テーマに「ウォーキング(walking)」を採り上げてみました。ウォーキングは「歩く」の英語訳ですが、表現として日本語よりもsportyあるいはhealthyな響きを感じます。事実、厚生労働省の情報提供サイトe-ヘルスネット*1では、ウォーキングについて「「歩く」という老若男女を問わず行うことが可能な活動を、動作の質や強度を考慮することによって、健康増進や生活習慣病予防のための運動とすること」としています。そこで、ここではウォーキングの効用についての比較的新しい研究に紹介したいと思います。 目次 ウォーキングには座りがちなオフィスワーカーの体重と体脂肪を減らす効果が期待できる ウォーキングするなら森の中 ウォーキングは睡眠の質を改善する可能性がある 板倉先生ワンポイントアドバイス ウォーキングには座りがちなオフィスワーカーの体重と体脂肪を減らす効果が期待できる 外出機会の多い営業職や工事現場で働くブルーカラー職に比べ、オフィスワーカーは就業時間の殆どを席についたままの仕事に費やしています。この座ったまま長時間過ごす状態は体重増加、肥満につながり、心臓病や2型糖尿病などの慢性疾患を引き起こす危険因子になると考えられています。このような背景から、座りがちなオフィスワーカーの肥満解消や体脂肪を減らす方法としてのウォーキングの効果が研究されました。 この研究には中高年のオフィスワーカー68人が参加しました。参加者全員が1日1万歩のウォーキングを勧められた上で、24人が一定時間連続歩行を加えるグループに、22人が休憩しながらの断続的歩行を加えるグループに、残りの22人は特別な歩行プログラムは加えないグループ(対照グループ)に分けられ、それぞれのプログラムに10週間参加しました。 その結果、座りがちという行動パターンに変化がないなか、体重は対照グループ以外の2つのグループで減少し、体脂肪量と体脂肪率は3グループともプログラム開始前に比べて明らかに減っていました*2。グループ間の比較では、継続的歩行グループよりも断続的歩行グループと対照グループの方が体脂肪指標の改善度が明らかに高かったと報告されています。この研究結果の解釈は難しいのですが、1日1万歩ほどウォーキングすれば、一定時間連続歩行するなどのプログラムの追加をすることなく、10週間後には一日中座りっぱなしというオフィスワーカーでも体重と体脂肪をともに減らせそうです。 ウォーキングするなら森の中 どこでウォーキングするかも重要であることを示した日本の研究があります。60人の若い女性(平均年齢21歳)が参加したこの研究では、森の中と市街地でウォーキングの効果に差があるかどうかが検討されました。 その結果、森の中での15分間のウォーキングは市街地に比べて明らかにリラックスした状態をもたらし、逆に、市街地でのウォーキングは森の中よりも明らかに神経の緊張度を高めることがわかりました*3。また、森の中をウォーキングしたときの緊張-不安、抑うつ‐落胆、怒り‐敵意、倦怠感、混乱などの否定的な感情の高まりを示すスコアは、市街地をウォーキングしたときよりも低いことがわかったと報告されています。森の中のウォーキングは贅沢ですが、心身ともにリラックスしたい方にはお勧めです。 ウォーキングは睡眠の質を改善する可能性がある ウォーキングと睡眠の関係についても研究されています。この研究の対象は平均年齢49.4歳の中高年男女59人です。参加者は2,000歩/日を目標にウォーキングするグループ(歩行グループ)と目標のないグループ(対照グループ)に分けられ、歩数、歩行時間、睡眠の質と持続時間を4週間に亘って記録してもらう方法で、ウォーキングと睡眠状況の関係を検討しています。 検討の結果、まず、歩行グループの歩数は研究開始前に比べて明らかに増え、対照グループとの比較でも明らかに多かったことが示されました。また、睡眠の持続時間と歩数(身体活動性)の間に関係性はなかったのですが、歩数が多い(身体活動性が高い)ほど睡眠の質が改善したことが示されました。さらに、この関係性は男性よりも女性で顕著だったとされています。 健康にとって食事、運動、休養(睡眠)は欠かすことの出来ない3本柱です。このなかの運動の基礎となるのがウォーキングといえるでしょう。ウォーキングの良さは、自分の体調に合わせて加減することが出来ることです。無理をせず、楽しくウォーキングをすると食事もおいしくなり、睡眠の質も良くなるなど、体にとってさまざまな良い効果が期待できます。 ■参考文献 *1:厚生労働省情報提供サイトe-ヘルスネット「ウォーキング」 *2:Rodriguez-Hernandez MG, et al. PLoS ONE 2019; 14(1): e0210447 *3:Song C, et al. Int J Environ Res Public Health 2019; 16: 229 *4:Bisson ANS, et al. Sleep Health 2019; 5(5): 487–494 公開日:2021/05/12 監修:芝浦スリーワンクリニック名誉院長 板倉弘重先生
冬は寒くて運動も避けがちでダイエットが難しい季節ですが、暖かくなったと思ったら薄着のシーズンになるのもあっという間。後悔しなたくない、早いうちから対策をしたいというあなたのために、冬のダイエットのコツ、教えます。 目次 冷え対策はダイエットにもなって一石二鳥 冬は鍋やスープでダイエット 冬におすすめの運動は?冬ならではの注意点は? 冷え対策はダイエットにもなって一石二鳥 クリスマスや忘年会、新年会などが重なり、ついつい食べ過ぎてしまう冬の時期。寒くて運動も避けがちなので、ダイエットが難しい季節だと言えます。とはいえ、暖かくなる春先を迎えれば、あっという間に薄着のシーズンです。後悔しないためにも、早いうちから手を打っておきましょう。 冬のダイエットとして目を向けたいものの一つに、冷えの問題があります。体が冷えると血流が悪くなり、手足がむくんで、体型の変化や体重の増加が起きてしまいます。重ね着による体温調節とともに、冷えに良いとされる温かい食べ物や運動、入浴などは、それ自体がダイエットにも効果的なので、ぜひ実践しましょう。 冬は鍋やスープでダイエット 温かい食べ物と言えば、冬は特においしく感じるのが鍋やスープです。水分で満腹感が得られるので、食事の初めのほうで口にすれば、食べ過ぎ予防にもなります。野菜を多く食べることができ、調理の過程で流れてしまいやすい、水溶性ビタミンを摂れるのもうれしいところです。味付けのバリエーションも豊富で飽きにくく、唐辛子や生姜を使えば、体の新陳代謝を高める効果も期待できます。特に旬の食材は、栄養が豊富で味が良いと言われています。ただし、食べすぎには気をつけ、鍋の場合はシメの雑炊や麺は控えるようにすると良いでしょう。 冬が旬の食材 ●野菜 かぶ、カリフラワー、ごぼう、小松菜、大根、長ネギ、にんじん、白菜、ブロッコリー、ほうれん草、山芋、百合根、れんこん ●魚介類 エビ(養殖)、カニ、タラ、ヒラメ、ブリ、マグロ …など 冬におすすめの運動は?冬ならではの注意点は? 寒さのせいで運動をする気が起きないという場合は、運動不足を解消するために、せめて室内でストレッチをするよう心掛けましょう。基礎代謝を高めるには、筋力トレーニングで筋肉をつけるのが有効です。外出は必要となるが、屋内での運動として、スポーツジムや温水プールに通うのも良いでしょう。 外で運動ができるようであれば、ジョギングやウォーキングなどをしても良いでしょう。ただし、冬に屋外で運動をする時は、注意すべき点がいくつかあります。 冬に屋外で運動する時の注意点 ●ウォームアップをしてから始めよう 体が十分に温まっていない状態で急に運動を始めると、肉離れなどのケガを招くことがあります。必ず準備運動をしてから始めましょう。終えた後も、翌日に疲れを残さないために、ストレッチなどの整理運動をしましょう。 ●体温が調節しやすい服装をしよう 運動を始める前は寒いのですが、始めると途端に暑くなります。薄い服の重ね着や手袋、ニット帽など、しっかりと防寒対策ができ、かつ体温の調節がしやすい服装で出掛けましょう。 ●地面が滑りやすい日は休もう 雪が降っている時や、霜が降りている時、地面が凍結している時は滑って転倒しやすく、非常に危険です。運動は続けることが大切とはいえ、ケガをしてしまっては元も子もありません。無理をせず、休むようにしましょう。 冬季オリンピックのテレビ中継などで目にすることが多く、冬のレジャーの定番とも言えるスキーやアイススケートも、十分な運動となります。意外かもしれませんが、スキーやアイススケートの消費カロリーは、ジョギングや、遊びとして楽しむテニスやサッカーと同じ程度とされています。ケガには十分に気をつけて、冬ならではの運動として始めてみても良いでしょう。 公開日:2014/02/17
ウォーキングは続けてこそ、大きな効果を感じられるもの。長続きのためにも、ウォーキング中に起こりやすいトラブルの対処法を知っておきましょう。 目次 ウォーキング中のトラブル対処法 自分にあったペースをつかもう ウォーキング中のトラブル対処法 ●脳貧血 血液中の赤血球数、血色素量が正常より減少している状態が貧血です。立ちくらみがして目の前が真っ暗になったり、冷や汗が出たりするので、無理をせずすぐに休みましょう。 ●筋肉の痙攣 ふくらはぎや足先にけいれんが起こったら、すぐに足の指をそらしたり、下腿を伸ばす運動を繰り返します。ウォーミングアップをしっかり行って血液の流れをスムーズにしておくとよいでしょう。足のマッサージや足浴、足首の回転運動などを行うことで予防できます。 ●腹痛 食後すぐに運動したりすると横腹が痛くなることがあります。痛みを感じたら地面に腰を下ろして一時休息を取りましょう。予防のためには食前の空腹時にウォーキングをするのが一番ですが、食後にウォーキングをする場合は、できれば2時間以上たってから行うようにしましょう。 ●筋肉痛 日頃運動をしていないと、ももやふくらはぎなどが筋肉痛を起こすことがあります。マッサージなどでアフターケアをしましょう。 ●マメ、靴ずれ マメは焼いた針などで穴を開けて水分を出し、消毒してばんそうこうを貼るとよいでしょう。靴ずれができやすい人は事前にできやすい場所にばんそうこを貼ったり、石鹸やロウ、ワセリンなどを塗ってすべりをよくしておくとよいです。 自分にあったペースをつかもう いきなり無理をして歩いても長続きはしません。そこで、自分のペースをつかむためにひとつの目安にするとよいのが心拍数です。 心拍数は、厳密には脈拍数とは異なりますが、ウォーキングのときはそれで代用してもかまわないので、親指のつけ根側の手首や首の頸動脈で測りましょう。 そして、ウォーキング中は、目標心拍数を維持するように努めましょう。目標心拍数は、安静時の心拍数を元に、年齢や運動の目的に見合った心拍数を算出したものとなります。目標心拍数以下だと、脂肪の燃焼効率が悪くなり、逆にあまり高いと苦しくて続かなくなってしまいます。 下にその計算式を作ってみたので、ご参考に。 目標心拍数 男性:{209-(年齢×0.69)-安静時の心拍数}×運動指数+安静時の心拍数 女性:{205-(年齢×0.75)-安静時の心拍数}×運動指数+安静時の心拍数 ■運動指数とは? 上記の計算にある「運動指数」とは、どんな目的で運動するかを示す指数です。下の数値を使って計算しましょう。 運動の目的 運動指数背骨と腰 余分な脂肪を燃焼させたい、ダイエットしたい0.4 スタミナをつけたい、全身の持久力を高めたい0.5
ウォーキングを行うのに決まりはありません。自分の都合にあわせて、いつでもどこでも行えるのが特徴です。ウォーキングを行うポイントと、正しい歩き方をご紹介します。 目次 ウォーキングを行うポイント 正しい歩き方を知ろう! ウォーキングを行うポイント 時間帯 朝 目覚めたばかりでは体の調子も出ません。最初はウォーミングアップのつもりで始め、徐々にスピードを上げるとよいでしょう。 昼 交感神経の動きが活発で調整能力も高いので、運動にはいちばんよい時間帯です。なるべく時間を見つけて歩きましょう。 夜 激しい運動は疲労が溜まりますが、夕食前後の適度なウォーキングは深い眠りをもたらします。ただし、寝る2~3時間前には終わるようにしましょう。 時間 ウォーキングを習慣にするためにも、できるだけ同じ時間に行うのがおすすめです。1日のスケジュールをチェックして、30分~1時間ほど時間が取れるときを選んでみましょう。 ウォーキングを行う場所 好きな場所を選んでよいのですが、信号が多いところや人通りの多い場所は自分のペースが保ちづらいため、避けたほうがよいでしょう。 ウォーキングを行う道 でこぼこ道や砂利道は適していません。また、下り坂はひざを痛める可能性もあるので注意。 正しい歩き方を知ろう! 歩き方 腕 脚の運びに合わせてバランスをとるように振ります。肩の力は抜きましょう。 上体 まっすぐに保ち、目は前方に向けます。背を伸ばし、お腹は引き締めて歩きましょう。 ひざ 足が地面につく前に軽く自然に伸びている状態がよいです。かといって故意に伸ばしたり曲げたりしないようにしましょう。 脚 足が地面を離れたら、その足の力を抜き、足先をまっすぐ歩く方向に向けて自然に振りだします。つく時はかかとから。 足の運び方 足先を歩く方向にまっすぐ向け、中心線に沿って歩くようにします。かかとから中心線までの間隔は3cmほどで、つま先とかかとを結んだ線が中心線となす角度が15度程度がよいようです。歩幅は性別や基礎的な体力、年齢によって個人差がありますが、一般的には「身長-100cm」を目安にします。もっと急ぎ足の場合には、その3割増しを目安にするといいでしょう。 足のつき方 かかとから地面に接し、次に重心を小指に移し、最後に親指のつけ根で押し出して体を移動させます。腰が落ちた悪い歩き方をしていると、振り出しの足のひざが曲がってしまい、つま先で着地することになりひざに負担がかかってしまうので注意しましょう。 出典:「ウォーキングをはじめてみませんか」服部利夫監著 三心堂出版社
歩くことは簡単にできる大切な運動です。運動不足はいろいろな病気のもとであり、特に肥満になりやすくなります。有酸素運動のウォーキングは脂肪を燃焼するのに最適な運動です。 目次 ウォーキングが体にいい理由 脂肪を燃焼し、シェイプアップ! ウォーキングが体にいい理由 運動には2種類あります。 ●有酸素運動 大量の酸素を取り入れながらある程度の時間行う運動 ●無酸素運動 短時間に激しい運動をしているときにはほとんど呼吸をせず、運動が終わってから急に心拍や血圧が上がる運動 この有酸素運動の代表ともいえるのがウォーキングです。 体が脂肪を燃焼するには、体が温まり、血液の流れが盛んになることが必要です。つまり、脂肪を燃焼させるのに運動をし始めて10分~20分くらいの時間がかかり、最低でも20分は続ける必要があるといいます。 運動ギライな人、やろうと思っても続かない人などにとって、ウォーキングはあまりつらい思いをしなくても長時間続けられる有酸素運動であり、脂肪の燃焼に効果的といえます。 持久的運動におけるエネルギー産性 出典:「ウォーキング」(波多野義郎著)スパイク 脂肪を燃焼し、シェイプアップ! 生活習慣病やストレス解消に効果的だといわれているウォーキングですが、もっとも効果があるのは「脂肪の燃焼」かもしれません。 男性の場合、脂肪はまず腹部につき、ウエスト、上腕の後ろ側など上半身につく人が多く、女性の場合は腰の回り、下腹部、太ももなどの下半身に集中する場合が多いようです。 歩くときにはふくらはぎの下腿三頭筋、太ももの大腿四頭筋、おしりの大殿筋がよく使われるので、有酸素運動で脂肪を燃焼するだけでなく、とくに下半身をシェイプアップしたい人にとっては有効です。 脂肪のつきやすい部分
「仕事が忙しくて運動なんてしてる暇がない」というあなた。でも、ちょっとした心がけで、仕事の合間に体を動かすことができるんです。要は心がけ次第。まずは目標を決めてみてはいかがでしょうか。 目次 会社ではエスカレーターを使わない 1時間仕事したら簡単なストレッチング 通勤ウォーキング 良い姿勢で筋力アップ 会社ではエスカレーターを使わない 階段のぼりを5分行ったときのカロリー消費量は0.6kcal~0.65kcal。エネルギー的にはあまり効果がなさそう。しかし、1日数回の昇り降りを何年も続ければ、腹筋や下半身の筋肉を鍛えることができる。これらの筋肉は、便通や体中の血行に影響を与える大切な部分だ。 やり方はいたって簡単、基本的には普通に昇り降りするだけ。駆け上がったりするよりは、速足程度のテンポの方が効果的。慣れてきたら、次の2つも意識してみよう。 ●背筋を伸ばし「良い姿勢」を心がけ(ウォーキングのように、手を振るのはOK)、規則正しく呼吸する ●ときには、1段抜かし、2段抜かしに挑戦してみる(ゆっくりでいいので、足をぐっと上げるよう意識する) 1時間仕事したら簡単なストレッチング 長時間パソコンをにらんでいると、 目が疲れる 集中力がなくなる 無理な姿勢で体に負担がかかる などいいことなし。 そこで、1時間仕事をしたら5分程度休憩することをおすすめ。最終的にはそちらの方が効率アップになるはずだ。休憩タイムには、ストレッチでリラックス。 胸そらし 椅子に浅く腰掛ける 椅子の背を両手でしっかりつかむ(きつい人はもっと下を持ってもOK) 胸をゆっくりそらす(視線は上) 腰のストレッチ 両手で椅子の背をつかむ そのまま椅子の背の方向にゆっくり腰をひねる。※両足はつけたまま動かさないこと つま先を外側に向けて膝を広めに開く(足の裏はつけたまま) うずくまるようにしゃがむ 足の間に頭を入れる感じで 背中を丸くする 首と肩のストレッチ 背筋を伸ばしあごを引き、手を耳の後ろにあてる 息を吐きながら、首を斜め前方向に倒す(手で押しながら) 通勤ウォーキング 体内の中性脂肪を燃やすためにも、生活習慣病の予防にも効果があるのが1回30分間のウォーキング。状況が許せば、通勤時に一駅分歩くようにしよう。最近はスーツと組み合せても違和感のないシューズがあるので、購入してみてはいかが。 良い姿勢で筋力アップ 階段昇りやウォーキングはきつすぎるという方。これならできるはず。 通勤時などに、きちんとした姿勢を心がけること。体に力が入るからわずかながらも筋力アップに貢献するはず。 最初は2~3分くらいで一休み。慣れたらだんだん時間をのばしていこう。 公開日:2000年12月25日
おすすめは「速歩」 余分なエネルギーを消費したり、健康な体づくりのために、1日1万歩は歩こうと厚生労働省などが進めています。 歩き方によって消費されるカロリーはずいぶん違います。 成人が安静時に消費するカロリーは、1分間に約1kcalです。 歩行の種類 毎分の距離 スピード感の目安 毎分消費カロリー 300kcalを消費する時間 散歩 50m 文字どおりブラブラ歩き 2.7kcal 110分 平常歩 75m 意識しないで普通に歩く 3.3kcal 90分 速歩 90m 大またでサッサッと歩く 4.2kcal 60分 急歩 120m 大またで力強く息を切って歩く 7.9kcal 38分 体重60kgの人で計算 出典:波多野義郎ほか、1985年 散歩、平常歩、速歩、急歩とカテゴリー分けしてありますが、これはあくまでも目安です。酸素を多く取り入れる運動としてのいわゆるエアロビクスのレベルでは、速歩に取り組むことをお勧めします。 これだと、300kcalは、約1時間で消費できます。結果として身体活動を活発にし、健康づくりに役立ちます。 長続きする歩き方をする 速歩や急歩が消費するカロリーが多いとはいえ、毎回、速歩や急歩ができるとは限りません。疲れている場合もあります。その時は散歩でも平常歩でもいいのです。 無理を続けて結果的に休んでしまうよりも、自分に適した歩き方を見つけてマイペースで長続きさせることが大切です。
地図の選び方 ウォーキングの楽しみの一つは、知らない土地を歩くことです。そのため地図は必需品です。地図の選び方は次のようなことです。 目的に合った地図を選ぶ 街歩き、ハイキングなど歩く場所によって選ぶ地図は違ってきます。街歩きならば、県別や都市単位別にハンディな地図帳が出版されていますし、ガイドブック程度のも ので十分です。また、ハイキングなど野山を歩く際はガイドブックの外に地形図(2万5000分の1、5万分の1)があった方が便利です。 いずれの場合も、最新版を選ぶことを忘れないでください。地下鉄や高速道路が次々に開通する現在、古い地図では役に立たないことが多いのは言うまでもありません。 目的地発行の地図やパンフレットを集めておく これから行こうとする土地では、たいてい地元の観光課や観光協会が発行するイラストレーションや写真が入った案内パンフレットがあります。また、インターネット 上に詳しい地図を載せている自治体もあります。事前に問い合わせ、集めておくと、その土地の新しい情報や祭りなどのイベントについて知ることができます。
歩数計で1週間の目標をつくる ウォーキングは基本的に、その速さや歩数を他人と競うものではありません。 あくまで体力維持や健康増進のためですから、無理は禁物です。 健康ウォーキングは、1日1万歩が効果的ですが、歩数の計算には1分間にどの位歩けるかをおおよそ測定し、それに歩いた時間を掛ける方法があります。 しかし、万歩計を利用するとさらに細かな測定ができます。仕事中や通勤中などあまり意識をせずに歩いている時の歩数も知ることが可能です。 朝、出勤する時腰につけるだけでその日のトータルの歩数が出るので、目標・計画をたてるのに便利です。 できるだけいい歩数計を選ぶ 現在、数多くの歩数計が販売されていますが、できるだけ高額のものを選んでください。価格の安いもののなかには、ほんのわずかな振動でも歩数を記録してしまったり、不正確な積算になってしまうことがあります。 正確な記録を取るために購入する物ですから、精度についてお店でよく確認してから購入を決めることをお勧めします。
足のサイズを正確に知る ウォーキングのアイテムとして一番大切なのは、何よりもシューズです。では、どんなシューズを選んだらいいのでしょうか? サイズの合わないシューズで長時間歩いていると疲れるだけでなく、体のいろいろな所に障害を生んでしまいます。自分のサイズと思って履いたならば、次の点を確認しましょう。 つま先を付けて踏み出した時、親指の付け根と小指の付け根を結んだ線に、少しも違和感がないこと 歩いた時、かかとの部分がすっぽりと包まれていること 指先がきつくないこと クッションが適度であること
ギャラリー間の移動はテンポよく 忙しい日常生活の中では気づきにくいですが、じっくり探してみると、街によっては美術工芸品を扱うギャラリーが数多くあります。 定期的にギャラリー巡りをしていくと、新しい美術との出会いが生まれるほか、何度も観ている作品にもまた違った表情を発見することもあります。 ギャラリーは点在していますので、歩いて3、4ヵ所回るだけでも2、3時間は掛かります。作品を鑑賞するだけでなく、アーティストとのコミュニケーションを通じて、日常では体験できない、思いもしない発想に出会うこともあります。そうなれば、足しげく通うきっかけの一つとなり、相乗効果が生まれます。 早足で歩くことは、作品の中に息づく風景などを思い描きながら情感を整理するのに適しています。リズムよく軽いフットワークで歩き、次のギャラリーへ向けて気持ちを切り替えます。 いつも新しい発見がある ギャラリーの作品は、1、2週間で替わることがほとんどです。ですから、毎週ギャラリー・ウォークをしていけば、いつも新しい発見と出会えます。タウン情報誌や新聞などでギャラリー情報は簡単に手に入ります。自分に合った、興味を示すものからのぞいてみましょう。
運動をしないと、カルシウムやリンは体外へ排出される 最近の子供は骨が弱く、よく骨折を起こすと言われています。塾や習い事に束縛されて思い切り遊ばなくなったことによる運動不足も原因の一つでしょう。 運動が不足すると骨が弱くなるのは子供ばかりではありません。長期にわたって寝たきりになっている人の尿からは、カルシウムやリンの排泄量が増加します。骨の主成分であるリン酸カルシウムが分解されているためです。 「人間の体は使えば使うほど発達し、使わなければ萎縮してしまう」というルーの法則どおり、筋肉や骨においても同じことが言えます。運動をしない人は、上体はたくましくても腕や脚は細くなっていきます。 骨そしょう症対策にも運動を 生体内では、血液中のカルシウムが一定の値を示すように調節機構が働いています。骨には体の中のカルシウムの99%が蓄えられています。 血液中のカルシウムが何らかの原因で低下すると、骨からカルシウムが引き出されて血液中のカルシウムを補います。この状態が長く続くと骨のカルシウム貯蓄が減って骨そしょう症になるのです。 運動が骨へのカルシウム貯蓄を助け、骨の量を少しでも増やしてくれること、また運動が骨折の発生源の一つである転倒を防止してくれることをしっかり頭にとどめましょう。 従って、毎日の生活の中で、座るよりは立つ、立つより歩く、ゆっくり歩くより速く歩くことを心掛け、その上で、1~3kgのダンベルを利用した軽い筋力アップのトレーニングも加えると骨そしょう症対策として高い効果が期待できます。
まず自宅を中心として 作家で画家の赤瀬川源平さん、イラストレーター南伸坊さん、建築家の藤森照信さんらによって発足した「路上観察学会」の刺激もあって、街歩きが盛んになってきました。その理由としては次のようなことがあります。 どの街にも歴史があり、それを知る楽しみがある。 歩くことによって、心身がリフレッシュされる。 気軽にだれでもできる。 サークル活動など通じて仲間ができる。 歩くという単純な行動ですが、目的を持つことによって、新しい楽しみ方も生まれてきています。 街歩きはどこから始めてもいいのですが、自宅周辺から始めてお気に入りの街まで足を伸ばすやり方もあります。 そして、自分なりの街歩きのルールを作ることをお勧めします。 月に何回歩くのか、距離はどのくらいにするのかなど、だいたいのルールで結構です。そして、文章・写真などで記録を取る習慣をつけるとさらに楽しみもわいてきます。 用意するもの ハンディな地図 歩きやすい靴 下着の着替えやタオル スポーツドリンク、水 メモ帳、カメラ リュックサック 荷物は歩く時の負担にならない重量・サイズにまとめ、歩き疲れた時を考慮して少し余裕を持つことが肝心です。
大脳に司令する緊張筋線維 年を取ると脳への酸素の供給が少なくなり、脳細胞が退化してしまうために起こる現象が「ぼけ」です。 しかし、脳に酸素が効率よく供給されれば、脳細胞の退化はある程度防ぐことができます。脳を老化させないためには、筋肉の中の緊張筋線維を使う運動をすることです。電車の中で立っていたり、朝の散歩を1時間することが脳には効果的なのです。 スポーツを行う時に主役となる脚筋の中の相性筋線維は、大脳からの司令によって動き、自ら大脳へ司令を送ることはあまりしません。一方、緊張筋線維は、立っている時や歩いている時など無意識に動いているような時にも大脳へ姿勢保持の情報などを多く送っています。 緊張筋線維は日常生活の中で常に使われているため、少しでも使わないでいると、機能が低下し、衰えてしまいます。けがや病気でベッドで何日も過ごした後、うまく歩けなかった経験などをお持ちの方も多いことでしょう。 歩くことに意欲がわく 速歩は、通常歩いているより少し速度を上げるため、普段と違った歩き方をしていることになります。すると、姿勢保持や腰、ひざ、足首の使い方に対して筋肉と脳とが、忙しく情報交換をします。意識して速歩を続けていれば、リズミカルにもなり、歩くことが楽しくなって意欲がわいてくるでしょう。
エアロビクスのレベル エアロビクスの基本は、 移動運動(歩く、走る、跳ぶなど) 身体各部位の運動(曲げる、伸ばす、ひねる、振るなど) の2つから構成され、次のような強さのレベルがあります。 (1)ウォーキング・レベル最高脈拍数の60%を目標にしたもの (2)ジョギング・レベル同じく70%を目標にしたもの (3)ランニング・レベル同じく80%を目標にしたもの 中高年にはウォーキングかジョギング この場合のウォーキングは、速歩レベル(毎分90m程度)で歩いて、5分以上続いたものです。エアロビクスのウォーキング・レベル、すなわち最高脈拍数の60%に達するためには、20分も歩けば十分です。 いきなりランニング・レベルを目指すのではなく、外出の折などの時間を有効に活用してなるべく歩き、長期的に、じっくりと取り組んでゆくのが中高年向けのエアロビクス活用法と言えます。
年齢差よりも生活内容による違いが大きい 日本人は平均して1日どれだけ歩いているのでしょうか? 厚生省の調査によると、男女差がありますが、20代から50代で平均8000歩位というデータがあります。 もう一つ、少し古いですがいろいろな場合で測定した歩数データがあります。これによると、マイカー通勤や休日で家の中に居る場合は、1日の歩数は極端に少なくなっています。 これに対して、電車やバスで通勤したり徒歩通学する人、主婦でもスポーツ好きの人は、多くの歩数を記録しています。以上のことは、生活内容の違いで歩数の差が大きく開くことを意味しています。行動パターンのちょっとした工夫で歩数は多くなるのです。 日本人は1分間で100歩が目安 歩数を稼ぐには、歩く機会を作ることですが、1分間に100歩を目標にするとその計算が楽になります。 例えば、家から駅まで7分、乗りかえに2分、駅から会社まで7分とすると、1日に往復で32分。つまり、3200歩になります。これ以外に、会社から外出するための時間をプラスすると、サラリーマンは結構歩いていることになります。
歩くための10のアドバイス アメリカの厚生省は、青少年の体力作りのために「大統領体力・スポーツ審議会」を1956年に設け、以来、啓発活動に力を入れてきました。その審議会は、歩くための10のアドバイスを指摘しています。 靴は、底部に弾力があり、ひもで結ぶタイプのランニングシューズを履く。 車に乗るよりも、歩く。 一度に長時間よりも、分割して歩いてもよい。 昼休みを有効に使う。20~30分歩いた後は、食事もおいしい。 1週間のうち3日は、せめて20分間の速歩をする。 満腹時は歩かない。食後、1時間半経過が目安。 歩数計を腰に、1日1万歩を目標に。 途中で、決めた時間ごとに脈拍を測る。1分間の計測が好ましいが、10秒間計ったものを6倍にしてもよい。 歩く習慣とともに、栄養のバランスを考慮することも習慣づける。 自分のペースを守って歩く。犬を連れての散歩は、自分のペースを乱されることが多いので注意。
運動するとインシュリンの効果が大 糖尿病の基本治療は食事療法・薬物療法・運動療法ですが、とりわけ食事と運動は、車の両輪に例えられるほどに重要なものです。 運動療法の主な効果は、運動した筋肉でインシュリンに対する感受性が良くなることによります。まだインシュリンがたくさん出ているうちに、筋肉を鍛え、筋肉のインシュリンに対する反応を良くしようというものです。 ここでは、軽度の糖尿病患者の方が運動することによって症状が改善される効果的な方法を考えてみます。 病院での運動療法も速歩中心のプログラム 運動は週1回長時間行うよりも、毎日規則正しく、平均して一定量を続けるのが有効です。また、糖尿病の人は一般の人よりも動脈硬化が進んでいると考えたほうがよいので、激し過ぎる運動はいけません。といって、だらだら歩きの散歩では効果が上がりませんから、だいたい1分間に80mくらいの速さの速歩を朝夕それぞれ30分間行うのが効果的です。 そして速歩の合間に体操や10分程度の静的な筋力トレーニングを取り入れると効果的です。筋力運動は、筋肉の中に蓄えられているグリコーゲン(糖)を燃焼させるため、インシュリンを必要としないで糖代謝を行うことになるからです。 毎日の運動の積み重ねと正しい食事療法が糖尿病対策には欠かせません。
善玉が増えると悪玉が減る 脳卒中を予防するためには、心臓や脳の中を走っている動脈を老化させない努力が必要です。特に血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪、線維素という物質を必要以上に増やさないことが大切となります。 運動は、悪玉コレステロールの酸化を起こしにくくし、その中でも特に悪玉とされる高密度小粒子のLDLの割合を減らします。更に動脈硬化を予防するはたらきとなるHDL(善玉)コレステロールが逆に増えるということが分かってきています。コレステロールと中性脂肪は、脂肪性の物質ですから、速歩のような中等度の運動を長時間続ければ続けるほど消費されてよいというわけです。 2種類の運動を組み合わせる 線維素という物質は、血液凝固を促進させ血栓などを作る原因となりますが、弱い運動ではなかなか溶けません。少々強い運動を行うことによって、線維素を溶かす機能が高まるといわれています。 ですから2種類の運動が必要となります。例えば、速歩をできるだけ長く続け、その間に急歩やジョギングを少しはさむというプログラムです。ただし、ある程度歩いて体が温まり、心臓も慣れてきてから少し激しい運動を取り入れるようにします。
脂肪が燃えるのは20~30分後 速歩で体の脂肪を取り除きたいと考えている方も多いと思います。そこで考えなければならないことは、運動量が少なければ脂肪の燃える量は少なく効果は上がらないということです。 運動を始めると、まず筋肉内の糖分がエネルギーとして消費され、次に血液中のブドウ糖が消費され、糖分を使い終えてから、最後に脂肪がエネルギーとして使われるのです。 このように脂肪燃焼に行きつくまでには、少なくとも20~30分以上運動を続けることが必要です。従って、短期間の計画でなく、長期計画で行わなくてはなりません。 例えば1日70分間速歩をすると消費エネルギーは300kcalとなります。これを毎日続けると1年で10万9500kcalです。9kcal分の運動で脂肪1gが燃焼されますので、12kg強の脂肪を燃焼させることに相当します(109500kcal÷9kcal)。 何年間にわたって貯め込んだ脂肪ですから消費するのも時間が掛かります。 長時間の速歩が効果的 さて、運動は激しいものほどエネルギーの燃焼は大きいので、それだけカロリー消費量が高いといえます。しかし、100m走などの短時間の運動では効果がありません。そのエネルギーには脂肪より糖分が使われるという代謝のメカニズムがあり、激しい運動が脂肪を燃焼させるのに好都合というわけにはなりません。 従って、体の脂肪を取り除くためには、できるだけ長時間、毎日か1日おきくらいに速歩を続けるのが一番の近道といえましょう。
ウォーミングアップとクールダウン 歩くというのは、極めて日常的な動作ですから特別にウォーミングアップの必要はありません。しかし、トレーニングとしてのウォーキングであれば、ランニングと同様にウォーキングの前のウォーミングアップ、終わった後のクールダウンのストレッチングを取り入れましょう。 ウォーミングアップはこれから始める運動に対して、筋肉や内臓にその準備をさせるためのもので、クールダウンは運動後の興奮状態にある機能を徐々に鎮めるためのものです。体の筋肉や筋を十分に伸ばしてあげるのがストレッチングです。 ストレッチングで筋肉を暖め、ひざや足首の関節も柔軟にすると、アキレスけん切断などの事故を防ぎ、スピードアップにも無理なくついていけるようになります。また、ウォーキングで収縮した筋肉は、そのままにしておくと固くなって痛みを誘う原因になるので、ストレッチングでほぐすようにします。 ストレッチングの基本 ストレッチングは体の大きな筋肉から、反動をつけずにゆっくり行うのが基本です。どの方法でも20秒ほど、リラックスし、呼吸を止めずに、どこを伸ばしているか意識して行います。痛みを感じるほど無理に伸ばしてはいけません。できるだけ全身の筋肉をまんべんなく行いましょう。
30分は約3~4km 1日の生活の中に、意識して歩く時間を取り入れましょう。30分程度でいいのです。30分間の歩行は、およそ3~4km程です。これなら会社や買い物の行き帰りにもできます。 週に3、4回が目安 それも1日1回でいいのです。始めのうちは1週間に3~4回程度、規則的にできるようになるのを目標とします。もちろん、日課として毎日無理なくできるようになれば最高です。 たった30分で健康・体力づくりが…?との心配は無用です。歩いた後には充実感が得られるようになります。どんなに激しいスポーツでも、瞬発的、間欠的な運動が中心になっていますから、30分間の持続的な歩行は相当な重み、価値を持っているといえるのです。
姿勢を正しく伸び伸びと せっかくウォーキングに励んでも、正しい姿勢で行われていなくては効果も薄いのです。骨や筋肉に負担をかけるので疲れやすく、歩くのがいやになってしまいます。 どうせ歩くなら、格好よくスマートに歩きましょう。そのポイントをいくつかあげてみます。 立っている姿勢からまず直していきます。背筋をピンと伸ばし上体は真っすぐ、腹部を引き締めてあごを引き、目は前方を見つめます。腰の位置を高くして、地面を押し出す際はひざや足首を十分に伸ばすようにします。 このような高い姿勢で伸び伸びと歩けるようになると、歩幅も最高に伸びて快調な歩行スピードが得られます。 さあ、さっそうと歩いてください。 かかとからつま先へ 次に正しい足の運びを意識してみます。着地はかかとから柔らかく入り、足の裏全体に体重を乗せてつま先をけり出すように地面から離すのです。この地面から足を離す時に、足の指で地面をつかむような感じを意識しましょう。親指と親指のつけ根部分で地面をキックし、足首全体で支え、かかとで着地するということです。 かかとからつま先まで足部全体を十分に使えるように歩くことは、足を鍛えるだけでなく、全身の健康・体力づくりにも大いに役立ちます。 効果的な腕振りをする ふだんの歩行では、荷物やバッグを持って歩くので腕振りが十分できませんが、トレーニングの歩きではできるだけ両手をフリーにして効果的な腕振りを心掛けましょう。 あまり大きく振る必要はありません。腕は自然に伸ばして前後にテンポよく振ってください。腕を振ることによって歩幅も大きくなり、足の踏み出しのリズムもつかみやすくなります。 バランスよくリズミカルに ウォーキングを気持ちよく続けるには、リズムに乗ることが大切です。 部分的な動作は少々悪くても、全体的にバランスが取れて、リズムを感じさせるフォームを目指しましょう。 だんだん腕の振りと足の運びがスムーズになってきたらしめたもの、速度をアップし、歩幅も広げ、一定のペースでウォーキング!
まず2kmから 走ることはもちろん、歩くことさえずっと少なくなっている現代人が、自然な歩きを跳び越えて、いきなり走り出すのは考えものです。そこで歩く楽しさを求めながら、ウォーキングを健康・体力づくりに役立てていきましょう。 まず、2km以内、時間にして15~20分間以内ならば、迷わず歩きましょう。2km前後といえば、バス停とバス停の間で一駅、都心の地下鉄でも一駅くらいです。一度、歩いてみてください。なんだこんなに近かったのかと、新しい発見をするはずです。 ビルの中でも積極的にトレーニングしたいものです。エスカレーターやエレベーターを避けるのも一つの方法です。階段の上り下りは、平地歩行に比べると変化に富み、運動強度も十分で効果的です。平地を歩くときとは違うお尻の筋肉が鍛えられるのでヒップアップにも役立ちます。ただ、無理をせず、楽しんで歩くことが大切です。気が向いたらやってみるということから始めます。一日置きでもいいでしょう。 筋力トレーニングも一緒に ところで、運動不足で腹筋や背筋、脚筋などが衰えている人は、どうしても歩くのが苦手になっています。そういう人にはウォーキングと平行して行う筋力トレーニングをお勧めします。歩きながら片足跳びやつま先歩きをおり混ぜたり、縄跳びを習慣づけたりして、足はもちろん全身の筋肉を鍛えるようにしましょう。 そうすれば、歩くスピードがアップしてウォーキング効果も上がり、少しハードなアウトドア・ウォーキングやジョギングのあとも、筋肉痛には悩まされません。
300kcalは1万歩で 厚生労働省によると、日本人が1日に取るカロリーは、平均して2200kcalです。そして、生命維持に必要なカロリーは人によって違いますが、だいたい1300~1500kcalといわれています。歩いたり、動くことによって、600~800kcal消費されますが、多くの日本人の場合、1日当たり100~300kcal余ってしまうということです。 100kcalといっても脂肪に換算するとわずか11g。なんだこれだけと思っていても、日々積もり積もると、たちまち大変な量になってしまいます。 体重60kgの人の場合、1分間100歩のペースで歩くと約3.3kcalを消費するといわれています。30分歩けば約100kcalです。従って、100kcalを消費するのに、大人で3000歩・30分が目安になります。ちょっとカロリーが余り気味だという人は、仮に300kcalオーバーだとして、9000歩・90分を目安に歩くとちょうど消費できる計算になります。 9000歩・90分では覚えにくいので、1日1万歩・100分という数字が一般化しているわけです。 小さな工夫で1日100分 1日100分とはいえ、毎日のこととなると結構これは大変です。日々の小さな努力を積み重ねることを考えないと長続きしません。例えば、駅までバスを使うことをやめたり、エスカレータやエレベーターでなくできるだけ階段を使うとか、休日でも家の中にいないで、積極的に外に散歩に出るなどの工夫をしてみましょう。
江戸時代の話 昔といっても、幕末のころの江戸の話です。馬を使う以外、あとは原則的に歩くほか目的地には行けない時代です。この時代は、江戸といってもきわめて狭い範囲に人々は住んでいました。今でいうと、北は、上野・浅草、東は、本所・深川、西は、四ッ谷、南は品川あたりまでで、江戸城から5km以内にほとんどの人は住んでいました。 1万歩以上は楽に歩いていた 1歩の歩幅を<身長-100cm=歩幅>で計算してみますと、幕末の日本人の平均身長は150cmの半ばから160cm前後と考えられていますので、55~60cmぐらいでしょう。 1日10km歩いたとして、約1万6000歩。1分間に100歩、1時間に4km歩いたとしても、10kmだと1万5000歩にもなります。 以上の数字は、あくまでも類推ですが、車のなかった幕末には、歩く以外なかったのですから、武士も町人もみんなせっせ、せっせと歩いたわけです。