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肥満・肥満症を予防する摂取カロリーと運動のポイント

過剰なエネルギー摂取量を抑え、適度な運動を行うことが、肥満を防ぐ最大のポイントです。

過剰なエネルギー摂取は肥満細胞の増殖させる

脂肪や炭水化物を主とした栄養素を取り過ぎると、脂肪細胞の数が増えることが分かっています。
特に妊娠末期の妊婦、生後1歳までの乳児、思春期の青少年は、肥満細胞が増殖する時期に該当するので、過剰なエネルギーの取り過ぎには注意が必要です。
また、乳幼児期の食事量や、その内容について心がけることは予防の点からも注目されています。母親の母乳で育った子供のグループはほ乳瓶で育った子供のグループよりも肥満が少なかったという米国の調査報告もあります。

肥満・肥満症を予防するには過剰なカロリー摂取を避ける

糖質は摂取エネルギーの約6割を占めるために、摂取量が増大すると結果的に過剰となり、余分なエネルギーが体脂肪の方に回り、肥満の原因になります。
特に果実類やサトウキビ(砂糖)に含まれるしょ糖は、インシュリン抵抗性の糖質なので、過剰に取り続けると肥満を誘発しやすいので気をつけましょう。

適度な運動を行うことで肥満を予防しよう

消費エネルギーの低下から肥満傾向になりやすいため、運動は肥満の予防には欠かせないものです。
さらに、運動を併用しない食事制限は、逆に体脂肪を増大させることも知られており、この点からいっても適度な運動が望まれます。
運動の種類によって体脂肪に与える影響は異なります。体脂肪の減少には、少なくとも1回20分、週3回のプログラムが必要だといわれています。

運動エネルギーの消費量

運動の強さ 一単位あたりの時間 運動(エネルギー消費量、kcal/kg/分)
Ⅰ.非常に軽い 30分間くらい続けて1単位 散歩(0.0464)、乗物(電車、バス立位)(0.0375)、炊事(0.0481)、家事(洗濯・掃除)(0.0471~0.0499)、一般事務(0.0304)、買物(0.0481)
Ⅱ.軽い 20分間くらい続けて1単位 歩行(70m/分)(0.0623)、入浴(0.0606)、階段(下りる)(0.0658)、ラジオ体操(0.0552~0.1083)、自転車(平地)(0.0658)、ゴルフ(平均)(0.0835)
Ⅲ.中程度 10分間くらい続けて1単位 ジョギング(軽い)(0.1384)、階段(上る)(0.1349)、自転車(坂道)(0.1472)、歩くスキー(0.0782~0.1348)、スケート(0.1437)、バレーボール(0.1437)、登山(0.1048~0.1508)、テニス(練習)(0.1437)
Ⅳ.強い 5分間くらい続けて1単位 マラソン(0.2959)、なわ飛び(0.2667)、バスケットボール(0.2588)、水泳(平泳)(0.1968)、ラグビー(前衛)(0.2234)、剣道(0.2125)

注)1単位は80kcal相当
出典:日本臨床「肥満症」1995年特別号(日本臨床社刊)