あなたは肥満?肥満症?そもそも肥満や肥満症の定義とは?肥満の原因やメカニズムが分かれば、食事療法で十分なのか、病院での治療が必要なのか分かります。近年は子供や女性、特に妊婦の肥満についても関心が高まっています。肥満について正しい理解が必要です。
酒好きのぽっこりおなかはビールの飲みすぎ?いえ俗に言う「ビール腹(正式には内臓脂肪性肥満と言います)」はお酒を飲まない人にも見られます。居酒屋の美味しいおつまみにはビール腹の原因になるメニューも!?アウトなおつまみ、セーフなおつまみを紹介します。 目次 気がついたら、みごとなビール腹!それはメタボの危険信号 ビールどころかお酒をまったく飲まない人でもビール腹に! そのおつまみはアウト!ビール腹が気になる人のセーフなおつまみは? 1杯目は大好きなビールで乾杯!2杯目からは焼酎やハイボールで 居酒屋の飲み物、グラス1杯あたりのカロリー・糖質を比べると… 気がついたら、みごとなビール腹!それはメタボの危険信号 中年の男性に多い、ぽっこりと突き出たおなか。ビール腹と呼ばれるこの体型は、どこかコミカルで憎めない印象を与えますが、健康のことを考えると笑ってすませられる話ではありません。ビール腹とはあくまで俗称で、その実態は腸のまわりに脂肪がたまった内臓脂肪型肥満だと考えられます。内臓脂肪型肥満は、腰回りが大きいことから「リンゴ型肥満」、男性に多いことから「男性型肥満」などと呼ばれますが、お腹が出ていても体格指数BMIが肥満の基準である25以上を満たさない場合があることから「隠れ肥満」とも呼ばれます。BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求めることができます。 今すぐ自分のBMIを知りたい方はこちら メタボ(メタボリックシンドローム)の基準となるウエストまわりのサイズは「男性85cm以上、女性90cm以上」です。すでにビール腹が気になっている方はメタボになる前に、まだ大丈夫という方も今後の予防として、早めに手を打つ必要があります。 ビールどころかお酒をまったく飲まない人でもビール腹に! 対策を立てる前に、なぜビール腹になるのかをまずは把握しておきましょう。ビール腹はビールの飲みすぎよりも、おつまみの食べすぎや種類のほうが大きな要因だと考えられています。つまり、必ずしもビールを飲む人だけがビール腹になるのではなく、ビールどころかお酒をまったく飲まなくてもビール腹になってしまうのです。ビール腹という言葉は、一般的にはビールの飲みすぎで太ったと思われる体型を指しますが、一説によれば、おなかを横から見たときの形がビールを貯蔵するビール樽に似ていることから名づけられたとか。 避けたほうが良いおつまみを知って、食べすぎに気をつけながらお酒を楽しみましょう。 そのおつまみはアウト!ビール腹が気になる人のセーフなおつまみは? アウトなおつまみ セーフなおつまみ ・唐揚げ、フライドポテト高カロリーで油っぽく、食べすぎると肥満へ一直線。 ・ポテトサラダじゃがいもは野菜ではありますが、糖質の多い炭水化物に分類されるので、避けるのが正解。 ・焼き鳥(タレ)甘い味付けのタレは糖質が多め。 ・お茶漬け、おにぎりお茶碗1杯のごはんの糖質量は、グラスビール約9杯分。もちろん、シメのラーメンも太るもと。おつまみでもシメでも、炭水化物は避けたほうが良いでしょう。 ・刺身、枝豆、冷奴、冷やしトマト定番のおつまみでは、揚げ物よりこちらがおすすめ。 ・水菜サラダ、大根サラダ糖質の少ない野菜なら、いくら食べても大丈夫。 ・焼き鳥(塩)焼き鳥を食べるなら、糖質の少ない塩で。 ・炭水化物以外野菜や海藻類、ナッツ類のほか、あまり油を使わず調理している魚・肉・大豆製品などの、たんぱく質を中心とした料理でお腹を満たしましょう。 1杯目は大好きなビールで乾杯!2杯目からは焼酎やハイボールで おつまみの食べすぎや種類がビール腹の主な原因ではありますが、飲み物選びで糖質の摂取量を減らすのも、ビール腹対策としては有効です。ビールがやめられない方は最初の1杯はビールを飲み、2杯目からは蒸留酒の焼酎や、ウイスキーを使ったハイボールなどに変えると良いでしょう。ただし、いろいろな種類のお酒を飲む「ちゃんぽん」は味が変わることで飲みすぎてしまう恐れがあるので、注意が必要です。 ビールを避けるためにジュースを飲むと、お酒の飲みすぎは防げても、より多くのカロリーや糖質を摂ってしまう恐れがあります。ノンアルコール飲料なら、ウーロン茶を選ぶのが賢い選択だと言えます。 居酒屋のグラス1杯あたりの飲み物を比べると… 飲み物 [量] エネルギー 糖質 ビール [200ml]80kcal6.2g 焼酎(ロック) [60ml]88kcal0g 日本酒(上撰) [100ml]109kcal4.9g 赤ワイン [100ml]73kcal1.5g 梅酒(ロック) [60ml]94kcal12.4g コーラ [200ml]92kcal22.8g りんごジュース(果汁100%) [200ml]88kcal23.6g ウーロン茶 [200ml]0kcal0.2g 出典:文部科学省ホームページ 食品成分データベース 食事の工夫と定期的な運動を組み合わせれば、ビール腹対策としてさらに効果的です。ここまでご紹介してきた居酒屋の注文テクニックは、どれも簡単なものばかり。次の飲み会から、さっそく試してみましょう。 公開日:2016/01/04
人気の糖質制限ダイエットは、何もストイックに糖質を制限する必要はありません。外食をしてもおやつを食べても大丈夫。最初は少しずつ減らしていき、足りない分を他の食材で補うのがベスト。焦らず無理せず頑張りすぎずを心がけ、長続きするコツを伝授します。 目次 糖質制限は、焦らず・無理せず・頑張りすぎず 外食は糖質を抑えるのが難しくて当然!できる範囲内の工夫でOK 糖質への欲求が、あわや爆発寸前!そんなときは低糖質食品を 糖質制限は、焦らず・無理せず・頑張りすぎず 長年の実績を誇り、厳密な計算で管理できるカロリー制限と並び、近年人気の糖質制限ダイエット。「炭水化物など糖質の多い食品を控え、足りないエネルギーや栄養は、代わりに肉・魚・野菜・大豆製品などで補う」というのが、その基本的な考え方です。厳密なカロリー計算を必要とせず、肉やバターなど高カロリー・高脂質な食品を我慢しなくて良いという点などが、人気の理由だと考えられます。 糖質制限ダイエットを始めると、三食すべてにおいて、ストイックに糖質を制限しようとする方がいますが、頑張りすぎると息切れして長続きしません。「今までよりもちょっと糖質を減らす」という程度の意識で、焦らずに長く続けることを目指しましょう。 外食は糖質を抑えるのが難しくて当然!できる範囲内の工夫でOK 外食の際に、糖質制限がうまくいかずに悩む方は多いでしょう。しかし、外食が糖質を抑えにくいのは、ごく当たり前のこと。糖質に配慮した専用のメニューを用意している飲食店もありますが、その数はまだ少なく、多くの方は頻繁には利用できません。以下にご紹介する注文方法のほかに、昼が外食なら朝晩でカバーするなど、できる範囲内の工夫で糖質を抑えましょう。 ●洋食 パンやパスタ、ピザなどの炭水化物さえ避ければ、洋食は糖質制限しやすいと言えます。ビュッフェ(バイキング)やファミリーレストランはメニューが豊富で、糖質の少ないものだけを選べるので、積極的に利用すると良いでしょう。付け合せのサラダに、糖質の多いニンジンやジャガイモ、トウモロコシなどが含まれていた場合は残します。 ●中華 炒め物は、野菜はもちろん牛肉・豚肉・鶏肉のどれを食べても問題ありません。マヨネーズは一般的に太るイメージがあるかもしれませんが、糖質は少ないので、エビのマヨネーズ炒めのようなメニューも食べられます。ご飯や麺類のほか、点心(ギョーザやシューマイなど)や甘酢あんかけなども、食べすぎないよう気をつけます。 ●ファストフード ハンバーガーなどパンがメインの店では、サイドメニューのサラダと、フライドチキンやチキンナゲットなどを組み合わせます。牛丼などご飯がメインの店では、サラダとともに、サイドメニューになっているご飯の上に載せる具(牛丼の牛肉、天丼の天ぷらなど)を注文します。卵や納豆、冷奴などを食べても問題ありません。 なお、ファストフード店の中には「パン抜き」「ご飯抜き」などの注文に応じてもらえるところもあります。サイドメニューだけで糖質を制限するのが難しいと感じた場合は、よく利用する店で可能かどうか、確認しましょう。ただし、パンやご飯を抜いても価格が変わらないこともあるので、あわせて確認が必要です。 必然的にご飯や麺類がメニューに含まれる定食屋やラーメン屋で、ほかに注文の選択肢がない場合は、ご飯や麺類に手をつけないか、食べる量を減らします。ただし、ご飯や麺類を食べないことで不足するエネルギーや栄養は、ほかの時間帯の食事で肉・魚・野菜・大豆製品などによって補う必要があります。糖質制限ダイエットは、炭水化物を抜くだけのダイエットではないことを忘れないようにしましょう。 糖質への欲求が、あわや爆発寸前!そんなときは低糖質食品を 食べたいものや飲みたいものがあるときは、低糖質食品の力を借りましょう。我慢も工夫もいらず、とても手軽なので、食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。 ●パン 小麦粉を材料として使わないことで、糖質を抑えたものが販売されています。小麦粉の代わりに使われているのは、小麦の皮部や胚芽(小麦粉にならない部分)を用いたブラン(ふすま)や、大豆粉などです。これらは糖質が少ないのに加えて、普通のものより食物繊維が豊富だというメリットもあります。 ●麺類 ラーメン、そば、うどん、パスタなどの麺類を食べたいときは、小麦粉の代わりに食物繊維や大豆粉で作られた、低糖質食品としての生麺や冷凍麺を利用して、自宅で調理しましょう。ラーメンなら醤油味やとんこつ味、パスタならカルボナーラやトマトソースなど、味の種類が選べるのもうれしいポイントです。これらの麺ほどではありませんが、全粒粉パスタも、通常の小麦粉のものと比べれば、糖質を抑えられます。 ●お酒 焼酎やウイスキーなどの蒸留酒では我慢できず、どうしてもビールなどの醸造酒や甘いお酒が飲みたい方は、「糖質ゼロ」「糖質オフ」「糖質カット」という表示がされたものを選びましょう。酒屋やコンビニ、スーパーマーケットには、発泡酒・ビール風アルコール飲料をはじめ、日本酒、果実酒、サワーなど、多くの種類が並んでいるので、お好みのものを選べます。なお、「糖質ゼロ」というのは表示上の表現であり、実際には微量の糖質が含まれていることがあります。 ●スイーツ・お菓子 糖質をカットしたアイスクリームやクッキー、ケーキなどを試してみましょう。砂糖の代わりに甘味料を使って味が調整されているので、おいしさと十分な甘みを感じられます。特に、糖質制限ダイエットでは制限されない脂質が豊富なアイスクリームなどは、普通のものと変わらない味わいだと感じやすいようです。チョコレートは、砂糖が少なくカカオの含有量が高いものを選ぶという手もありますが、甘みが満足できなければ、甘味料を使った低糖質チョコレートを選びましょう。 我慢しすぎる必要がないとはいえ、分量には注意が必要です。たとえば、糖質50%オフの発泡酒を2缶飲めば、それは普通のものを1缶飲んだときと糖質量は同じ。糖質制限に限らず、食べすぎ・飲みすぎが体に良いはずはないので、適量を心がけましょう。 糖質を抑えたお酒は店舗でよく見かけますが、そのほかの低糖質食品は手に入りにくいことがあります。その場合はインターネット販売を利用して、上手に糖質を制限した食生活を送りましょう。 公開日:2015/11/30
あなたの健康管理は正しい?データを見ると「運動量が少ない」「食生活が偏っている」「ストレスが多い」という生活習慣がうかがえ、男性に肥満が増えている理由が分かります。肥満予防・改善のためにやるべきことをまとめました。 目次 あなたの健康管理は間違っているかも!? データで分かる!男性の肥満が増える理由 肥満予防・改善のために今日からできること あなたの健康管理は間違っているかも!? 何か新しいことを始めたり、これまでの生活を一新したくなる季節、春がやってきました。そこで今回、ぜひ見直してもらいたいのが、健康管理の仕方です。会社の健康診断の結果が気になる人は特に見なおしてみましょう。なぜなら、「生活習慣病へまっしぐら」という不健康な生活を送っている人が多いことが、厚生労働省の調査で分かったからです。 2000年に同省が掲げた健康づくり計画「健康日本21」では、70項目にわたる2010年までの目標値を定めてあります。ところが、2005年5月までの調査でまとめた暫定値によると、目標に近づくどころか遠のいたものがたくさんありました。そのなかで、特に目立ったのが男性の肥満です。 同省が5年ごとに行っている「国民健康・栄養調査」によると、30~69歳の男性肥満者の割合は10年間で増え続け、03年にはなんと3割を超えました。この年代の肥満者の目標値は15%以下です。一体何が原因で男性の肥満が増えているのでしょうか。 肥満者の割合 出典:厚生労働省「平成15年国民健康・栄養調査結果の概要」 データで分かる!男性の肥満が増える理由 運動量が少ない 働き盛りの男女は全体的に運動量が少ないようです。調査の「運動習慣のある者」の定義は、「1日30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している者」。男性の目標値は39%です。しかし、男性の20~59歳はいずれも20%台前半と、目標値の半分程度でしかありません。ちなみに働く女性の現役層と考えられる20~49歳は10%台後半(目標値は35%)とさらに少なくなっています。 日常生活における歩数の目標値は9,200歩以上とされていますが、2000年の暫定値は8,202歩、03年は7,575歩とさらに下がっています。 食生活が偏っている 脂肪からのエネルギー摂取の割合が多い(目標値25%以下に対し、20~39歳の男性は26.5%、同じく女性は28.9% *ただし、29歳までは食事摂取基準(2005年版)では目標量の20~30%以下となっています)。 野菜摂取量が少ない(男性はどの年代でも目標値の350g以上に届かず。最も多い60代でも342.3g。20~49歳では300gにも満たず、若い層ほど摂取量が少ない傾向にあります。ちなみに女性も同様の結果が出ています)。 そのほか、穀物や果物の摂取量も少ない傾向があります。 ストレスが多い 「健康日本21」では、ストレスを感じた人の割合が、49%以下になることを目標としています。これについても、全体で2000年の54.6%から62.2%に増加していました。 肥満予防・改善のために今日からできること 健康な生活を送るためには、適度な運動、睡眠、そしてバランスのとれた食事が不可欠です。しかし現実には、仕事や生活の忙しさや厳しさのなかで、実践が難しい状況に置かれている人もいるでしょう。そこで、栄養学に基づき、ちょっとした注意と心がけで実行できる健康法として、賢い食事の摂り方を提案します。長く付き合う自分自身の心と体の健康を守るため、無理なく少しずつ、できることからはじめましょう。 昼食は定食ものを選ぶ 手っ取り早いからと丼ものやラーメン、うどん・蕎麦、カレーライスといった単品料理を選んでいませんか?食事を午後からの活力の源とするには、たんぱく質や炭水化物に、野菜や海藻類といったビタミン・ミネラルを加えることが不可欠となります。ビタミンは体のさまざまな代謝を助け、栄養分の吸収を適切に保ちます。ミネラルには、たんぱく質や糖質と結びついて、体を構成する成分となるといったさまざまな役割があります。 スポーツ飲料や栄養ドリンクに頼り過ぎない アミノ酸ドリンクやスポーツ飲料など、さまざまな栄養成分が吸収しやすいドリンク類が増えました。しかし、これらは飲みやすくするための糖分が非常に多くなっています。栄養補給目的で水の代わりに飲むうちに、糖分の摂り過ぎになる恐れが大きいと知っておきましょう。栄養ドリンクは、残業続きのときでも活力を与えてくれますが、そのパワー源はカフェインや朝鮮人参といった体に興奮を与える成分でもあります。しかも慣れてくると、効いた感じもなくなってしまいます。飲むのは、切羽詰った最低限の機会に抑えたほうがよいでしょう。 コンビニ食は控えめに 最近、季節メニューや新しい味を工夫して、魅力が高まったコンビニ弁当。しかし、これらは工場で作り一定時間作り置きしたものです。材料表示を見れば分かるが、腐らないようさまざまな食品添加物を加えてあります。どうしても必要な場合は、余分な成分を排出してくれる食物繊維が豊富な野菜や海藻類、免疫力アップにつながるビタミンCを含んだかんきつ類なども一緒に摂りましょう。 和食中心の生活を心がける 日本人にとってのスローフード、和食。ご飯に味噌汁、焼き魚に旬の野菜のお浸し、ひじきの煮つけ、芋の煮っころがし…。対して馴染みのある洋食といえば、ハンバーグにたっぷりドレッシングの生野菜サラダ、コーンクリームスープ。高脂肪で野菜の少ない(生の野菜は、炒めたもの、煮たものほど量を摂れない)メニューに偏りがちです。もちろん洋食が悪いわけではありませんが、長年受け継いできた定番の組み合わせには、やはり栄養をバランスよく摂る知恵があるし、私たちの体や気候にもマッチしています。ということで和食の勝利。 ファーストフードはスローに食べる 手軽で便利なファーストフード。昔に比べて値段も安く、メニューも増えました。しかし、ファーストフードは噛む苦労なしに高脂肪、高エネルギーが摂れてしまいます。食べ物は、よく噛んで食べることで唾液が出て、虫歯や歯周病の原因となる細菌を殺してくれます。また脳のはたらきをよくし老化を防ぐことにつながります。一方で早食いは満腹感を得られないために、つい食べ過ぎる原因ともなるので、注意が必要です。 公開日:2006年4月24日
単に普段の生活の中で体をよく動かすだけでも、運動量にかなりの違いが出るようです。では、普段の何気ない生活の中で、運動量を増やすコツは何でしょうか。運動量をステップアップさせるアイデアは?気負わず実践できる毎日の運動のポイントと続けるヒントをご紹介します。 目次 買いだめしない、手抜きしない…。毎日の運動量を増やすコツ さあチャレンジ!毎日の運動量を増やすコツ プラスαの運動アイデア 1週間単位で、実行テーマを設けよう! 買いだめしない、手抜きしない…。毎日の運動量を増やすコツ あなたのまわりには、特に運動しているわけでもないのに太らない人はいないだろうか!?そんな人を見て「あの人は体質だから」と別扱いにしてしまうのは早計。「肥満の原因は遺伝3割、環境7割」と言われる。体質だけでは割り切れないのだ。試しに、そんな人の毎日をよく観察してみよう。コマメによく動いていないだろうか。実は、ここに答えがある。 ある研究報告がある。これは、男女16人を集め、毎日食べている量より1,000kcal多い食事を2ヵ月間摂取。その間、生活は平常通りとし、ジョギングや水泳などの特別な運動は一切禁止した。2ヵ月後の結果を見ると、なんと普段からコマメに体を動かす人は肥満せず、あまり動かない人は肥満になったというのだ。しかも、日常生活での消費エネルギー量を比較したところ、コマメに動く人とそうでない人では最大7倍もの差があったとか(「SCIENCE」January,1999/「日常ながら運動のすすめ フィットネスクラブ無用論」長野茂著 講談社+α新書)。 対象者が少ないので断定することはできないが、単に普段の生活の中で体をよく動かすだけでも、運動量にかなりの違いが出るようだ。つまり、日頃コマメに動けば、特にフィットネスジムに通ったりジョギングをしなくても、健康な体重が維持できるのだ。「塵も積もれば山となる」の見本のようなもの。早速、体をコマメに動かして、普段の運動量を増やしていこう。 さあチャレンジ!毎日の運動量を増やすコツ ●買いだめしない 毎日買い物に出かけて、歩く時間を増やそう。 ●掃除もすみずみまで 拭き掃除もしっかりやれば、かなりの運動量。一石二鳥で家を磨こう。 ●お茶煎れ、コピー取り…何でも積極的に 小さなことでも積極的に動いて、運動にしよう。 ●よく見る本は一番下の棚に入れる 本を引き出すたびに屈伸運動を兼ねる。タンスの中身も同様に、毎日替える下着類は一番下に。 ●エスカレーターでも歩く 階段はツライ、と感じるなら最初はエスカレーターを歩こう。「動く歩道」でも、歩けば急ぎ足になるので、運動量を増やすことができるのだ。 ●駐車場では、出入り口の遠くに停める 会社でもスーパーでも。とにかくクルマで出かけたときも「玄関に横づけ」を避けて、できるだけ歩く。 プラスαの運動アイデア 体をコマメに動かすのに慣れてきたら、ステップアップ。もう少し運動量を増やそう。ちょっとした待ち時間や空き時間、通勤途中と、意識すれば意外と運動できる時間はあるものなのだ。 こんなときに こんな運動 歯磨きしている間 コピー待ちの間 電子レンジで「チン!」を待つ間 お湯を沸かしている間 電話中 かかとの上げ下げ つま先の上げ下げ スクワット 屈伸運動 スーパーやコンビニで買い物中 買い物帰り ヒジを直角に曲げて、ペットボトルや荷物の上げ下げ テレビを見ながら 音楽を聴きながら お風呂で 体をほぐすストレッチ 信号待ちで 電話中 電車やバスの中で つま先立ち(むくみの解消にも効果あり) イスに座ってできる筋トレ ●腕を鍛える お腹の前でこぶしをつくり、手首の内側どうしを上下にしてクロスさせる。下の腕は上に曲げようと力を込め、上の腕は下の腕を力で押さえ込むように静止した状態で押し合う。 ●太ももを鍛える 足首を少し浮かせてクロスさせ、下の足は前にけり出すように、上の足は下の足を押さえ込むように、静止した状態で押し合う。 ●胸の筋肉を鍛える 胸の前で合掌のポーズをとり、胸を閉じるように、両手で押し合う。 ●すねとふくらはぎを鍛える 椅子片方の足を、もう一方の足の甲の上にのせ、下の足は足首を曲げるように力を込め、上の足は下の足を押さえて足首を伸ばすように、静止した状態で押し合う。 1週間単位で、実行テーマを設けよう! あまり気持ちに負担がなく、毎日の運動量が増やせるコツを紹介してきたが、いかがだろう。すぐに実行できるアイデアやメニューは見つかっただろうか。 目指すのは「できるだけ意識せずに運動量を増やすこと、コマメに動く習慣を身につけること」だ。それでも、今日から全部を実行しようと思えば嫌気が差すもの。運動は、ひとつでも長く続けたほうが良いわけだから、最後に3日坊主にならない工夫を伝授しよう。 ポイントは自分を飽きさせないこと。そして、できる目標を立てること。このためには、10項目ほどのテーマをあらかじめ決めて、毎週テーマの違う運動にトライするのが良い。 1週目:靴下を立ってはく。 2週目:イスに座ってできる筋トレを朝・昼・晩と1日3回やる。 3週目:朝、駅までの道を少し急ぎ足で歩く。 4週目:できるだけエレベーターを使わずに、階段を歩く。 5週目:駐車場では、出入り口の遠くにクルマを停める。 あまり大きなテーマを設けずに、できることから。また、運動量の多い週の後は簡単なテーマにするなど、テーマの順番も実行しやすく強弱をつけたい。こうして10項目のテーマを設定すれば、一年間でひとつのテーマが約5回は回ってくる。そうしている間に、きっと毎日の運動が習慣化していくはずだ。 もし休みがしっかり取れるなら、休日は別のテーマを決めて少し運動量を増やす工夫をしてみるのもおすすめだ。特に男性は、休日なら家事や庭の手入れなどで、家庭サービスと運動量アップの一石二鳥を実践してみてはいかがだろうか。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 公開日:2003年1月27日
体重コントロールの基本は、食べ過ぎないことと、適度な運動。とはいえ、スポーツクラブやジムに通う時間はないし、面倒。そこで日常生活の中での運動を見直し、毎日コツコツと運動量を増やす秘訣を紹介します。 目次 ウエイトオーバーと運動の切ない関係 男性の肥満が増えている! 塵も積もれば山となる ウエイトオーバーと運動の切ない関係 近頃、あなたは理想の体重をキープしているだろうか。 もし 「ちょっと気を許したスキに体重オーバーぎみ」なら、待ったなし!早速、元に戻そう。体重コントロールの基本は、何といっても食べ過ぎの解消と運動量のアップ。さあ、運動をはじめよう! とはいえ、言うは易し行うは難し…。 旧総理府による「平成12年生活習慣病に関する世論調査」でも、生活習慣病を予防するために「積極的に運動を心がける」と答えている人は49.3%。みんな運動の必要性は十分に知っているのだが、実際に1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続して実行している人は男性で23.2%、女性で19.7%(ともに30~39歳。平成12年国民栄養調査より)。なかなか実行が伴わないのが実情のようだ。 運動しない理由・できない原因ベスト4 1位 運動する時間がない 2位 一緒にやる友人がいない 3位 どのくらい運動したら良いかわからない 4位 運動が嫌い 確かに、ショートケーキ1個約340kcalを運動で消費しようと思えば、時速10kmのサイクリングを100分ほどこなさなければならないのだからツライ。というより、増えた体重分を運動だけで落とそうとするのは無理なのだ。 では、なぜ、運動が必要だと言われるのか。その理由は、体にたまった脂肪を落としながら筋肉をつけて、消費エネルギー量の多い体へと体質そのものを改善していくことが肥満の予防に効果的だからなのだ。 男性の肥満が増えている! なかでも早急に体重コントロールに取り組んでほしいのが、男性陣。「年齢階級別肥満者の割合」のグラフを見てもわかる通り、男性の肥満傾向は年々高まるばかり。見た目のスタイルが悪くなるだけでなく、病気になる危険性があがるのだ。 今こそぜひ、真剣に、積極的に、運動量の増大をはかってほしい。 年齢階級別肥満者の割合(男性) 塵も積もれば山となる さて、運動の必要性を再確認したところで、考え直してほしいのが「運動」というものの中身。運動というと、どうしてもスポーツクラブやフィットネスクラブへ行ってするもの、そうでなければ早朝などにジョギングするもの、と思いがちだ。だが、そういったスポーツばかりが運動ではない。 例えば、階段の昇り降り、通勤時の駅までの徒歩10分、もっと単純なものなら、お茶を煎れに立つ。これだけでも運動になるのだ。つまり「体を動かす動作はすべて運動」なのである。そしてまた、掃除ひとつとっても、なかなか侮れない運動量があるものなのだ。 主な日常生活と家事の消費エネルギー量 ※20代女性、体重50kgの場合/10分当たり ぞうきんがけ ………… 38kcal 拭き掃除 ……………… 28kcal 洗濯(手洗い) ……… 28kcal 洗濯(電気洗濯機) … 19kcal 掃除機による掃除 …… 23kcal 炊事 …………………… 23kcal アイロンがけ ………… 22kcal ガーデニング ………… 26kcal ゆっくり歩く ………… 22kcal 普通の速さで歩く …… 27kcal 急ぎ足で歩く ………… 38kcal 階段の昇り降り ……… 47kcal サイクリング(時速10km)… 37kcal ジョギング(120m/分)… 59kcal 出典:「体脂肪を減らすハンドブック」池田書店 公開日:2003年1月27日
お正月は普段の忙しさを忘れゆっくり過ごす方が多いのではないでしょうか?でも見方を変えるとおせち料理とお雑煮を食べ、ダラダラしているだけとも言えますね。そんなお正月もほんの少し食事・運動・過ごし方を注意するだけで肥満予防になりますのでお試しください。 目次 おせち料理は「量」に注意すれば肥満の心配なし! 肥満を予防するおせち料理の食べ方の目安 基礎代謝が低下する正月だからこそ運動を心がけて 大掃除や初詣でも意識して体を動かせば肥満予防に効果的 おせち料理は「量」に注意すれば肥満の心配なし! お正月といえば「おせち料理」と「お雑煮」を食べる方が多いでしょう。 もともとおせち料理は、年神さまを迎えて健やかな新年をお祝いし、1年の幸福を祈りながら食べる料理。1年の最初の料理にふさわしい、ご馳走料理です。 しかし、ここでご用心。おせち料理は、砂糖や塩、しょうゆなどをふんだんに使った料理です。濃い味付けは食が進み、つい食べ過ぎになるし、塩分の摂り過ぎにもなります。しかも、肉や魚を使ったメニューも多いため、食べるときにはたくさんの量を食べるのではなく、少しずつ食べるようにしましょう。特に、野菜やいも、豆類などのメニューを中心に選んで食べるのがおすすめです。 肥満を予防するおせち料理の食べ方の目安 代表的なおせち料理 料理 意味 栄養 1回分の目安 黒豆 1年を“まめ”に暮らせるようにと願うもの 黒豆は大豆の一種。肌を美しくする良質なたんぱく質を含む。また、コレステロールや脂肪酸の増加を抑えるリノール酸、リレイン酸を含む(大豆も同様)。さらに、ビタミンBを多く含むため、疲労回復に効果的。ただし、市販の煮黒豆は、砂糖を多く含むので、たくさん食べると逆効果。できれば手作り、砂糖控えめにしたいもの 大さじ山盛り2杯 72kcal かずのこ 卵の数にあやかり、子孫繁栄を願う かずのこはにしんの卵。コレステロールを多く含む。血中のコレステロール値が高い人は、縁起をかつぐ程度に抑えたほうがベター 3切れ 43kcal ごまめ(田作り) カタクチイワシの稚魚を塩水で洗って干した物。田の肥料にしたことから「田作り」とも呼ばれる。ごまめは「五万米」とも書き、五穀豊穣を祝う食べ物 小魚だけあって、カルシウムやミネラルが豊富。15g程度で1日の必要量600mgの3分の1を摂取することができる 10匹 39kcal きんとん きれいな黄色は金貨の色。財産が貯まるようにとの願いがこもる きんとんはマッシュしたサツマイモにクリを合せたもの。さつまいもは食物繊維の量が芋類の中では最も多い。また、便秘に効くヤラピンという物質も含まれている。ビタミンCも豊富。クリの甘露煮を使う場合は、さつまいもの砂糖を控えめにしても大丈夫 栗2個分 158kcal かまぼこ 半円形の形が初日の出を連想させ、縁起がいいと考えられている かまぼこの材料は魚のすり身。魚のたんぱく質が手軽にとれる 2切れ 39kcal 伊達巻 江戸料理としては目新しく、形もきれいだったことから「伊達巻」と名付けられたよう。「伊達(粋で目立つこと)」という言葉から、教養や文化が身につくことを願う 卵と白身魚のすり身で作っているので、たんぱく質は豊富。しかし、食べ過ぎるとコレステロールのとり過ぎに。糖分も多いので注意 1切れ 44kcal 紅白なます 紅白の彩りがおめでたさを演出し、平安、平和を祈る縁起もの にんじんはビタミンA、B、Cを多く含む野菜の優等生。特にカロチン(体内でビタミンAに変わる)を多く含んでいる。大根はでんぷん消化酵素のジアスターゼなどが多く含まれている 大さじ2杯 46kcal レンコン レンコンの穴を通して未来の見通しがきくという縁起をかついだもの レンコンを空気にさらしておくと黒くなるのは、タンニンや鉄を多く含むから。このほかビタミンCや食物繊維も豊富 ― 昆布巻 昆布は昔「広布(ひろめ)」と言った。ひろめは「広がる」に、こぶは「喜ぶ」にかけて、福が 授かるとして、祝いの席に欠かせない食物となった 昆布に多く含まれるヨードは、体内の代謝を活発にする。また、利尿作用を促して塩分を排泄するカリウムの含有量は食物中最高。食物繊維はごぼうの2倍以上だ ― たたきごぼう 黒いごぼうは、豊作のときに飛んでくるといわれる黒い瑞鳥をさす。豊作と1年の息災を願う。また、細長い形から、細く長くつつましくという祈りもこもる 食物繊維を多く含む。また、タンニンや鉄を含み、血の巡りをよくする。貧血などにも効果がありそう ― 海老 腰を曲げて進む海老の姿を老人にたとえ、長寿の願いを表わす。紅白の彩りもおめでたい 高たんぱく低脂肪でダイエットに適している。カルシウム、ヨード、ミネラルなども豊富。コレステロール値を下げるタウリン(アミノ酸の一種)も多い ― ※1回分の目安のカロリーは、調理法によって異なります。 出典:四訂 食品成分表 基礎代謝が低下する正月だからこそ運動を心がけて 年末年始に太ってしまう理由のひとつに「体を動かさないこと」がある。毎年同じような年末年始の過ごし方をしていても、歳をとるほど太りやすくなっているのは、「基礎代謝量」が低下しているからでもあります。基礎代謝量とは、人が最低限生きていくのに必要なエネルギーのこと。意識して体を動かさなくても、眠っている時や呼吸をする時にもエネルギーは消費されています。このエネルギーが基礎代謝量です。 でも、40歳を過ぎるころから基礎代謝量は低下していきます。だから、同じような生活をしていて同じカロリーを摂取していては、脂肪として体に残ってしまう分が多くなっていくというわけです。 これを解消するためには、「運動」が一番大切です。運動によって筋肉を増やすと、徐々に基礎代謝量もあがり、普段の生活でもエネルギーを消費しやすい体になります。普段、ウォーキングやジョギング、ダンベル体操などなにか運動をしている人はいいですが、そうでないのなら年末年始のこの時期、とくに体を動かしてみてはいかがでしょうか? 大掃除や初詣でも意識して体を動かせば肥満予防に効果的 年末大掃除をする ●窓拭き ふき掃除をする時は、左右の手を交互に使いましょう。筋肉の曲げる伸ばすを意識すると気持ちいいです。また、窓拭きなどには縦の動きも取り入れて、スクワット風にやるのもいいかもしれません。 ●雑きんがけ バケツで雑きんなどをすすぐとき、また、下の方を拭くときは必ず足を曲げ、腰を落とします(足を伸ばしたまま腰を曲げる姿勢では、カロリー消費が少ないし、腰を痛めることもあります)。バケツや重いものを持ち上げるときも、まず腰を落としてから持ち上げるようにしましょう。 初詣に歩いていく 近くの神社やお寺などに歩いて初詣に行ってみましょう。普段あまり歩いていない人は、新年の初めにウォーキングを始めるいいきっかけにもなります。お賽銭を持っていき、1年の健康をお祈りしましょう。
肥満のなかでも、生活習慣病などに進行してしまう恐れがあると言われる「内臓脂肪型肥満」には要注意。年齢や男性・女性によって目安となる体脂肪率があるので、自分が適正な範囲にあるか知っておくといいですよ。 目次 肥満は万病のもと 肥満のなかでも「内臓脂肪型肥満」はなかなかやっかい 体脂肪率判定の目安 年末年始の生活にご用心。肥満を招く生活習慣チェック 肥満は万病のもと 「若いころに比べて、太りやすくなった」「食べる量が変わらないのになぜか最近太る」などと、感じてはいませんか。 「肥満は万病のもと」とも言えるほど、「太っている」ことは体によくありません。「いまさら言わなくても…」と思うかもしれませんが、肥満がどれだけ命を縮めているか知っておきましょう。 明治生命保険相互会社の調査によれば、1972(昭和47年)~1982年の間に保険契約した15~69歳の372万人のうち、死亡者2万8600人の性、年齢、肥満度別に標準死亡率を分析したところ、肥満が短命につながっていることが明らかになりました。 肥満のなかでも「内臓脂肪型肥満」はなかなかやっかい 肥満といっても、生活習慣病などに進行してしまう恐れがあると言われるのは、「内臓脂肪型肥満」。 皮下に蓄えられる皮下脂肪型とは違い、内臓のまわりに脂肪がつくタイプです。皮下脂肪が長期的にエネルギーをため込む脂肪で、飢餓や寒さや衝撃に備えるはたらきがあるのに対し、内臓脂肪はエネルギーを一時的に蓄え、必要な時にすぐ取り出して使える脂肪です。 内臓脂肪型肥満がやっかいなのは、見た目では分からないこと。見た目に太っていなくても内蔵に脂肪がついていることはあります。それが「体脂肪率」という数値で出るものです。体脂肪率の正常範囲は、成人男性なら15~20%、女性なら20~25%程度となります。 体脂肪率判定の目安 標準範囲(%) 肥満傾向(%) 肥満(%) 男性10%以上~20%未満20%以上~25%未満25%以上 女性20%以上~30%未満30%以上~35%未満35%以上 「隠れ肥満」は気がつかないうちに進行し、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になる恐れがあります。今は家庭用の簡易体脂肪計があり、体重と同時に体脂肪率が測れるようになっているので、自分の体脂肪率をきちんと把握しておきましょう。 年末年始の生活にご用心。肥満を招く生活習慣チェック 「年末年始に実家に帰ったり旅行に行ったりして、帰ってきたら太っていた…」という経験はないでしょうか。年末年始といえば、なにかと食べたり飲んだりする機会が多く、しかものんびりしてじっとしがち。でも、この油断が体脂肪率をアップさせてしまうのです。 こんな生活が肥満を招く。とくに、年末年始は注意しましょう。 肥満を招く生活習慣チェック ●脂っぽい食事や、濃い目の味付けのものを好んで食べる ●空腹でないのに目の前に食べ物があるとつい口に入れてしまう ●お酒を飲んでいると、つまみを食べる程度で食事を終えることがある ●食べるのが早く、あまり噛んでいない ●スナック菓子が好きで、口寂しい時にはつい食べてしまう ●お腹が空いていると眠れないので、ついつまみ食いをしてしまう ●1日でトータルしても、多分1時間も歩いていないと思う ●休みの日は家でごろごろしていることが多い ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
肥満になる原因は、食べ過ぎと運動不足にあります。仕事に忙しく、付き合いで飲む機会が多い大人ならいざ知らず、これまで無縁と思われていた子供社会にも過食と運動不足は深刻な問題です。 目次 過食にご用心! 運動不足になっていませんか? 遺伝・体質による場合もある 子供に過保護になっていませんか? 過食にご用心! 9~11歳くらいの子供の場合は1日に約1,800~2,000kcalのエネルギーが必要だと言われている。これは、食事だけでなく、おやつや飲み物も含まれている。ところが、太っている子供の食生活を見てみると、3回の食事は揚げ物などの高カロリーなもので、さらにスナック菓子やジュースなどを口にしているため、1日のエネルギーがオーバーしてしまっているのだ。 仮に1日に50kcalずつ余分にとる食生活をしていると、1年で2kgの体重増加になると言われているほど。 また、食生活の内容が欧米化してきて、脂質をとる量が増えてきたことも過食の原因のひとつである。 知ってる?子供の好きな食べ物は何カロリー? ●ラーメン(1人前)………460kcal ●ポークカレー(1人前)…650kcal ●ハンバーグステーキ(1人前)…440kcal ●チョコレート(50g)……280kcal ●ポテトチップス(1袋30g)……180kcal ●コカコーラ(350ml)……140kcal ●マヨネーズ(15g)………100kcal ●バター(5g)………………40kcal 運動不足になっていませんか? 子供の運動時間は年々減ってきているといわれている。テレビの見すぎや学習塾や習い事などに時間がとられ、外で身体を動かしたり、家での手伝いをする時間が少なくなっていることが原因のようだ。ちなみに、次のグラフを見ると、肥満度が高いほどテレビを見る時間が多くなっていることが分かる。あんまりテレビばかり見ていると、運動不足になって肥満街道をまっしぐらかも!? 肥満度別のテレビ・ビデオ視聴、テレビゲームをする時間 資料:日本小児科学会 「子どもの生活環境改善委員会報告」 遺伝・体質による場合もある 太っている子供の両親は、たいていどちらか(または両方)が、肥満傾向にある。それは、太りやすい体質であったり、太りやすい遺伝子を持っているから、ということもあるが、それだけが原因という場合は少ない。太っている両親と一緒に生活していると、食事や生活パターンが似てしまい、子供も過食傾向にあったり運動不足になったりするため、肥満を招くのだ。 子供に肥満があらわれる確率 ●両親ともに肥満の場合……80% ●母親が肥満の場合…………60% ●父親が肥満の場合…………40% ●両親とも肥満でない場合…20% 子供に過保護になっていませんか? ●食事やおやつは好きなだけ与える ●嫌いな食べ物はいつも残す ●テレビゲームやテレビを見る時間は自由 ●家の手伝いはなにもしない ●「ながら食べ」をしても怒らない こういう生活を子供にさせていないだろうか。これらは子供に自由を与える愛情表現のようでいて、実は子供を肥満・生活習慣病へと進行させている可能性が高い。とくに、両親が気を使っていても、おじいちゃん・おばあちゃんが甘やかしてお菓子などを与えているケースも少なくない。子供のためを思うなら、ときには心を鬼にすることも大切だ。
ライフスタイルが変化してきたことにより、成人社会に新たな病気がうまれました。それが、生活習慣病です。でも大人だけがかかると思われていた病気に、子供たちもむしばまれ始めています。今回は、子供たちの健康について考えてみましょう。 目次 増えつつある「肥満の子供たち」 子供の肥満度の出し方 小児肥満はどんな病気を招く? 増えつつある「肥満の子供たち」 ひと昔前までは、子供といえば外で暗くなるまで遊んでいたもの。でも、今は子供の遊びといえば、テレビゲームなどが主流になり、運動不足が問題となっている。その結果、肥満に悩む子供の数が増えているのだ。 文部科学省の発表によると、小中学生の肥満児はこの30年で約3倍になったと言われている! 小中学生の肥満児の出現率の推移 資料:文部科学省「学校保健統計調査報告書」 子供の肥満度の出し方 肥満度(%)=(子供の体重―標準体重)/標準体重 20%未満なら正常、20%以上で肥満、50%以上だと高度肥満と判定される。 ※標準体重は、年齢、身長、性別によって算出されています。 ちなみに、大人の肥満度は、BMI法[体重(kg)÷(身長×身長(m))]25以上なら肥満と判定される。 小児肥満はどんな病気を招く? 肥満傾向にある子供は、大人とおなじように、血圧が高くなったり、コレステロールが高くなるなど、いわゆる生活習慣病の症状が出やすい。「生活習慣病って大人だけじゃないの?」なんて思っていると、大マチガイ。肝臓に障害が出たり、動脈硬化が進行したりするのだ。 また、子供のころの肥満を放っておくと、約60~80%は大人になっても肥満のままだと言われている。 ちなみに、肥満した大人は肥満していない大人と比べ、どんな病気で死亡しているのかを調べたものが下のグラフ。第1位は糖尿病で、普通の人の約4倍だ。 「子供のころはちょっと太っているほうが健康的」というのも限度があるかも!? 肥満だと、どのくらい死亡率が高まる? 出典:「子供の生活習慣病」大国真彦 芽ばえ社
普段の食事に甘味料を取り入れれば、糖分摂取量はかなり抑えることができます。最近はさまざまな種類の甘味料があるので、和食やジャム、お菓子作りに積極的に使い、健康増進に役立てましょう。今回は「肉じゃが」「りんごジャム」「ブルーベリーマフィン」のレシピをご紹介します。 目次 【ヘルシー肉じゃが】おなじみのメニューも 【りんごジャム】毎日の朝食に 【ブルーベリーマフィン】たまにはケーキで午後のティータイムを 【ヘルシー肉じゃが】おなじみのメニューも カロリーゼロ甘味料を使うと、砂糖使用時よりおよそ30kcalくらいはダウンします! ■材料(4人分) 豚もも肉(薄切り)200g、玉ねぎ1個(160g)、じゃがいも300g、にんじん1本(100g)、糸こんにゃく1玉(150g)、きぬさや20g A:出し汁小さじ1+1/2、しょうゆ大さじ2+1/2 、カロリーゼロ甘味料(粉末)大さじ1(砂糖大さじ3相当の量)、水カップ1+1/2 ■作り方 豚もも肉はひと口大、玉ねぎはくし形に切ります。 じゃがいもは皮をむき、4~6コに切ります。 にんじんは小さめのひと口大、糸こんにゃくは下ゆでしてアクを抜き、食べやすく切ります。 きぬさやは筋を取り、ゆでておきます。 鍋にAをひと煮立ちさせ、豚肉、きぬさや以外の野菜、糸こんにゃくを入れて野菜がやわらかくなるまで煮ます。仕上げにきぬさやを入れます。 【りんごジャム】毎日の朝食に カロリーゼロ甘味料を使うと、砂糖使用時よりおよそ16kcalくらいはダウンします! ■材料(20人分) りんご1+1/2個(300g)、レモン(汁)大さじ2(30g)、カロリーゼロ甘味料(粉末)大さじ3(砂糖90g相当の量) ■作り方 りんごは皮と芯を取り、5mm程度にスライス。塩水の中に漬けておく。 ホーロー鍋に1とカロリーゼロ甘味料、レモン汁を入れて、火にかけます。 煮立ったらアクを取り、ジャム状になるまで弱火で煮詰めます。煮詰まると跳ねやすいので注意しましょう。 【ブルーベリーマフィン】たまにはケーキで午後のティータイムを カロリーゼロ甘味料を使うと、砂糖使用時よりおよそ100kcalくらいはダウンします! ■材料(5個分) A:小麦粉100g、ベーキングパウダー小さじ1+1/2、無塩バター80g、カロリーゼロ甘味料(粉末)40g(砂糖120g相当の量)、卵2個、バニラオイル少量、ブルーベリー(生)60g B:カロリーゼロ甘味料(粉末)小さじ1(砂糖大さじ1相当の量)、水1/4カップ、ラム酒大さじ1/2 ■作り方 ボウルに室温に戻したバターを入れ、カロリーゼロ甘味料を加えて泡立て器で白っぽくなるまで混ぜます。 溶いた卵を少しずつ加えてなめらかに混ぜ、バニラオイルを加えます。 1にAを合わせてふるい入れてサックリと混ぜ、最後にブルーベリーを混ぜます。 マフィン型に7分目まで流し入れ、180度のオーブンで20~25分焼きます。 小鍋にBを煮立て、あら熱をとってラム酒を加え4に塗ります。 レシピ提供:味の素株式会社
食生活にとって欠かすことのできない糖分。健康は気になるものの、甘味のない食事はやはり味気ないものです。だからこそ上手な糖分の摂り方を覚えて、肥満症や生活習慣病をしっかり予防しましょう。 目次 私たちの食生活には糖分がたくさん! ビタミンB1を摂って、上手な糖代謝を 糖分やカロリーの低い甘味料を上手に活用しよう! ストレスを加えずにカロリーを減らす工夫を 私たちの食生活には糖分がたくさん! 普段、私たちが何気なく口にする食品には糖分があふれています。例えばコーヒー飲料。1缶分のコーヒーに含まれる糖分は、およそ18gになります。ヘルシーなはずの和食にも問題があるようです。それは、味付けとして砂糖やみりんなどが大量に使われているから。 例えば天ぷらの盛り合わせなら一人前で約37g、うな重は94g。なんとカツ丼では102gの糖分が入っています。 実は、ご飯やパン、麺などのでんぷんも糖質の一種です。口の中の唾液で麦芽糖に分解され、さらにグルコースなどの単糖類となって、最終的には砂糖と同じようにエネルギー源となります。 食物から摂取するエネルギー源の理想的な配分は、糖質が6割、たんぱく質が2割、脂質が2割です。とはいえ、このようにありとあらゆる食べ物に糖分が含まれていては、あっという間に糖質過剰になってしまいます。 ビタミンB1を摂って、上手な糖代謝を それではいったいどうすれば、糖分の摂取過剰に陥らずにすむのでしょうか。第一におすすめしたいのは、甘いもののドカ食いを避けることです。甘いお菓子はほどほどにしておきましょう。おやつにほんの少し食べるくらいなら問題ありませんが、間食としてしょっちゅう口にしたり、大量に食べるのはやめるようにします。 もうひとつのおすすめは、ビタミンB1を積極的に摂ることです。糖の代謝を促進するので、一緒に摂取するとよいでしょう。とくに豊富なのは豚肉です。ほかにもノリ、ゴマ、エノキダケ、おからなどに含まれます。胚芽米にも多いので、甘いものが好きな人、ご飯をたくさん食べる人は白米より胚芽米がおすすめです。 また、ビタミンB1を摂るときは、いっしょにニラ、ネギなど香りの強い野菜を食べると、糖の代謝効果をよりアップできます。とはいえビタミンB群はどれかひとつ不足すると、互いに効率よくはたらきません。ビタミンB2やB6、B12などもきちんと食事に取り入れたいものです。 例えばこんな食事メニュー 朝食 :トースト・苺ジャム・ニラとわかめのかき卵スープ・ボンレスハム1枚・牛乳 昼食 :鶏ささみ・白菜・シメジ・エノキダケのうどんすき(つけダレ別)・焼き海苔・ニンジンとゴボウのきんぴら おやつ:りんご 夕食 :大根・にんじん・こんにゃく・豚肩肉の中華風豚汁(胡麻油・ニンニク風味)・胚芽米ご飯・鯵の開き・ほうれん草のお浸し 赤字=糖分を含むメニュー 青字=ビタミンB群を含むメニュー 甘いものはジャムなど、部分的に使用 ビタミンB1やその他のビタミンB群を含む食品を積極的に取り入れる 甘辛い味付けの和食はメインにせず、小鉢で 糖分やカロリーの低い甘味料を上手に活用しよう! 糖分やカロリーゼロの甘味料を積極的に使ってもよいでしょう。熱に強い商品も発売されているので、安心して飲み物や料理、お菓子作りに役立てることができます。ところで、こうした甘味料には、どんな成分が入っているのでしょうか。 代表的な成分として挙げられるのは、アスパルテームです。アスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸からできており、砂糖の200倍の甘さを持っています。カロリーもなく、血糖値に影響しません。肥満症や糖尿病、生活習慣病に悩む人にとっては、うってつけの甘味料といえるでしょう。 ストレスを加えずにカロリーを減らす工夫を ダイエットのコツは「我慢し過ぎないこと」です。いくら糖分を控えようと決心しても、あまり無理な我慢をしてはストレスがたまってしまいます。むしろ、反動で暴飲暴食に走りかねません。大切なのは継続すること。そのためにも、ときには食べたいものを食べるのもよいでしょう。 甘いお菓子や、甘辛い和食もよいでしょう。ただし、栄養バランスにはくれぐれも注意し、低カロリーの甘味料を上手に取り入れるなどの工夫はお忘れなく。
疲れたときに甘いものを食べると、みるみる元気がわいてきます。ブドウ糖は脳のはたらきにとっても欠かすことのできない成分です。しかしどんな食品にもいえるように、摂り過ぎは危険です。なぜ、危険なのでしょうか? 目次 糖分が肥満につながる理由 糖分とインスリンによる肥満のスパイラル! 糖尿病などの生活習慣病に発展も 糖尿病週間 糖分が肥満につながる理由 疲れたときに甘いものを食べると、みるみる元気がわいてきます。これは、糖分に含まれるブドウ糖が、体を動かすためのエネルギー源となるからです。それだけではありません。ブドウ糖は脳のはたらきにとっても欠かすことのできない成分なのです。 しかしどんな食品にもいえるように、摂り過ぎは危険です。なぜ、危険なのでしょうか?それを知るために、まずは糖分がどのように分解されていくかを見ていきましょう。 例えば、砂糖(ショ糖)はどのようにしてエネルギーになるのでしょうか?砂糖は摂取されると、すみやかにブドウ糖と果糖に分解され、血液へと流れ出します。血液中のブドウ糖を体の組織に取り入れるために必要になるのが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンです。ブドウ糖はこのインスリンの力を借りて代謝され、最終的には水と二酸化炭素になります。そして代謝されなかった分は、グリコーゲンや中性脂肪となって、体内に貯蔵されます。 ところでなぜ、余ったブドウ糖は体内に蓄積されるのでしょうか?これは昔むかし、食物が不足していた時代の名残りのようです。来るべき飢えのため、体はつねに予備のエネルギー源を補充しておくようになりました。 しかし、ここに落とし穴ができてしまいました。食生活の豊かな現代の日本では、蓄積したエネルギー源の出番はそうそうありません。消費されない中性脂肪がたまれば、当然、肥満になります。さらに困ったことに、ブドウ糖の過剰摂取から「肥満のスパイラル現象」にはまってしまうケースが多いのです。 糖分とインスリンによる肥満のスパイラル! インスリンはブドウ糖をエネルギーに変えるばかりでなく、中性脂肪を合成したり、中性脂肪の分解を抑制する役目も果たします。糖分が大量に口から入り、ブドウ糖が血液中に送り込まれると、インスリンがどっと増加して、せっせと中性脂肪をつくりだす、というわけです。 通常であれば、役目を果たし終わったインスリンは徐々に減っていきます。代わりに「リポたんぱくリパーゼ」という酵素が中性脂肪を分解し始めるのですが、一度、太ってしまうとそうはいきません。 なぜなら、たくさん中性脂肪のついた脂肪組織は、インスリンと結合してブドウ糖のエネルギー代謝をする「インスリン受容体」でいっぱいになってしまっているからです。 インスリン受容体が多すぎると、インスリンはうまく機能しなくなってしまいます。こうなると血糖値は上がりっぱなしになります。体はどんどんインスリンを分泌するようになります。おかげでエネルギー代謝は行われないのに、脂肪がいっこうに分解されず、少し食べただけでも太るようになってしまうのです。 糖尿病などの生活習慣病に発展も 肥満症になると高血圧や高中性脂肪血症、糖尿病など、さまざまな生活習慣病の危険度も高まります。肥満症とは、「肥満になんらかの健康障害を合併している状態」。 日本肥満学会は、「男性で85センチ、女性で90センチ以上だと、内臓脂肪型肥満の可能性あり」としています。肥満度は「BMI」で測定することができます。心配な人はぜひチェックしておきましょう。 BMIチェックはこちら 糖尿病週間 糖尿病は国民病です。病気に対するきちんとした知識を持ち、予防や治療に役立てたいものです。 そこで毎年、11月の第2週に設けられているのが「全国糖尿病週間」。全国各地で、糖尿病教室や講演会が開かれます。この機会にぜひ参加して、糖尿病対策を立てましょう。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 10年以内の心筋梗塞などを発症する確率を予測 あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 偏食・肥満や運動不足による酸化ストレスで老け顔や感染症、骨粗しょう症などに注意
ダイエットと言えば女性のテーマですが、現代においてはダイエットが必要なのはむしろ男性です。調査結果を見ると、なんと中高年男性の3割が「肥満」とのこと。その原因は、日々の生活に肥満の原因が潜んでいるようです。生活習慣の見直しで肥満を予防を。 目次 もう他人事ではない!中高年男性の3割が「肥満」!? ビジネスマンの生活に潜む「肥満の素」。生活習慣の見直しで肥満を予防 男性と女性で異なる脂肪の付き方。リンゴ型の男性と洋なし型の女性 もう他人事ではない!中高年男性の3割が「肥満」!? 世間にあふれているダイエット情報の多くは女性向けのもの。しかし、現代日本においてダイエットが本当に必要なのはむしろ男性であるという興味深いデータがあります。 年齢階級別肥満者の割合 肥満:BMI〔体重kg/(身長m)2〕25以上 厚生労働省「国民栄養調査」平成12年 男性の肥満者の割合は30~60代でおよそ3割。いずれの年代も10年前、20年前より割合が増加している。一方、女性では60代の31.0%が最高値で、30代でおよそ13%、40代で20%と、割合が減少傾向にあります。ここ20年間のBMIの推移からみても、男性はすべての年齢においてBMIが高くなっており、身長の伸びに対して体重の伸びが大きくなっていることもわかります。その逆に、女性の場合は日頃からダイエットを気にかけているためか、身長の伸びに対して体重の伸びが小さく、年々細身になっているようです。 ビジネスマンの生活に潜む「肥満の素」。生活習慣の見直しで肥満を予防 一般的なサラリーマンの生活習慣に、意外にも「肥満の素」が潜んでいます。ダイエットを考えるあなたは、まず自分の生活を見直してみてはどうでしょうか。 ■6:30…慌しく準備して朝ご飯抜き 朝ご飯は毎日の食生活のリズムを作る大切な要因。ダイエットには朝食を含めて1日3食をバランスよくとることが望ましいです。 ■10:00…気がつくと長時間OA機器の前に座っている 通常のサラリーマン生活ではどうしても運動不足になりがち。ウィークデーにスポーツをする時間がとれないなら、一駅歩いたり、エスカレーターではなく階段を使うなどの工夫をしましょう。 ■12:00…安くて早いから、今日もランチは牛丼! ファーストフードや牛丼などの単品ものは、高脂肪のものが多く、栄養も偏ってしまいます。外食するなら洋食よりは和食を選び、品数を多く取ることを心がけましょう。 ■14:00…取引先とトラブル発生。電話で怒鳴られる 食欲全体をコントロールしている大脳皮質の前頭葉は、同時に精神活動も支配しているところ。ストレスがたまると前頭葉のコントロールが乱れ、やけ食いなどに走ってしまうのです。ストレスが原因で太ってしまう男性が、実はとても多いのが現状です。 ■20:00…終電まで飲んでウサ晴らし アルコール自体「見えないカロリー」と言われるうえ、胃液の分泌が活発になり食欲が旺盛になってしまうので、つまみなどを食べ過ぎてしまい、たちまちオーバーカロリーになってしまいます。夜食べた分の栄養素はそのまま吸収・蓄積されてしまうこともお忘れなく。 男性と女性で異なる脂肪の付き方。リンゴ型の男性と洋なし型の女性 脂肪の付き方はよく言われるように「りんご型」と「洋なし型」とに大きく分かれます。 ウエストとヒップの周囲径の比率(ウエスト/ヒップ)が男性で1.0、女性で0.8を超えていたらあなたも立派な「りんご型」。中年以降の男性や更年期をすぎた女性に多く見られる、お腹が出っ張ったタイプです。糖尿病、動脈硬化、高血圧などの生活習慣病を招きやすい。 一方、比率の数値が超えていなかったあなたは「洋なし型」。主に下半身に肉が付くタイプで若い女性に多く見られます。 ダイエットで効果が現れやすいのは実はりんご型のほう。「もう遅い~」なんて諦めるのはまだ早いですよ! ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
私の生活習慣は肥満になりやすい?と心配なあなた。基本的な対策は食生活の改善と適切な運動です。肥満・肥満症の専門病院で治療してもらう方法もありますが、まだ課題が多いのが現状。まずは自分の必要摂取エネルギー量を知り、食生活を整えましょう。 目次 まず初めに心がけるのは肥満の「予防」 肥満症の基本となる治療は食事療法 食事療法と運動療法を併用することで肥満予防に効果的 肥満・肥満症の薬物療法はまだまだ課題が多い まず初めに心がけるのは肥満の「予防」 まずは生活習慣を改善し、肥満を解消しましょう。多額の医療費が必要と予測される今後の高齢化社会において、いまの肥満解消は今後の医療費の削減にもつながります。もちろん、医療費削減のためだけでなく、病気にならないことがひとりひとりにとって大切なのは言うまでもありません。健康で長生きするためにも肥満の解消は重要なことになります。 肥満症の基本となる治療は食事療法 肥満症の基本となる治療は食事療法です。肥満学会のマニュアルによると、食事療法の内容は(1)摂取エネルギーの設定 (2)栄養素の配分 (3)食習慣の改善からなります。 肥満を予防するために自分に必要な1日の摂取エネルギー量を計算してみよう まず、1日に必要なエネルギー量は、身長から考えた標準体重と、生活活動強度(体重1kg当たりに必要なエネルギー)から計算します。それにしたがって、1日のエネルギー量を超えないように、バランスの取れた規則正しい食事をすることが大事です。 標準体重の求め方 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 生活活動強度 ●軽い(事務的・管理的な仕事、幼児のいない専業主婦)…25~30kcal ●中程度(製造・加工業、販売業、サービス業などの仕事、幼児のいる主婦)…30~35kcal ●やや重い(農業、漁業、建設作業)…35~40kcal ●重い(農繁期の農作業、林業、プロスポーツ選手)…40kcal~ 1日に必要なエネルギー=標準体重(kg)×生活活動強度(kcal) 例えば、身長170cm、生活活動強度が軽い人の場合、 標準体重=1.7×1.7×22=63.58 よって1日に必要なエネルギー=63.58×25~30≒1590kcal~1907kcal 出典:肥満・肥満症の指導マニュアル 日本肥満学会編集委員会 肥満・肥満症の専門医ではどんな指導をしてもらえるの? 専門医や専門機関に相談してみましょう。ちなみに、大阪大学医学部付属病院では、次のような指導を行っているそうです。 肥満症の治療:(大阪大学医学部付属病院の一例) まず、来院した「太った人」が「肥満症」であるか否かをチェックします。そうしてその人の隠れた病気をみつけます。何もなければ、単なる「肥満」なので治療はしません。そして、「肥満症」であると診断された患者さんは、その重症度により場合によっては入院治療することがあります。それは、緊急で減量の必要があるような場合であり、例えば「睡眠時無呼吸症候群」がある人などです。そうした場合、超低エネルギー食治療などを行って、速やかに体重減少してもらうこともあります。その際、不足しがちなビタミンやミネラルなどを補います。治療の目標は、標準体重まで減量させることではなく、「肥満症」から単なる「肥満」にすることです。 食事療法と運動療法を併用することで肥満予防に効果的 食事療法に運動をあわせて行えば、筋肉を落とさず、さらに脂肪を燃焼することができます。とくに、内臓脂肪は運動で減りやすく、これもまた欠かせません。 肥満を予防するのにおすすめの運動は? 短距離走や重量あげのような無酸素運動は、筋力を増やし、また、ウォーキングなどの有酸素運動は、脂肪を燃やすことがわかっています。肥満学会編集委員がおすすめしている運動としては、歩行、ジョギング、ラジオ体操、水泳などの全身を使う有酸素運動です。また、1日1万歩以上の歩行も目標とされています。 脂肪を燃焼させるためにはどのくらいの運動量が必要なの? トレーニングは週に3回以上行う必要があります。軽いものなら毎日から1日おきとし、また休日などを利用して十分な時間をとるのがよいとされています。 運動の強度については、いきなり強い運動をしないことです。軽い運動から始めて徐々にならしていきましょう。 運動交換表 注:1単位は80kcal相当 運動の強さ 1単位当たりの時間 運動(エネルギー消費量 kcal/kg/分) Ⅰ.非常に軽い 30分間くらい続けて1単位 散歩(0.0464) 乗物(電車、バス立位)(0.0375) 炊事(0.0481) 家事(洗濯、掃除)(0.0471~0.0499) 一般事務(0.0304) 買物(0.0481) 体操(軽い)(0.0552) Ⅱ.軽い 20分間くらい続けて1単位 歩行(70m/分)(0.0623) 入浴(0.0606) 階段(降る)(0.0658) ぞうきんがけ(0.0676) ラジオ体操(0.0552~0.1083) 自転車(平地)(0.0658) ゴルフ(平均)(0.0835) Ⅲ.中等度 10分間くらい続けて1単位 ジョギング(軽い)(0.1384) 階段(昇る)(0.1349) 自転車(坂道)(0.1472) 歩くスキー(0.0782~0.1348) スケート(0.1437) バレーボール(0.1437) 登山(0.1048~0.1508) テニス(練習)(0.1437) Ⅳ.強い 5分間くらい続けて1単位 マラソン(0.2959) なわ飛び(0.2667) バスケットボール(0.2588) ラグビー(フォワード)(0.2234) 出典:肥満・肥満症の指導マニュアル 日本肥満学会編集委員会 肥満・肥満症の薬物療法はまだまだ課題が多い 食事療法や運動療法以外に薬物療法もありますが、日本では「肥満症」に適応をもつ薬はまだありません。そのため、これは今後取り組む課題となっています。
あなたは肥満が病気になる場合があることをご存知ですか?単に太っているだけではなく、肥満に起因する健康障害があったりする場合には肥満症と判断され、医学的な治療が必要なことも。簡単に自分のBMI(肥満度)の判定チェックができるツールもあるので、お試しあれ。 目次 太っているのは病気?肥満と肥満症どこが違うのか 日本肥満学会が定める肥満症の定義 肥満症の判断基準はBMIで。BMI25以上が一つの目安 内臓脂肪がたまっているかどうかの判定は? 太っているのは病気?肥満と肥満症どこが違うのか 「肥満」とは身長にくらべ、体重の割合が大きい状態のこと。「太っている」というだけでなく、高血圧や糖尿病など他の病気を合併している場合もあれば、そうでない場合もあります。問題は内臓に脂肪がたくさんついていないか、そして何か合併症をひきおこしてはいないかということにあります。 そこで、単に「太っている」だけの肥満とは別に、医学的に見て「治療が必要である」と判断される肥満を「肥満症」と定義しています。 日本肥満学会が定める肥満症の定義 肥満症とは肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱う (日本肥満学会) 肥満症の判断基準はBMIで。BMI25以上が一つの目安 さて「肥満症」と言われるのは一体どんな人なのでしょうか。その判断基準は次の通りです。 肥満症かどうかの診断は、まず最初に肥満かどうかの判定を行います。そのとき、使われる指標が「BMI(=Body Mass Index)」と言われるもので、これは国際的にも広く通用する体格指数です。これがBMI≧25(25以上)のとき、「肥満」となります。 BMIの計算式 BMI=体重kg/(身長m)2=体重kg÷身長m÷身長m (例)身長170cm、体重75kgの場合、BMI=75÷1.7÷1.7≒26.0(肥満である) BMIが25以上だった場合、さらに、次の[A]または[B]のような状態であれば「肥満症」と診断されます。 A:肥満に関連する高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害があるかどうかをチェックします。健康障害があれば「肥満症」です。 または B:内臓脂肪が蓄積しているかどうかをチェックします。内臓脂肪がたまっていれば「肥満症」です。 内臓脂肪がたまっているかどうかの判定は? ●スクリーニング検査 ウエスト周囲径を測り、男性で85cm以上、女性で90cm以上あれば「上半身肥満」 ●腹部CT検査 CTの断面像を撮影し、内臓脂肪面積が100cm2以上あれば「内臓脂肪型肥満」 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
「肥満は生活習慣病のはじまり」と言われる通り、肥満は多くの病気や健康障害の原因になります。なかでも合併症を引き起こしやすい「内臓脂肪」には要注意。現代の食生活、ストレスや遺伝と原因はさまざまですが、見た目では分からないのも肥満の難しいところです。 目次 肥満は生活習慣病のはじまり肥満が原因で発症する病気や健康障害 モデル体型なのに「肥満症」。見た目では分からない肥満の難しさ 高い確率で合併症を引き起こす「内臓脂肪症候群」とは? なぜ肥満になるの?肥満の原因 女性より男性が要注意。内臓脂肪はなぜたまる? 肥満は生活習慣病のはじまり肥満が原因で発症する病気や健康障害 ご存知、生活習慣が原因となっておこる生活習慣病。とくに、肥満によりさまざまな生活習慣病が発症することが知られており、「肥満は生活習慣病のはじまり」とも言えるほどです。なかでも「糖尿病」「高血圧」「高脂血症」は、肥満が深く関係しており、さらに心筋梗塞や脳梗塞などの冠動脈疾患を発症する確率が高いようです。 肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害 ●2型糖尿病・耐糖能異常 ●脂質代謝異常 ●高血圧 ●高尿酸血症・痛風 ●冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症 ●脳梗塞:脳血栓症・一過性虚血発作 ●睡眠時無呼吸症候群・Pickwick症候群 ●脂肪肝 ●整形外科的疾患:変形性関節症・腰椎症 ●月経異常 ちなみに、肥満者が合併症を起こす確率は、正常体重者に比べて、糖尿病:約5倍、高血圧:約3.5倍 と報告されています(出典:肥満・肥満症の指導マニュアル 日本肥満学会編集委員会)。これを放置し内臓脂肪が更に蓄積し、肥満症がすすむと、生活習慣病が進行し、やがて冠動脈疾患などにつながっていく可能性が高い。つまり、「肥満症はまさに、糖尿病、高血圧、高脂血症という滝から冠動脈疾患という滝壷へまっさかさまに落ちていくようなもの」(大阪大学大学院医学系研究科分子制御内科学(第二内科) 松澤佑次教授)なのです。 モデル体型なのに「肥満症」。見た目では分からない肥満の難しさ 見た目ですごく太った人がみんな治療が必要かというと、それは違います。おすもうさんを見てもわかるように、太っていても健康障害はなく、内臓脂肪もたまっていない人もいます。その場合は「肥満症」ではありません。また、逆に少ししか太っていなくても内臓脂肪が蓄積したり、合併症があったりすると「肥満症」であり、治療が必要となります。つまり見た目が大切なのではありません。 肥満(BMI≧25)に、血糖が高い、血圧が高い、あるいはコレステロールが高いといった状態をあわせもつことが肥満症であり、そこに内臓脂肪の蓄積が大きく関与しています。そのことが問題となります。 高い確率で合併症を引き起こす「内臓脂肪症候群」とは? 「肥満症」の診断基準に入っている内臓脂肪。なぜ内臓脂肪が重要なのか説明しましょう。 内臓脂肪の蓄積がある人は、高い確率でさまざまな危険因子が合併することがわかってきました。また、虚血性心疾患をすでにもつ人では、内臓脂肪が蓄積している人が多いこともわかってきました。このような人は「内臓脂肪症候群」と呼ばれており、内臓脂肪の蓄積をもとに耐糖能異常、高脂血症、高血圧をあわせもち、動脈硬化に進展する可能性がとくに高いのです。 欧米では、シンドロームXや死の四重奏とも呼ばれている「内臓脂肪症候群」は、特に積極的な治療が必要であるといわれています。BMI25程度で、見た目ではそんなに太っているようには見えなくても、血圧や血糖、コレステロール値などが少しずつ高い人などは要注意です。 内臓脂肪がついている人は、例えば、手足が細いのに、おなかだけがぽっこり出ている人。また、最近ベルトやズボンがきつくなってきた人。これらの人がおなかの皮をつまんでみて、薄いようならおなかについた脂肪は皮下脂肪ではなく内臓脂肪である可能性が高いようです。 なぜ肥満になるの?肥満の原因 肥満になるにはなんらかの原因があります。もちろん、これにはいくつかの要因が複雑に絡み合っているのだが、大雑把に言えば、「摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れている」ためである。 飽食がもたらす食べ過ぎ、便利な乗り物の発達による運動不足はもちろんのこと、朝食抜きだったり夜遅くに食べるなどの摂食障害パターン異常などの食生活や生活様式の変化は、肥満への階段を確実に昇っているようなものとなります。どこかで生活を改善しなければ、いつかは肥満症へと発展してしまう可能性が大きいようです。 女性より男性が要注意。内臓脂肪はなぜたまる? 女性より男性の方がたまりやすい内臓脂肪ですが、男性は年齢とともに増えていき、そして女性の場合は閉経後たまっていくことがわかっています。 砂糖(ショ糖)が、内臓脂肪をためる原因のひとつ。あとはストレス、遺伝も関係しています。特にカロリーが高い現代人の食生活と、運動不足が重なり、内臓脂肪を蓄積する人々が増えています。
肥満症と深い関係があると言われている糖尿病。人口に占める肥満者の割合は横ばいな一方、糖尿病患者は増加し続けています。また日本の財政においても肥満の影響は大きく、肥満をなくすことで、約1兆3,500億円の医療費を節約できるという試算もあるそうです。 目次 2型糖尿病には肥満が大きく関与 アメリカ人よりやせていても要注意! 日本の肥満の推定人数はどのくらい? 肥満が原因でおこると考えられる疾患にかかる医療費はどのくらい?(日本) 肥満が原因でおこると考えられる疾患にかかる医療費はどのくらい?(アメリカ) 2型糖尿病には肥満が大きく関与 1997年に行われた「糖尿病実態調査」によると、日本人の約690万人が「糖尿病が強く疑われる」のだそう。患者数は最近20年間で約2倍になっており、さらに年々増加しています。これには食生活の変化や肥満が大きく関連しています。同調査によると、現在の肥満度と糖尿病の関係は、男性は肥満度が0~+10%の場合、糖尿病の疑いがある人は17%に対し、+40%以上になると37%と倍以上になります。女性は肥満度が0~+10%の場合、14.2%であるのに対し、+40%以上になると46.4%。やはり、肥満は2型糖尿病を招く大きな原因のひとつであるといえそうです。 その背景には戦後の日本人の食生活の欧米化による脂質摂取の増加があるといわれています。事実、日本人が摂取する動物性脂質は、昭和35年ごろから急激に増えてきています。ですが、トータルのエネルギー摂取量は昭和21年ごろからほとんど変わっていません。つまり、日本人においては、どうやら脂肪の摂り過ぎが増加する糖尿病や生活習慣病の大きな要因になっていることが最近指摘されています。 このような食事内容の変化が2型糖尿病患者を増やす一因となっているのです。 糖尿病患者の受療率の推移 参考資料:116回 日本医学会シンポジウム 栄養素等摂取量の推移 (昭和21年=100とした場合) 参考資料:平成11年 国民栄養調査結果 アメリカ人よりやせていても要注意! 日本人とアメリカ人のBMIを比較してみましょう。BMIが30以上の人はどのくらいいるのでしょうか。 日本人とアメリカ人のBMI≧30頻度の比較 日本人の場合/男性1.7%、女性2.4% アメリカ人の場合/26% はるかにアメリカ人のほうが、日本人よりBMI≧30の人が多いようです。しかし、肥満症はあくまでもBMIだけで判断できません。日本人は、BMI値がそれほど高くなくても欧米人に比較して糖尿病になりやすいことが判明しており、糖尿病患者が増加の一途をたどっています。よって、内臓脂肪などをチェックし、「肥満症」かどうか、つまり、糖尿病などの健康障害を合併していないかどうかを注意する必要があると言えます。 日本の肥満の推定人数はどのくらい? 平成10年の国民栄養調査によると日本の肥満(BMI≧25)人口(15歳以上)は、統計で2,300万人。男性1,300万人、女性1,000万人と推定されています。 女性の20代・30代を除き、男女とも各年代のBMIの平均は年々増加しており、これに伴う糖尿病、高脂血症、高血圧などの増加とともに大きな問題となっています。 肥満が原因でおこると考えられる疾患にかかる医療費はどのくらい?(日本) 平成8年度の国民医療費は 約28兆5,000億円。そのうち、肥満に関連するものは、糖尿病 約9,600億円、高血圧 約1兆8,000億円、脳血管障害 約1兆9,000億円、心血管疾患 約8,000億円と見積もられています。 さらに、諸外国の医療事情と比較して概算すると、日本では肥満をなくすことで約1兆3,500億円の費用を節約できると報告されています(高脂血症 約470億円、糖尿病 約1,880億円、高血圧 約5,000億円、心血管疾患 約1,380億円、脳血管疾患 約4,700億円の医療費削減)。 (出典:「肥満研究」Vol.5(2)=14,1999 徳永勝人) 肥満が原因でおこると考えられる疾患にかかる医療費はどのくらい?(アメリカ) 2001年12月のアメリカ政府の発表によると、アメリカでは、肥満が関与した疾患で年間約30万人が死亡し、そして2000年に肥満を基盤にして発生した関連疾患などに使われた直接・間接費用は1,170億ドル(15兆2,000億円/130円/$換算)だったといいます(出典:プレスリリース(Dec.13,2001) U.S. Department of Health & Human Services)。 だから早期に肥満を解消したり、また「肥満症」を治療する必要があるのです。
みなさんから寄せられた、肥満症に関しての疑問・質問を医師であり専門家の先生に聞きました。なぜ肥満症はいけないの?肥満症は遺伝するの?どのくらいやせたらいいの?肥満症にはどんな治療法があるの?あなたの肥満症についての疑問もこれで解決間違いなし。 目次 質問1「どうして肥満症は治療しなければいけないのですか?」 質問2「どんな人が肥満症になっているのですか?」 質問3「肥満症を治すためにはどのくらいやせたらいいのですか?」 質問4「親が糖尿病で自分も太っているので糖尿病が心配です。肥満は遺伝しますか?」 質問5「肥満症の中でも特にハイリスクな人はどんな人ですか?」 質問6「肥満症にはどんな治療法がありますか?」 質問1「どうして肥満症は治療しなければいけないのですか?」 「肥満症」とは、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病、さらには動脈硬化、冠動脈疾患などを合併したり、将来こういった合併が起こる可能性が高い場合で、病気と診断した肥満のことをいいます。従って肥満症の治療は、体重を減らすことが基本で、体重を減らせば生活習慣病を改善したり進行を食い止めることができるのです。 質問2「どんな人が肥満症になっているのですか?」 「肥満症」と「肥満」は違います。ですから、見た目で太っている人が必ず肥満症だとは限らないのです。おすもうさんがすべて肥満症であるか、というとそうではありません。体を鍛えて体重が増えているおすもうさんは、肥満にもかかわらず病気の人は少ないのです。 肥満かどうかを判定する指数にBMIという指標があり、これが25以上で肥満と定義されます。そこに糖尿病や高血圧などの合併症や、または内臓脂肪が伴う場合は「肥満症」です。「肥満症」は、一般にダイエットに関心が高い若い女性たちではなく、中高年のサラリーマンや閉経後の女性などに多く見られます。「内臓肥満」は、例えば、おなか周りだけがぽっこり太っているタイプがそう。最近、おなかが出てきた人や、ベルトやズボンがきつくなったという人は要注意です。 質問3「肥満症を治すためにはどのくらいやせたらいいのですか?」 急激にやせることはおすすめできません。無理な減量は別の健康障害を伴う可能性があるからです。減量の目安は、個人差がありますが、だいたい最初の1~2ヵ月は食事療法を主に行い、3~4kgの減量を目安にします。しばらくすると、必ず減量が停滞する時期が来ますが、この期間には食事療法と同時に運動療法も行い、1~2ヵ月につき1~2kgの減量を目標にします。 仮に体重60kgの人なら、体重の5%である3kg落ちるだけでも内臓脂肪はずいぶん落ちます。そうして、「肥満症」ではない状態までもっていく必要があります。 質問4「親が糖尿病で自分も太っているので糖尿病が心配です。肥満は遺伝しますか?」 確かに、肥満には遺伝的要素があります。報告によると、両親とも正常体重の場合の子供が肥満になる確率は、10%であるのに対し、両親のうち一方が肥満の場合は50%、両親ともに肥満の場合は80%の割合で肥満児になっています。このことからも、肥満と遺伝には密接な関係があるようです。 でも、子供は食事内容や運動量などの生活習慣も親から大きな影響を受けています。つまり、環境的要素も肥満には大きく関係しているため、生活習慣に気を配ることがとても大切です。 質問5「肥満症の中でも特にハイリスクな人はどんな人ですか?」 私たちが内臓脂肪症候群と呼んでいる患者さんの中でも複数のリスクをあわせもつ人が特に冠動脈疾患に対してハイリスクです。内臓脂肪がついていて、血圧もコレステロール値も血糖値も少し高い。こうした患者さんは、肥満症患者さんの中でも冠動脈疾患に至るリスクがそうでない患者さんよりずっと高いのです。こうしたいくつかの合併症を併発した内臓脂肪症候群の像を呈する患者さんが最もハイリスクであり、積極的に治療していく必要があります。 質問6「肥満症にはどんな治療法がありますか?」 治療の基本は、食事療法と運動療法です。食事療法では単に食べる量を減らすだけでなく、食事内容や食事スタイルの見なおしも必要です。 それと同時に、運動も欠かせません。肥満症治療の原則は摂取エネルギーより消費エネルギーが多くなるようにすること。これを日常生活で継続して行えば、内臓脂肪を減らしていくことができるのです。 そのほか、薬物療法もありますが、今はまだ日本では使用できる薬が限られていますから、まずは食事療法や運動療法による治療が中心に実践されています。
一昔前より確実に肥満化している日本人。実は見た目は痩せているのに体の内部は中性脂肪やコレステロールが増加している「隠れ肥満」や「血液太り」が増加しています。症状がでにくく無自覚に進行するため、放っておくと動脈硬化につながってしまうことも。 目次 日本人は確実に「肥満」化してる? 中性脂肪がどこに溜まるか?2パターンの「かくれ肥満」 血液が「太って」いると、なぜだめなの? 無自覚に進行する「隠れ肥満」 血液太りをそのままにすると動脈硬化に 日本人は確実に「肥満」化してる? ひと昔前の日本人は、もっと「しまった」体をしていた人が多かったのですが、最近の日本人の体脂肪は増えてきています。「見た目」からして肥満の人と同時に、本人も気づかない「かくれ肥満」が増加しています。脂肪細胞の中だけでなく、血液中の脂肪が多くなっているようです。健康のことを考えると、こうした脂肪の増え方は、かなり危険。グラフのように、すべての年代で増えているが、特に若い層が心配されます。 中性脂肪がどこにたまるか?2パターンの「かくれ肥満」 脂肪細胞では…皮下脂肪より内臓脂肪として中性脂肪がたまってしまっている 血液の中では…血中脂肪として中性脂肪・コレステロールが多く溶けてたまっている 血液が「太って」いると、なぜだめなの? パンツやスカートがきつくなったり、顔がふっくらしてこないと、人はなかなか「やせなくちゃ!」と思いません。しかし、血中脂肪は単なるスタイルの問題ではありません。命にかかわり、生活の質も下げてしまいます。若くして糖尿病や高血圧などの生活習慣病におちいるのも、こうした「かくれ肥満」などが原因となっているようです。 無自覚に進行する「隠れ肥満」 血液の中に脂肪が増えていても、「かくれ肥満」の場合、なかなか自分では気がつけません。自覚症状がないからです。また、検査などで分かった場合でも、見かけからして肥満でない場合は、特に対策をとらないでいることも多いようです。 血液太りをそのままにすると動脈硬化に 無自覚に進んだ血液太りが続くと、たまった脂肪は血管を狭くして、動脈硬化を引き起こします。そのため、心筋梗塞、心不全、狭心症、不整脈、脳血管疾患、クモ膜下出血、高脂血症、高血圧におちいりやすくなります。 また糖尿病、腎臓病、肝臓病、胆症、痛風などの生活習慣病の発病にもつながります。がんなどとの関係も考えられています。
太ってると一言でいっても、危険な太り方と危険ではない太り方があります。内臓の周りに脂肪が蓄積する内臓脂肪が増えている場合は危険な太り方。見た目にはリンゴ型とも言われますね。肥満は肥満症に繋がる危険な内臓脂肪の蓄積を調べる方法もまとめました。 目次 肥満につながる危険な脂肪のつき方 内臓脂肪のたまりやすいタイプは? 肥満症の疑いあり?内臓に脂肪がたまっているか調べる方法 肥満につながる危険な脂肪のつき方 細胞にたまる脂肪には、内臓の周りにつく内臓脂肪と、内臓と皮膚の間につく皮下脂肪があります。この2つは同じ「太った」状態でも、危険度が異なります。内臓脂肪は、内臓そのものへの負担が大きいだけでなく、血液の中に溶け出しやすいため、さまざまな生活習慣病の原因になりえます。 自分の肥満度を知ろう!(BMI編) 内臓脂肪のたまりやすいタイプは? 「体型」で見ると、肥満は大きく2つのタイプに分けられます。 ●リンゴ型 お腹が出っ張って、ウエスト周りが「立派」な太鼓腹。中年男性に多いタイプ。 ●洋ナシ型 お腹でも下っ腹や、腰周り、太ももなどの下半身が「立派」。女性に多いタイプ。 洋ナシ型は皮下脂肪が多いのに比べ、リンゴ型は内臓脂肪がたまっているキケン性が高いです。ベルトがきつくなってきたら、要注意! 肥満症の疑いあり?内臓に脂肪がたまっているか調べる方法 リンゴ型肥満体型で体脂肪率が高かったり、血液検査で脂質が多めと出たりする場合は、内臓脂肪がたまっている恐れがあります。実際に内臓に脂肪がたまっているかどうかは、病院のCTスキャンで腹部断面像を撮影し、調べることができます。CTスキャンと聞くと大袈裟に感じてしまうかもしれませんが、動脈硬化で倒れてからでは遅すぎるので、早めに診てもらいましょう。 公開日:2014年8月4日
脂肪細胞であれ、血中脂肪であれ、体脂肪が増える原因は単純明解「摂取カロリーが消費カロリーをオーバーする」からです。誰もが分かっているのに脂肪がたまってしまうのは、なぜでしょうか?そこには、いくつかの理由があります。 目次 肥満は悪?栄養不足でも生きるために人間に備わった優秀な生存メカニズム 肥満になりやすい日本人?ストレスには要注意 肥満解消のカギは、よく噛んで食べること 肥満になりにくくするには、カロリーを朝や昼に摂ること 肥満は悪?栄養不足でも生きるために人間に備わった優秀な生存メカニズム 人間の誕生から現代までを1日の尺度に置き換えてみると、今のように食べ物のあふれる時代に入ったのは、たった3秒前と言われています。それまでの時間は、常に飢餓との戦いでした。現代の私たちは、丸1日何も食べられないとフラフラする気がします。しかし歴史を振り返ると、長い間、獲物が捕れないことや、悪天候による不作が何度もありましたが、それでも人類は生き延びてきました。そもそも人間は、現代の私たちが思っている以上に少ない食料でも大丈夫なようにつくられている生物なのです。そして、少しでも多く食べたときは飢餓に備えて、エネルギーを脂肪として蓄えるのです。 肥満になりやすい日本人?ストレスには要注意 日本人が「食べ過ぎ・飲み過ぎ」ている大きな原因のひとつが、ストレスです。 実際、肥満になった人の多くは、ストレス解消のために食べる・飲むなどしていると言われています。1日のしめくくりにお酒がやめられない…という人もいますが、アルコールは食欲を増進させるので、食べ過ぎにつながります。 困ったことに、ストレスの原因が何なのか、本人にも分からないケースが多くあります。「会社の上司が嫌なヤツだ」という精神的ストレス以外に、身体的ストレスによる自律神経の乱れも、肥満に大きく関わっています。自律神経は、一定のリズムで1日を送ってこそ正常にはたらくもの。過剰に都市化した環境で、昼も夜も関係なく生活している日本人は、自律神経が乱れ、常に「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」の原因となるストレスにさらされています。 肥満解消のカギは、よく噛んで食べること 肥満解消のために大切なのが、よく噛んで食べること。満腹を感じるには、食事中に消化吸収が始まる必要があります。噛む刺激も満腹感を呼びますが、20~30分かかります。早食いが太りやすいと言われるのは、よく噛まないので満腹感を得るまでに時間がかかり、食べ過ぎてしまうからです。ファーストフードなどは、すぐに食べられて便利な半面、よく噛まずに食べがちなので、注意しましょう。 満腹を感じるまで ▼よく噛んで食事 ▼腸で消化吸収が始まる ▼血中に血糖とインスリンが増加 ▼視床下部の満腹中枢が活発化 ▼満腹感 肥満になりにくくするには、カロリーを朝や昼に摂ること 以下の通り、体のためには朝や昼にカロリーを摂った方が良いと言えます。 昼 交感神経が優位 胃が活発に消化・吸収 エネルギーとして使われやすい 夜 副交感神経が優位 腸の方で消化・吸収 塩分としてたまりやすい 三食のうち、夕食が一番豪華でたくさん食べるのは、日本を含む多くの国で共通の食習慣です。朝や昼に魚・肉を食べなくても、夕食にはメインとして食卓に必ずのっているのでは?なかには1日1食で、夕食だけまとめ食いという人もいます。もしかすると、この食文化・食習慣が、一番改善しにくい壁かもしれません。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 公開日:2014年8月4日
本当の自分を知るのはちょっと怖いですね。でも、肥満は外見だけでは判断できないもの。放置すると肥満症やさまざまな合併症を引き起こす危険もあります。日々自分の体脂肪率を測定し認識することは簡単な肥満予防法です。4つのポイントに注意し、実践してみましょう。 目次 体脂肪計は、どうやって測っているの? 体脂肪率・測定方法のポイント 体脂肪率の測定結果を判定してみよう 体脂肪計は、どうやって測っているの? 体の中の脂肪は、ほとんど電気を通しません。一方、脂肪のぞいた筋肉や血液などは、電気を通す水分やたんぱく質を一定の割合で含んでいます。そこで、人体に影響のないわずかな電流を流し、脂肪が電気を通さないために起こる電気抵抗の強さを測り、体脂肪率を計算するのが体脂肪計です。体脂肪が多いと、当然、電気抵抗は大きくなります。 体脂肪率・測定方法のポイント 体脂肪計は、体重計とは違い高度な測定・計算をするもの。測り方がザツでは、せっかくの測定も台無しとなってしまいます。上手に測って、肥満の予防・改善に役立てましょう。 BMIチェック 数値に一喜一憂しない 体脂肪は、長い眼で経過を見ていくことが何より大切です。体重計のように「3kg減った!」と喜ぶようなものではありません。そもそも体脂肪率は正確な測定が難しいもので、数値は多少変動しやすく、従って数値が下がったからといって喜ぶのはまだ早いようです。たまたまそのとき正確に測れなかっただけで、実際、体の中の脂肪率は変わってなかったということも考えられるからです。だからこそ、毎日測って長い眼で見る必要があります。 「同じ計器」で! 市販されている体脂肪計については、いろいろな計測方法のものがあります。 これは、体脂肪の計測の難しさゆえですが、その多くはインピーダンス法(体内を電流が通る際の抵抗値を参考に算出する方法)を取り入れています。 しかしその中でも指で測るものから、手で測るもの、体重計の様に上に乗るもの、さらに手も使って計測するものがあり、それぞれ計測値には差が出ます。だから各機器によって、標準体脂肪率も違います。「会社の健康診断結果と家での計測値が違う!」なんて場合も驚かずに、それぞれの計器に示されている標準値を参考にしましょう。健康管理に利用するのであれば、一つの機種を特定し、継続的に使うようにしましょう! 「同じ時間・健康状態」で! 朝起きたとき「顔がむくんでいるなぁ」と思うことはありませんか?体の中の水分の分布は変化しやすいもの。また、胃の中に脂肪たっぷりの食事や飲み物が残っていては、正しく測定できません。さらに、血液の流れにも大きく左右されるため、激しい運動後も禁物です。毎日の変化を見るには、決まった時間、 同じ体の状態で計測を続けるようにしましょう。また、計測に適した時間帯は機種によって異なるのでよくチェックしましょう。 ■計測に適した時間帯の一例 「正しい姿勢」で! 体の中の電気抵抗を正しく測るためには「姿勢」も大切です。測り方が正しくないと、せっかくの測定も台無しになってしまいます。この「姿勢」についても測定機器よって異なりますが、以下に一例を挙げます。 姿勢の注意点 ●素手・素足で ●できるだけ薄着で ●立つ位置や握り部分は電極にきちんと触れること ●脚踏みしない 体脂肪率の測定結果を判定してみよう 肥満度 男性(%) 女性(%) やせ~ 9.9~ 19.9 標準10.0 ~ 19.920.0 ~ 29.9 軽肥満20.0 ~ 24.930.0 ~ 34.9 肥満25.0 ~ 35.0 ~ 出典:「ナショナル体脂肪体重計」取り扱い説明書 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
本当の自分を知るのはちょっと怖いですね。でも、肥満は外見だけでは判断できないもの。放置すると肥満症やさまざまな合併症を引き起こす危険もあります。自分のBMIを判定したり、キャリパー法、水中体重法、インピーダンス法などで体脂肪率を測定してみることも重要です。 目次 ちょっとコワイけど…肥満度を測ってみよう! BMI(ボディ・マス・インデックス)って? 体脂肪率って? 体脂肪率の測定法 ちょっとコワイけど…肥満度を測ってみよう! 自分が肥満かどうかは気になるところですよね。自分の肥満度を知るために、まずは現在、肥満度を測るのによく使われる「BMI」と「体脂肪率」の違いと測り方を見てみましょう。 BMIチェック BMI(ボディ・マス・インデックス)って? BMIとは、標準の体格指数のことです。1980年代以降、肥満度の指標として国際的に用いられてきました。身長に対して、どのくらいの体重ならば標準なのか?を知る目安でもあります。 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI (例)60(kg)÷1.65(m)÷1.65(m)=約22 日本肥満学会では、標準のBMIを22としています。 逆に、身長から標準の体重を求めたい場合は… 身長(m)×身長(m)×22=平均の標準体重(kg) (例)1.65(m)×1.65(m)×22=約60(kg) しかしこれは手軽ではありますが、あくまで「見かけ」しか分かりません。問題は「中身」です。同じ身長・体重でも、脂肪が多いのか、筋肉が多いのかで「中身」はぜんぜん違ってきます。仮にBMIで問題なくても、自分の普段の生活を振り返って、食べ過ぎや運動不足が思い当たる人は、体脂肪率もチェックすることが大切です。 体脂肪率って? BMIが体重と身長の比率・指標になるのに対し、体脂肪率は、体の何%が脂肪なのかという「中身」を知るもの。「見た目」で分かる皮下脂肪だけでなく、内臓についた脂肪や、血中の脂肪をトータルして知るためのものです。つまり「かくれ肥満」も見つけることができます。そもそも「肥満」とは、体の中の脂肪の割合が、健康に心配が出るほどに増えた状態のことなので、体重よりも、こうした体脂肪率の方がより正確な判断の基準となるのです。 体脂肪率は、かなり一般的に知られる基準となってきましたが、具体的にはどうやって測るものなのでしょうか。実は測るのが、かなり難しいもので、今までに水中体重法、空気置換法、ガス希釈法、アイソトープ希釈法、二重X線法(DEXA法)、カリウム法、インピーダンス法、TOBEC法、キャリパー法、超音波法、近赤外線分光法、CT法、MRI法など、いろいろな方法が開発されています。その中の代表的なものは次の通りです。 体脂肪率の測定法 皮脂厚計(キャリパー)法 キャリパーという機器で、二の腕の後ろ側や、肩甲骨の下あたりの皮膚をつまみ、その部分の皮下脂肪の厚さを測定します。その部分は、全身の体脂肪との関係が深いと言われていますので、そこから体脂肪率を算出します。この方法は簡単な上、安価ですが、正しく測定するのはかなり難しいため、技術が必要で、測る人によって値が異なりやすいようです。 水中体重法 油は水に浮きます。その原理を利用したのが、「水中体重計」です。つまり体脂肪の少ない人の方が浮きにくく、体脂肪の多い人は浮きやすい性質を応用するものです。測定する人を水槽に沈めて測るこの方法は、より正確な測定法として、大学や研究機関などで使われています。しかしやはり、これは専門家向けの方法で、誰もが日常的に測れるというものではありません。 インピーダンス法 現在、家庭用として広く使われているのが、この「インピーダンス法」を用いた体脂肪計です。体の中の電気抵抗を利用した方法です。 完璧ではありませんが、測り方をキチンとすれば、かなり正確な数値を求めることができるといわれています。何より良いのは、家庭で毎日、手軽に測れるということ。というのも、体脂肪率は1回測ったらおしまいというものではなく、長い目でその増減を見ていくことが肝心だからです。ただし、メーカーによって測定方法が異なるほか、同じ計器を用いても計測する時間、飲食の前後、健康状態などによっても大きく変化する場合がありますので注意が必要です。 体脂肪計が身近にない場合、まず下にあげたページで、自分の生活の「脂肪がたまりそう度」をチェックしてみましょう。このチェックで、かなり心配される場合は、定期的に体脂肪率を測りながら改善するようにしていくとよいでしょう。 あなたも本当は肥満かも?自分の肥満度を知ろう!(体脂肪計編) ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
体を動かすのに必要なエネルギー(カロリー)以上のカロリーを食べてしまうと、余った分はすべて中性脂肪に変わってしまいます。特に注意しないといけない食品をまとめました。逆に、中性脂肪を減らす効果のある食品もあります。前者を減らし、後者を積極的に摂るようにすることが食生活改善の第1歩です。 目次 中性脂肪を増やす食べ物 中性脂肪を減らす食べ物 中性脂肪を増やす食べ物 ●油脂・脂肪を含む食品 小腸で、脂肪酸とグリセロールに分解、吸収された後に脂肪酸が3つとグリセロールがくっついた中性脂肪に変わります。血液中を全身にある脂肪細胞に運ばれ、細胞の中に貯えられます。 1日の摂取量の目安 油脂:男性25g・女性20g(サラダ油大さじ1杯、約13g) 魚介・肉:男性120g・女性100g ●甘いもの(糖質を含む食品) 小腸などでブドウ糖に分解、吸収された後、血液によって体中に運ばれ、脳などで活動を行うエネルギーになります。しかし、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)があがると「インスリン」という酵素がはたらいて、ブドウ糖を中性脂肪に変えます。 1日の摂取量の目安 男女とも砂糖20g ●アルコール アルコールは肝臓で分解され、最終的には水と二酸化炭素になって排出されますが、その過程で脂肪の合成を進める酵素を発生させてしまいます。このため、肝臓で中性脂肪の合成が進んでしまいます。 1日の摂取量の目安 日本酒: 2合 ビール: 大ビン2本 ただし、カロリーのことも考えるのならこれより減らした方がよいでしょう。 中性脂肪を減らす食べ物 ●食物繊維 食物繊維は人の消化酵素では消化できず、そのまま排泄されてしまいます。しかし、腸の中でコレステロールや糖質を吸着しその排泄を高めると考えられています。 ●とうがらし とうがらしの辛味成分「カプサイシン」が脳にある内臓感覚神経を刺激し、体に興奮作用を引き起こすホルモン「アドレナリン」が分泌されます。これによって体内の中性脂肪が、エネルギーになりやすい脂肪酸に変わります。 ●ウーロン茶(ポリフェノール) ウーロン茶(特にプーアル茶)を毎日飲み続けると、コレステロール値、中性脂肪値ともに下がるという実験報告が多くされています。科学的な根拠ははっきりしませんが、食物繊維と同様、腸内での脂肪の排泄を促進するのではないかと考えられています。 ●青魚(イワシ・サバ・サンマなど) 青魚の脂肪分に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)などは肝臓で脂肪の合成を抑えて、血液中の中性脂肪の増加を抑えるはたらきがあります。 ●大豆 肝臓で糖質が脂肪に変わるのを妨げるはたらきがあります。 ●ジアシルグリセロールを多く含む調理油 ジアシルグリセロールは一般の油(トリアシルグリセロール)から脂肪酸をひとつとった形になっているため、腸で分解、吸収された後、中性脂肪(トリグリセライド)に再構成されにくいです。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
中性脂肪を減らすのに最も有効なのは「食生活の改善」です。しかし、食生活に気を配らなくちゃいけないと思っていても、忙しいとなかなか思い通りにいかないですよね。 基礎知識編に続き、実践的な献立、メニューとして、1日の摂取カロリー内での、朝、昼、夕食の献立パターンをご紹介します。あまりきっちり考え過ぎず気楽に始めてみてください。 目次 毎食の目安量を決めてしまおう 中性脂肪を減らす朝食メニュー 中性脂肪を減らす昼食メニュー 中性脂肪を減らす夕食メニュー 毎食の目安量を決めてしまおう 1日の摂取量1,800~1,900kcalと考えた、毎食ごとの献立パターンを紹介します。ただし、これはあくまでも一つの例。この献立パターンを参考に自分に合ったパターンを作ってみましょう。 中性脂肪を減らす朝食メニュー 朝食(約500kcal) メニュー例 オニオンオムレツ・ブロッコリー添え・トマトときゅうりのサラダ・トースト・牛乳 献立のコツ ●たんぱく質は卵1個ぐらいが目安 ●朝の野菜は2口×4種類を目安に 昼食を外食にする場合、朝食で120gぐらい野菜をとりたいところです。例えば、トマト1/4切れ、 きゅうり1/4切れ、ブロッコリー20g(2房ぐらい)、玉ねぎ約1/4個ぐらいになります。男性ならそれぞれ2口ぐらいで食べられそうな量ですので、「朝の野菜は2口×4種類」を目安にします。そのうち1種類以上は、緑黄色野菜からとるとよいでしょう。忙しい朝は、生食か、レンジですぐに調理できる固まり野菜をおすすめします。かぼちゃ、にんじん、大根などもすぐに使える食材です。 ●朝の主食はトースト1枚、飲み物は牛乳1杯 ごはんの場合は、お茶わんに軽く1杯(約110g)程度です。 ●マーガリン・ドレッシングは全部で大さじ半分程度 油脂類は1日大さじ2杯(大さじ1杯で大体80kcal)までが目安です。昼食外食の場合、朝の油はなるべく控えた方がいいでしょう。上のメニューなら、オムレツにバター(マーガリン)大さじ1/4、サラダのドレッシング大さじ1/4ぐらいとなります。味気ないぶんは、塩やしょうゆでプラス。とはいえ、使い過ぎには十分注意して。 中性脂肪を減らす昼食メニュー 昼食(約800kcal前後) 昼食は外食の方が多いため、外食人気メニューのカロリーをチェックしておくことが大事です。しかし、毎日毎日、低カロリーを考えていては気がめいって長続きしません。そこで、週3回は好きな食事、4回は低カロリーと決めてみては?ただ、好きな食事をとるときも、野菜の煮物やおひたしなどをプラスアルファで注文するよう心がけるとよいでしょう。 ●チキンカレー(814kcal) カツカレーの場合は、約1200kcalになります。カレー+サラダのセットメニューが多いですが、サラダのドレッシングには気をつけてください。あらかじめ少なめにしてもらうか、ノンドレッシングで食べるようにしましょう。 ●チャーハン(490kcal) 意外とカロリーが低いチャーハン。サラダやシューマイ、餃子などプラスしてもOKです。ただし、お店によって量が随分違うのでその点は注意が必要。ラーメン類なら五目麺(680kcal)がおすすめです。 ●ちゃんこうどん(652kcal) 天ぷらうどんなど揚げ物がつくと約900kcalになります。 ●ハンバーグ定食(850kcal) 785kcalのひれかつ定食の方がカロリーが低いのは驚きです。 中性脂肪を減らす夕食メニュー 夕食(500~600kcal) メニュー例 焼き魚・根菜類の煮物・ほうれん草のお浸しと冷やっこ・ごはんみそ汁 献立のコツ ●夕食は1汁3菜を目安にする 栄養バランスのとれた献立の基本は1汁3菜です。おかずも、1.焼き物・炒め物、2.煮物、3.おひたし・酢の物・サラダなど、と大体の構成を決めておくとメニューを考えやすいでしょう。コンビニ弁当の場合も、このメニューを考えつつ、カロリー表示を見ながら選ぶとGood。 ●肉類、魚類など動物性たんぱく質は50g~60g 1日にとった方がいい動物性たんぱく質食品の目安は、男性120g、女性100g。昼食が外食の場合、それだけで1日分とってしまっている可能性が高くなります。昼食に食べたものを考えながら夕食の量を決めましょう。野菜と一緒に炒めたり煮たりして、見た目ボリュームが出る工夫を。 ●野菜は、120g~150g。根菜類など食物繊維の多いものも多くとる 野菜は、朝食の4種類より少し多めに。「2口×5~6種類」ぐらいを目安にしましょう。きんぴらごぼう、切り干し大根、ヒジキの煮物、筑前煮など、昔ながらのお惣菜は食物繊維がたくさんできるおすすめメニューです。 ●調理油やドレッシングなどは、1人大さじ半分~1杯以内で 朝食メニューで述べた通り、調理や調味で使う油の量はなるべく控えめにしましょう。 ●豆製品や芋類も上手にとろう 豆腐や油揚げなどの大豆製品は良質なたんぱく質食品。おみそ汁に使ったり、納豆をプラスすることで、ボリューム感もアップします。芋類もビタミン類、食物繊維などを含んでいます。野菜と一緒に煮たり、サラダに使うなどして上手にとりましょう。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
中性脂肪を減らすのに最も有効なのは「食生活の改善」です。しかし、食生活に気を配らなくちゃいけないと思っていても、忙しいとなかなか思い通りにいかないですよね。 まずは、気をつけるべきポイントを押え、毎日の摂取カロリーと毎食の献立パターンをイメージできるようにしましょう。 目次 中性脂肪を減らすには、1日の摂取カロリーの目安量を決めるのが効果的 中性脂肪を減らす食生活改善 高カロリー食品はなるべく避ける 高カロリー食品といえば油! 野菜、特に食物繊維の多い食品をたくさんとる 1週に3~4回は魚類のメニューにする 中性脂肪を減らすには、1日の摂取カロリーの目安量を決めるのが効果的 減量を頭に入れた場合の1日の摂取カロリーの目安は、以下の通りです。 1日の摂取カロリーの目安= 標準体重{(身長-100)×0.9}× 25 ~ 30kcal 例えば、身長170cmの場合、 {(170-100)×0.9}×25~30kcal=1,575~1,890kcal つまり、約1,600kcal~1,900kcal になります。 身長150cm以下の人は0.9をかけなくてもよいため、 (150-100)×25~30kcal=1,250~1,500kcal となります。 1,600kcalをとるか1,900kcalをとるかは、日頃どのくらい体を動かしているかで決めるのが一般的。デスクワーク中心で通勤時間も短いという人なら低い方の値になります。ただし、突然大幅な食事制限に挑戦すると挫折してしまう場合が多いため、最初は無理のないところから少しずつトライしましょう。 中性脂肪を減らす食生活改善 高カロリー食品はなるべく避ける 摂取エネルギーを減らすためにまず見直さなくてはならないのは、肉類、糖類(ごはんなどの穀類やお菓子ジュースなど)の取りすぎです。食べる量を少なくするのはもちろん、同じ肉類でも赤身の部分を多く食べるようにするなど、質の改善も必要です。糖類については、中性脂肪を減らす食生活の献立パターンを参考に1日の総量を決めること。特に間食やジュースなど、決めた以上にとらないことが大切です。 高カロリー食品といえば油! でも、炒め物や揚げ物などに大活躍の油を控えるのは、なかなか難しいもの。そこで、まずはバター、マーガリンドレッシング、マヨネーズなど調味料を控えることを考えましょう。また、いまは「体脂肪がつきにくい油」など、健康を配慮したものも多く発売されているので、それらを活用するのも一つの手です。 野菜、特に食物繊維の多い食品をたくさんとる 野菜に含まれるビタミンやミネラルは、体の代謝を活発にするなどの重要な役目を担っています。また、血管の老化を防ぐなど、動脈硬化の予防にもつながる栄養素でもあります。海藻類やきのこ、乾物などに多く含まれる食物繊維は、生活習慣予防のために注目されている物質。腸内で中性脂肪や糖質を吸着して一緒に排泄させてしまうはたらきもあります。1日に食べたい野菜の量は300g。淡色野菜・緑黄色野菜・食物繊維が多い野菜…とバランスよく食べるようにしましょう。 1週に3~4回は魚類のメニューにする 同じ脂肪でも、魚類に含まれる脂肪は善玉(HDL)コレステロールを多く含んでいます。このコレステロールが血液中に増えると、中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロールのたまり過ぎがまねく動脈硬化を防いでくれるのです。このほか、オリーブオイルなどに含まれているオレイン酸に、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やすはたらきがあるとして注目されています。
中性脂肪とは一体何のことなのか、体の中でどのような役割をしているのか、そして、中性脂肪がたまりすぎるとどうなるのかについて簡単にまとめてみました。 目次 必要以上に食べた分は中性脂肪に変身する 生き延びていくために不可欠な中性脂肪 たまり過ぎの中性脂肪は命を縮める火薬庫 必要以上に食べた分は中性脂肪に変身する 小学校の理科の時間に習ったこと、皆さん覚えていますか。 「人間の体に吸収された炭水化物や脂肪は、人間がいろいろな活動をするときのエネルギー源となります。そして、余ったエネルギー源は脂肪として体内に貯えられます」 中性脂肪とは、この「脂肪」のこと。つまり、日々余分にとってしまった炭水化物や糖分、脂肪分は中性脂肪になって、どんどん体にためられています。 生き延びていくために不可欠な中性脂肪 中性脂肪には以下のような役割があります。人間が生きていくためにとっても大切なはたらきですが、「はたらきだった」というべきかもしれません。人類の進化の過程においては、飢餓や寒さに耐え忍んだりしなくではいけないシーンが多く、余分なエネルギーを貯めこむというはたらきは、そういった時代を生き抜くためのシステムでした。 1.食物が足りないときのエネルギー源 人体の活動に必要なエネルギー源が、食事などを通して供給されないときのエネルギーとなります。エネルギー不足になると、中性脂肪は遊離脂肪酸という物質に分解されて血液中に放出され、全身に運ばれて体内各部分の細胞が正常に活動するためのエネルギー源になります。 2.体温を保つ機能 アザラシやオットセイなどは、体の分厚い皮の下に皮下脂肪をいっぱい貯えています。その脂肪のおかげで、冷たい氷の海でも体温を保てます。人間の中性脂肪にも同じようなはたらきがあります。「人間は服を着るから大丈夫」ということはありません。体内の中性脂肪の量が極端に減れば、体温の調節などに障害が出てきます。 3.外からの衝撃を吸収する 多少何かにぶつかっても、「痛い」だけで済むのは中性脂肪のおかげ。内臓など体内の重要な器官を衝撃から守るはたらきもしています。 たまり過ぎの中性脂肪は命を縮める火薬庫 人間が生きていくのに必要不可欠な中性脂肪。しかし、飽食&運動不足の時代、多くの人にとって、たまりすぎた中性脂肪は命を縮める火薬庫になりかねません。「中性脂肪のたまり過ぎ=肥満」は、生活習慣病の原因になります。
中性脂肪のたまり過ぎは見た目だけではわからないのが難点。自他共に認めるスリムな女の子が脂質異常症(高脂血症)だったりなんてケースも珍しくありません。ここでは、中性脂肪が貯まりそうな生活態度をチェック。半分以上○がついちゃった人は中性脂肪ブヨブヨ予備軍。生活改善を真剣に検討しましょう。 目次 半分以上あてはまる人はブヨブヨ予備軍だ 脂肪はもちろん、糖分、アルコールも中性脂肪の素である 食べないから大丈夫というワケではない 運動は脂肪を燃やし、ストレスを解消させる 半分以上あてはまる人はブヨブヨ予備軍だ 1. 仕事が忙しく、外食が多い 2. 毎日、ジュースを1缶(350ml)以上飲んでいる。または、おやつに甘いものは欠かせないタイプ 3. 毎日、日本酒2合以上(ビールなら大ビン1本以上)飲んでいる 4. 朝食を抜きにすることが多い 5. 夜のおやつ、または夜食をとるのが習慣になっている 6.「最近ストレスがたまっているなあ」と感じる 7. 1日1時間以上歩かない。自分でも運動不足だと思っている 8. タバコを吸う 脂肪はもちろん、糖分、アルコールも中性脂肪の素である 外食は脂肪を多く含む高カロリーのものが多いため、バランスを考えないと脂肪の取りすぎになってしまいます。特に、ハンバーガー類、揚げ物などに注意しましょう。 また、糖分やアルコールも取りすぎると体内で中性脂肪に変わってしまいます。砂糖は1日20gぐらいまでが適当とされていますが、缶ジュースによっては、1缶でそれ以上というものもあります。甘いお菓子なども同様に注意しましょう。 アルコールは、チェック欄にある通り、1日日本酒で2合ぐらいまでが健康な飲酒の限界。さらに、週に1度はノンアルコールデーを作るよう心がけるとよいでしょう。 食べないから大丈夫というワケではない 「脂肪を増やさないためには食べなければいいだろう」なんて、朝食を抜いたりするのは厳禁。まず、朝食べ物をとらないと脳にとって大切な糖分の補給ができません。午前中の仕事や活動に支障が出てしまいます。また、朝食を抜いたからといって脂肪が減るということもないようです。 一方、夜食として食べた甘いものは寝ているうちに中性脂肪に変わってしまいます。これは実験などでも証明されています。甘い物を食べるのは、日中、特に体を動かす前にするとよいそうです。 運動は脂肪を燃やし、ストレスを解消させる 「ストレスが貯まると中性脂肪も貯まって肥満になるのか」というと、正確にはそうではありません。ストレスに関係あるのは血液中の中性脂肪の量。 普段は脂肪細胞内に貯えられている中性脂肪は、ストレスを感じて心拍数が上がることによって、血液中に放出されます。この繰り返しによって血液中の中性脂肪の量が増え、動脈硬化などを引き起こす可能性があるということ。 中性脂肪を燃やし、筋肉を作るためだけでなく、ストレス解消のためにも適度な運動が大事なのです。 最後に、中性脂肪とたばこの関係。たばこも動脈硬化などを引き起こす危険因子なので、血液中に中性脂肪が多い人が喫煙すると、さらに危険が増すのではないかと言われています。
人間が生きていくためになくてはならない。けれど増えすぎると万病の素になる中性脂肪。どのくらいになると危険ラインなのでしょうか?近年ではBMIが簡単に判定できる方法として最も使われています。あなたも自分の中性脂肪がたまり過ぎていないか測ってみましょう。 目次 中性脂肪がたまり過ぎた状態を「肥満」という 簡単にできる肥満度チェック(BMI方式) もっと正確にわかるのが「体脂肪率」 リンゴ型肥満と洋ナシ型肥満 リンゴ型肥満は内臓に脂肪ビッシリの恐れあり 中性脂肪がたまり過ぎた状態を「肥満」という 皆さんご存知の通り、「肥満」は中性脂肪がたまり過ぎた状態のことです。そこで、一番簡単な目安になるのが自分の肥満度を計算してみる方法になります。最近よく使われているのがこれから紹介する「BMI(Body Mass Index)方式」です。 簡単にできる肥満度チェック(BMI方式) 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)=肥満度指数 BMIチェックはこちら 肥満度の判定基準 BMI 肥満度判定 18.5未満低体重(やせ) 18.5~25未満普通体重 25~30未満肥満(1度) 30~35未満肥満(2度) 35~40未満肥満(3度) 40以上肥満(4度) もっと正確にわかるのが「体脂肪率」 肥満度のチェックはいかがでしたか?ただ、このチェックでは筋肉モリモリの運動選手が肥満になってしまったりする欠点があります。その一方で、見た目はやせていても筋肉の代わりに脂肪がいっぱいという 「隠れ肥満」も増えているようです。そこで、もっと正確を期したい人は「体脂肪率」をチェックするとよいでしょう。 体脂肪率による肥満度の判定基準は次のようになっています。 体脂肪率による肥満度の判定基準 男性 女性 軽度肥満 20%以上 30%以上 中等度肥満 25%以上 35%以上 重度肥満 30%以上 40%以上 リンゴ型肥満と洋ナシ型肥満 中性脂肪は体のどの部分に貯まっていくのでしょうか。人によって個人差がありますが、大きく以下の2つのタイプに分けられます。 ●リンゴ型肥満 腹部を中心に脂肪が蓄積するタイプ(男性型肥満ともいわれます) ●洋ナシ型肥満 お腹から下半身にかけて脂肪が蓄積するタイプ(女性型肥満ともいわれます) どっちもどっちであまり嬉しくないスタイルですが、生活習慣病に近いのはリンゴ型。あなたはどちらのタイプか「ウエスト÷ヒップ」で計算してみましょう。男性は1.0以上、女性は0.9以上だとリンゴ型肥満だと考えられます。 リンゴ型肥満は内臓に脂肪ビッシリの恐れあり リンゴ型肥満はさらに「お腹の皮の下に脂肪が蓄積するタイプ」と「内臓の周囲に脂肪が蓄積するタイプ」に分けられます。危険なのは後者の方。これは、「内臓脂肪型肥満」とも言いますが、インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM)や高脂血症などの脂質異常、高血圧症との関連が深い肥満なのです。 また、肥満度が低く、 肥満と判定されなくても脂肪蓄積の仕方により、内臓脂肪が多い「かくれ肥満」の人もいます。内蔵脂肪型肥満かどうかは、腹部CTスキャンによって判定されます。
「中性脂肪を減らすためには、脂っぽい食べ物を控えればいい?」 実は、体内で中性脂肪に変わるのは、油脂類や脂肪を多く含む食べ物ということではなく、「エネルギー源」を含む食べ物が中性脂肪に変わります。では「エネルギー源」は中性脂肪に変わるのでしょうか? 体内に中性脂肪がたまるメカニズム 「中性脂肪を減らすためには、からあげとかドレッシングなどを控えればいいのかしら?」 これは、半分マル、半分バツ。体内で中性脂肪に変わるのは、油脂類や脂肪を多く含む食べ物だけではありません。我々の食物は、こんにゃくなどノンカロリーといわれるもの以外はすべて「エネルギー源」を含んでいます。中性脂肪に変わるのは、この「エネルギー源」です。 事務職の男性(30代)が1日の活動に必要とするエネルギーは2,200kcal 程度、女性(30代)1,800kcal 程度と言われますが、それ以上に食べてしまった分のエネルギーが中性脂肪として体内に貯えられてしまいます。特に注意しなくてはいけないのが、炭水化物(糖分)、脂肪、アルコールなどエネルギーを多く含む食物。これらが体内でどのように中性脂肪に変わるのか、簡単にまとめてみましょう。 からあげに使われた油 口に入った食べ物は からあげに使われた油 サラダ油大さじ3 360kcal ※実際はもっと多く使います 小腸などから吸収される 脂肪酸とグリセロールに分解して吸収 血液を通ってエネルギー源として使われる 脂肪酸はすぐに使えるエネルギー。アルブミンというたんぱく質と一緒になって血液中を運ばれます。心臓など重要な器官を動かすエネルギー源です。 余った分は… 血液中を全身にある脂肪細胞に運ばれ、細胞の中に貯えられます。 あんまんに含まれる糖分 口に入った食べ物は あんまんに含まれる糖分 1個 約240kcal 小腸などから吸収される ブドウ糖に分解、吸収 血液を通ってエネルギー源として使われる ブドウ糖(血糖ともいう)は血液によって体中に運ばれ、脳などで活動を行うためのエネルギーとして使われます。 余った分は… 血液中のブドウ糖濃度(血糖値)があがると、「インスリン」という酵素がはたらいて、ブドウ糖を中性脂肪に変えます。中性脂肪は脂肪細胞に貯えられます。 ビールに含まれるアルコール 口に入った食べ物は ビールに含まれるアルコール 大ビン1本 約250kcal 小腸などから吸収される アルコールのまま吸収 血液を通ってエネルギー源として使われる アルコールは肝臓で分解され、最終的には水と二酸化炭素になって排出されます。お酒は結構カロリーが高いのですが、エネルギーとなるのはアルコール以外の成分です。 余った分は… アルコール自体は中性脂肪に変わるわけではありません。しかし、アルコールが分解される際に、脂肪の合成を進める酵素を発生させてしまいます。このため、肝臓で中性脂肪の合成が進んでしまいます。そして、肝臓の中にある脂肪細胞に貯えられていきます。
満腹感や空腹感は、血液中のブドウ糖と遊離脂肪酸の濃度で決まります。血液中の、この2つの物質の濃度が脳内にある満腹中枢と摂食中枢を刺激することで満腹感や空腹感となるのです。では、詳細なメカニズムを見てみましょう。 目次 満腹、空腹を感じる脳内の仕組み・メカニズム 満腹感を感じる時ってどんな変化が起こっているの? 空腹感を感じる時ってどんな変化が起こっているの? 満腹、空腹を感じる脳内の仕組み・メカニズム 満腹と空腹は、血液中のブドウ糖と遊離脂肪酸の濃度で決まります。また、満腹を感じる満腹中枢と、空腹を感じる摂食中枢は間脳の視床下部にあります。それぞれ感じる仕組みを図を見ながら追っていきましょう。 満腹感を感じる時ってどんな変化が起こっているの? 食事で体内にエネルギーが補給されると血糖値が上昇し、血液中のブドウ糖の濃度が上がりますが、この情報はただちに満腹中枢に伝えられます。 この情報を受けて、中枢からは「エネルギーの摂取は十分である!」という情報が体にフィードバックされ、私達は満腹感を覚えることになります。 血糖値の上昇は食事を始めてから20分ほどかかるので、この間に必要以上に食べてしまうと、満腹中枢から満腹感の信号が出される前に多量のエネルギーを摂ることになってしまいます。早食いの人が太りやすいのはこのためです。 ダイエットをしている人はなるべくゆっくり食べた方がよいでしょう。 空腹感を感じる時ってどんな変化が起こっているの? 一方、さまざまな活動により体内のエネルギーが消費されると血糖値が低下し、体に蓄えていた脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。この脂肪を分解するときにできるのが遊離脂肪酸です。 遊離脂肪酸が血液中に増えてくると、この情報が摂食中枢に送られ空腹感となって、私たちにエネルギーの補給を促すのです。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
食事は体脂肪率を左右する重要なポイント。毎日の食事の摂り方をもう一度チェックしてみよう。食べ方次第では体脂肪率がどんどん高くなってしまう危険度も大。あなたに当てはまる項目は? 目次 「お腹いっぱい」の感覚が好き 食べるのが人より早い 1日1食のことがたびたびある 味付けは濃い目が好き 食べたり、食べなかったり。3食の時間が不規則 丼物や大皿料理が好き 「お腹いっぱい」の感覚が好き 「健康にいいのは腹八分目」と昔から言われているように、かなりの満腹感になるまで食べ続けるのは問題アリ。満腹中枢は、食べ物の量の多少に拘わらずよく噛むことで刺激されるもの。日常的に胃に負担をかけ続けることは健康にもよくないし、余分なカロリー摂取はデブのもとなのだ。 食べるのが人より早い 食べ物を一気に詰め込むと胃の吸収力が盛んになり、エネルギーを体脂肪としてため込みがち。ゆっくりとよく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎになるのを防ぐ効果もある。ひと口毎に20回以上よく噛み、ゆっくり食べる方法がおすすめ。 1日1食のことがたびたびある 1日1食しか食べない人は、どうしても一度の食事量が多くなり(俗に言うドカ食い)、その分のカロリーを消費するのに時間がかかる。すると、消費しきれない余分なエネルギーは、脂肪をため込むホルモンのはたらきによって体脂肪として蓄積されてしまうのである。 さらに、食べ物が入ってくる回数が少ないと、いざという時のために体が脂肪を蓄えようとしてしまう。1日1食を続けるのは「どんどん蓄えろ!」と、体脂肪に対して信号を送っているようなもの。相撲取りの「ちゃんこ」の食べ方と同じなのである。 味付けは濃い目が好き 副菜に味の濃いものばかりを揃えると、つい主食のごはんを食べ過ぎてしまいがち。お米は炭水化物。適度なら問題ないが、摂り過ぎると脂肪としてたまりやすい。ごはんをたくさん食べるよりも、薄目の味付けの汁物や和え物、煮物などをたくさん食べた方が美容と健康のためにはベター。 また、最初に汁物を食べて早くに満足感を得ておくと、ごはんの食べ過ぎ防止に効果的。ローカロリーのものから順に食べていくことが肥満防止につながる。 食べたり、食べなかったり。3食の時間が不規則 忙しいことを理由に朝食を食べない人もいると思うが、これはNo Good!朝は脂肪を燃焼させるはたらきのあるホルモンの分泌が活発になり、たっぷり食べても太りにくい。朝食をきちんととることで体が目覚め、代謝が活発になってエネルギーが効率よく消費される結果にもつながるのだ。朝は食欲がないという人も、せめて牛乳1杯だけでも飲むようにしたいもの。 逆に、夜は脂肪をためるはたらきのあるホルモンの分泌が盛んになる時。夜中のドカ食いは最も危険。3食のバランスは、朝と昼にしっかり食べて夜は控え目に、が理想的。 丼物や大皿料理が好き 一気にかき込んで丼物を食べるのはデブのもと。天丼やカツ丼などは、高カロリーのうえ栄養バランスもよいとは言えず、炭水化物(=ごはん)も食べ過ぎてしまう。また、大皿料理は量の調節がしにくいという点で危険。逆に懐石料理など小さい皿が何品も出てくる料理では、少しずつ食べられ、しかも視覚からの満足感も得られるのである。外食では丼物より定食系を選び、大皿料理は小皿にとりわけて「これしか食べない」と決めておくのもいいかも。 自分で料理する場合でも、「大皿で一品」でなく「少しずつ何品か」を作るのがおすすめ。ボリュームが欲しい場合は具だくさんの汁物や薄味の煮物でカバーしよう。
あなたの体脂肪率の危険度はどのくらい?危険度の高かったあなたには、体脂肪を減らすために「食事・運動・生活」におけるポイントを紹介。 目次 体脂肪 危険度チェック! 体脂肪はどうやって減らす? 体脂肪 危険度チェック! 次の20項目のうち10項目以上あてはまる人は、体脂肪率が標準より高い可能性アリ。生活を見直して、気を付けよう! 振り返ってみると、最近ほとんど運動らしい運動をしていない 食べるのが早く、あまりよく噛んでいない 脂っぽい食事や、濃い目の味付けのものが好きである そんなに食べていないつもりなのに、太りがち 軽くジャンプすると、あごや二の腕、お腹の肉がプルプル揺れる 運動した後はお腹が空いて、つい食べ過ぎてしまう 1日でトータルしても、多分1時間も歩いていないと思う 横向きに寝ると、お腹や胸の肉が床の方に垂れ下がる 食事制限だけのダイエットをして挫折したことがある 疲れやすく、階段の昇り降りでもかなり息が切れてしまう スナック菓子が好きで、口寂しい時にはつい食べてしまう 一度にたくさん食べる時と、少ししか食べない時がある 体重は変わらないが、ズボン・スカートのウエストがきつくなってきた 湯ぶねに浸からず、入浴はシャワーで済ませてしまうことが多い 一度やせたのに、リバウンドでまた太ってしまった経験がある 空腹でなくても、目の前に食べ物かあるとつい口に入れてしまう 夕食は酒を飲みながらつまみを食べて終わり、ということが多い 食事と食事の間隔が開いてしまいがち、または食事時間が不規則 お腹が空いていると眠れないので、ついつまみ食いをしてしまう 両足を伸ばして座り、ひざの上の脂肪をつまむと2cm以上ある 体脂肪はどうやって減らす? 食事 食事の量を極端に減らすと、体は入ってきた栄養をできるだけ蓄えようとするので、体脂肪は逆に増えてしまうことに。食事の間隔が開き過ぎるのも同じこと。量を減らすことよりも、質の高いものを1日3食、少量でも決まった時間に食べることが重要。なかでもビタミンやミネラル、たんぱく質は、体調を整えて体脂肪を燃やすためにも必要な栄養素。十分に摂るようにしよう。 運動 体脂肪を燃やすためには、酸素を体に取り込みながら行う有酸素運動が効果的。つまり、水泳、ウォーキング、エアロビクスなどが二重丸。有酸素運動は、ある程度まとまった時間続けて行うことが重要ポイントだ。また、筋肉は体脂肪を燃やす最大の組織。筋肉をつけることで基礎代謝量を上げ、運動をしなくても食べたものを消費しやすくなる。筋肉のある体作りを目指すことも大切なのだ。 生活 有酸素運動は、一度に20分以上、毎日続けて行うのが理想的。ただ、毎日の生活の中でも工夫次第でカロリー消費量は増やせるもの。エレベーターを使わずに階段、帰り道は一駅分歩くなどの工夫はもちろんだが、日常生活をキビキビと行うだけでも消費カロリーは増えて効果はある。身近なところから見直してみよう。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
太っている、やせている、その目安として考える最もポピュラーな数値は「体重」。しかし本当の肥満度は、体重に占める脂肪の割合、つまり体脂肪率で決まるのである。その微妙な関係を探ってみよう。 目次 体重と体脂肪、どこが違うの? 体脂肪はどうやって計る? 体脂肪は何のためにつく? 体脂肪がつきやすい体質は? 体重と体脂肪、どこが違うの? 体重が純粋な体の「重さ」であるのに対し、体脂肪率とは体重に占める「脂肪の割合」のこと。 人間の体は主に水分と筋肉と脂肪でできており、脂肪は生きていくためにある程度は必要。しかし、増え過ぎると美容と健康の大敵に。体重は標準でも体脂肪が高ければ「隠れ肥満」になってしまうのだ。 また「BMI」(ボディ・マス・インデックス)という数値もある。これは体重と身長がどのような関係にあるかを示す数値で、 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m) という公式で求められる。BMI値は、心臓病、高血圧、糖尿病といった生活習慣病やある種のガンなどに対するその人の危険率(リスク)を決定するかなり正確な指標であることがわかっている。理想的なBMIは19.8~24.2の間。興味のある人はチェックしてみよう。 BMIチェックはこちら 体脂肪はどうやって計る? 自分で簡単に測定するには市販の体脂肪計を利用するのが一番。たいていの商品は体に軽い電流を流して体内水分量により体脂肪率を計るもの。測定する時間は、水分量が安定している、夜の入浴後しばらくたった、寝る前がベストだ。 体脂肪は何のためにつく? 体のために蓄えられた、エネルギーの源となるのが体脂肪。生活のための活力源、体の保温、内臓を保護して正常な位置に保つなど、大切な役割がある。健康を維持するためにはある程度は必要なものなのである。 体脂肪がつきやすい体質は? 体脂肪を蓄える「脂肪細胞」の数が急増する時期、つまり胎児の時期、1歳頃、思春期の初期に太っていた人は太りやすい体質といえるかも。脂肪細胞は、その後の体重の減少にかかわらずほとんどなくならないので、この時期に太っていた人は脂肪細胞の数が多く、いつでも体脂肪を蓄えられる状況にあるというわけ。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
なぜ繰り返すのか おもちゃのヨーヨーは、一本のひもにより、上がったり下がったりの動作を繰り返します。それと同じように体重が減ったり増えたりを繰り返すことを「ヨーヨー現象」と言います。 結論から言えば、無理なダイエットの繰り返しから起こる場合が多く見られます。無理なダイエットは脂肪と共に筋肉も落としてしまいます。その結果、基礎代謝を低下させてしまうことになります。 基礎代謝が低下すると、脂肪の燃焼力が落ちるため、いわゆる太りやすい体質になってしまいます。体重が増えてきたら、また無理なダイエットをするという悪循環となり、時には拒食症になることがあります。そこまでいかなくても「ヨーヨー現象」を繰り返すと、病気のリスクが以前より増えてきます。 標準体重幻想を捨てる 「ヨーヨー現象」は、「リバウンド」(再太り)とも言います。標準体重であれば健康で美しい体を維持できるという幻想を抱いて、体重の数値だけを基準にしてしまいがちです。 しかし体重は個人差、年齢差があり、むしろ筋肉や骨など体の中身が健康であることが重要になります。そのためにも基礎代謝を上げることで脂肪を燃やし、健康な体を目指すことが大切です。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
太り過ぎは、高血圧症、糖尿病、高脂血症などの温床となっていることは、すでに常識です。でも、実際どのくらいの体重だと太り過ぎなのでしょうか?それを簡単に計算して自分の標準体重を知る方法がBMI法や標準体重法です。自分の標準体重を知り、健康的な生活を送りましょう。 目次 標準体重表 (身長-100)×0.9 BMIによる標準体重 身長(m)の2乗×22 標準体重表 (身長-100)×0.9 太り過ぎは、高血圧症、糖尿病、高脂血症などの温床となっているのは、今は常識ですが、一体どの位の体重が太り過ぎと言われるのでしょうか。 そこで考え出されたのが、標準体重表という考えです。 (身長-100)×0.9 によって算出するものですが、近年では、BMI法が一般化しつつあります。 BMIによる標準体重 身長(m)の2乗×22 BMIとは、ボディ・マス・インデックスのことで、体重÷身長÷身長で算出した体格指数です。1980年代以降に肥満度の指標として国際的に用いられてきました。日本肥満学会はBMIの数値22を平均(20~24が普通)としていますので、標準体重の計算式は次のようになります。 身長(m)の2乗×22 ※女性は21をかけることがある 例えば、身長1.72mの男性の場合は次のようになります。 1.72×1.72×22≒65 で、65kgが標準体重です。 ただし、標準体重は肥満度測定の一つの目安でしかありません。なぜならば、一人一人の望ましい体重には個人差があるからです。個人差に影響を与えるのは体型、体脂肪分布などです。従って標準体重とは、望ましいライフスタイルを送るための目安なのです。 BMIチェックはこちら ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
私たちは、子供の頃から「肥満になると健康によくない」と教えられてきました。でもなぜ?と聞かれるとすぐ答えられないのでは?肥満になると心臓への負担が増したり、糖尿病になりやすい、脂肪が脂肪肝などに変化しやすいなど、ちゃんと理由があるのです。 目次 理由1:心臓の負担になるから 理由2:脂肪が肝臓にたまる脂肪肝になり、肝硬変や胆石症になりやすいから 理由3:糖尿病への近道だから 心臓の負担になるから 肥満は健康の大敵だということは常識なのですが、なぜ肥満は健康に良くないのでしょうか? 人間の体は、太ると太った分だけ毛細血管が伸びていきます。ということは、血管の総延長が伸びていくことなのです。すると心臓は、伸びていった遠くまで一生懸命血液を送り出そうと圧力を上げていきます。それだけ心臓ははたらかなくてはいけないわけで、こうして高血圧の原因となっていきます。 脂肪が肝臓にたまる脂肪肝になり、肝硬変や胆石症になりやすいから 肝臓のなかの脂肪は、いつも一定量に保たれていますが、栄養過多(あるいはその逆の栄養不足)、ホルモン分泌の異常、すい臓や胃腸の障害、そして糖尿病などによって、脂肪が増えてしまいます。そうすると、肝機能が低下する肝硬変になる恐れがあります。 糖尿病への近道だから 糖尿病は、すい臓から分泌されるインシュリンの作用が足りないために、体内で栄養の新旧交代が正常に行われず、多くの合併症を引き起こす原因となる病気です。糖尿病になりやすい体質を持って生まれた人は、肥満や運動不足、ストレスが原因で糖尿病になりやすいのです。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
4群分類法に基づいたメニュー例 バランスのよい食事にするためには4群分類法が便利です。 第1~3群は体を作ったり機能を潤滑にするための栄養素で、第4群は主にエネルギーとして使われる食品です。 ここでは、1日2000kcalのメニュー例を上げておきます。 〔4群分類法〕 第1群=カルシウムやたんぱく質が豊富な乳製品と卵 第2群=たんぱく質とビタミンの多い魚介類、肉類、豆製品 第3群=ビタミンやミネラルたっぷりの野菜、芋類、果物 第4群=穀物、油脂、砂糖 朝食 ぶどうパン かまぼことワカメのごま和え(かまぼこ、ワカメ、キュウリ、すりごま、しょうゆ、みりん) コンソメスープ(タマネギ、ニンジン、パセリ、しょうゆ、ブイヨン、塩) 昼食 ごはん 信田煮(油揚げ、卵、ニンジン、すり身魚、ひじき、ホウレン草、春雨、しょうゆ、みりん) しいたけの含め煮(しいたけ、ニンジン、しょうゆ、砂糖) ナスのそぼろあんかけ(ナス、油、豚ひき肉、根しょうが、しょうゆ、砂糖、片栗粉) 夕食 ごはん 鶏手羽肉の長ネギ煮込み(手羽肉、長ねぎ、根しょうが、しょうゆ、砂糖、片栗粉) 豆腐のかき油炒め(豆腐、万能ねぎ、かき油、酒、しょうゆ、片栗粉) 豚肉細切りスープ(豚もも肉、酒、塩、ブイヨン) フルーツみつ豆(モモ、ミカン、リンゴ、チェリー、エンドウ豆、寒天、砂糖) エネルギー:2000kcal 脂質:58.1g たんぱく質:68.2g 塩分:8.0g
CTスキャンで腹部断面像を撮影 内臓型肥満は、腹部の脂肪、主として腹こう内内臓脂肪の過剰蓄積によって起こるものです。皮下脂肪型肥満に比べ、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病を合併しやすい肥満です。 一般の人にも分かりやすいように、内臓型肥満はその体型からリンゴ型肥満とも呼ばれています。この肥満を正確に見分けるためには、CTスキャンを用いて腹部断面像を撮影し、腹こう内内臓脂肪(V)と皮下脂肪(S)の面積比を出して、V/S比を求めることです。 その比が0.4以上の場合は内臓型肥満、0.4未満の場合は皮下脂肪型肥満と定義されています。 ウエストとヒップの比を見る方法も 簡単にはウエストとヒップの比を見る方法もあります。男性で1以上、女性で0.8以上は内臓型肥満の可能性が高くなります。ズボンやスカートのベルトが長くなってきたら要注意です。
肥満とは、体の脂肪や内臓に「異常なほど」脂肪が蓄積した状態のこと。適正な状態より多くの脂肪があるということがポイントです。判定方法としては、皮下脂肪を測る方法や標準体重と比較する方法、BMIで判定する方法などがあります。あなたは本当に肥満ではないですか? 目次 肥満とはどんな状態?肥満の定義とは? 肥満を判定する方法(1)皮下脂肪厚を測る 肥満を判定する方法(2)標準体重から算出する 肥満を判定する方法(3)BMI(体格指数)で判定する 肥満を判定する方法(4)厚生省の肥満とやせの判定表 肥満とはどんな状態?肥満の定義とは? 肥満とは「体の脂肪組織及び種々の臓器に異常な脂肪が沈着した状態である」と定義されています。 体脂肪量は非常に個人差があり、正常でも2~25%におよぶ幅があって、年齢、性別によっても異なってきます。通常、成人男子の体重における脂肪の割合は13~16%が正常であるとされており、この割合が25%以上になった場合は、肥満状態と考えられます。 つまり、体重が多いからといって必ずしも肥満ではなく、また標準体重と同じ体重であっても肥満という現象は起こってきます。 そこで、肥満の判定が必要になってくるわけですが、一般には標準体重と比較する方法がとられています。 主な判定法には次のようなものがあります。 肥満を判定する方法(1)皮下脂肪厚を測る 特定部位の皮下脂肪厚をキャリパーと呼ばれる器具でつまんで計測し、体脂肪率を推定する方法が世界各国で広く活用されています。 皮脂厚測定部位としては、上腕の後ろと肩甲骨の下が最も安定した値が得られるので、一般的にはこの2ヵ所を計測します。 計測された皮下脂肪厚を回帰方程式に当てはめて体密度が得られれば、これを体脂肪率算出式に代入して各人の体脂肪率を求めます。 肥満を判定する方法(2)標準体重から算出する ブローカの変法 標準体重の算出法としては、身長から100を引くブローカ法がよく知られています。 しかし、これはあくまでも欧米人を対象としたものなので、日本人も応用できるように、この方法に修正を加えられたのが「ブローカ式桂変法」と呼ばれる算出法です。 桂式の標準体重:〔身長(cm)-100〕×0.9 ±10%…正常 +10%超…体重過多 +20%超…肥満 ローレル指数 体重を身長の三乗で除して算出する方法です。 [身長160cm、体重55kgの場合] 550(100g)÷1.6(m)÷1.6(m)÷1.6(m)=約134 110~115…正常 150以上…肥満傾向 200以上…肥満 肥満を判定する方法(3)BMI(体格指数)で判定する 計算式によって得られた数値から標準体重を求め、さらにこの標準体重をもとに肥満度を求めるには多くのステップが必要です。 そこで、この手間を省いて肥満の基準となる値を定めたものが、BMI(体格指数)と呼ばれるものです。 わが国ではBMI 25以上が肥満とされています(日本肥満学会の基準)。 BMI:体重(kg)÷〔身長(m)〕2 [身長170cm、体重70kgの場合] 70(kg)÷1.7(m)÷1.7(m)=約24 肥満を判定する方法(4)厚生省の肥満とやせの判定表 肥満のスクリーニングの一つの方法として、厚生労働省が昭和61年(1986年)に出した判定表で、年代別に身長とそれぞれの体重の適性範囲が分かるようになっています。太り過ぎ、太りぎみ、ふつう、やせぎみ、やせ過ぎの5段階に分類されています。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
私たちは、経験的に親が肥満していると、子どもが肥満である確率が高いように感じていませんか?その感覚が近年の遺伝子研究で明らかになってきました。自分が肥満体質なのか、遺伝子検査をしてみるのもおすすめです。 目次 肥満には遺伝素因が大きなウエイトを占める 注目される肥満(ob)遺伝子のはたらき 肥満には遺伝素因が大きなウエイトを占める 両親が肥満の場合は約70%が、片親の場合でも40~50%の子供が肥満になるといわれており、研究者の間では、肥満しやすい家系があることはよく知られています。 米国・ペンシルバニア大学の肥満研究者が、1974組の一卵双生児と2097組の二卵双生児を調査したところ、肥満の一致率は一卵性のほうが2倍も高いということが分かりました。この結果は、肥満に遺伝素因が大きな要素を占めるものであると注目を集めました(JAMA. 1986;256(1):51-54)。 注目される肥満(ob)遺伝子のはたらき また、最近の研究から肥満(ob)遺伝子の存在も明らかになってきました。 この遺伝子はobタンパク(またはレプチン)と呼ばれる、ホルモンの一種のようなタンパクを作り出していますが、このobタンパクが視床下部に作用して、体重をコントロールしている可能性があるといわれています。 従って、ob遺伝子の変異をもつ動物では、このobタンパクが作られないために肥満をきたすと考えられています。 一方、遺伝性の肥満には、遺伝性の病気(先天異常症候群)が原因になっているものもあります。 これらの症候群に見られる肥満は中等度までのものが多く、重症の肥満を示すものは少ないといわれています。 代表的な症候群として、Prader-Willi症候群、Laurence-Moon-Biedle症候群などがあげられます。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
私たちの体内には褐色脂肪細胞という元々カロリーを消費する細胞が多く存在しています。また、過剰に栄養分を摂取すると脂肪を蓄積する役目の白色脂肪細胞が増加します。褐色脂肪細胞が減少したり機能低下すると肥満や肥満症になりやすくなることがわかっています。 目次 本来カロリーを消費する褐色脂肪細胞がカロリーを消費しなくなってしまう 元々脂肪を蓄積する白色脂肪細胞が必要以上に増殖してしまう ストレスに注意!食欲の司令塔である食欲中枢に異状をきたす 本来カロリーを消費する褐色脂肪細胞がカロリーを消費しなくなってしまう 現在、肥満を引き起こす体のメカニズムとして次のようなことが分かっています。 褐色脂肪細胞はブドウ糖や脂肪を燃焼させて熱産生を行い、体温の維持にかかわっていると考えられています。新生児や幼児ではわきの下の中の部分やけい部深部、腎周囲などに、成人でもわきの下の中の部分や腎周囲などに多く見られます。 褐色脂肪細胞の特色は、脂肪が複雑な代謝経路を通らずに直接消費されることです。このため自由にエネルギーを放出、熱が産生され、カロリーが消費されます。つまり、カロリー消費が多ければ脂肪の蓄積は抑制される訳です。 この褐色脂肪細胞の減少や機能障害が生じた場合には肥満が起こってくることが考えられます。 また、褐色脂肪細胞を活発にはたらかせるにはアドレナリンが必要ですが、褐色脂肪細胞のアドレナリン受容体の異常でも肥満が起こることが最近の研究で明らかにされています。 元々脂肪を蓄積する白色脂肪細胞が必要以上に増殖してしまう 白色脂肪細胞は、褐色脂肪細胞と異なり、脂肪を蓄積するタイプの細胞です。 妊娠末期に妊婦が脂肪、炭水化物を主とした過剰な栄養素を摂取すると、胎児の脂肪細胞として白色細胞数が増加します。 さらに生後1年の乳児が炭水化物を主とした過剰エネルギーを摂取すると、やはり白色脂肪細胞数が増えます。その結果、肥満に移行するといわれています。 このような増殖型肥満が小児期に発生し、そのまま成人肥満になるときには、肥満細胞のサイズも大きくなり、重症の肥満になりやすいのです。 思春期に炭水化物の多い過剰エネルギーを摂取しても、白色脂肪細胞が増えて同じように増殖型肥満に移行していきます。 ストレスに注意!食欲の司令塔である食欲中枢に異状をきたす 視床下部の摂食中枢のバランスが崩れて過食に陥ると肥満が起こってきます。その原因としては、視床下部付近の腫ようなどが見られます。 また、ストレスが加わると満腹中枢に何らかの影響をきたし過食になることも、さまざまな研究から報告されています。 さらに満腹感を感じているのに、つい食べ物を口にする人がいますが、これは満腹感という信号を無視することになります。 こんな状態を続けていると、食欲中枢が狂ってしまい、いくら食べても満腹感を感じられない体になってしまいます。
「私のは脂肪ではなく筋肉だから」そんな言い訳よく聞きますよね。でも、体重における脂肪が男性で25%以上、女性で30%以上の人は、医学的には肥満症です。簡単に判定する目安としてはBMIが一般的ですが、CTスキャンを用いる方法が一番確実です。大切なのは正しい現状認識と改善行動です。 目次 脂肪が体重の30%以上の割合になったら肥満症。簡易的にBMIでチェックしてはいかが? 脂肪が体重の30%以上の割合になったら肥満症。簡易的にBMIでチェックしてはいかが? 通常、成人男子では体重の13~16%を占める脂肪の割合が30%以上になった場合に肥満症とされています。 しかし、見た目で肥満の判定を行うことは難しく、例えば同体重、同身長でも、体を鍛えている筋肉質の人と運動不足の脂肪太りの人では肥満度が大きく違ってきます。 そこで、見分ける方法としてBMI指数などが用いられる訳ですが、単純にBMIで計算すると、肥満でない人を「肥満」と診断してしまう場合もあります。 肥満を測定する方法には、キャリパーによる脂肪厚の計測、電気の抵抗で脂肪の量を測るインピーダンス法などがありますが、一番確実な方法は、CTスキャンを用いて腹部断層撮影を行うことです。 BMIチェックはこちら ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
肥満・肥満症を予防するためには食事の量を減らせばいい。そんなことは頭では分かっていますよね。でもお腹いっぱい食事をしたいというのが人の性というもの。お腹いっぱい食べても太らず、食欲を抑え肥満を予防するような夢の薬があったらどうでしょうか? 目次 国内で利用されている食欲を抑える薬「マジンドール」とは? 保険適応になるのは高度肥満症の場合のみ。使用の際は食事療法や運動療法との併用を 国内で利用されている食欲を抑える薬「マジンドール」とは? わが国で使用されている食欲抑制薬には、マジンドールがあります。 この薬は、1967年に米国で開発されたもので、脳の視床下部にある食欲調整中枢に直接作用し、摂食を抑制します。同時に満腹中枢を興奮させることで食欲抑制効果を促しています。 保険適応になるのは高度肥満症の場合のみ。使用の際は食事療法や運動療法との併用を 現在の日本では、肥満度70%以上、もしくはBMI35以上の高度肥満症に限って、マジンドールを保険診療で使用することが認められています。 しかし、この薬による体重減少効果は5kg前後にとどまることが多く、投薬中止後に再び体重が増加してしまうリバウンド現象が見られることもあります。 そのため、肥満患者にマジンドールを単独で用いることはほとんどありません。食事療法や運動療法と併用するのが有効な使用法であると考えられています。 このほか、褐色脂肪細胞のはたらきを活発にするアドレナリンβ3受容体刺激薬も開発中です。
肥満は万病の源と言われるように、脳血管障害、心臓血管障害など死亡率の高い病気を引き起こすことが明らかになっています。一方、痩せすぎでも死亡率が高くなるという事実も。内臓脂肪には気を付けつつ、あくまで標準的な範囲内を保つことを心がけたいものです。 目次 肥満の人の高い死亡率。肥満は短命につながる 肥満でもやせ過ぎでも死亡率は高い 内臓の肥満であるリンゴ型肥満には要注意 肥満の人の高い死亡率。肥満は短命につながる 肥満は万病の源であり、死亡率も高いといわれています。 明治生命保険相互会社の調査によれば、1972(昭和47年)~1982年の間に保険契約した15~69歳の372万人のうち死亡者2万8600人の性、年齢、肥満度別に標準死亡率を分析したところ、肥満が短命につながっていることが明らかになりました。 肥満でもやせ過ぎでも死亡率は高い 標準死亡率曲線は男女とも、やせから肥満に向かってU字型を示し、最低死亡率体重は平均体重付近でした。 つまり、やせ過ぎても太り過ぎても死亡率は高いというわけです。 特に肥満は死亡率を高める要因になっており、男性の15~39歳の群の肥満度+35%では死亡率が145%を示し、女性でも同様の結果になっています。 内臓の肥満であるリンゴ型肥満には要注意 肥満に伴って死亡率が高くなる病気は、脳血管障害、心臓血管障害、肝硬変などがあり、女性の場合は子宮がんや乳がんとの関係も指摘されています。 なかでも上半身や腹部に脂肪が集まるリンゴ型肥満(内臓型肥満)は、糖尿病や高脂血症、心臓疾患のリスクを増大させます。 女性の場合は、子宮がん、乳がんにかかる比率も高いことが判明しています。
肥満はさまざまな合併症を引き起こすことが明らかになっています。肥満が原因で、体の各器官に負担がかかったり、インシュリンのはたらきが悪くなったり。肥満による体重増加が負荷となり種々の病気の原因になったりします。肥満から病気になるメカニズムをまとめてみました。 目次 肥満が合併症を引き起こす理由(1)「体の各器官に負担がかかる」 肥満が合併症を引き起こす理由(2)「インシュリンのはたらきが悪くなる」 肥満が合併症を引き起こす理由(3)「体重増加による心臓への負担」 肥満が合併症を引き起こす理由(4)「糖の取り込みの低下が高血圧、糖尿病などを引き起こす」 肥満が合併症を引き起こす理由(5)「肥満による過剰な荷重」 肥満が合併症を引き起こす理由(1)「体の各器官に負担がかかる」 人間の体はおよそ25歳前後に、その時の体重に見合って諸臓器組織が完成します。 従って、それ以降に体重(脂肪)が増加することは、その分だけ酸素や血液を要求されたり、骨や関節に荷重がかかってくるわけですから、体の各器官にとっては大きな負担になります。 肥満が合併症を引き起こす理由(2)「インシュリンのはたらきが悪くなる」 肥満があるとインシュリンのはたらきが悪くなってくるのも問題です。これをインシュリン抵抗性といいます。血糖値が上昇し、血中のインシュリンは利用されないため増加して、高インシュリン血症をきたします。これが、糖尿病、高血圧、高脂血症の原因の一つとされています。 肥満が合併症を引き起こす理由(3)「体重増加による心臓への負担」 心臓からの送血量は体重に比例して増加します。つまり、体重が増加すればするだけ心臓に負担がかかってきます。また、心臓そのものにも脂肪が沈着し、冠動脈の硬化、心筋梗塞、狭心症などを誘発する危険性が高まってきます。 一方、血中コレステロールや低比重リポタンパク(LDL)が増加し、血管壁に沈着することによって動脈硬化になりやすくなります。肥満症になると血圧も上昇します。 肥満が合併症を引き起こす理由(4)「糖の取り込みの低下が高血圧、糖尿病などを引き起こす」 1989年に米国の医学者Reavenによって提唱された症候群で、インシュリン抵抗性(インシュリンの作用不足)に基づく冠動脈疾患の危険因子を集積した状態のことをいいます。 肥満症になると、脂肪組織や筋組織での糖の取り込みが低下してインシュリン抵抗性の原因になるといわれています。さらに、肥満があると筋肉や肝臓でのグリコーゲン合成酵素の活性も低下するために血糖が高くなり、これもまたインシュリン抵抗性を招きます。 このようなインシュリン抵抗性の状態は、高血圧、糖尿病、高脂血症をもたらしたり、動脈硬化を促進したり、冠動脈疾患の原因を作ってしまうので、とても危険です。 とくに上半身や内臓に脂肪が蓄積したリンゴ型肥満は、よりシンドロームX的な状態に陥りやすいといわれています。 肥満が合併症を引き起こす理由(5)「肥満による過剰な荷重」 肥満が誘因のひとつであり、さらに症状の増悪因子のひとつになっている変形性関節症は中高年の最も一般的な骨・関節障害です。 肥満による過剰な荷重を受けて、骨や軟骨、筋肉、半月板などに変性、破壊が起こってきます。 O脚であることが多く、まず正座できない、階段を降りる時や立ち上がろうとする時、歩き始めに痛みがあり、しばらく歩いていると楽になりますが、長く歩いていると痛くなって歩けなくなります。 また、ひざに水がたまるといった症状が一般的です。特に下肢に発生するものほど体重の影響が大きく、高齢になるに従って顕著に現れてきます。
日本ではまだまだ少ないですが、アメリカでは自分の体重をコントロールできることが、すでに出世の条件となっているとか。成人人口の3分の1が減量志向者で肥満診療所も大繁盛のアメリカ。日本も近い将来、肥満が出世に影響するようになるのでしょうか? 目次 すでに肥満が出世に響くアメリカのビジネス事情 アメリカの成人の3分の1は減量志向。肥満診療所も大繁盛 すでに肥満が出世に響くアメリカのビジネス事情 米国人の4人に3人は、上半身や腹部に脂肪の集まるリンゴ型肥満(内臓型肥満)といわれています。ですから、彼らの肥満問題はとても深刻です。 もちろん、肥満であることは出世にも響き、「自分の体重すらコントロールできない人間に部下の管理は任せられない」と久しくいわれています。 アメリカの成人の3分の1は減量志向。肥満診療所も大繁盛 このような社会状況を反映して、米国の成人人口の3分の1は減量志向者で、肥満診療所(ファット・クリニック)も大繁盛しているそうです。 いまや高所得インテリ層に肥満者は減少。社会階層とウエストは明らかに反比例しているという現象も起こっています。
体重が増えるとインシュリン必要量が増える 過食によって体重が増加すると、末しょう組織(肝臓や筋肉)のインシュリン受容体数の減少や異常が見られたり、細胞の中にあって血糖をキャッチして運ぶ糖輸送能担体の減少が生じたり、インシュリン抵抗性(作用不足)が起こってきます。 このような状態になると、血糖値を正常に保つためにインシュリン必要量が増加し、その結果、すい臓のβ細胞の増殖と肥大が生じ、高インシュリン血症になります。ここに遺伝的因子が加わると、血糖値は高くなる一方で、インシュリン分泌機能は低下して糖尿病が発症するわけです。 皮下脂肪蓄積型より内臓脂肪蓄積型肥満が糖尿病を併発しやすい 特に内臓脂肪蓄積型(腹部などの上半身に脂肪が多いリンゴ型肥満)肥満は、インスリン抵抗性がより強いので、糖尿病を併発しやすいといわれています。 肥満者を内臓脂肪蓄積型肥満と皮下脂肪蓄積型(臀部や大腿部などの下半身に脂肪が多い)肥満に分けて比較検討した研究によって、内臓脂肪蓄積型肥満に糖尿病が多いことが明らかになりました。
過剰なエネルギー摂取量を抑え、適度な運動を行うことが、肥満を防ぐ最大のポイントです。 目次 過剰なエネルギー摂取は肥満細胞の増殖させる 肥満・肥満症を予防するには過剰なカロリー摂取を避ける 適度な運動を行うことで肥満を予防しよう 過剰なエネルギー摂取は肥満細胞の増殖させる 脂肪や炭水化物を主とした栄養素を取り過ぎると、脂肪細胞の数が増えることが分かっています。 特に妊娠末期の妊婦、生後1歳までの乳児、思春期の青少年は、肥満細胞が増殖する時期に該当するので、過剰なエネルギーの取り過ぎには注意が必要です。 また、乳幼児期の食事量や、その内容について心がけることは予防の点からも注目されています。母親の母乳で育った子供のグループはほ乳瓶で育った子供のグループよりも肥満が少なかったという米国の調査報告もあります。 肥満・肥満症を予防するには過剰なカロリー摂取を避ける 糖質は摂取エネルギーの約6割を占めるために、摂取量が増大すると結果的に過剰となり、余分なエネルギーが体脂肪の方に回り、肥満の原因になります。 特に果実類やサトウキビ(砂糖)に含まれるしょ糖は、インシュリン抵抗性の糖質なので、過剰に取り続けると肥満を誘発しやすいので気をつけましょう。 適度な運動を行うことで肥満を予防しよう 消費エネルギーの低下から肥満傾向になりやすいため、運動は肥満の予防には欠かせないものです。 さらに、運動を併用しない食事制限は、逆に体脂肪を増大させることも知られており、この点からいっても適度な運動が望まれます。 運動の種類によって体脂肪に与える影響は異なります。体脂肪の減少には、少なくとも1回20分、週3回のプログラムが必要だといわれています。 運動エネルギーの消費量 運動の強さ 一単位あたりの時間 運動(エネルギー消費量、kcal/kg/分) Ⅰ.非常に軽い 30分間くらい続けて1単位 散歩(0.0464)、乗物(電車、バス立位)(0.0375)、炊事(0.0481)、家事(洗濯・掃除)(0.0471~0.0499)、一般事務(0.0304)、買物(0.0481) Ⅱ.軽い 20分間くらい続けて1単位 歩行(70m/分)(0.0623)、入浴(0.0606)、階段(下りる)(0.0658)、ラジオ体操(0.0552~0.1083)、自転車(平地)(0.0658)、ゴルフ(平均)(0.0835) Ⅲ.中程度 10分間くらい続けて1単位 ジョギング(軽い)(0.1384)、階段(上る)(0.1349)、自転車(坂道)(0.1472)、歩くスキー(0.0782~0.1348)、スケート(0.1437)、バレーボール(0.1437)、登山(0.1048~0.1508)、テニス(練習)(0.1437) Ⅳ.強い 5分間くらい続けて1単位 マラソン(0.2959)、なわ飛び(0.2667)、バスケットボール(0.2588)、水泳(平泳)(0.1968)、ラグビー(前衛)(0.2234)、剣道(0.2125) 注)1単位は80kcal相当 出典:日本臨床「肥満症」1995年特別号(日本臨床社刊)
肥満を予防するには運動が一番!と思っているあなた。それは大きな間違いです。実は、運動で消費されるエネルギーは大したものではありません。食事や生活習慣を改善しながら有酸素運動をすることで、大きな効果を得られるのです。 目次 運動で消費されるエネルギーは大したものではないという真実。ウォーキング1時間で45gしか減らない 肥満を予防・解消する効果的な運動とは? 運動で消費されるエネルギーは大したものではないという真実。ウォーキング1時間で45gしか減らない 食事が減らせないので運動で補おうとする人もいますが、効果の面からみると低いといえます。運動で消費されるエネルギーは大したものではなく、例えば体重90kgの人が1時間歩いて減少する体重はたった45gです。 それも、週に3回、1回につき20分、300kcalの運動量がなければ、体脂肪の減少には効果がないといわれています。 なぜなら私たちの体は運動を始めると最初は筋肉中のグリコーゲンを消費し、それを補給するために食物から吸収した糖などを使い、その後ようやく体脂肪をエネルギーとして燃焼する仕組みになっているからです。 肥満を予防・解消する効果的な運動とは? 効果的な運動としては、有酸素運動(例えばエアロビクスなど)がおすすめです。 酸素を多く取り入れながら運動すると心肺機能が高くなり、血液中のコレステロールや中性脂肪の値も減少するという報告があります。 いずれにせよ、食事制限を守ったうえで、運動をしてこそ効果が現れるものなのです。
肥満・肥満症を予防するためには日々の食生活がとても大切です。でも自炊派の人だって、献立を考えるのは一苦労です。そこで、押さえておくべきポイントを知れば、簡単にバランスのとれた食生活に早変わり!4群点数法であなたの肥満対策もばっちりです。 目次 肥満・肥満症を予防するには、バランスの良い献立を心がける。1日1600kcalが目安 肥満が心配!でもエネルギーとして使われる食品は多めに摂ろう 4群点数法による1日20点(1600kcal)の食品の摂り方例 肥満・肥満症を予防するには、バランスの良い献立を心がける。1日1600kcalが目安 むやみに食事を制限して摂取カロリーを減らしても、実際に脂肪が落ちていないということがあります。肥満解消で大切なのは総摂取カロリーよりも食事の栄養バランスです。 バランス良く食品を取るには、4群分類法が便利です。食品を栄養的に似たもの同士4つのグループに分けて、それぞれの食品を1点=80kcal分の量で表示しています。 減量するならば1日20点(1600kcal)を目安に献立を考えましょう。 〔4群分類法〕 第1群=カルシウムやたんぱく質が豊富な乳製品と卵 第2群=たんぱく質とビタミンの多い魚介類、肉類、豆製品 第3群=ビタミンやミネラルたっぷりの野菜、芋類、果物 第4群=穀物、油脂、砂糖 肥満が心配!でもエネルギーとして使われる食品は多めに摂ろう このなかで第1~3群は体を作ったり、機能を潤滑にするための栄養素です。 1日20点とするならば、それぞれの群で3点ずつ1日9点をできるだけ食べるようにします。 第4群は主にエネルギーとして使われる食品です。これは1日11点取ります。ほかのものに比べて点数が多いですが、これを食べないと身体活動ができなくなるので、減量中といえども、これくらいは食べたいものです。 4群点数法による1日20点(1600kcal)の食品の摂り方例 第1群 卵・乳・乳製品 良質たんぱく質、カルシウム、鉄、ビタミンA・B2などを含む 卵1個(50g) 1点 計3点 牛乳2/3カップ(140g) 1点 ヨーグルト(135g) 1点 第2群 魚介・肉・豆・豆製品 良質タンパク質の供給源。ビタミンA・B1・B2、鉄、カルシウムなど豊富に含む アジ1尾 (正味60g) 1点 計3点 豚ヒレ肉(60g) 1点 豆腐1/3丁(105g) 1点 第3群 野菜・芋・果物 ビタミン、ミネラル、食物繊維源となる食品群。特にビタミンCはこの食品群以外からは確保できない レタス3枚(100g) 1点 計4点 キュウリ1本(100g) 1点 ニンジン2/3本(100g) 1点 ジャガイモ1個(100g) 1点 リンゴ1/2個(160g) 1点 第4群 穀物・油脂・砂糖・嗜好品 糖質や脂肪の多い食品群で、主にエネルギー源となる 食パン6枚切り1枚(60g) 2点 計4点 ごはん茶わん3杯(330g) 6点 砂糖大さじ2と1/3 (21g) 1点 油小さじ2強(9g) 1点 バター大さじ1弱(11g) 1点 出典:「ミセスのためのダイエットパターン早わかり」女子栄養大学出版部
3度のメシよりお酒大好き!というあなたでも、何とか肥満体形だけは避けたいというのが人の性というもの。お酒は飲みたい時に飲みたい!でもスリムな体型を保ちたい。そんな欲張りなあなたに送る肥満を予防するお酒の飲み方です。 目次 肥満・肥満症にならないためのお酒の適量とは? 高カロリーなおつまみは肥満の大敵 肥満・肥満症にならないためのお酒の適量とは? 例えば、アルコールを80ml飲用した場合のエネルギー量を考えてみます。 ビールの場合、大瓶3本弱に相当し、エネルギー量は740kcal、日本酒は約3合で574kcal、ウイスキーはダブル3杯で400kcalもあります。 酒類は総じてカロリーが高く、食欲も増進させるので肥満の大敵です。 つまり、太らないためには1日の総エネルギー摂取量からアルコールの摂取量を考えていかなければなりません。1日の摂取エネルギー量が2000kcalの人ならばビール中瓶1本くらいに止めておくのが賢明です。 高カロリーなおつまみは肥満の大敵 さらに、問題なのはおつまみです。酒類は食欲を増進させるうえに、おつまみには油っこく濃い味つけ、高カロリーなものが多いのが特徴です。 つまり、酒類のカロリーよりも、おつまみのカロリーで太ってしまうわけです。 そこで、飲酒の際には、肝臓の保護のためにも高たんぱくで、低カロリーのおつまみを食べたいものです。例えば豆腐などが最適です。
現代の働き方では、どうしても外での食事が多い食生活になってしまい肥満・肥満症の元に。外食は炭水化物がメインなので、意識してビタミンやカルシウムなどを補うことが大切です。品数の多い定食を選ぶように改善するだけで比較的栄養バランスがとれるようになりますよ。 目次 外食は炭水化物中心になりがちなので肥満・肥満症を招く原因に ほんの少し意識して品数の多い定食を選ぶことで肥満・肥満症を予防できる 外食は炭水化物中心になりがちなので肥満・肥満症を招く原因に 4群分類法でみると、外食というのは4群(炭水化物=穀類、油脂、砂糖)がメインとなる場合が多いようです。 従って、1群(カルシウムやたんぱく質=乳製品と卵)、2群(たんぱく質とビタミン=魚介類、肉類、豆製品)、3群(ビタミンやミネラル=野菜、芋類、果物)を補うことが大切です。 ほんの少し意識して品数の多い定食を選ぶことで肥満・肥満症を予防できる ラーメン、スパゲティ、ピラフ、カレーライスなど炭水化物中心の単品もので済ませずに、サラダや青菜のお浸しなどを一緒に注文して、なるべく食品の数を増やしてバランス良く食べるようにします。 定食を選ぶようにすると栄養のバランスが取れ、価格面からいってもお得です。 どんぶり物はビタミン、ミネラルが不足しがちです。なるべく具の多い中華どん、親子どん、五目そば、鍋焼きうどんなどを選ぶことが大切です。 また、外食は1日1回に。2回の外食になるとかなり野菜が不足してしまうので、ビタミンをはじめ必要な栄養素が摂りにくくなります。
まとめ食いは太りやすい 1日の摂食回数と肥満の頻度との関係をみた調査では、回数が多いほど肥満が少なく、回数が少ないほど肥満が多いという結果が出ています。 つまり、まとめ食いをすればするほど太りやすいというわけです。 夕食にウエイトがかかると太る 朝食を抜いてしまうと、1日の食事の回数が減り、まとめ食いの状態に陥りやすくなって危険です。 さらに、食生活パターンからいっても、その比重は昼食より夕食に高くなりがちで、これも肥満を誘発してしまいます。 なぜなら夜間は消費エネルギーが少ないうえに、インシュリンの分泌量が多いので、食品から摂取した糖は、体内で脂肪に変換されて蓄積される率も高いからです。
食欲は空腹になると自然とおきるものと思っていませんか?実は、私たちが空腹を感じるときには、体の中でとても複雑で繊細な変化が起こっているのです。だからこそ肥満を予防することを難しくしているとも言えます。食欲が起こるメカニズムを詳しく見ていきましょう。 目次 食欲をコントロールする摂食中枢と満腹中枢 複雑で繊細な食欲のメカニズム 食欲をコントロールする摂食中枢と満腹中枢 食欲とは、食物を食べたいという欲求をいいます。 食欲をコントロールしているのは、脳の外側視床下部にある摂食中枢と腹内側核にある満腹中枢です。この2つの中枢のバランスによって、食欲が調節されていると考えられています。 複雑で繊細な食欲のメカニズム これらの中枢に影響を与えるのは、消化器官の化学物質をキャッチする受容器や消化管の内容物の量や消化管運動をキャッチする機械的受容器などから発せられる神経情報、血液中のブドウ糖などの科学情報などです。 さらにおいしいものを見たり、匂いをかいだりすると、満腹時でも食べたくなるように、大脳の感覚中枢も関係しています。 食欲の欲求は非常に複雑で繊細な関連のうえに成り立っているのです。
標準体重は、私たちの体重が理想的にはどれくらいあればよいのかという観点から定められたもの。その値からの乖離の程度で自分自身の栄養状態、肥満度を判定することに活用できます。近年ではBMI(ボディ・マス・インデックス)が一般的に活用されている指標です。 目次 標準体重より中身が大切 標準体重より中身が大切 標準体重は、各個人の体重が理想的にはどれくらいあればよいのかという観点から定められたものです。 その値からのかい離の度合いで各個人の栄養状態、肥満度を判定することに活用されています。 かつてから標準体重を算出するさまざまな方式が唱われてきました。しかし、現在では1980年代以降に国際的に用いられているBMI(ボディ・マス・インデックス)の方式が一般化されています。 このような標準体重の数値から、自分の栄養状態や肥満の指数あるいはやせの程度を把握しておくことは、日ごろの健康を維持するうえで一応の目安にはなります。 しかし注意したいのは、標準体重はあくまでも体重であってその中身を意味するものではありません。同じ体重の人でも筋肉が多いのか、体脂肪が多いかによって健康の状態も違ってきます。また、人それぞれの体質の違いもあります。 従って、標準体重や外見を意識するあまり、体重だけを減らそうとすると、過度なダイエットなどによって健康を害することが生じてしまいます。 BMIチェックはこちら ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
肥満の原因は過剰なカロリー摂取 肥満は消費される以上のカロリーを摂取したため、体に脂肪が必要以上に付いた状態です。体は余分なエネルギーがあると、脂肪にして蓄えてしまいます。 男性は体重に対して25%以上、女性は30%以上の脂肪があると、肥満症に入ります。肥満の予防や減量をするには、まず摂取カロリーを減らすことです。そして、食事の取り方や内容も考えることが必要です。 脂肪や砂糖を控え、緑黄色野菜を 肥満の予防や治療には、脂肪や砂糖を控え、ビタミンやミネラルを多く含む緑黄色野菜や海草、きのこなどを多く取ることが大切です。これらはカロリーが少ないので、いくら摂っても太りません。 しかし、海藻やコンニャクのようなカロリーのない食品ばかり食べていたのでは、たんぱく質やビタミン・ミネラルが取れません。極端なダイエットは、脂肪だけでなく、体に必要な筋肉も減らしてしまうので、食事の内容には十分な気配りが大切です。 今は多くの人がカロリーの60%を脂肪と砂糖で摂っているといわれています。
血糖値の役割 「お腹が空いた」「お腹がいっぱい」という感覚は、脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢が刺激されて起こります。その刺激の元になるのが、血糖値です。 血糖値が下がると、摂食中枢がはたらき、「お腹が空いた」という感情が起き、「食べなさい」という指令が出ます。 逆に食事を取って血糖値が上がると、今度は満腹中枢が刺激されて「お腹がいっぱい」となって、「食べるのはおしまい」という合図が出されるのです。 早食いはなぜいけないか 血糖値がピークに達するのは、食べ始めてから15~20分後です。ところが、早食いの人は、食べ始めてから5分もしないうちに、食べ終わってしまいます。 これでは血糖値がピークに達して、満腹中枢が刺激される前に食べてしまうことになり、本当は満腹になっているのに満腹感が持てません。そのため、つい過食になり、肥満の原因になります。 また、かむということは、色々な消化器官に「これから食べ物を送り込むから用意してくれ」と合図をするようなはたらきもあります。その合図なしにいきなり食べ物が送り込まれると、胃はびっくりしてしまいます。 胃腸の弱い人に共通しているのが早食いという調査結果もあるほどです。よくかんで、ゆっくり味わいながら食事を取ることが肝心です。
糖質は体内で分解されグルコースとしてエネルギー源となります。とても重要ですが、脂肪に比べて糖質の方が中性脂肪に変わりやすいという特徴をもっています。特に果糖やショ糖は中性脂肪に変わりやすいので注意が必要です。 目次 糖質がエネルギー源に変わるまで 糖質は中性脂肪に変わりやすいので要注意! 糖質がエネルギー源に変わるまで 糖質の基本は単糖類で、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。単糖が2個つながったのが二糖類で、しょ糖(砂糖の主成分)、乳糖、麦芽糖などがあります。単糖体が7個以上になると、多糖類とよばれ、その代表がでんぷんです。 糖質はアミラーゼ、ラクターゼなどの消化酵素によって消化されて、単糖になり、小腸から吸収されます。吸収された単糖は、グルコースに変わります。グルコースは血糖となって全身に運ばれ、筋肉や脂肪組織でグリコーゲンや脂肪に変わり、エネルギー源となります。 糖質は中性脂肪に変わりやすいので要注意! 脂肪より糖質の方が中性脂肪に変わりやすく、なかでも果糖やしょ糖は作り変えられやすいのです。 果糖は果物類、しょ糖は砂糖、清涼飲料水や菓子類に多く含まれています。 砂糖のエネルギーは、たんぱく質や脂肪、ビタミン・ミネラル、繊維を全く含まない「エンプティカロリー」です。従って、砂糖を摂った分だけカロリーは増えますが、ビタミン・ミネラルを補給することができないのです。さらに砂糖は、炭水化物の代謝に必要なビタミンB1の消費量を増加させるともいわれています。 糖質の中でも砂糖を摂り過ぎると、肥満になり、いろいろな疾病を起こしやすくなります。
肥満度が高いほど死亡率も高い 肥満は万病の源であり、肥満症の人は寿命も短いといわれています。 わが国の肥満と寿命(死亡率)の関係についての研究では、明治生命保険相互会社が調査したデータがよく知られています。 それによると1972~82年(昭和47~57年)の10年間に保険契約した15~69歳の327 万人のうち、死亡者2万8600人に対して、性、年齢、肥満度別に標準死亡率をみたところ、「15~39歳」の群の「肥満度+35%」では死亡率が約1.5倍となりました。「40~69歳」の群にしても肥満度が高ければ高いほど死亡率も上昇していました。つまり、肥満度が高いほど寿命が短いという結果になりました。