは、「一般用医薬品」といって、駅前などにある薬局で、薬剤師と相談しながら買い求めることができるくすりのこと。もうひとつは「医療用医薬品」といい、医療機関で診察を受けるときに医師から処方されるものだ。 この「医療用医薬品」は、さらに2種類に分類される。まずは、たいへんな時間とコストをかけて研究・開発される「新薬」。そして「新薬」の特許が切れた後、開発メーカー以外にも製造・販売が認められるくすり。これが「ジェネリック医薬品」だ。 医療機関でおくすりをもらうと、最近は「おくすりのしおり」といった説明書がついてくる。そこにはくすりの効きめや飲むタイミングが書かれているが、そのくすりが「新薬」か「ジェネリック医薬品」かまでは書かれていない。そのため、私たちが日常的にジェネリック医薬品を意識する機会は、これまでなかったと思われる。 なぜ「ジェネリック医薬品」は低価格なの? 種類によって異なるものの、「ジェネリック医薬品」の薬価(国が定めている医療用医薬品の価格)は、新薬の約4~8割といわれる。その低価格はどうやって実現しているのだろうか? 通常、新薬を世に出すには150~200億円といわれる開発費と、10~15年という開発期間がかかる。新しい物質を見つけるところからはじめ、動物での非臨床試験、ヒトでの臨床試験など、さまざまな研究・実験、承認審査が必要だ。 これに対しジェネリック医薬品は、その成分・品質が新薬と同等であることを証明するテストをクリアすればよい。かかる費用は数千万円。この開発費用の差が、薬価の差となるのである。 「価格が低い分、品質が悪いのでは?」そんな心配は無用だ。 「ジェネリック医薬品」も新薬と同じように、薬事法によって有効性・安全性を確保するよう厳しく規制されている。さらに1998年から「品質再評価」という制度がスタートし、いったん販売が認められたあとも承認時と変わらず品質が維持されているかがチェックされる。そのチェック結果は「医療用医薬品品質情報集(通称「オレンジブック」)」に掲載され、私たちも書店で入手することができる。 あまり普及していないのはなぜ? 私たちが医療機関でもらうくすりには、どれくらい「ジェネリック医薬品」が含まれているのだろう。 日本におけるジェネリック医薬品のシェアは2003年時点で、約16%(医薬工業協議会調べ)。アメリカ、ドイツ、イギリスのシェアが50%前後であることと比較すると、その普及率は低い。背景には「ジェネリック医薬品」のかかえる、次のような問題点があると指摘されている。 日本人のブランド志向 医師も患者もくすりのブランド志向が強いといわれる。同じ成分のくすりでも、一流(新薬)メーカーのものが好まれる。 供給体制が整ってない これまでの供給量が少なかったため大量の発注に対応できず、欠品を起こす恐れがある。 情報量に限界がある 新薬メーカーで医師に情報を伝えるMR(営業職)が1,000人規模なのにくらべ、10分の1程度の規模しかない。そのため肝心の医薬品情報が医師に伝わらない。 しかし、2002年に国の方針として「ジェネリック医薬品」の使用促進が掲げられたのを機に、国立病院や大学病院などで採用が相次ぐようになった。また、2006年4月からは、医師が処方せんに合意のチェックを入れれば、患者の希望によって「ジェネリック医薬品」を手渡してもらうことができるなど、状況は大きく変わりつつある。年々増えつづける医療費を抑えるためにも、国は価格の低い「ジェネリック医薬品」を推進していく姿勢にあるのだ。 もちろん、世の中にある病気を克服するためには、これまでにない効き目の新薬を開発することは必要だ。ただし、すでに一定の効果が認められ、多くの患者にもちいられているくすりであれば、患者負担の少ない「ジェネリック医薬品」が使用されることに、意義があるだろう。 新薬と「ジェネリック医薬品」、この2つのくすりがケースバイケースで使い分けられていく、それが今後の医療の姿となりそうだ。 ジェネリック豆知識 「ジェネリック(generic)」とは、「一般的な」あるいは「普及した」という意味。欧米では、商品名ではなく、薬の有効成分である一般名(ジェネリックネーム)で処方することから、「ジェネリック医薬品」と呼ばれている。 公開日:2006年4月17日
私たちの体は、生体リズムに影響されており病気によってかかりやすい時間というのがある。例えば、急性心筋梗塞は午前中、アレルギー性疾患は夜間から明け方に症状が出やすい。代表的な病気の「魔の時間」と、それを利用した時間治療についてご紹介。 目次 「寝る子は育つ」には根拠があった 魔の時刻が生じるわけ 病気別「魔の時刻」~がん、急性心筋梗塞、アレルギー、胃潰瘍、脳血栓、糖尿病 生体リズムを利用した「時間治療」 「寝る子は育つ」には根拠があった 6月10日は時の記念日。 私たちの健康は、"時間"によってかなり左右されていることをご存知だろうか。人間の体は、いつも一定の状態で保たれているわけではなく、一定の生体リズムのもとで動いているからだ。例えば、細胞分裂を促す成長ホルモンの活動は、夜中に最大となり昼が最小になる。そのため、「寝る子は育つ」し、お肌も「夜作られる」のである。ちなみに、冬に夜が長い北欧の人が南国の人より背が高いのは、夜の時間の長さに影響されているらしい。日本でも北国の人のほうが九州・沖縄の人より、背が高い傾向があるそうだ。 病気も生体リズムに影響されるため、病気によってかかりやすい「魔の時刻」が違ってくる。例えば、頭痛は明け方に発生しやすく、脳卒中はお昼頃に発生することが多い。最近では、こういった生体リズムを治療に利用する「時間治療」が注目され始めている。 魔の時刻が生じるわけ では、なぜ病気によって、かかりやすい時刻が違ってくるのだろうか。 実は、人間の体には、体の成分やその活動が、それぞれ最も活発な時間帯とそうでない時間帯があるのだ。例えば、人間の体温は、昼過ぎに一番高く、夜中の2時頃に最も低くなる。体力も同様で、昼が最もあって夜が最も少なくなる。脈拍も昼が一番速く、血圧が高くなる。また、人間は昼を中心に活動するが、ふくろうやゴキブリなどのように夜行性の生き物もいる。それは、生体リズムが異なっているからなのだ。 このように、生き物は一日の中で規則的に変化する体内時計が刻むリズムによって、活動が支配されている。このリズムを、サーカディアンリズム(概日リズム)と呼ぶ。人間の場合、朝起きてから、体温や血圧が上昇し日中に活発に活動ができるようになり、夕方から夜にかけて体温や血圧が下がり始め、十分な休息を取れる体制を整える。体温や血圧が昼に最も高くなるのは、このようなサーカディアンリズムの影響を受けているからなのである。病気も当然のことながら、サーカディアンリズムの影響を受ける。例えば、「痛み」のリズムは夜に活発に活動する成長ホルモンの分泌と関係があるため、歯痛や頭痛など痛みを感じる症状は夜に起こりやすくなる。 病気別「魔の時刻」~がん、急性心筋梗塞、アレルギー、胃潰瘍、脳血栓、糖尿病 では、個々の病気について、発生しやすい魔の時刻とそのメカニズムについて紹介しよう。ただし、病気はいくつもの要因に基づいて発生するので、以下はあくまで傾向を捉える目安と考えてほしい。 がん 発生しやすい時刻:夜 成長ホルモンが夜に増加するのと同様、がん細胞も夜、活発に分裂する。そのため、がんが大きくなるのも夜ということになる。 急性心筋梗塞 発生しやすい時刻:朝8時~12時頃、午前10時頃がピーク 心筋梗塞は高血圧や血圧の変動が危険因子。血圧は午前2時頃に最低で、その後上昇して午後2時頃にピークを迎える。血圧は朝目覚めたときに急激に上昇するために、午前中に発症しやすくなる。血液が明け方に固まりやすいことも関係していると考えられる。 アレルギー性疾患 発生しやすい時刻:夜間から明け方 アレルギーを示すヒスタミンの値が、ぜんそくでは午前4時頃がピークになる。気管支粘膜が明け方に過度に反応して、粘膜からの分泌が過度になることが影響している。アレルギー性鼻炎も午前中の早い時間に症状が出やすい。アトピー性皮膚炎の場合、午前中と比べて夜間は3倍皮膚が赤くはれやすいという報告がある。かゆみのピークは午後7時から12時くらい。 胃潰瘍 発生しやすい時刻:夜 胃酸の分泌は夜に多く、朝が少ない。胃酸分泌が多い夜は、胃がただれやすくなっている。ただし、アスピリンなど胃に強い刺激を与える薬による胃粘膜障害作用は、夜間より午前中に強く現れる傾向がある。 脳血栓 発生しやすい時刻:明け方 血液は明け方に固まりやすく、しかも、いったん固まった血液を溶かすはたらきも低下しているため、朝起こりやすくなっている。 糖尿病 発生しやすい時刻:午前4時~8時頃 夜間の成長ホルモンなどが盛んに分泌されるため、明け方3、4時頃から「暁現象」と呼ばれる血糖値の上昇が起こる。これに応じてインスリンの分泌量も増えないと、次第に血糖値が上がっていく。インスリン注射治療を行っている人の場合、注射の量が多すぎ、「ソモジー効果」という血糖値の急上昇が起こる場合があるが、この早朝に起こった場合は、「暁現象」の可能性もある。 生体リズムを利用した「時間治療」 病気にはそれぞれ発生しやすい時刻があるということが明らかになるにつれ、生体リズムを利用してより効果的な治療をしよう、という「時間治療」の試みが行われている。薬の効果を高めて毒性を抑えるため、一日の中で最も適切な投与時刻を設定するのだ。 高血圧や不整脈、狭心症の時間治療は活発に研究され、実践が始まっている。気管支喘息は、時間調整可能な製剤が登場し、成果を収めている。また、がんの化学治療については、欧米で治療法が確立され、日本でも試みが始まっている。2005年4月28日の毎日新聞では、がん細胞の活動が活発になる夜間に抗がん剤を投与することで、集中的にがん細胞を攻撃でき、改善した例も報告されている。しかも、夜間は抗がん剤を代謝する酵素の分泌が活発になり、早く排泄されるため、副作用も少ない。 今後は、時刻と薬の効果・副作用の研究がさらに進むことにより、合理的な薬物治療の発展が期待できるのではないだろうか。 公開日:2005年6月6日
天然痘、結核…。かつて人々を脅かした多くの伝染病が、ワクチンの開発により、あたかも地上から姿を消したかのように思われている。しかし近年になって、忘れ去られていた感染症がとつぜん、流行し始めてもいる。予防接種は大切な「転ばぬ先の杖」。感染を広げないためにも、なるべくなら受けておこう。 目次 予防接種にはどんな種類があるの? 予防接種はみんなが受けなくてはいけないの? 予防接種は大人も必要なの? こんなときは接種を避けよう 予防接種にはどんな種類があるの? ●生ワクチン 生きたままの病原菌を、毒性を弱めてつくったワクチン。接種することでその病気にかかったときと同じ状態にし、免疫を作り出す。ただし、きちんと免疫ができるまでは時間がかかるので注意が必要。また、接種後は発熱、発疹などが起きやすい。 …BCG、ポリオ、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)など ●不活化ワクチン・トキソイド ウィルスや細菌をいったん殺し、必要な成分だけを抽出してつくったワクチン。病原菌は体内で増殖しないので、何度か接種することで、細胞に抗原を記憶させ免疫をつくる。 …日本脳炎、DPT・DT(3種混合・2種混合)など 予防接種はみんなが受けなくてはいけないの? もちろん、予防接種を受けることは義務ではない。厚生労働省は、ぜひ受けるように努力してほしい予防接種「勧奨接種」として以下の7つを挙げている。ちなみに対象者なら無料だ。そのほか、できれば受けておきたい任意の予防接種もある。 接種回数 標準的な接種年齢 対象年齢 BCG 1回3~4ヵ月4歳未満のツベルクリン反応陰性者 ポリオ 2回3ヵ月~1歳6ヵ月3ヵ月~7歳6ヵ月 DPT 3種混合(DT 2種混合) 1期初回3回3ヵ月~7歳6ヵ月 1期追加 1回1期終了後1年~1年6ヵ月後3ヵ月~7歳6ヵ月 2期(DT)1回小学校6年11~12歳 麻疹(はしか) 1回1~2歳未満1~7歳6ヵ月 風疹(ふうしん) 1回1~3歳未満1~7歳6ヵ月 日本脳炎 1期初回 2回3歳6ヵ月~7歳6ヵ月 1期追加 1回4歳6ヵ月~7歳6ヵ月 2期 1回小学校4年9~13歳 3期 1回中学校2年14~15歳 インフルエンザ※ 1回毎年接種が必要65歳以上、60~65歳の一部 ※65歳以上、60~65歳未満の人の一部には、「2類勧奨接種」とされている 1年間に計6回!? 意外と多い0歳代の予防接種 できれば受けておこう(任意) 接種回数 対象年齢 おたふくかぜ 1回1歳~ 水痘 1回1歳~ インフルエンザ 13歳未満2回13歳以上1回毎年接種が必要指定なし(通常6ヵ月~) A型肝炎 3回16歳~ B型肝炎(母子感染予防) 3回0歳~ B型肝炎(一般) 3回 接種したほうがいい?!1歳以降の予防接種 予防接種は大人も必要なの? ●高齢者はインフルエンザワクチンを インフルエンザは重症化すると気管支炎、細菌性肺炎などを引き起こしかねない怖い病気。ワクチンは、その年の冬、流行する可能性のあるA型インフルエンザウイルス2種と、B型インフルエンザウイルス1種を混合したものが、毎年あらたに製造される。流行株とワクチン株が一致すれば、予防効果は期待できる。2001年の予防接種法改正以来、高齢者への接種が一部公費負担で実施されるようになった。 ●妊娠・出産を考える女性は風疹、麻疹ワクチンを これから妊娠・出産をひかえる女性におすすめなのが風疹(ふうしん)、麻疹(はしか)ワクチン接種。ことに大人の麻疹は最近、日本各地でみられるようになり、油断はできない。また、1979年4月2日~1987年10月1日生まれで、風疹にかかったことがない女性も、ぜひ予防接種を受けておこう。ただし、接種後3ヵ月間は避妊が必要。詳しくは専門医に。 数年ごとに流行を繰り返す「風疹」にご用心! ●海外旅行前に予防接種を このほか海外旅行に行くときにも、ぜひ予防接種を受けておこう。感染症が流行している地域を訪れる場合はなおさら。破傷風、A型肝炎、日本脳炎、ポリオ、ジフテリア、麻疹(はしか)、狂犬病の予防接種を受けたことのない人は、流行状況を調べたうえで、積極的に受けるとよいだろう(ただし、A型肝炎予防接種を受けられるのは16歳以上のみ)。 東南アジア、インド、南アフリカなど、入国に際し、黄熱ワクチンの接種済み証明書を求める国もある。 海外旅行・海外出張の前に予防接種を!インフルエンザ対策もお忘れなく 海外にはどんな薬を持っていけばいい?現地で買うときの注意点は? こんなときは接種を避けよう 不健康な状態では予防効果どころか、危険な状態に陥ることも。こんなときは予防接種を避けよう。 ●発熱している ●重い急性疾患にかかっている ●アレルギーを持っている ●妊娠している 予防接種の実施は、市町村によって方法や時期が異なる。集団接種をおこなう場合もあれば、個別接種をする所もある。詳しくは地域の保健センターなどに問い合わせよう。 参考サイト:国立感染症研究所 感染症情報センター 公開日:2004年3月15日
病院や薬局で出してくれる薬はもちろん、シャンプーや歯磨き剤、化粧品なども「薬機法(旧:薬事法)」という厳しい法律によって規制され、安全性が守られています。今回は、薬や化粧品などと上手につきあっていくために、この法律の概要をご紹介します。 目次 商品の種類をチェック こんな表示や表現にはご用心! 成分名だけではわからないから 商品の種類をチェック 薬機法に守られているとはいえ、多種雑多な商品があふれるほど流通する現代。賢く上手に利用するために、化粧品でも制汗スプレーでも、購入する前には裏返してラベルをチェックする習慣をつけよう。 裏のラベルを見ることで、効果のある成分が配合されているもの(=医薬部外品)なのか、医薬部外品ではない化粧品などであるのかは判断できる。商品を選ぶ際の、ひとつの指標として使えるのではないだろうか。 また、医薬品以外の場合は、あくまで効果が期待できる範囲であることを肝に命じよう。どんなに素晴らしい効果がありそうに見えても、効果は人それぞれ。期待し過ぎ、頼り過ぎないように。 こんな表示や表現にはご用心! ラベルに書かれている商品説明にも注目したい。薬機法の対象となる全商品には「医薬品等適正広告基準」が設けられており、安易な広告は認められていない。 例えば、医薬品である「滋養強壮保健薬」の広告で、目の下の「クマ」が強調されていたとする。これは薬機法違反。承認された効能・効果は「滋養強壮」「虚弱体質」などで、目の下のクマを治すわけではないからだ。 また、化粧品にありがちな「できてしまったシミ、シワ 諦めないで~美白化粧品」も不適当。美白は薬機法で承認された字句ではないため、「メイクアップ効果で肌を白く見せる」などの表現にとどめる必要がある。 さらに育毛剤で「うぶ毛を太毛にする」などもNG。太さや長さだけを強調する表現はできない。 このように、元来、薬機法に則った表現は厳しい規制を受けているものなのだ。だが、ご承知の通り、ちまたには「みるみる効果が!」とか「私も治った!」などなど、薬機法では決して認められていない宣伝文句がいっぱい。思わず信じたくなるのも人情ではある。 だが、これからは、驚くほど効果がありそうな広告にこそ、ご用心!許されていない宣伝を堂々と行っていること、この1点だけでも、その広告や広告主は信頼性が低いと考えよう。 医薬品等適正広告基準 第3(基準) 3 効能効果、性能及び安全性関係(一部抜粋) (6)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止 医薬品等の効能効果又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。 (7)効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止 医薬品等の効能効果等又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現はしないものとする。 (8)効能効果の発現程度についての表現の範囲 医薬品等の速効性、持続性等についての表現は、医学薬学上認められている範囲をこえないものとする。 (9)本来の効能効果等と認められない表現の禁止 医薬品等の効能効果等について本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現することにより、その効能効果等を誤認させるおそれのある広告は行わないものとする。 成分名だけではわからないから 化粧品については、2001年4月から全成分表示することになっている。ラベルには成分名がずらり。だが、ほとんどの名前がチンプンカンプンというのが、実際のところだろう。 いくら使用している成分については、各メーカーが責任を持っているとはいえ、これでは不安。そこで、もう少し突っ込んで調べてみるのをおすすめしたい。 最近では、各メーカーのサイトなどで 成分情報を公表しているところも多い。また、美容上の主な用語などを含めて紹介しているサイトもあるので、自分なりの情報源を確保しておこう。 成分や用途をひとつずつ確かめながら使っていくのも、賢いユーザーへの道だ。上手に活用していきたい。 成分名が検索できるサイト:日本化粧品工業連合会 公開日:2017年6月26日
私たちが普段口にする薬や、肌に直接つける化粧品などは、「薬機法(旧:薬事法)」という厳しい法律によって、原料、製造方法、ラベルに表示すべき内容まで、細かく規制されています。何となく聞き覚えのある「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」などから、薬機法とは何か?覗いてみましょう。 目次 薬機法とは 医薬品とは 医薬部外品とは 化粧品とは 医療用具とは ダイエット食品や健康食品も薬機法の範囲? 薬機法とは シャンプー、歯磨き剤、シェービングローション、乳液…。手当たり次第、容器をひっくり返して見てみると、その中に「医薬品」もしくは「医薬部外品」と四角い囲い付きで表示されているものはないでしょうか?あればそれは、薬機法で効能・効果が認められているものとなります。 このように、ふだん私たちが口にする薬や、肌に直接つける化粧品などは、「薬機法」という厳しい法律によって、原料から製造方法、ラベルに表示しなければならない内容や、広告の表現までキメ細かく規制されています。 ですが、私たちは、この薬機法についてどのくらい知っているでしょうか。例えば「医薬品」はわかっても「医薬部外品」とは何でしょうか?どう違うのでしょうか?今回は、そんな素朴な疑問から薬事法の概要に触れてみましょう。 まず、「薬機法」という法律について。この法律は、戦後まもない昭和23年に公布されて以来、何度か改正されてきました。目的は、以下のように定められています。 「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。」 では、上記で取り上げられている「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」のそれぞれについて、その定義と具体的な例を見てみましょう。 医薬品とは 医薬品とは、文字通り、病院で医師が処方してくれる薬や、薬局・薬店で市販されている風邪薬や頭痛薬などのこと。 配合されている有効成分の効果が認められており、病気の治療や予防に使われる薬を指します。 テレビCMなどでよく「用法・用量を守ってお使いください」と言っているように、体に作用する有効成分が入っているため、使う場合には使用方法を守るのが鉄則となります。 薬機法における「医薬品」の定義 薬機法抜粋第二条第1項 日本薬局方に収められている物 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。) 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。) 主な該当商品 医師が処方する薬 薬局で買える風邪薬、胃腸薬、目薬、滋養強壮剤などの市販薬 医薬部外品とは 医薬品ではないが、医薬品に準ずるものです。 つまり効果・効能が認められた成分は配合されているが、それは積極的に病気やケガなどを治すものではなく、予防に重点を置かれたものといえます。対象となる物もはっきりと定められています。 また、効果そのものも誰にでも必ず認められるというものではなく、効果が期待できるという範囲。この作用の違いが、医薬品との大きな違いです。 とはいうものの、微妙なポジションにあるという感覚は否めない。ラベルなどにしても、医薬品は「効能・効果」が明確に表示されているのに対し、医薬部外品の多くは単に「医薬部外品」とあるだけ。配合された何の成分に、どんな効果が期待できると認められているのかは不明なのだ。 ただし、「表示指定成分」として、アレルギーなどの皮膚障害を起こす可能性のある成分名だけは表示が義務づけられている。これだけでも安心材料ではある。 薬機法における「医薬部外品」の定義 薬機法抜粋第二条第2項 次の各号に掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの。 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止 あせも、ただれ等の防止 脱毛の防止、育毛又は除毛 主な該当商品 薬用歯磨き剤、制汗スプレー、薬用クリーム、ベビーパウダー、育毛剤、染毛剤、入浴剤、薬用化粧品、薬用石けん、他 化粧品とは 2001年4月に大きく規制緩和されたのが化粧品です。その主旨は、これまで個々の商品で必要だった厚生労働大臣の承認・許可を廃止し、各メーカーがその責任において自由に化粧品を作って良いかわりに、使った成分はすべて表示すること、というものです。 これにより、私たちユーザーはメーカーが開発した新しい化粧品を従来より早く手にすることができるようになったのと同時に、使われている成分をすべて知ることができるようになりました。 もちろん、各メーカーの責任で自由に作って良いと言っても、どんな成分を配合しても良いというわけではなく、配合可能成分が指定されていたり、配合禁止成分などがあり、安全性は十分に重視されています。 薬機法における「化粧品」の定義 薬機法抜粋第二条第3項 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。 主な該当商品 石けん、歯磨き剤、シャンプー、リンス、スキンケア用品、メイクアップ用品 医療機器とは 医療機器には、実にさまざまな物が含まれています。例えばガーゼや脱脂綿といった小さな物や松葉杖や車イスなども医療機器です。 また、磁気ネックレスや電気マッサージ器といったものも、体への作用を効果として訴える以上、医療機器となります。 薬機法における「医療用具」の定義 薬機法抜粋第二条4第項 この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。 主な該当商品 メガネ、コンタクトレンズ、体温計、補聴器、磁気治療器、電気マッサージ器 公開日:2002年9月30日
せっかく飲むなら、漢方薬の正しい飲み方を知っておきましょう。 間違った使い方をすると、元気になるどころか、かえって逆効果です。さて、あなたはどのくらい分かりますか? Q1 漢方薬は、食前に飲むのが基本である。 ホント ウソ Q2 オブラートに包んで飲んでも、効き目は変わらない。 ホント ウソ Q3 漢方薬には副作用がない。 ホント ウソ Q4 同じ病気なら、家族で同じ薬を飲んでも差しつかえない。 ホント ウソ Q5 葛根湯は、寝る前に飲まないほうがいい。 ホント ウソ Q6 漢方薬は体にやさしいので、いくつ併用しても問題ない。 ホント ウソ Q1 漢方薬は、食前に飲むのが基本である。 お酒をすきっ腹に飲むとすぐ効くように、漢方薬も胃が空っぽの「食前」(または食間)のほうがよく効きます。胃腸を荒らす心配は極めて少ないのですが、薬の種類や体質などによっては、「胃が悪くなった」と感じる人もいるかもしれないので、そんな人は食後に飲むようにするといいでしょう。 というわけで、正解は「ホント」 Q2 オブラートに包んで飲んでも、効き目は変わらない。 たとえば咳の薬や胃の薬などは、苦い味そのものが口から食道を通っていくことで、効き目がよくなると考えられています。 どうしても耐えられない!という場合はしかたありませんが、なるべくならオブラートを使わず、たっぷりのお湯に溶かして飲むようにしましょう。 というわけで、正解は「ウソ」 Q3 漢方薬には副作用がない。 西洋薬に比べて程度が軽いとはいえ、まったくないとはいえません。体質に合わない場合や、むやみに何種類も併用した場などは、副作用が出ることもあります。 発疹が出たり、不眠、頭痛、吐き気、胃のむかむかなどの症状が出たら、服用を一時中止して医師に相談しましょう。 また、漢方生薬の中にはトリカブトなど毒性の強いものもあるので、絶対に素人判断で勝手に手を出さないことです。 というわけで、正解は「ウソ」 Q4 同じ病気なら、家族で同じ薬を飲んでも差しつかえない。 どんな薬が合うかは、その人の体質や年齢、性、その時の症状などによって異なります。 たとえば風邪のとき。風邪薬といえば「葛根湯」が有名ですが、この薬には発汗作用があり、汗をかいていない人には向いているものの、逆に汗をかいている人が使うと余計に汗が出て疲れてしまうことになります。 また、これは風邪のひきはじめに使う薬で、いつまでも微熱や鼻水が続くというように、こじらせてしまった場合に飲み続けても、役に立たないどころかかえって悪化させてしまうのです。 というわけで、正解は「ウソ」 Q5 葛根湯は、寝る前に飲まないほうがいい。 風邪薬として有名な葛根湯の中には「麻黄」という生薬が含まれています。 この麻黄には、中枢興奮作用をもつエフェドリが含まれているため、人によっては不眠をきたすおそれがあります。ぐっすり眠るためには、なるべく寝る4時間前ぐらいに飲むとよいでしょう。 というわけで、正解は「ホント」 Q6 漢方薬は体にやさしいので、いくつ併用しても問題ない。 医者が患者に合わせて成分を調整しながら煎薬してくれるような場合は別として、すでに漢方エキス剤となっているものを何種類か使う場合、同じ生薬がダブっていると、その生薬成分ばかり過剰に摂ってしまうことになります。 例えば「甘草(かんぞう)」という生薬を過剰に摂りすぎると、顔や手足がむくむなどの副作用を起こしかねません。やむを得ずいくつか併用する場合は、それぞれに含まれている生薬をチェックし、ダブリがないかどうか注意しましょう。 というわけで、正解は「ウソ」
漢方の特徴がわかりやすいように、西洋医学と比較してみましょう。 目次 西洋医学は「病名」ありき、漢方は「症状」ありき 漢方はとくにこんな人に向いている 西洋医学は「病名」ありき、漢方は「症状」ありき 西洋医学 東洋医学 病名をつけることを重視し、同じ病名の人には同じ薬を使います。 病名よりも、どんな薬を与えるべき「証」かを判断します。そのため、同じ病名でも人によって薬が異なります。 病気の原因である細菌を殺すことに主眼をおきます。 生体の免疫力を高めることに主眼をおきます。 有効成分が単一です。 切れ味が鋭く、即効性があります。熱や痛みをとる、菌を殺すといった、直接的な治療に向いています。 ただし、一つの薬でいろいろな症状をとるのには不向きです。 いくつもの生薬が組み合わさっています。 一つの薬でいろいろな症状をとることが可能です。 ただし、即効性という点では劣ります。 ※証とは…体の表面で観察できるさまざまな特徴や患者の訴えを総合したもので、漢方における投薬や治療の重要な指針となります。 漢方薬は、いわばオーダーメイドの服 このように、漢方の場合、たとえ同じ「胃潰瘍」という病名でも、その病名だけで薬を決めるわけではありません。患者ひとりひとりの体質や病気の状態などを見極めながら、最適な漢方薬を処方する、オーダーメイドの治療といえるでしょう。 漢方はとくにこんな人に向いている 漢方は、どんな病気にも使えないことはないが、人間と同じでやっぱり得意不得意があります。 たとえば、糖尿病や高血圧、あるいは肺炎のような重い細菌感染症などに対しては、西洋医学の薬に勝てるようなものが漢方にはないため、苦手分野といえます。 逆に、次のような場合は、まさに漢方の出番です。 ●西洋医学でまだ決め手になる治療法がない病気 アトピー、ぜんそくなどのアレルギー疾患、リウマチなどの自己免疫性疾患 ●高齢や妊娠中などのために、強い薬が使いにくい場合 ●病院に行ってもどこも悪くないのに、自覚症状がなかなかとれない場合(漢方では自覚症状を重視します)
healthクリックでは、「薬に関する意識調査」を実施した。期間中にいただいた180名の回答を一挙公開! 「薬に関する意識調査(1)」はこちらから。 Q. 薬局で薬を買うとき、どんな情報を参考にしますか? 薬剤師の説明 115人 インターネット 81人 テレビや雑誌、新聞など 62人 クチコミ 30人 その他 18人 (複数回答) 薬局で薬を購入するときに参考とするのは「薬剤師の説明」が115人ともっとも多く、次いで「インターネット」(81人)、「テレビや雑誌、新聞など」(61人)、「クチコミ」(30人)という結果となった。「その他」の中では、薬のパッケージに書かれた説明を読んで参考にするという意見が多く見受けられた。 Q. 処方薬、市販薬(OTC)の違いを知っていますか? 処方薬と市販薬との違いについて知っているか聞いたところ、「知っている」(59%)、「知らない」(41%)という結果となった。「知っている」の詳細は男性54%、女性62%とわずかながら性差がみられた。 TV番組や雑誌であたらしい健康法が紹介され、つぎつぎとブームが巻き起こるにもかかわらず、約4割の人が薬の分類については知らないというアンバランスな状況だ。健康情報が氾濫するなか、薬に関する基本的な情報が欠如していることが懸念される。 Q. (1)「ジェネリック医薬品」を知っていますか?(2)自分から「ジェネリック医薬品」を指定したことがありますか? ジェネリック医薬品について聞いたところ、「知っている」が73%という結果となった。 「聞いたことはあるが詳しくは知らない」(19%)を含めると9割を超え、「ジェネリック」という名称に関する認知率は高いことから、ジェネリック医薬品企業によるTVCMや新聞広告の影響が大きいと予測される。 「自分からジェネリックを指定したことがあるか」という問いに対しては「ない」(83%)と、圧倒的に「ある」(16%)を上回る結果となった。ジェネリックを希望しない理由としては、「恥ずかしい」「言い出しにくい」「自分に知識がない」という意見が圧倒的だが、「安全性や副作用のデータが一般人では入手できない」「副作用について確認ができない」「先発品とジェネリックにはやはり“差”があるから」などの意見も見受けられた。 ジェネリック医薬品についてはCMが認知率向上に一定の効果を上げる一方、身近な存在となるには消費者へのさらなる情報提供、処方する側の意識の変革など使用環境整備が必要と思われる。
healthクリックでは、「薬に関する意識調査」を実施した。期間中にいただいた180名の回答を一挙公開! 「薬に関する意識調査(2)」はこちらから。 Q. 「薬検索」コーナーに関する評価をお聞かせください。 healthクリック「薬検索」コーナーについては、「役にたつ」(94%)という回答を得た。医療機関から処方された薬について詳しく調べるため、薬局で薬を購入するにあたって予備知識を得るためなど、日常生活において有効活用されていることが分かる。 今後取り上げて欲しい疾患を聞いたところ、アトピー性皮膚炎など肌のトラブル、胃腸などの消化器症状、婦人科系の悩み、睡眠障害など多岐にわたるリクエストが寄せられた。 全般的に癌などの重篤な疾患より、セルフケアで改善が可能な症状や、痛みなどの自覚症状が強い疾患が多かった。昨今の健康ブームの影響もあってか、気になる症状や疾患について積極的に知識を得ようとする消費者の意識が浮かび上がる。 Q. (1)医療機関で処方された薬は、どこで受け取っていますか? (2)医師や薬剤師の薬に関する説明に満足していますか? (3)服用回数・服用時間を守っていますか? 医師から処方された薬を受け取る場所は、「医療機関」(30%)「院外薬局」(69%)という結果となった。 「医師や薬剤師の薬に関する説明に満足していますか?」という問いに対しては、「満足している」(53%)「満足していない」(36%)となり、約4割の人が説明に不満足なまま治療を続けていることが分かる。詳細をみると、医療機関で薬を受け取った人の「満足している」は60%で、院外薬局で受け取った人の51%を上回り、医師から直接説明を受けた人の方がやや満足度が高いという結果となった。 また「服用回数・服用時間を守っていますか?」という問いに対しては、「守っている」(85%)「守っていない」(13%)となり、詳細を見ると医療機関で薬を受け取った人の「守っている」は92%と、院外薬局で受け取った人の84%を上回った。 Q. 薬の副作用・飲み合わせ(相互作用)についてどう思いますか? 薬の副作用については「効果があれば多少の副作用は仕方がない」(62%)「副作用があるなら飲まない」(22%)「その他」(15%)「気にならない」(1%)という結果となった。過半数の人が、薬のもたらす効果と副作用のバランスを理解しているものの、2割を超える人に副作用への拒絶感も見受けられる。 別の薬との飲み合わせが気になる 137人 サプリメントや食品との飲み合わせが気になる 84人 食事内容の影響が気になる 51人 気にならない 9人 その他 6人 (複数回答) 飲み合わせ(相互作用)については、薬と「薬」の相互作用を気にする人が137人と最も多く、次いで薬と「サプリメントや食品」(84人)、「食事」(51人)の順となった。医療機関を複数受診する人や、サプリメント・健康食品を摂取する人にとって相互作用は気になるものの、具体的な情報の欠如が不安感を醸成しているものと思われる。 Q. 余った薬を自己判断で飲んだことがありますか? 医療機関で処方され、余った薬を自己判断で飲んだことがある人は68%となり、「家族や知人が飲んだ」とあわせると7割に達する。不要になった薬を保管しておくことは、乳幼児の誤飲を招いたり、自己判断で飲んで重篤な症状を引き起こす危険性もある。医療機関で処方される薬は作用が強いこと、服用には専門的な知識が不可欠であることの啓発が重要であると考えられた。
治験に参加することは、現在の薬で不十分な場合の新しい治療方法を受けられたり、専門医師による通常より丁寧な診察や検査を受けられるというメリットがあります。もちろん、メリットに伴うデメリットやリスクも存在します。正しい知識で正しい判断をしたいですね。 目次 治験は患者のためのもの…あなたを守るGCP 治験において副作用が出た場合のサポート体制は? 治験のベネフィット(恩恵点) 治験のリスク(注意点) 治験は患者のためのもの…あなたを守るGCP 「人々の健康を守ることが医師の使命である。医師は、この使命達成のために、自分の知識と良心を捧げるべきである。」 この言葉で始まる<ヒトを対象とする医生物学的研究に携わる医師に対する勧告>は通常「ヘルシンキ宣言」と呼ばれ、医療に携わるすべての人たちが常に意識すべき医の倫理の規範となっています。ヘルシンキ宣言では「人を対象とした研究において、被験者の福利に対する配慮よりも、科学的、社会的な利益を決して優先させてはならない」ことを訴え、患者への安全性や倫理的な配慮に重点をおいて研究・開発を進めるよう、呼びかけています。 こうしたヘルシンキ宣言を基礎として日本にも治験実施に関する法律があります。治験実施にあたり、治験に参加する人の人権と安全性が最大限に守られるための「薬事法」と「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)」です。GCPとはGood Clinical Practice の略で、日本における治験の倫理性と科学性を確保するために設けた基準です。GCPでは大きく以下のルールを定めています。 1. 治験の内容を国に届け出ること 製薬会社は治験担当医師が合意した「治験実施計画書」を厚生労働省に届け出ます。 2. 治験審査委員会で治験の内容をあらかじめ審査すること 治験に参加する人の人権と安全性について問題がないかどうか審査します。治験審査委員会は治験の依頼を受けた病院とは利害関係のない人や医療の専門外の人を加えて組織されます。 3. 同意が得られた患者のみを治験に参加させること 治験の目的、方法、期待される効果、予想される副作用などを文書で示し、文書による同意を患者から得なければなりません。 4. 重大な副作用は国に報告すること 重大な副作用は、治験を依頼した製薬会社から国に報告することが義務付けられています。治験に参加している患者の安全を確保するために、治験計画の見直しなどの対応が図られます。 5. 製薬会社は治験が適正に行われているかどうか確認すること 治験を依頼した製薬会社は治験の進行を調査して、「治験実施計画書」やGCPに則って治験が適正に行われていることを確認します。 例えば、未成年者が治験に参加する場合はどうなるのでしょうか?GCPはこの点も明記しています。治験を行う医師が親権者などから承諾を得た上で、なお本人に意思能力がある場合、本人からも承諾を取るように定めています。 治験において副作用が出た場合のサポート体制は? 治験では、参加者の安全を優先し、いつでも担当医師に相談できるようになっています。もし普段と体調が違うな、と感じたら、すぐに担当医師に連絡をしましょう。もし副作用が起きたときは、病院からただちに製薬会社に連絡され、厚生労働省に報告されます。治験に関連しての副作用で、治療や追加の検査が必要な場合、製薬会社が補償することになっています(※治験担当医師が副作用とみなさない場合の検査費用は、参加者の負担となる場合があります)。 治験のベネフィット(恩恵点) 新薬誕生に欠かせない治験。あなたにとって恩恵もある一方、気をつけておきたい点もあります。 ●治療法が無かったり、現在の薬で不十分な点がある場合に新しい治療方法を受けるチャンスとなります。 ●その病気に対して経験豊富な専門医師による診察を受けることができます。また医師と相談して希望により通常診療であるが継続に診てもらえます。 ●通常診療より、丁寧な診察や詳細な検査を受けることによって病気の状態を正確に知ることができます。 ●治験薬を服用する際、その薬が自分に合っているか診てもらえます(効果と副作用)。また治験終了後、治療に対しての薬のアドバイスをもらえることがあります。 ●治験に関連する薬と検査代が無料です(製薬企業が負担しています)。 ●治験に参加することで生じる自己負担(診察費や交通費など)を軽減する措置が受けられることがあります(1来院7,000円など)。 ●一部の治験では、既存の薬で効果がなく、治験薬の効果があり、中止することが困難な場合に継続して使用できる場合もあります。 ●社会貢献できます(同じ病気を持つ人や次世代を担う人達のために、効果的で安心な薬を残すことになります)。 治験のリスク(注意点) ●効果(有効性)と副作用(安全性)が確立されていない薬を服用することになります(未知の副作用が生じる可能性もあります※)。 ●指示された通りの服薬や定期的な来院が求められ、日誌や記録を付ける場合もあります。 ●通常の診察より時間がかかる傾向があります(丁寧な診察や詳しい検査のため)。 ●特定の病院でしか実施していないため、現在通院している病院以外に通院する必要があり、通院時間に時間がかかる場合もあります。 ●開発中の薬と、それ以外の薬を比較する治験の場合、必ずしも開発中の薬を試せるわけではありません。有効成分が入っていない薬(プラセボ)を服用することもあります。 ※市販後臨床試験の場合は、治験で得られたデータにより既に厚生労働省に承認され市販されている薬を服用します。 ベネフィットとリスクを十分に踏まえたうえで、治験についてもう一度考えてみませんか? あなたの病気が、治験に関わることでもしかしたら世の中の役に立つかもしれません。「自分も新しい薬を育てるメンバーのひとりになろう!」という気持ちを持つことができれば、治験がもう少し身近に感じられるのではないでしょうか。 公開日:2003年6月23日
新薬開発の要と言える治験。けれども先進諸外国にくらべ、日本では治験への理解とても低いという現状です。そのため新薬の開発がアメリカやヨーロッパにくらべ5倍もの時間がかかっています。治験の意義や必要性を正しく理解し、より豊かな社会にしたいですね。 目次 もし薬がなかったら?健康を守るための先人たちの知恵の結晶 そもそも「治験」とは?新薬開発で果たしている重要な役割 うつ病、アトピー、がん、糖尿病。病気の数だけ治験がある もし薬がなかったら?健康を守るための先人たちの知恵の結晶 風邪をひいたとき、胃がもたれるとき、ちょっとしたケガをしたとき…。日常生活で薬を使うことは案外多いもの。人類の歴史と薬との関わりはかなり古く、紀元前5000~4000年頃のメソポタミア文明の遺物には既に医術や薬についての詳細な記述があると言われています。当時の薬の材料は、植物・動物・鉱物などで、紀元前3000年の粘土板には、痛み止めにはアヘン、咳止めにはアーモンド、胃腸薬にはカミツレやセンナ、虫下しにはザクロ皮などが用いられたと記載されています。こうした植物の成分の中には、現在も薬の成分として使われているものもあります。 今日用いられている薬の多くは1940年以降に発見・開発されたもので、私たちの健康を守るうえで、次のような貢献をしています。 ●治療法のなかった病気を治療できるようになった …抗生物質など ●病気をコントロールしたり、予防したりできるようになった …ワクチン、ビタミン、ホルモンなど ●病気の診断や検査、手術などが安全にできるようになった …麻酔薬、消毒薬、診断薬など もし世の中に薬がなかったら?あなたは今日まで無事に生き延びてこられたでしょうか? 大昔から人間は薬とともに様々な病気と闘ってきました。 一番いいのは、もちろん、薬に頼らずに健康な生活を送れることです。そのためにも毎日の食事や生活習慣に気をつけ、定期的に運動をすることで自分自身の体のケアを行うことが大切。 でも、体の不調を改善し、痛みを和らげ、病気を治すために、やっぱり薬は必要なものなのです。 そもそも「治験」とは?新薬開発で果たしている重要な役割 ある企業の海外と日本の治験スピード比較(薬例1) 出典:厚生労働省「医薬品産業ビジョン(案)の概要」 21世紀に入った今も、地球上のすべての病気が制圧されたわけではありません。健康や生命を脅かす病気があり、それに対して有効な薬を待つ患者たちがいます。研究者や医師は、より安全で有効性の高い薬を研究・開発し続けていますが、薬が広く世間に出て行くためにはどうしても必要なステップがあります。それが治験です。 治験とは「治療試験…国から薬としての承認を受けるために行う臨床試験」のこと。新しく開発された薬の候補を、実際に人に使った場合の有効性や安全性、副作用について確認する過程を指しています。どんなに有効性がある成分も、治験を経なければ国から承認されず、薬として私たちの手に届くことはありません。まさに治験は新薬誕生の「要」なのです。 「未承認の薬を服用するなんて、ちょっと怖い…」と思う人も多いでしょう。しかし、現在あなたが使っている薬も、先人たちの協力によって生まれてきたもの。何かの機会に、今度はあなたが未来の世代に残せる薬の開発に協力することがあるかもしれません。あなたの病気の治療を、新薬を創るチャンスに変えること。それが「治験に参加する」ということです。 とはいえ、日本における治験の状況は、海外に比べてまだまだ成熟しているとは言えません。例えば世界各国で最近開発された新薬を100とした場合、多くの先進諸外国では、80~95の薬が既に多くの人たちに使用されているのに対し、日本では15~20程度と言われています。世界各国で使われている新薬も日本で使えるようになるには治験が必要だが、日本国内での治験環境が先進諸外国に比べて遅れていることが大きな原因と考えられます。 これを裏付けるように、ある企業が行った日本と海外の治験のスピード比較を示すデータもあります。1施設で行われた1ヵ月あたりの症例数を比較すると、アメリカでは日本の9倍~18倍のスピードで治験が進んでいることがわかります。 治験が進まないことで最も影響を受けるのは、最先端医療(海外で流通している新薬など)へのアクセスが遅れる患者です。こうした事態を受けて厚生労働省は、患者の治験参加を支援するための仕組みを整えたり、現在平均で4年かかっている治験の迅速化を目指すため「大規模治験ネットワーク」といった医療機関網の整備に取り組んでいます。 うつ病、アトピー、がん、糖尿病。病気の数だけ治験がある 治験を行っている疾病にはいろいろな種類があります。 これは一部の例。まさに病気の数だけ、薬の数だけ、治験は必要とされています。 がん 白血病 B型・C型肝炎 高血圧 気管支喘息 骨粗しょう症 パニック障害 うつ病 アルツハイマー アレルギー性鼻炎 花粉症 公開日:2003年6月23日
新薬誕生の要といえる治験ですが、日本国内では知名度が低いことやさまざまな整備がまだ不充分なため、海外に比べて遅れをとっているのが現実です。治験が世の中にとって必要だということをもっと多くの人が知らないといけませんね。 目次 10~18年という長い年月を要する新薬誕生までの長い道のり 新薬誕生までの長い道のりをみてみよう! 基礎研究~有効性のある成分を合成 非臨床試験(動物実験)~薬としての安全性や有効性を動物や培養細胞でチェック 臨床試験(治験)~実際に人が使っても有効で安心か? 承認申請と審査 認可後の評価 治験に参加するにはどうすればいいの? 10~18年という長い年月を要する新薬誕生までの長い道のり 基礎研究から製造承認を経てひとつの薬が世に出るまで10~18年という長い歳月を必要とします。その間、途中で開発を断念したものの費用まで含めると、1品あたりの薬の開発費用は150~200億円にものぼるといいます。 新薬誕生までの長い道のりをみてみよう! ▼基礎研究~有効性のある成分を合成 薬の開発は、植物や化学物質、微生物の中から、将来薬となる可能性がある新しい物質(成分)を発見したり、化学的に作り出すための研究から始まります。 ▼非臨床試験(動物実験)~薬としての安全性や有効性を動物や培養細胞でチェック 薬として可能性のある物質を対象に、動物や培養細胞を用いて安全性や有効性について調べます。 ▼臨床試験(治験)~実際に人が使っても有効で安心か? 「非臨床試験」の段階で安全性・有効性ともにパスした薬(治験薬といいます)について、実際に人が使っても安全で有効性があるかどうかを調べる最終的な確認作業を行います。この臨床試験の段階が「治験」にあたります。治験はさらに3段階にわかれ、それぞれ参加者の同意を得た上で行われます。 フェーズ1 少数の健康な人を対象に主に副作用と安全性について確認します。 フェーズ2 少数の患者を対象に、有効で安全な投薬量や投薬方法について確認します。 フェーズ3 多数の患者を対象に、有効性と安全性について既存薬などとの比較を行います。 ▼承認申請と審査 製薬メーカーは治験で安全性や有効性などが証明された治験薬について、厚生労働省に製造承認の申請を行います。数段階の審査を受け、それにパスすると初めて「薬」として市場に出ることができます。ちなみに「基礎研究」段階で新薬候補とされた物質(化合物)のうち、製造承認を得ることができるものはわずか1万分の1程度です。 ▼認可後の評価 販売開始後も薬はさまざまなチェックを受けます。病院などの医療機関でさらに多くの患者に投与された結果を元に、開発段階では発見できなかった副作用や適正使用情報などの収集が行われます。 治験に参加するにはどうすればいいの? 治験への参加は、 医師から患者に勧めるケース 病院内の募集ポスターを見て、患者自身が応募するケース 新聞や雑誌、インターネットでの治験参加募集告知を見て、患者自身が応募するケース などがあります。 1. インターネットで募集の告知を見て応募する。または 新聞で募集の告知を見て電話をかける 申し込みセンター(コールセンター)につながります。治験は目的に応じてそれぞれの募集の基準があるので、年齢や性別、症状の内容と程度、病歴、通院が可能かどうかなどを確認します。基準に合えば、治験を行っている病院が紹介されます。 2. 治験を行っている病院で詳しい説明を聞く 申し込みセンターで紹介された病院で、担当医師や治験コーディネーターから治験の目的や予想される副作用、新薬の特徴など、文書を使って詳しく説明を受けます。また、疑問に思うことは全部医師に聞いて確認します。 これは「インフォームド・コンセント」といい、治験に参加する人の人権を守る大切なステップです。 3. 同意書にサインする インフォームド・コンセントで用いられた文書をじっくり読み、自分自身が治験について理解でき、参加することに納得できれば、「同意書」にサインをします。もちろん、同意できなければ断ることもできます。また、同意書にサインした後でも取りやめることができます。 4. 治験に参加 治験の種類によって通院の回数や期間が変わってきます。治験に参加中は薬(治験薬)の決められた用法用量を必ず守ること。体調が悪くなった場合は、すぐに担当医師に連絡を。 また、必ずしも希望する薬を使えるとは限りません。治験薬と薬効や安全性などのデータを比較するために用いられるプラセボと呼ばれる偽薬(成分はショ糖など)を用いることもありますが、これが治験薬なのかプラセボなのかは参加者自身はもちろん、医師にも知らされていません。 5. 治験の終了 治験終了後も参加者の個人情報は厳密に管理されます。とりまとめられた治験データは 製薬会社から厚生労働省に申請され、承認が出れば薬として売り出されます。 公開日:2003年6月23日
花粉症に対する治療の中心は、薬物療法。大きく分けると、花粉症の症状を和らげるための「 対症療法 」と、症状が現れないようにする「 予防的治療 」がある。仕事などが忙しいと花粉症の症状がひどくなってからしか病院に行かないケースも多いが、最近では症状が出る前に抗アレルギー薬を服用する予防的治療をすることも多いので、早めに病院へ行こう。 以下、花粉症治療に使われる主な薬を挙げてみた。 目次 抗アレルギー薬 抗ヒスタミン薬 ステロイド剤 漢方薬 抗アレルギー薬 どんなはたらきをする薬? スギなどの花粉症において、いまのところ一番使われている薬で、肥満細胞の中でヒスタミンなどの化学伝達物質が作られるのを阻害したり、またできてしまったヒスタミンが肥満細胞から放出されるのを阻害したり、それでも出てきた場合、ヒスタミンが末梢神経に近づくのを防ぐ効果がある。 どうやって使う薬? 内服薬のほか、鼻や目がツライ時に局所的に使う点鼻薬と点眼薬もある。抗アレルギー薬は、効果が現れるまでに1~2週間は必要になるので、花粉が飛び始める前から飲み始め、花粉が飛ばなくなるまで飲みつづけることが必要。 副作用は? 抗アレルギー薬が花粉症対策の一番の薬に挙げられている理由は、比較的副作用が少なく安全性が高いということからきている。長期間服用すると胃腸・肝障害などが起こることもあるが、特に花粉症の場合は、長くても3~4ヵ月の期間限定の服用なので、ほとんど副作用はないと言われている。 ただし注意したいのは、抗ヒスタミン作用をあわせ持つ抗アレルギー薬(塩基性抗アレルギー薬)の場合、抗ヒスタミン薬と同様の副作用が出ることもある。処方された薬がどんなタイプなのか聞いておくと良いだろう。 抗ヒスタミン薬 どんなはたらきをする薬? くしゃみ、鼻水、かゆみのひどい時に用いる薬。速効性があるが、鼻づまりと重度の症状にはあまり効果が期待できない。 どうやって使う薬? 鼻炎薬(内服薬)や点鼻薬、点眼薬など色々な種類がある。 抗ヒスタミン薬は、速効性に優れていることから、くしゃみ、鼻水、かゆみなどで、生活に支障があり、鎮静化させたい時に使うことが多い。しかし副作用を考えると、基本的には、抗アレルギー薬を服用し、その「お助け係」として時々、点鼻薬、点眼薬などで用いるようにしたい。 副作用は? 一般的な副作用として、ボーっとしたり、とても眠くなる、ダルい、口が渇く、胃腸の具合が悪くなるなどがある。特に車の運転や危険な作業をする人、また肝臓疾患や心臓疾患がある人、前立腺肥大の人、緑内障、ドライアイの人などは使用する際、注意が必要なので、専門や担当の医師・薬剤師に相談しよう。 ステロイド剤 どんなはたらきをする薬? ほかの薬ではどうしても治まらない場合の対症療法として使われる薬。激しい花粉症でも劇的に症状を抑えられる。くしゃみ、鼻水などの他、アレルギー全般の症状を抑えることができ、特に炎症を抑える力が強いので、一番治りにくい鼻づまりに効く。しかし、さまざまな副作用があり、使い方には十分な注意が必要。 どうやって使う薬? 内服薬や注射で使用される。「もう、どうにも生活ができない!」というひどい症状の時に、最後の頼みの綱としてとっておこう。また、点鼻薬の局所ステロイド剤もあり、鼻全般の症状に局所的に使用することもある。 副作用は? ステロイド剤は、短い期間で量を少なく使うのであれば、安全な薬だが、使う量や期間によって副作用が心配になる。主な副作用は、胃腸障害、顔などのむくみ、高血圧・心不全・糖尿病などの生活習慣病の悪化、皮膚・髪の毛などが弱くなる、など。 きちんと医師の指導を受け、正しい使い方をすることで、副作用を回避できるので、ちゃんと処方を守ろう。 漢方薬 どんなはたらきをする薬? 西洋医学では、現れた症状を抑えるための対症療法の薬を発展させてきたが、東洋医学の漢方が目指すのはまず病気の原因を体の変調に求め、それに対する一種の原因療法である。 漢方薬を使用する場合には、信頼できる漢方の専門医にきちんと診断を受け、西洋薬との折り合いをつけながら改善していこう。 どうやって使う薬? 小青竜湯(しょうせいりゅうとう) 体を温める。発汗をうながす。せきを止め、痛みを和らげるなどのはたらきがある。鼻水、くしゃみ、鼻炎などの症状に効く。重くて長い花粉症に。半年にわたる、長期の服用が必要な場合もあり。主に20~30歳代の、体力が充実し、栄養も十分なタイプ向き。 葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせいきゅうしんい) 鼻づまりで眠れない時などに効果的。首から肩にかけて筋肉のコリがあり、鼻水に多少粘りがあるような症状をもち、やや体力がある人向き。 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう) 主に中高年の、やせ型で血色もすぐれず、寒気を感じる、体力が弱っている人向き。麻黄による覚醒作用があるので、抗ヒスタミン薬のように眠くならない。 副作用は? 漢方というと「副作用がない」と思いがちだが、漢方薬も選び方や使い方には、注意しなくてはならない。 風邪などで処方されることの多い「小柴胡湯」などは、肝臓疾患の患者に肝機能改善の目的で投与されたところ、死亡8例をふくむ、肺炎に至るきわめて重い副作用を起こしている。 「漢方を使ってみようかな…」と思ったら、「漢方なら副作用は、まったくない」などという宣伝だけで押し通す薬局や医師には十分注意し、よく見きわめながら、相談できる専門家を探すことから始めよう!
おだてても説得しても、力づくで口に入れてもどうしても薬を飲んでくれない子。最後はもうこの手しかない!?小児科のドクター推薦の薬の飲ませ方を紹介します。 取材協力:荒井小児科医院院長 荒井恵一先生、中井こども医院院長 中井伸一先生、川越病院副院長 神村裕子先生、樫の木薬局本店 管理薬剤師 遠藤純子先生 目次 こっそり混ぜ混ぜテクニック 混ぜ混ぜの際の注意点 そのほかの飲ませ方をドクターが診断 こっそり混ぜ混ぜテクニック 薬をどうしても飲んでくれないとき、ほかの食べ物と混ぜて食べさせてみよう。子供に「お薬と一緒に食べるとおいしくなって、風邪も治るデザートだよ」などと言って、楽しみながら薬を飲ませてみては? ただし、「これなら大丈夫」と思って混ぜてた飲み物が、実は苦かったということもある。ひとつの食品でダメでも何種類か試してみる必要がありそうだ。 混ぜ混ぜの際の注意点 ●薬によって、混ぜてはいけない食品がある 病気の元凶、細菌を抑える薬(抗生剤)の多くは、オレンジジュース、りんごジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなど酸味があるものと一緒に服用することを禁じている。このように、薬によって混ぜてはいけない食品があるので、あらかじめ、医師か調剤薬局に確認しよう。 ●混ぜる食品の量は少なめに 大好きなデザートとはいえ、調子の悪いときは全部食べられないもの。混ぜる量が多すぎると食べきれず、薬も残してしまうことになる。薬を混ぜる食品の量はなるべく少なめにしておこう。また、食べ物や飲み物に薬を混ぜると成分が変わることもある。一度混ぜたら賞味時間は30分程度。それを過ぎたら捨てるようにしよう。 ●飲み物よりは食べ物に混ぜたほうがいいケースも 水に溶けにくい粉薬は、せっかく混ぜても残してしまいがち。かえってアイスクリームやコンデンスミルクなどに混ぜたほうがいいこともある。 そのほかの飲ませ方をドクターが診断 多くの親たちが編み出した「薬を飲ませるテクニック」。でも、なかにはおすすめできないものも。その飲ませ方は○、×?ドクターに聞いてみました。 ミルクや食事に混ぜたらどう? 離乳食前の赤ちゃんで、湯冷ましや麦茶は飲んでくれない。そこでミルクに混ぜてみたら…、というケースですが、ミルクや食事などは、子供たちにどうしても食べて欲しいもの。薬を混ぜて、万が一嫌いになったらその後がまた大変です。ですから、薬を混ぜるのは、デザートやジュースなど嗜好品のほうがよいでしょう。 どうしても口を開けないので押さえつけてこじ開け、流し込んでます。 そこまで無理強いして飲ませても、後で吐き出してしまうことが多く、効果がないのでは?また、子供の薬嫌いをますます増長させることにもなりかねません。どんな食品に混ぜても飲まないという場合は、かかりつけの医師に、座薬などに替えてもらえないか相談してみましょう。 粉薬とシロップは混ぜていい? 粉薬とシロップが一緒に処方された場合、飲む時間が一緒なら混ぜても大丈夫です。混ぜることで、 お母さんの飲ませる手間も省けますね。 シロップを凍らせてますけど… 一般的なシロップは凍らせても特に成分は変わりません。しかし、念のため医師または薬剤師に確認してからのほうが安心でしょう。 公開日:2001年12月3日
子供が風邪を引いたときに処方されるお薬の種類4タイブ。効き目は同じでも飲みやすさには違いがある。飲ませ方や特徴をご紹介しよう。 目次 お医者さんが処方する薬の特徴 食前、食後、食間?薬を飲むタイミング お医者さんが処方する薬の特徴 子供が風邪をひいたとき病院で処方される薬は、効き目が同じでも飲みやすさを考えて、主に以下の4種類にタイプ分けされている。子供がどうしても薬を嫌がるときは、ほかのタイプにできないか相談してみよう。 シロップ 飲みやすくするために甘味や香料を加えた液体状の薬。細菌を殺す抗生剤と、風邪の症状を抑える薬などがブレンドしてあることが多い。 基本的な飲ませ方: よく振って、哺乳瓶やスプーン、スポイトなどで飲ませる。最近はシロップを上手く飲ませるグッズもあるので、薬局やベビー用品店でチェックしてみて。 保存方法: 冷蔵庫に入れ、処方された期間が過ぎたときに余っていたら捨てる。 粉薬 体内に吸収されやすく、保存性もよい。抗生剤と解熱剤というように別々に出される場合と、複数の種類の薬を一袋にブレンドして出される場合とがある。 基本的な飲ませ方: 粉のまま口に入れるのを嫌がる小さい子の場合、粉薬に1、2滴の水を加えてよく練り、味を感じにくい頬の内側か上あごに塗りつける方法があるが、親たちの間では難しいと不評。最近は、アイスクリームなどに混ぜ込む方法が主流のよう。 保存方法: 日が当たらず、湿気の少ない場所に保管。 錠剤 保存性がよく、コンパクトなので大人に処方されることが多い。子供の場合は間違って気管に入ってしまうことがあるので、小学生くらいになってから処方されることが多い。 基本的な飲ませ方: まず、錠剤を口に入れて飲み込ませ、その後で水を飲ませる。飲んだ後、口の中やのどの奥に残っていないかチェック。最初のうちはなかなか飲み込めず、なめているうちに苦くなって失敗!ということも。 保存方法: 日が当たらず、湿気の少ない場所に保管。 座薬 肛門から入れ、直接粘膜から吸収される薬。飲み薬が苦手な子や、吐き気や熱で薬が飲めないときに処方されることが多い。 基本的な飲ませ方: 座薬に水をつけてすべりをよくし、おむつ替えの要領で足を上げさせて肛門にあて、一気に押し込む。 保存方法: 冷蔵庫に保管。 食前、食後、食間?薬を飲むタイミング 病院の薬の処方箋には、「食前」「食後」など飲む時間が指定されている。この時間の目安はどのくらい? ●食前 …食事の30分前 ●食後 …食事の後30分くらいまでの間 ●食直前…食事のすぐ前に ●食直後…食事のすぐ後に ●食間 …食事と食事の中間くらい ●就寝前…寝る前30分くらいまでの間 ●頓服(とんぷく)…症状に応じて服用 薬を1回飲み忘れたからといって、一度に2回分飲むのは絶対ダメ。指定のタイミングで薬を飲ませ忘れたり、子供が飲んでくれなかった場合、次の薬との間が下表くらい空けられれば、気づいた時点で薬を飲ませるようにしよう。次の薬の時間がせまってるようなら、その時間もあとにずらそう。 ●1日3回飲む薬…4時間以上 ●1日2回飲む薬…5時間以上 ●1日1回飲む薬…8時間以上 公開日:2001年12月3日
アレルギーの薬にはステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などがある。しかしそれを効果的に、安全に使うには、医師との信頼関係も大切となる。 目次 一番の「薬」はお医者さんとの「信頼関係」 「良いお医者さん」は自分で作ろう 一番の「薬」はお医者さんとの「信頼関係」 アレルギーは「ひとりひとりで違う」病気なので、薬の使い方も実は、とてもデリケートなものだ。「どんな強さのものを」「どのくらいの量」「回数」「どんな使い方」で使用するのか?が判明するのに時間がかかるものなのだ。色々試し、確認しながら進めていく。その間、まず何より大切なのは「お医者さんとの信頼関係」。 「効く」薬を使っても、信頼関係がなければ治らないと言っても良いくらいだ。アレルギーは、医師と患者が力を合わせなければ「最善」の道はなかなか見つからない。そもそも、しかりつけたり脅すようなことを言う、ろくに相手をしてくれないような医師なら、始めから通院は考えものだが、多くは「良いお医者さん」になってくれる。そのためのコツについてはこちら! ステロイド剤ってどんな薬? アレルギー薬の中でも有名なのがこの「ステロイド剤」。副腎皮質ホルモンを合成したもので、特に「炎症」には劇的に効き、2~3日で効果が出始める。しかし「効く」分、依存症や副作用が取りざたされ、同時に「怖い薬」というイメージがある。しかし怖いのはステロイド剤そのものではなく、「使い方」を誤ってしまうこと。そのためにも医師との信頼関係が重要なのだ。 ケース1:アトピーでステロイド軟膏をもらったが、副作用が怖いので「1日3回」と言われたが、1回しか塗らなかった。 →改善しないため長期間使うことになり、結局塗った量は増えてしまった。あるいは医師はもっと強いステロイド剤に変えることになった。 ケース2:ステロイド軟膏を続けていたが、いつになれば止められるのか不安になり、塗るのを止めたらリバウンドして、余計ひどくなった。 →段階的に弱いステロイド剤に変えている途中だったのに、結局もとの強いステロイド剤に戻ってしまった。 ステロイド剤は「ずーっと(しかも強いまま)使う」薬ではない。最初の「ひどい状態」をしずめる「スタートダッシュ」に使うのだ。したがって、短期間のうちにしずめる一番効果的な量・回数が考えられている。それを素人判断で変える前に、まずは「相談」してみよう! 抗ヒスタミン剤ってどんな薬? アレルギーの症状は、「アレルゲンが来た!」という信号となる化学伝達物質のヒスタミンなどが末梢神経に近づき、それが脳に伝わって、初めて出る。そこで、抗ヒスタミン薬でヒスタミンに先回りして末梢神経に密着し、ヒスタミンが近づけないようにガード。すると信号が脳へ伝わらないために発症しないのだ。これは速効性のある「かゆみ止め」に使われる。 抗アレルギー剤ってどんな薬? ヒスタミンそのものが作られたり、放出されるのをおさえる薬。現在、花粉症では、一般的に使われている。アトピーなどでは、かゆくて眠れないときなどに内服で使用する。 「良いお医者さん」は自分で作ろう アレルギー治療で一番良いのは通いやすい「近所の専門医」。しかしそこの医師が、何だかそっけなかったらどうしよう…?「良い医者がいない」とはよく聞くが、診察を受けている側にも「やる気のある態度」が見えなければ、医師もそっけなくなるのは当たり前。むしろ多くの医師は、積極的に質問すれば「この人は治そうという意志があるんだな!」と感じ、積極的に関わってくれるはず。「薬の説明もされなかった」とよく聞くが、その薬を渡されたときに、まず「どんな薬ですか?」と尋ねてみただろうか?医者を「良く」も「悪く」もしているのは、患者の態度にも理由があるのだ。 上手にお医者さんにかかるコツ 1. そのときの診療の目的や質問などはメモに書き出していく(ただし、あまり多くては時間も足りないので1回につき1つに絞って) 2. これまでの状態・経過・取り組んだことの記録などを提示する(カンタンなものでもOK!) 3. 自分で取り組んでみたいことなどは、事前に相談してから 4. 改善しても、勝手に薬と通院を止めないで状態を見せていく
近年「心の病」の治療では、特に「薬」はめざましい発展を遂げ、確実に成果を上げています。 目次 今どきの「心の病」の治し方 心と体は分けられない 主な向精神薬と、その用法・目的 今どきの「心の病」の治し方 近年「心の病」は、単に本人の性格や生い立ちだけの問題としてとらえることはほとんどなくなりました。それとともに体(脳など)にはたらきかける治療、特に「薬」はめざましい発展を遂げ、確実に成果を上げています。現在、主に行われている治療方法は以下の通りです。 精神療法 精神分析や行動療法など。主に信頼関係に基づいて「話をする」ということで治療を行います。 自らが不安感をコントロールしていく認知療法なども、最近特に注目されています。 薬物療法 ここ数十年で飛躍的な発展をとげた療法で、現在の精神医療には欠かせません。 専門医が、ドーパミンなど脳内神経伝達物質の活動や解剖学的変化について、想像をはたらかせ薬を処方します。 作業療法 ダンスやお芝居、音楽、美術など、さまざまな活動を通して、社会復帰へのリハビリを行います。 また病状を将来に向け安定させ、再発を予防します。 心と体は分けられない ところでなぜ、薬で「心」を治すことができるのでしょうか? 心も「脳」という体の一部のはたらきであることを前提として、脳生物学が発展し、向精神薬の種類は増加、そのメカニズムの解明も進みました。 うつ病患者の不安感が脳内物質のはたらきであるなら、それを薬でやわらげ、最悪の事態も避けることができます。 しかし、薬は基本的に対症療法となります。増大する不安感を抑えることはできても、不安に感じる原因そのものは取り除けません。そういった意味で、不安の原因を自ら見つめ直したり、上手に不安感を回避する方法を身につけたりする精神療法が大切となります。 しかしさらに考えると、確かに心は体の一部で、誰でも体調の悪い時には不安になるし、病気になれば落ち込みます。心の病が生活習慣病のひとつと言われるようになったのは、生活習慣の乱れの蓄積が体にも心にも病をもたらすからです。 病気になってしまった場合、不安感や焦り、無気力に取りつかれたままでは前に進めません。ときには薬という防具を身につけ、新たな生活習慣を獲得していきましょう。 主な向精神薬と、その用法・目的 心の病に処方する「向精神薬」は、機能異常(ズレ)の症状を改善・正常化するために使われるものです。 抗不安薬 ベンゾジアゼピン系 主に神経症的症状の治療に用いられる。不安、緊張、抑うつ、焦燥、睡眠障害など。うつ病の抗うつ剤と併用されることも多い。 抗精神病薬 フェノチアジン系、ブチロフェノン系、ベンザミド系など 主に精神分裂病的症状の治療に用いる。薬剤によって、鎮静効果、幻覚・妄想の改善。投与量によって、自発性を高める、引きこもりを改善する作用を有するものがある。 抗うつ薬 イミプラミン系など 意欲を高め、気分を明るくし、不安を軽減する効果がある。脳内伝達物質のノルエピネフリンやセロトニンのはたらきを高める。 抗躁薬 炭酸リチウム 高揚した気分や興奮、それにともなう誇大妄想などの症状を安定化する。抗てんかん剤にも同様の効果があるため、そちらが使われることもある。 睡眠薬 ベンゾジアゼピン系など 単独で使用する他、睡眠障害をともなっている元の病気や状態により、抗うつ薬や抗精神病薬と同時に使用することもある。 公開日:1999年3月27日
栄養ドリンクは種類も値段も多種多彩。普段飲み慣れない人は、ずらりと並ぶドリンク剤たちの前で、選ぶ基準が分からず立ち尽くしてしまうかもしれません。ドリンク剤の中味の違い、値段と効き目の関係など、ドリンク剤を選ぶときのヒントをお教えします。 目次 ほかの人は何を飲んでいる? 高ければ高いほど効くのか? ほかの人は何を飲んでいる? まずは参考までに、アンケートを返してくれた人の愛飲ドリンクをご紹介します。 新グロモント(10本で800円前後)Sさん ユンケル(2,000円ぐらい)Hさん リポビタンA(150円)Mさん リポビタンD(110~140円)Iさん チオビタドリンク(10本で800円くらい)Sさん なるほど、手ごろな値段のものが人気のようです。 ほかにも、「疲れたときや風邪のときはユンケル(1,000円)、飲み会や海外出張のときはヘパリーゼ」(Tさん)というように使い分けている人(注:ヘパリーゼは肝臓水解物が主成分で、お酒や夏バテなどの疲れにおすすめ。400円)や、「養命酒を毎晩30ccほど飲んでいます。よく眠れて、翌朝は目覚めも爽やかです」(Oさん)という漢方派もいました(注:養命酒の主成分は生薬。アルコール14度で、カフェインは含まれません)。 高ければ高いほど効くのか? ユンケルひとつとっても、「ユンケル黄帝液」に始まって「ユンケル黄帝L」「ユンケル黄帝ゴールド」「ユンケル黄帝ロイヤル」「ユンケルスター」など、微妙に名前の異なる商品が何種類も棚に並んでいます。その値段もさまざまです。 高いほど効くのかということに関しては、はっきり答えを出すことは難しいのですが、医師がいうには「値段ほどには差はない」ようです。 ドリンク剤の効用には2つあります。ひとつは「成分による効用」です。値段が高いものの場合、含まれている成分の種類が多いため、その分、飲んだ人の症状にちょうどよい確率が高い(=効く可能性が高い)ということになるでしょう。 そして、もうひとつの効用が「心理的効果」です。つまり「飲んだ」という安心感によって回復させるというもので、値段が高いほどその効果が高いことは言うまでもありません。 お、効いてきた効いてきた!ドリンク剤ってすごいなあ うーん、効かないなあ。やっぱりケチっちゃだめかぁ よし!これなら効くぞー 最後に、薬剤師さんに聞いた「お客様へのドリンク剤の勧め方」をご紹介します。 「まず、どんな人が飲むのかを聞きます。年齢や性別、疲れ具合といったことですね。次に、常用しているかどうかを聞いて、初心者なら、値段の安いものをおすすめします。2,000円も3,000円もするような高いものはキツイのでおすすめしません。比較的安価なドリンク剤で十分です。逆に、常用している人には、いつも飲んでいるものよりも1ランク高いものやほかのメーカーの商品をおすすめします。」
飲むと不思議に力が湧いてくる栄養ドリンク剤。栄養ドリンク剤の効き目の秘密とは?常用した場合の体への影響も知っておきましょう。 目次 ドリンク剤を飲むと力が湧くのはなぜ? 常用しても体に害はない? ドリンク剤は「飲み合わせ」に注意! ドリンク剤を飲むと力が湧くのはなぜ? 朝までに仕上げなければいけない仕事がある、でもちょっと疲れ気味。風邪気味で朝から調子悪い、でも大事な会議がある。 こんなとき、ドリンク剤を1本グイッと飲むと、不思議と元気が出てきます。 でも、なぜこんなに効くのでしょうか。もしかして「よしっ飲んだぞ」という心理的作用だけなのでしょうか。 そこで、ドリンク剤の成分を調べてみました。商品によって違いはありますが、よく含まれているのは次のようなものになります。 アルコールについては、「アルコール0.9ml以下」などと表示してあります。アルコール入りのものは、飲んですぐ元気になりたいという短期的効果を狙うときに効きます。一種の興奮剤のようなものでしょう。ただし、効き目がきれるとドッと疲れが押し寄せるようです。 逆に、ビタミン補給のためなど、体の慢性的な不調を改善したいなら、アルコールを含まずビタミンがたっぷり配合されたものを飲むとよいでしょう。 生薬とは、ニンジン、ローヤルゼリー、イカリ草などのこと。強壮強精、食欲増進などの作用があります。 結局エナジードリンクは疲れに効くの?それとも危険? ところで、最近よく聞くタウリンとは何か知っていますか?これはカキなどの食品の中に多く含まれるもので、副作用もなく、積極的に摂ると肝臓の機能を高めてくれるもの。さらに血液中のコレステロールを下げて生活習慣病の予防にも役立つという、いいことづくめのスグレモノなのだとか。近年、薬や栄養剤にどんどん取り入れられるようになってきています(成分表にはアミノエチルスルホン酸と表示されています)。 タウリンと脂肪肝の関係性について 常用しても体に害はない? ドリンク剤は、定常的に飲むことによる害はあるのでしょうか?さっそく専門家に聞きました。 成分として含まれているアルコールやカフェインは嗜好品であるため、依存症になる可能性があるとのこと。またドリンク剤には、脳のはたらきを活性化させる(頭をスッキリさせる)ために、糖分がたくさん含まれているものも多く、毎日飲みつづけると糖尿病につながる可能性もあるということです。 さらに、自らの経験からこうアドバイスしてくれました。 「何日も飲みつづけるのは避けたほうがよいと思います。あとから無理をした反動がきます。つまり、明日がレポートの提出で、『何が何でも今晩中に書き上げなければならない、でも今晩だけ頑張れば明日の夜はゆっくり休める』というときには、良いかもしれませんね。」 「効きにくい体質だから」などとまとめ飲みするのは、もってのほか。カフェインの血中濃度があがってイライラや頭痛を起こすなど、副作用のもとになります。 ドリンク剤は「飲み合わせ」に注意! ドリンク剤に含まれるアルコールとカフェインが、ほかの薬との飲み合わせで障害を起こすことがあります。むやみやたらに飲まないようにしましょう。 風邪薬や気管支拡張剤と一緒に飲まない カフェインと、これらの薬の成分との相互作用により、頭痛を起こすことがあります。 睡眠薬や血糖下降剤(糖尿病治療薬)と一緒に飲まない アルコール入りのドリンク剤の場合、これらの薬を一緒に飲むと、睡眠薬の効力が強くなりすぎたり、血糖のコントロールができなくなることがあります。
ビタミン剤のより効果的な飲み方や、飲みすぎた時の過剰症、飲み合わせなどについて説明します。 目次 ビタミン剤は飲み過ぎても害はない? ビタミン剤の効果的な飲み方とは? 医薬品と健康食品はどう違う? ビタミン剤は飲み過ぎても害はない? たくさん摂れば摂るほど健康になれる、何となくそんな気がしてくるビタミンですが、摂り過ぎは禁物です。 ビタミンには「水溶性」と「脂溶性」があります。水溶性ビタミンは、体内に入ってから余分なものは数時間で尿などで排泄されてしまいますが、脂溶性ビタミンの場合は使いきれなかった分が体内に蓄積され、過剰症という形でさまざまな障害を起こすことになります。ビタミンAは頭痛や肝機能障害、Dは腎臓障害、Kは肝機能障害などです(ビタミンEだけは過剰症の心配がないといわれています)。 ふつうに食事からビタミンを摂る場合は、過剰症の心配はまずありませんが、ビタミン剤は手軽なだけについ飲み過ぎてしまうこともあり得るので、気をつけましょう。 ビタミン剤の効果的な飲み方とは? 食後に飲もう 胃腸の消化活動が活発な「食後」に飲んだほうが、ビタミンが吸収されやすくなります。とくにビタミンA、D、Eといった脂溶性ビタミンは、食事に含まれる脂肪分が吸収を助けてくれるので、必ず食後に飲むとよいでしょう。 まとめて飲むより、1日3回に分けよう 1回の摂取で体が使うビタミンの量は限られているので、それを超える量を摂っても、それ以上の効果は期待できません。したがって、1日1回まとめて飲むよりも、朝・昼・晩と1日3回に小分けしてコンスタントに飲むほうがよいのです。 飲み合わせに注意 例えばビタミンB1はアルカリに弱いので、重曹(炭酸水素ナトリウム)入りの胃腸薬とは一緒に飲まないようにしたほうがよいでしょう(重曹を飲むと血液中のアルカリ度が高くなる)。また腎臓疾患や痛風などの持病を持っている人は、ビタミンCを大量に摂ると病状を悪化させるおそれがあるので、事前に医師に相談することです。 医薬品と健康食品はどう違う? ビタミン剤は、大きくは医薬品扱いのものと食品扱いのものに分けられます。医薬品のほうは、どういう配合ならビタミン剤として認可されるかの厳しい基準があり、成分・量・用法・効能などの表示が義務付けられています。それに対して、いわゆる健康食品(栄養強化食品)の場合は、成分量などの基準が明確でなく、内容表示もまちまちです。 両者ともパッケージは似ていますが、医薬品のほうには「医薬品」と明示されているので、見ればすぐわかるでしょう。なお、健康食品については、(財)日本健康食品協会の認定マークがついたもの(健康食品業界の自主規制のようなもの)を選ぶのもひとつの目安になるでしょう。
医薬品扱いのもの、栄養補助食品、コンビニで手軽に買えるタブレット、ジュース…。ビタミン補給には、実にさまざまな商品があります。食事でビタミンが摂りきれないときのお助けアイテムとして、上手に生活にとり入れるとよいでしょう。 目次 アメリカでは、ビタミン剤は食後の習慣 ビタミン剤を飲めば野菜はいらない? ビタミン剤を選ぶ時のポイント アメリカでは、ビタミン剤は食後の習慣 アメリカ人のビタミン好きは有名です。ある調査によると、35%もの人がビタミン剤などの栄養補助食品を常用しているといいます。肉中心のアメリカ人の食事はどうしても栄養が偏りがちなため、食後にビタミン剤などを飲むことが、何十年も前からの習慣になっているようです。 一方、日本人はどうでしょうか。疲れた会社員が、けだるそうにビタミン剤を取り出して飲む、そんな光景がつい目に浮かんでしまいます。習慣というよりは、疲れを取る薬、といった感じかもしれません。 しかし、日本人の食生活もいまや欧米化しています。ビタミン不足など、自分の健康に対する関心をそれぞれがもっと強く持つべきかもしれません。 ビタミン剤を飲めば野菜はいらない? ビタミン剤なら、食品のような面倒くさい栄養計算なしに、効率よく必要なビタミン量が摂れます。「もしかして、各種ビタミン剤を毎日ちゃんと飲めば、野菜や肉は食べなくても大丈夫なのでは…?」と思うかもしれません。 でも、やはり基本は食事から。ビタミン剤は手軽に飲めて摂取量がハッキリわかるというメリットがありますが、やはり栄養全体のバランスを考えれば、食品にはかないません。食品の場合は、一度に何種類ものビタミンやミネラルなどの栄養素を摂ることができます。 例えばビタミンの宝庫といわれるレバーには、ビタミンA、B2、B6、B12、D、K、ニコチン酸、葉酸などが含まれており、それぞれのビタミンのはたらきを相乗効果で強くしているのです。 毎日、栄養バランスのとれた正しい食事(目標は1日30品目!)を摂り、その補助としてビタミン剤を使います。これがビタミンとの上手な付き合い方です。 ビタミン剤を選ぶ時のポイント ドラッグストアなどに行くと、ビタミンの錠剤などが種類別にきれいに並べられています。数多いビタミン剤の中から、何を選べばよいのでしょうか。そのコツをご紹介します。 こんなアナタにはこのビタミン! 目的をはっきりさせよう 何のためにビタミン剤を使うのか、どのビタミンを補うべきかを把握しましょう。 栄養補助には、総合ビタミン剤を選ぶ 総合ビタミン剤は、毎日の食事で不足しやすいビタミンを補うことを目的としてつくられたものです。総合といっても、すべてのビタミンがまんべんなく含まれているとは限らず、商品によって含まれるビタミンの種類や量が違うので、内容を確認して自分に合ったものを選びましょう。 ビタミンBは、B群複合剤を選ぶ B群は単品で摂るよりもいっしょに摂ったほうが効率的にはたらきます。B群のひとつだけを摂り過ぎると、ほかのB群と一緒に排泄され、ほかのB群が不足することがあるので、複合剤を選ぶのがおすすめです。 ビタミンC剤は、3ヵ月以内に飲める量のものを選ぶ ビタミンCは酸化しやすいので、短期間で消費できるものがよいでしょう。 ビタミンE剤は、天然型を選ぶ ビタミン剤に入っているビタミンには、天然のものと化学合成されたものとがあります。どちらでも効果に変わりはありませんが、ビタミンEの場合だけは別で、合成されたものは天然のものの7割程度の効力しかないといわれています。
みなさん普段薬局で薬を購入する時に、どのように選んでいますか?同じ風邪薬や胃腸薬、鎮痛薬でも多くの種類の市販薬があり、正直、何を基準に選べばよいかわかりませんよね。よくある症状について、どの薬を選んだらよいかポイントをまとめてみました。 目次 風邪薬の選び方 胃腸薬の選び方 鎮痛薬の選び方 皮膚薬の選び方 目薬の選び方 風邪薬の選び方 熱が38℃以下で、軽い頭痛・咳・鼻水・くしゃみがあるとき 総合感冒薬で様子を見ます。次のうち、特に強い症状に合わせて、その成分が多めに配合されたものを選ぶとよいでしょう。 熱・頭痛・関節痛…解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン、エテンザミドなど) 咳・たん…鎮咳去痰剤(ノスカピン、リン酸ジヒドロコデインなど) クシャミ・鼻水…抗ヒスタミン剤(マレイン酸カルビノキサミンなど) 全身に倦怠感がある…ビタミン剤配合のもの 肩こりや筋肉痛がある…葛根湯エキス配合のもの ノドの痛みがある…抗炎症剤・抗プラスミン剤配合のもの 胃腸が悪い…制酸剤配合のもの 熱が38℃以上あり、体全体が痛むとき 解熱・鎮痛薬 くわしくは鎮痛薬のところをご覧ください。 熱や鼻水はないが、咳・たんがひどいとき 鎮咳去痰薬アレルギー性の咳には、抗ヒスタミン剤(マレイン酸クロルフェニラミンなど)配合のものを選びましょう。 熱や咳はないが、鼻水・クシャミなど鼻かぜの症状が強いとき 鼻炎薬 副作用による眠気を防ぎたいときは、抗ヒスタミン剤が含まれないものを選びましょう。 ノドが痛いとき うがい薬、トローチ剤 胃腸薬の選び方 胃もたれ・胸焼け・げっぷ・食欲不振などの症状が複合的に現れたとき 総合胃腸薬 胸焼け・げっぷをおさえたい…制酸剤(炭酸水素ナトリウムなど)配合のもの 二日酔いなどで、食欲がない…健胃剤(ゲンチアナ、塩化カルニチンなど)配合のもの 胃がもたれる…消化剤(リパーゼ、ビオジアスターゼなど)配合のもの 胃酸の過剰分泌による胃痛・胸焼け・胃もたれには、H2ブロッカー(シメチジン、ファモチジン、ラニチジン) いわゆるスイッチOTC薬で、効き目が強く、間違った使い方をすると危険なので、薬剤師に相談のうえ正しく使用し、2週間以上の長期の服用は厳禁です。ニコチンに弱いので、たばこは控えます。 下痢をしやすい 整腸薬 胃や腸が痛むとき 鎮痛鎮痙剤 便秘のとき 便秘薬 習慣性の便秘で、腹痛・嘔吐などがあるときは、ビサコジル配合のもの(15分~1時間で効果が出る) 妊婦や高齢者(強い作用を避けたい人)は、生薬配合のもの(センナ、ダイオウ) 下痢のとき 下痢止め 鎮痛薬の選び方 痛み止め・熱さまし 解熱鎮痛剤 / 頓服薬 どうしても痛みが我慢できない時や熱を下げたい時に使うようにしましょう。 早く痛みや熱を取り除きたい…イブプロフェン(スイッチOTC)やアスピリン、アセトアミノフェンなど配合のもの 激しい頭痛…催眠鎮痛剤(ブロムワレリル尿素など)配合のもの 神経痛や変形性関節症の痛み…アスピリン配合のもの 肩こり・腰痛の貼り薬・塗り薬 急性で患部に炎症があるときは、冷湿布 慢性の肩こり・腰痛には、温湿布 皮膚が弱くてかぶれやすい人は、塗るクスリやスプレーを使うとよいでしょう。 皮膚薬の選び方 湿疹・かぶれ薬 かゆみが強いときは、抗ヒスタミン剤(マレイン酸クロルフェニラミンなど)配合のもの かぶれによるはれがひどいときは、抗炎症剤(グリチルリチン酸など)配合のもの 殺菌・消毒薬 痛みがあるときは、局所麻酔剤(リドカイン、塩酸ジブカインなど)配合のもの 出血が続いているときは、止血作用がある塩酸エピネフィリンなど配合のもの 細菌による二次感染が心配なときは、殺菌消毒薬配合のもの(オキシドール、アクリノールなど) ニキビ薬 ニキビができたら、1日5~6回以上、ぬるま湯と石鹸でよく洗顔し、脂肪分や糖分が多いものを控えて、食物繊維が多い野菜などをたくさん食べましょう。それでも治らない時に、ニキビ薬を使います。なお、ニキビの時には副腎皮質ホルモン(ステロイド)が含まれた軟膏を使ってはいけません。 水虫薬 かゆみが強いときは、クロタミトンやリドカインなど配合のものがよいでしょう。 目薬の選び方 アレルギー性結膜炎(花粉症)には、抗アレルギー剤(マレイン酸クロルフェニラミンなど)配合のもの ものもらいには、抗菌剤(スルファメトキサゾールナトリウムなど)配合のもの コンタクトレンズ用には、涙と同じ成分(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)のもの
薬を飲むとき、食べ物・飲み物によっては、思わぬ副作用を引き起こすことがあります。風邪薬とコーヒー、ワーファリンと納豆など、知っておきたい組み合わせをまとめました。 目次 思わぬ副作用を引き起こす組み合わせ 新薬開発にはどんなメリットがあるの? 思わぬ副作用を引き起こす組み合わせ 知らない人も多いかもしれませんが、薬と食べ物・飲み物には「相性」があります。組み合わせによっては、薬の効きが良くもなったり悪くもなったりします。いちばん怖いのは、相互作用により思わぬ副作用を引き起こすことです。知っておきたい組み合わせの例を、挙げました。 薬品名 食品 こんな相互作用が起こりやすい カフェイン配合の風邪薬 お茶・コーヒー・紅茶などカフェインを含むもの カフェインによる副作用(手のふるえ、めまい、不眠、不整脈など) シメチジン製剤(胃・十二指腸潰瘍治療薬) テオフィリン(気管支拡張剤) 不眠、不穏 H2ブロッカー アルコール アルコールの作用を増強するため、アルコールの中毒症状が出る(神経過敏、錯乱、人の見分けが困難) グリセオフルビン製剤(水虫治療の飲み薬) ひどい発疹、顔面紅潮、頭痛、動悸など二日酔いのような症状 解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン配合) アルコールの代謝促進作用により、毒性の強い薬に変化する ワーファリン(血栓症の治療のための抗凝血剤) 納豆などビタミンKを含む食品(ほかキャベツ、レタス、ブロッコリー、クロレラなど) ビタミンKの血液凝固作用により、ワーファリンの作用が低下する(とくに納豆菌は腸内でビタミンKを合成する) ビタミンA・Eを含む食品 逆に、作用が強くなる(鼻血が出るなどの副作用をおこすこともある) 鼻炎治療薬(塩酸フェニルプロパノール配合) チーズ・ヨーグルトなどチラミンを含む食品 頭痛、胸苦しさ、血圧上昇(チラミンの刺激作用) 三環系抗うつ剤 血圧が急激に上がる ペニシリン製剤・エリスロマイシン製剤(抗生物質)、ワーファリン(抗凝血剤) オレンジジュース 酸性飲料と一緒に飲むと効力が低下する 抗生物質(セファレキシン製剤など)、鉄剤、下剤の一部(コーラックなど) 牛乳 吸収が低下して、効き目が落ちる グリセオフルビン製剤(水虫治療の飲み薬) 吸収がよくなって効き目が増大する(ただし副作用が強くでることも) ベーコン、バターなど高脂肪食品 胃腸障害、めまい、発疹、頭痛(胃腸によく吸収されて血中濃度が2倍近くなるため) テトラサイクリン系抗生物質 乳製品 薬の成分がカルシウムと結合して吸収されなくなる 新薬開発にはどんなメリットがあるの? どこの製造メーカーでも新商品開発というのは大変重要な業務であるが、薬品会社における新薬開発のメリットというものは他業種とはまた違ったもののようです。 ここで、簡単に新薬の価格について触れてみましょう。 ふつう新薬の価格は、「類似薬効比較」という方式により、すでに使われている薬の中で効能効果などが最も似ているものの価格を参考にして、厚生労働省で決定されます。それが画期的な新薬であればあるほど、その分プラスアルファして、高い価格設定になります(ちなみに、薬の成分自体の価格は非常に安いものであるため、薬品会社はその価格次第で大きな利益が得られます)。 ところが、一定期間(薬によって異なりますが5~10年)を過ぎてその新薬の特許が切れた後に出す「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」では、開発費がかかっていない分、価格設定も先発品の8割程度におさえられてしまいます。もともとの価格設定がこれだけ違えば、当然売り上げにも大きな差が出てきます。 また、薬の値段(薬価基準)というものは、平成8年より導入された「再算定方式」により、売り上げが急激に伸びたものなどは、その程度に応じて価格が引き下げられる仕組みになっています。 となると、製薬会社が業績を伸ばすために、今まで使われていて価格が下がってしまった薬より、高い価格設定が可能な新薬の開発・販売に力を入れるのも当然かもしれません。業界で一番に開発したとなれば、企業としての格も上がるでしょう。そういったことを考え合わせれば、「新薬開発」には莫大な開発費を注ぎ込んでもさらに何倍ものメリットがあります。そしてこの新薬開発は、いまや薬品会社にとって業界で生き残っていくための「頼みの綱」となっています。
薬の使用法や服用法には、子供の頃から本当だと思いこんでいるけど実は間違っているということが多くあります。「カプセルなら水なしで飲んでも良い」「水の代わりにジュースで飲んでも良い」など、あなたにも間違った薬の知識があるかもしれません。 目次 錠剤は、かみ砕いて飲むと早く効く? 水のかわりにコーヒーやジュースで飲んでもいい? 牛乳と一緒に飲むとよい薬もある? 錠剤やカプセルなら水なしで飲んでもかまわない? 薬は寝たままより起きて飲んだほうがいい? タバコは薬の効き目に影響する? 薬を飲む前は、コゲたものを食べないほうがいい? かぶれで軟膏を使うときには、よくすりこむといい?」 「食間」服用とは、食事の途中で薬を飲むこと? 未開封の薬なら、多少古いものでも大丈夫? 錠剤は、かみ砕いて飲むと早く効く? 錠剤のコーティングやカプセル(ゼラチン)などは、いやな臭いや苦味を防ぐほかに、「いつどこで溶けて作用させるか」を微妙に調節するという、とても重要な役目を果たしています。錠剤をかみ砕いたりカプセルをはずして中身だけ飲んだりすることは、わざわざ効かなくしているようなもの。そのままの形で服用するのが原則です(チュアブル錠というかみ砕いて飲むものもありますが、これは例外です)。 というわけで、正解は「ウソ」 水のかわりにコーヒーやジュースで飲んでもいい? 薬をジュースやコーヒー、お茶、お酒、ドリンク剤などで飲むと、その中に含まれる成分や添加物の影響で、効くのが遅れたり副作用を起こすことがあります。たとえば風邪薬の多くにはカフェインが含まれているので、コーヒーやお茶と一緒に飲むと、カフェインを過剰に摂取したことになり、頭痛や不眠などに陥ることも。水またはぬるま湯で飲むのが一番です。小さな子供が薬を嫌がってジュースで飲むのは仕方ありませんが、なるべく少量にしておきましょう。 というわけで、正解は「ウソ」 牛乳と一緒に飲むとよい薬もある? 鎮痛薬を飲むと、胃が痛くなることがあります。これを防ぐには、薬を飲む前に牛乳を飲んでおくとよいでしょう。お酒を飲む前に牛乳を飲むと悪酔いしない、といわれるのと同じように、牛乳の脂肪分が胃壁を保護し、薬の成分の急激な吸収を遅らせて、胃が荒れるのを防いでくれます。逆に、テトラサイクリンなどの「抗生物質」は、吸収が悪くなるので、牛乳と一緒に飲まないようにしましょう。 というわけで、正解は「ホント」 錠剤やカプセルなら水なしで飲んでもかまわない? 水なしで飲むと、胃の中で薬が溶けにくく、効き目が遅くなったり低下したりします。さらに、口の中や食道にくっついて炎症を起こすことも。「コップ1杯の水で飲む」というのは、単に飲みやすくするためではなく、効きをよくするためなのです。「面倒くさい!」と薬だけを口に放り込むのはやめたほうがよいでしょう。 というわけで、正解は「ウソ」 薬は寝たままより起きて飲んだほうがいい? 寝たまま飲んだり、飲んだ後すぐ寝ると、薬がのどの奥や食道にとどまり、炎症や潰瘍の原因になります。さらに、立って飲んだ時より効き目が現れるのが30分も遅れたという報告もあります。薬は水と一緒に飲めば、10秒ほどで食道を通過するので、ヘロヘロで起きられない時でも、薬を飲む時だけは頑張って上体を起こして飲むようにしましょう。 というわけで、正解は「ホント」 タバコは薬の効き目に影響する? タバコの煙の中には、薬の効き目を弱めたり、効き目の持続時間を短くしたりする成分が含まれています。たとえば、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)、喘息の薬(テオフィリン)、降圧薬(プロプラノロール)、精神安定剤(ジアゼパム)などは、効き目が弱くなるといわれます。病気を治したいのであれば、その間だけでもタバコは我慢をしましょう。 というわけで、正解は「ホント」 薬を飲む前は、コゲたものを食べないほうがいい? コゲが変質してできた活性炭には、吸収剤のはたらきがあります。胃の中に活性炭があると、せっかく飲んだ薬の有効成分が活性炭に吸収されてしまい、その分胃の壁から吸収される成分が少なくなるため、効きが悪くなります。焼き魚、肉、野菜、パンなど何でも、コゲたところは避けたほうがよいでしょう。 というわけで、正解は「ホント」 かぶれで軟膏を使うときには、よくすりこむといい? 外用剤の使い方は、中にある説明書の指示にしたがうこと。湿疹やかぶれの時は、よく効くようにと薬をすりこむと、皮膚を刺激してかえって症状が悪化することもあります。軽く伸ばすように塗るとよいでしょう。 というわけで、正解は「ウソ」 「食間」服用とは、食事の途中で薬を飲むこと? 「食間」とは、食事の約2時間後、つまり食事と食事の間(胃が空っぽの状態)という意味なので、誤解のないように。ちなみに「食前」は食事の約30分前、「食後」は食事の約30分後、「就寝前」は眠りにつく約30分前を指します。吸収の善し悪しや副作用のことを考えて、こうした指示がされているわけですが、食事の時間が不規則な人は、食事の時間にこだわらず、6時間おきなどというように、自分で時間を決めるのも一つの方法です。 というわけで、正解は「ウソ」 未開封の薬なら、多少古いものでも大丈夫? 薬にも「有効期限」があり、3年以内のものはすべて有効期限を表示する決まりになっています。たとえ未開封のまま適所にきちんと保管されていたとしても、薬の成分は毎日少しずつ変質していくもの。効き目が落ちるばかりか、害になることだってあります。期限がきれた薬は絶対に使わず、捨てること。開封後は2~3ヵ月 (目薬など液状のものは1ヵ月)が目安です。 というわけで、正解は「ウソ」
薬は一体どんな仕組みで、私たちの病気を治してくれるのでしょうか。そしてなぜ、副作用が起こってしまうのでしょうか。 目次 薬は血液とともに体の中をかけめぐる 副作用はなぜ起こるの? こんな人は、薬弱者!?使用の際にはご用心 薬は血液とともに体の中をかけめぐる 個々の薬によって、そのメカニズムは異なりますが、ここでは内服剤が口に入ってからの一般的な流れを見てみましょう。 ●吸収:口から入った薬は、食道を通って胃に入り、いったんここで分解されます。しかし、ここではあまり吸収されず、大部分はその先の小腸から血液中に取り込まれ、門脈(消化管からの血液を集めて肝臓に運ぶ静脈)にいたります。 ●代謝:肝臓に送られた薬は、体の細胞に吸収されやすい形に変化したり、分解されたり、毒性を弱められたりします。こうした肝臓での化学変化のことを毒物代謝といいます。 ●分布:肝臓を通ったあと、薬の成分は血液によって全身へ送られます。目的とする臓器(病気の部分)に着いて直接作用したり、または中枢や細胞の酵素代謝にはたらきかけて、病気を治します。 ●排泄:薬としてはたらき終えたものは、体外に排出されます。水溶性のものは腎臓から尿として体外に出ます。このほか、肝臓から胆汁中に出て便の中へ出るもの、呼気や汗、乳汁、唾液に出るものもあります。 副作用はなぜ起こるの? 紙に表と裏があるように、薬には病気を治す有効作用とともに、有毒な作用もあります。これは薬のもつ宿命でもあり、副作用を完全に避けることはできません。 以下は、副作用の主な原因です。 薬の量が多いため 薬物アレルギーのため 主作用の過剰発現のため 糖尿病治療薬で血糖値が下がりすぎたり、降圧剤で血圧が下がりすぎるなど 目的以外の二次的作用のため 病気を起こしていないところにまで作用してしまうこと。たとえば、風邪薬や鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン剤は、眠気や口の渇きを引き起こす 肝臓・腎臓の機能が衰えているため 薬の代謝・排泄がうまくいかない 薬同士の相互作用のため 2種類以上の薬を服用した場合、効果が強くなりすぎたり、逆に効きが悪くなって病状を悪化させることがある 食品との相互作用のため こんな人は、薬弱者!?使用の際にはご用心 薬物アレルギーの人 起こりやすい副作用 特定の薬に対するアレルギー反応で、たとえ少量でも起こります。先天的なものであることが多いようです。発疹・かゆみなどの症状が多いが、ショックを起こすこともあります。 注意ポイント 過去に薬や食品でアレルギーを起こしたり、家族にアレルギーの人がいる場合は、必ず医師や薬剤師にその旨相談します。抗生物質、解熱鎮痛薬などは副作用・薬物アレルギーを起こしやすいようです。 高齢者 起こりやすい副作用 肝臓や腎臓の機能が低下しているため、薬が強く作用したり、体内に長く蓄積することがあります。 また薬を何種類も併用していることがあり、相互作用の問題もあります。 注意ポイント 量を少なめ(通常の成人の1/2~1/3)に調整して飲みます。 すでにほかの薬を飲んでいる場合は、相互作用による副作用を避けるため、その薬を持参の上、薬局などで相談します。 妊娠中あるいはその可能性がある女性 起こりやすい副作用 妊娠中の薬の服用は、肝臓や腎臓に大きな負担がかかり、副作用をおこしやすくなります。お腹の赤ちゃんへの影響も心配されます。 注意ポイント 赤ちゃんの脳や心臓などの器官が形成される、妊娠初期~3、4ヵ月は特に注意が必要です。薬がすべて使えないわけではありませんが、自分の判断だけで勝手に服用するのは絶対禁物です。母乳にも出るので、授乳中の人も薬は控えたほうがいいでしょう。 子供 起こりやすい副作用 肝臓や腎臓の機能が未発達、服用量を間違えると中毒の危険があります。 細菌やウイルスに対する抵抗力も弱いです。また新生児は薬が脳へ移行しやすいです。 注意ポイント 【服用量の目安】0歳:成人量の1/8、6ヶ月:1/5、1歳:1/4、3歳:1/3、7~8歳:1/2、12歳:2/3、15歳:成人量と同じ。 抗生物質や解熱鎮痛薬・強心剤・副腎皮質ホルモン剤などは副作用を起こしやすいので要注意です。肝臓や腎臓の機能が未発達、服用量を間違えると中毒の危険があります。
薬のCMには「使用上の注意をよくお読みください」のアナウンスがつきものですが、これにはちゃんと理由があります。薬に関する基礎知識として、医療用薬品と一般用医薬品の違いや、薬局と薬店の違い、薬の形の意味をご紹介します。 目次 街の薬局でも「強い薬」が買えるようになった 薬局と薬店の違いとは? 薬の形にもいろいろ意味がある 街の薬局でも「強い薬」が買えるようになった まずは、医者からもらう薬と薬局で買う薬の違いを知っておきましょう。 医者からもらうのは「医療用医薬品」といい、その人の病状に合ったものを医者の監督・処方のもとで使うので、効果が大きいものです。そのかわり副作用も強いです。 一方、私たちが普通に薬局などで買う薬は「一般用医薬品」(市販薬、大衆薬)といい、だれでも安心して使えるように、安全性がもっとも重視されています。すなわち効き目は弱くなります。これらはOTC薬ともいわれます(OTCとは英語でOver The Counterの略で、「店頭販売」ということです)。 ところが、このOTC薬(大衆薬)の中に、医療用医薬品と同じ成分を含んだものが見られるようになりました。これをスイッチOTCといいます(スイッチとは「転用・転換」という意味です)。 このスイッチOTC、ふつうの大衆薬よりも効き目が強い分、使い方を間違えると危険もあります。そのため、製薬会社は使い方の注意などを書いた小冊子をつくり、薬局は消費者にきちんと説明することになっています。CMで、「使用上の注意をよくお読み下さい」のアナウンスを強調するのもそのためです。 薬局と薬店の違いとは? 「薬局」には薬剤師がいて、市販の薬を売るほかに、医者の処方箋をもっていくと薬の調剤もしてくれます。さらに、認可されたその薬局独自の薬を調剤したり、医療用医薬品を小分け販売することも可能です。 「薬店」というのは、それ以外、つまり市販の薬を売るだけのお店のことです。薬の調合などはできません。 自分に合った薬を間違いなく選ぶには、専門家である薬剤師に何でも相談するとよいでしょう。1、2回相談して、ちょっとした世間話もできるようになれば、もう「かかりつけ」です。 そうした薬剤師がいる薬局などで買うようにすると安心でしょう。 薬の形にもいろいろ意味がある 内服剤 口から飲む薬のことです。外用薬に比べて、作用がおだやかで保存性がいい反面、効果が出るまでに時間がかかりますし、薬によっては胃腸や肝臓に障害を起こすという欠点もあります。 ●散剤(粉薬) 吸収が早く、症状や年齢にあわせて分量を調節しやすいのが特徴です。ただし苦くて飲みにくく、保存性も悪いので、最近は使われることが減っています。 ●顆粒剤 散剤の長所を生かしながら、飲みやすく粒状に加工した薬です。保存性もよいです。腸にいってから溶ける場合もあるので、胃に与える障害が少なく、胃腸薬などによく使われます。 ●錠剤 服用する量が正確にわかる、飲みやすい、持ち運びに便利などの特徴があります。保存性もよいです。普通に飲む錠剤のほか、舌の下に入れておく舌下錠、飴のようにしゃぶるトローチ錠などがあります。 ●カプセル剤 粉末や液状の薬をゼラチンのカプセルに入れた薬です。カプセルの厚さなどにより、もっとも効果を上げる場所で溶けるように工夫されています。湿気や熱に弱いので保存に注意しましょう。 ●液剤 シロップ剤、ドリンク剤などです。吸収がよく、乳幼児にも飲みやすいのが特徴です。ただし変質しやすいので冷蔵庫などで保存し、有効期限によく注意しましょう。 外用剤 皮膚や粘膜に直接塗ったり貼ったりする薬です。患部に直接作用するので、効果が早く確実です。副作用が起きても発見しやすいという特徴があります。 ●軟膏剤 皮膚や粘膜に直接塗るもので、油脂剤とクリーム剤があります。基本的に皮膚薬として使われますが、皮膚を通って血管に吸収され全身に作用するものもあります。 ●点眼剤 目薬のことです。液状のほか、軟膏もあります。副作用が起きることもあるので使いすぎは禁物です。ほか、点鼻剤や点耳剤もあります。 ●坐剤 肛門に直接挿入します。痔など肛門の病気に直接作用するものと、直腸から成分を吸収させることで内服剤と同じ効果を持つものがあります。胃への副作用がなく、即効性と持続力があるのが特徴です。 ●貼付剤 皮膚に貼って使う薬です。効果が長く続き、使い方も簡単です。多くは打ち身や筋肉痛に使うパップ剤ですが、皮膚から血管に吸収させて効果を出すものもあります。 ●噴霧剤・エアゾル剤 吸入器や噴霧器を使って、のど・気管などの呼吸器や皮膚に吹き付け、消毒したり炎症をおさえたり、呼吸や咳を鎮めたりします。素早く確実な効果が得られます。
漢方とは、中国からきた薬のこと。それくらいの知識しかない人は、まずは基本的なことをおさえましょう。漢方の人気の秘密がわかるはずです。 目次 民間薬とは、ここが違う! 西洋医学は「病名」ありき、漢方は「症状」ありき 漢方はとくにこんな人に向いている 民間薬とは、ここが違う! 漢方とは、もともとは中国の古代漢民族が病気の治療法として体系立てたものです。これが5世紀に日本に伝わり、その後日本的に改良を重ねられて、今日の漢方医学となっています。西洋医学に対して、東洋医学ともいいます。 漢方の治療法 湯液療法 漢方薬の煎剤などによる薬物療法。一般に漢方というと、これを指すことが多いです。 鍼灸療法ツボを鍼や灸で刺激して、内臓およびその他の器官を調和させる方法。 あん摩療法ツボや経絡を、手で揉んだり押したりすることで、体を調和させる方法。 気功療法呼吸法を中心に、ゆったりとした運動法を加え、体内の気を回らせるもの。 薬膳療法食事療法に漢方薬を加えたもの。 「漢方生薬」と「漢方製剤(方剤)」は、どう違う? ●漢方生薬 朝鮮人参や甘草などのような、植物の根・皮・種子や動物の骨などのことです。 ●漢方製剤 患者の「証」に合わせて、生薬を2種類以上ブレンドしています(例外もあります)。これを煎じた液をさらに乾燥して顆粒状や錠剤にしたものを「漢方エキス製剤」といい、私たちが薬局で買うのは主にこれになります。インスタントコーヒーと同じで手軽に使えるかわりに、個々の病状によって構成成分(生薬)を加減できないという面もあります。 ※証とは…体の表面で観察できる様々な特徴や患者の訴えを総合したもので、漢方における投薬や治療の重要な指針となります。 「漢方薬」と「民間薬」は、どう違う? ●漢方薬(製剤) 漢方医学の診断のもとに処方を選び治療に用いられる薬のことです。 ●民間薬 「ゲンノショウコがお腹にいい」「ドクダミが肌にいい」など、言い伝えや経験で身近な生薬を使うものです。理論体系がない、いわば生活の知恵。たいていは1種類の植物だけを使います。 西洋医学は「病名」ありき、漢方は「症状」ありき 漢方の特徴がわかりやすいように、西洋医学と比較してみましょう。 西洋医学 東洋医学 病名をつけることを重視し、同じ病名の人には同じ薬を使います。 病名よりも、どんな薬を与えるべき「証」かを判断します。そのため、同じ病名でも人によって薬が異なります。 病気の原因である細菌を殺すことに主眼をおきます。 生体の免疫力を高めることに主眼をおきます。 有効成分が単一です。 切れ味が鋭く、即効性があります。熱や痛みをとる、菌を殺すといった、直接的な治療に向いています。 ただし、一つの薬でいろいろな症状をとるのには不向きです。 いくつもの生薬が組み合わさっています。 一つの薬でいろいろな症状をとることが可能です。 ただし、即効性という点では劣ります。 漢方薬は、いわばオーダーメイドの服 このように、漢方の場合、たとえ同じ「胃潰瘍」という病名でも、その病名だけで薬を決めるわけではありません。患者ひとりひとりの体質や病気の状態などを見極めながら、最適な漢方薬を処方する、オーダーメイドの治療といえます。 漢方はとくにこんな人に向いている 漢方は、どんな病気にも使えないことはないが、人間と同じでやっぱり得意不得意があります。 たとえば、糖尿病や高血圧、あるいは肺炎のような重い細菌感染症などに対しては、西洋医学の薬に勝てるようなものが漢方にはないため、苦手分野といえます。 逆に、次のような場合は、まさに漢方の出番です。 ●西洋医学でまだ決め手になる治療法がない病気 アトピー、ぜんそくなどのアレルギー疾患、リウマチなどの自己免疫性疾患 ●高齢や妊娠中などのために、強い薬が使いにくい場合 ●病院に行ってもどこも悪くないのに、自覚症状がなかなかとれない場合(漢方では自覚症状を重視します)
日本の医薬品生産量は5兆7503億円 厚生省の「薬事工業生産動態統計調査」によると、平成6年の日本の医薬品生産額は5兆7503億円でした。 用途別の内訳を見ると、医療用医薬品が4兆8812億円(84.9%)、一般用医薬品が8087億円(14.1%)、配置用家庭薬が605億円(1.1%)となっています。 医薬品の生産金額は、平成2年以降はほぼ横ばいで推移しています。これは2年ごとに実施される薬価改定により、薬価が徐々に引き下げられてきたためです。 生産トップは循環器官用薬 次に、薬効分類別の生産金額の内訳を見てみましょう。薬効分類のシェアは、かなり変化してきています。薬価基準の薬効分類ごとの改定率や、効能の拡大、大型新薬の開発、健康保険の適用範囲の見直しなどが行われたためです。 トップは循環器官用薬で16.4%、次いで中枢神経系用薬、そのほかの代謝性医薬品、消化器官用薬、抗生物質製剤、外皮用剤、生物学的製剤、血液・体液用薬、ビタミン剤、滋養強壮薬と続きます。 循環器官用薬、中枢神経系用薬、代謝性医薬品、消化器官用薬、血液・体液用薬などの使用量は年々増えています。 特に循環器官用薬は、平成元年に抗生物質製剤に代わりシェア第位となって以来、その伸びは顕著です。生活習慣病、高血圧、心臓病、代謝異常などの慢性疾患の増加など疾病構造の変化を反映したものとなっています。
違う薬を組み合わせることが多い高血圧症 血圧を調節するメカニズムは複雑で、1種類の薬だけでは使用量が増え、副作用が起こりやすいため、高血圧症の治療には作用機序の違う薬を組み合わせて使うことが多い。 大きく分けると、降圧剤とは心臓からの血液量を減らすか、血管を広げるかして高い血圧を下げる薬だと言える。 代表的なものとして、心臓が1回に送り出す血液量(心拍出量)を減らすβ遮断薬や利尿薬がある。 神経末端から分泌されるノルアドレナリンという化学物質は、β受容体に結合してさまざまな作用を起こす。特に心臓に多く分布するβ1受容体は、ノルアドレナリンが結合すると、心拍数が増加する。β遮断薬は、この結合を妨害するはたらきをもつ。 一方、末しょう血管を拡張させることで血圧を下げる薬もある。体内の血圧を上げる物質であるアンジオテンシンを作る酵素(ACE)のはたらきを妨害して、血圧を下げるACE阻害薬、アンジオテンシンIIという物質のはたらきを抑えるARB、血管の筋肉の収縮にかかわるカルシウムイオンが血管壁の平滑筋細胞へ流入するのを防ぎ、血管をゆるめるカルシウム拮抗薬、末しょう血管や神経末端にあるα受容体(血管収縮に関わる)を妨害するα遮断薬などがある。 軽い場合は1剤で使われる 軽い高血圧症には、β遮断薬、ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬、利尿剤が1剤で使われる。 程度が重ければ、2剤を併用するか、α遮断薬や上記以外の薬などが用いられる。
注射で投与されるインシュリン依存性糖尿病の薬物 糖尿病には、インシュリン依存性糖尿病、インシュリン非依存性糖尿病の2つの型があります。それぞれ薬物治療は異なります。 インシュリン依存性糖尿病は、若い人や子供に多く、インシュリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島β細胞が障害されているため、インシュリンがうまく分泌されません。そこでインシュリンを補う薬物・インシュリン製剤が使われます。 口から飲むと消化管で破壊されますので、注射で投与します。ほかの糖尿病薬との併用で、低血糖を起こす可能性があります。 食事療法が基本となるインシュリン非依存性糖尿病 インシュリン非依存性糖尿病は、肥満の成人によくあるタイプです。体の必要量に対してインシュリンの分泌や作用が十分でなく、相対的に不足するものです。治療は食事療法や運動療法が基本ですが、うまくいかない場合は、経口糖尿病薬やインシュリン製剤が使用されます。 経口糖尿病薬は、スルホニル尿素系の薬が主に使われています。これは、β細胞を刺激してインシュリン分泌を促進し血糖を下げるはたらきがあります。 インシュリン非依存性のものに、最近使われるようになったのが、糖質吸収阻害薬です。αグルコシダーゼという酵素のはたらきを抑えることで、食後の急激な血糖値上昇を防ぎます。また、インシュリン抵抗性改善薬も最近登場し、用いられています。
薬によって体内分布の度合いが異なる 薬は、吸収―分布―代謝―排せつという一連のサイクルで体内に広がっていきます。 内服薬の場合、口から入った薬は、食道・胃を経て主に小腸粘膜から吸収されます。次いで、普段は栄養素を運搬している門脈を通って肝臓に運ばれます。そして、肝静脈、下大動脈を通って心臓に達し、そこから全身へと運ばれていきます。 吸収された薬物は、血しょう、リンパ液、細胞間液により運ばれて、各臓器組織に移動します。これを体内分布といいます。 薬の分子の大きさ、脂肪に溶けやすいかどうかなどによって、組織・細胞内に移行する度合いが異なります。血液や組織の中にあるたんぱく質とどの程度結合するかも分布に影響します。 代謝とは肝臓で無毒化されること 薬物は本来異物ですから、体内(肝臓)で化学的に処理されて、無毒化されたり排せつされやすくなります。これが代謝です。 チトクロームP-450という酵素が代謝に関与します。薬としてのはたらきを終えたものは体外に排せつされます。 ちなみに、吸収・分布は効果の速さに関係があり、代謝・排せつは効果の持続性に関係します。速く吸収・分布する薬は即効性があり、代謝・排せつの遅い薬は効き目が長持ちするというわけです。
薬用量の自分の判断は副作用を起こす原因 内用薬(内服薬)は経口投与して、消化管で吸収され薬効が現れるものです。どこでも簡単に服用できるというメリットがあります。 一方、胃腸障害が起こりやすい、飲食により吸収率に差がある、消化管・肝臓で代謝された後に血液を介して全身に分布するので有効量が少なくなる(初回通過効果という)といったデメリットがあります。 医療用医薬品の場合は、服薬指導をきちんと守る、大衆薬は使用説明書に従って正しい使い方をすることが必要です。 まず、決められた薬用量を守ること。薬の量は年齢、体重、性別、体質、症状などによって異なりますので、自己の判断で加減してはいけません。副作用の大きな原因になります。 飲み忘れた時は、気付いた時点で1回量を飲む 次に服用時間です。食前・食後・食間など、薬により服用時間が違うのは、薬効を最大にし副作用を抑えるためです。 迷うのは食事を取らなかった場合でしょう。かいよう治療薬などは、薬だけでも服用しなければなりません。糖尿病治療に使う血糖降下剤は、食事を取らない場合は服用してはいけません。低血糖を起こし意識不明になることもあるからです。 飲み忘れた時は、気付いた時点で1回量を飲みます。次の服用時間まで2~3時間しかない時は1回飛ばします。これが原則です。主治医の指示に従いましょう。 食後に服用する薬は、空腹で飲むと胃腸障害を起こすことがあります。
法律で定められている処方せんの内容 処方せんとは、医師・歯科医師が患者を治療する上で、薬剤を調剤して投与する必要がある場合に記載し、患者または看護に当たっている者に対して交付される書類です。 記載する内容は、医師法・歯科医師法により定められています。必要事項は、患者の氏名・年齢、医薬品名、分量、用法・用量、交付の年月日、処方せんの使用期間、病院・診療所の名称および所在地、または医師の住所、処方した医師等の記名押印または署名です。 患者はこの処方せんを薬局に持参して、薬剤師に提出します。薬剤師は処方せんに記載されたとおりの調剤を行います。調剤済みの処方せんは、薬局で3年間保存されることになっています。 重複投薬や相互作用の危険防止を果たす医薬分業 医療機関が外来患者に対して院外処方せんを発行し、患者自身が調剤薬局に行って薬品を購入する医薬分業のシステムも近年推進されています。患者ごとに作成する薬歴を利用することによって、複数の病院をかけもち受診した際の重複投薬や相互作用の危険防止などが期待されています。
服用には医師の指導が必要 睡眠薬には、脳のはたらきを抑え、不安を除去し、筋緊張を和らげて眠りを誘う効果があります。服用する場合には医師の指導が必要です。 問題は、薬に頼ろうとする精神依存が見られることです。不眠に悩む人は、不眠を恐れながら、一方では睡眠薬の服用を恐れるという矛盾した状態に陥っているものです。 薬がなくても眠れるように、うまく睡眠準備状態をつくることも考えましょう。 健忘を起こす睡眠薬もある 現在用いられている睡眠薬は、ほとんどがベンゾジアゼピン系の薬物です。比較的安全性は高いのですが、人によっては効き過ぎたり、ふらつきが起こったりします。特に、高齢者は、薬に対する感受性に個人差がありますから、より注意が必要です。 ある種のベンゾジアゼピン系睡眠薬では、飲んだ後のことを覚えていない健忘を起こすことも知られています。使用量を守るとともに、状況によっての適切な使用を心掛けたいものです。 言うまでもないことですが、睡眠薬をアルコールと一緒に飲むことは危険です。絶対に避けなければなりません。
副作用が出た場合はすぐに中止を ビタミン剤、ドリンク剤、滋養強壮剤などは、一般に栄養保健薬と呼ばれます。含まれている薬剤量は、治療に必要な量よりはかなり少ないので、あくまでも単なる保健薬と考えるべきでしょう。 ただし、含まれている薬が少量でも、薬物には違いがありません。用法、用量を守るのは当然のことです。副作用が出た場合はすぐに中止して、医師・薬剤師に相談すべきです。 ビタミン剤服用の前に食物による栄養摂取を心がける ビタミン剤、特にビタミンC、ビタミンEが、動脈硬化予防効果のあることはよく知られています。もちろんビタミン剤を用いる前に、食物による栄養摂取を心がけたいものです。しかし、喫煙者や、食品による摂取が足りない場合は、ビタミン剤で栄養を補うことを考えても良いかもしれません。 ただし、ビタミン剤をだらだらと飲み続けることは避けるようにします。ビタミンA、D、Eを含む滋養保健薬などは、脂肪に溶けやすく体内に蓄積されることもあります。服用には十分な注意が必要です。
個人差を考慮するのが最大の特徴 化学薬品である西洋薬に対して、漢方薬は天然物を成分としています。適切に使用すれば恐ろしい副作用の心配はありません。しかし、漢方薬といえども薬です。使い方を誤れば、危険もあることは知っておく必要があります。 漢方薬は、漢方的診断により病人の体質に応じて複数の生薬を処方として用います。この「体質に応じて」使う、つまり個人差を考慮しているところが最大の特徴です。 漢方では患者の病名を診断するのではありません。どの薬を与えれば治るかを診断します。これを「証」といいます。 診断のために問診、脈診、望診(視診)を行うのは、西洋医学と同様です。違いは腹診にあります。腹を見て腹証をつかみ、薬方を決めるのです。また、証の外に、病気の勢いを示す「陰陽」と患者の体力を示す「虚実」を重視します。 胃腸の弱い人、体の虚弱な人は慎重に このように、漢方薬にはきめ細かい治療が可能というメリットがあります。ただ、逆に西洋薬のように病状だけで薬を選ぶことができないので、特に市販薬による自己治療には注意が必要です。 一般に胃腸の弱い人、体の虚弱な人は慎重に用る必要があります。その場合、専門医への相談が望れます。 また、漢方薬と西洋薬の併用については、併用して良い場合としない方が良い場合があります。必ず医師の指示に従ってください。
作用は比較的マイルドでも、副作用が現れる場合もある 市販薬は軽症の場合の初期治療薬で、自分の責任において用いるものです。一般に安全性に重点をおいた処方なので、作用は比較的マイルドで、副作用の危険も少なくなっています。ただし、市販薬も薬です。人によっては副作用が現れる場合もあるのです。 安全かつ効果的に薬を用いるには、まず薬に付いている使用説明書(添付文書)を使用前によく読みます。特に薬の用量は年齢によって違いますし、使用方法も薬の種類によって変わりますので、よく確認してください。 副作用の可能性についても記されています。万一何らかの症状が現れた場合は、使用説明書どおりの対策をとります。 製造番号は薬を使い終えるまで必ず保管を その外に、使用期限と製造番号の表示にも注意を配るようにします。使用期限の過ぎた薬は処分すべきです。 製造番号は、不良品だったり副作用が出た時に、メーカーが原因の調査を行うために表示されています。薬を使い終えるまで必ず保管しておいてください。 また、薬によっては日光や高温などで変質するものもあります。使用説明書に従って適切な場所に保管するようにします。
薬事法で定められた医薬品 医薬品とは、薬事法で次のいずれかのものと決められています。 日本薬局方に収められているもの (薬以外に脱脂綿やガーゼなども含まれる) 人または動物の疾病の診断・治療・予防を目的に用いられるもの (ツベルクリン、造影剤など) 人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼす目的のもの (やせ薬、覚せい剤) 人を美化するために用いられる化粧品 一方、医薬部外品とは、次の目的で使われるものです。 吐き気、その外の不快感または口臭・体臭の予防 あせも、ただれの防止 脱毛の防止、育毛または除毛 ネズミ、ハエ、カ、ノミの駆除 浴用剤、染毛剤、にきび・肌あれ・かぶれ防止剤で作用が緩やかなものも含まれます。 そして化粧品とは、人の身体を清潔にしたり、美化するために用いられるもの、とされています。
外用薬のメリットとデメリット 外用薬は、基本的に体の局所に効く薬です。傷口を消毒する消毒薬、湿しん・外傷・皮膚の感染を治療する軟こうやクリームなどです。ただし、坐薬や軟こうの中には、全身作用を目的としているものもあります。 解熱・鎮痛剤や抗生物質を含んだ坐薬などは、内服薬よりも即効性があります。 全身的副作用の減少に有効、内用薬による胃腸障害や注射剤による痛み・組織障害が避けられる、薬効が持続的、薬用量の調節が簡単などのメリットがあります。 逆に、皮膚から吸収されにくい薬剤も多く、病変により吸収率が変化するので、適切な薬用量が決めにくいなどのデメリットもあります。 かぶれが現れた時は医師・薬剤師に相談を 使い方は医師の指示や使用説明書に従います。軟こうやクリームを塗る場合、ぬるま湯か消毒用アルコールなどで患部を清潔にします。かぶれなどが現れた時は医師・薬剤師に相談しましょう。 坐剤を使う時も、いくつかの注意点があります。薬の種類によって違いますが、一般に患部が化のうしている時は、ステロイドを含有した坐薬は使用すべきでありません。また、アレルギー体質や妊婦の方は、医師・薬剤師に相談してください。
強い薬理作用、副作用がある医療用医薬品 医薬品には法的・学問的な分類があります。まず、医療用医薬品と一般用医薬品という行政上の区分です。 医療用医薬品は「医師または歯科医師によって使用され、またはこれらの者の処方せんもしくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品」……つまり「医者からもらう薬」です。 特定の患者の現在の病状に合わせてあるので、強い薬理作用、副作用があり、消費者が自由に購入することはできません。 薬局・薬店で直接購入できる一般用医薬品 これに対して、一般用医薬品はそれ以外の市販薬(大衆薬)です。一般消費者が薬局・薬店などで直接購入できるものです。 これは、OTC(薬局のカウンター越しに買える薬。オーバー・ザ・カウンターの略)薬ともいわれます。 その外、医薬品の基原・本質(抗生物質、血液製剤など)、薬効(日本標準商品分類による)、使用目的(治療薬、診断薬、予防薬など)、適用方法(内用薬、外用薬、注射薬など)、そして剤形(錠剤、散剤、軟こう剤、注射剤など)による分類あります。 剤形は、薬効の確保と副作用の減少、品質劣化の防止などを目的に工夫がなされています。
薬は受容体を介して効果が現れる 薬が生体に及ぼす作用を、薬理作用といいます。その仕組みには幾つかのパターンがあります。薬の物理・化学的性質によって作用するもの(制酸剤など)、化学反応を助ける酵素のはたらきを妨げて作用するもの(アスピリンなど)、物質を細胞に取り込むイオンチャンネルというものに作用して効果を現わすもの(カルシウム拮抗薬など)などです。 薬の効き方の代表的なものは、細胞膜の表面に存在するたんぱく質である受容体(レセプター)を介して効果が現れる場合です。受容体には通常、体内で産生される神経伝達物質やホルモンなどの生体内活性物質が結合し、細胞が反応して体の活動が維持されています。 作用薬ときっ抗薬 この受容体を刺激して、生体内活性物質と同様の反応を起こす薬を、作用薬(アゴニスト)といいます。逆に、受容体に結合することで、生体内活性物質により本来起こるはずのはたらきを遮断する薬をきっ抗薬(アンタゴニスト)といいます。
血液中で薬は2つの形に分かれる 吸収されて血液内に入った薬は、すぐに病巣部に運ばれるわけではありません。血液中で薬は、たんぱく質と結びついたたんぱく結合型か、たんぱく質と結び付かずにフリーの状態でいるたんぱく非結合型(遊離型)のいずれかの形で存在しています。 このうち、作用部位に達することができるのは、遊離型のものだけです。結合型のものも、いずれ結合が外れて遊離型となり、作用部位に運ばれます。ですから、たんぱく結合型は、一時的に薬を貯蔵しているものと考えることもできます。 薬によって違うアルブミンとの結合率 ところが、各種のたんぱく質のうち、アルブミンという物質は血しょう中に高い濃度で存在します。吸着力が強く、薬物分子と結合しやすい特徴を持っています。 アルブミンに結合した薬は、細胞膜を通過できずに作用部位に行けません。つまり、それだけ遊離型の薬物分子が少なくなり、効き目が弱くなってしまうわけです。 アルブミンとの結合率は、薬によって違います。結合率の大きい薬は、効き方が遅くなります。 問題は2つ以上の薬が併用された時です。 例えば、アルブミンと結合しやすいAと結合しにくいBの併用を考えてみましょう。Aによりアルブミンとの結合を阻止されるBの薬は、本来の結合率より低くなることがあります。すると、フリーになるBが多くなり、その作用が過剰になったり、副作用が増大されるという現象が起こり得るわけです。
ほとんどの薬は腎臓から排せつされる 薬の排せつの主なルートは、腎臓から尿中へ排せつされるか、胆汁中に出てきて腸管を通ってふん便中に排せつされるかです。ほとんどの薬は、肝臓などで代謝されて、脂肪に溶ける性質が弱められて、腎臓から排せつされます。 腎臓の糸球体では、血液をろ過して尿を作っていますが、血液中の薬も糸球体でろ過されて尿に入ります。水の再吸収とともに、ほとんどが尿細管から再吸収されます。 腎臓から排せつされる場合、高濃度の薬が一度に腎臓に集まると、腎障害を起こすことがあります。逆に、これを利用する薬もあります。尿路感染症などの場合、抗生物質が腎臓や尿路に高濃度に集まれば、殺菌作用がより強力になるからです。 汗、乳汁などからの排せつもある 排せつに関して注意が必要なのは高齢者です。年を取ると、糸球体でのろ過値や腎血流量、尿細管排せつ機能が低下するので、薬が体内で蓄積し副作用が出たりする場合があります。 薬は、呼吸、汗、だ液、乳汁などにも排せつされます。微量ではありますが、授乳中の女性は薬によっては用心が必要です。
薬の運用で現れる依存と耐性 薬は人体にとって異物ですから、多かれ少なかれリスクが伴います。問題となるのは、依存、耐性、薬物アレルギー、催奇形性、そして副作用などです。 薬を連用しているうちに、その薬が欲しくて仕方がなくなることがあります。これが依存です。禁断症状が出るほどの強い依存を身体依存、欲求が強いだけの状態を精神依存といいます。 また、薬の連用により効き方が弱くなることを耐性といいます。抗生物質に対して抵抗性を得た病原菌(耐性菌)で大きな問題になっているのがMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)です。 副作用のない薬はない 副作用とは、薬を用いた時に現れる人体にとって好ましくない作用や、使用するまで予測できなかった作用です。副作用のない薬は、ないといっても過言ではありません。ある人に副作用を起こさなかったからといって、すべての人にそうだとは限らないのが特徴です。 副作用は、薬の作用そのものによるもの以外に、体質、健康状態などによっても現れます。内臓疾患や血液障害、血圧の異常、緑内障、ぜん息などの疾患のある人は、特に注意が必要です。 薬が体内に蓄積しやすい高齢者、妊婦も副作用のリスクが高くなります。また、薬により胎児に奇形が発生することを催奇形性といいます。妊娠中の服薬は、必ず医師の指示に従わなければなりません。
副作用は正常量でも起こることがある 副作用の起こり方には幾つかのパターンがあります。 1.用量超過 薬は病気の状態、病人の体格・年齢などで適正な使用量が決まっています。これを超えたため現れる副作用が、用量依存性の副作用です。 2.特異体質によるアレルギー反応 薬が抗原になりアレルギー反応が現れる場合があります。抗生物質や解熱鎮痛剤などで、じんましんが出たり、ショックを起こしたりします。 3.過敏性 薬に対する感受性が上がり、正常量でも副作用が起こることがあります。 4.主作用の過剰発現 糖尿病治療薬で血糖値が下がり過ぎたり、降圧剤で血圧が下がり過ぎることがあります。 5.目的以外の作用の発現 薬が病気を起こしていない部分にも作用してしまうことがあります。風邪薬や鼻炎の薬などに含まれる抗ヒスタミン剤で眠気が起きたり、口が渇いたりします。 6.代謝・排せつ機能による作用が変化 腎臓の機能が衰えている人は、体内に薬が蓄積して副作用を起こしやすくなります。 7.相互作用によるもの ある種の薬同士には「飲み合わせ」(薬物相互作用)があります。食品などとの相性で副作用が出ることもあります。
主な副作用の症状 主な副作用の症状には以下のようなものがあります。 ショック症状 不快感、口内異常感、ぜん鳴、耳鳴り、発汗、血圧低下、意識障害など 過敏症状 発熱、発疹、じんましん、かゆみなど 精神神経症状 眠気、めまい、疲労感、不眠、頭痛、言語障害、抑うつ、精神錯乱、神経過敏など 胃腸症状 食欲不振、吐き気、下痢、便秘、腹痛など 胃腸、肝臓、血液、腎臓などに副作用は起きやすい 副作用の起きやすい臓器は、吸収―分布―代謝―排せつに関連のある胃腸、肝臓、血液、腎臓などです。腎障害、肝障害、血液障害などに十分な注意が必要です。 また、ビタミン欠乏症、視覚や聴覚に対する副作用などもあり得ます。 薬を使用した後、これらの異常が現れた時は、ただちに使用を中止します。そして、医師や薬剤師に速やかに報告し、指示を仰ぎます。 副作用を防ぐためには、必ず医師・薬剤師の指導、使用説明書に従うこと、過去の薬に対する反応を把握しておくこと、複数の病院を受診する時や大衆薬を用いている時は、服用中の薬について医師に申し出ることです。
同じ薬物を以前に服用したことがある場合に起こる 人体の免疫システムに異常が起こると、少量の薬物に対しても薬物アレルギーが起こります。ほとんどの場合、それと同じ薬物か、構造の似た薬物を以前に服用した(感作された)ことがあるのが特徴です。薬物アレルギーにも4つの型があります。 薬物アレルギーの4つの型 1型・アナフィラキシー(過敏症性)反応 体内に入った薬が作るIgE抗体は、肥満細胞に結合します。2度目に体内に入った薬が抗体と結合し、抗原抗体反応(免疫反応)を起こします。肥満細胞が破れ、ヒスタミンなど化学物質が放出され、アレルギー症状が現れます。 2型・細胞毒性反応 細胞膜に結合した薬が抗原となり、IgGあるいはIgM抗体が作られ結合します。さらに、免疫を増幅する血中のたんぱく質である補体が結合して活性化します。それにより、溶血性貧血や血小板減少症などを起こします。 3型・免疫複合体血管炎 以前作られた抗体の結合で、薬物抗体複合体(免疫複合体)ができ、補体が結合し活性化します。すると好中球(白血球の一種)を呼び寄せ、免疫複合体を食べてしまいます。それにより炎症を起こす物質が遊離され血管壁を傷つけます。 4型・接触湿疹 皮膚から入った薬がTリンパ球に結合します。すると、リンホカインという物質が放出されて、血管の透過性を高進させるなど、炎症を起こします。
特に高齢者は要注意 2種類以上の薬を服用する場合、薬同士で互いに作用し合って、効力が変化したり副作用が増大することがあります。重大な結果につながるケースも少なくありません。 副作用の中では薬物相互作用によるものが、最も多くなっています。 2種類以上の薬剤を服用している人は、医師・薬剤師に相互作用の心配がないか尋ねるようにしてください。特に高齢者は多種類の薬剤を服用することが多いので、注意が必要です。 危険な医療用医薬品と大衆薬の併用 また、医療用医薬品と大衆薬の併用も危険です。例えば、狭心症や心筋梗塞で抗凝血剤を投与されている人が薬局で買った鎮痛剤などを服用すると、抗凝血剤の作用が強まり、万が一出血した場合に血液が固まらずに危険な状態になることもあります。 特に、医師から薬を処方されている人は安易に大衆薬を服用すべきではありません。 そのほかの代表的な相互作用としては、 アスピリン+経口糖尿病薬(低血糖) 抗うつ剤+降圧剤(降圧作用の低下) ワーファリン+催眠剤(ワーファリンの作用減弱) テオフィリン+エリスロマイシン(テオフィリンの血中濃度上昇) セフェム系抗生剤+利尿剤(腎毒性増強) などがあります。
血沈を固まらせてしまう場合がある納豆の成分 薬と食品の相互作用にも気を付けなければなりません。鉄剤をお茶や乳製品と共に服用すると、吸収が悪くなることは有名です。 また、虚血性心疾患などで坑凝血剤ワーファリンを服用中の人が、納豆を食べてはいけないこともよく知られています。納豆に多く含まれるビタミンKには、血液を固まらせてしまう作用があるからです。 三環系抗うつ薬+チーズ・ヨーグルトなどチラミン含有食品(急激な血圧上昇) テトラサイクリン系抗生物質+牛乳(薬の吸収低下) カルシウム拮抗薬+グレープフルーツジュース(作用増強) にも注意が必要です。 危険なタバコと経口避妊薬の併用 し好品との相互作用も危険な場合があります。アルコールは相互作用を起こすことが多いので、もちろん一緒に飲んではいけません。特に危険なのは、精神安定剤や催眠剤、抗ヒスタミン剤、アスピリンと一緒に飲むことです。服薬期間中の飲酒についても、医師によく確認しておくことが必要です。 タバコとの併用が最も危険なのは、経口避妊薬です。心臓血管系の副作用が起こる可能性があります。一部のぜん息治療剤や解熱剤は喫煙により効果が低下します。