酸素をたくさん吸うと健康になるの? リラックスしたいとき、リフレッシュしたいとき、私たちは深呼吸をする。新鮮な空気を体のすみずみまで取りこむのは気持ちがいい。最近では酸素バーや酸素カプセルといった人工的に酸素を供給する装置まで開発され、利用者も増えているという。 それだけではない。スポーツ競技の世界では「高圧酸素療法」なるものまで登場し、アスリートたちが積極的に酸素を吸っているという。これは、高濃度の酸素を細胞に行き渡らせ、代謝活動を活発にしようとするもの。疲労回復やリハビリに役立つとされており、海外の人気サッカー選手が負傷をした際にこの治療を行い、驚異的な回復を遂げたエピソードも有名だ。 ここが違う!似て非なる酸素と活性酸素 酸素はどうやら体にいいらしい。一方、気になることもある。それは「活性酸素」だ。「酸素」と名がつくものの、どことなく体に悪いイメージがある。「活性酸素」と「酸素」はどう違うのだろう? 酸素は大気中に約20%存在するが、その濃度を50%まで上げた実験ではマウスの寿命が半分になり、100%では1週間以内で絶命したという。こうなると酸素は、まるで猛毒だ。 だが、誤解してはいけない。酸素イコール猛毒なのではない。酸素は間違いなく、生物にとって必要不可欠なもの。しかし、そのうち約2%が体内で毒になって、体をむしばむという。この毒の正体が、活性酸素なのだ。 鉄棒は赤くサビる。人間はどうなる? では活性酸素は、私たち人間の体にどのような影響を及ぼすのだろうか?身近な例としてまず、鉄棒を思い浮かべて欲しい。鉄棒は古くなると表面が赤くサビつき、ボロボロになる。これは、鉄が酸素と反応して酸化鉄に変化したためだ。 人間は鉄棒のように赤くサビつくことはないが、ある意味もっと深刻かもしれない。 というのも、年齢とともに気になってくるシミ、シワ、たるみ…。こうした皮膚の老化など皮膚の老化にはじまり、生活習慣病などさまざまな病気や症状が活性酸素によって引き起こされていると言われているからだ。 サビるとこんな結果を招く恐れあり
活性酸素から体を守る、サビ止め成分 万病のもとと言っても過言ではない活性酸素。「じゃあ、息をしない方がいいの?」とパニックに陥りそうだが、そこまで活性酸素を恐れることはない。人間の体もよくできたもので、活性酸素の毒に対抗するはたらきがちゃんと備わっているからだ。 私たちの体内にはもともと、SOD(スーパー・オキシド・ディスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンパーオキシターゼなどの酵素が存在している。これらの酵素は、体内で発生した活性酸素の毒を解毒してくれる。たとえば、SODは活性酸素を過酸化水素と酸素に分解するという華麗なワザで、体内の活性酸素を消すという。このように酵素が活性酸素と闘うことで、私たちの体はサビつきから守られているのだ。 20代を過ぎたら、誰もがサビている ただし、20代を過ぎた人はそう楽観視もしていられない。体内で活性酸素を消してくれる酵素の量は、哀しいことに20代がピーク。それ以降は、年齢とともにじょじょに減っていく。あなたが30代、40代と年齢を重ねているほど、活性酸素の毒にさらされる期間が長くなり、サビている危険性も高いわけだ。 さらに活性酸素は、生活環境によっても増えるという。太陽からそそぐ紫外線をはじめ、車の排気ガス、化学工場やゴミ焼却場から出る排煙、ダイオキシン、食品にふくまれる防腐剤、電子レンジや携帯電話から出る電磁波など、これらすべてが体内の活性酸素を増やす原因となるというから恐ろしいばかりだ。 お酒、たばこ、そして運動もやり過ぎは禁物? また生活環境に加え、ライフスタイルも活性酸素を増やす一因となるようだ。 次のような生活を送っている人は、他の人よりさらにサビついている恐れがあるという。一般的には健康に良いと思われるスポーツでさえ、やり過ぎると大量の活性酸素を発生させるというのでご注意を。 こんな人はさらに危険!! ●激しいスポーツをする人 体内に取りこむ酸素の量が人より多く、発生する活性酸素の量も多い。 ●たばこを吸う人 たばこの煙そのものに、活性酸素が発生している。 ●お酒が好きな人 アルコールが体内で分解される過程で活性酸素が発生する。 ●都会暮らしの人 都会では交通量も多く、排気ガスを大量に吸いこみやすい。 ●屋外で働く人 排気ガスを吸う上、紫外線のダブルパンチを受ける。
減っていくサビ止め成分は、外から補おう 増える一方の活性酸素に、減りつづけるサビ止め成分。私たちが活性酸素に負けない体になるには、いったいどうすれば良いのだろうか? ポイントは、サビ止め成分を増やすことだ。体内に存在するSODなどの酵素は、あらたにつくり出すことはできない。だが、自然界に存在する物質の中に、こうした酵素と同じはたらきをするものがあるという。それは野菜や果物といった植物に含まれていて、体内の酵素と同じくらい強烈にサビ止めの効果があるという。 サビを消し去る抗酸化成分とは? 植物に含まれるサビ止め成分で代表的なのはビタミンC、Eのビタミン類にカロテノイド、そしてポリフェノールなどの抗酸化成分。マウスにビタミンCやEを多めに与えると寿命が延びたという実験結果もある。生活環境から活性酸素を減らすことはなかなか難しいが、自分の意志で抗酸化成分を増やすことならできる。野菜や果物を積極的に摂って、体をサビさせない努力をするということだ。 CHECK!おもなサビ止め成分と、含まれる食品 ビタミンCパセリ、ブロッコリー、レモン、イチゴなど ビタミンE大豆、胚芽、植物性油など カロテノイドβ-カロテンニンジン、ホウレン草などの緑黄色野菜 α-カロテン リコピントマト、スイカ ルテイン緑黄色野菜、鶏卵 ポリフェノールアントシアニンイチゴ、ナス、ブドウなど ケルセチンブロッコリー、玉ネギなど カテキンお茶 タンニンお茶や柿の渋みなど コラム リンゴを切ったまま放置すると断面が茶色くなるが、レモン汁をかけると変色がストップする。これはレモンにある抗酸化成分・ビタミンCのおかげだ。 リンゴが変色するのはリンゴに含まれる「エピカテキン」という物質が参加するため。だが、リンゴにレモン汁をかけると、レモンのビタミンCがリンゴのエピカテキンの代わりに酸化してくれるため、リンゴの変色が遅くなるのだ。 野菜、果物、あなたはどれだけ食べている? 問題なのはその量だ。厚生労働省が推奨する野菜の摂取量は、成人で1日350g。しかし私たちが実際に食べている量は267gというのが現実だ。男性より女性の方が野菜不足の傾向にあり、30代女性にいたってはわずか219gと、目標値の6割しか満たせていない。誰もが好きそうな果物も、その消費量は平成6年からずっと横ばい状態で、増える気配もない。 食品にはそれぞれの役割がある。野菜や果物はそれらが持つ高い抗酸化成分によって、サビ止めやアンチエイジングに貢献してくれる。健康や美容にひと一倍関心が高いあなたなら、明日からの食生活をきっと見直すことだろう。
ポリフェノールとは光合成によってつくられる植物の色素や苦味・渋味成分のこと。ポリフェノールと一口にいっても、その種類は非常に多い。代表的なものを紹介する。 目次 そもそも「ポリフェノール」とは? 代表的なポリフェノールの仲間と食材 そもそも「ポリフェノール」とは? ポリフェノールとは、植物の葉や花、茎などに含まれる苦味・渋味成分のことで、光合成によってつくられています。主要なものだけでも約300種類以上あると言われ、ひとつの食品に何種類ものポリフェノールが含まれていることもあります。 日本でポリフェノールが注目されるようになったキッカケは、「赤ワイン」。健康にいいとして一大ブームを巻き起こしましたが、赤ワイン100gの中には、なんと300mgものポリフェノールが含まれているといいます。 フレンチ・パラドックス(フランスの矛盾)という言葉を聞いたことはありませんか。これは、ほかの欧米諸国と同じように脂肪の多い食事を摂っているにもかかわらず、フランスではなぜか動脈硬化性の疾患による死亡率が際立って少ない、というものです。ここに専門家の注目が集まり、フランス人が好んで飲んでいる赤ワインに関係がありそうだということがわかってきました。そして赤ワインの成分として脚光を浴びるようになったのがポリフェノール、というわけです。 現在は、細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があるとして、さらに研究が進められています。 代表的なポリフェノールの仲間と食材 さて、ポリフェノールと一口にいっても、その種類は非常に多いため、以下に代表的なものをいくつか紹介しましょう。「えっ、これもポリフェノール!?」といった聞き覚えのある名前も多いのではないでしょうか。 代表的なポリフェノールと含まれている食品 アントシアニン:ナスの皮、ぶどう、ブルーベリーなど カテキン:緑茶など アップルポリフェノール:りんごなど ショウガオール:しょうが テアフラビン:紅茶など ウーロン茶ポリフェノール:ウーロン茶 クルクミン:ターメリック イソフラボン:大豆、レッドクローバー カカオマスポリフェノール:ココア、チョコレートなど クロロゲン酸:コーヒー、さつまいもなど セサミノール:ごま ルチン:そばなど
ポリフェノールの「抗酸化力」はとても強力で、体にダメージを与える活性酸素を除去し、生活習慣病や老化の予防にはたらいてくれます。ポリフェノールの中には、強力な抗酸化力のほかに、独自の効力を持つものも。ポリフェノールが持つ独自の薬効をご紹介します。体の調子にあわせて、自分に合ったポリフェノールを選んで摂るようにするといいでしょう。 目次 ポリフェノールの抗酸化力は、とても強力 +αの薬効に注目! ポリフェノールを効果的に摂るコツ ポリフェノールの抗酸化力は、とても強力! すべてのポリフェノールに共通する特長といえば、「抗酸化力」です。体にダメージを与える活性酸素を除去して、生活習慣病や老化の予防にはたらいてくれます。 しかも、ポリフェノールの抗酸化力は、とても強力です。 ビタミンC、Eやβカロテンなども抗酸化作用があることで知られていますが、ビタミンCは細胞の間の水溶性部分、ビタミンEやβカロテンは細胞内の脂溶性部分で抗酸化作用を発揮するというように、それぞれはたらく場所が限られています。ところがポリフェノールの場合は、細胞間をメインに、細胞内でも、さらには細胞膜上でも力を発揮することがわかっているのです。 活性酸素によるダメージを最も受けやすいのは細胞膜の部分であり、そこも含めてオールラウンドに抗酸化作用を発揮するポリフェノールには、大きな期待が寄せられているというわけです。 +αの薬効に注目! ポリフェノールの中には、強力な抗酸化力のほかに、独自の効力を持つものもあります。体の調子で気になるところがある場合は、それぞれのポリフェノールが持っている+αの薬効をチェックし、自分に合ったものを選んで摂るようにするといいでしょう。 各ポリフェノールが持つ独自の薬効の例 アントシアニン ぶどう、ブルーベリーなど 視力を向上させる、眼精疲労を和らげる、肝機能を強化する カテキン 緑茶など 血中コレステロールを抑制する、高血圧を予防する、虫歯・口臭を予防する、殺菌作用 カカオマスポリフェノール ココア、チョコレートなど ストレスを抑制し、疲労回復にはたらく ウーロン茶ポリフェノール ウーロン茶 脂肪の分解を促進する ルチン そばなど 毛細血管の強化、血圧を下げる、糖尿病を予防する クロロゲン酸 じゃがいもやさつまいもの皮、コーヒーなど 細胞の突然変異を防ぎ、発がん物質ニトロソアミンの発生も抑制する イソフラボン 大豆、大豆製品 骨粗しょう症を予防する、更年期の不調を予防・改善する このほか、トマト特有のポリフェノール「ナリンゲニンカルコン」や、甜茶に含まれる「甜茶ポリフェノール」のように、アレルギー症状を引き起こす物質・ヒスタミンなどを抑える成分もあります。また、「ミントポリフェノール」も、同じようにアレルギー原因物質を抑えるはたらきがあるとされています。 ポリフェノールを効果的に摂るコツ このように、ポリフェノールは体にいいものですが、摂り方にはちょっとしたコツがあります。 まず知っておきたいのは、ポリフェノールの抗酸化力のピークは2~3時間であるということ。一方、私たちの体の中では活性酸素が24時間発生しています。したがって、例えば夕食のときに赤ワインをガブ飲みするとかではなく、ポリフェノールを含むいろいろな食品を、3度の食事や間食のときにこまめに摂るほうがずっと効果的です。 また、ポリフェノールが多いのは「皮」の部分です。とくに、ぶどうなどの果物の皮、ナスの皮などにはポリフェノールが豊富なので、なるべく皮ごと食べるようにしましょう。さらに言えば、ゴボウなどを水につけてアク抜きすると水が茶色になりますが、この茶色の成分もポリフェノールです。抗酸化物質をより多く摂取するためには、アク抜きはしないほうがいいようです。
春先になると、多くの人が悩まされる花粉症。鼻の不快な症状を和らげてくれるとして、注目を集めているのが、ペパーミントに含まれるポリフェノール成分・ミントポリフェノールです。ミントポリフェノールとは?摂り方は?どのようにアレルギー症状に作用するのでしょうか? 目次 ミントポリフェノールに注目! アレルギー症状を起こす刺激物質に直接作用する 春におすすめのポリフェノールたち ミントポリフェノールに注目! ペパーミント 英名:Peppermint 和名:セイヨウハッカ 科名:シソ科 春先になると、多くの人が悩まされる花粉症。鼻の不快な症状を和らげてくれると注目を集めているのが、ペパーミントに含まれるポリフェノール成分・ミントポリフェノールです。 ペパーミント(英名:Peppermint 和名:セイヨウハッカ)とは、地中海及び西アジア原産のシソ科の植物で、主成分の「メントール」はおなじみのスーッとした清涼感のある香り成分。ガムやチョコレートといった菓子類や、化粧品、入浴剤などに利用されているほか、消化不良・食べ過ぎなどの胃腸の機能調整や、殺菌効果に役立つとして、医薬品の材料にも広く使われています。鼻の通りをよくすることから、花粉症対策のアロマオイルとしても定番です。 近年の研究で、これまで香り成分を抽出した後、捨てられていた葉の部分からポリフェノールの一種「ルテオリン-7-O-ルチノサイド」という有効成分があることが発見され、鼻の粘膜の腫れを抑えるなど、アレルギー症状の緩和に役立つことがわかりました。ペパーミントの「香り」以外の成分で花粉症の効果がみとめられたのは、世界でも初めてのことです。 ただし、ミントはミントでも、ペパーミント以外のミント(スペアミントやクールミントなど)には、ほとんど含まれていませんので、念のため。 このミントポリフェノール、水に溶ける物質であることもわかっています。毎日摂取するには、お茶にして飲むのがおすすめです。もちろん、香り成分もお茶に残っているので、2倍のメリットが期待できます。 アレルギー症状を起こす刺激物質に直接作用する それでは、ミントポリフェノールがアレルギー症状にどのように作用するのかを見てみましょう。 「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」といった刺激物質をたくさん抱えた肥満細胞に抗体(花粉症の場合はIgE抗体)が付き、そこに抗原(花粉症の場合は花粉)が反応すると、肥満細胞の中から刺激物質が放出され、くしゃみや鼻水・鼻づまり、目のかゆみなどの症状を起こします。これがアレルギー反応ですが、ミントポリフェノールには、ヒスタミンやロイコトリエンが放出されるのを直接抑える作用があると考えられ、実験(*)では、特に鼻づまりやくしゃみなどの鼻の症状の改善が報告されています。また、飲み始めてから2~3週間後に症状が改善された人が多かったことから、予防として、花粉飛散開始の1ヵ月くらい前から続けて摂るのがおすすめのようです。 (*)岡山大学薬学部薬物作用解析学研究室 亀井千晃教授らによる。2003年2月8日~4月5日まで実施。被験者49人をふたつに分け、ペパーミント抽出エキス300mg入りお茶と、エキスの入っていないお茶を飲ませ、鼻の粘膜の様子や自覚症状について調べました。 春におすすめのポリフェノールたち ミントポリフェノールのほかにも、アレルギー症状を緩和する作用を持つポリフェノール類がいくつかあります。花粉症が心配な人は、春先に向けて積極的に摂ってみてはいかがでしょうか? 成分名 含まれる食材 ルテオリンアオジソ、アカシソ、ローズマリー、セージなど ショウガオールショウガ アップルポリフェノールりんご ロズマリン酸緑茶・紅茶・渋柿など テオフィリン緑茶など ウーロン茶ポリフェノールウーロン茶 甜茶ポリフェノール甜茶 ナリンゲニンカルコントマト
「海のしずく」という意味をもつローズマリーは、料理のみならず健康や美容のためにも積極的に利用されてきた。若返りの水「ハンガリアンウォーター」のエピソードも紹介。 目次 「海のしずく」という意味をもつさわやかな香りのハーブ 若返りの水「ハンガリアンウォーター」で有名に 「海のしずく」という意味をもつさわやかな香りのハーブ ローズマリー(Rosemary) 学名:Rosmarinus officinalis 科名:シソ科 代表的な成分:1,8-シネオール a-ピネン カンファー カンフェン 地中海沿岸の地方を原産とするシソ科のハーブ「ローズマリー」は、繁殖力が強く丈夫な常緑低木であるため、家庭でも栽培しやすい。かつて、ヨーロッパではローズマリーの木を1本庭に植えておくと魔女除けになるといわれていたため、多くの家の庭先で栽培されていたという。ローズマリーの花は、学名「Rosmarinus」の由来とも関係している。Rosmarinusは「海のしずく」という意味をもつが、これはローズマリーが海岸沿いに多く見られ、つゆのような紫色の小さな花をつけることからつけられたのではないかと考えられている。 ローズマリーは、樟脳(しょうのう)のような刺激のある香りが特徴。西洋ではこの香りを活かした料理が多く、オリーブオイルやビネガーなどに漬け込んだり、肉料理の臭み消しや炒め料理、煮込み料理の風味づけなどにもよく利用されてきた。しかし、ローズマリーは料理だけに限らず、古くから健康や美容への効果が注目されている。 若返りの水「ハンガリアンウォーター」で有名に ローズマリーが有名になったきっかけとしては、14世紀のハンガリー女王 エリザベート1世に献上された痛み止めのチンキ(ハーブをアルコールで漬けたもの)、「ハンガリアンウォーター」のエピソードがある。このチンキの主成分がローズマリーだったのである。 当時、70歳を過ぎていた老齢の女王は、痛みのある持病に苦しんでいた(痛風か慢性関節リウマチだったのではないかと伝えられている)。そこで、献上されたこのハンガリアンウォーターを使用したところ痛みがすっとなくなり、健康を取り戻したといわれる。さらに、これをローションとして用いると肌の張りがよみがえり、隣国の20代のポーランド王子からプロポーズされるようになったとも伝えられている。このことから、ローズマリーは「若返りの水」とも呼ばれるようになったという。 公開日:2004年5月17日
今日、ローズマリーにはたくさんの健康・美容効果があることが明らかになり、幅広い用途で用いられている。その代表的なものをご紹介しよう。 目次 頭をすっきりさせる・神経を刺激する リウマチ痛・関節痛・痛風を改善する 胃腸の調子を改善する セキ・タンを鎮める 肌をひきしめる すぐれた抗酸化作用を持つ もっと料理にローズマリーを! 頭をすっきりさせる・神経を刺激する ローズマリーは刺激作用があることから、脳のはたらきを促してボーッとした頭をクリアにしたり、頭の混乱をすっきりさせたりする効果が知られている。そのほか、神経を刺激することにより、知覚神経、運動神経などさまざまな神経障害の回復にも効果があることがわかっている。 また、疲れた心を元気づけ、やる気や集中力を取り戻すはたらきもあるため、「心を陽気にするハーブ」とも呼ばれることもある。 リウマチ痛・関節痛・痛風を改善する 「ローズマリーってどんな植物?」のところで紹介したように、リウマチや関節痛、痛風などの痛み止めとしての効果は古くから知られている。湿布やぬり薬として用いられるなど、使い方はさまざま。 胃腸の調子を改善する 消化器系を刺激し、痛みを除去したり、たまったガスを排出する作用などもあるため、胃腸の調子を整え、胃痛や消化不良などにもよい効果があるとされる。また、消毒作用もあるため、腸内の感染症を抑え、下痢を解消する効果もある。 セキ・タンを鎮める ローズマリーには、ユーカリなどにも含まれる1,8-シネオール、またカンファー(樟脳)などの成分が多く含まれており、これらの成分がのどの炎症を抑え、セキやタンなど風邪の症状を解消してくれる。 肌をひきしめる 「ローズマリーってどんな植物?」のところで紹介したように、スキンケアにも有効。収れん作用(肌をひきしめる作用)があるために、とくに脂性肌のケアに向いている。ローションなどの形で用いられることが多い。 すぐれた抗酸化作用を持つ ローズマリーは、すぐれた抗酸化作用を持つことでも知られている。昔から、食品の保存や殺菌目的で使われているが、これは、ローズマリーの持つ高い抗酸化力が食品の変質を防ぐため。また、最近では、ローズマリーの抽出物の揮発成分にも抗酸化力があるとして注目されている。 ローズマリーの揮発成分にも抗酸化パワーあり! もっと料理にローズマリーを! 栽培のかんたんなローズマリーは、ガーデニングにも人気のハーブ。手間をかけなくても、大きな鉢や庭先に植えておけばどんどん繁殖する。気軽に摘み取って、料理に利用しよう。 利用量は、2人分に対して1~2枝が目安。ゆでたポテトと一緒にちぎった葉をバターで炒めると、かんたんなポテトソテーができあがり。また、フライパンでステーキを焼くときは枝ごと一緒に炒めれば、臭みが消える。煮込み料理にも枝ごと入れてOK。ローズマリーのすっきりした風味が料理のおいしさをグーンと引き立ててくれる。 公開日:2004年5月17日
ローズマリー抽出物の揮発成分を利用して、体内の活性酸素の害を予防する方法が注目されている。吸入によって健康を増進するメカニズムや、そのメリットについてご紹介。 目次 ローズマリーの揮発成分には活性酸素を抑制する効果が! 全身イキイキ、空気で抗酸化 ローズマリーの揮発成分には活性酸素を抑制する効果が! 体内で発生すると、細胞の脂質、たんぱく質、DNAなどを変質させ、細胞や組織の機能を低下させてしまう「活性酸素」。活性酸素の害に多くさらされると、各組織でがんが発生しやすくなったり、老化が早まることが知られている。長く健康に過ごすには、体内で活性酸素による害があらわれる前に、抗酸化物質を上手に取り入れたライフスタイルを心がてみてはいかがだろうか。 ところで、「抗酸化物質は食事やサプリメントから摂るもの」と思われる人も多いかもしれないが、空気中に抗酸化作用のある揮発成分を浮遊させ、取り込む方法もある。なかでも、最近注目を集めているのが「ローズマリー」抽出物の揮発成分なのだ。 ローズマリーには、「体にも心にも美容にも!ローズマリーのワイドな効果」で紹介した通り、すぐれた抗酸化作用も代表的なものとして知られる。天然のハーブであるローズマリーは安全で効果も高い。ローズマリーの抽出物を利用した食品やサプリメント、化粧品なども多く出回っているため、試したことのある方もいるだろう。一方、揮発成分の利用に関しては、これまではあまり注目されてこなかった。しかし最近では、すぐれた抗酸化作用を示すローズマリー抽出物の揮発成分を空気中に放出する空調機器などもある。 全身イキイキ、空気で抗酸化 空気中の揮発成分を利用することは、健康に関心のない人にもメリットを与えてくれるのがすぐれたポイントだといえる。なぜなら、家族の健康のために食生活の改善やライフスタイルの見直しを勧めても、本人にその気がなければなかなか続かないのが現実だ。しかし、「呼吸」という誰もが無意識に行う行為のなかで自然に抗酸化物質を取り込むことができれば、家族も本人も負担やストレスを感じることなく健康が管理できるだろう。また、抗酸化対策を含め、健康管理には、必要な栄養素を大量に摂取するのではなく、1日に必要な量を毎日継続して摂取することが大切である。空気を通じて健康を増進する方法は、毎日継続できるという点でますます注目されていくに違いない。 公開日:2004年5月17日
体内で活性酸素が発生すると老化や病気が促進される。日本人の3大死因ともいわれるガン、心臓病、脳卒中にも活性酸素の害が影響していると言われている。 目次 病気や老化にも、活性酸素が関係 太り過ぎると活性酸素のリスクが増えるって本当? 活性酸素が増えるとがんになりやすいのはどうして? 血管が活性酸素の被害にあうと、どんなリスクがあるの? 病気や老化にも、活性酸素が関係 人間をはじめとする多くの生物は酸素を体に取り入れ、エネルギーを生み出して生命をつないでいる。しかし、酸素の一部は凶暴な「活性酸素」に変貌し、体に悪影響を及ぼしてしまう。活性酸素による害は、細胞が「酸化」され、本来の性質が変えられてしまうことによって引き起こされる。これは、鉄くぎが酸化して(さびて)ボロボロになるのと同じこと。活性酸素によって変わってしまった細胞は本来の役割を果たさなくなったり、体にとって有害なものに変身してしまうのである。 あなたのサビ度を今すぐチェック! 病気や老化にも、活性酸素が関係しているが、日本人の3大死因にもあげられるがん、心臓病、脳卒中などの生活習慣病も、活性酸素の影響を色濃く受けていることをご存じだろうか?下のQ&Aで代表的な生活習慣病との関連について紹介しているので、参考にしてみよう。 太り過ぎると活性酸素のリスクが増えるって本当? 糖尿病など、さまざまな生活習慣病との関連が指摘される肥満。肥満になると活性酸素によるリスクが増えてしまう。これは、体積が増えることにより、体中にはりめぐらされる血管も多くなるためである。活性酸素は血流とともに全身の組織に送られるため、血管が多ければ多いほど、活性酸素にさらされる面積が増えてしまうのである。 とくに、腹部の内臓に脂肪がついた「内臓脂肪型肥満」(いわゆるリンゴ型肥満)の場合、心臓病、脳卒中、高血圧などの循環器疾患を発症したり、エネルギーの代謝に異常があらわれて糖尿病などの疾患になりやすい傾向もある。 活性酸素が増えるとがんになりやすいのはどうして? 私たちの細胞には、細胞の性質が書き込まれた遺伝情報をもつDNAがあり、細胞が分裂・再生することで、組織の細胞から細胞へと同じ遺伝情報が伝えられている。しかし、このDNAがなんらかのきっかけで損傷されると、遺伝情報にも狂いが生じ、間違った遺伝情報をもった細胞が増殖してがん化してしまうのだ。 このDNAの損傷に関わるのが「発がん物質」であり、代表的なものには発がん遺伝子を持つウイルス、食物、たばこなどがある。これらの物質が大量に体内に入ると活性酸素の発生量が増え、DNAに傷をつくるきっかけをつくってしまうのである。したがって、がんを防ぐためには、発がん物質を体内に入れて活性酸素をつくらせないよう心がけることが大切だろう。 血管が活性酸素の被害にあうと、どんなリスクがあるの? 心臓病、脳卒中、高血圧などの循環器疾患を引き起こすのが、動脈硬化。この動脈硬化も、活性酸素の害により変性されたために起こるものである。 動脈硬化を防ぐために「悪玉コレステロール」(LDL)を少なくしよう、とよくいわれるが、LDL単独ではそれほど大きな害はない。なぜなら、動脈硬化は血管の内膜に入り込んだLDLが活性酸素によって酸化され、酸化LDLを食べたマクロファージ(白血球の仲間)が脂肪を内包した泡沫細胞となり、内壁に付着することによって引き起こされるからである。 動脈硬化を防ぐためにはLDLを少なくするとともに、活性酸素を減らす努力をすることも必要なのかもしれない。 公開日:2004年6月14日
紫外線を浴びると活性酸素が発生し、シミやシワなどの皮膚の老化を招く。そのメカニズムについて解説。また、日焼け止めと紫外線カットの関係、手荒れが悪化した手湿疹への活性酸素の影響について解説。 目次 皮膚の老化を防ぎたいなら、紫外線をブロック! UVケア商品のSPF値、PA値は高ければ高いほど、活性酸素対策にはやっぱり有効なの? 手湿疹になり傷口が化膿すると、活性酸素が増えて症状が治りにくくなるのはどうして? 皮膚の老化を防ぎたいなら、紫外線をブロック! シミやシワなどの皮膚の老化。これにも実は活性酸素とのつながりがある。皮膚の老化に大きく関係するのが紫外線だが、紫外線を浴びると皮膚に含まれる脂質が酸化されて過酸化脂質が作り出され、ここに紫外線を吸収したメラニン色素が集まることでシミがつくられてしまうのだ。またシワができるのは、紫外線を浴びることによって活性酸素がたんぱく質のコラーゲンや線維組織のエラスチンを変性させ、皮膚の弾力を失わせてしまうからである。つまり、皮膚の老化を防ぎたいなら、紫外線をブロックする工夫をすることで活性酸素の発生を抑えていくことも重要なのだ。 以下に、皮膚の老化に関わる質問への回答を紹介するので、参考にしてみよう。また、手荒れが治りにくくなる「手湿疹」にお悩みの方も多いだろうが、これに関しても以下のQ&Aで回答したので参考にしてみよう。 UVケア商品のSPF値、PA値は高ければ高いほど、活性酸素対策にはやっぱり有効なの? 海水浴に行くと皮膚が赤くなってヒリヒリ痛んだ経験がないだろうか。これは紫外線のうちのUVBが引き起こした日焼け。また、紫外線を長い期間浴びていると、いずれ色素が沈着してシミができる。これはUVAが引き起こした日焼けである。日焼け止めにはこれらの紫外線の害から皮膚を守る成分が配合されているが、その強度をみるのが「SPF値」と「PA値」であり、それぞれUVB、UVAを防ぐ効果の指標となっている。 活性酸素のリスクあり!紫外線の害から身を守ろう 日焼け止めを選ぶ際、紫外線カット効果を高めるために数値が高いものを選びがちであるが、日常に使う分にはSPF20、PA++程度でも十分に効力を発揮する。ただし、日焼け止めは汗とともにはがれてしまうこともあるので、日常では数値にこだわるより塗りなおしに気を配ったほうがよいだろう。また、日焼け止めを使う際には、自分の皮膚に合っているかどうかを基準にして選ぶことも大切。化粧品には保存や乳化、香りづけなどの目的でさまざまな添加剤が含まれている。皮膚に合わないものを利用していると、活性酸素が発生して逆に皮膚のトラブルや老化を招くことにもなりかねないので注意しよう。 手湿疹になり傷口が化膿すると、活性酸素が増えて症状が治りにくくなるのはどうして? 手荒れがひどくなると、皮膚のバリア機能が衰えて傷口が治りにくくなり、1年中ジュクジュクした湿疹ができてしまうこともある。これが「手湿疹」。水をよく使う職業の人や、主婦などに多い皮膚のトラブルである。 このトラブルが長引くのも、活性酸素の害が影響している。皮膚に傷ができるとそこから細菌やウイルスが侵入するが、これらを排除しようと白血球の仲間である好中球やマクロファージが集まり、活性酸素を放出して対抗する。しかし、このとき活性酸素が振りまかれることで傷口に炎症が起こってしまい、この状態を長く放置したり、かきこわしたりすると皮膚のバリア機能がなかなか元に戻らなくなり、傷口が治りにくくなってしまうのだ。手荒れが生じたときには消炎剤や消毒液などを塗って早めに傷を治し、活性酸素の害に長期間皮膚をさらさないようにすることが大切なのだ。 公開日:2004年6月14日
食生活によって活性酸素を減らすことも、逆に増やしてしまうこともあり、それぞれどんな注意が必要かについて解説。また、抗酸化食品をとる際に気をつけるポイントと、抗酸化フルーツとして注目されるザクロ、ライチについても紹介しています。 目次 毎日の食事に取り入れよう 抗酸化物質を摂る際に注意するポイントは? 天然ハーブの抗酸化作用はどのように利用したらよいですか? 抗酸化成分いっぱいのフルーツで挙げられた「ザクロ」や「ライチ」とはどんなフルーツ? 毎日の食事に取り入れよう 食べ物のなかには活性酸素を除去する「スカベンジャー」としての役割を果たすものもあるため、これらを毎日の食事にカシコク取り入れてみよう。例えば、ビタミンC、E、B2などのビタミン類や、野菜や果物の色素などの成分でもあるポリフェノールを代表とするファイトケミカル、また良質のたんぱく質なども代表的なスカベンジャーとなるので、これらをバランスよく摂ろう! おさえておきたい抗酸化物質はコレ 抗酸化物質を摂る際に注意するポイントは? ビタミンやファイトケミカルをたっぷり含む野菜や果物、また肉・魚・卵・大豆などのたんぱく質を食べると、体内で活性酸素を除去するスカベンジャーとしてはたらくため、毎日の食生活の中でこれらをしっかり摂ることを心がけることが大切だ。しかし、調理する際に古くなった油をいつまでも使っていると油が酸化して過酸化脂質になってしまい、これを大量に摂ると代謝の過程で活性酸素が発生してしまい、せっかく抗酸化物質を摂っても意味がなくなってしまう。したがって、炒め物や揚げ物など油を使った調理をする際には、なるべく新しい油を使うように心がけよう。 また、食べ物をよく噛んで食べることでも抗酸化のパワーがアップすることをご存知だろうか?唾液には「ペルオキシダーゼ」という活性酸素を消去する酵素が含まれているため、食べるときによく噛んで唾液の分泌を促すことで、活性酸素を発生させる成分(魚や肉などの焼きコゲに含まれる成分など)を除去できることがわかっている。 天然ハーブの抗酸化作用はどのように利用したらよいですか? シソ科の天然ハーブは抗酸化作用が強く、古くから食品の保存によく使われてきた。なかでもローズマリーはその代表格。食品の保存のほかにも、さまざまな健康・美容効果が知られている。最近ではスーパーなどで簡単に手に入れることもできるので、刻んで料理や薬味に利用しよう。 ●肉・魚料理に…表面につけて焼く。または熱した油に入れ香りをうつして調理するのもよい。ローズマリーのほかに、セージ、タイムなども ●薬味に…そのまま、または刻んで使う また、抗酸化物質は一度に大量に摂るのではなく、必要な量を毎日継続して摂ることも大切。ローズマリー抽出物の揮発成分を空気中に放出する空調機器などもあるので、こちらもうまく利用するとよいだろう。 体にも心にも美容にも!ローズマリーのワイドな効果 抗酸化成分いっぱいのフルーツで挙げられた「ザクロ」や「ライチ」とはどんなフルーツ? ザクロは女性ホルモンのエストロゲンに似たはたらきをすることから、エストロゲンが不足することによって引き起こされる更年期症状などを回復したり、美肌づくりなどにも有効であると、女性を中心に注目されてきた。加えて最近では、ザクロに強い抗酸化作用があることが注目され、活性酸素がもたらす老化や病気などを予防し、いつまでも若々しさを保ちたいという欲求から男女を問わず利用が広がっている。ザクロの強い抗酸化力には、アントシアニンやタンニンなどのポリフェノールが豊富に含まれることが関係している。手軽に摂るなら、ジュースやフルーツソースなどが便利。 ザクロ、ライチまた、ライチも抗酸化力の強いフルーツの代表として知られる。それは、ライチが抗酸化成分の代表格ともいわれるビタミンCを豊富に含み、体内で作られるスカベンジャー「SOD」のはたらきを助けるミネラルや、過酸化脂質を分解するビタミンB2などもバランスよく含んだ食品であるから。ライチは、店頭ではなかなかお目にかかれないことも多いだろうが、最近では冷凍のライチなども手軽に入手できるため、食料品店の冷凍コーナーをチェックしてみてもよいだろう。 公開日:2004年6月14日
生物は酸素を利用しているが、酸素を利用する限り活性酸素の害もなくならないのが現実。それでも酸素を必要とするのは酸素が高エネルギーだから。さらに人類は活性酸素に対抗する「スカベンジャー」も手に入れたのだ。 目次 やっぱり不可欠!酸素は利用価値が高い 酸素を吸うたびに、活性酸素が発生する 活性酸素の害から身を守るのが「スカベンジャー」 この活性酸素にはこのスカベンジャー やっぱり不可欠!酸素は利用価値が高い 人間を含め、地上に生きるおおよそすべての生きものは、酸素をエネルギー源として利用し、生命をつないでいる。そもそもなぜ、酸素を取り入れたのだろう?なぜなら、酸素が生物の代謝を高めるのにとても有効なエネルギー源だからだ。 代謝は生物にとって基本的な生体活動。例えば、ご飯の糖分をブドウ糖に、ブドウ糖をグリコーゲンや脂肪に、肉や魚のたんぱく質をアミノ酸にするなど、食物から摂り入れた栄養を体の中で使える形にするといった、まさに生命維持に欠かせないはたらきをする。この代謝に必要なのが酸素。そのエネルギーは、酸素のない無酸素状態のときに比べて、16倍高いともいわれている。しかし、残念ながらこの代謝の過程で生まれるのが、活性酸素なのだ。 酸素を吸うたびに、活性酸素が発生する 酸素を吸うたびに発生する活性酸素は、老化や病気にも大きく関係している。活性酸素が体の細胞に入り込むと、たんぱく質、脂質が酸化し、細胞のはたらきが低下する。それどころか、DNAの情報が書き換えられ、性質が変わり、増殖するなど、さまざまな悪影響を及ぼすこともあるのだ。 活性酸素の害から身を守るのが「スカベンジャー」 もちろん、私たちの体はだまって活性酸素の攻撃に耐えているわけではない。人類は酸素から発生する有害な活性酸素を中和する術も同時に手に入れたのだ。それが、「スカベンジャー」という抗酸化物質。人類はその体内にスカベンジャーを派遣して活性酸素の発生を予防したり、ダメージを受けた部位を修復したりと、酸化の被害から身を守っているのだ。 代表的な活性酸素には、スーパーオキシドラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素といった種類があり、それぞれ対抗するスカベンジャーも異なる。 スカベンジャーには、体内でつくられるSOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼといった酵素、また体外から取り入れるビタミン、ファイトケミカルなどの抗酸化物質がある。 この活性酸素にはこのスカベンジャー スーパーオキシドラジカル 細胞のミトコンドリアで作られ、体中に大量に発生する活性酸素。 対抗する代表的なスカベンジャー:SOD、ビタミンC 過酸化水素 スーパーオキシドラジカルがSODによって分解されたときに発生する活性酸素。 対抗する代表的なスカベンジャー:カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ ヒドロキシラジカル スーパーオキシドラジカルや過酸化水素が、細胞内の銅や鉄と結合して生まれる凶暴な活性酸素。 対抗する代表的なスカベンジャー:グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン還元酵素、ビタミンE、βカロチン、フラボノイド 一重項酸素 紫外線やX線、放射線などによって発生する活性酸素。また、ほかの活性酸素同士の反応によっても生まれる。 対抗する代表的なスカベンジャー:αカロチン、βカロチン、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンC 公開日:2004年3月15日
基礎代謝量の高さ、運動量の多さ、ストレス、疲労なども活性酸素を発生させやすい要因だとか。さらに、女性の長寿やハエやゾウの寿命など、ライフスタイルと活性酸素との関わりを紹介。 目次 気づかないうちに、体は酸化している!? 激しい運動で、かえって体を壊していない? せかせかしていると、体をさびさせる!? 気づかないうちに、体は酸化している!? 活性酸素によるダメージは体のあらゆる場所に出てくる。全身に酸素を運ぶ血管や、酸素をもらう臓器はもちろん、紫外線による害を受けやすい肌や目なども代表的な攻撃対象。 血管がダメージを受けると動脈硬化を促進したり、心臓病や脳卒中などの引き金になることも。また、体中の各器官でがんが発生したり、さらには、糖尿病やアトピー性皮膚炎、認知症、白内障などが引き起こされるのも、活性酸素が一因では?といわれている。 激しい運動で、かえって体を壊していない? 健康を維持するためには、適度な運動も必要だ。しかし運動も度が過ぎると、活性酸素を発生させる要因になることをご存じだろうか? 息が荒くなるほど過激な運動を行うと、急に呼吸量が増えるため、体内で活性酸素を大量発生させることに。こうした活性酸素の大量発生が続くと、体中の組織を痛めつけて寿命を縮めることにもなりかねない。 人間だけではなく、地上の生きもの全体でみても、運動量と寿命には大きなかかわりがあることがわかっている。例えば、活発に動き回るハエやネズミなどは寿命が短く、運動量の少ない人間やゾウ、カバなどは寿命が長い。運動量の多い生きものは、それだけ酸素をたくさん必要とするために活性酸素が発生しやすくなり、寿命が短くなってしまうのではないかと考えられているのだ。 せかせかしていると、体をさびさせる!? 日常生活においても、睡眠をたっぷりとってゆったりペースで生きている人のほうが、1日中せかせかと忙しく働いている人より、活性酸素にさらされるリスクが少ないといわれている。それには、次の3つの要因が関わっているとか。 1. 残業、夜更かし続きで日々忙しく生活していると、それだけ活動量が多くなるため、活性酸素も発生しやすくなる 2. 疲労をためたままでいると、活性酸素に対抗する抗酸化システムがうまくはたらかなくなり、免疫力も弱まってしまう 3. 常にストレスにさらされることで、血流の乱れや抗ストレスホルモンの分泌が起こり、活性酸素が発生しやすくなる つまり、運動量をコントロールするだけではなく、気持ちもゆったりもつことが、元気で長生きするためにはとても大切なのだ。 公開日:2004年3月15日
活性酸素を発生させないオススメの運動はウォーキング。さらに、活性酸素の害を少なくするための森林浴ウォーキングのメリットや、家の中でもリラックスできる森林浴グッズをご紹介。生活の中に上手に取り入れよう! 目次 ウォーキングは活性酸素を生じさせないスポーツ 緑あふれる場所で森林浴ウォーキングを グッズを使って、家でも森林浴 ウォーキングは活性酸素を生じさせないスポーツ 活性酸素の発生を抑えたいからといって、まったく運動をしないでいると筋肉が衰えてしまう。筋肉が衰えると内臓のはたらきも鈍くなるため、毎日適度な運動を続けることはやはり必要。 活性酸素を発生させない運動のポイントは、運動中に自然に会話ができる程度の強さを目安に、時間をかけて行うこと。そこでオススメなのがウォーキング。一般的には、1分間に100メートル程度とやや早歩きなスピードで、20~25分くらい続けて歩くとよいといわれている。時間がない場合でも、一駅前で下車して歩く、普段、自動車のところを歩いてみるなど、日常生活の中でウォーキングができる機会を探してみよう! 緑あふれる場所で森林浴ウォーキングを せっかくのウォーキングも、排気ガスの多い道で行っては逆効果。排気ガスには活性酸素を発生させるさまざまな有害物質が含まれているからだ。また、紫外線に肌をさらしながら歩くのも、活性酸素を発生させて肌や目を傷つける危険性がある。 そこで、一押しなのが、緑の多い公園などで歩く森林浴ウォーキング。緑あふれる環境は空気がきれいなだけではなく、木陰が多いために紫外線を浴びる量も少なくなる。また信号などもないため、ノンストップで一定時間歩けるというメリットも。近くに緑の多い公園があるなら、ぜひ早起きして森林浴ウォーキングにでかけてみよう! グッズを使って、家でも森林浴 家の中でもクリーンな空気を保つのは、リラックス効果を高めるうえでもオススメ。空気が汚れているとイライラしてストレスが増えたり、安眠を妨害するなど、活性酸素を発生させる要因をつくってしまう可能性大。リラックス度を高めるひとつの方法として、身近な森林浴グッズを使うのもgood! ●枕で森林浴 炭の内部にあるミクロの穴が汚れた空気の成分を吸着してくれるため、クリーンな空気を吸いながら安眠できる。 ●フィトンチッドで森林浴 森林がすがすがしいのは、木々に含まれる「フィトンチッド」という成分のおかげ。フィトンチッドの浄化作用を利用して、室内の空気をクリーンにしよう。 公開日:2004年3月15日
自動車の排ガスに含まれる有害物質は、活性酸素を発生させるもととなる。また非喫煙者でも受動喫煙によって活性酸素が発生し、肺の病気や老化を高めるもとになるので要注意。 目次 自動車の排ガスが活性酸素を引き起こす 受動喫煙でもたばこによって活性酸素が発生する 自動車の排ガスが活性酸素を引き起こす 自動車の通りの多い道路を歩いていると、活性酸素の害にさらされるリスクも高まるということをご存知だろうか?これは、自動車の排ガスに含まれる有害物質のせい。呼吸を通じて排ガス中の窒素酸化物(NOx)が体内に入ると、脂肪を酸化して過酸化脂質を作り出し、組織や細胞の老化やさまざまな病気の発生につながりやすくなる。また同じく排ガス中の有害物質である粒子状物質(PM)も活性酸素の発生に関与することがわかっており、がんの発生や呼吸器疾患を引き起こす要因にもなる。 これらの有害物質はディーゼル車の排ガスに多く含まれているが、窒素酸化物はガソリン車からも排出される。徒歩の場合、自動車交通量の多い道はなるべく避け、ドライバーも渋滞時や駐車中にはアイドリングを控えることが大切だ。 受動喫煙でもたばこによって活性酸素が発生する たばこの煙によって 活性酸素が増える 職場や公共の場での禁煙・分煙がさかんにいわれ、喫煙者は肩身の狭い思いをしている。それは、たばこの副流煙には、喫煙者が吸う「主流煙」や吐き出す煙よりも強い毒性があるといわれているため。たばこの煙には200種類もの有害物質が含まれ、喫煙者は病気や老化のリスクが高まってしまうが、健康を害すのは本人だけでなく、たばこの副流煙を吸った周囲の人にも影響が及ぶのだ。 たばこの煙を吸い込むと、肺に侵入した有害物質を取り除くために白血球が大量の活性酸素を発生する。また、活性酸素そのものである過酸化水素も含まれており、肺に大きなダメージを与えてしまうのだ。 例えば、肺がんは肺の細胞のDNAが変化することによって起こり、また肺気腫は肺のたんぱく質分解が進み、肺胞壁が破壊されるために引き起こされるが、これらも活性酸素のせい。さらに、体内で抗酸化ビタミンのビタミンCを破壊することも、活性酸素の増加に影響する。 非喫煙者であれば、受動喫煙の可能性の高い場所に近づくのはなるべく避けるようにしよう。 公開日:2004年4月19日
紫外線を浴びることによってつくられるシミやシワにも活性酸素が関係し、皮膚ガンも活性酸素が引き起こしている。役に立つUVケア商品を知っておこう。 目次 紫外線を浴びると、皮膚や目の老化につながる UVケア商品を利用して、紫外線の害を防ごう 紫外線を浴びると、皮膚や目の老化につながる 地上に降り注ぐ紫外線。最も破壊力が強いUVCは波長が短いため地上までは届かないが、波長の長いUVA(色素沈着をつくるもとになる紫外線)とUVB(赤くヒリヒリした日焼けをつくる紫外線)はオゾン層を通り抜けて地上にまで降り注いでいる。紫外線を浴びるとシミやシワなどが現れ、皮膚の老化が進行するが、これにも活性酸素が関わっているのだ。 紫外線を浴びると皮膚に活性酸素が発生し、皮膚を構成する脂質を酸化させて過酸化脂質をつくりだす。ここに紫外線を吸収したメラニン色素が集合すると、シミをつくる原因となってしまう。また、皮膚の弾力をつくるコラーゲンや線維組織のエラスチンなども、紫外線を浴びると酸化して変性するため、弾力が失われてシワができやすくなる。特に、初夏から初秋の強い陽射しの下でたびたび強い紫外線を浴びていると、ヒドロキシラジカルや一重項酸素などの酸化力の非常に強い活性酸素が大量に発生し、皮膚がんを引き起こす要因にもなるため、注意が必要である。 また、紫外線は目に与える影響も大きい。紫外線を浴びて活性酸素が発生すると、目の水晶体を構成するヒアルロン酸が変性して、白内障を発症しやすくなる。また、陽射しの強い日に直射日光を浴びると、活性酸素の影響で結膜が傷つき、目のかゆみや痛みを感じたり、ものが暗く見えたりすることもあるのだ。陽射しの強い日には特に紫外線対策に気をつけ、皮膚や目を守るように心がけたい。 夏の瞳にダメージ!紫外線にご注意を UVケア商品を利用して、紫外線の害を防ごう 紫外線を無防備に浴びていると活性酸素が発生して皮膚の老化を招くだけでなく、皮膚がんのリスクを高めかねない。しかし、皮膚にも自ら紫外線をシャットアウトするための自己防衛システムがはたらいているということをご存知だろうか?その大事な役割を担っているのが、皮膚の表皮にある「メラノサイト」という細胞。メラノサイトは、紫外線の侵入を阻むために「メラニン」という色素を作り出しているが、このメラニンが紫外線による活性酸素のダメージを引き受け、自らが酸化して黒くなることによって皮膚の細胞に酸化の被害が及ぶのを防いでくれているのだ。 このメラニン色素は新陳代謝によってアカとなってやがて取れていくのだが、紫外線を浴び過ぎてメラニン色素がたくさん作られると、シミとなって残ってしまう。また、陽射しが強いとメラニン色素のはたらきだけでは予防しきれないため、UVケア商品を利用していくのが有効である。UVケア商品を選ぶ目安としては、SPFとPA値を見てみよう。SPFはUVBからの日焼けを防ぐ効果の指数であり、SPF1は20分間UVBをブロックする。また、PAはUVAからの日焼けを防ぐ効果の指数であり、+~+++がある。日常ではSPF20、PA++程度がよく利用されているが、状況に応じて強度の違うUVケア商品を使い分けるとよいだろう。 紫外線をブロックして「夏老け」防止!日焼け止めの選び方のコツ 公開日:2004年4月19日
外出先での自動車の排ガス、紫外線、たばこの煙などによる活性酸素の害から身を守るための心得について紹介。 目次 外出前、外出先での活性酸素対策チェック! 外食でも抗酸化メニューを心がけよう 外出前、外出先での活性酸素対策チェック! 外出先で活性酸素の発生要因を避けるためには、日頃から活性酸素の影響の少ない生活パターンを心がけることが大切。以下のポイントがしっかり守られているか、チェックしてみよう。 自動車の通りの多い道を歩く機会が多い? 幹線道路や、渋滞の多い道を歩く機会が多いということはないだろうか?排ガスの多い道を毎日歩いていると有害物質をたくさん吸い込み、体内で活性酸素が大暴れする機会を増やすことに。できれば、なるべく裏道などの空気のきれいな道を歩くよう心がけよう。 陽射しが強い日には日焼け止めを塗っている? 紫外線に日焼け止め、サングラス、帽子などで活性酸素対策紫外線を浴びると皮膚に活性酸素が生じやすく、シミやシワなど皮膚の老化を進める要因に。特に春先から初秋までは紫外線量が急激に増えるため、外出時には日焼け止めを塗ることを心がけたい。外で遊ぶ機会の多い子どもも紫外線の害に遭いやすいので、外出時には日焼け止めを持たせるようにしよう。 外出時には、帽子やサングラスなどを持参している? 紫外線の害を防ぐには、帽子やサングラスなども有効。帽子はなるべくツバの広いものを目深にかぶり、顔や首などに直射日光が当たらないようにすることが大切。また、サングラスはUVカット効果のあるものを。レンズが大きく、周囲から光が入り込まないようカーブしているものを選ぶのがベスト。 喫茶店やレストランでは、禁煙席に座っている? 非喫煙者でも、たばこの煙が多い場所に頻繁に出入りしていると、副流煙を吸い込んで活性酸素を増やす要因にもなる。喫茶店やレストランでは禁煙席に座るように心がけよう。身近な人で喫煙者がいたら、健康のためにも禁煙を呼びかけることも大切だ。 外食でも抗酸化メニューを心がけよう 外食が多いとついつい食事内容がおろそかになり、活性酸素を増やすもととなる食生活を送ってしまうことも。しかし、外食でも抗酸化作用のある食材を使ったメニューを選ぶことによって、活性酸素のリスクを減らすことができる。抗酸化におすすめの食材には以下のようなものがあるので、ぜひ積極的にとるように心がけよう。 おすすめ抗酸化メニューに含まれる抗酸化成分 ●レンコンとゴボウの煮物アクの部分にはポリフェノールが豊富 ●小松菜のゴマ和え小松菜にはβカロチンとビタミンCが豊富、ゴマにはセサミンが豊富 ●トマトとブロッコリーの野菜サラダトマトには赤色色素のリコピン、ブロッコリーにはβカロチン、ビタミンCが豊富 ●焼き魚(青背の魚)魚の脂に含まれるDHAやEPAには強い抗酸化作用がある ●フルーツの盛り合わせビタミンCの豊富なイチゴやキウイ、オレンジなどがおすすめ 公開日:2004年4月19日
抗酸化に役立つファイトケミカルは実際にはどんな食品に含まれているのだろう。毎日の食生活のなかで無理なくとれるファイトケミカルをシーン別に。 目次 手軽にとるなら飲み物がオススメ 食卓の彩りに"黒"でアクセントを 食後は抗酸化成分いっぱいのフルーツはいかが? 抗酸化サプリメントを利用するのもあり 手軽にとるなら飲み物がオススメ おなじみの飲み物のなかにも、抗酸化作用のあるファイトケミカル(フィトケミカルとも言う)がいっぱい!たとえば、真っ赤なトマトジュースには赤い色素のリコピンが含まれ、紅茶には渋み成分のタンニンが豊富。ココアには独特の苦味成分であるカカオマスポリフェノールなど、天然の素材を利用した飲み物は手軽でオススメ。 食卓の彩りに"黒"でアクセントを 料理の彩りは豊かに!これは見た目だけの問題ではなく、抗酸化作用を高めるためにもとっても大切。たくさんの抗酸化作用を期待するなら、毎日の食卓にぜひ"黒"を取り入れるよう意識してみて。黒い色素であるアントシアニンは、数あるファイトケミカルのなかでも活性酸素を抑制する力が強いもののひとつ。しかも安定性が高く、加熱してもこわれないので安心。 食後は抗酸化成分いっぱいのフルーツはいかが? 食後のデザートにはケーキなどを食べるより、フルーツをとるのが断然オススメ。カラフルなフルーツには抗酸化に役立つファイトケミカルがいっぱい。たとえば、みかんやオレンジ、バナナには黄色い色素のフラボノイド、ブルーベリーやブドウには黒い色素のアントシアニン、ザクロにはタンニンなど、たくさんのフルーツにファイトケミカルが含まれている。 また、柑橘系のフルーツには、抗酸化力を発揮するビタミンCやクエン酸が豊富。ライチも抗酸化力が強いといわれているフルーツのひとつ。ビタミンC、B群、ミネラルが豊富。冷凍品でも効果があるので食後のフルーツに加えて楽しんでみて。 抗酸化サプリメントを利用するのもあり 忙しくて規則正しく3度の食事を摂れない、栄養バランスも偏りがち、という人は、抗酸化成分の入ったサプリメントを利用してみるのもカシコイ方法。サプリメントは単独より、ほかの栄養素と一緒に摂ったほうが体内に吸収される確率が高くなる。また、1日の目安量を一度に摂るより、2~3回に分けて摂ることも吸収率を高めるといわれている。 また、最近では食べるだけではなく、シャツやエアコンなどにも抗酸化成分を利用した製品が登場しているので、いろいろ試してみては? 公開日:2004年2月16日
活性酸素はさまざまな老化現象や生活習慣病の原因ではないかと考えられている。活性酸素の仕組み、4つの活性酸素のことを紹介。さらに、あなたのサビ度をチェック! 目次 若さと元気を阻む「活性酸素」 活性酸素は不安定な酸素 あなたのサビ度をチェックしてみよう! 若さと元気を阻む「活性酸素」 「体がサビる」という言葉とともに、今ではすっかり定着した「活性酸素」。この活性酸素が私たちの体に及ぼす影響は、まさに「サビる」という表現がぴったり。では、「活性酸素」は私たちの体をサビさせることで、どんな現象を引き起こしてしまうのだろうか? ●老化現象シワ、白内障、関節炎、認知症など、活性酸素によって体の細胞や組織が酸化して変質し、機能が衰えるといわれている ●生活習慣病とくに関係が深いと考えられているのが動脈硬化と糖尿病。ほかにも肝機能障害、リウマチ性関節炎なども関係しているといわれている ●がん活性酸素が細胞を「がん化」させるといわれている 活性酸素は不安定な酸素 酸素は生きていくために欠かせない大切なものだ。ところが、ちょっとしたキッカケで「活性酸素」という物質に変化してしまう。そして、この活性酸素こそが、さまざまな老化現象や生活習慣病の原因ではないかと考えられているのだ。 酸素原子 酸素原子は、内側の軌道に2コ、外側に6コの電子をもっている ふつうの酸素 酸素原子2コから成る。両側の電子同士がペアをつくって安定。 ■4つの活性酸素 スーパーオキシド 一番ポピュラーな活性酸素。片側だけがペアのいない不対電子になり、不安定に。 一重項酸素 紫外線や放射線などの影響で発生する。軌道が一つカラになり、不安定に。 過酸化水素 酸素原子2コと水素原子2コから成る。ペアのいない不対電子はないが、繋がりが弱くとても不安定。 ヒドロキシラシカル 最も電子を奪う力が強い。酸素原子1コと水素原子1コから成る。 酸素の原子核のまわりにある電子が2コでペアになっているのが、安定した状態だ。そこで、ペアのいない不対電子をもった不安定な活性酸素は、何とかして安定しようと、あたりかまわず近くの分子から電子を奪い取ってきてしまう。これが、つまり「酸化させる(サビさせる)」ということ。こんな具合に体内の細胞を酸化させ、細胞の正常なはたらきを阻害してしまうのだ。 あなたのサビ度をチェックしてみよう! 当てはまるものが多ければ多いほど、活性酸素がたまりやすいということ。さて、あなたはいくつ当てはまる? コンビニやスーパーの惣菜など、加工食品を食べることが多い お酒をよく飲む たばこを吸う 最近、激しい運動を始めた 外回りの仕事が多い ストレスを感じることが多い 空気のよくないところに住んでいる 活性酸素たまりやすい度チェック 公開日:2004年1月19日
活性酸素は人間の遺伝情報を伝えるDNAの情報を乱すため、鉄が錆びるような感じで、体が衰えていく。活性酸素に中から外から立向かうスカベンジャー(抗酸化物質)の正体を探る。 目次 活性酸素がたまるとどうなる? スカベンジャーこと抗酸化物質、その正体は? 力をあわせてたたかう戦士たち 活性酸素がたまるとどうなる? 活性酸素は人間の遺伝情報を伝えるDNAの情報を乱してしまう。そのため、活性酸素がたまって、体がサビる=酸化すると、老化や病気の原因になるのだ。ちょうど鉄が錆びてボロボロになるのと同じような感じで、体が衰えていく。例えば、シミ・シワ、運動機能の低下や物忘れ、さらには動脈硬化や糖尿病、がんなどの生活習慣病を誘発するのだ。 スカベンジャーこと抗酸化物質、その正体は? 外食、睡眠不足、ストレス…。私たちの生活は、どうしても活性酸素の脅威にさらされがちだ。だからと言って、あきらめてしまう必要はない。そう、ここでスカベンジャーの登場だ。スカベンジャーは、抗酸化物質とも言われ、活性酸素の攻撃から身を守るはたらきをする物質。酸化を防ぐ、つまり抗酸化物質というわけだ。 活性酸素に中から外から立向かうスカベンジャー(抗酸化物質) ■体内で作られるスカベンジャー(抗酸化物質) 体の各器官では、生きるために必要な化学反応を起こすための酵素が作られている。体内で作られるスカベンジャーは酵素の一種。活性酸素と結びついて、害の少ない物質に変化させるというはたらきがある。代表的なものに、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンがある。スカベンジャーを体内で作る能力は20代をピークに加齢とともに低下する。 ■体外から取り入れるスカベンジャー(抗酸化物質) スカベンジャーの役割をしてくれる物質は、食物にも含まれている。例えば、ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、ビタミンB群など。このほか赤ワインやココア、ハーブなどにも活性酸素による酸化を抑える物質が含まれている。 力をあわせてたたかう戦士たち スカベンジャーは何種類も存在する。そして、お互いの不足部分を補いつつ、活性酸素を無害な物質に変えていく。活性酸素から身を守るためには、体内で作られる酵素だけに頼るのではなく、スカベンジャーを含む食物をバランスよく摂るなど、積極的な活動も大切。 もちろん、活性酸素がたまらないよう、生活改善をしていくことも忘れてはならない。 スカベンジャーこと、抗酸化物質を上手に利用して、活性酸素の発生を最小限に抑えつつ、すばやく消去すればよいのだ。 公開日:2004年1月19日
活性酸素による老化や病気から身を守ってくれる強い味方、抗酸化物質。抗酸化物質は体の中で作られる酵素のほかに、食物など体外からもバランスよく摂り入れる必要がある。最近では、さまざまな食品や植物の抗酸化作用が発見され、注目されている。ピカピカの体で過ごせるよう、注目の抗酸化物質をチェックしてみよう。今さら…、という人もあきらめないで、ゆっくりじっくり体のサビを落とそう! 目次 食卓に並べたいファイトケミカル アロマオイルで心をメンテナンス 酸化を防ぐには空気にも気配りを 天然のサビ防止剤ハーブ 食卓に並べたいファイトケミカル 第7の栄養素として注目されるのがファイトケミカル(植物性化学物質)。第6の栄養素として脚光を浴びた食物繊維同様、以前はとくに必要な成分とは考えられていなかった。しかし、最近になってその抗酸化作用が指摘され、さまざまな植物の研究が進み、期待が寄せられている。よく耳にするカテキン、イソフラボン、リモネンなどの成分もファイトケミカルの一種だ。 リキュールでわったお酒が人気のライチや、最近ではザクロなども注目株 アロマオイルで心をメンテナンス 癒しといえばアロマオイル。活性酸素を発生させる要因のひとつであるストレスの軽減が期待できる。また、アロマオイルに、ローズマリーなどの抗酸化作用のあるハーブを使えば、相乗効果も。 酸化を防ぐには空気にも気配りを 意外に見落としがちなのが空気。人は1日に約15,000リットル程度の空気を吸っていると言われており、抗酸化のポイントとしてもうまく利用していきたい。 エアコンも多機能化が進み、空気をキレイにするだけではなく抗酸化物質を放出する製品も発売された。日々の呼吸から見直して、活性酸素から身を守ろう。 天然のサビ防止剤ハーブ なぜ、植物には抗酸化成分が含まれているのか?それは、植物自身が自らが酸化してしまうのを防ぐため。なかでも強い抗酸化力を示すのが香辛料。ニンニク、ワサビ、ローズマリーはその代表格。昔から、保存や殺菌の目的で使われてきたものだ。今、あらためて注目したい抗酸化物質だ。 体にも心にも美容にも!ローズマリーのワイドな効果 公開日:2004年1月19日
冬の健康トラブル「肌荒れ」「アトピー」「風邪」にも実は活性酸素が関係している。これらのトラブルをきっかけに、またその原因として活性酸素がどうはらくのか、そのメカニズムを紹介。 目次 乾燥した空気は美肌の大敵! アトピーにも活性酸素の影響が!? 風邪をひくと活性酸素が増える!? 乾燥した空気は美肌の大敵! 乾燥した空気のなかで過ごすと、カサカサとかゆみが治まらない!通常、肌のうるいおいは角質層の3つのバリア機能によって守られている。しかし、外気の乾燥がひどくなると角質層に閉じ込められていた水分が逃げ、肌が荒れて、かゆみを感じてしまうのだ。 乾燥の被害はそれだけにとどまらない!肌の老化を進めるばかりか、肌荒れが進行すると皮膚が割れて血が出たり、かゆみどころか痛みを感じることも。とくに水を頻繁に使う職業についている人や主婦などは、手指の乾燥がひどく「手湿疹」になることもある。手湿疹になり傷口が化膿すると、活性酸素が増えて症状が治りにくくなったり、皮膚の組織の再生を阻害してしまうこともあるので要注意。 バリア1:皮脂膜が外からの乾燥や刺激をバリア バリア2:NMF(天然うるおい成分)が水分をしっかりキープ バリア3:細胞間脂質(セラミドなど)が角質細胞をしっかりつなぎとめる 働き者の泣きどころ…主婦湿疹 アトピーにも活性酸素の影響が!? アトピー性皮膚炎の場合、空気が乾燥するとかゆみがひどくなることが多い。アトピーは子どもだけの肌トラブルと思われがち。しかし、ストレスの多い毎日を送っていると、大人でも突然発症したり、治ったと思っていた症状が再発することもあるので、油断は禁物。 ところで、このアトピーにも、あのにっくき活性酸素が影響している。皮膚の細胞をつくる脂質が活性酸素によって過酸化脂質に変えられてしまうと、皮膚のバリア機能が弱くなり、うるおいが奪われてしまうのだ。アトピーの悪化を防ぐには保湿剤で皮膚を保護するだけでなく、食生活や住環境を見直す、ストレスを少なくするなどもとても大切。日々の工夫も、活性酸素の発生を少なくする大切なポイント。 風邪をひくと活性酸素が増える!? しつこい風邪も、悩みの種。「たかが風邪、治ればどうってことはない」と思っている人も多いかもしれないが、実は風邪も活性酸素を増やす原因のひとつ。 体の中に病原菌やウイルスなどが侵入すると、血液中に白血球が増え、活性酸素を発生させてこれらに対抗する。ところが、活性酸素は病原体を死滅させるばかりか、困ったことに健康な体の組織まで傷つけてしまうのだ。風邪はひいてから治すのではなく、普段から風邪に負けない体づくりを心がけること 公開日:2004年2月16日
体内の活性酸素に立向かうなら、ファイトケミカルがオススメ。ファイトケミカルは植物が紫外線の害や虫などから自らを守るために作り出した物質。抗酸化に役立つおもなファイトケミルをご紹介。 目次 ファイトケミカルって何? ファイトケミカルにはどんな食材があるの? 身近な食物に含まれるファイトケミカル ファイトケミカルって何? 活性酸素に負けない体をつくるためには、まず毎日の食事を見直すことが大切。食品添加物たっぷりで、ビタミン・ミネラルの乏しい食事を続けていたら、体のサビを進めるばかり。 抗酸化を意識した食生活をはじめたいなら、「ファイトケミカル」に注目してみて!ファイトケミカル(フィトケミカルとも言う)の「ファイト」とは、ギリシャ語で「植物」のこと。植物が紫外線の害や虫などから自らを守るために作り出した物質なのだ。おもに植物の色素や香り成分、アクなどに含まれている。 今や食物繊維に続く「第7の栄養素」として注目されているファイトケミカル。植物全般に含まれるため種類が多く、栄養効果も多彩なのが特徴。そして、最も注目に値するのは、なんといっても活性酸素から体をガードする抗酸化作用だ。 ファイトケミカルにはどんな食材があるの? ファイトケミカルはおよそ1万種類。おもに野菜や果物に含まれている。 有名なのは、ワインに含まれるポリフェノール。ポリフェノールは、4,000種類以上あるといわれる黄色い色素のフラボノイドと非フラボノイドとに分けられ、さらにアントシアニン類、イソフラボン類などに分類される。「勝て!菌」の名で注目を浴びた緑茶に含まれるカテキンもポリフェノールの一種。 ファイトケミカルはポリフェノールのほかにもいくつかのグループがあり、実にさまざまな植物に含まれている。 身近な食物に含まれるファイトケミカル ●アントシアニン 赤ワインやブルーベリー、黒豆などに含まれる黒や青い植物の色素 ●タンニン 緑茶や紅茶などに含まれる渋み成分。緑茶に含まれるものをカテキンと呼ぶ ●サポニン 食品のアクに含まれる成分。脂質の酸化を防ぐ大豆サポニンが有名 ●イソフラボン 大豆に含まれる成分。女性ホルモン・エストロゲンと似たはたらきをすることで知られる ●フラボノール タマネギに多く含まれる「ケルセチン」は吸収がよく、動脈硬化を防ぐはたらきがある ●フラバノン みかんの房と筋に多く含まれる「ヘスペリジン」にはビタミンCのはたらきを助ける作用がある ●ルテイン ほうれん草やケールなどに含まれる。目の健康によい ●リコピン トマトやすいかの赤色成分。完熟度が高い方が効果大 ●リモネン 柑橘系の果物に含まれる香り成分。がん予防のほか、新陳代謝の改善にも ●βグルカン きのこ類に含まれる多糖体。免疫力を高める作用がある 公開日:2004年2月16日
最近、注目を集めているのがトマトに含まれるリコピン。リコピンの健康効果とリコピンが凝縮されたトマトジュースの機能性のよさを紹介。トマトジュースをさらに楽しむレシピも掲載。 目次 トマトの赤は「リコピン」の赤 加工用トマトは生食用に比べてリコピンが豊富 栄養がぎゅっとつまったトマトジュース トマトジュースをアレンジしてみよう! サワースウィート レッドアイ お手軽ツナリゾット トマトの赤は「リコピン」の赤 毎日の食卓でおなじみのトマト。みずみずしく鮮やかな赤は、見た目にも食欲をそそる色だ。この赤色は、カロテノイドと呼ばれる色素の一種「リコピン」が発する色なのだ。 カロテノイド系の色素のなかで栄養効果の高い物質としては、ベータカロテンが最もよく知られている。これは、ベータカロテンに体内でビタミンAに変わるプロビタミンA活性があるため。ビタミンAには、粘膜を健康に保ったり、体の抵抗力を高めてがんを予防してくれるという特長がある。 一方、リコピンには、ベータカロテンのようなプロビタミンA活性がないため、栄養効果的な観点からはあまり注目されてこなかった。しかし、最近になってリコピン自身にがんなどの活性を抑える抗酸化作用があることが明らかになり、子宮がん、乳がん、肺がんの抑制効果はベータカロテンを上回るという実験データも発表された。 また、前骨髄性白血病細胞の成長や悪玉コレステロールを抑制する効果もわかっており、さらには抗アレルギー効果も期待されるなど、リコピンの知られざる機能が次々に明らかになってきているのだ。 加工用トマトは生食用に比べてリコピンが豊富 生食用のトマトを搾ってもうすピンク色にしかならないのに、市販のトマトジュースは鮮烈なまでの赤色をしていることに驚いた人も多いだろう。「トマトジュースには着色料が入っているのでは?」と思う人もいるようだが、実はこの鮮やかな赤こそ、まぎれもないリコピンの色なのだ。 トマトジュースに使われるトマトは、加工用に栽培されている赤系トマトと呼ばれるもので、生食用のピンク系トマトに比べると、リコピンの量が断然豊富だ。 ■加工用トマトはリコピン量が生食用のおよそ3倍 出典:カゴメ(株)総合研究所分析データ 栄養がぎゅっとつまったトマトジュース トマトに含まれる栄養はリコピンに限らない。胃を丈夫にするビタミンUや血圧を下げるガンマアミノ酪酸(GABA)、抗がん作用をもつとされるクロロゲン酸やケルセチン、また血清コレステロール濃度を下げる食物繊維も含まれている。もちろん生で食べるのもよいが、ジュースなら、効率よく手軽にトマトの栄養を摂りいれることができるのでオススメだ。 ちなみに、トマトジュースはカロリーも低いので、夏のこまめな水分補給にも適している。また、トマトの独特な酸味には胃酸の出過ぎによるむかつきをやわらげる効果があるため、二日酔いに試してみたい飲み物なのだ。 トマトジュースをアレンジしてみよう! トマトジュースはそのまま飲んでもおいしいけれど、ちょっと手を加えるだけで、おしゃれなカクテルやちょっとした料理に早変わり。いつものトマトジュースとはちょっと違った味になるので、トマトやトマトジュースは苦手という人も、ぜひ試してみて欲しい。 サワースウィート ■材料 トマトジュース(食塩無添加)160g 1缶、バーモント酢(5倍希釈) 大さじ2杯 ※りんご酢で代用する場合は大さじ1杯程度 ■作り方 よく冷えたグラスにトマトジュースを注ぐ バーモント酢(もしくはりんご酢)を加え、軽くかき混ぜる お好みでタイムの葉などのハーブを加えてできあがり ■試してみました 口元にもってきた瞬間に、バーモント酢の甘酸っぱい酸味がほわ~んと鼻先に。トマトと酢のダブル健康効果で、夏バテ気味のときに飲むとよさそうですね。少し甘くなるので、味に変化を加えたいときにもオススメです。 レッドアイ ■材料 トマトジュース190g 1/2缶、ビールまたは発泡酒 100ml ■作り方 よく冷えたグラスにトマトジュースとビール(または発泡酒)を同時に注ぐ マドラーなどで軽くかき混ぜる お好みでカットしたレモンやタバスコを加えてできあがり ■試してみました ビア・カクテルとして定番のレッドアイですが、ビールとトマトジュースなんて本当においしいの?と思っていました。これが意外においしかったのでちょっとびっくり。ビールの苦味がトマトジュースの酸味とマッチして、まろやかな味わいでした。ちなみに、「レッドアイ」は二日酔いの時の赤い目を指し、迎え酒として開発されたカクテルだという話も。 お手軽ツナリゾット ■材料 トマトジュース190g 1缶、ツナ缶 80g、マッシュルーム缶(スライス) 小1缶、ご飯 200g、にんにくみじん切り 1/2片、オリーブオイル 大さじ1、塩、こしょう 適量 ■作り方 オリーブオイルとにんにくみじん切りを弱火にかける 香りが出たら軽く油を切ったツナを加える マッシュルームとトマトジュースを加える ひと煮立ちしたらご飯を加え、塩・こしょうで味を調える お好みでパルメザンチーズ、パセリをふりかけてできあがり ■試してみました トマトジュースでこんなに簡単にリゾットができるとは!トマトの味がしっかり生きていて、本格的なイタリアンリゾットになりました。ご飯を除いてトマトスープにしても楽しめそうですね。しかも材料費が安いので、家計にもヘルシーなのがうれしいです。 出典:レシピ提供:カゴメ(株) 公開日:2003年8月4日
ポリフェノールといえば、赤ワインに含まれている抗酸化物質として有名ですね。「でも、アルコールは苦手だし…」という方、お待たせいたしました!ココアにもポリフェノールが含まれているんです! 目次 ココアで健康になれる!? ポリフェノールの抗酸化作用 食物繊維が豊富 ミネラルが豊富 ココアで健康になれる!? 少し前に「ココアでダイエット」や「ココアで健康!」というココアブームがあったことは、まだ記憶に新しいのではないだろうか。実際、その時にココアを飲んだ方も少なくないはず。さて、本当にココアには健康になれる効果があるのだろうか。 ポリフェノールの抗酸化作用 「ポリフェノール」と聞くと「赤ワインとかに含まれているアレのこと?」と思うかもしれないが、まさにその通り。ココアには、「カカオ・ポリフェノール」という成分が含まれている。このポリフェノールは「抗酸化物質」としてかなり注目を浴びているのだ。 人が病気をしたり、老化するなどの体の不調の原因は「体がサビる」ことにある。「体がサビる?」って聞き慣れない言葉ではあるが、あの鉄などの表面が赤茶色に変色し、ボロボロになるのと同様に、人の体でもこの「サビ化」、つまり「体の中で酸化」が起きているのである。 その原因となっているのが「活性酸素」。困ったことに、その活性酸素がさまざまな病気の原因となってしまっているのだ。 活性酸素はどんな影響を体に与える? ●動脈硬化が起こる これまで動脈硬化を起こす犯人はコレステロールだと言われていたが、悪玉コレステロール(LDL)そのものが犯人なのではなく、酸化されたLDLが原因だと分かってきた。 ●がんの発生 活性酸素が細胞に組み込まれたDNAを攻撃し狂わせてしまった結果、異種細胞が発生して増殖し、がんになる。 ●糖尿病の原因 活性酸素に攻撃されてインスリンの産出が減ったり、ブドウ糖が使われなくなってしまった結果、血中のブドウ糖が増えて糖尿病になる。 ●老化を早める 運動機能や内臓の機能の低下、物忘れ、眼の白内障、皮膚のシワ・シミなど、病気とまではいかない衰えの原因も活性酸素にある。 これらの活性酸素の攻撃から身を守るためにはたらくのが「抗酸化物質」と呼ばれるもの。スカベンジャーとも呼ばれているが、これは体内でつくられるものと食べ物などから取り入れるものがある。 食べ物に含まれるもののひとつが「ポリフェノール類」というワケなのだ。 ちなみに、ココアの原料となるカカオ豆(エクアドル産)100g中に含まれるポリフェノールは3.98g。 ココアには抗酸化作用が十分ある! 食物繊維が豊富 ココアに含まれる食物繊維は、リグニンという種類。大豆や小麦粉、とうもろこしなどと並ぶほど優れた繊維で、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすはたらきがある。 食物繊維は大腸がんの予防や便秘解消に効果あり。 ミネラルが豊富 ココアは、ミネラルが豊富。特に鉄分が多く、貧血気味の人や生理のある女性が飲むと鉄分が補給されるのでいい。さらに、体内の余分な塩分を排出する作用のあるカリウムもたくさん含まれているのだ。 ピュアココア100g中の成分表 ●エネルギー …277kcal ●カリウム ……2800mg ●鉄 ……………14mg ●カルシウム …140mg ●ナトリウム …16mg ●ビタミンB1 …0.16mg ●ビタミンB2 …0.22mg ●食物繊維総量 …23.9g 出典:食品成分表 公開日:2002年5月20日
私たちの命を支える酸素。ところが、酸素がちょっと変化しただけの活性酸素は、私たちの体を犯す悪者のようです。酸素と活性酸素の違いを解説します。 目次 酸素分子は強引なやつ 強引さがこうじて、活性酸素に変身する 酸素分子は強引なやつ 酸素分子はほかの分子に結びついたり、電子を奪ったりする性質があります(酸化といいます)。これは、核の周りを飛び回っている電子のせいで、電子にはカップルで飛び回りたい習性があるようです。ところが酸素の場合、分子になってもハンパ者が生じてしまいます。ハンパ者は相手を探して飛び回り、見つけ次第、強引に結びついていきます。 強引さがこうじて、活性酸素に変身する 酸素分子中のハンパな電子が、ペアを探そうと必死になった結果できてしまうのが、以下の4種類の化合物です。これらを総合して活性酸素と呼んでいます。図を見てわかる通り、分子構造は本来の酸素分子とそれほど大きく違いませんが、酸素分子以上に不安定かつ強引な性質を持っています。 このため、糖質、脂質、アミノ酸など、各器官を構成する分子を酸化するなどして、 体内に悪影響を与えてしまうのです。 スーパーオキシドアニオン 人間の体内でもっとも大量に発生しますが、ほかに比べると反応性が低く、体に与える影響も少ないと考えられています。ただし、電子や水素原子のやりとりが進むことで、ヒドロキシラジカルなど、毒性の強い活性酸素に変化する可能性が高いです。 過酸化水素 過酸化水素の電子はすべてペアになっているため酸化力は大きくありません。しかし、わずかなきっかけで2つに別れ、狂暴なヒドロキシラジカルになってしまうのが問題です。過酸化水素は「オキシドール」とも呼ばれ、消毒薬として利用されていますが実際に消毒(殺菌)作用を行っているのは、過酸化水素から変化したヒドロキシラジカルである場合が多いと言われています。 ヒドロキシラジカル 活性酸素の中で最も反応性が強く、酸化力も強いです。脂質、糖質、タンパク質など近くにあるあらゆる化合物と反応してしまいます。つまり、体内への影響力が最も強い活性酸素なのです。ただ、反応性が強いため、特に体内に影響を及ぼさない化合物と反応し、無害な物質となって排出されることも多いようです。ヒドロキシラジカルは、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素から発生します(体内で酸素から直接生成されるということはありません)。 一重項酸素 電子そのものはすべてペアになっていますが、酸化力が強いです。これは、無視されてしまった軌道が2個の電子を強く求めているためですが、体内でこの酸素がどのくらい生成されているのか、また、何らかの危害を加えているのかについてははっきりとわかっていません。
生命を維持するために酸素を利用する以上、体内で活性酸素が発生するのを止めることはできません。実は、活性酸素は、体内に侵入する細菌を撃退する「免疫システム」で重要な役割を果たしています。 目次 体内で自然に発生する活性酸素 体を守るはたらきもする活性酸素 体内で自然に発生する活性酸素 生命を維持するために酸素を利用する以上、体内で活性酸素が発生するのを止めることはできません。酸素を活用する過程で、自然に活性酸素ができてしまうからです。 例えば体内でエネルギー(ATP)を作る際、酸素の役割のひとつは余った水素(H)の受け取り役です。最終的に水(H2O)となり、体外に排出されます。 その時の状況によっては、次のように、一度、活性酸素になった後、ようやく水ができることもあります。 体を守るはたらきもする活性酸素 活性酸素は、体内に侵入する細菌を撃退する「免疫システム」で重要な役割を果たしています。白血球やマクロファージが細菌を攻撃する際の武器となるのです。ところが、活性酸素は機関銃と同じです。犯人だけを狙うつもりだったのに、周りまで傷つけてしまうこともあるのです。
周辺の環境や喫煙、ストレスなど生活習慣が原因で、活性酸素が発生しやすくなることもあります。ここでは、活性酸素が発生するリスクを確認してみましょう。 目次 生活習慣・環境が活性酸素を増やす 活性酸素はオゾン層も破壊する 生活習慣・環境が活性酸素を増やす 体内で活性酸素が発生するメカニズムはこれだけではありません。周辺の環境や喫煙、ストレスなど生活習慣が原因で発生しやすくなることもあります。あなたの場合は大丈夫ですか? Check!●コンビニやスーパーの惣菜など、加工食品を食べることが多い ほとんどの加工食品には食品添加物が使われています。食品添加物は体内に吸収された後、肝臓で解毒されますが、この過程で活性酸素が発生して肝臓を攻撃、肝機能障害などの原因になります。お店で見分けることは難しいですが、野菜の残留農薬も同じように活性酸素発生のもとになります。 Check!●お酒をよく飲む お酒のアルコールも体内に吸収されると異物として肝臓で解毒され、活性酸素が発生します。 Check!●たばこを吸う たばこの煙にはタールやニコチンのほか、活性酸素である過酸化水素も含まれています。喫煙によって活性酸素を吸い込んでいることになります。また、喫煙者の肺にタールが入ると、体内の免疫システムがはたらいて、活性酸素を吹きかけて攻撃しようとし、肺の組織をどんどん破壊してしまうのです。 たばこを吸うと息切れするようになる原因は、肺の組織が活性酸素に破壊され機能が落ちているせいとも考えられます。 Check!●最近、激しい運動を始めた 激しいスポーツを行うと、呼吸量が増えます。つまり、必要以上に多量の酸素を体に取り込むことになります。また、必要なエネルギー量も一気に増えるため活性酸素が発生しやすいようです。ただし、ウォーキングなどの軽い運動を長時間行うなら大丈夫です。活性酸素に負けない体を作るためにも、毎日継続して行いましょう。また、成長期の子どもたちが行う運動も、骨や筋肉を発達させるために重要です。 Check!●外回りの仕事が多い 紫外線やX線は体の表面を通り抜け、体内の水分(H2O)やスーパーオキシド、過酸化水素を刺激して、もっとも有害なヒドロキシラジカルを大量発生させ、皮膚を内側から破壊していきます。しみ、しわだけでなく、皮膚がんとの関係も指摘されているので要注意です。そろそろ男性も、紫外線対策に敏感になったほうがいいでしょう。 Check!●ストレスを感じることが多い 強いストレスを受けると、体内で副腎皮質ホルモンが分泌されます。体が熱くなったり、胃が重くなっ たりといった、体の緊張、興奮状態はこのホルモンによってもたらされるのです。一方、この状態を元に戻すために、副腎皮質ホルモンを分解する酵素が分泌されます。活性酸素はホルモンが分泌される過程、分解される過程で発生します。 Check!●空気のよくないところに住んでいる 大きな道路の側や、工場や産業廃棄物処理場の近くなどで、汚染された空気を常に吸っている環境だと、喫煙のときと同様、肺で免疫システムがはたらいたり、解毒の際に活性酸素が発生したりします。 活性酸素はオゾン層も破壊する 活性酸素は生物の体内だけで発生するのではありません。私たちを取り巻く空気中にも存在し、大気汚染に一役買っています。例えば、フロンガスです。オゾン層破壊の原因として有名ですが、実際に破壊しているのはフロンが変化したヒドロキシラジカルを始めとする化合物です。 また、ヒドロキシラジカルは酸性雨の元でもあります。大気中で作られたヒドロキシラジカルと、石油や産業廃棄物を燃焼するときに発生する硝酸や硫酸が結びついて酸性の雨になるのです。 このような環境では、自分だけがんばっても活性酸素の発生を防ぐのは難しいもの。ですが、人間の体内には活性酸素を撃退する機能も備わっています。発生を防ぐとともに、抵抗力を強めることで、活性酸素の害から身を守ることが十分できるのです。
皮膚のしわやシミ、白内障や網膜炎、認知症などの老化現象と活性酸素の関係が注目されています。 目次 活性酸素が体の機能を衰えさせる 老化現象と活性酸素 活性酸素が体の機能を衰えさせる 老化とは一般的に「歳をとるにつれて体の機能が衰えること」とされています。この原因について「活性酸素によって体の細胞や組織が酸化して変質し、機能が衰える」のではないかという「活性酸素説」が注目されるようになってきました。 この説を最初に主張したのはアメリカの研究者です。彼らの研究で、活性酸素が体内に次のような影響を与えることがわかりました。 遺伝子(DNA)を形成する核酸を酸化させて変質させ、がん細胞などを発生させる 細胞膜に含まれる不飽和脂肪酸を酸化させて、過酸化脂質を作り、細胞や組織を破壊する 老化色素と言われるリボフスチンを作り、細胞の動きを止める 老化現象と活性酸素 老化現象としては具体的に、運動機能や内臓の機能の低下、物忘れ、眼の白内障、皮膚のしわなど、病気とまではいかない衰えのほか、血管が衰えて動脈硬化などにかかりやすくなるといったことが挙げられます。最近では、こういった現象に活性酸素が深く関わっていることがわかってきています。 皮膚のしわ 太陽の紫外線は体の表面を通り抜けます。そして、皮膚細胞内の水分やスーパーオキシド、過酸化 水素などを刺激して、最も有害なヒドロキシラジカルを大量発生させてしまうのです。ヒドロキシラジカルは、皮膚の弾力を保つたんぱく質コラーゲンなどに取り付いて破壊してしまいます。結果、皮膚のハリがなくなって、しわになってしまうのです。 白内障 眼のレンズのはたらきをする水晶体という部分が黄色や灰白色ににごる病気です。レンズがにごるのですから、そのままにしておくと視力を失ってしまいます。 眼も皮膚と同様、常に紫外線にさらされている、活性酸素発生量の多い器官です。この攻撃から自らを守るため、水晶体の表面には活性酸素の影響をおさえる酵素やビタミンCが豊富に含まれています。ところが歳をとるにつれて酵素の量が減り、活性酸素の影響をおさえられなくなるため、白内障になりやすいのではないかと考えられています。 関節炎など ひじやひざの関節が痛むリウマチ性関節炎も老人に多い病気です。この病気は体の免疫機能がおかしくなってしまうのが原因です。白血球が自分の細胞を敵とみなし、活性酸素を撒き散らして攻撃するため、炎症や痛みが起こります。関節には活性酸素に対抗する酵素などが少ないため、集中的にやられてしまうのです。 認知症 認知症には「アルツハイマー性認知症」と「脳血管性認知症」があります。「アルツハイマー性認知症」の原因はまだはっきりとはわかっていません。ただ、活性酸素によって脳の脂質が酸化されてできる「老人斑」が異常に多いため、活性酸素が原因ではないかと疑われています。 「脳血管性認知症」の場合、大元の原因は動脈硬化です。活性酸素などが動脈硬化を促進させた結果、脳の血管がつまって脳梗塞や脳出血になり、後遺症として起こる認知症です。 生活習慣病にかかりやすい 中年以降かかりやすくなる、動脈硬化、糖尿病やがんなどの生活習慣病の発生にも、活性酸素が大きな役割を果たしていることがわかってきています。
活性酸素は、生活習慣病の発病にも関連しています。特に関係が深いと考えられている動脈硬化、糖尿病との関係を探りました。 目次 動脈硬化と活性酸素 糖尿病と活性酸素 動脈硬化と活性酸素 動脈硬化とは、血管の内側の壁面に脂質、繊維、カルシウムなどが蓄積して、血管が硬くなってしまう状態をいいます。これが進むと、さまざまな成分が付着することで血管の壁面が盛り上がり、血管が細く、もろくなってしまいます。 最終的には、血液の流れが悪くなったり、血管が破裂したりします。その場所によっては命にかかわる深刻な事態にもなります。 動脈硬化には、アテローム硬化(粥状硬化)、中膜硬化、細動脈硬化の3つのタイプがあるが、このなかでも最も危険なアテローム硬化の進行に、活性酸素が関係しています。 活性酸素がアテローム硬化を悪化させる 1. 血液中の脂質の中には、コレステロールを多く含むLDL(低比重リポたんぱく)が存在します。このLDLのコレステロールが「悪玉コレステロール」で、LDLコレステロールは増えすぎると、血管の内側に入り込みます。 2. LDLは活性酸素によって酸化されると、変性LDLになります。変性LDLを異物とみなし、マクロファージ(免疫システム)がはたらきます。マクロファージは変性LDLを取り込んで活性酸素を放射し、活性酸素がさらに増えます。 3. 変性LDLを取り込んだマクロファージは脂肪分たっぷりの泡沫細胞となり、血管壁の内側にたまります。このため、血管が狭くなってしまいます。 糖尿病と活性酸素 炭水化物や糖類が消化吸収されると、血液中でブドウ糖(血糖)となります。血糖はすい臓から分泌されるインスリンというホルモンのはたらきでエネルギーに変わり、人間の活動を支えています。また、インスリンは不要なブドウ糖を中性脂肪に変えたり、細胞組織に送り込んだりするはたらきも担っています。 インスリンのはたらきが悪くなると、血糖をコントロールすることができなくなり、高血糖の状態になります。これが「糖尿病(インスリン依存型)」で、次のように、活性酸素は糖尿病の発病から合併症の進展にまで関わっています。 活性酸素は糖尿病に深い関わりを持っている 細胞内のミトコンドリアでブドウ糖からエネルギー(ATP)を産出しますが、 この過程で発生した活性酸素がミトコンドリアを変質させることがあります。 ▼ エネルギーが作られず、ブドウ糖も使われません。 ▼ インスリンを産出する、すい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞は活性酸素の攻撃に弱いです。 ▼ 活性酸素に攻撃されてダメージを受け、インスリンの産出が減ってしまいます。 ▼ 血液中のブドウ糖の量が増えるのが「糖尿病」です。 増加したブドウ糖は全身の多くの組織や臓器でタンパク質などと反応を起こします(グリケーション)。 ▼ この反応で活性酸素が発生し、組織や臓器を攻撃すします。 ▼ 合併症の発生に関与します。 ⇒網膜症(失明することもある)・腎不全・心筋梗塞・脳血管障害・神経障害など
体内の細胞が突然変異してできたといわれるがん細胞。活性酸素が細胞の遺伝子を書き換えて、突然変異を起こすのではないかと考えられています。 目次 体内の細胞は分裂を繰り返す 活性酸素が細胞を「がん」化する 体内の細胞は分裂を繰り返す 人生約80年。といっても、体内すべての細胞の寿命が80年間というわけではありません。脳細胞を除く体内の細胞はすべて、人間が生きている間、何度も生死を繰り返しています。この営みが「新陳代謝」です。 古い細胞が死んで、まったく同じ新しい細胞が生まれるのは、細胞の設計図ともいえる遺伝子(DNA)があるからです。ところが、この過程で狂いが生じ、まったく別物の細胞が産まれる突然変異が起こることがあります。 活性酸素が細胞を「がん」化する 活性酸素は「酸化」という分子レベルの攻撃を行うため、DNAを構成する物質を変質させて、傷をつけてしまうことが可能です。つまり、別の細胞が再生される突然変異を起こす原因のひとつなのです。ただし、突然変異の細胞が産まれただけで、すぐにがんになるということはありません。 発がんのプロセスは、次の図のように3段階あります。この1段階と2段階で、活性酸素が重要な役割を果たしています。 第1段階●イニシエーション(初期化) 第2段階●プロモーション(促進期) 第3段階●プログレッション(進行期)
人間を始め、酸素呼吸をする生物は、活性酸素から身を守るスカベンジャーと呼ばれる機能を備えています。スカベンジャーのはたらきについてまとめます。 目次 体内で作られるスカベンジャー・酵素 スカベンジャーがはたらくメカニズム 体内で作られるスカベンジャー・酵素 スカベンジャーとは活性酸素の攻撃から身を守るはたらきをする物質のことです。抗酸化物質とも言われています。体内で作られる酵素と、体の外から取り入れる物質の2種類があります。 このグラフは、代表的なスカベンジャー酵素であるSODの体内濃度と、その動物の寿命をグラフにしたものですが、この2つはほぼ比例しています。体内のスカベンジャーが多いほど、健康に長生きできると考えることができるのです。 体内で作られる「酵素」 食物が吸収されやすい物質に消化(分解)されるのも、生きていくエネルギーを作るのも、生命の営みのほとんどが、分子レベルの化学反応の組み合わせです。各器官では、必要な化学反応を起こすための酵素が作られています。体内で作られるスカベンジャーも酵素の一種です。活性酸素と結びついて、害の少ない物質に変化させます。 代表的なものに、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンなどがあります。 体外から取り入れる物質 スカベンジャーの役割をしてくれる物質は、食物にも含まれています。例えば、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、ビタミンB群などです。このほか、赤ワインやココアなどにも活性酸素による酸化をおさえる物質が含まれています。 活性酸素を撃退する食品はこれだ! スカベンジャーがはたらくメカニズム スカベンジャーは何種類も存在しますが、それぞれが独自に活性酸素を無害化しているわけではありません。お互いの不足部分を補いつつ、次の図のような順で活性酸素を変えていくのです。活性酸素から身を守るためには、体内で作られる酵素だけに頼るのではなく、スカベンジャーを含む食物をバランスよく摂る必要があります。
活性酸素から身を守るはたらきをするスカベンジャーを含んだ食品をご紹介します。 目次 何てったってビタミン 体内で作られる酵素のもとはたんぱく質 活性酸素にピリッと効くニューフェイス 何てったってビタミン ビタミンは、活性酸素を無害な物質に変えてしまうはたらきがあるものばかり。また、ビタミン群やミネラル分であるセレンは、スカベンジャーのはたらきを支援するものが多いといわれています。ただ、体内に充満している活性酸素をすべて無害にするためには、1日に野菜などを何キログラムもとらなくてはいけないのが現実です。 最近は、活性酸素を撃退するビタミンなど、スカベンジャーを多く含んだドリンクや栄養補助食品(サプリメント)も発売されています。バランスのよい食事に加えて補給してみてはいかがでしょうか。もちろん、これだけに頼って野菜などを食べないのはいけません。 活性酸素を撃退するビタミン類 ビタミン 多く含む食品 ビタミンA(カロテン) のり類、わかめ、しその葉、パセリ、にんじん、小松菜やほうれん草など青菜類、かぼちゃ ビタミンB2 うなぎ、レバー、のり類、そば、カシューナッツ、たらこ、すじこ、たまご、青菜類、納豆 ビタミンC えだまめ、さやえんどう、青菜類、ししとうがらし、カリフラワー、パセリ、キャベツ、トマト、にがうり、ピーマン、ブロッコリー、キーウイフルーツ、かんきつ類 ビタミンE 小麦胚芽、植物油(ひまわり油、サフラワー油、綿実油、やし油など)、種実類(アーモンドなど) 体内で作られる酵素のもとはたんぱく質 スカベンジャーとして体内で作られる酵素の原料はたんぱく質です。特に意識して摂取したいのが、良質なたんぱく質。たんぱく質は20種類のアミノ酸でできていますが、その中の8種類は体内で作ることができないため、食品から摂るしかありません。良質なたんぱく質とは、これら8種類のアミノ酸をバランスよく含んだたんぱく質のことです。 良質なたんぱく質の例 鶏卵、さんま、鶏レバー、牛乳、ロース(脂身は除く)、鶏胸肉、精白米、あじ、鮭、かつお、プロセスチーズ、木綿豆腐 たんぱく質の1日必要量の目安は、体重1kgあたり1g(例えば体重70kgの人なら70g)。多すぎてはもちろんよくありませんが、必要量はきちんと摂るようにしましょう。また、いくら卵が良質だからといって、1日にいくつも食べていると、今度はコレステロール過多になってしまいます。複数の食品から摂るように気を配るといいでしょう。 また、酵素の生成にはミネラルも重要です。銅、亜鉛、マンガンは、代表的なスカベンジャー酵素であるSODの成分です。 活性酸素にピリッと効くニューフェイス 活性酸素を撃退するスカベンジャーとして、注目されているのが次の食品です。嗜好飲料やスパイスに微量に含まれるだけと思いがちですが、大きな効果があることがわかってきました。食卓やリラックスタイムに、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。 スカベンジャー成分 特徴など 多く含む食品 アントシアニン類 いわゆる「赤ワインポリフェノール」と言われるものです。赤ワインの渋味成分にあたります。血液中の悪玉コレステロール(LDL)にくっついて、活性酸素によって極悪化(酸化)されるのを防ぎます。 赤ワイン、ココア カテキン類 緑茶に含まれるポリフェノールです。 緑茶 ロズマリン酸 ハーブに含まれるポリフェノールの代表的なものです。 ローズマリー ゴマリグナン類 LDLの酸化を防ぐほか、肝臓での活性酸素の発生をおさえるはたらきもあると言われています。セサミノールやセサミンなどが含まれます。 ごま、ごま油 アスタキサンチン 魚介類の赤い色素に含まれます。カロテンの仲間で、同じように強いスカベンジャー作用があることがわかってきました。ビタミンCを含む食品といっしょに食べるのがポイントです。 さけ、いくら、たい、すじこ リコペン 野菜類の赤い色素に含まれます。カロテンの仲間です。 トマト、スイカ
活性酸素の害から身を守る方法があります。ひかえたほうがいい食品や、たばこを吸わないなど、生活面での工夫をご紹介します。 目次 ひかえたほうがいい食品 活性酸素の発生をおさえる生活 ひかえたほうがいい食品 コンビニやスーパーの惣菜などは、食品添加物を含んでいるケースが多いようです。食品添加物は体内に入った異物とみなされて肝臓で解毒されますが、この過程で活性酸素が発生して肝臓を攻撃、肝機能障害などの原因になります。アルコールも同様です。 また、ポテトチップスやインスタントラーメンなど、油で揚げた加工食品は、封を開けたまま保存すると油分が酸化して、過酸化脂質という物質になります。これも肝臓で解毒されるため、活性酸素の発生源になります。また、解毒しきれなかった分が血液中に入り込み、細胞内のDNAを傷つけたりしてしまいます。サラダ油なども封を切ったら冷暗所に置き、空気と接触させないよう気をつけるようにしましょう。 活性酸素の発生をおさえる生活 ●たばこを吸わない 喫煙者の肺にタールが入ると、体内の免疫システムがはたらいて、活性酸素を吹きかけて攻撃しようとし、肺の組織をどんどん破壊してしまいます。 また、たばこを吸うと血管が収縮するため、動脈硬化を引き起こすきっかけにもなりかねません。血液中のコレステロール値や、血糖値の高い人は特に気をつけましょう。 ●スポーツは、無理せず気長に 激しいスポーツを行うと、呼吸量が増えて活性酸素が発生しやすいようです。ただし、ウォーキングなどの軽い運動を長時間行うなら大丈夫。活性酸素に負けない強い体を作るためにも、毎日継続して行いましょう。 ●男性も紫外線対策が必要 紫外線は体の表面を通り抜け、有害な活性酸素ヒドロキシラジカルを大量発生させてしまいます。この活性酸素はシワだけでなく、皮膚がんとの関係も指摘されています。外回りの営業やゴルフの際には紫外線対策をとるようにしましょう。 ●ストレスと上手く付き合う 強いストレスも活性酸素発生の原因になります。ストレスは、生活習慣病とも関係があると言われているので要注意です。リラックスする時間を作るなど、少しずつでもいいから、ストレス解消を心がけましょう。 ●空気のきれいなところに住む これから住み換えをするなら、空気のきれいなところがいいでしょう。大きな道路の側や、工場や産業廃棄物処理場の近くなどで、汚染された空気を常に吸っていると、喫煙と同様、活性酸素発生の原因となってしまいます。
私たちはなぜ、酸素がないと生きていけないのでしょうか?生命活動の源であるエネルギーを作るメカニズムの中で、酸素がどういったはたらきをしているのかまとめました。 目次 酸素がないと体内でエネルギーが作れない 酸素の特徴は「酸化力」 酸素がないと体内でエネルギーが作れない 人間を始めすべての生物は、体に取り入れた食べ物を熱(エネルギー)に変えるメカニズムを持っています。このメカニズムの中で重要なはたらきをするのが酸素です。 1日の食事で摂取するのは約2,000キロカロリーですが、これを体内でエネルギーに変えるため、500リットルもの酸素を消費しています。といっても、酸素自体が体内で燃えて、エネルギーを発生させているわけではありません。 体内に取り入れられた食べ物は消化吸収されて、血液によって体の隅々の細胞(全部で60兆個もある)に運ばれます。さらに細胞内のミトコンドリアで、ATP(アデノシン三リン酸)、ADP(アデノシン二リン酸)という熱エネルギーを蓄えた分子が作られます。酸素は、この過程で行われる化学反応を効率よく行うための助っ人なのです。 酸素の特徴は「酸化力」 酸素の特徴のひとつは、ほかの物質に結びついて「酸化」させやすいことです。例えば、空気中でものが燃えることは、その物質が酸素と結びついて炎を出しながら激しく「酸化」していることなのです。 鉄がさびたりするのも「酸化」です。「活性酸素」も酸素のこのような性質が大もとの原因となります。
老化の原因といわれる活性酸素とは?活性酸素の正体や影響、発生源を紹介します。 目次 活発にはたらくよい酸素のこと? 活性酸素は「体内公害」だ! 活性酸素の発生源はこんなにある! 体内には活性酸素を追い出す勇士もいるのだが… 活発にはたらくよい酸素のこと? 私たちは呼吸によって空気中から酸素を取り入れています。酸素は私たちが生きていくために欠かせない大切なものです。 ところがこの酸素、ちょっとしたキッカケで「活性酸素」というものに変身します。そして、この活性酸素こそが、さまざまな老化現象を起こす真犯人ではないかと考えられています。 「活性」という言葉の響きからは、何やら私たちの体のために活発にはたらいてくれる賢い酸素のようなイメージがあるかもしれませんが、その正体はとても攻撃的で毒性の強い曲者ですなのです。 ふつうの酸素と4つの活性酸素 酸素原子2コから成る。両側の不対電子同士がペアをつくって安定。 一番ポピュラーな活性酸素。片側だけが不対電子になり、不安定に。 紫外線によって皮下組織でよく発生するのがコレ。片側の電子がもう一方の軌道に入り、軌道が一つガラ空き状態に。非常に反応性に富む。 酸素原子2コと水素原子2コから成る。不対電子はないがとても不安定。殺菌剤の成分にも使われており、体に侵入した細菌も殺してくれる。 最も反応性に富んだ活性酸素。酸素原子1コと水素原子1コから成る。過酸化水素が金属イオンと反応した時などにできる。 活性酸素は「体内公害」だ! 原子核のまわりの電子が2個でペアになっているのが、いわゆる安定した状態です。そこで、不対電子をもった不安定な活性酸素は、何とかして自分は安定しようと悪さを考え、あたりかまわず近くの分子から電子を奪い取ってきてしまいます。これが「酸化させる」(サビさせる)ということです。 こんな具合に体内の細胞を酸化させ、細胞の正常なはたらきを失わせ、その結果、老化やいろいろな病気を引き起こします。シミやシワなどのほか、がん・動脈硬化・糖尿病・老人性認知症・白内障といった大変な病気の引き金にもなるといわれています。 活性酸素の発生源はこんなにある! 活性酸素は私たちの日常の生体活動の中で発生するほか、紫外線や大気汚染などさまざまな条件のもとでも発生します。活性酸素の発生源として考えられているものには例えば、紫外線、たばこ、激しいスポーツ、医薬品、ストレスなどがあります。 そのほか、排気ガス、加工食品、殺虫剤、レントゲンなども、活性酸素発生の原因になります。 体内には活性酸素を追い出すものもいるが… 身の回りにこんなに活性酸素の発生源があったのでは、まったく遠ざけろというほうが無理です。では、体の酸化はどうすることもできないのでしょうか? それが、人間の体というものは実によくできたもので、「酸化防止システム」もちゃんと備わっています。酵素、たんぱく質、ビタミンなどさまざまな「サビ止め」が待機していて、活性酸素が発生したらたちまちこれを消してしまうという仕組みです。 しかしこのありがたいシステムにも限界はあり、大量の活性酸素が発生した時はカバーしきれません。さらに40歳を過ぎるとシステムもだんだん老朽化し、活性酸素に抵抗できなくなってきます。 老化を防ぐためには、できるだけ活性酸素を発生させないような生活の工夫と、酸化防止システムの強化(サビ止め=抗酸化物質が体内でたくさんつくられるような食生活をする)ことが大切です。
遺伝情報は体の設計図 遺伝子は46本の染色体の中にすべて収められており、さまざまなたんぱく質を作って組織を再生したり、生命活動を支えます。ホルモンなどの情報伝達物質、酵素、抗体、その他細胞の活動を行うたんぱく物質は、すべて遺伝子によるものです。 親から子に伝えられた遺伝情報は、いわば体の設計図です。ところが、そこにエラーがあると病気を引き起こします。これが遺伝病です。 遺伝病は、メンデルの法則により出現する「メンデル式遺伝病」、複雑な遺伝をする「多因子性遺伝病」、染色体そのものの異常で現れる「染色体異常」に分類されます。 生活習慣病は、かかりやすい体質が遺伝する こうした遺伝病とは違って、ある特定の病気になりやすい体質が遺伝するケースがあります。例えば、生活習慣病です。 従来成人病と呼ばれ、食生活やライフスタイルが誘因になりますが、遺伝も関係しています。がん、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病、高血圧などは、病気そのものが遺伝するのではありません。病気になりやすい素地が遺伝することがあるわけです。 また、がんについては現在、20種類程度の「がん遺伝子」が存在することが明らかになっています。その遺伝子のタンパク質の配列ミスが、細胞をがん化させるとされています。
細胞が集まって組織に、組織が組み合わさって器官に 生命の基本的な単位は細胞です。同じはたらきをする細胞が集まって組織を構成します。そして、この組織が組み合わさって器官を形成するわけです。 組織は、上皮組織、支持組織(結合組織)、筋組織、神経組織の4種類に分けられます。 上皮組織は皮膚の表面や消化管の内壁を覆っていて、内部を保護したり物質交換の役割を果たしたりします。 支持組織はほかの組織や器官の間を埋めて、それらを保護するものです。脂肪や骨なども支持組織の一部です。 筋組織は伸縮性を持った唯一の組織で、細長い細胞の集まりです。 神経組織は体の各部に伸びていて、情報を脳に伝え、また脳からの指令を各部に連絡します。 人体の60%は体液 人体の化学成分比は、水分60%、たんぱく質18%、脂肪18%、鉱物質3.5%、炭水化物0.5%です。つまり水分が全体の60%を占め、組織はわずか40%にすぎません。 組織の成分比には個人差がありますが、平均的な成人男性の場合、筋40%、内臓と神経24%、骨18%、脂肪18%です。
フリーラジカルの害を防ぐビタミン、カロチン、カテキン たばこの吸い過ぎやお酒の飲み過ぎ、強いストレスを受けることにより、人間の体内には、活性酸素などの不安定で攻撃的なフリーラジカルが生成されます。また、排気ガスなどに含まれる環境汚染物質や日光の強い紫外線も、フリーラジカルの害を促進します。 このフリーラジカルが体内で適切に処理されないと、それが引き金となって、心筋梗塞や脳卒中、がんなどの生活習慣病を引き起こします。 フリーラジカルの害を防ぐには、抗酸化活性作用のあるビタミン類、なかでもビタミンAやビタミンC、それにビタミンEが有効であることが、すでに動物実験により明らかにされています。 また、これらのビタミンに加え、カロチンやカテキンという成分がフリーラジカルの害を防ぐ役割を担っていると考えられています。 緑茶に多く含まれているカロチン、カテキン 緑茶には、カロチンやカテキン、ビタミンが豊富に含まれているので、生活習慣病の予防に効果があると考えられています。例えば抹茶のカロチン含有量は、カロチンが多いといわれているニンジンやホウレン草などの緑黄色野菜の3、4倍もあります。 ただし、カロチンやカテキンはほとんどがお湯に溶け出ないので、お湯で溶出したものを飲んでも摂取できません。抹茶として、あるいは茶葉を食べることなどにより、はじめて摂取できるのです。
ストレスが生み出す攻撃的な活性酸素 たばこの吸い過ぎや酒の飲み過ぎ、強いストレスを受けると、人間の体内には不安定で攻撃的な活性酸素が生成されます。また、排気ガスなどに含まれる環境汚染物質や日光の強い紫外線も、活性酸素の生成を促進します。 この活性酸素が体内で適切に処理されないと、それが引き金となって、心筋梗塞や脳卒中、がんなどの生活習慣病、老化を引き起こす可能性があります。 活性酸素は生活習慣病や老化を促進する 活性酸素は、血管壁を傷つけて動脈硬化をもたらしたり、遺伝子を傷つけてがんを発生させたり、コラーゲンなどを変性させて老化を促進します。 活性酸素の害を防ぐには、抗酸化活性作用のあるビタミン類、なかでもビタミンAやビタミンC、それにビタミンEが有効であることが、既に動物実験により明らかになっています。 ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEはがんの予防に有効といえるでしょう。