フルーツといえば、ひと昔前はみかんやりんごだった。今では栽培技術の向上や輸入品目の増加により、いろんな種類にお目にかかれる。なかでも注目株はベリー類。宝石のような見た目と予想以上の健康効果に、多くの期待が寄せられている。今回は、なかでもクランベリーにスポットをあて、その実力を紹介する。 北米大陸の歴史とともに ところ変われば食べるフルーツも変わるもの。クランベリーは、ブルーベリー、コンコードグレープと並んで、北米原産「3大フルーツ」と呼ばれているという。私たち日本人にはピンと来ないが、海の向こうの大陸では、大昔から食されてきたフルーツだ。 しかもクランベリーは食べるだけでなく、ネイティブアメリカンが傷の治療薬として利用したり、船乗りが壊血病予防のためビタミンCの豊富なクランベリーを航海に持っていったというから、その実力のほどがわかる。見た目はまるで赤い宝石のよう。今日まで長く愛され続けてきたのもうなずける。 豆知識:クランベリーと呼ばれる理由 北米大陸の最初の入植者であったピューリタン(イギリス清教徒)たちは、その大地に春に咲く花が、鶴(crane)の頭とくちばしに似ていることから、“Cran-Berry”と名付けた。それが後世に伝わって“Cranberry”となり、今に至っている。 現代医学も注目!クランベリーの実力 古くから民間医療で使用されてきたクランベリーだが、現代医学の分野でもあらたな効果が発見されている。歯肉炎や心臓病などの予防効果について研究されているほか、尿路感染症の予防についてはある程度の結果が得られているという。 尿路感染症というと細菌が尿路に入って増えた状態のこと。そのひとつの膀胱炎というと知っている人も多いだろう。過去に行われたいくつかの臨床試験結果をみると、クランベリージュースを継続して飲むことで感染率が低下した、などのデータもある。これは、クランベリーに含まれるプロアントシアニジンという成分が尿路感染菌(大腸菌など)の付着を防いだり、キナ酸という成分が尿を酸性化させて菌の増殖を抑制するためと考えられている。 クランベリーはどうやって食べる? 日本では、クランベリーは「つるこけもも」という和名で呼ばれている。「心痛のなぐさめ」という花言葉も持っているようだ。しかし北米などに比べると、まだまだ私たちの生活には馴染みが薄い。アメリカの食卓をのぞいてみよう。 こんなにある!クランベリーの食べ方 ●生で 非常に酸味が強いため、一般的に生食には向かない。しかし産地では、収穫期の9月~12月の間、採れたての生の実を味わう。 ●ドライで レーズンと同じように、干して砂糖を加えたもの。サラダやデザートに添えて、真っ赤な彩りを楽しむ。 ●ソースで 生のクランベリーに水と砂糖を加えてつくる、甘くてほろ苦いソース。七面鳥にかけるのが、アメリカの伝統的な組み合わせだ。 ●冷凍して クランベリーをスライスして冷凍させたものが市販されている。マフィンやケーキに入れて焼き、カットした断面にのぞく赤い色が食欲をそそる。 そのほか、ジュース、クランベリー酒など、いろんな形に加工して使用されている。 日本ではクランベリーそのものを食べるというより、その健康効果が注目されてサプリメントとして輸入されるケースが多いようだ。アメリカほどポピュラーなフルーツとはいえないものの、その見た目、風味、バラエティに富んだ使い方、そしてすぐれた健康効果と、ブレークする日もそう遠くはないだろう。 公開日:2007年2月13日
気温が30度を越す暑い季節。いつもにまして欲しくなるのが水分たっぷりの果物類だが、なかでもおすすめは夏が旬のパイナップル。パイナップルの健康効果を紹介する。 目次 今がおいしいパイナップル! パイナップルの選び方 パイナップルで夏バテ予防! パイナップル料理を食べよう! 今がおいしいパイナップル! 気温が連日30度を超す猛暑の季節。この時期、いつにもまして欲しくなるのが水分たっぷりの果物類だが、なかでもおすすめはパイナップル! 日本にはフィリピン産のものが多く輸入されているが、最近では、手でちぎって芯の部分まで食べられる台湾産のスナックパインという品種も出回っている。また、日本で唯一栽培している沖縄から生で露地モノが出るのは7~9月。フレッシュジュースやパフェ、アイスやケーキ、ドライフルーツ、酢豚など、食べ方はさまざまで缶詰など加工品で見かけることも多いが、この季節にはぜひ、丸ごと買って生で食べて欲しい。なぜなら、生のパイナップルは健康にもよいからだ。 パイナップルの選び方 ●選ぶなら新鮮なものを。 ●表面の溝が深く、緑色が濃く残っているものが新しく、全体に赤みがあるツヤのよいものがおすすめ。葉の部分が枯れているようなものは避けよう。 ●できるだけ大きめのサイズで、持ってみたときにずっしりと重みがあり、下のほうが膨らんだ人間でいえば安産型を選ぼう。 ●日持ちはあまりしないので、カットしたら数日くらいで食べきろう! パイナップルで夏バテ予防! プロメリンの消化作用 未熟なパイナップルを食べると、舌がピリピリすることがある。これは、プロメリンというたんぱく質分解酵素がたくさん含まれているせい。これは、熟すにつれてなくなり、加熱すると効力を失う。よく、ゼラチンなどの箱に「生のパイナップルは使えません」といった説明書きを見かけるが、これは、プロメリンがゼラチンのたんぱく質を分解し固まらないようにするからなのだ。 夏に生のパイナップルをおすすめする最大の理由が、プロメリンのたんぱく質を分解する性質にある。酢豚に入っているパイナップルを思い出してほしい。プロメリンはたんぱく質を分解するため、パイナップルを使うと、肉を柔らかく味をまろやかにし、消化を助けるのだ。そのため、食欲を失いがちな夏こそ出番!熱帯地方でも、食後にパイナップルを食べるとよいと言い習わされているそうだ。ただし、プロメリンのたんぱく質分解作用は60度以上の熱を加えると効力を失う。料理に使うことで消化への作用を期待するなら、料理の最後に入れるなどの工夫が必要。 消化という面で言えば、パイナップルは食物繊維も豊富なので、便秘予防にもなりそう。 食欲増進にクエン酸・リンゴ酸 クエン酸やリンゴ酸も豊富に含まれている。レモンや梅干の酸味の元として知られるクエン酸は、疲労回復によく、エネルギー代謝を活発にする。リンゴ酸はクエン酸より甘みが強く、クエン酸を助けて新陳代謝を活発にする。 また、リンゴ酸は熱に強いので、パイナップルに加熱調理をすると、甘みが増す。料理にパイナップルやパイナップル果汁を用いると、味に深みを増し、食欲を増進させるので、夏バテ気味で、食欲がないときにおすすめだ。 夏に不可欠な栄養素がたっぷり そのほか、パイナップルには、日焼け予防に役立つビタミンCや、疲労回復に役立つビタミンB1など、夏の健康を守るうえで必要不可欠なさまざまな栄養素が含まれている。 パイナップル料理を食べよう! パイナップルを使った料理で一番馴染み深いのはなんといっても酢豚だろうが、ほかにもカレーやチャーハン、サラダなどに使うこともできる。東南アジアでは料理に使うことも多い。パイナップルの甘酸っぱさが、暑さにやられがちなこの時期の食欲を刺激してくれるのだ。 ●酢豚(中華料理) 豚肉やたまねぎ、ピーマンも一緒に摂れるので、栄養のバランスもよい。 ●パイナップルチャーハン(タイ、ベトナム料理) チャーハンに、パイナップルを刻んで加えたもの。ナムプラーなどを使えばより本格的な味に。 ●ピニア・コラーダ(ハワイのカクテル) パイナップルジュースにココナッツミルクなどを加えたもの。ピニア・コラーダとはスペイン語で「パイナップル畑」の意味。 公開日:2005年8月22日
果物のなかでも値段が安く人気者のバナナ。8月7日はバナナの日。この機会に、そんなバナナの意外と知られていない健康効果を見直してみよう。 目次 栄養満点のバナナ! 健康効果1:バナナは優秀なエネルギー源! 健康効果2:バナナは夏バテ対策の強い味方! 健康効果3:バナナは優れた整腸作用で注目度上昇中! 健康効果4:バナナは免疫力を高める! 健康効果5:バナナは精神安定・ストレス対策にも 栄養満点のバナナ! 果物の中でも値段が安く人気者のバナナ。しかし、昭和の初め頃まではおみやげ品として、あるいは病気のときにしか口にできない高級品だった。現代では、スポーツ選手のスタミナ源や、災害時の非常食など、いろいろな場面で利用されているが、それはバナナの高い栄養価が認められているからでもある。8月7日はバナナの日。この機会に、そんなバナナの意外と知られていない健康効果を見直してみよう。 バナナには、ほかの果物と同じく、いやそれ以上にビタミン・ミネラルが豊富といえば驚く人もいるだろう。あの白っぽい果肉と酸味のない味からは想像ができないかもしれないが、ビタミンCもちゃんと含まれているのだ。 栄養成分比較(100g当たり) バナナ みかん りんご いちご カリウム360mg150mg110mg170mg カルシウム6mg21mg3mg17mg マグネシウム32mg11mg3mg13mg ビタミンB10.05mg0.10mg0.02mg0.03mg ビタミンB20.04mg0.03mg0.01mg0.02mg ナイアシン0.7mg0.3mg0.1mg0.4mg ビタミンB60.38mg0.06mg0.03mg0.04mg ビタミンC16mg32mg4mg62mg 葉酸26μg22μg5μg90μg 出典:五訂食品成分表 健康効果1:バナナは優秀なエネルギー源! カロリーが低い割には腹持ちがよいのもバナナの魅力。バナナには、すぐに吸収されてエネルギーに変わるブドウ糖のほか、果糖、ショ糖、でんぷんなど、吸収される速度が異なるさまざまな糖類が含まれるので、エネルギーが長く持続するのだ。スポーツ選手がスタミナ源としてバナナを食べるのも納得。手間がかからないので、忙しい朝にもおすすめ。 また、栄養満点というイメージから、バナナはカロリーが高いと思われがち。しかし、バナナ1個(100g)のカロリーは86kcal。板チョコ1枚(70g)390 kcalの約5分の1、ご飯1杯(150g)252kcalの約3分の1しかない。食物繊維も豊富なので、ダイエット中でもおすすめの食品だ。 健康効果2:バナナは夏バテ対策の強い味方! 夏は汗をよくかき、カリウムが不足しやすい季節。カリウムが不足すると、内臓機能が低下し、食欲不振、だるさ、疲労などを招いてしまう。 バナナは果物の中でも、塩分を排出し血流をよくするカリウムや神経の興奮を鎮めるマグネシウムなどが特に多い。糖類や脂質の代謝を助けるナイアシン、ビタミンB群も豊富なため、夏バテ対策にもぴったりなのだ。 健康効果3:バナナは優れた整腸作用で注目度上昇中! 近頃、バナナの健康効果として注目を浴びているのが、バナナに豊富な糖質の一種であるオリゴ糖だ。大腸まで吸収されずに達したオリゴ糖は、善玉菌の栄養となる。善玉菌の割合が増えると、腸内環境が整えられるので、便秘や下痢の解消に役立つのだ。 おなかの調子をより効果的に整えたいなら、あまり熟していないバナナを選ぼう。ヨーグルトやハチミツと組み合わせる、あるいは加熱して食べるとよい。 健康効果4:バナナは免疫力を高める! バナナの健康効果としてもうひとつ注目されているのが、免疫力アップ作用だ。 帝京大学薬学部薬学博士、山崎正俊教授の研究によると、バナナがTNF(腫瘍壊死因子)という物質を増やすことがわかった。TNFとは、免疫細胞の一種マクロファージが分泌する物質で、これが活性化すると免疫力を高めると考えられている。それだけでなく、がんの治療にも使われている免疫増強剤(OK432)より、その効果が高いという結果を得たそう。 また、そのほかの実験では、熟して黒い斑点(シュガースポット)が増えたバナナのほうが、黄色いきれいなバナナの約8倍も免疫効果が高いとの結果を得たり、がんを移植したマウス20匹を育てたところ、普通の餌を与えた10匹は全部死亡したのに対し、バナナジュースを注射した10匹のうち3匹は完治、死亡した7匹もえさだけのマウスより平均9.1日長生きしたとのこと。 また、金沢大学大学院の大久保一良客員教授らの研究によると、バナナは身近にある食品の中でも抗酸化力が高いそう。特に、筋の部分が抗酸化力が高いのだとか。 健康効果5:バナナは精神安定・ストレス対策にも カリウム、マグネシウム、ポリフェノールが豊富なバナナは、ストレス対策にもぴったり。そのほか、果物には珍しく、精神を安定させ、睡眠効果のあるセロトニンの材料となるトリプトファンが豊富に含まれている。セロトニンは不足すると鬱病の原因となることでも知られている神経伝達物質だ。寝苦しい日が多い夏は特に睡眠不足になりがち。ストレスがたまってイライラしたり落ち込んだりしやすい、こんな季節にこそバナナなのだ。 公開日:2005年8月1日
日本人に身近な果物、みかん。ビタミンCが豊富なだけでなく、ほかのかんきつ類にはない成分βクリプトキサンチンが含まれています。その健康効果をご紹介します。 目次 日本人が食べる冬の定番果物「みかん」 生活習慣病予防の強い味方!?βクリプトキサンチン みかんで予防効果が期待される病気はさまざま 日本人が食べる冬の定番果物「みかん」 「コタツでみかん」は、冬の団らん風景の定番です。果汁が多く種がない、手で簡単に皮をむける温州みかんは、一人当たりの果物消費量でもかつて日本一となりました。高度経済成長の後を追うように、昭和40年代に消費量が急速に伸び、昭和50年の3,587トンでピークをむかえ、消費量は年々減少しましたが、それでも日本人が大好きな冬の定番果物です。 そもそも温州みかんは、遣唐使が持ち帰った原種が約500年前に突然変異を起こして生まれたといわれています。明治時代のはじめに栽培が急速に広まり、身近な果物となりました。温州の名前は、みかんの産地で有名な中国の温州府から取られたものですが、実は温州はもちろん、中国や東南アジアにも同じ品種はありません。欧米には輸出されて出回るなど、温州みかんは、日本を代表する果物といえるでしょう。 かんきつ類は、免疫力を強くしたりストレスを和らげるビタミンCが豊富に含まれることで知られています。健康面で見ると、温州みかんには、ほかのかんきつ類にはない成分が含まれているのです。そのひとつが、風邪予防によいシネフィリンという成分です。そして、最近医師の間でも注目されている成分がβクリプトキサンチンです。 ポンカン、クネンボ(九年母)、甘夏、ハッサク、グレープフルーツ、ネーブルオレンジ・バレンシアオレンジ、イヨカン、ユズ、スダチ、カボス、シークァーサー、レモン、ライム など 生活習慣病予防の強い味方!?βクリプトキサンチン βクリプトキサンチンは、みかんの黄色成分であるカロテノイド。カロテノイドとは、動植物に含まれる赤~黄色の天然色素の総称で、抗酸化力が強く美容やがん予防に効果的な成分として知られています。身近なところでは、にんじんに多いβカロテンやトマトに多いリコピンなどと同じ仲間です。 独立行政法人 農業技術研究機構の果樹研究所カンキツ研究部が行った試験管内実験や、動物実験による研究の結果、βクリプトキサンチンは、βカロテンに比べてはるかに強い発がん抑制効果があることがわかりました。 もうひとつ、βクリプトキサンチンが威力を発揮しそうな病気が、骨粗しょう症です。ネズミを使った実験では、骨量が増えたとの報告もあり、骨形成を促す成分としては、これまで最も多いとされてきたビタミンK2よりはるかに強力です。 βクリプトキサンチンの特徴は、1日でその作用が消えるほかの食品成分と異なり、2ヵ月以上も影響が続くことにあります。冬場に食べたみかんのβクリプトキサンチンが、春も体を守ってくれるというわけです。日本人、とくにみかん好きの人は、欧米人と比べて血液中のβクリプトキサンチン濃度が高いとも言われています。 みかんで予防効果が期待される病気はさまざま 果樹研究所ではまた、静岡県のみかん産地の消費者6,045人にアンケート調査を実施し、みかん摂取量と生活習慣病の相関関係を疫学調査しています。その結果、みかんを多く食べる人ほど高血圧や糖尿病、心臓病、痛風になりにくいことがわかりました。どの病気についても罹病率が低かったグループは、1日4個以上のみかんを食べていました。 みかんに含まれる主な栄養素と期待できる健康効果 【風邪予防】ビタミンA・C、シネフィリン、ヘスペリジン 【整腸作用】ペクチン、セルロース 【美肌作用】ビタミンC、クエン酸、ペクチン 【脳卒中予防】ヘスペリジン 【高血圧予防】カリウム とはいえ、いくら体によいからといって、食べ過ぎるのは考えものです。摂り過ぎれば肌が黄色味を帯びてくる「柑皮症」になることもあります。これはみかんに含まれるβカロテンが肌を黄色く着色するためで、とくに害はありませんが、ほかにも糖分の摂り過ぎなどになることがあります。くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう。 みかんの皮を干したものは、陳皮と呼ばれる漢方薬です。七味唐辛子などにも入っています。お風呂に入れると、体を温め、肌をすべすべにしてくれます。作り方は簡単で、みかんの皮3~5個分を天日に干してよく乾かし、刻んで袋に入れたものを浴槽に入れてお湯を沸かしましょう。
沖縄ブームの最近、シークァーサーの加工品を見かける機会が多くなってきた。このシークァーサー、美容や生活習慣病予防など、健康効果が医学的に認められ、熱い視線を浴びているのである。 目次 シークァーサーってどんな食べ物? がん、糖尿病予防はもちろん美容対策にも シークァーサーの上手な利用法 シークァーサーってどんな食べ物? シークァーサーは、沖縄では庭木として植えられるなど、昔から親しまれてきた柑橘類。酸味が強く小さいシークァーサーは、レモンやすだち・かぼすなどのように、ジュースにする、刺身や焼き魚にかけるなどの利用が多い。沖縄で育った人は、まだすっぱいものをみかんのように食べた運動会を懐かしく思い出す人も多いという。 沖縄ブームの最近は、他の地域でも、居酒屋のチューハイメニューや、ペットボトル入りのジュースをスーパーで売っていたりと、シークァーサーの加工品を見かける機会も多くなってきた。というのも、このシークァーサー、美容や生活習慣病予防など、健康効果が医学的に認められ、熱い視線を浴びているのである。 シークァーサー ●産地…原産地は東南アジアといわれ、現在は南は台湾から北は奄美大島までで自生または栽培している。 ●収穫時期…9月~1月。9~10月ごろは、「青切りシークァーサー」といわれる、緑色の果皮のものが出回り、秋が深まるにつれ黄色に熟していく。味も最初は酸味が強いが、熟すにつれ甘みが増す。色味としては温州みかんに近い。大きさは直径で4cm前後と、スダチよりひと回り小さい。 ●入手方法…生のシークァーサーは、沖縄県以外では物産店で販売。ネット通販しているところもあり。 がん、糖尿病予防はもちろん美容対策にも シークァーサーは、ビタミンCやビタミンB1、カロテン、カルシウムなど、美容や健康によい栄養素が豊富に含まれている。しかし、健康効果で注目すべきは、他の果物と比べて含有量が突出している、柑橘系果物に特有のフラボノイド、ノビレチンである。 農業技術研究機構、果樹研究所が2000年3月に発表した調査によると、シークァーサーには、血糖値や血圧の上昇を抑える効果が期待できるということがわかった。また、がんの発症・転移に関わる酵素の合成を抑制したり、老化に関わる酵素の合成を抑制するなど、年齢が上がるにつれ気になるさまざまな病気予防にも、その効果が期待できることも明らかになった。そして、その注目すべき健康効果は、ノビレチンなど柑橘類特有のフラボノイドであるポリメトキシフラボノイドが突出して多いことによるのだ。 ●ノビレチンが効果を発揮することが期待される病気・症状 がん、関節リュウマチ、骨粗しょう症、変形性関節症、動脈瘤、糖尿病、高血圧、紅斑・サンバーン シークァーサーの上手な利用法 さまざまな病気予防、健康効果が認められるシークァーサー。でも、なじみのない果物だけに食べ方がわからないという人もいるだろう。最後に利用法を紹介しておこう。基本的には、レモンやすだちと同じようなもの、と考えればよい。料理や飲み物に酸味をプラスするという使い方が多いが、レモンのような鋭い酸っぱさではない。 手っ取り早いのは、5~10倍に薄めてジュースにしたり、泡盛、焼酎で割って飲む方法。紅茶に搾って入れると少し変わったレモンティーのような味になる。料理に使う場合は、刺身、焼き魚、冷奴などにかけて使うのがおすすめ。また、ドレッシングに混ぜるのもおいしい。しょうゆに数滴搾ると、塩辛さを中和する作用があるため、ポン酢のように使うのもよし、鍋物、炒め物、焼肉など料理のジャンルは和・洋・中問わずなんでもいける。 沖縄は、日本や中国、アメリカの文化から影響されたチャンプルー文化で知られるが、その懐の深さは、沖縄特有の果物、シークァーサーにも現れているのかもしれない。 取材協力・資料提供:(株)沖縄物産企業連合 公開日:2004年9月21日
クリスマスを演出するお菓子に欠かせないレーズンは、さまざまな栄養成分を含み、健康を保つうえで重要なはたらきをする。流通や冷蔵技術が発達していなかった時代、長く寒い冬を過ごすヨーロッパの人々の貴重な栄養源だった。 目次 名作「クリスマス・キャロル」に登場 昔の人の知恵が詰まったドライフルーツ入りクリスマス菓子 ミネラル・食物繊維がたっぷり 生活習慣病予防にもレーズン! 名作「クリスマス・キャロル」に登場 ヨーロッパの人たちにとって、昔からの風習の上に成り立つクリスマスは、日本人にとってのお正月のようなもの。国や地域によって祝い方もさまざま。 例えばイギリスなら、人々が真っ先に思い浮かべるご馳走は、恐らくクリスマス・プディングと七面鳥だろう。これは、19世紀にディケンズが書いた名作「クリスマス・キャロル」によって、当時すたれかけていた風習が復活したものだとか。それほど、「クリスマス・キャロル」では、クリスマス・プディングや七面鳥が生き生きと描かれているのだ。 なかでも、クリスマス・プディングの登場シーンはまさにその極み。主人公の金持ちでケチなスクルージが、クリスマスの幽霊と共に見る部下の家のクリスマスディナー、そのハイライトとして現われるのが湯気に包まれたクリスマス・プディングである。しっかりと中身が詰まったプディングを、貧しい一家は幸せそうに大満足で平らげるのだ。 昔の人の知恵が詰まったドライフルーツ入りクリスマス菓子 イギリスの人たちが楽しみにしているクリスマス・プディングは、レーズンなどドライフルーツとナッツなどがいっぱい詰まったクリスマス菓子。特徴的なのはケンネ脂という牛の脂肪を使うこと。材料を合わせたタネを1ヵ月間風通しのよい日陰に吊るしておき、クリスマスに蒸し茹でにするというなかなか手の込んだ料理。 イギリスのクリスマス菓子で私たち日本人に馴染みが深いのが、ドライフルーツがたっぷり入ったフルーツケーキだろう。ケーキ屋でもよく見るだろうし、お菓子の作り方を書いた本を見れば載っているので、作った経験のある人もいるのではないだろうか。 イギリスに限らず、ヨーロッパのクリスマス菓子には、ドライフルーツがたっぷり使われていることが多い。それは、新鮮な果物や野菜が手に入りにくいこと、また厳しい気候が続く冬の間、保存食であるドライフルーツが貴重な栄養源だったからだ。 ミネラル・食物繊維がたっぷり ドライフルーツの栄養価はどのぐらいあるのだろうか。今回は、私たちが最も親しんでいるレーズンでみていこう。 レーズンの糖分は、砂糖より吸収されやすく効率のよいエネルギー源である果糖・ブドウ糖である。アメリカでは、マラソンなどスポーツの栄養補給源としても活躍している。また、天日干しをしたレーズンは、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などミネラルがあり、生のぶどうの5倍から20倍も含んでいる。食物繊維も豊富だ。しかも、脂質は低く、コレステロールはゼロ。まさに天然のサプリメントというわけだ。 レーズンの栄養成分(可食部100g当たり) レーズンぶどう(生) エネルギー(kcal)30159 脂質(g)0.20.1 カリウム(mg)740130 カルシウム(mg)656 マグネシウム(mg)316 リン(mg)9015 鉄分(mg)2.30.1 食物繊維(g)4.10.5 出典:五訂食品成分表 生活習慣病予防にもレーズン! 最近は、レーズンに含まれるさまざまな成分の作用が、生活習慣病のリスクを低減することが分かり、注目を集めている。皮ごと食べるレーズンには、ワインで有名になった抗酸化作用のあるポリフェノール化合物の1種、エピカテキンも含まれている。清涼飲料や菓子の酸味料としても使用される酒石酸は、途中で吸収されずに結腸まで達し、腸内を健康な弱酸性状態にすると考えられている。食物繊維との相乗作用で、がんなど生活習慣病を予防するうえでも理想的だとも言われている。 さまざまな栄養成分を含み、健康を保つうえで重要なはたらきをするレーズン。流通や冷蔵技術が発達していなかった時代、長く寒い冬を過ごすヨーロッパの人々の貴重な栄養源であったのもうなずける。大切な保存食品をたっぷり使ったクリスマスのお菓子はちょっと大げさかもしれないが、生きる喜びを大切な人たちと分かち合う存在でもあったのだろう。 さあ、クリスマスには、そんな歴史に思いを馳せながら、栄養が詰まったレーズン入りお菓子を食べてみてはいかが? 参考文献:「クリスマスのお菓子」今田美奈子著 金の星社 「クリスマス・キャロル」ディケンズ作 脇明子訳 岩波少年文庫 カルフォルニア・レーズン協会資料 公開日:2003年12月8日
すだち&かぼすのさわやかな香りには、精神を安定させたり、食欲不振を解消したりという健康効果がある。そのほか、風味・香りを最大限に生かす食べ方、選び方、保存法もご紹介。 目次 香りにだって効用あり! 風味・香りを最大限に生かす食べ方 すだち、かぼすの選び方と保存方法 香りにだって効用あり! すだちやかぼすの魅力はあのすっぱさだけではない。独特の優雅な香りにもある。 すだちの香りはゆずに似ていて、匂いを嗅ぐと不安やイライラが解消される効果がある。これは、ほかの香酸柑橘類には含まれない成分(2種類のフラポン)が含まれているからだ。また、食欲増進にも貢献している。かぼすもすだちと同様にゆずに似た香りがあり、精神を安定させたり、食欲不振を解消するはたらきがあるという。 いずれも、その香りを生かしてアロマテラピーに利用されるほど。すっぱさだけでなく、独特の香りも楽しもう! 風味・香りを最大限に生かす食べ方 すだちやかぼすは生で食べるよりはその風味や香りを楽しむ食べ方のほうが主流だ。とくに、日本料理には欠かせない。 さらに、すだちやかぼすの果汁や果皮を上手に利用すれば、塩分を減らしてもおいしく食べることができるため、健康にも一役買っている。 ここでは、すだちやかぼすの利用の仕方を紹介しよう。 ■焼き魚に 焼きたての魚にぎゅっと搾れば、味も引き締まってさらに料理を引き立てる名脇役に変身。とくに、秋のサンマにすだちは欠かせない。しょう油や塩のかわりにすれば塩分を抑えられる。 ■アルコールに 酢にはアルコールの吸収速度を緩和させる効果があるとも言われるため、お酒を飲む前に酢を飲んでおくと酒酔いを遅らせることができるそう。レモンやライムと同様に、お酒に搾って飲んでみては?ちなみに、かぼすの産地・大分では焼酎に搾って飲むとか。 ■飲み物として すだちやかぼすの果汁には、コレステロールを低下させる効果があるとも言われている。ぎゅっと搾ったすだちやかぼすの果汁を希釈しそのままジュースとして飲む。これこそ、直接すだちやかぼすの効果を得られる方法だ。希釈の程度は好みもあるが、10倍程度が目安。 ■マツタケ料理に 庶民にはなかなか手の出ない高級食材ではあるが、マツタケ料理には必ず登場すると言ってもいいほど。土瓶蒸しにすだちを搾れば、なんとも食欲をそそられる香りが漂う。旬のマツタケは、食物繊維が豊富で低カロリーなので、すだちやかぼすと併せて食べてみては? また、高級食材といえば、ふぐ料理にかぼすの組み合わせもはずせない。 すだち、かぼすの選び方と保存方法 ■選び方 緑色が濃く、表面がつやつやとしていて光沢があり、張りがあるもの。さらに、重みを感じるものがよい。 ■保存方法 数個の場合はポリ袋に入れて空気を抜き、冷蔵庫に入れて保存しよう。もし、たくさんある場合には、搾って少しずつ小分けし冷凍保存してもよい。 公開日:2003年9月16日
秋が旬のすだち&かぼすだが、その香りや酸味には優れた健康効果がある。そのすっぱさに秘められたクエン酸サイクル、ビタミンCの健康効果についてご紹介。 目次 すだちやかぼすってどんなもの? すだちやかぼすの旬は秋 あの「すっぱさ」の効用は? ビタミンCが豊富! すだちやかぼすってどんなもの? すだちやかぼすは、柑橘類の一種でゆず類に属している。ゆずといえば、香りが高いことで有名だが、すだちやかぼすもゆず同様に生で食べるよりは、香りや酸味を利用するほうが多い。ちなみに、ゆず類は酢みかん、香酸柑橘とも言われている。 すだち ゆずの親戚ともいわれ、丸い形をしており、25~50g程度の小ぶりのもの。ちょうどゴルフボールくらいのものだ。一般的に出まわっているものは緑色の未熟果のもの(成熟すれば果皮はオレンジ色になる)。すだちは、ゆず類の中ではゆずに次いで寒さに強い柑橘類だ。 実にはさわやかな香りやほどよい酸味があるため、果汁がよく利用されるが、果皮も香りがいいため、すりおろして使われる。 かぼす すだちと色、形は似ているが、大きさはすだちより一回り大きく、100~120g程度ある。江戸時代に中国より渡来した柑橘類で、当時は風邪薬や皮膚の薬として使われていた。また、皮を刻んで蚊やブヨをいぶすために使われていたことから、「蚊いぶし→カブシ→カボス」と言われるようになったと伝えられている。 すだちと同様に香りが高く豊かな風味があり、まろやかな酸味があることから、さまざまな料理を引き立てている。 すだちやかぼすの旬は秋 すだちは8~9月ごろに緑果が出まわりはじめ、10月ごろが出荷のピークとなる。徳島県の特産的作物であり、全国シェアは約98%。 一方、かぼすは8~10月ごろが旬で緑果が出荷される。11月ごろになると成熟して黄色に色づいてくる。全国生産量の約98%を占めるのは大分県。 どちらも秋が旬のもの。これからの時期、おいしいものを口にすることができるのだ。 あの「すっぱさ」の効用は? すだちもかぼすも「香酸柑橘」と呼ばれているが、香酸柑橘とは普通のみかんより酸味が強く香りの高い柑橘類のこと。その酸味には、健康効果が隠れている。 すっぱさの正体は「クエン酸」。クエン酸とは、人が食事から摂った糖質が分解されてエネルギーに変換される過程(クエン酸サイクル)で欠かせないもの。もし、クエン酸が体内に不足していると、糖質がエネルギーに変換されなくなって体内に蓄積されてしまう。その結果、体脂肪を増やしてしまったり、乳酸に変化させて疲労感を感じさせてしまうのだ。 かぼすやすだちに含まれるクエン酸は、柑橘類の中でも多い方で、100g中にレモンは3g、みかんは1gなのに対し、かぼすは6g、すだちは4.5gのクエン酸が含まれると言う。 また、クエン酸には血液をサラサラにする効果もあり、体内の代謝を活性させるはたらきもある。さらに、胃腸が弱い人や食欲不振の人も、すっぱさ効果の恩恵を受けることができるのだ。まさに、「クエン酸」さまさま! クエン酸サイクルについて:酸味の正体は「クエン酸」 ビタミンCが豊富! 柑橘類といえばビタミンCが豊富。すだちやかぼすも例外なく、ビタミンCが豊富である。しかし、ビタミンCは熱や水に弱いため、生で食べるのがいちばん効率よく摂取できるという特徴がある。 その点、柑橘類は生で食べるものが多く、ビタミンCを直接摂取することができる。ビタミンCの1日の必要所要量は、100mg(厚生労働省「第6次改訂日本人の栄養所要量について」より)。とはいえ、かぼすやすだちはそのまま生で食べることがあまりないため、これだけで1日の所要量をまかなうことはできないが、搾り汁や皮をすりおろして利用すれば、ビタミンCを摂取することができるのだ。 柑橘類に含まれるビタミンC(可食部100g当たり) かぼす(果汁)…… 42mg すだち(果皮)……110mg すだち(果汁)…… 40mg ゆず(果皮)………150mg ゆず(果汁)……… 40mg うんしゅうみかん… 32mg いよかん…………… 35mg バレンシアオレンジ…40mg 出典:五訂 日本食品成分表 公開日:2003年9月16日
桃の原産国は中国。シルクロードを通じ、17世紀にはアメリカに伝わった。桃の歴史と、桃にまつわる中国の話、また食べごろや食べ方のコツなどを紹介する。 目次 桃のルーツをたどる 孫悟空も思わずつまみ食い!? 桃太郎の「鬼」退治は、「厄」退治? 桃の選び方&食べるコツ 桃のルーツをたどる 中国で産まれた桃は「毛毛(もも)」といわれ、毛がいっぱい生えた硬い果肉で、形は先がとがったものだった。それが、中国からシルクロードで西域へ、そしてペルシャへ。さらに、古代オリエント一帯、ギリシャ、ローマにも伝わり、17世紀にはアメリカ大陸にまで伝わったとか。 中国から西へ行った桃は果肉が黄色くなり、現在、アメリカ・カリフォルニア州などで黄桃缶詰が生産され、世界中に輸出されている。 日本で現在のような桃がつくられるようになったのは明治時代。中国から伝わった品種から自然交雑し、明治32年に大久保重五郎が上海水蜜桃の系統の「白桃」を発見し、その後優良品種が相次ぎ産まれた。 白桃は日本独特の桃なのだ。 孫悟空も思わずつまみ食い!? 古くから中国では桃は単なる果物ではなく、桃源郷の不老不死の「仙果」として考えられていた。 『西遊記』の中で、仕事もなくぶらぶらしていた孫悟空は天界の桃園・蟠桃園の管理をまかされた。その桃園には、3,600本の桃の木があり、手前の1,200本は3000年に一度実をつけ、それを食べると仙人になれ、真ん中の1,200本は6000年に一度実をつけ、それを食べると不老不死になり、一番奥の1,200本は9000年に一度実をつけ、それを食べると天地があらんかぎり生き長らえる、とされていた。 この桃を、西王母(中国で古くから信仰されている仙女)の誕生日を祝う会・蟠桃会で食べる慣わしとなっていたが、孫悟空が盗み食いをしてしまい、蟠桃会をめちゃくちゃにしてしまった。また、この西王母の誕生日は3月3日。日本では、桃の節句である。 桃太郎の「鬼」退治は、「厄」退治? 桃にまつわるこぼれ話をもうひとつ。 日本に伝わる「桃太郎」の話は鬼退治として有名だが、この鬼とは「厄」のことである、という説がある。中国では、古来桃には霊的な力があると考えられており、そこから邪気を払うために「桃」を使った話が生まれたようだ。 また、方位や時間を表す暦法に十二支というものがあるが、不吉なものは鬼門と呼ばれる方角(北東)からやってくるといわれている。この鬼門とは、ちょうど十二支の牛・寅の方角であり、桃太郎に登場する鬼は牛のような角をもち、寅のパンツをはいているのだとか。 桃は日本の昔話でも大活躍である。 桃の選び方&食べるコツ さて、そろそろ桃が食べたくなった方へ。桃の選び方と食べるコツを知っていると、さらにおいしく桃が食べられる! 桃の旬は夏!選ぶなら、傷のないものを これほどスーパーで季節に関係なく、どんな野菜や果物でも手に入るようになったとは言っても、桃を夏以外の季節に見かけることは少ない。やはり、旬の時期に旬のものを食べるのが一番みずみずしくておいしいのだ! 桃は6月~9月初旬ごろに出回るが、本当においしい桃が出るのは、梅雨が明ける7月中旬ごろから。 形は左右対称で押し傷のない、成熟したものを選ぼう。食べごろかどうかの見分けは、ひっくり返して枝のついていた所まで色が回っていればOK。また、完熟すると匂いも強くなる。 食べ方のコツ 皮をむいたらレモン汁をかけ変色を防ぐ 桃は生で食べることが多いが、夏に食べるからと言って冷蔵庫で冷やし過ぎると甘味が落ちてしまう。食べる2~3時間前に冷やす程度がよい。普段は常温において、完熟したものから順に食べていこう。 また、桃は皮をむいたりジュースにしておいておくと色が変わりやすい。これは桃に含まれるポリフェノールを酸化させる酵素があるためで、レモン汁をかけると変色が防げる。 ただし、桃は食べ過ぎるとお腹がはったり下痢をするので、要注意。 桃をおいしく食べよう ●旬の6月~9月初旬ごろのものを ●特に梅雨明けがねらい目 ●形は左右対称で押し傷のない成熟したものを ●ひっくり返して枝のついていたところまで色のあるものを ●常温において、完熟したものから順に ●食べる2~3時間前に冷やす ●皮をむいたらレモン汁をかけ変色を防ぐ 公開日:2003年6月23日
桃は夏が旬。甘くておいしくて、魅力的な果物だ。桃の健康効果に交えて、桃と女性の関係など、桃に関する話をたくさん紹介する。 目次 桃は女性のほめ言葉 女の子のお祭り=「桃の節句」 桃の栄養は女性をきれいにしてくれる! 桃にはどんな種類がある? 桃は女性のほめ言葉 桃は女性にとって格別なもの。 欧米では、女性をほめるときに桃が使われる。最近ではあまり使われていないようだが、「She is a peach」といえば、「彼女はとってもすてきな人だ!」という意味で、美しく健康的でセクシーさも備えている女性という最高のほめ言葉だとか。 ほのかにピンクに色づき、甘い果汁と柔らかい果肉を備えた桃。こんなほめ言葉をもらったら、女性もますますきれいになれそう! 女の子のお祭り=「桃の節句」 3月3日のひな祭りは、女の子の成長を祝う、日本の伝統行事。ひな人形を飾り、桃の花や菱餅を供えてお祝いする日だが、今のようなひな祭りをするようになったのは、江戸中期ごろ。町人文化の繁栄とともに一般大衆の間に広がったものだ。 中国では桃の木には体の中の悪いものを取り除く力があるとされており、桃が魔よけの力を持つという考えが日本に伝わって、ひな祭りのときに桃が使われるようになったようだ。 3月の初めは旧暦で言えば花盛り。桃の花の美しさも女の子と結びついたのだろう。 桃の栄養は女性をきれいにしてくれる! 目立った栄養素はあまりないが、女性をきれいにしてくれる要素はたくさんある。 桃の実 ビタミンCには肌をきれいにしたり老化防止のはたらきがある。さらに、桃のジューシーな果肉は不足した体液を補い、皮膚に潤いを与えてくれるので、肌を若返らせることができる。また、カリウムには血圧を下げる作用があり、高血圧の予防、がん予防、さらに便秘の改善などに効果的。便秘といえば、食物繊維のペクチンも多く含まれているため、便秘で困っている方は桃の実を食べるとよい。 桃の葉 桃の葉には、タンニンやマグネシウム・カリウムなどが含まれ、薬理作用がある。日本では、古くから「桃湯」が親しまれており、江戸時代から夏の土用には桃湯に入る習慣があったとも言われている。 葉には収れん作用があって、乾燥させたものをお風呂に入れるとあせもや湿疹に効果的。つまり、一年のうちで一番暑い夏の時期にあせもや湿疹に効能のある桃湯に入ることは理にかなったことなのだ。 もし、桃の葉が手に入るなら、生の葉を乾燥させて、お風呂に水から浸すように入れれば、桃湯のできあがり!または、数十枚の葉を煎じてお風呂の湯に入れてもよい。最近ではこの葉の効能が見直され、桃の葉エキスが入った化粧水や入浴剤も売られている。 桃の種(桃仁) さらに、普段食べたときに捨てるあの種を割ってみると、中に数個の種が出てくる。これは「桃仁」と呼ばれるもので、脂肪油、アミグダリンなどを含んでおり、婦人病の漢方薬として重要でポピュラーなものだ。血液の循環をよくする作用があり、生理不順や生理痛、更年期障害、便秘、肩こり、頭痛のほか、高血圧や脳梗塞の予防にも効果を発揮する。ただし、効果が強いので、利用するときには漢方の専門家に相談すること。 桃の花 桃の花は、「白桃花」と呼ばれる生薬で、利尿にはたらく成分が含まれているため、利尿剤や、むくみの解消、下剤として用いられる。 桃仁同様、白桃花も効果が強いので、利用するときには漢方の専門家に相談しよう。 桃にはどんな種類がある? 日本の桃は果肉が白く、水蜜桃と呼ばれる柔らかな果肉とたっぷりとした果汁が特徴。欧米の桃はほとんど黄桃であり、原産国の中国にも日本のような白桃はあまりない。 現在、日本で出回っている白桃系の桃は、「白鳳」と「白桃」がほとんどだ。 日本で出回る主な桃の種類 白鳳 果皮は赤っぽく、果肉は白。果汁がたっぷりで甘さは濃厚。品種は10種類ほどある。主な産地は山梨、福島。 白桃 果皮も果肉も白っぽく、上品な甘さがある。やはり品種は10種類ほどあるが、産地によって違う品種を作っている。有名なのは、浅間(山梨)や清水(和歌山)など。また、川中島(長野)もおいしいと注目されている。生産量は少ないが、岡山も白桃の産地として有名。 ネクタリン 桃よりひとまわり小さく、果皮はつるつるとしている、毛のないもの。果肉はち密でオレンジ色をしており、桃とあんずを合わせたような味わい。出回っているものは、ほとんどが「秀峰」という品種。 黄桃 果肉は黄色で硬く、酸味が強いもの。主に缶詰に用いられている。 蟠桃(はんとう) 別名「座禅桃」という。おまんじゅうを押しつぶしたようなぺちゃんこの形をしている。形に似合わず品質は良好で、果汁が多く味もいい。しかし、栽培が難しいため、現在では一般にはほとんど出回らない。 公開日:2003年6月23日
春らしさを存分に満喫させてくれるのが「桜」。目でも楽しませてくれるが、ほのかでやさしいあの香りには幸せな気分にしてくれる作用がある。また、樹皮や葉にも効能があるので紹介しよう。 目次 「花」の香りでリラックス 「樹皮」は咳止めや食あたりに、「葉」は肌に 日本の「桜桃」とアメリカンチェリー 「花」の香りでリラックス 菜の花が春の訪れを告げる花だとすれば、春らしさを存分に満喫させてくれるのが「桜」。満開の桜は、昼も夜も美しい。それに、ほのかでやさしいあの香り! それもそのはず、桜は意外にもバラ科の植物なのだ。香りが良いのはむしろ当然かもしれない。 あの桜独特の香りを作っているのは、クマリンという成分をはじめとする数種の芳香成分。これらには心をほぐし、しあわせな気分にしてくれる作用があるのだとか。残念ながら、桜のエッセンシャルオイルといったものはないようだが、散った花びらをお風呂に浮かべるだけでも、香りやリラックス効果が楽しめるはずだ。 また、花びらは二日酔いにも効果があるとか。花びらを塩漬けにしておくと、桜湯にしたり、お料理のアクセントなどとしても楽しめるので、もし手に入るなら作っておくのもオススメ。 「樹皮」は咳止めや食あたりに、「葉」は肌に 桜の葉や樹皮も、思わぬ効能を持っている。桜餅に使われる桜の葉は、風味ばかりでなく、防腐作用もあるのだ。また、桜の葉をお風呂に入れるとアセモに効くという民間療法もある。 樹皮、特に山桜の樹皮は、煎じて飲めば毒消しの作用があるとして、江戸時代には食あたりの薬として重宝されていたとか。また、煎じた樹皮液は、打ち身や腫れ、湿疹などができた所に塗ると良く効くとも言われている。 さらに、現在では咳を鎮める効果があるとして漢方薬や市販の咳止め薬に使われているというのだから、驚きだ。 これらの効能はすべて、樹皮に強い殺菌・消炎作用のあるサクラニンやタンニンなどが含まれているため。 しかしながら、桜の種類が非常に多い日本でも、野生のヤマザクラは数が減る傾向にあるという。これまで以上に大切にしていきたい。 日本の「桜桃」とアメリカンチェリー 桜の花の季節が終わってしばらくすると出回ってくるのがサクランボ。桜桃とも呼ばれるが、国産のものとほぼ同時期に米国産のチェリーも登場する。このサクランボもなかなか魅力的なフルーツだ。 まず、どちらのサクランボにも、抗酸化作用のあるカロチンが多く含まれ、疲れ目などに効果がある。利尿作用のあるカリウムも含み、むくみが出たときにもオススメだ。 また、国産と米国産を比べてみると、ビタミン類は米国産のほうがやや多いのだが、国産のサクランボにはマグネシウムや亜鉛、銅といったミネラル類が含まれており、バランスの良さが特長。いずれも不足すると免疫力が低下するなどカラダに悪影響のあるものだけに、おいしいサクランボを食べて補給できるのなら、よろこんで食べたい。 まもなくやってくる桜の季節。今年は、花見を楽しむだけではなく、さまざまな効能・効果も満喫してみてはいかがだろう。 公開日:2003年3月10日
果肉だけを食べてスイカの皮や種を捨てていませんか?スイカは皮や種もおいしく食べられ、しかも栄養満点。スイカをまるごと食べるレシピとそれぞれの効果を教えます。 目次 まずはおいしいスイカを見分けよう スイカをまるごと食べる!簡単レシピ まずはおいしいスイカを見分けよう 近ごろは糖度の表示をしているお店が多いので、甘いのは保証済み。とはいえ、切ってみたら真ん中が空洞だったり、味が若かったり…。そこで、おいしいスイカの見分け方を伝授。 見分けるコツは、色、音、お尻のカタチの3つ。色は緑色の部分と縞の黒い色がそれぞれ濃くはっきりしていること。音は「ぽんぽん」と響く音がしたら食べ頃。「ボンボン」と鈍い音がしたら熟れすぎ、もしくは落としたりして果肉がくずれていることが考えられる。「ピンピン」と軽く高い音がしたら若すぎる証拠だ。そしてお尻のカタチ。お尻にある花落ちの部分が小さいものが良い。 ちなみに、食べ方だが、スイカは冷やし過ぎても風味が落ちる。冷やす温度は15~20度くらいを目安にしよう。 切り方にも工夫がある。黒い縞の部分は、スイカのいわば血管。この縞の道筋には種が並んでいることが多いので、切るときは縞の部分を避けるのが賢い方法。また、スイカは真ん中がいちばん甘い。この部分がみんなに行き渡るように切り分けるのがコツだ。 スイカをまるごと食べる!簡単レシピ 果肉は「スイカ糖」にしてノドが痛いときに そのまま食べてももちろんノドを潤してくれるが、民間療法として知られているのがスイカ糖。夏の間に作っておいて常備薬として活用したい。 ■作り方 果肉を絞る。 絞った果汁を鍋に入れ、コトコト煮詰める。 水飴状になったらできあがり。 捨てちゃダメ!スイカの皮はスープに スイカの皮をぬか漬にして食べた経験がある人はいないだろうか!?そう、昔から一部ではスイカの皮も食用だったのだ。そこで気軽に食べられるスープをご紹介。この夏、ぜひ試してみてほしい。 ■作り方 スイカの皮の緑色の部分をむき、適当な大きさに切る。 干し貝柱をぬるま湯で戻す。 鍋に鶏ガラスープを入れ、沸騰したらスイカの皮と干し貝柱を入れて3~4分煮る。 塩・こしょうで味を整えてできあがり。 種はお茶に、干しておやつに 中国ではスイカの種を干しておやつづくりに使っているといった話も。また、漢方では解熱作用、潤腸作用、イライラを鎮める鎮静作用がある薬材とされている。これも上手に利用したい。 ■作り方 スイカの種をカラ煎りする。 カラ煎りした種をカップに入れ、熱湯を約200cc注ぐ。 好みによってハチミツを加えれば、種茶のできあがり。 公開日:2002年7月22日
スイカはなんと紀元前5,000年頃には栽培され、食べられていた果物です。夏にうれしいスイカは、体にもさまざまな効能がある。民間療法でも使われるスイカの魅力をご紹介します。 目次 平安時代にはもう食べていた!?スイカのルーツを探る 90%以上は水分だけど、実は…。スイカの栄養成分 平安時代にはもう食べていた!?スイカのルーツを探る ウリ科スイカ属、学名「キトルルス・ラナツス」。リッパな名前だが、これが毎年夏になると真っ先に思い浮かぶ果物・スイカのこと。スイカは実に古い昔から世界で愛されている果物なのだ。 スイカの原産地は南アフリカ。ここで紀元前5000年頃には栽培がはじまり、エジプト、ギリシャへと広まったとされている。その証拠に、紀元前4000年代の古代エジプトの壁画にもスイカが登場している。 日本への到来も古く、なんと平安時代には栽培がはじまり、江戸時代に「果肉の赤さが気持ち悪い」といった理由から一時衰退したものの、今に至るまでずっと愛されている息の長い果物なのだ。 ただし、古代エジプトの頃や平安時代のスイカは、今の姿ではなかった。カタチもさまざまだったが、何といっても現在のような緑の地に黒い縞があるのではなく、全身真っ黒だったというのだから、江戸時代の人が気持ち悪く感じたのも少し納得できるところだろう。現在の姿カタチが定着したのは、明治に入って品種改良が進んでからというのだから、最近のことといえるかもしれない。 90%以上は水分だけど、実は…。スイカの栄養成分 スイカといえば水分。たっぷりの水分が夏の渇いたノドにうれしいおいしさだ。しかし、スイカの成分はもちろん、そればかりではない。次の表のように、ビタミン、ミネラルなどもバランスよく含まれているのだ。 スイカの成分 エネルギー31kcal マグネシウム9mg 水分91g ビタミンA(カロチン)380ug たんぱく質0.7g ビタミンA効力210IU 糖質7.9g ビタミンE効力0.1mg 繊維0.1g ビタミンB10.03mg カルシウム6mg ビタミンB20.03mg 鉄0.2mg ナイアシン0.2mg カリウム120mg ビタミンC6mg ※可食部100g当たり 出典:2000年四訂食品成分表 公開日:2002年7月22日
そのまま食べても健康になれるという梅干ですが、昔は薬として使われていたほどの効果があります。今でも梅干を使った民間療法があるのでそれを集めました。また、家庭で梅干を漬けるには、6月中旬から下旬が一番です。その方法をご紹介します。 目次 梅干は薬用としての力も発揮!梅干を使った民間療法 梅干を食べる! 梅干を漬けてみよう! 梅干は薬用としての力も発揮!民間療法 江戸時代のころから病気の特効薬として常備されてきた梅干。そこで、梅干を使った民間療法を集めてみた! 梅干湿布 効能 梅干には、鎮痛作用と消炎作用があると言われており、なかでもクエン酸は血液循環をさかんにする効果があると言われている。 こんなときに効く! 頭痛、疲れ目、めまい、肩こり、関節の痛みなど 作り方 梅干の種を除き、果肉をすり鉢でよくする。痛みのある部分に適量を直接貼るか、果肉をガーゼでつつんで貼りつけてもいい。頭痛ならこめかみ2~3時間、疲れ目ならまぶたに少量のせて5分(これを数回繰り返す)。 梅干の黒焼き 効能 内服・外用ともに利用できる療法。とくに、内服ではのどの痛みによく効く。 こんなときに効く! 風邪、咳、たん、のど、扁桃腺の痛み、歯痛、口内炎、胃腸病、腎臓病など 作り方 梅干をアルミホイルで2~3重に包み、網の上で1時間ほどかけてじっくり焼く。煙が出なくなって真っ黒になったら終わり。内服する場合には、この梅干2個にお湯を注いで飲み、外用する場合には、焼けたあとさらにすり鉢ですって水かハチミツで練って、痛むところに貼る。 梅干番茶 効能 胃腸にやさしい番茶と梅干の薬効が合わさって、相乗効果で効く。体を温めたいときには、もってこい。 こんなときに効く! 風邪、高血圧、二日酔い、イボなど 作り方 種を取り除いた梅肉をよくつぶして湯のみに入れ、熱い番茶を注ぐ。よくかき混ぜてできあがり。好みでハチミツや砂糖を混ぜてもよい。 梅干緑茶 効能 梅干には胃のはたらきを調整し、便秘や下痢を改善する効果がある。また、緑茶にも同じ効果があり、特に緑茶のタンニンには下痢を止める作用がある。 こんなときに効く! 下痢どめ、胃腸の調整など 作り方 種を取り除いた梅干の果肉をよくすり、緑茶の粉末(緑茶の葉をすり鉢ですったものでもOK)を少し入れてお湯を注ぐ。酢を少したらすと、さらに下痢・便秘に効く。 梅干ドリンク 効能 梅干の酸味は唾液の分泌を促すため、食欲が促進される。また、このドリンクを常飲すると疲れにくくなり、夏バテ防止や疲労回復に効果的。 こんなときに効く! 食欲不振、疲労回復など 作り方 梅干2、3個の種を取り除いて果肉をすりつぶす。そこへ黒砂糖を小さじ1~2杯、お湯200mlを入れてかき混ぜて飲む。 梅干化粧水 効能 自家製の梅干化粧水を使っていると肌がすべすべになる!女性におすすめ。お風呂上がりにコットンに湿らせた梅干化粧水を肌にすり込むようにする。ただし、腕などでパッチテストを行ってから使おう。 こんなときに効く! 美肌効果、乾燥肌など 作り方 合成着色料を加えていない梅干5~6個を、ぬるま湯か水に2、3日つけて塩抜きをする。それをざるにあげて水をよく切り、ビンに入れて日本酒を200ml注ぐ。冷暗所に1週間ほど置いて、梅を取り出して、液をガーゼで濾したら、できあがり。 梅干を食べる! 白いご飯と梅干。または梅干おにぎり。それもいいけど、たまには梅干を使ってちょっとアレンジした料理を楽しんでみては?今回は、特に夏向きのレシピをご紹介しよう。 サラダにかけるだけ!梅ドレッシング ■材料(1回分) 梅干2個、みりん大さじ1、ゴマ大さじ1/2、だし汁大さじ2 ■作り方 梅干の種を取り除いてペースト状になるまですり、みりん、ゴマ、だし汁を混ぜるだけ。これをレタスやきゅうり、トマトなどのお好みの野菜にかけて食べよう! 食欲がないときの一品に。鶏ささみときゅうりの和え物 ■材料(4人分) 鶏ささみ2本、きゅうり1本、梅干2個、だし汁大さじ1、みりん小さじ1、しょうゆ小さじお酒少々、塩少々 ■作り方 鶏ささみはお酒を少しふって、ラップにつつみ、電子レンジで2分30秒ほど蒸す。きゅうりは斜め切りしたものを千切りにして塩を少々ふっておく。 1の鶏ささみを手で細かく裂く。きゅうりは水気を絞る。 梅干の種を取り除いてペースト状にし、だし汁、みりん、しょうゆと合わせておく。 2と3をよく混ぜてできあがり! 梅干を漬けてみよう! ちょうど、6月下旬ごろから青梅や小梅が出まわりはじめる。まさに今、梅干を漬ける時期なのだ。今年は、自家製の梅干づくりにチャレンジしてみよう!やってみるとそんなに難しくなく、しかも常備できるところがイイ! ■用意するもの 梅2kg、自然塩360g~400g(梅の重さの18~20%)、焼酎(35度)、後ほど 赤ジソ200g(梅の10%)、自然塩40g(赤ジソの20%) 陶製の容器、重し、押しぶた、霧吹き ■作り方 梅を傷つけないようにきれいに洗い、たっぷりの米のとぎ汁か水につけて一晩置く。 梅をざるにあげて水を切り、竹串を使って1粒づつ丁寧にヘタを取り除く。ちょっと引っ掛けるだけでも傷つきやすいので注意すること。 梅を一粒づつ丁寧に拭いて水気を取る。 Point:梅はちょっと引っ掛けるだけでも傷つきやすいので注意すること。 焼酎を霧吹きでまんべんなく梅に吹きつけ、ポリ袋に入れて、用意した塩の半分を入れてまんべんなく梅にまぶす。 残りの塩を陶製の容器の底に少し振り、その上に梅を並べてまた塩をふる。この作業を繰り返し、一番上を多めの塩で覆う。 梅の上に清潔な押しぶたをし、その上から梅の重さの2~3倍の重しをかける。重しは斜めにならないよう、まっすぐに乗せる。 ゴミや虫がはいらないように、容器の上から透明なビニール袋かラップで覆い、風通しのよい冷暗所に置く。 1週間ほどしたら、梅酢(梅から出てくる汁)が上がる。梅酢には殺菌効果があるので、必ず梅の上まで梅酢が上がっているかどうかを確認する。 Point:梅酢には殺菌効果があるので、必ず梅の上まで梅酢が上がっているかどうかを確認する。 梅酢が上がっているのを確認したら、赤ジソと、天然塩40gを用意。赤ジソは葉だけで200g用意し、茎から葉をはがして水でよく洗い、ざるにあげて十分水気をふき取る。 乾いたボールに赤ジソの葉を入れ、塩20gをふりかけてよくもむ。もんでいるうちに出た濃紫色の汁(アク)は、固く絞って捨てる。 絞った葉を丁寧にほぐして残りの塩を振り入れ、もう一度指の腹で押すようにしてもむ。出てきたアクは捨てる。 梅酢を玉じゃくしで1杯汲んで赤ジソにかけ、指の腹でそっともむとキレイな紫紅色になる。 赤ジソの葉を丁寧に広げ、梅の上に広げていく。赤ジソが梅酢に浸るように、まんべんなく広げる。このとき赤ジソに梅酢をかけた時に出た紫紅色の汁も入れる。 再び押しぶたをして、これまでの重さの半分の重しを乗せて透明なビニールなどで覆う。風通しのよい冷暗所に置き、7月20日ごろ(土用の日)まで待つ。 土用の日ごろになったら、晴れの日が3日間続きそうな日を選んで、梅干をざるにならべて天日で干す。太陽に当てることで、長期保存が可能になり、色も鮮やかになる。 Point:梅干は太陽に当てることで、長期保存が可能になり、色も鮮やかになる。 公開日:2002年6月17日
目にいい食べ物として最近特に注目を浴びているのがブルーベリー。ブルーベリーがなぜ目に効くのかといえば、それは含まれるアントシアニンという成分にあります。これは、目に効くだけでなく、抗酸化作用もあるため若返りにも効果的です。 目次 目にいいといわれるブルーベリー 目にいい成分は「アントシアニン」 まだある!ブルーベリーの健康効果 ブルーベリーを食べよう! 目にいいといわれるブルーベリー 目にいいということで知られている「ブルーベリー」。ブルーベリーは昔からあったものではなく、輸入品でジャムやヨーグルトのソースなどに加工されて人気が出てきたのだ。 ブルーベリーってどんな果実? ●ツツジ科スノキ属の果実 ●食用として代表的な種類は、「ローブッシュ・ブルーベリー」「ハイブッシュ・ブルーベリー」「ラビットアイ・ブルーベリー」の3種。日本で栽培されているおよそ70%はハイブッシュ・ブルーベリーといわれる ●種類によって異なるが、高いものは2m近くもある木になる。低いものだと1m未満程度 ●ピンクか白色の房状の小花がつき、花が咲いてから2~3ヵ月後に果実が成熟する ●収穫時期は6月上旬から9月中旬まで 目にいい成分は「アントシアニン」 ブルーベリーの特徴はなんといってもあのきれいな青い色。これは着色したものではなく、天然の色素である。そして、その色素こそ目によいはたらきをする物質なのだ。 その正体は「アントシアニン」という成分。これがなぜ目にいいのか、簡単に説明しよう。 ブルーベリーはなぜ目にいい? 目の網膜には光に反応してそれを脳に伝えるはたらきをする「視細胞」がある。この視細胞の中には「ロドプシン」という物質があり、これが分解・再合成をすることで光を信号に変えて脳に送りだし、物が見えるというワケだ。 ロドプシンのはたらきが鈍ると物が見えづらくなったり、視界が曇ったり、チカチカして見えるなどの症状が出て眼精疲労も進んでしまう。そのロドプシンの再合成を助けているのが「アントシアニン」なのだ! また、アントシアニンには血行をよくするはたらきがあり、目に十分な栄養素を送り込む役割もある。 まだある!ブルーベリーの健康効果 ブルーベリーが効くのは目だけじゃない。ほかにもさまざまな健康効果があるといわれているのだ! ブルーベリーの健康効果 若返り効果 ブルーベリーには抗酸化作用があり、肌の老化を遅くして若返ることができる。 毛細血管の保護 毛細血管を強くし、健康な血液を全身にめぐらせることができる。そのため、心臓病、脳溢血、冷え症などの予防につながる。 尿路感染症を予防 主に子供によく見られる感染症で、尿路のどこかで細菌感染を起こす疾患。これを防ぐことができる。 出典:「ブルーベリー視力回復法」中川和宏著 日本文芸社 ブルーベリーを食べよう! これだけ健康効果があるとされるブルーベリー。かといって、まだまだ生で手に入れることは日本では難しいし、ほかのフルーツに比べて高価なものだ。上手に食べるには、加工品をうまく利用しよう。 ブルーベリーの食べ方 ●ドライ ドライプルーンやドライレーズンのように、乾燥したブルーベリーなら保存がきいて食べやすい。しかも、食物繊維やアントシアニンは生のときより多くなっている。そのまま食べてもよし、お菓子や料理の材料にしてもよし。 ●冷凍もの 最近、増えてきているのがこの冷凍もの。生のブルーベリーをそのままフリージングしてあり、解凍するだけで食べられるのでお手軽。ヨーグルトなどに混ぜて。 ●酢 なんとブルーベリーの酢がある。水やソーダ水などで薄めて飲んだり、ジンやウォッカなどで割ってカクテルにしてもおしゃれ。 ●ジャム、お菓子など 毎日手軽に食べられるという点では、ジャムがおすすめ。毎朝パンに塗って食べよう。また、ブルーベリー入りケーキやパイ、マフィンなども最近増えている。ただし、ブルーベリーだけでなく糖分も多く含まれているので、食べるときには量に注意。 ●サプリメント 錠剤タイプが多く、毎日簡単に摂取できる。購入するときには、アントシアニンの含有量をよくチェックしよう。多く含まれているほうが、一度に摂取する量を少なくできる。 公開日:2002年4月15日
陽性タイプは積極的に食べてOK!陰性タイプはひと工夫を フルーツは、どちらかというと陰性の食べもの。陽性タイプの人は熱っぽい体を冷ましてくれるため、積極的に生で食べてOK!体にいいからといって大量に食べるより、ドライフルーツ(乾燥したもの)やジャム、お菓子に焼きこむなどすると、陽性が強まる。特に陰性タイプの人は、ひと工夫して食べよう。また、どちらのタイプも、陰性を強めすぎないよう、甘味料には白い砂糖よりハチミツがおすすめ。 イチゴ 5~6粒で1日に必要なビタミンCの量をカバーできる。ビタミンCはコラーゲンの合成に欠かせないほか、シミのモトになるメラニンの生成を抑えるともいわれている。 漢方では呼吸器系の働きにかかわるほか、風邪や胃腸の働きにもかかわるとされる。 陽性タイプ陰性タイプ 陰性タイプ、陽性タイプ、どちらもそのまま食べるのがおすすめ。ジュースにしてもOK。甘みを加えるなら、ハチミツで。 グレープフルーツ 西インド諸島が原産。ビタミンCが豊富で糖質とカロリーは控えめ。皮に含まれるリモネンなどの精油成分は気分をスッキリさせてくれる。 漢方では気のめぐりをよくして消化を促進したり、痰を取り除くといわれている。二日酔い解消にも◎。 陽性タイプ そのまま食べるか、ジュースにしてもOK。 陰性タイプ ハチミツをかけたり、果汁をお湯で割ったホットドリンクにして飲むのがおすすめ。さらにショウガのおろし汁をプラスすると体が温まる。 キウイ 果肉の美しい色から別名「エメラルドフルーツ」とも呼ばれる。ニュージーランドのキウイ鳥が名前の由来だが、原産国は中国。ビタミンCが豊富で、1個で1日の所要量の約70%をカバー。 そのほか食物繊維やたんぱく質分解酵素なども含み、整腸作用や胃もたれの改善に役立つといわれる。 陽性タイプ そのまま食べるのがおすすめ。ジュースにしてもOK。 陰性タイプ ハチミツをかけたり、ジャムにしたり、肉料理のソースに使うと、体を冷やす作用が弱まる。 パイナップル 原産はブラジル。コロンブスの西インド諸島探検のときに発見され、世界に広まったといわれている。食物繊維が豊富なほか、タンパク質分解酵素が含まれ、肉類とあわせて食べると消化吸収を助ける。 漢方では、発熱や暑気あたりによる口のかわき、消化不良、腎炎、気管支炎などに効果があるとされる。 ※未熟なものを食べると、消化不良や肌荒れを起こすことも。熟しているものを選ぼう。 陽性タイプ そのまま食べるのがおすすめ。ジュースにしてもOK。 陰性タイプ 肉類の炒め物やソテー、ハンバーグなどに加えると、肉が柔らかくなり、陰性の作用を弱めることができる。 バナナ 消化吸収がよく、すぐにエネルギーに変わる。食物繊維、オリゴ糖が含まれ、お通じをサポート。カリウムも豊富で血圧上昇を抑える。 漢方では、体を冷やす作用があり、口が熱っぽい時に食べるとよいとされる。 陽性タイプ そのまま食べるのがおすすめ。ジュースにしてもOK。 陰性タイプ バターソテーやクレープ、パウンドケーキなど焼き菓子に使ってみて。 ぶどう 世界でもっとも多く栽培されている果物といわれ、収穫量の8割はワインに加工されているそう。エネルギー源に変わりやすいブドウ糖と果糖が豊富で、疲労回復に役立つ。皮や種には抗酸化成分・ポリフェノールが含まれている。 漢方では、気力を補う、血行促進、尿の出をよくする、肝機能、腎機能を高めるといわれている。 陽性タイプの人も陰性タイプの人も基本的にそのまま食べてOK。 陽性タイプ ジュースにしても◎。 陰性タイプ ラム酒漬けやパウンドケーキなどの焼き菓子に混ぜて。干しブドウもおすすめ。 マンゴー 世界3大美果のひとつ。インド、インドシナ半島が原産で4000年以上も前から栽培されてきたといわれる。β-カロテンが豊富で、免疫機能の維持や抗酸化作用に◎。そのほかビタミンC、カリウムなども。 漢方では下痢や汗を止めるといわれている。 ※ウルシ科なので、かぶれやすい人は注意が必要。 陽性タイプ そのまま食べるのがおすすめ。ジュースにしてもOK。 陰性タイプ ドライマンゴーがおすすめ。
みんな大好き!さわやか柑橘類 ジュースはもちろん、カクテル、スイーツ、コスメなどにも使われている、おなじみの柑橘類。ビタミンCが豊富なのはよく知られているけれど、ほかにもこんな栄養素や成分がいっぱい!お互いに相性がよいので、一緒にジュースで飲むのもおすすめ。 低カロリーなのがウレシイ「グレープフルーツ」 ●ひとくちメモ 冷やしすぎると酸味が強くなるので、冷やすなら食べる直前に。 ●100gに含まれているおもな栄養素 エネルギー38kcal、たんぱく質0.9g、脂質0.1g、炭水化物 9.6g、カリウム140mg、ビタミンC36mg、食物繊維0.6g ※降圧剤などでカルシウム拮抗剤を服用している人は、薬の効果に影響を及ぼすため、同時に摂らないこと。 免疫力アップ成分が満載「温州みかん」 ●ひとくちメモ 身を包んでいる袋や、白いすじにも栄養素がたっぷり。まるごと食べよう! ●100gに含まれているおもな栄養素 エネルギー46kcal、たんぱく質0.7g、脂質0.1g、炭水化物 12.0g、カリウム150mg、カロテン1000μg、ビタミンC32mg、食物繊維1.0g ビタミンCの代名詞!「レモン」 ●ひとくちメモ ビタミンCは壊れやすいので、果汁を絞って料理などに使うなら、食べる直前に。 ●100gに含まれているおもな栄養素 エネルギー54kcal、たんぱく質0.9g、脂質0.7g、炭水化物 12.5g、カリウム130mg、カルシウム67mg、ビタミンE1.6mg、ビタミンC100mg
夏の定番フルーツで、暑さに負けない! 高温多湿な日本の夏。パワーダウンしがちな時期だが、おなじみの定番フルーツには、暑さを乗り切るのに役立つ栄養や成分がギッシリ。見過ごしがちな皮やタネにも、さまざまな薬効が…。夏のカラダのお助け食材として、もう一度見直してみよう! ポリフェノールがギッシリ!「グレープ」 ●ひとくちメモ いつも食べずにいる皮にもご注目。栄養素をまるごと摂るなら、ジュースがおすすめ! ●100gに含まれているおもな栄養素 エネルギー59kcal、たんぱく質0.4g、脂質0.1g、炭水化物 15.7g、カリウム130mg、食物繊維0.5mg 実は水分だけじゃない!「スイカ」 ●ひとくちメモ 実は種にも漢方の効果あり!から煎りして、熱湯、ハチミツと一緒にお茶としてどうぞ。 ●100gに含まれているおもな栄養素 エネルギー37kcal、たんぱく質0.6g、脂質0.1g、炭水化物 9.5g、カリウム120mg、カロテン830μg、ビタミンC10mg、食物繊維0.3mg 果実も葉も、お役に立ちます!「グアバ」 ●ひとくちメモ さっぱり味のジュースでおなじみ。葉にも薬効成分が含まれ、お茶としても有名。 ●100gに含まれているおもな栄養素 エネルギー38kcal、たんぱく質0.6g、脂質0.1g、炭水化物 9.9g、カリウム240mg、カロテン580μg、ビタミンB1 0.03mg、ビタミンB2 0.04mg、ビタミンC220mg、食物繊維5.1g
陰陽チェックで、自分のタイプを把握 簡単にできる陰陽チェックで、自分の今のタイプを大まかに把握してみよう。チェックが多く入ったほうが現在のあなたのタイプ。ただ体の状態は、年齢や食べたもの、運動状態、体調などによって変わっていくもの。「私はこれ!」と決めつけず、ときどき再確認するのも忘れずに。 陰性タイプ □ 肌の色は色白~青白い □ 汗をあまりかかない □ 体温は低め・冷え性だ □ 冷房が苦手 □ 尿の色が薄い □ 性格は消極的で引っ込み思案 □ 体力がなく、疲れやすい □ 体型はぽちゃぽちゃしている・水太りするほう □ お腹をこわしやすい 陽性タイプ □ 肌の色は赤みがある~褐色 □ 汗をかきやすい □ 体温は高め・手足が冷えることはあまりない □ 暖房が苦手 □ 尿の色が濃い □ 性格は積極的で陽気 □ 体力があり、頑張りがきく □ 体型はガッチリしている・かた太りするほう □ 便秘がち
脳はあなた以上に食いしん坊 仕事や勉強のヤル気が出なかったり、ずっとボンヤリしてしまったり…。私たちはときどきこうした“ダメダメ脳”に陥ってしまうが、原因のひとつに「朝食を食べないこと」がある。 脳は全体重の2%を占めるに過ぎない存在だが、エネルギー消費量は18%もあるといわれ、とても食いしん坊な臓器。脳のエネルギーとなるのは唯一ブドウ糖だけで、その消費量は毎時5グラムにものぼるそう。しかも、脳はブドウ糖をためておくことができないので、適宜補給してやる必要があるのだ。 朝食前の脳はだいたい7~8時間も絶食状態におかれている。英語で「朝食(breakfast)」という言葉には「断食を破る」という意味が込められているが、脳にとって朝食ヌキで1日をスタートさせることは、断食を続けさせることに等しい。当然エンジンがかからず、集中力が散漫になったり、ヤル気が出なくなったりしてしまう。 朝食ヌキで成績ダウン! 食いしん坊な脳にとって朝食は重大な意味を持っているのだが、厚生労働省による『国民健康・栄養調査(平成16年度)』によると、20代の男性の3分の1、女性の5分の1が朝食を食べておらず、朝食を食べる人の割合も年々減少傾向にあることがわかった。 「朝は少しでも寝ていたい」、「忙しくて朝食を作る時間がない」、「夕食が遅く、お腹が空いていない」など、“朝食を食べない派”にもさまざまな理由があるだろうが、ちょっと気になるデータも紹介しておこう。国立教育政策研究所の調査(「平成15年度小・中学校教育課程実施状況調査」)によると、毎日朝食を食べる子どもほど、ペーパーテストの得点が高い傾向にあることが明らかになった。 学校だけでなく、会社が始まるのもたいてい朝。せめてトーストやおにぎり、フルーツジュースなどから脳のエネルギーである糖質を補給し、1日をスムーズにスタートさせよう。 出典:国立教育政策研究所『平成15年度小・中学校教育課程実施状況調査』
忙しい朝に使える!フルーツパワー 朝食の定番メニューには、「トースト+目玉焼き+カフェオレ+サラダ」、「焼き魚+ご飯+味噌汁+おひたし」などがあるが、実は理にかなった組み合わせで、【炭水化物・たんぱく質・脂質】という三大栄養素をうまく摂れるようにできている。 ただ、これらのメニューからはビタミン類がカバーしきれない。ビタミン類とは、たんぱく質、炭水化物、脂質などの栄養素を体内で代謝する際に使われるもの。足りなくなると、せっかくの栄養素が十分活かされなくなってしまう。そこで、ビタミン類の宝庫・オレンジやリンゴなどのフルーツやジュースをプラスすると、栄養バランスを整えることができる。いくつかのフルーツを組み合わせれば、複数のビタミンをカバーしてくれる。 時間がなくて定番メニューの品数をそろえられない!というなら、特にフルーツが頼りになる。フルーツにはビタミン類のほか、脳のエネルギーとなる糖質も豊富。切るだけ、むくだけで調理の手間もかからない。ジュースを利用するという手もあり、忙しい朝のお助けアイテムなのだ。 毎朝のスッキリ!もサポート フルーツのパワーでさらに見逃せないのは、毎朝のお通じに欠かせない食物繊維もたっぷり含まれていることだ。 食べ物が胃に入ると、「胃・大腸反射」といって大腸が動き出すが、この作用がとくに活発に起こるのが朝。朝食をきちんと食べることで自然なお通じにつなげることができるが、フルーツに含まれている食物繊維には、便のカサを増やしたり、腸を刺激したりしてお通じをつけやすくする作用があるといわれている。 もちろんフルーツだけでなく、野菜にも食物繊維が多く含まれている。朝食に一品野菜のメニューを加えるのもいいし、時間がないなら野菜ジュースを飲んでも。食物繊維が含まれているかどうか、成分表示をチェックして!
一粒にポリフェノールがいっぱい スイーツでよく使われている、色とりどりのベリー。ツブツブした食感と甘酸っぱい味が人気を集めている。 そもそも「ベリー(berry)」とは、庭や原野、森林でとれる小さな実のこと。代表的なものに、ラズベリー(キイチゴの仲間)、ブルーベリー(コケモモの仲間)、クランベリー(コケモモの仲間)などがある。 ベリー類に共通する特徴のひとつが、ポリフェノール類を多く含んでいること。ポリフェノールとは植物に含まれている色素や苦味成分で、強い抗酸化力を持つことで知られ、その種類はなんと300以上もあるそう! ラズベリーやブルーベリーに含まれているのは赤い色素・アントシアニン。クランベリーにはタンニンという苦味成分が含まれている。 おいしいベリーの選びかた ベリー類はパック詰めで売られていることが多いが、パックの底を見て粒がつぶれていないかをチェック。形のきれいなもの、新鮮な色をしているものを選びたい。また、ブルーベリーの粒の表面によく白い粉がふいているのを見かけるが、これは「ブルーム」と呼ばれ、雨などをはじいて鮮度を保つために役立っているのだとか。ブルームがついているかどうかも、鮮度の見極めに役立てて! もちろん生で食べてもおいしいし、ケーキの仕上げや、ジャム、パイなどの材料にと、ベリー類は大活躍!ほんのりした甘酸っぱさからワインにもなっているそう。ジュースなら手軽にベリーの栄養素を補給できる。あなたの毎日に、もっとベリーを登場させてみてはいかが?
味はもちろん、体への作用にも注目! 色とりどりのベリーには、それぞれの特徴がある。味はもちろん、体への作用にも注目して、お気に入りのベリーを見つけよう! クランベリー 北アメリカ原産。アメリカでは感謝祭の七面鳥とクランベリーソースは切っても切れない存在なのだとか。クランベリーには尿のph値を下げ、細菌の増殖を抑えるキナ酸や、細菌の働きを抑えるプロアントシアニジンというタンニンの一種が含まれているため、女性に多い膀胱炎などに働きかけるといわれている。 そのほか、胃潰瘍の原因・ピロリ菌を抑える作用があるとの報告も。 ブルーベリー 北アメリカ原産。ヨーロッパでは「スモールフルーツ」とも呼ばれて親しまれている。あの独特な青紫色にはアントシアニンと言う色素成分が含まれ、これが網膜にあるロドプシンという物質の再合成を活性化させ、目の疲れや、夜間の視力低下の改善を促すといわれている。 こうしたブルーベリーの作用が注目されるようになったのは、第二次世界大戦中のこと。イギリス空軍のパイロットが、実家から送られてくるブルーベリージャムをパンにつけて食べた後には暗闇でも敵の飛行機がよく見えることに気づき、軍に報告したことがきっかけだった。ちなみに生食よりも乾燥ブルーベリーを食べたほうが、目の不調改善には効率的だそう。 そのほか、アントシアノアイドという物質に殺菌作用あり、お腹の不調にも効果があるといわれている。 ラズベリー ヨーロッパの野生種から改良された「レッドラズベリー」と、北アメリカの野生種から改良された「ブラックラズベリー」の2種類がある。フランス語では「フランボワーズ」。実の中心が空洞となっている。 食物繊維が豊富なほか、精神の安定に関わるカルシウム、ストレスで消費されてしまうビタミンCなども比較的多く含まれる。
運動中の栄養補給に、朝ごはんに、バナナがぴったり! バナナは、私たちにとってもっとも身近な果物のひとつ。主成分は糖質(炭水化物)で、まだ青いうちは人間の体内で吸収されにくい形をしているが、熟すにつれてブドウ糖、ショ糖、果糖などの消化・吸収が早い糖質に変化していく。バナナ1本あたりのカロリーもご飯の半膳分くらいあり、果物の中でもトップクラス。さらに糖質の代謝に関わるビタミンB1、B2も含まれているので、運動中の栄養補給に使える。あのロシアの妖精、マリア・シャラポアもテニスの試合中にバナナを食べていたとか。 そのほか、カリウム、カロテン、食物繊維、オリゴ糖なども豊富に含んでいるバナナ。皮も手で簡単に向けるし、ちょっと小腹が空いたときに程よく満たしてくれるし、私たちの朝ごはんにもぴったり!ミルクをプラスしてたんぱく質を補えば、栄養バランスを整えやすい。 紹介します!私の朝のバナナメニュー 先日まで当コーナーで行っていた「朝食アンケート」には、なんと500件を越すコメントが寄せられた。「栄養バランスにしっかり気を配っている人が多くて、感心しました(編集O)」、「うちのビンボー朝ごはんとは大違い。みんなの朝ごはんにお呼ばれしたい(ライターA)」など、編集部内でも大注目!中でも目立っていたのは、バナナを上手に利用したメニュー。ほんの一部だがご紹介しよう。
滋養強壮の果物、バナナ 病気のお見舞いの定番といえば、バナナ。滋養強壮の果物として昔から知られていたが、最近の研究によってそれなりの裏づけがあることがわかってきた。ひとつは、手軽なエネルギー補給源となること。もうひとつは、病気と闘う免疫力をサポートすることだ。 免疫細胞(白血球)のひとつ、マクロファージが分泌するTNF(腫瘍壊死因子/しゅようえしいんし)という物質がある。このTNFが活性化すると免疫力が上がるといわれており、TNFを増やす食べ物をいろいろ調査したところ、果物の中ではバナナが圧倒的だったそう(* 帝京大学の研究グループによる)。 免疫力をサポートする面から考えると、青いものより熟したもののほうがおすすめ。黒い斑点(シュガースポット)が現れてきたら、ちょうど食べごろだ。 バナナの原産地は東南アジア。紀元前5000年から1万年頃に栽培が始まったともいわれ、人間とはかなり古くからのおつきあいだ。バナナという名前は、アラビア語の「banan(指先)」や西アフリカ語の「banema(複数の指)」に由来するという説がある。日本には明治以降に普及した。 バナナは南国育ちなので、寒いところが苦手。12~13℃以下で保存すると、色が黒ずんだり、うまく熟さなくなってしまう。これを「低温障害」といい、低温で発生する品質の劣化で、病原菌などとは関係ない。 バナナを保存するときは常温で、できればバナナスタンドなどにかけておくとよい。もしヒンヤリしたバナナが食べたいなら、食べる直前に短時間冷やそう。
まだ真夏じゃないからヘーキ!? 春から紫外線量はぐんぐん増加中!「まだ真夏じゃないからヘーキ」なんて、油断は禁物。太陽光線には、赤外線、可視光線、紫外線の3種類あり、「暑い」と感じるのは赤外線、「まぶしい」と感じるのは可視光線によるもの。紫外線は、暑くもまぶしくもないので浴びているという自覚がないが、じつは肌の奥深くまでしっかり到達。その結果、メラニンが多量に作られてシミができたり、活性酸素が発生し肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンがダメージを受けてしわやたるみの原因となったりする。こうした紫外線による肌へのダメージのことをズバリ「光老化」という。ある女性タレントが紫外線のことを「おばあさん光線」と呼んでいたが、紫外線の作用をうまく言い表している。 紫外線対策、怠るべからず! 現在、紫外線ケアは1年を通じて行うべきだというのが定説。さらにもう一歩進んで、紫外線をシャットアウトすることと、活性酸素対策(抗酸化)の2本立てで考えるとより効果的だ。紫外線を浴びないためには、日焼け止め、帽子、長袖の衣服、サングラスなどの活用を。抗酸化は抗酸化成分と呼ばれるビタミン類、ポリフェノールなどの食品を食べ、体の中から抵抗力を高めたい。 紫外線をシャットアウトするなら… ●日焼け止め 普段使いなら、SPF15~20・PA+~++程度を目安に ●帽子 つばが7cm以上あるものが◎ ●衣服 色が濃いほど、生地の目が細かく厚手のものほど紫外線を通しにくい ●サングラス 必ずUVカット表示のあるものを 活性酸素対策には… ●ビタミンA 西洋かぼちゃ、にんじん ●ビタミンC アセロラ、グアバ、グレープフルーツ、レモン ●ビタミンE アーモンド、ヘーゼルナッツ ●ポリフェノール 赤ワイン、バナナ、ブルーベリー、ぶどう、トマト
抗酸化成分を食べ物から補おう 私たちの体内にも抗酸化物質が生まれつき備わっているが、残念ながら加齢とともに体内量がダウンするため、食べ物から補う必要がある。 強力な味方!「ビタミンエース」 ビタミン類のなかでも、A、C、Eは高い抗酸化力を持ち、「ビタミンエース(ACE)」と呼ばれているほど。とくにビタミンCといえば、抗酸化成分の代表選手としてなじみ深い存在だ。ビタミンEとペアになって細胞膜の保護のために活躍し、活性酸素の害を防いでいる。そのほか、シミのモトになるメラニン色素の合成を抑える、コラーゲンの生成に欠かせないなど、日差しを浴びた肌にとっては貴重な成分だ。 ビタミンCは2~3時間で排出されるので、一度にまとめてとるよりも何回かに分けてとろう。また、できてしまったシミを消すためよりも、シミを作らせないために摂るのが正解。リゾートに行くなら2週間くらい前からビタミンの補給を開始し、紫外線に対する抵抗力を高めておこう! 多種多様な姿で登場!「ポリフェノール」 また、ポリフェノールの抗酸化力にも要注目。ポリフェノールとは光合成によって作られる植物の色素成分や苦味成分の総称で、その種類は数百以上あるとも。最近ではカテキン、アントシアニン、イソフラボンなどなど、いろいろなポリフェノールが注目を集めている。 ポリフェノールは体内に蓄積されないので、1日3食でいろいろな食品から補給しよう。また、果物の皮には豊富に含まれている。できれば皮ごと食べるのがおすすめ。 ミニコラム:最古の果物ってなーんだ? 正解は、ブドウ。 神話や聖書にたびたび登場するブドウは、5000年以上前にカスピ海の南側で栽培が始まったといわれ、日本でも平安末期にはすでに栽培が始まっていた。現在も、世界でもっとも広く栽培されているそう。なるほど、生食、ワイン、ジュース、ジャム、干しぶどうなどなど、食べ方もいろいろ。主成分は、もちろんブドウ糖(糖質)。皮にはポリフェノールが含まれ、疲労回復や抗酸化に役立つ優れた果物なのだ。
ふたたび注目を集めている漢方 最近、ナチュラル志向の高まりとともに、ふたたび注目を集めている漢方。私たちの体に本来備わっている活力を増進させ、病気の治癒を目指すという考え方にもとづいた医学で、日本でも古くから用いられてきた。 「食養生」で、もっとキレイに 漢方にはいくつかの独特の考え方があるが、そのひとつに「陰陽論」がある。陰陽論とは、古代中国で万物のすべてを「陰」と「陽」に分けて考え、さまざまな事象を説明しようとした考え方で、東洋哲学の基本となっている。たとえば、動物は陽で植物は陰、夏は陽で冬は陰、火は陽で水は陰、などなど。 私たちの体も陰と陽のバランスをとりながら、つねに変化し続け、陰陽バランスがうまく取れた状態にあれば、健康で調子よくすごすことができるとされる。もし陰に傾いた場合、貧血、冷え性、お腹が下りやすいといった傾向が、反対に陽に傾くと、イライラ、便秘がち、体がほてって汗をかきやすいなどの傾向が見られるという。 体質に合わせた「食べかた」とは? 漢方による治療には、漢方薬、鍼灸、あんま、導引法(気功療法)、薬膳療法などがある。なかでも食事を医療に結びつけた薬膳療法は、毎日の生活に取り入れやすく、体調を整えるのに役立つ方法だ。 薬膳療法は、段階に応じて食養、食療、薬膳の3つに分けられている。 薬膳療法 ●食養法 自分の体質に合わせて食事のバランスをとることで体調を整えるもの。普段の生活に取り入れやすい。 ●食療法 食品が持つ薬的な部分をフル活用する方法。「医食同源」ともいわれるもの。普段の生活に取り入れやすい。 ●薬膳法 食療にもとづいた料理に、さらに漢方薬をプラスしたもの。生活改善に加え、治療的な意味もある。 食養法や食療法で体を整えていくには、体が陰性のときには陽性の食べものを、陽性のときには陰性の食べものをとるとよいといわれる。また、同じ食材でも調理の仕方や食べかたで陰陽を変えることもできる。おなじみのフルーツも、食べかた次第で、もっとキレイにゲンキになれるかも!?まずは自分の状態をチェックすることから始めてみよう!
いちごはビタミンCの宝庫ともいわれています。美容や健康にはもちろん、喫煙者の ビタミンC補給にも。風邪に効くいちご酒の作り方も紹介します。 目次 ビタミンCの量はみかんに勝る たばこを吸う人は、いちごを常食したい 風邪予防に「いちご酒」 ビタミンCの量はみかんに勝る ビタミンCには、血管などを柔軟に保ち、肌などの老化を防ぐ効果がある。このほか、発がん物質ががん遺伝子を目覚めさせる作用(酸化作用)をおさえるはたらきも。最近よく聞く活性酸素の害から体を守るともいわれているのだ。 いちごにはビタミンCが100g中50mgも含まれている。ビタミンCの量はみかん以上なのだ。このため、いちごを食べることで風邪の予防になるとも言われている。 たばこを吸う人は、いちごを常食したい ある研究によると、たばこを1本吸うたびに、ビタミンCが20mg失われているという。つまり、喫煙者は、普通以上にビタミンCを補給しなくてはいけないというわけ。 いちごはカロリーが低いので、少したくさん食べても大丈夫。購入したものを冷凍庫に保存しておくことができるから、独り暮らしにもピッタリだ。 いちごの冷凍保存は、よく洗ってへたをとった後、ほんの少しグラニュー糖をまぶしておき、冷凍庫へ。食べるときは、特に解凍の必要なし。シャーベット感覚で食べられる。1日5粒(100g)程度を目安にしよう。 風邪予防に「いちご酒」 いちごはビタミンCのほか、疲労回復に効果があるクエン酸も含んでいる。このため、風邪の予防にピッタリ。ここでは、3~4日でできるいちご酒を紹介しよう。 いちご酒 ■作り方 いちご200gを洗い、へたをとる これを電子レンジに使える鍋などに入れ、グラニュー糖100g(少な目でもOK)、ホワイトリカー 450cc、レモンの輪切り2枚を加える 2を電子レンジで4~5分温める そのまま3~4日おく。お湯や水で割っていただく 公開日:2001年1月15日
食物繊維を豊富に含むため、りんごには整腸作用があると言われています。 おいしくて、お腹にやさしい「りんご」の食べ方は? 目次 食物繊維ペクチンが腸を整える 便秘、下痢のときに効果的な食べ方は りんごの酸っぱさは、疲労回復の元になる 食物繊維ペクチンが腸を整える りんごは食物繊維の一種ペクチンが豊富に含まれている。この食物繊維には腸を整える作用があり、便秘にも下痢にも効くといわれている。 また、食物繊維は余分なコレステロールや食品添加物などを吸着させ、便と一緒に体外に排出する作用もある。このおかげで、動脈硬化や大腸がんなど生活習慣病を防ぐこともできる。 糖質を含むので、食べ過ぎには注意しないといけないが、忙しい朝、朝食代わりに活用することができる果物だ。 便秘、下痢のときに効果的な食べ方は 食物繊維ペクチンは、皮に多く含まれているため、できれば皮ごと食べたいもの。皮を利用するときは、無農薬、減農薬のものを選び、たわしでよく洗う。それでも心配な場合は、芯の周りの皮は取り除くようにしよう。 下痢のときはそのまま半分くらいを、すりおろして食べる。便秘のときは丸かじりしてもOKだが、即効性を考えるならやはり、すりおろしたほうが効果的だ。 りんごの酸っぱさは、疲労回復の元になる りんごの酸っぱさの元は、リンゴ酸やクエン酸という成分。この成分には代謝機能を促進するはたらきがあり、りんごに含まれる糖分とともに、疲労を回復させる作用がある。 また、リンゴは口臭予防にも効果的。果汁で歯をみがいてみよう。 最後に、りんごにはビタミンCを破壊する酵素が含まれているので、サラダなどに利用する際は、レモン汁を振り掛けてから混ぜるようにしよう。 公開日:2001年1月15日
昔から風邪の特効薬として食されてきたみかん。その効果的な使い方を紹介します。 目次 がん予防、老化防止にも効くビタミンCが豊富 風邪のひき始めにあついみかん 冷え性に効くみかん風呂 がん予防、老化防止にも効くビタミンCが豊富 みかんにはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCには、発がん物質ががん遺伝子を目覚めさせる作用(酸化作用)をおさえるはたらきがあります。最近よく聞く活性酸素の害から体を守るともいわれているのです。ビタミンCにはこのほか、血管などを柔軟に保ち、老化を防ぐ効果もあります。 ビタミンCは水に溶けやすい性質があるため、野菜やいちごなどの場合、洗ったり調理したりする過程でその多くが失われてしまいます。その点、みかんはそのまま食べることができるので、ビタミンCも丸ごと摂ることができるのです。 手軽なビタミンCの供給源として、1日1~2個程度食べるようにしてはいかがでしょうか。 ビタミンCは逃げ足の速いヤツ 風邪のひき始めにあついみかん 古くから、みかんは風邪の特効薬として使われてきました。古い漢方書によると、果実だけでなく皮にも薬効があるとされています。ここでは、風邪に効くと言われるみかんの食べ方を紹介します。 体が温まる焼きみかん ■作り方 みかんを皮ごとよく洗って水気をふきます そのまま焼き網にのせて、ときどき転がしながら弱火で焼きます。皮が黒くなるまでじっくりと。 あつあつの果汁を絞り、しょうが汁少々を加えて飲みます(絞らないで丸ごと食べてもよいです) みかんの皮の煎じ液は、せき、のどの痛みを防ぐ ■作り方 ノーワックス、無農薬、減農薬など、皮に心配のないみかんを利用します みかん10個分ほどの皮をお湯でよく洗います 荒くきざんで、風通しのよい日陰で干し(1週間~10日)、密封できる瓶などに入れて保管します 3の皮としょうが、各6gに水500ccを加え、水が半分くらいになるまで煮ます 4の煮汁にハチミツを少量加え、3回くらいに分けて飲みます 冷え性に効くみかん風呂 みかんの皮はお風呂に入れてもいいでしょう。食べ終わったみかんの皮をよく洗い、5~6個分をまとめて布袋に入れ、沸かした湯に入れます。みかんの精油成分が毛細血管を広げ、血液の循環がよくなって体も温まります。 お風呂の温度はぬるめにし、長時間つかるほうが効果があります。
栄養的には優秀な果物だけど、最近は農薬の心配も。農薬を取り込まない処理のコツをアドバイス。 目次 果物の下処理の基本は3つ 薄い塩水にひたしてから食べよう「りんご」 「いちご」は流水に5分くらいつけておく 「みかん」は洗ってから食卓へ 果物の下処理の基本は3つ 虫食いを防ぐため、果物に農薬が使われているのはご存知の通り。農薬は果実に直接かけるケースが多く、果皮の部分にたまるので、食べる前によく洗うのが1番のコツだ。 果物の下処理 ●流水で洗う 水は流しっぱなしで洗うこと。いちごなど柔らかい果物はひとつひとつこすり洗いを。りんごは強くこすって洗おう。とくにへたや軸の周辺は念入りに。 ●塩水につける 2%くらいの塩水に5分くらい浸しておくと、塩の浸透性により農薬を引出すことができる。 ●皮やしん、へたは取り除く 農薬は皮のすぐ下に溶け込んでいることが多いので、皮は厚めにむく。芯やへたも切り落とす。 薄い塩水にひたしてから食べよう「りんご」 害虫がつきやすいりんごは多様な殺虫剤が使用されている。また、除草剤や落下防止剤なども使われているそう。 農薬は果皮に残っているので、水をはったボールに入れて水を流しながら5分ほど浸す。さらに流水の下でひとつずつこすり洗いする。 この後皮を厚めにむいて芯を取り除き、薄い塩水に5分くらい浸してから食卓へ。 ジャムやジュースにするときは、塩水にひたした後、もう一度水洗いをしてから調理をすると、塩気が残らない。また、ジャムのときも皮は使わないほうが無難。 「いちご」は流水に5分くらいつけておく 害虫を防ぐため、多種類の殺虫剤、殺菌剤が使用されている。柔らかい果実に直接かけられている農薬を、いかに洗い流すかがポイント。 まず、水をはったボールにいちごを入れ、流水の下に5分くらい置いておく。水洗いは、ひとつひとつ指でそっとこすり洗い。ビタミンCが水に溶け出すのを防ぐため、手早く行おう。 塩水や洗剤は果肉にしみこんでしまうので、水だけで洗うようにする。 「みかん」は洗ってから食卓へ みかんに使用される農薬はほとんどが皮に残っている。皮をむいて食べるので、中味は安心して食べることができる。しかし、皮をむく際に手についた農薬が口に入ってしまうこともあるので、皮をむいた後手を洗ってから食べるか、面倒な場合は、購入後にまとめて水洗いするか乾いた布でふいておくことをおすすめ。 公開日:2001年1月15日
何気なく食べている果物達ですが、一体いつごろから日本人の口に入るようになったのでしょうか。歴史を紹介します。 目次 種無しみかんは日本の特産 世界の歴史とともに歩んだ「りんご」 オランダ船でやってきた「いちご」 種無しみかんは日本の特産 皮を手でむくことができ、種が無い日本のみかんは正確には「温州みかん」と呼ばれる。手軽に食べることができるため、冬の果物の中でも高い人気を誇る。 温州みかんが誕生したのは、鹿児島県北西部の長島というところ。しかし、江戸時代までは「たねなし」という点が縁起の悪いものとして嫌われていたよう。温州みかんが認められ、急速に広がったのは明治以降なのだ。 世界の歴史とともに歩んだ「りんご」 りんごの原産地はヨーロッパ。この地域では古くからりんごを食用としてきたため、神話や伝説の中にもりんごが出てくる話が多いそう。りんごが出てくる伝説といえば、聖書にあるアダムとイブの「禁断の実」が最も有名。しかし、「禁断の実=りんご」となったのは、ミルトンの「失楽園」 からだそう。 日本でのりんごの生産が本格的に始まったのは、明治5年。その後、青森県などで品種改良が重ねられ、現在は「つがる」「むつ」「ふじ」など多用な品種が市場に出ている。なお、「スターキング」などはアメリカから導入された品種。 オランダ船でやってきた「いちご」 人間といちごの歴史は、石器時代に溯るそう。スイスのある遺跡から野生種のいちごの種子が見つかっているのだ。 日本に入ったのは江戸時代の終わりごろで、オランダの船によって長崎に運ばれた。それで、当時はオランダいちごと言われたが、明治以降、アメリカからの品種が導入されると、こちらが裁培の主流となった。 現在は、栃木、福岡、埼玉、静岡、愛知などが生産の中心になっている。 公開日:2001年1月15日
果物が体にいいと言われるのはどうして?冬の人気モノ、みかん、りんご、 いちごを中心にまとめました。 目次 1日200g、果物を食べよう みかん、りんご、いちごの栄養価を比較しよう 1日200g、果物を食べよう 果物は、老化やがんの抑制に効果があるといわれるビタミンCを多く含んでいます。また、水溶性の食物繊維も多く、便秘などにも効果があります。特に調理の必要がなく手軽に食べられるのも魅力のひとつです。 ただ、果物に含まれる糖質の量も意外に多く、あまり食べ過ぎると糖分の摂りすぎになってしまうので注意しましょう。成人の場合は、1日に200g程度が必要量とされています。 みかん、りんご、いちごの栄養価を比較しよう 冬の代表的な果物であるみかん、りんご。少し遅れて店頭に並び始めるいちご。それぞれが含む主要な成分を比較してみましょう。 成分など(100g当たり) みかん りんご いちご エネルギー 44kcal50kcal35kcal 糖質 10.9g13.1g7.5g 食物繊維 1.9g1.3g1.3g ビタミンC 35mg3mg80mg カリウム 150mg110mg200mg 食物繊維を最も多く含むのは、みかんです。ただしこれは、じょうのう膜(果肉を包む皮)も一緒に食べた場合。膜を取り除くと0.5gになります。 成人が1日に必要とするビタミンCの量は50mg。いちごなら、100g食べれば1日の必要量以上のビタミンCが摂れます。 みかん、りんご、いちごは、ビタミンCのほか、カリウムやカルシウム、鉄などのミネラルも含んでいます。特に、高血圧予防のはたらきがあるカリウムの量が多く、1日の目標摂取量2~4gのうち、5~10%くらいを果物から摂ることができます。 りんごは、ビタミンやミネラルの量は、ほかの2つに比べて少ないが、整腸作用のあるペクチンという食物繊維を豊富に含むと言われています。
「みかんが色づくと医者が青ざめる」 ことわざにもある通り、果物をたくさん食べると、がんや高血圧、心臓病などの生活習慣病を防ぎ、健康を増進して、医者要らずになることが最近の研究で分かってきました。 果物に含まれるビタミン類、カリウム、鉄、たんぱく質、食物繊維など栄養素のほか、ポリフェノール化合物、多糖類などの微量元素が、複雑に相互作用して、さまざまな生理作用を発揮するというのです。 米国立がん研究所(NCI)などは、野菜や果物の多いメニューを置く店を「優良店」に認定するキャンペーンを始めています 日本人一人の年間消費量は42.8kg 英国の全国心臓フォーラムは、果物と野菜の一人当たりの1日平均消費量が現在の約250gから400gになれば、心臓病による死者が20%減少すると推測しています。 日本人一人当たりの果物の消費量は、少ないといわれる英国よりさらに少なく、年間で42.8kg、1日約120gです。果物を食事の「デザート」と考えず、欧米人のように「最後の一皿」として、もっと取る必要がありそうです。 食べ方は「生のまま」がおすすめ。ビタミンCは調理によって減少し、食物繊維はジュースに加工する過程で捨てられてしまうからです。 一人当たりの果物の消費量(kg/年) オランダ 146.0 イタリア 129.5 スペイン 107.2 カナダ 86.1 フランス 83.0 オーストラリア 77.3 デンマーク 66.1 米国 62.8 英国 61.7 日本 42.8 インド 28.4 中国 14.9 出典:国際農林水産統計(1996年)から
熟していないリンゴ(未熟果リンゴ)は、味が渋いのでこれまでは捨てられるだけでした。 リンゴの渋味には害虫を寄せ付けないはたらきがあることは分かっていましたが、渋味がネックになり、なかなか商品化されていなかったのです。 しかし、数年前に、未熟果リンゴの渋味には、お茶のポリフェノールと同じ成分が含まれていることが明らかになり、有効利用が進んできています。 がん予防のほか、虫歯予防や美白効果も ポリフェノールは、がんを予防すると注目されていますが、それ以外にも、虫歯予防、アトピー性皮膚炎のかゆみの抑制、肌を白くするという効果などがあります。これをいち早く商品化したのが、洋酒メーカーのニッカウヰスキーでした。 当初ニッカでは、発泡酒「シードル」をきれいなバラ色に染めるのに未熟果リンゴの渋味を使っていました。その後、渋味の中にポリフェノールとほぼ同じ成分が含まれていることが分かり、本格的に製造を開始しました。 菓子や化粧品にまで広がる 未熟果リンゴのポリフェノールは、お茶や赤ワインと違って苦みが少なく、水に溶けやすいのが特長です。最近では水に溶けやすい性質を生かして、粉末や液体の形で次々と食品メーカーを中心に商品化が進んでいます。 最も多いのが、虫歯の予防効果を狙ったガムやあめなどの菓子類です。今ではかなりの数の商品が出回っています。 広がりを見せる未熟果リンゴの再利用に対して、青森県の弘前市周辺のリンゴ農家から1500tのリンゴが集められるという動きもあります。 ただし、ポリフェノール成分濃度が高いのはピンポン玉程度の大きさのものに限るということです。