「新顔野菜」はどこからやってきた? 見慣れない野菜が増えている。 スーパーの野菜コーナーに行くと、見たこともないような野菜に目を奪われる。通常の何倍もあるお化けサイズ、まるでパッションフルーツのような華やかな姿かたち。見るだけでも楽しいこれらの野菜はいつ、どのようにして生まれたのだろうか? そもそも「新顔野菜」に定義はなく、大まかに言って次のようなジャンルの野菜を「新顔野菜」と呼んでいるようだ。 1. 料理の専門家のみが使用し、一般には流通していなかったもの 2. 海外から輸入されたもの 3. 品種改良によって生まれたまったく新しいもの たいていはこのどれかに該当する。品種改良によってできた野菜は、従来の野菜の良いところをかけあわせているため、味も良く、栄養価も高いことから人気は急上昇中だ。 新顔野菜はアピール上手? 「はなっこりー」は山口県農業試験場で中国野菜のサイシンを母親、ブロッコリーを父親として育成され、1996年より栽培され始めた山口県の新しい野菜。いわゆる品種改良によって誕生した新顔野菜だ。地元では「はなっこりー」を市場に浸透させるため、イメージキャラクターやテーマソングまでつくられ、積極的な販売促進が展開された。以前からある野菜にくらべ、新顔野菜はその特徴を生かした宣伝攻略も目立っている。 出世頭は「エリンギ」 株式会社日本能率協会総合研究所が1997年と2004年の2回、消費者に対し新顔野菜の購入経験について調査したデータがある。それによると、2回目の調査で購入経験が最も増えたのは「エリンギ」で7→64%と57ポイントも増加。「水菜」31→64%、「フルーツトマト」16→47%、「ゴーヤー」20→50%、「ルッコラ」7→35%と続き、これらの野菜は7年間で大出世を遂げたと言える。食生活の多様化など消費者側のニーズに沿い、今後ますます野菜の種類はにぎやかになっていきそうだ。 野菜不足に期待のニューフェイス! 新顔野菜の存在感が増す一方、私たち消費者が野菜を食べる量は、じつは減ってきている。健康意識が高まり、野菜の栄養価や健康効果に関する興味・関心も高まっているにもかかわらず、じっさいに口にする量はどんどん減ってきているのだ。20代、30代では目標量(1日350g)の約7割しか野菜を摂取できていないという報告もある。「もっと食べなくてはいけない」と認識している人が多いにもかかわらず、現実には野菜離れが進んでいると言っても過言ではない状況だ。 見て楽しい、食べて美味しい新顔野菜なら、子どもたちもきっと抵抗なく食べてくれるはず!野菜消費の減少に歯止めをかけるためにも、新顔野菜の役割がますます期待される。 公開日:2007年9月3日
もともと医学用語の薬味には、食欲を増進させるほか、冷えた体を温めたり、殺菌効果などさまざまな作用がある。代表的な日本の夏の薬味について、その役割をご紹介。 目次 夏の定番料理には、なぜ薬味がついてくる!? 薬味カタログ:わさび 薬味カタログ:みょうが 薬味カタログ:しょうが 薬味カタログ:葉ネギ 薬味カタログ:実山椒 夏の定番料理には、なぜ薬味がついてくる!? 暑くて食欲があまりないからと、そうめんなど、つい冷たくてあっさりした食事に偏ってしまいがちな季節。そんなときこそ薬味の出番だ。もともと、薬味は医学用語であり、中国最古(1~2世紀)の書物「神農本草経」にもその記述がある。さまざまな薬味の使い方には、先祖の知恵がたくさん隠されているのだ。 日本は、世界の中でも珍しくスパイスが発達しなかったかわりに、生で食べてもおなかを壊さないよう薬味を使ってきた。食欲を増進させる、水分の摂り過ぎで冷えた体を温める、食べ物の腐敗や、食あたりを防ぐ殺菌作用などがある。薬味は、夏を乗り切るスタミナをつけるためには欠かせない、小さな主役。代表的な日本の薬味の役割を紹介しよう。 夏にはコレ!薬味カタログ わさび 日本の深山の清流に自生していたアブラナ科の植物で、古くは奈良時代から食用として利用されてきた。江戸時代に栽培が始まり、握り寿司の必需品となる。直射日光の当たらない、山間の清流に育つ。チューブ入りわさびの香りが、生のわさびの爽やかな芳香にかなわないのは、ほとんどが西洋わさびを使っているため。ちなみに、西洋わさびはローストビーフの薬味の定番。 薬効: 辛味成分のアリルからし油が、抗菌、虫除け、抗カビ効果を発揮。食中毒を引き起こすO-157、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌などの増殖を抑える作用もある。6-メチルスルフィニルヘキシルからし油という成分は、抗がん作用があるとの報告も。そのほか、わさびには、食欲増進作用、血栓予防作用、鎮痛、止痢作用、骨増強作用などがある。 料理マメ知識: 握り寿司や刺身にわさびを使うのは、強い防腐・殺菌作用を利用したもの。 わさびは金気を嫌うので、生のわさびをすりおろすときは、できれば目の細かいサメ肌のおろしを使い、茎のほうから練るようにする。金属のおろし金を使うときは、すった後にすぐ別の容器に移すこと。保存するときは、ぬらした新聞紙に包みラップして、冷蔵庫に入れておけば1ヵ月はもつ。 みょうが 熱帯アジアが原産で、本州以西の日本各地で自生するショウガ科の多年草。初夏から秋にかけて地下茎の先端から伸びる花穂の開花前のものを食用とする。若い茎を、光を当てずに栽培したものは、「みょうがたけ」と呼ばれる。野菜として栽培しているのは、日本だけ。東京の地下鉄丸の内線にある「茗荷谷」駅は、江戸時代にこの辺りがみょうが畑だったことからくる。 薬効: α-ピネンという精油が、胃のはたらきを活発にするため、食欲増進に役立つ。大脳皮質を刺激し、頭をしゃきっとさせる。血行をよくする作用もあるので、風邪のひき始め、リウマチ、肩こり、腰痛、神経痛にもよい。 また、ホルモンのバランスを整えるので、生理不順、更年期障害、生理痛などに有効。熱を冷まし解毒効果があるので、夏バテによい。ちなみに、みょうがを食べると物忘れがひどくなるというのは迷信。 料理マメ知識: 香りがきつすぎると感じたら、刻んでからさっと水にさらすとよい。肉と一緒に炒めて付け合せにすると、脂っこさが和らぎ食べやすくなる。漬物に刻んだみょうがを混ぜると風味がよくなる。 しょうが 熱帯アジア原産で、中国では紀元前500年頃から薬用にされ、日本には縄文時代の後期に、稲作とともに伝えられたらしい。厄除けや魔除けとして使われることもあり、江戸時代には神社の祭りに、ショウガ飴やショウガ湯を売る店が出た。 薬効: 辛味成分のショウガオールは健胃、発汗、解熱、保温作用があり、風邪のひきはじめや消化器疾患、呼吸器疾患に有効。唾液のジアスターゼの作用を促して消化を助け、細菌の活動を抑える。血行をよくするはたらきがあるので、発汗を促し代謝をよくする。 料理マメ知識: 親指大くらいの量をすりおろし、湯のみ1杯の熱湯に入れ、ガーゼで漉して飲めば、吐き気やむかつき、げっぷが治まる。強い辛味で味覚と臭覚を麻痺させるわさびに対し、臭みそのものを消すしょうがは、臭みの強い青魚の刺身や寿司に使われる。 葉ネギ 日本へは奈良時代に中国から伝来し、食用として栽培されてきたと言われる。ネギにはさまざまな種類があるが、夏の主役はやはり青い部分を食べる葉ネギ。関西で主流の青ネギ、埼玉県で作られる岩槻ネギなど。九州特産の万能ネギも、よく出回っている。 薬効: 独特の香りと味の元となる硫化アリルは、血行をよくし、解毒作用、消化促進作用がある。白ネギと比べ、粘膜を丈夫にするカロテンは5倍以上、抵抗力をつけ美容によいビタミンCは2倍以上も含む。B1、B2、E、カルシウム、リンなども豊富。疲労回復、不眠などにもよい。 料理マメ知識: 体を温め辛味の元となるアリシンは、長時間置くと揮発してしまうため、なるべく切ってすぐ使うことを心がけよう。 実山椒 柚子と並んで日本料理の二大香辛料とされる。縄文時代から使われてきたらしく、古くは「ハジカミ」と呼ばれていた。柚子もそうだが、庭木としてよく植えられているのは、昔から頻繁に使われてきた証といえるだろう。若葉は「木の芽」として使われ、ちりめん山椒などに用いる実山椒は6月に出回る。 薬効: 実には精油が含まれており、その香り成分のシトロネラールや辛味成分のサンショオールなどが、中枢神経を刺激し内臓のはたらきを活発にする。実山椒には、健胃、解毒、消炎、整腸などの作用もある。 料理マメ知識: ぬか床に混ぜると、漬物の風味がよくなりぬかの保存性も高まる。辛味が非常に強いため、摂り過ぎには注意。 そのほか、青じそもこの季節に活躍する薬味の代表的存在だ。爽やかな香りで食欲を高め、殺菌、防腐、解熱などの作用がある。くわしくは、「今が旬!シソこそ現代人の強い味方」を。 公開日:2005年7月4日
毎年やってくる蒸し暑い日本の夏。そんなときに、暑いからといって冷たいものばかり食べていると夏バテしてしまう。夏野菜は夏バテ防止に効果を発揮する要素がいっぱい!夏のパワー不足にうまく活用してみよう。 目次 夏野菜の秘めたるパワー 不足しがちなビタミンを補給 水分補給の強い味方! 夏にはこんな野菜もおすすめ! 夏野菜の秘めたるパワー 暑いからといってそうめんやそば、冷奴といった冷たいものだけですませていると夏バテしてしまう。炒め物や煮物といった熱い料理も必ず食卓に並べ、野菜や水分を十分に摂ることが必要である。 食欲がないときは、酸味をきかせる味付けにしたり、シソやみょうがなどの香味野菜やハーブを利用するとよい。疲れやすい夏は、普段以上にしっかり栄養を摂る必要がある。今回は夏を乗り切るパワーの源、夏野菜を紹介しよう。 不足しがちなビタミンを補給 暑さに対する抵抗力をつけるビタミンC。糖質や脂質をエネルギーに変えるビタミンB1。カロテンやビタミンEには、老化防止や抗酸化作用がある。ビタミン類が豊富な夏野菜はコレ! トマト 夏に威力を発揮する成分:ビタミンC、カロテン、抗酸化作用の強いリコピンなどが豊富。食べられる野菜として普及したのは19世紀と歴史は浅いが、いまや世界中で愛されている。 トマトには、昆布と同じ旨み成分、グルタミン酸が含まれているので、スープや煮込み料理をよりおいしくしてくれる。ヨーロッパには「トマトのあるところに料理のへたな人はいない」ということわざがあるほど。 ニガウリ(ゴーヤー、ツルレイシ) 夏に威力を発揮する成分:ビタミンC、B1、カロテン、カリウム、リン、鉄分、食欲を増進し整腸作用のある苦味成分モモルデシン。ニガウリのビタミンCは加熱してもほとんど壊れないのが特徴。 特有の苦味が気になる人は、薄切りして塩もみする(丸ごと板ずりしてもOK)、さっとゆがく、水でさらすなどするとよい。 ピーマン 夏に威力を発揮する成分:ビタミンC、カロテン、食欲を増進し血行をよくする辛味成分カプサイシン。パプリカ、シシトウや唐辛子もピーマンの仲間。 油を使って調理すると、色や香りがよくなるとともにビタミンAの吸収力がよくなる。保存方法によっては低温障害が起きるので、保存場所は7~8℃くらいを目安に。 カボチャ 夏に威力を発揮する成分:カロテン、ビタミンB1、B2、C、E。緑黄色野菜の代表格。食物繊維も多い。 日本カボチャはしっとりしているが味が淡白なので、煮物や蒸し物が向く。西洋カボチャは甘みとホクホク感があり、汁物や天ぷら、パイなどがオススメ。 水分補給の強い味方! 夏の水分不足は、脱水症状や熱中症の原因になる。水分をたっぷり含んでおいしい夏野菜は、水分補給にぴったり。冷たいドリンクをがぶ飲みするより、野菜を食べよう。 キュウリ 夏に威力を発揮する成分:96%を占める水分、ビタミンC。渇きを癒し、利尿効果があることで知られる。心臓病、腎臓病、尿毒症、高血圧によい。 ビタミンCを分解する酵素アスコルビナーゼを含むので、栄養を第一に考える場合は、酢や塩で酵素のはたらきを抑えるとよい。 ナス 夏に威力を発揮する成分:9割以上を占める水分、糖質。皮の紫色はアントシアニン系の色素。利尿作用あり。血管を強くするので、歯茎や口の中の炎症によい。 保存方法によっては低温障害が起きるので、7~10℃で保存を。果肉がしまっている丸ナスは田楽や煮物、揚げ物に、果肉が柔らかい長ナスは煮物や焼き物、漬物に向く。 夏にはこんな野菜もおすすめ! オクラ 夏に威力を発揮する成分:ペクチン、カロテン、ビタミンB1、B2、Cのほか、カルシウム、リン、鉄などミネラルも豊富。 ぬめり成分は組織を破壊するほど増すので、できるだけ細かく刻むとよい。長く火を通すと外に溶け出してしまうので、生食かさっとゆがく程度に。 モロヘイヤ 夏に威力を発揮する成分:ビタミンB1、B2、C、E、K、カロテン。カルシウム、鉄、マグネシウムなどミネラルも豊富。アラビア語で「王様の野菜」という名前にふさわしく、他の緑黄色野菜と比べ群を抜いて栄養価が高い。 オクラと同様、なるべく細かく刻んで使うのがよい。鉄やカルシウムの吸収をさまたげるシュウ酸が含まれているので、下ゆでした後は水にさらし、あく抜きしてから用いるのがよい。 公開日:2017年2月27日
見るからに体によさそうな濃い緑の野菜ジュース、青汁。テレビや雑誌などで、すっかりおなじみだが、そのバックグラウンド、健康効果については意外と知られていないこともあるのでは?そこで今回は、誕生の背景や栄養成分、美味しい飲み方などを紹介。青汁の正体に迫ってみよう! 目次 誕生の背景にあったのは「食糧難」 疲労にも美容にも!青汁パワー 自家製青汁にトライ! 飲みやすくするにはサラダ油! 誕生の背景にあったのは「食糧難」 人間は太古の昔から植物の持つ力に注目してきた。インドの古典医学アーユルヴェータや中国の漢方医学でも、病気の治癒や健康維持に効果があるとして、さまざまな薬草の活用法が取り上げられている。それだけに、植物の汁を絞って飲む健康法のルーツは古い。平安時代に書かれた日本最古の医学書「医心方」や、16世紀に編纂された漢方医学の集大成「本草綱目」にも、いわゆる「野菜ジュース」の健康効果が紹介されている。 こうした飲み物が、健康ドリンクとしてあらためて見直されたのは昭和18年。第二次世界大戦中のことだ。食糧難で苦しんでいた家族の健康を考え、医学博士の遠藤仁郎氏が、畑に捨てられていた大根の葉をすりつぶして飲ませたのが最初。やがて、遠藤博士はさまざまな種類の葉でジュースを作るようになり、息子の肺炎や妻の急性腎炎までも治癒することに成功した。その後、同氏の研究によって「青汁」の健康効果が実証され、あらゆるタイプのものが全国で愛飲されるようになったのだ。 疲労にも美容にも!青汁パワー ビタミンやミネラルなどの栄養素はバランスよく摂取することが大切だが、多忙な現代人はとかく栄養が偏りがち。だからこそ、天然の栄養成分を豊富につめこんだ青汁は、体調不良や疲労に悩む人、美容を考える人にもってこいの栄養ドリンクだといえる。とくに注目したいのは、次の2つのパワーだ! 活性酸素の除去 ビタミンAをはじめとする有効成分が、抗酸化物質を補給。細胞を酸化させ、老化やガン、生活習慣病を引き起こす活性酸素を排除する。 免疫力の向上 豊富なカルシウムが神経のはたらきを鎮静化。自律神経のバランスを保ち、免疫力を高める。 自家製青汁にトライ! 生ジュースや冷凍食品など、さまざまな形で発売されている青汁だが、自分で作ることもできる。作りたての新鮮な青汁は、栄養分も豊富。ぜひ、自家製青汁にトライしてみよう。 STEP 1 青汁の材料にはさまざまな野菜があるが、もっとも有名なのがケール。ケールはキャベツの原種で、もともと野生の植物だったが、古代ギリシアでケールを食べた羊がとくに成長が早いことが注目され、栽培化されるようになった。その後、ビタミンC不足による壊血病に効くことがわかり、ケールはあっという間にヨーロッパに広まった。栄養成分は非常に優れており、とくにビタミンやミネラルの含有量はバツグンだ。 また、しそ、パセリなどもおすすめ。どちらも料理の彩りなどに使われているが、栄養成分はともにすば抜けている。このほか、キャベツの青い部分、カリフラワーやブロッコリーの外葉、大根の葉、小松菜、水菜などもよい。つまり、濃い緑の葉ほど高い効果が期待できるというわけ。いずれにしろ、どの材料も新鮮なものを選ぶことが大切だ。 ほうれん草は青汁に向かない! 濃い緑のほうれん草は、いかにも青汁向きの野菜に見える。たしかにビタミンはたっぷりなのだが、問題はシュウ酸が多いこと。長期にわたって生食し続けると、腎臓結石や膀胱結石といった病気を発症する恐れがあるので注意! STEP 2 野菜を丁寧に水洗いしたら、ジューサーでジュース状にしよう。ジューサーがない場合はすり鉢でもOK。質のよい青汁を作ることができ、おすすめだ。 1. 葉を手でよく揉み、手でつかんですり鉢にすりつける 2. ある程度、葉が粉々になったら、すりこぎでペースト状になるまですりつぶす 3. 布やガーゼなどで、すりつぶしたものを絞る ※作り方については、製造者によってさまざまな方法、意見があります 飲みやすくするにはサラダ油! 飲みにくいときはレモンや夏みかん、蜂蜜を入れると飲みやすい。ただし、りんごやにんじんはビタミンCを壊す成分を含んでいるため、一緒にジューサーなどに入れて絞らずに別々に絞っておいてから、あとで混ぜて飲むとよい。牛乳もOK。また、意外にもサラダ油を2、3滴入れても飲みやすくなるので、ぜひお試しを。 ※一度にたくさん飲みすぎないようにしよう。 ※腎疾患のある人は、医師に相談してから飲むようにしよう。 公開日:2004年7月20日
刺身のツマや漬物、てんぷらに活躍するシソは、いわば日本のハーブ。赤ジソと青ジソの違いから、その高い健康効果、実生活に役立つ選び方や食べ方まで、シソをあらゆる角度からご紹介。 目次 シソは古代から伝わる日本のハーブ 青と赤、色の違いは何の違い? シソは野菜のマルチビタミン 古くから認められてきた高い健康効果 シソを使いこなしてたっぷり食べよう! シソは古代から伝わる日本のハーブ 刺身のツマや漬物、てんぷらに活躍するシソはおなじみの香味野菜だ。今は、年間を通して手に入るのが当たり前のように感じている人は多いと思うが、1975年までは、6~7月にしか出回らない季節野菜だったのだ。それが、ハウス栽培が行われるようになり、食の多様化もあって食べ方のバリエーションも広がったというわけだ。 古い歴史を持つシソは、7つの顔を持つといわれ、さまざまな薬効が認められてきた。「紫蘇」という文字の「蘇」は死者をよみがえらせるという意味があり、魚などの毒消しとして重宝されていたという。原産地はヒマラヤやミャンマー、中国。東洋の温帯地帯に広く分布しているもので、日本にも縄文時代にはすでに伝わっていたらしい。いわば、日本のハーブの代表選手なのだ。 青と赤、色の違いは何の違い? シソには2種類あり、大葉とも呼ばれ年間を通して出回っているのが青ジソ、梅干に入っているのが赤ジソだ。では、この2つは何が違うのだろう? 青ジソ ●時期…年間を通して販売 ●特徴…赤ジソよりカロチンが多いなど、栄養価が高い ●利用法…刺身のツマ、てんぷら、麺類の薬味など 赤ジソ ●時期…6~7月頃に販売 ●特徴…薬効が青ジソよりあるといわれている ●利用法…梅干や紅ショウガの色づけなど ※アントシアニン系の赤い色素(シソニン)が含まれ、酸と反応して赤色に発色することを利用 シソは野菜のマルチビタミン 青ジソ、赤ジソの成分は、先ほど挙げたカロチン、シソニン以外は、実はほぼ同じ。ビタミン類やミネラルが豊富だが、1枚はたった1g。下記の表は100gあたりの栄養成分を示すが、実際のところ一度にたくさん食べるものではない、という点にご注意! シソに豊富な栄養成分 カロチン……11000μg レチノール…1800μg ビタミンE …3.9mg ビタミンB2…0.34mg ビタミンC …26mg カルシウム…230mg 鉄…1.7mg 食物繊維……7.3g 可食部100gあたり。五訂食品成分表より 古くから認められてきた高い健康効果 シソで注目すべきは、ハーブとしての高い薬効。発汗、解熱、鎮痛、鎮静、解毒剤として使われてきた。爽快な香りのもとであるペリルアルデヒドは、胃液の分泌をうながし、食欲を増進させたり胃を丈夫にする作用があるといわれている。 また、この成分は強い防腐作用を持ち、食中毒の予防にも役立つ。昔からシソが刺身のツマや薬味として使われてきたのもうなづけるだろう。それだけでなく、現代特有の病気対策にも有効だと、注目度は高い。 ●アレルギー シソに含まれるαリノレン酸は、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を緩和すると言われている。 ●がん 青ジソに豊富なbカロチンは、体内でビタミンAに変わり、粘膜や皮膚を保護し、抵抗力を強くする。また抗酸化作用もあり、がん予防の効果が期待できる。同じくたくさん含まれるビタミンCもがん予防作用がある。 ●うつ シソは精神安定作用のあるカルシウムが多く、うつにもよいといわれている。 シソを使いこなしてたっぷり食べよう! 栄養たっぷり、病気予防や緩和にもつながると、よいことづくめに思えるシソ。難点は量を取れないことだ。こんなシソを上手に食べる方法をご紹介しよう。 ■選び方 色鮮やかで葉先までピンとしたものがよい。大きくなりすぎたもの、傷があるもの、表面が乾燥しているもの、変色しているものは避けよう。 ■調理・保存の注意 農薬が残留しやすいが、水にしばらくつけた後、両面をこすりながら数回洗えば大丈夫。余ったものは、水で湿らせたキッチンペーパーに1枚ずつ挟んで、密閉容器に入れて冷蔵庫に保存すると1週間ぐらいもつ。 ■使い方 梅干と漬けた赤ジソは、乾燥させた後に細かく刻めばふりかけになる。 アレルギー抑制効果があるといわれるαリノレン酸は、シソの加工品であるシソ油(エゴマ油)に多い。少々高いがこれらの油を炒め物などに使ってはどうだろう。 サラダやパスタに混ぜたり、肉や魚を巻いて揚げると爽やかな香りで食欲がわく。 赤ジソの葉を煮詰めてシソジュースにすれば、たくさん摂ることができる。 シソはまだまだ利用価値がある。使いこなしてうっとおしい梅雨、暑い夏を乗り切ろう! 公開日:2004年6月14日
スプラウトが発見された歴史や、ブロッコリー以外のスプラウトについて紹介する。がん予防に効果が期待できるスルフォラファンだが、がん予防以外の効果も研究されつつある。 目次 スプラウトの歴史 ブロッコリー以外のスプラウトは? 「生」で食べられるからオススメ! スルフォラファンのさらなるパワー スプラウトの歴史 アメリカで有数の医科大学であるジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士が、がんの研究を進める中で、がんになってから治療をするより、がんにならないように予防することのほうが重要だという結論に至り、がんを予防することができる食品に目を向けた。そして、1992年にブロッコリーの中にがん予防効果の高いスルフォラファンが含まれていることを発見した。 さらに研究を重ねて1997年に、とくに発芽3日目の新芽には、成長したブロッコリーの20~50倍ものスルフォラファンが含まれていることを解明したのだ。アメリカでは、以来、大ブームを起こし、日本でもかなり注目されるようになったようだ。 ブロッコリー以外のスプラウトは? スプラウトといえば、ブロッコリーの新芽だけではない。最近、スーパーでは、レッドキャベツ、クレス、マスタードなどのスプラウトも売られている。また、以前からあるものでは、アルファルファやかいわれ大根などもスプラウトだ。さらに、もやしや豆苗などもスプラウト。主に豆類の新芽だ。 かいわれ大根は、日本オリジナルのスプラウトで平安貴族も食していたというほど歴史は古い。もやしもかなり古くから食べられており、「新芽を食べる」ことはなにも今ブームになったわけではないのだ。 さまざまなスプラウト ●ブロッコリー ●クレス ●アルファルファ ●もやし ●レッドキャベツ ●マスタード ●かいわれ大根 ●豆苗 「生」で食べられるからオススメ! スプラウトの特徴は調理が簡単なこと。しかも、洗ってそのまま「生」で食べられるため、どんな場面でも登場することができる。例えば、サラダに乗せてもよし、お味噌汁の具として入れてもよし。ちなみに、スルフォラファンは熱にも強いので、油で炒めたりしてもよい。 購入するときには、葉の緑色が濃く、大きさがそろっているもの、茎の太さや背丈が均一なものを選ぶようにするといい。スプラウトは鮮度が命なのだ。がん予防のためにブロッコリーを食べるなら1kg必要だとも言われているが、スプラウトなら50gでOK。今のところ、スーパーでは1パック100円前後で売られている。これなら毎日続けられそう! スルフォラファンのさらなるパワー がん予防に効果が期待できるスルフォラファン。さらに最近の研究で、スルフォラファンには胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因のひとつである「ピロリ菌」を殺すことで、潰瘍をできにくくする作用があることも分かってきている。がんだけでなく、ピロリ菌にも効果ありとなると、「スルフォラファン」パワーのあるスプラウトからはますます目がはなせない。 公開日:2003年4月7日
最近人気のスプラウト。姿はひょろひょろっとしているが、スプラウトは立派な野菜。特に、ブロッコリーのスプラウトは、がん予防に効果があると言われている。スプラウトの見た目以上のパワーを紹介する。 目次 「スプラウト」とはどんなもの? 人気のヒミツは「がん予防」 「スルフォラファン」のがん予防作用とは? 「スプラウト」とはどんなもの? 最近、スーパーなどで見かけるようになった「スプラウト」という野菜をあなたは知っているだろうか。実は、「スプラウト」とは、植物の新芽のこと。見た目の姿はかいわれ大根とそっくりで、ひょろひょろっとしたものを束ねたパックがスーパーなどで売られている。 スプラウトは、テレビや雑誌などでも取り上げられ、人気急上昇の野菜である。どうやらそのヒミツは、成熟した野菜よりはるかに多くのビタミンやミネラルなどの栄養分を含み、体にいい成分がいっぱい詰まっているところにありそうだ! 人気のヒミツは「がん予防」 1982年にアメリカ科学アカデミーより『食と栄養とがん』という有名な報告書が提出され、がん予防に期待される食品成分が発表された。その内容は、がん予防には食物繊維をたっぷりとることが必要で、その他ビタミンA、C、Eなどの抗酸化ビタミンやカロチン類なども重要であるというもの。ほかにもイオウ化合物やポリフェノールなどにもがん予防が期待できるそうだ。 この報告書は世界中の研究者に大きな影響を与え、のちにアメリカ国立がん研究所を中心にスタートした「デザイナーフーズ計画(植物性食品によるがん予防)プロジェクト」の支えにもなった。 このプロジェクトが注目したのがアブラナ科の植物。アブラナ科の植物には、発がん性物質の活性化を抑制する可能性があるというのだ。数あるアブラナ科の植物の中でも、最近注目されているのがブロッコリー。ブロッコリーには「スルフォラファン」という成分があり、この前駆物質の配糖体(グルコシノレート)がブロッコリーの新芽「スプラウト」に大量に含まれ、発がん抑制効果が確認されている。 「スプラウトを食べればがんが予防できる」。これが、人気のヒミツだったのだ! 野菜として食用されているアブラナ科の植物 キャベツ、ブロッコリー、ケール、カリフラワー、芽キャベツ、ダイコン、ハクサイ、カブ、コマツナ、チンゲンサイ、ワサビなど 「スルフォラファン」のがん予防作用とは? スプラウトの成分、スルフォラファンはどのようにしてがんを予防するのだろうか。 「スルフォラファン」のがん予防作用 発がん性物質は、大気汚染や化学物質、食物、たばこの煙など数多く存在し、人間は毎日それらを取り込んでいる。取り込まれた発がん性物質が体内の細胞を攻撃し、細胞内の遺伝子に異常を起こす。その傷を受けたDNA細胞が分裂して突然変異のがん細胞が発生する。さらにがん細胞が増殖して周囲の組織を侵していく。こうしてがんが進行していくのだ。 通常ならば、体内にある酵素類の2段階のはたらきを経ることで発がん性物質は解毒され、体外に排出される。それぞれ主に肝臓で作られるフェーズ1(第1相)、フェーズ2(第2相)という酵素だ。フェーズ1酵素が体内に入った発がんの外的因子を分解して発がん物質に変えるというはたらきをするのに対し、フェーズ2酵素は活性化された発がん物質を無毒化するはたらきがある。 このフェーズ2酵素を活性化させるはたらきが「スルフォラファン」にはあり、発がん物質を無毒化して体外へ排出するというのだ。 スルフォラファンとは? スルフォラファンは、アブラナ科の野菜に含まれる、イソチオシアナートの一種。イソチオシアナートとは、ブロッコリー、大根、わさびなどのアブラナ科の野菜や、スパイスなどに豊富に含まれている、ピリッとする辛味成分だ。 公開日:2003年4月7日
本格的な春の訪れを教えてくれる春の花「菜の花」。緑黄色野菜としての実力も、あらためて見直すべきほどに高い。菜の花の栄養や利用法について紹介する。 目次 早春の風物詩「ナバナ」は油菜!?それとも菜種!? カルシウムは牛乳の約1.5倍!侮れない栄養価 ちょっと意外な利用法も 早春の風物詩「ナバナ」は油菜!?それとも菜種!? 畑や土手などの一面に愛くるしい黄色い花を咲かせ、本格的な春の訪れを教えてくれる春の花「菜の花」。かつて作家・司馬遼太郎氏がこよなく愛した花としても知られる清楚で陽気な花だ。 この菜の花、植物分類学上では「アブラナ科アブラナ属」に分類される。同じ仲間に白菜やカブ、ブロッコリー、キャベツ、さらにはチンゲン菜やケールまで含まれるというから驚きだ。その数はアブラナ科だけで世界に約35属3,000種類もあるとか。 そうした数ある仲間のうち、現在、菜の花として日本で栽培されているものは2種類。遠い昔に中国から渡来した「油菜」と、明治時代に輸入された西洋種の「菜種」だ。どちらも種子から油を取るが、西洋種の菜種のほうが油量が多いことから、明治以来さかんに栽培されるようになり、現在は栽培の主流は菜種となっている。料理用として広く使われている「菜種油」は、この菜種から取れるオイルだ。 一方、油菜は野菜のひとつとして長く栽培されてきたが、平安時代に種子から油を取ることが知られるようになったという。この油菜から取る油は、料理用ではなく、灯油として使われ、江戸時代には行燈(あんどん)の普及とともに、行燈用の灯油として重宝されてきたという歴史を持っている。 今では油菜から取れた油が灯油として使われることはほとんどなく、栽培の主役の座も菜種に明け渡した格好だが、春だけは別。「菜の花」もしくは「菜花(ナバナ)」、「花菜(はなな)」として春の野菜売場に並んでいるのは、ほとんどが油菜のつぼみと茎なのだ。 カルシウムは牛乳の約1.5倍!侮れない栄養価 緑黄色野菜としての実力も、あらためて見直すべきほどに高い。 その筆頭としてあげられる特長が、カルシウムと鉄分を多く含んでいる点。カルシウムはなんと牛乳の1.5倍もあるのだ。 カルシウムは骨の生成に欠かせないほか、不足するとイライラの原因になり、鉄分は不足すると頭痛や集中力の低下、貧血の原因にもなるもの。 また、ビタミン類が豊富なところも見逃せない。特に、美肌や老化防止に効果のあるビタミンC、「目のビタミン」とも称されるビタミンA、そして抗酸化作用のあるカロチンが多いのが魅力だ。 食物繊維も豊富で便秘の改善も期待できるとあれば見逃せない。この春は、どんどん菜の花を食べよう! ちょっと意外な利用法も 現在、利用されているのは、野菜としての「菜の花」ばかりではない。実は、欧米では昔からミツバチの集めた花粉を「パーフェクトフード」などと呼び、アミノ酸やミネラルなどが豊富に含まれるバランス栄養補助食品として愛用してきた。 また、菜種油といえば料理用と思いがちだが、石けんの材料や化粧品にもなっている。さらにアロマテラピーの世界では、肌のお手入れに良いキャリアオイル(マッサージなどの際に使用されるエッセンシャルオイルを薄めるためのベースオイル)として使われているとか。 もっとユニークなところでは、家庭で使われた後の菜種油を回収し、クルマの軽油代わりに使おうという取り組みがはじまっている。ドイツやフランスなどではすでに取り組みはじめているが、日本でも一部で実験がスタートし、すでに何台かのクルマが廃油で走っているという。まさに、循環型社会の体現といえる取り組みだ。今後、この取り組みが前進すれば、日本のいたる所で菜の花が見られ、新しい「環境にやさしい生活」がはじまるかもしれない。 公開日:2003年3月10日
「野菜は体に良い、たくさん食べましょう!」とは、健康に留意する人々の間で合い言葉のように口にされていますが、実際に野菜を十分摂っていると胸を張れる人は、どのくらいいるのでしょうか。なぜ、体に良いとわかっていながら摂りにくいのでしょうか?どうしたら摂りやすくなるのでしょうか?これらのポイントを、野菜摂取の状況からみてみましょう。 目次 目標は1日300g。さて実体は… 野菜不足で何が問題?がん予防の視点から見る野菜 がん予防のための食生活ガイドライン 究極の植物性食生活人=ベジタリアンの生活とは 目標は1日300g。さて実体は… 野菜の摂取量ひとり1日当たり/単位g 野菜と一口に言っても緑黄色野菜と、それ以外の野菜がある。目標とされる300gは、その両方を加えた総量。表からわかる通り、年月とともに着実に増えてはいるのだが、それでも1997年のひとり1日当たりの総量は275.1g。わずかだが、不足している状況だ。 野菜不足で何が問題?がん予防の視点から見る野菜 野菜が不足すればビタミンが足りなくなる、食物繊維が少なく便秘にもなる、などと身体的さまざまなトラブルが発生することは、もはや常識。ここで注目したいのは、35~84歳の死亡原因のトップとなっている「がん」と野菜の関係。 次の表は、米国のある機関が、4,500件以上の研究をもとに作成し、発表した「がん予防のための食生活ガイドライン」。その筆頭に、野菜を増やす食生活があげられているのだ。がん予防の観点からも、日頃の食生活において、野菜がいかに重要であるかが伺われるだろう。 また、もうひとつ注目したいのが、「野菜」ばかりでなく、果物、豆類、穀類、根類と、植物性食品に項目が割かれていること。私たちは「野菜」というと、どうしても緑黄色野菜を思い浮かべがちだが、そうした野菜ばかりでなく、植物性食品の全般を増やしていくことが大事だといえるだろう。 がん予防のための食生活ガイドライン 野菜・果物、豆類など植物性食品を中心とし、加工食品を排除した食生活を心がける。 体重超過や体重減少には注意。成人後の体重変化は5kg以内に抑える。 定期的な運動が無理なら毎日1時間ほどの散歩か、少なくとも1週間に総計1時間ほどの運動を心がける。 1年を通して、数種類の野菜を1日約400~600g食べるようにする。 穀類、豆類、根類などを1日約600~800g食べる。また、なるべく精糖を避けるようにする。 アルコールは少量。男性なら1日2杯、女性なら1杯以下。 赤身の肉類は避けるか、制限すべき。1日80g以下に。できるなら魚、鶏肉を選ぶ。 脂肪類、動物性脂肪食品も避けて。植物性オイル、あるいは魚油、種油などを使用。 究極の植物性食生活人=ベジタリアンの生活とは 植物性食品を中心とした食生活で思い出されるのが、菜食主義者であるベジタリアン。動物性食品、特に肉類は良質のたんぱく源。ベジタリアンは、どうやって肉類を食べずに、そうした栄養のバランスを保っているのだろうか。 ここでベジタリアンについて少し説明しておくと、ベジタリアンにも大きく分けて次のようなタイプがある。 肉・魚はもとよりチーズ、卵、牛乳、ハチミツなども食べない 肉・魚は食べないが、チーズや卵、乳製品は食べる 肉は食べないが、魚は食べる 上記のなかで、牛乳やチーズ、卵、魚を食べるベジタリアンの場合は、動物性たんぱく質がきちんと摂れるので心配はない。問題は、牛乳なども食べないベジタリアンである。栄養面で偏らないのかという疑問がわくが、実は、バランスの問題なのである。 ちょっと面倒な話になるが、食事で摂ったたんぱく質は体内で各種アミノ酸に分解され、必要なたんぱく質に合成され直す。このとき必要なアミノ酸は20種類。このうち11種類のアミノ酸は、ほかのアミノ酸を使って体内で作ることができるが、残り9種類のアミノ酸は食事に頼らざるを得ない。しかも、たった1種のアミノ酸が不足しただけでも体は健康を損なう。ベジタリアンは、これを大豆などの豆類と、米や小麦といった穀類との食べ合わせ=バランスで補完している。バランスよく食べれば、菜食だけでも十分に満たされるのだ。 また、ベジタリアンの食生活のメインとなる野菜、豆類、穀類と聞いて思い当たるところはないだろうか。そう、かつての日本人の食生活によく似ているのだ。ちょっと昔を振り返って、その食生活を見てみよう。 日本人の食品摂取量年次推移(ひとり1日当たり/単位g) 1960年 1980年 1970年 1997年 穀物451.7319.1284.9259.7 種実類0.51.31.42.0 イモ類64.563.465.269.4 砂糖類12.312.010.69.7 菓子類20.425.020.324.2 油脂類6.116.917.617.0 豆類71.265.468.570.9 動物性食品147.4313.3338.9354.1 野菜・果物類293.7406.6364.8405.9 海草類4.75.16.15.2 出典:四訂食品成分表2000 1960年の食生活では、動物性食品は1997年の半分以下、穀類は1.5倍以上も食べていたのである。こうして見ると、その昔はベジタリアンに近い食生活をしていたと言えるかもしれない。つまり、ベジタリアンな食生活は、意外にも日本人の身近にあったのである。 公開日:2002年8月19日
野菜に果物、根菜類に、豆類、穀類…。毎日の食生活に、植物性の食品を増やしましょう。外食が多いときでも、野菜を不足させない食生活とは? 目次 週に1~2回のベジタリアン的食生活のススメ 旬の野菜をおいしく食べよう 週に1~2回のベジタリアン的食生活のススメ 外食の利用頻度別にみた野菜摂取量(男性) 出典:厚生労働省「平成12年度国民栄養調査結果の概要」 植物性食品を増やすといってもなかなか難しい…と感じている人が多いのではないだろうか。この表は、そんな声が立証されたようなデータ。外食が増えると、野菜の摂取量が不足しがちという結果が出ている。 だが、あえてオススメしたいのが週に1~2日のベジタリアンな生活、である。植物性の食品は、そのまま、あるいは簡単な調理で食べられるものが多いことにお気づきだろうか。果物や野菜には生のまま食べられるものが多く、豆類でも納豆や豆腐なら手軽だ。 折しもベジタリアンが静かに浸透してきつつある昨今、レストランでもベジタリアンのためのメニューを揃えている所も増えてきている。 例として、ベジタリアンな1日を考えてみよう。朝食はトーストに卵焼き、サラダと果物のメニュー、昼食はレストランのベジタリアン料理、夕食は豆腐料理をメインにした和食。昼食は、コンビニでオニギリとサラダ、豆料理などを組み合わせても良い。おやつや、夜半に小腹が空いたときには、果物を。 どうだろう。週に1~2回なら、意識すれば意外と簡単にベジタリアンな食生活が送れそうではないか! 生活スタイル別 植物性食品の増やし方 外食またはコンビニ食の人 1日1食は肉・魚を控え、野菜中心の食事にする 外食のときは必ず野菜や豆類、果物などをプラスする 家での食事が多い人 肉・魚以外をメインにした献立を増やす 食卓には、野菜、海草、豆などの副菜を充実させる 旬の野菜をおいしく食べよう それでも不足しがちなら、家での献立に旬の恵みをたっぷり取り入れよう。以下にレシピをご紹介。簡単にできるものを中心に、ベジタリアンな食材を基本としたものばかり。時間のある日は少し手の込んだ料理に挑戦してみるのもオススメだ。おいしく健康をめざそう! なすにゅうめん ■作り方 なすはヘタを取り、皮に斜めの切れ目を入れて縦1/4に切り、水にさらす。グリーンアスパラは根元4cmの皮をむいて塩ゆでにし、長さ約4cmに切ってから、さらに縦半分に切る。 サラダ油を熱して水気を取ったなすを炒め、しんなりしたら塩少々で味を整える。 ゆでたそうめんを器に盛り、煮立てただし汁をまわしかけ、炒めたなすとゆでたアスパラをのせ、おろししょうがをなすにのせれば、できあがり。 スープスパゲッティガスパチョ風 ■作り方 トマトは皮をむき、ヘタと種を取って小さなサイの目に切る。たまねぎは細かいみじん切りにして30分ほど水にさらす。キュウリは塩をまぶして板ずりし、水洗いした後、ピーマンとともにみじん切りに。これらをすべてラップをかけて冷蔵庫で冷やしておく。 固形スープの素と水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら塩とこしょうで味を整え、あら熱をとってから冷蔵庫へ。 ゆでたスパゲッティを皿に盛り、冷蔵庫で冷やしておいた野菜類とスープをかけて混ぜ合わせ、最後にレモンの輪切りをのせて、できあがり。 きんぴらコロッケ ■作り方 ジャガイモは皮をむき、柔らかくゆでて粉ふきにし、熱いうちにつぶして塩をふる。ゴボウは皮をそぎ、長さ1.5cmくらいの細い棒状に切って水にさらし、アクを抜く。人参もゴボウと同じような大きさに切りそろえる。 鍋にごま油を熱し、ゴボウと人参を炒めて、だし汁と砂糖、しょうゆを加えて炒め煮にする。汁気がなくなったら、七味唐辛子をふって冷ます。 つぶしておいたジャガイモを適量、手に取り、炒めたゴボウと人参を包み込むようにまとめて小判型に整える。次に、小麦粉、とき卵、パン粉の順につけて約170~180度の揚げ油でカリッと揚げて、できあがり。 公開日:2002年8月19日
夏が旬のトマトは栄養豊富です。あなたはどれだけ「トマト」のこと知っていますか? Q1 トマトは淡色野菜である。 ホント ウソ Q2 トマトのように、野菜の赤や黄色の色素のことを「フラボノイド」という。 ホント ウソ Q3 トマトに含まれている「リコピン」には、がん予防の作用がある。 ホント ウソ Q4 リコピンは、調理するより生で食べた方が、吸収率がよい。 ホント ウソ Q5 日本にトマトが初めて伝わったころは、食べるためではなく鑑賞用として珍重されていた。 ホント ウソ Q1 トマトは淡色野菜である。 カロチンを多く含む緑黄色野菜 出典:五訂 日本食品成分表 トマトは緑黄色野菜です。 厚生労働省の分類では、「緑黄色野菜とは、可食部100g中にカロテンを600μg以上含むもの」としていますが、緑や黄色、赤色などの色の濃い野菜は、カロテン以外のビタミンやミネラルを比較的多く含んでいるため、厳密に600μg以上でなくても、緑黄色野菜として推奨されています。 トマトは、カロテンは決して多くはありませんが、ほかの栄養素を多く含んでいる、優れた野菜なのです。 というわけで、正解は「ウソ」 Q2 トマトのように、野菜の赤や黄色の色素のことを「フラボノイド」という。 「フラボノイド」とは、タマネギなどに含まれている褐色の色素のことです。赤や黄色の色素は「カロテノイド」といいます。この色素の代表は、トマトのリコピンや、にんじんのβ-カロテンなどがあります。 そのほかの野菜の色素 ●クロロフィル 緑色の色素。緑色の野菜は、この葉緑素を含んでいる。 ●アントシアニン 紫色の色素。赤キャベツやしそ、ブルーベリーなどに含まれている。 というわけで、正解は「ウソ」 Q3 トマトに含まれている「リコピン」には、がん予防の作用がある。 同じカロテノイドでもβ-カロテンに比べて、リコピンの注目度は低かったのですが、リコピンにはがんや動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果がある、ということがわかってきました。リコピンには優れた抗酸化力があり、がん細胞の増殖抑制作用があることが、最近の研究で発表されています。 カロテノイドのがん細胞増殖抑制作用 出典:「続・野菜の色には理由(ワケ)がある」石黒幸雄・稲熊隆博・坂本秀樹著 毎日新聞社 というわけで、正解は「ホント」 Q4 リコピンは、調理するより生で食べた方が、吸収率がよい。 一般に、リコピンなどのカロテノイドの吸収性はそれほど高くないと言われています。なかでも、生野菜からの吸収はとても低いようです。ですが、油との相性がいいため、油料理にすると吸収率が高まります。 また、生のトマトと加工品であるトマトペーストでリコピンの吸収率を比較すると、トマトペーストのほうがリコピンをより多く体内に蓄積できます。 というわけで、正解は「ウソ」 Q5 日本にトマトが初めて伝わったころは、食べるためではなく鑑賞用として珍重されていた。 中南米を原産地とするトマトは、15世紀ごろヨーロッパへ伝わったと言われています。しかし、たばこと同じナス科の植物だったため、有毒植物ではないかと疑われ、食用としてではなく鑑賞用とされていました。それが日本に伝わったのは17世紀の終わり頃。やはり、最初は食べものとしてではなく、見て楽しむものとされていたようです。 食用となったのは、明治以降のことですが、当初はトマト独特の臭みが日本人にはなじめずになかなか普及しなかったそうです。今となっては、想像できませんよね。 というわけで、正解は「ホント」
夏が旬のトマトは栄養豊富!同じ量をサラダなどで食べるなら、ミニトマトがおすすめです。トマトの栄養と、トマトをおいしく食べるためのレシピをご紹介します。 目次 同じ量ならミニトマトを食べよう トマトをおいしく食べるレシピ 同じ量ならミニトマトを食べよう トマトとミニトマトを比較すると、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンA効力などはミニトマトに軍配。同じ量をサラダなどで食べるなら、ミニトマトのほうがおすすめ! トマトをおいしく食べるレシピ 季節の野菜と一緒に!トマトとナスのミートグラタン ■材料(4人分) トマト1個、ナス2~3本、市販のミートソース1缶、とろけるチーズ適宜 ■作り方 ナスは1cm幅の輪切りにし、水にさらしてアクを抜いておく。トマトは、縦半分に切って、1cmの厚さになるように切る。 フライパンに油を熱し、ナスの水気を拭いて両面を炒める。 耐熱皿にナスとトマトを交互に重ねるように並べ、その上に市販のミートソースをかけ、チーズを適宜のせる。 180度で10分程焼く。チーズにこんがり焼き目がついてきたらOK。 ※ミートソースはもちろん手作りでもOK! ちょっとイタリアン!トマトとイカのオリーブオイル炒め ■材料(4人分) イカ2はい、トマト2個、ニンニク1かけ、オリーブオイル大さじ2、(あれば)乾燥バジル適宜、白ワイン大さじ1、塩、こしょう ■作り方 イカは下ごしらえして胴の部分は一口大に、足は2本ずつに分ける。トマトは乱切り、ニンニクは薄切りに。 フライパンにオリーブオイル、ニンニクをいれて炒め、香りがたってきたらイカを加える。白っぽくなってきたら、最後にトマトを加え、塩、こしょう、バジルなどで味を整える。最後に白ワインを加えて、さっと火を入れてできあがり! 作り置きしておくと便利!トマトソース ■材料 トマト水煮(400g、缶詰)1缶、タマネギ1/4個、ニンニク1かけ、サラダ油大さじ1/2、ローリエ1枚、固形スープのもと1個、塩、こしょう ■作り方 ニンニクをみじん切りにし、鍋にサラダ油をひいて炒める。香りがたってきたら、みじん切りにしたタマネギを炒める。 タマネギが透き通ってきたら、トマトの水煮をいれ、固形スープのもと、ローリエを加えて煮る。 15分ほど煮たら、塩、こしょうで味を整える。 ※パスタやオムレツにかけてもOK。バリエーション広く使えるので、作り置きして冷凍しておくとラクチン! 公開日:2001年7月16日
冬にみずみずしいおいしい大根を食べない手はありません。おでんの具としても大活躍しますが、ほかにもおいしい料理はたくさんあります。お試しください。 目次 簡単!大根料理 おいしい大根を食べるためには 簡単!大根料理 大根といえばやっぱり!ふろふき大根の肉味噌のせ ■材料(4人分) 大根20cm(胴の部分)、鶏ひき肉100g、赤味噌80g、こんぶ10cmくらい、砂糖大さじ4、酒大さじ4、みりん大さじ1、だし汁大さじ4、米のとぎ汁 ■作り方 大根は5cmの厚さで輪切りにし、皮をむいて面取りする。片面に隠し包丁を十文字に入れ、米のとぎ汁で柔らかくゆでる。竹串がすっと通るくらい柔らかくなったら、こんぶをいれたお湯の中であたためる。 なべに油を熱し、鶏ひき肉がぽろぽろになるまで炒め、味噌、砂糖、酒、みりん、だし汁を入れてかき混ぜ、ぽってりするようによく練り上げる。 大根を器にもり、2の肉味噌をのせる。 ※好みでゆずの皮の千切りをのせてもおいしい。 材料むだなく、栄養たっぷり!大根葉のふりかけ ■材料(1回分) 大根の葉1本分、しらす干し(またはじゃこ)15g、塩 ■作り方 大根の葉をよく洗い、みじん切りにする フライパンを熱し、1をいれ、からいりする。 水気がなくなってきたら、しらす干しを加え、塩を好みでいれる。 ※できるだけ水分をなくしておくと長持ちする。また、ワカメふりかけなどをまぜてもおいしい。 皮だって立派な一品に!大根の皮のきんぴら ■材料(1回分) 大根の皮80g、赤唐辛子1/2本、酒大さじ1/2、砂糖小さじ1、しょうゆ大さじ1/2、塩適量 ■作り方 大根の皮を千切りにする。赤唐辛子は縦半分に切って、種をとっておく。 なべにサラダ油を熱し、大根の皮を入れて炒める。火が通ってきたら、赤唐辛子を加え、砂糖、酒、しょうゆを入れ、塩で味を整える。 ※いろいろな料理で皮が残った時につくってみて。 おいしい大根を食べるためには 冬は、わりと安くなる大根。いいものを買い求め、保存したいものです。そこで、大根の見分け方や保存方法をご紹介します。 ●大根の見分け方 大根の根は、白くて固く、しまりのよいものがおすすめです。大根はスが入りやすいのですが、これを確かめるには、根部に近い葉の茎をつまんでみます。そこがかすかすしていたら、根にもスが入っていることが多いようです。また、葉がついているなら、あざやかな緑色のものを選ぶようにしましょう。 ●大根の保存法 葉つきのものを買ったのなら、必ず葉を切り落として新聞などに包んで保存すること。葉はその日のうちに調理するのがよいでしょう。また、切ったものはラップに包んで冷蔵庫に入れるか冷暗所に置くなどして、できるだけ風に当てないようにします。 公開日:2001年1月15日
冬野菜の定番ともいわれる大根。あなたはどれだけ「大根」のこと知っていますか? Q1 冬野菜の定番ともいわれる大根。根・葉ともにビタミンAが豊富である。 ホント ウソ Q2 大根は先端にいくほど辛みが増すため、煮物に適しているのはまんなかあたりである。 ホント ウソ Q3 胃腸の具合が悪い時には、大根おろしが効く。 ホント ウソ Q4 焼き魚を食べる時、大根おろしを添えるとがん予防になる。 ホント ウソ Q5 大根に含まれるビタミンCは、時間のたった大根おろしを食べてもその効力は変わらない。 ホント ウソ Q1 冬野菜の定番ともいわれる大根。根・葉ともにビタミンAが豊富である。 大根は、普段よく食べる白い根の部分は淡色野菜、葉の部分は緑黄色野菜に分けられます。ビタミンAが豊富なのは葉の部分のみです。根には、ビタミンAは含まれていません。 白い根の部分はビタミンCが比較的豊富です。それ以外にも、カルシウムや食物繊維、ビタミンB1、ビタミンB2などが含まれます。一方、葉は、ビタミンAが豊富。さらに、カルシウムや食物繊維のほか、カロチンや鉄なども含まれる、とても栄養価の高い野菜なのです。 ただ、最近では日保ちをよくするために、葉が切り落とされている場合が多いため、もし、スーパーなどで葉がついた大根が売られているのを見つけたら、ぜひ買って利用するといいでしょう。 というわけで、正解は「ウソ」 Q2 大根は先端にいくほど辛みが増すため、煮物に適しているのはまんなかあたりである。 大根は、先端にいけばいくほど辛みが増し、水分も多くなるので、煮物というよりは漬物やみそ汁の具にしたほうが食べやすくなります。葉に近い部分は、辛みが弱く身が固くてぎゅっとしているので、サラダなどにするときにはこの部分を使うのがよいでしょう。そして、まんなかは甘みが強いので、煮物に最適です。さらに、大根はほかの野菜に比べて旨み成分がぎゅっと染み込みやすく長時間煮込んでも煮くずれしにくいという特徴があり、だしの味が染みたふろふき大根や、ブリと一緒に煮たブリ大根など、大変おいしい煮物料理ができます。 というわけで、正解は「ホント」 Q3 胃腸の具合が悪い時には、大根おろしが効く。 大根には、「ジアスターゼ」というでんぷん分解酵素が豊富です。このジアスターゼは、胃腸のはたらきを整える役割があり、そのため大根は薬用野菜としても知られるほどです。よく、おもちやそばと一緒に食べることがありますが、これは理にかなった料理なのです。 また、二日酔いで胃がもたれるときには、朝食に大根おろしを食べるか、はちみつ入りのおろし絞り汁を飲むと、胃がすっきりして気持ちがいいでしょう。 こんなときにはお助け大根! ●のどが痛いとき はちみつ50ccの中に1cm角に切った大根100gを入れます。2~3日して大根が浮いてきたら、「大根あめ」のできあがりです!うわずみのはちみつ液を飲んでみましょう。好みで薄めてもOKです。 ●胃がもたれるとき 大根おろしをそのまま食べるか、絞り汁にはちみつを混ぜて飲みます。二日酔いのときにピッタリです。 ●歯ぐきが腫れたとき 大根おろしの絞り汁を直接腫れたところに塗ります。口内炎ができたときにも大根おろしを茶わん3分目くらいまで入れ、続けて飲むと、炎症冷却効果があるのでおすすめです。 というわけで、正解は「ホント」 Q4 焼き魚を食べる時、大根おろしを添えるとがん予防になる。 焼き魚のこげには発がん性物質ができます。大根の消化酵素はこれを消去します。さらに、食物繊維のリグニンには、がん細胞をおさえるはたらきがあります。このリグニンはおろしや千切りにすると増えるといわれているので、焼き魚を食べる時に大根おろしを添えるのは、おいしいだけでなく、意味のあることなのです。 また、光に当ててつくった干物の魚には、たんぱく質が変成した、硫酸塩、亜硝酸塩、二級アミンなどの物質が発生し、これらはだ液によって発がん性物質に変性する可能性があります。干物の魚を食べるときにも、ぜひ大根おろしを添えて食べましょう。 というわけで、正解は「ホント」 Q5 大根に含まれるビタミンCは、時間のたった大根おろしを食べてもその効力は変わらない。 大根はおろしてから2時間たつと、ビタミンCの20~90%が酸化してしまい、その効力を失ってしまいます。ビタミンCだけでなく、でんぷん消化酵素のジアスターゼも消えてしまうので、食べる直前におろすのがよいでしょう。 また、大根おろしに適しているのは、先端の方ですが、ここは辛みが強いため、甘いおろしが食べたい場合には、葉に近いほうをおろします。おろすときには、おろし金に垂直に大根を当てて、力強くおろしたほうが、細胞がより細かく破壊されるため、辛み成分が増します。反対に、甘いおろしを食べたい場合には、ゆっくりと円を描くようにおろすとよいでしょう。いずれにせよ、時間がたつと旨み成分が飛んでしまうので、食べる直前におろすようにします。 というわけで、正解は「ウソ」
健康パワーたっぷりの「明日葉」はどんな味がして、どんな食べ方ができるのだろう?東京・大手町の明日葉スタンド「アシタ・バー」店長の大岡千夏さんに、明日葉のおいしい利用法についてお話をうかがった。 「アシタ・バー」東京・八重洲店 店長の大岡千夏さん 目次 明日葉ってどんな味?おいしい食べ方ってあるの? もっとおいしく!明日葉ジュースを飲もう もっとおいしく!自家製明日葉ジュースを作ろう 明日葉ってどんな味?おいしい食べ方ってあるの? これこそ明日葉の健康パワーの源! 「明日葉」という植物の名前は知っていても、ホンモノを食べたことがないという人がほとんどではないだろうか。「葉にはほのかな苦味があり、茎はほんのり甘いのが特徴。天ぷらや炒め物、汁物など色々な料理に使えます」と大岡さん。実際、大岡さんも「明日葉入りお好み焼き」を自宅で楽しんでいるという。 ところで、明日葉を自宅で調理する場合、茎も使っているだろうか。太い部分は「硬くて食べにくそう」と、捨ててしまう人も多いのでは? しかし、この茎こそが明日葉の健康パワーの源。茎を切ると、切り口からじわ~っと黄色い汁が現れる。この黄色い汁に含まれているのが、明日葉特有の栄養素なのだ。葉にも含まれるが、茎のほうに多いため捨てずにまるごと使いたい。 また、明日葉は意外に火が通りやすいため、炒めものの前に下ゆでをする必要もなく、厚く切って炒めても大丈夫。アスパラガスの代わりに「明日葉のベーコン巻き」なんて料理も、意外にイケルのではないだろうか。さらに、さっとゆでてゴマ和えやおひたしにしたり、フードプロセッサーでかくはんして、ケーキや団子にまぜてもおもしろそうだ。 「どんな料理にも合いやすい食材なので、どんどん利用してみてくださいね」と大岡さん。 明日葉の茎を切ると、じわ~っと滲み出す黄色い汁。これこそ、明日葉の健康パワーの源。 もっとおいしく!明日葉ジュースを飲もう 明日葉は料理だけではなく、ジュースにしてもおいしい。明日葉スタンド「アシタ・バー」では、連日、明日葉ジュースを求める人たちがひっきりなしに訪れている。 「中高年の男性が多いのですが、最近は20~30代の女性もたくさんご来店いただくようになりました」と大岡さん。セルライト解消や美肌、便秘解消などの効果が知られるようになってから、明日葉は若い女性にも人気の素材となりつつあるようだ。 「アシタ・バー」での一番人気は、「なんといっても『ストレートの明日葉ジュース』。生搾りした明日葉と水を1:1で割ったもの」だとか。独特の苦味があるのだが、飲みつづけていくと意外にやみつきになるという。「また、にんじん、みかんなどのフレッシュジュースや、牛乳で割ったブレンドジュースもあります。ブレンドすると飲みやすいので、初めての方はこちらを試されるのもいいかもしれませんね」と大岡さん。 「アシタ・バー」に足を運ぶ方にはリピーターが多いそうだが、飲みつづけることで健康効果を実感される人も多いようだ。「ご出勤前、お昼休み、ご帰宅前と1日3回寄られる方もいらっしゃいます。便秘がよくなった、風邪を引きにくくなった、血圧が落ち着いてきたなど、さまざまな声をお聞かせいただいています」とのことだ。 もっとおいしく!自家製明日葉ジュースを作ろう 明日葉生搾り専用のミキサー 毎日明日葉を摂るには、自分でジュースをつくるのもおすすめ。「搾りたての生ジュースは明日葉の新鮮さをそのまま実感いただけます。さらに、ジュースなら一杯でたくさんの明日葉を摂取できますので、とても効率的です」と大岡さん。 しかし、一般のミキサーではどうしても繊維がたくさん出てしまう。「成分をこわさず、また繊維をしっかり取り除くには、明日葉専用の『スクリュージューサー』を使っていただくのが一番なのですが、ご自宅のミキサーをご利用いただく場合には、こし器でしっかりこして繊維を取り除いてから召し上がられるといいと思います」とのこと。 ブレンドは、それこそ自由。「アップルジュースやグレープフルーツジュースで割ってもおいしいと思いますし、バナナなども意外においしいかもしれませんね。また、ヨーグルトやホットケーキに入れる場合には、明日葉の粉末を利用いただくと便利です」と大岡さん。 健康維持に毎日の明日葉ジュース、ぜひ実践してみてはいかがだろうか。 取材協力:ジューススタンド「アシタ・バー」(現在は閉店) 公開日:2003年10月3日
年齢・性別を問わず、幅広い層の人々に健康をもたらす明日葉。悩み別に明日葉の効果を紹介。さらに、最近の研究で期待が寄せられる糖尿病や痴呆症へ効果なども紹介。 目次 これが明日葉パワーだ!その1:糖尿病に これが明日葉パワーだ!その2:アルツハイマーに さらに明日葉パワー!こんな悩みにも これが明日葉パワーだ!その1:糖尿病に 糖尿病は、インスリンが不足することやあるいは、インスリンが作用しにくくなることにより、細胞へのグルコースの取り込みが低下する結果、血液中の糖濃度が上昇して血管障害を始めとするさまざまな症状を引き起こす病気だ。 糖尿病が進行すると体がだるい、のどが渇く、トイレが近い、集中力が低下するなどの症状をもたらすほか、神経や網膜、腎臓など全身の器官にさまざまな合併症を引き起こす危険性がある。 では、この糖尿病にどうして明日葉の成分が注目されているのだろう? インスリンは、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化*を促進する作用や肝・筋肉・脂肪細胞などに作用してグルコースの細胞への取り込みを促進させることが知られているホルモンだ。 *分化:細胞の形や性質が変化し、特定の機能を発揮する細胞になること。 また、脂肪細胞の分化は、インスリンが作用しやすくなるためにも必要であることが近年の研究で明らかになってきたそうだ。 すなわち、脂肪細胞の分化を誘導することでインスリンが作用しやすくなり、血糖値が低下することが期待できるのだ。 なんと、明日葉の成分に、前駆脂肪細胞に作用して脂肪細胞への分化を促進するはたらきが豊富にあることが、近年の研究により発見されたのである。 それだけではない。明日葉の黄色い汁に含まれる「カルコン」には、白内障などの糖尿病による合併症の発症を防ぐ効果が期待されているのだ。 高血糖状態が続くと、アルドース還元酵素という酵素によってさまざまな組織で血液中のグルコースが「ソルビトール」という糖アルコールに変換される。このソルビトールは糖尿病による神経障害への影響が大きく、糖尿病による合併症の予防にはこのソルビトールの生成をいかに抑えるかが重要とされている。そこで、注目されたのが「明日葉」だ。明日葉の成分カルコンには、このアルドース還元酵素のはたらきを阻害する効果があることがわかってきている。まだまだ研究途上ではあるが、今後、糖尿病による合併症の予防への活用が期待されている。 これが明日葉パワーだ!その2:アルツハイマーに 明日葉にはアルツハイマー型認知症を予防する効果があるのではないかと言われている。 アルツハイマー型認知症は、脳全体が次第に萎縮し、最終的には死に至る病気だ。初期症状では物忘れや、記銘力(直前のことを覚える能力)の低下が起こり、症状が進むと時間や場所などの記憶もなくなっていく。進行すると言葉がわからなくなったり、足の麻痺やけいれんなどが起こってくる。特に有効な治療法もいまのところ確立されていない。 では、明日葉はどうしてこのアルツハイマー型認知症の予防や治療に有効なのではないかと言われているのだろう。そのカギを握るのが、神経成長因子(NGF)<Nerve Growth Factor>である。 NGFは神経細胞の生成や維持に関わるたんぱく質で、脳神経の機能を回復したり、脳の老化を防止する作用が知られている。ところが、NGFは分子量が大きいために、血液関門を通過することができない。そこで分子量の小さい物質の利用が期待された。しかし、残念ながら、これまでに発見されたものには副作用の問題などもあり、実用化には至らなかった。 そして、最近の研究で、このNGFの生成を促す作用が、明日葉、ホップ、食用菊の花、ガジュツ(紫ウコン)などの植物にあることが発見されたのだ。とくに明日葉には、15~20倍もNGFの生成を促す作用があることが確認されている。この活性は4種類のクマリン化合物(セリ化植物に多く含まれる化合物)と1種類のクロマンにあることがわかり、今後、医食品などへの利用が期待されているのだ。 さらに明日葉パワー!こんな悩みにも 「最近、便秘がひどくてお肌も荒れ気味。しかも冷え性なんです。それから太もものセルライトも気になる…」 ■便秘 明日葉にはにんじんやほうれん草の2倍の食物繊維があり、また葉緑素も多い。そのため胃腸のはたらきが活発になり、便通がよくなる。 ■冷え性 カリウムが多く含まれており、利尿効果がある。この利尿効果が水分代謝を活発にし、むくみを取り除き血液の循環をよくして冷えを防ぐ。 ■セルライト 明日葉の葉や茎から出る黄色い汁のフラボノイド「カルコン」には、セルライトを解消する作用がある。また、カリウムが細胞内の余分なナトリウムの排泄を促すので、利尿薬となり、水分代謝を促進する。そのため、むくみが減り、血液もサラサラにし、セルライトを解消してくれる。ただし、同時に適度な運動も必須。 「このところなんとなくだるくて…。以前から、貧血気味なのでそのせいでしょうか?」 ■貧血 明日葉には貧血予防・疲労回復に役立つ、鉄分やカリウム、葉酸といった造血に作用する栄養素が豊富に含まれている。 「血圧が高めです。しかも、このところ胃腸も弱ってきているような…」 ■高血圧 明日葉の成分であるカルコンには、血圧を下げる効果が認められている。 血管の拡張や収縮を調整している、自律神経のうち、交感神経が活発にはたらきはじめると血管が収縮し血圧が上昇する。この収縮した血管を広げる効果がカルコンにあるのだ。 ■血液さらさら 明日葉の黄色い汁カルコンが、トロンボキサンA2(血小板を凝集させる物質)の生成を抑えることで、血栓ができるのを防ぐ。そのため、血管の収縮が改善され、血行がよくなる。 ■胃腸のはたらきの減退 葉緑素が豊富に含まれる明日葉を食べると胃のもたれやむかつきが治まるため、食べ物をしっかり消化することができる。また、食物繊維も豊富なので腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促し、消化を助けてくれる。 「以前から足腰の強い方ではありません。骨粗しょう症になるのではないかと思うと不安です」 ■骨粗しょう症 女性の場合、閉経後はカルシウムの流出を抑えていた女性ホルモンが激減するため、骨粗しょう症になりやすくなる。男性の場合でも、喫煙やアルコールの摂り過ぎ、運動不足などが影響して骨粗しょう症になる。 骨には「BMP-2」(骨形成たんぱく質)<Bone Morphogenetic Protein-2>と呼ばれる骨の形成を促すたんぱく質がある。明日葉にはBMP-2の生体内での生成を促す作用があるため骨粗しょう症予防につながる。 ■関連記事 生活習慣病 骨粗鬆症(骨粗しょう症) 高血圧 公開日:2003年10月6日
明日葉の植生から豊富なビタミン・ミネラルなどの栄養素、葉や茎の切り口からにじみだす「黄色い汁」のヒミツまで、明日葉のパワーの源について紹介。 目次 明日葉ってどんな植物? 明日葉の育った土地 明日葉にはビタミン・ミネラル・食物繊維がたっぷり 主成分「カルコン」と「クマリン」 明日葉ってどんな植物? 関東地方や伊豆七島、紀伊半島などの海岸近くの台地や草原などに自生するセリ科シシウド属の植物「明日葉」。とくに八丈島に多く見られるため「ハチジョウソウ」とも呼ばれている。高さは1メートルを超えるものもあり茎は太く、葉は大きく光沢がある。葉や茎を切ると、切り口から黄色い汁が出るのが特徴だ。 明日葉の薬草としての用途は古く、中国の明朝時代に編集された薬草に関する事典『本草綱目』にも登場する。日本では江戸中期、貝原益軒によって完成された『大和本草』にも、八丈島で栽培されている滋養強壮によい薬草として紹介されている。さらに、江戸後期に完成された八丈島の記録書『八丈実記』にも、飢えをしのぎ、精力を増す薬草として紹介されているのだ。 明日葉の育った土地 明日葉が群生している八丈島は昔から長寿の島として知られ、若々しく元気に働く高齢者が多い。また、生活習慣病などが少ないことから、この島の人々の食性や生活への関心が寄せられ、薬草「明日葉」のパワーに注目が集まるようになった。 明日葉はその名のとおり、「今日、葉を摘んでも明日には生えてくる」ほど成長の早い植物である。いちばんおいしいところである新芽をどんどん摘み取っても、面白いようにまた新しい芽が生えてくる。 八丈島では主に海に近い砂地などに群生している。しかし、明日葉は場所を選ばずどこでも繁殖する強い野草であるため、根ごと持ってきて庭に植えてもすぐに増える。最近ではプランター栽培を楽しむ人も少なくないようだ。しかし、しっかり育てるには温暖な気候が条件。日陰で風通しがよく、涼しい場所に置くと成長がよい。 明日葉にはビタミン・ミネラル・食物繊維がたっぷり 明日葉の根強い人気はなんといっても、栄養がバツグンだから。豊富な栄養素で知られるケール(青汁の原料)やほうれん草などの青菜と比べてもビタミン、ミネラル、食物繊維の有量は群を抜いている。 また、栄養素のなかでもカリウム、食物繊維を多く含んでいるのが大きな特徴。 カリウムの効果 ●PH濃度を調整し、筋肉の機能にも影響をあたえる ●ナトリウムとともに体の水分バランスの調節や心拍リズムを正常に保つ 主成分「カルコン」と「クマリン」 葉や茎を切ったときににじみ出る黄色い汁には、抗菌作用をもつ「カルコン」と「クマリン」という成分が含まれている。そして、これらの成分にはさまざまなはたらきがあることがわかっている。 「黄色色素カルコン」は「フラボノイド」の一種で、抗菌、抗酸化作用をもっているといわれている。食用の植物に見られるのは非常にまれである。また、クマリンはセリ科の植物に多く含まれる香りの化合物で、抗菌作用などが知られている。 公開日:2003年10月6日
最近、注目を集めているのがトマトに含まれるリコピン。リコピンの健康効果とリコピンが凝縮されたトマトジュースの機能性のよさを紹介。トマトジュースをさらに楽しむレシピも掲載。 目次 トマトの赤は「リコピン」の赤 加工用トマトは生食用に比べてリコピンが豊富 栄養がぎゅっとつまったトマトジュース トマトジュースをアレンジしてみよう! サワースウィート レッドアイ お手軽ツナリゾット トマトの赤は「リコピン」の赤 毎日の食卓でおなじみのトマト。みずみずしく鮮やかな赤は、見た目にも食欲をそそる色だ。この赤色は、カロテノイドと呼ばれる色素の一種「リコピン」が発する色なのだ。 カロテノイド系の色素のなかで栄養効果の高い物質としては、ベータカロテンが最もよく知られている。これは、ベータカロテンに体内でビタミンAに変わるプロビタミンA活性があるため。ビタミンAには、粘膜を健康に保ったり、体の抵抗力を高めてがんを予防してくれるという特長がある。 一方、リコピンには、ベータカロテンのようなプロビタミンA活性がないため、栄養効果的な観点からはあまり注目されてこなかった。しかし、最近になってリコピン自身にがんなどの活性を抑える抗酸化作用があることが明らかになり、子宮がん、乳がん、肺がんの抑制効果はベータカロテンを上回るという実験データも発表された。 また、前骨髄性白血病細胞の成長や悪玉コレステロールを抑制する効果もわかっており、さらには抗アレルギー効果も期待されるなど、リコピンの知られざる機能が次々に明らかになってきているのだ。 加工用トマトは生食用に比べてリコピンが豊富 生食用のトマトを搾ってもうすピンク色にしかならないのに、市販のトマトジュースは鮮烈なまでの赤色をしていることに驚いた人も多いだろう。「トマトジュースには着色料が入っているのでは?」と思う人もいるようだが、実はこの鮮やかな赤こそ、まぎれもないリコピンの色なのだ。 トマトジュースに使われるトマトは、加工用に栽培されている赤系トマトと呼ばれるもので、生食用のピンク系トマトに比べると、リコピンの量が断然豊富だ。 ■加工用トマトはリコピン量が生食用のおよそ3倍 出典:カゴメ(株)総合研究所分析データ 栄養がぎゅっとつまったトマトジュース トマトに含まれる栄養はリコピンに限らない。胃を丈夫にするビタミンUや血圧を下げるガンマアミノ酪酸(GABA)、抗がん作用をもつとされるクロロゲン酸やケルセチン、また血清コレステロール濃度を下げる食物繊維も含まれている。もちろん生で食べるのもよいが、ジュースなら、効率よく手軽にトマトの栄養を摂りいれることができるのでオススメだ。 ちなみに、トマトジュースはカロリーも低いので、夏のこまめな水分補給にも適している。また、トマトの独特な酸味には胃酸の出過ぎによるむかつきをやわらげる効果があるため、二日酔いに試してみたい飲み物なのだ。 トマトジュースをアレンジしてみよう! トマトジュースはそのまま飲んでもおいしいけれど、ちょっと手を加えるだけで、おしゃれなカクテルやちょっとした料理に早変わり。いつものトマトジュースとはちょっと違った味になるので、トマトやトマトジュースは苦手という人も、ぜひ試してみて欲しい。 サワースウィート ■材料 トマトジュース(食塩無添加)160g 1缶、バーモント酢(5倍希釈) 大さじ2杯 ※りんご酢で代用する場合は大さじ1杯程度 ■作り方 よく冷えたグラスにトマトジュースを注ぐ バーモント酢(もしくはりんご酢)を加え、軽くかき混ぜる お好みでタイムの葉などのハーブを加えてできあがり ■試してみました 口元にもってきた瞬間に、バーモント酢の甘酸っぱい酸味がほわ~んと鼻先に。トマトと酢のダブル健康効果で、夏バテ気味のときに飲むとよさそうですね。少し甘くなるので、味に変化を加えたいときにもオススメです。 レッドアイ ■材料 トマトジュース190g 1/2缶、ビールまたは発泡酒 100ml ■作り方 よく冷えたグラスにトマトジュースとビール(または発泡酒)を同時に注ぐ マドラーなどで軽くかき混ぜる お好みでカットしたレモンやタバスコを加えてできあがり ■試してみました ビア・カクテルとして定番のレッドアイですが、ビールとトマトジュースなんて本当においしいの?と思っていました。これが意外においしかったのでちょっとびっくり。ビールの苦味がトマトジュースの酸味とマッチして、まろやかな味わいでした。ちなみに、「レッドアイ」は二日酔いの時の赤い目を指し、迎え酒として開発されたカクテルだという話も。 お手軽ツナリゾット ■材料 トマトジュース190g 1缶、ツナ缶 80g、マッシュルーム缶(スライス) 小1缶、ご飯 200g、にんにくみじん切り 1/2片、オリーブオイル 大さじ1、塩、こしょう 適量 ■作り方 オリーブオイルとにんにくみじん切りを弱火にかける 香りが出たら軽く油を切ったツナを加える マッシュルームとトマトジュースを加える ひと煮立ちしたらご飯を加え、塩・こしょうで味を調える お好みでパルメザンチーズ、パセリをふりかけてできあがり ■試してみました トマトジュースでこんなに簡単にリゾットができるとは!トマトの味がしっかり生きていて、本格的なイタリアンリゾットになりました。ご飯を除いてトマトスープにしても楽しめそうですね。しかも材料費が安いので、家計にもヘルシーなのがうれしいです。 出典:レシピ提供:カゴメ(株) 公開日:2003年8月4日
野菜にはさまざまな栄養効果があるが、調理法、鮮度、熟度などによって栄養価は格段に変化する。吸収率と量の面から効率的に栄養を摂るなら「生ジュース」がオススメ。野菜の健康パワーを引き出す理想的な方法を伝授する。 目次 野菜の色素によって、栄養を効率的に摂る方法は異なる 野菜の色素別おすすめ調理方法 新鮮野菜&完熟野菜は栄養価が高い! 生ジュースで効率よく栄養を補給しよう!生ジュース作り成功のポイント 野菜の色素によって、栄養を効率的に摂る方法は異なる 野菜の色素には、生活習慣病予防をはじめ、さまざまな効果があることが明らかになっている。しかし、それぞれの色素によって栄養を効率的に摂るための方法は異なるということをご存知だろうか?他の栄養素といっしょにすると吸収がアップするもの、熱を加えると栄養価が上がるものなど、色素別の食べ方のポイントがあるので、チェックしておこう! また、野菜は生だとカサの割に吸収される栄養量が少なく、緑黄色野菜が不足しがちになってしまうため、積極的に加熱調理したほうがよい。火を加えた野菜は食べやすく、消化にもよいというメリットもある。もちろん、なかには熱に弱いものもあるので、食材の特性を活かしてサラダにしたり、ジュースを利用するなど工夫してみよう。 野菜の色素別おすすめ調理方法 野菜の色 色素 おすすめ摂取方法 おすすめ料理 カロテノイド系 熱に強いため、火を加えてもよい。脂肪といっしょに摂ると吸収率がアップ ミネストローネ、トマトシチュー、ラタトゥイユなど グラタン、あんかけ、てんぷら、パウンドケーキなど ポルフィリン系 熱と酸の組み合わせに弱い サラダ、おひたし、マリネなど フラボノイド系 オニオングラタンスープ、ガーリックトースト、ポタージュなど アントシアニン系 熱に強い、また水に溶ける性質がある 梅干、サラダ、コールスロー、しそジュースなど 参考:「野菜の色には理由がある」毎日新聞社 新鮮野菜&完熟野菜は栄養価が高い! 野菜の栄養価を最大限に利用するには、「鮮度」と「熟度」のチェックも重要なポイント。野菜は空気に触れることでしだいに栄養も損なわれてしまうため、まとめ買いをして冷蔵庫にストックするよりこまめに買い足すほうがよい。また、色が濃く完熟したもののほうが栄養価に優れているので、色が鮮やかで十分に熟れたものを選ぶのがコツ。 ■熟度によって栄養価がこんなに違う! 参考:カゴメ(株)総合研究所分析データ 生ジュースで効率よく栄養を補給しよう!生ジュース作り成功のポイント 野菜をフレッシュな状態で味わい、かつ栄養も十分に摂る方法として「生ジュース」がある。ボールいっぱいの野菜もミキサーで液状にしてしまえば、あっという間にコップ1杯程度の量に早変わり。忙しい朝でも手軽に利用できるのがうれしい。また、液状にすることで体への吸収も高まるので、無駄なく野菜の栄養が摂れるというメリットも。 ジュースに利用する野菜はどんな組み合わせでもよいので、その日の気分に合わせて2~3種類の野菜や果物をミックスして楽しんでみよう。もちろん、生野菜にこだわらずにトマトジュースなどの市販のものを組み合わせてもよい。食材にあわせて、隠し味に塩、コショウ、ヨーグルトや豆乳、オリーブオイル、はちみつなどを少量使うと、コクが出て意外なおいしさを発見できる。さらに栄養価も高まるので、試す価値ありだ。 生ジュース作り成功のポイント ●果物同士の組み合わせは避ける バナナとりんご、オレンジとパイナップルなど、つい果物同士をミックスしたくなるが、果糖を多く摂り過ぎてしまうのでヘルシーさに欠ける。果物を使う場合には、野菜と組み合わせたり、ヨーグルトや牛乳を加えてマイルドな甘さを楽しもう。 ●ビタミンCを破壊する食材にはレモン汁か酢を きゅうり、にんじん、かぼちゃ、りんご、バナナなどに含まれるアスコルビナーゼという酵素は、ビタミンCを破壊してしまう。酵素のはたらきを弱めるには、レモン汁か酢を加えるとよい。 ●アクのある野菜や生で食べられない野菜はゆでてから ほうれん草や小松菜などのアクが強い野菜は、一度熱湯でゆでて冷水にとり、アクを抜いてから使うべし。ブロッコリーやかぼちゃ、れんこんなどの生で食べられない野菜も下ゆでが必要。 ●すぐに作って、すぐに飲む 材料を切ったらすぐにミキサーに入れること。食材は切ったそばから色や味、栄養価が落ちていく。また、生ジュースは作りおきをしないのが鉄則。できたてをすぐに飲むのが、最も栄養を効率よく摂れる。 公開日:2003年8月4日
今やアメリカ人より日本人のほうが野菜不足!!近年日本人の野菜の摂取量は激減。アメリカ人の1人当たりの摂取量よりも下回っているという報告もある。アメリカの野菜摂取拡大を推進した「ファイブ・ア・デイ・プログラム」と野菜の色素による健康効果を紹介。 目次 日本人の緑黄色野菜不足は深刻! アメリカが野菜の摂取量で日本を逆転 野菜パワーのヒミツは「色素」にあった! 日本人の緑黄色野菜不足は深刻! 「日本人は野菜をたくさん食べるから健康で長生き」と言われてきたが、この定説も過去のものとなりつつある。「第6次改定日本人の栄養所要量」によると、日本人に1日に必要な野菜の量は350g。そのうち緑黄色野菜を120g、その他の野菜は230gとされている。しかし、国民栄養調査結果(平成13年)を見てみると、実際には279.4gしか摂れていない。緑黄色野菜に至っては93.6gと8割に満たない結果だ。緑黄色野菜の所要量はその重要性から第6次改定で120gに引き上げられたもの。もっと積極的に野菜を摂る必要があるのだ。 ■1日に必要な野菜の量は350g 野菜類350g うち緑黄色野菜120g 果実類150g 出典:第6次改定日本人の栄養所要量 ■実際には8割程度しか摂れていない 野菜類279.4g うち緑黄色野菜93.6g 果実類132.0g ※単位:g/総数12,481人に対し 出典:平成13年国民栄養調査結果より アメリカが野菜の摂取量で日本を逆転 一方、国民の3人に1人は肥満と言われるアメリカではどうだろう。「健康増進のために1日5サービング(品目と量)以上の野菜と果物を食べよう」という目標を掲げた「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)プログラム」という全国的な運動が1999年から始まり、1人当たりの野菜や果物の摂取量が飛躍的に伸びてきている。この運動により、アメリカではたった3年で野菜の消費量が15%、果物の消費量が17%も向上した。80年代には日本人にははるかに及ばなかった野菜の摂取量も、90年代後半にはついに逆転したと言われているのだ。 この「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)プログラム」でバランスのよい食生活を送る目安として用いられているのが「フードガイドピラミッド」。このピラミッドの比率を守りながら、1日に野菜3サービング、果物2サービング、あわせて5サービング(5 A DAY)以上食べると、栄養バランスを崩さずに健康が保てるというわけだ。 ■バランスのよい食生活の目安「フードガイドピラミッド」 米国農務省(USDA)推奨 1サービングの目安 100%ジュースならコップ1杯 葉野菜なら1カップ 生または調理された野菜なら1/2カップ 野菜パワーのヒミツは「色素」にあった! 野菜を摂る最大のメリットとしてあげられるのは、なんといっても生活習慣病の予防。実際、「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)プログラム」に取り組むアメリカでも、がんをはじめとする生活習慣病による死亡率が減少傾向にあるとされている。 しかし、一体、野菜のどの部分にこの偉大なパワーが秘められているだろう?その答えは「色」。野菜の色素は食欲をそそるだけではなく、実際に私たちの体に有効にはたらくパワーが認められているのだ。 野菜の色素による健康効果 野菜の色 色素 効能 代表的な野菜 カロテノイド系(リコピン、カプサイシンなど) がんの予防 動脈硬化の予防、胃腸を丈夫にする トマト/赤ピーマン/金時にんじん/赤唐辛子 カロテノイド系(アルファカロテン、ベータカロテンなど) 心臓疾患の予防、免疫の増強 かぼちゃ/にんじん/黄色ピーマン ポルフィリン系(クロロフィルなど) 抗アレルギー、体臭・口臭の抑制 ほうれんそう/緑ピーマン フラボノイド系(ケルセチンなど) 血管の保護、血行促進、中性脂肪の減少 たまねぎ/にんにく アントシアニン系(ルブロブラシンなど) 血管の保護、血行促進、抗アレルギー 赤キャベツ/赤シソ/プルーン 参考:「野菜の色には理由がある」毎日新聞社 公開日:2003年8月4日
今は1年中、どの野菜でもスーパーなどで手に入ります。でも、やっぱり旬の野菜を食べたいですね。旬の野菜は、ほかの時期より栄養価が高く、しかも安く手に入ります。そんな冬の野菜を集めました。 目次 旬のものは旬に食べる 代表的な冬野菜一覧 旬のものは旬に食べる 今は栽培技術も発達し、1年中スーパーなどでも売られていて、どの野菜がいつ旬なのかわかりづらくなっています。でも、旬のものは旬の時期に食べた方が、栄養価も高く、おいしいもの。 そこで、冬野菜をまとめました。1日に食べたい野菜の量は300~350gほどとなります。たくさん食べて健康になりましょう。 代表的な冬野菜一覧 ※「旬の時期」は、出回り最盛期を参考にしました。 大根 ●栄養は? 根の部分は淡色野菜、葉の部分は緑黄色野菜です。葉には、カロチン・カルシウムが豊富なので、葉つきのものが売られていたらぜひ購入しましょう。根はビタミンCが多く、胃もたれを防ぎ、胃粘膜を修復する作用があります。 ●旬の時期と選び方 10月~12月ごろ。根の皮に白くつやがあってずっしりと重いものを。横筋やひげ根の少ないものを選びましょう。 白菜 ●栄養は? ビタミンCやミネラルが比較的豊富です。また、食物繊維は100g当たり1.1gとレタス並みの含有量となっています。加熱するとカサが大幅に減り、たくさん食べられるのが特徴です。ビタミンC、カリウムは水溶性なので、煮汁ごと食べられる料理がおすすめです。 ●旬の時期と選び方 11月~2月ごろ。巻きがしっかりしていて重いものが良質です。 かぶ ●栄養は? 大根と同様に、根の部分には消化酵素のジアスターゼが含まれているため、胃に優しい野菜です。クセがなく、生で食べても辛味が少ないため、サラダや浅漬けなどにして食べると、胃もたれの解消にもなります。葉はビタミンA、ビタミンC、カリウムなどが豊富に含まれています。 ●旬の時期と選び方 10月~11月ごろ。葉がみずみずしくて根は白くてキメが細かいものを選びましょう。傷があるものはいたみやすいので注意を。葉つきのものを購入したら、すぐに根と切り離し、葉はいたみやすいので早めに調理するとよいでしょう。 ねぎ ●栄養は? 緑の部分は緑黄色野菜、白い部分は淡色野菜です。ねぎ特有の辛味は、アリシン(硫化アリルの一種)と呼ばれ、体を温める作用があります。また、疲労回復効果のあるビタミンB1の吸収を高める作用もあるので、体が弱っているときに最適です。 ●旬の時期と選び方 12月~2月ごろ。白い茎が長くて太く、張りのあるものを選びましょう。また、緑の部分の色は濃いものを。保存するときは、新聞紙にくるんで冷暗所へ置くと、長持ちします。 カリフラワー ●栄養は? 100g当たりのビタミンC含有量は65mgとほうれん草に匹敵し、淡色野菜の中でもトップクラスです。しかも加熱しても損失が少ないため、ゆでてサラダなどにして食べたいもの。特に芯の部分にビタミンCが豊富なので、捨てないようにしましょう。 ●旬の時期と選び方 12月~1月ごろ。つぼみの色が白くてこんもりと硬く締まっているもの、どっしりと重いものを選びましょう。茎の切り口にすが入っていたり、乾いているものは避けたほうがよいでしょう。 ほうれん草 ●栄養は? 緑黄色野菜の代表です。特に、カロチン、ビタミンC、鉄を多く含んでいます。ただし、ゆでるとビタミン類がどんどん流失してしまうので、水にさらす時間はできるだけ短くしましょう。また、根の赤い部分には骨の形成にかかわるマンガンが多く含まれているので、よく洗って食べましょう。 ●旬の時期と選び方 10月~3月ごろ。緑が濃く葉が肉厚で、張りがあり、20~25cmくらいで葉先がピンとしているものを選びましょう。葉が黒く変色していたり、しおれているものは避けます。 小松菜 ●栄養は? 成分はほうれん草に似ていますが、カルシウムはほうれん草の5倍含んでいて、骨が丈夫になります。もちろん、カロチン、ビタミンCが豊富です。ビタミンCは粘膜を強くし、風邪の予防に効果的です。 ●旬の時期と選び方 12月~2月ごろ。葉柄が短く、厚めでピンとしたものを選びましょう。葉は小ぶりなもののほうが柔らかいです。全体を霧吹きでぬらし、保存袋に入れて根を下にして冷蔵庫の野菜室で保存すると長持ちします。 春菊 ●栄養は? カロチン、ビタミンCが多く、がん予防や肌荒れに効果があります。春菊の香りは独特の香りがあり、この香りは自律神経に作用し、胃腸の動きをよくしたり、痰をきりせきを静めるなどの効果があります。 ●旬の時期と選び方 11月~1月ごろ。葉先まで緑色が濃く、みずみずしいものを選びましょう。茎があまり太くなく、根元から葉が密生していて伸び過ぎていないもののほうが、柔らかくておいしいです。 ごぼう ●栄養は? セルロース、リグニンなどの食物繊維を含み、整腸作用があります。食物繊維は大腸がんの予防や、コレステロールを抑えて動脈硬化を防ぐはたらきがあります。 ●旬の時期と選び方 11月~1月ごろ。泥つきで、太さが均一(10円玉くらい)でまっすぐなものを選びましょう。ひびやシワがあるものは避けるとよいでしょう。
温かいものを食べると体が温まりますが、そもそも体を温める食材があること、ご存知ですか?冷え性でお悩みな方はもちろん、そうでない方もぜひご覧ください。 目次 食べると芯から温まる!冬野菜 体を温める食材といえば、ねぎやしょうがも忘れずに 食べると芯から温まる!冬野菜 寒い冬だからこそ体の芯から温まりたいもの。手っ取り早いのは、温かいスープやお茶を飲んだり、ほかほかのおでんを食べるなど、温かいものを口にすることです。でも、そもそも体を温める食材、冷やす食材があることをご存知でしょうか。 一般的には、夏野菜は体を冷やし、冬野菜は体を温める、と言われています。夏野菜は水分が多く生で食べるものも多く、夏の暑い時にほてった体を冷やしてくれる作用があり、食べるとすーっとします。一方、根菜類などには体を温める効果がある、というわけです。 ●体を冷やす野菜:トマト、レタス、きゅうり、なすなど ●体を温める野菜:だいこん、かぶ、ごぼう、白菜など なぜ、野菜が体を温めるの? 野菜に含まれるビタミンCやビタミンEは、冷え性に効果があると言われています。ビタミンEは血行を良くするはたらきと、体内のホルモン分泌を調節するはたらきがあります。また、ビタミンCには、血液の主要な材料となる鉄分の吸収を促進、毛細血管の機能を保持するはたらきがあるのです。 冬野菜に限らず、ビタミンCを含む果物やビタミンEを含む穀物や豆なども体を温める食べ物なのです。 体を温める食材といえば、ねぎやしょうがも忘れずに 体を温める食材として、忘れてはならないのがねぎやしょうがなどです。普段は薬味やスパイスとして活躍している食材ですが、血行を促進する効果があり、体を温めるのに優れた食材でもあります。その効果をご紹介します。 ●ねぎ ねぎの白い部分を食べる根深ねぎと葉の部分を食べる葉ねぎがあります。白い部分は淡色野菜、葉の部分は緑黄色野菜です。ねぎ特有の辛味はアリシンと呼ばれるもので、血行をよくし体を温める作用があります。葉の部分には、カロチンやビタミンCが含まれ、風邪予防に効果あります。 ●しょうが 栄養的には特に優れているものはありませんが、辛味成分であるジンゲロンやショウガオールには発汗を促す作用があり、冷え性だけでなく、風邪の初期症状の緩和に効果があります。 ●とうがらし 辛いものを食べると体が熱くなります。その代表がとうがらしです。赤とうがらしのほか、チリペッパー、カイエンペッパーなど種類が豊富ですが、カプサイシンと言われる辛味成分に体を温める効果があるのです。カプサイシンには、毛細血管の血液循環をよくするはたらきがあります。また、とうがらしは皮下脂肪の代謝を促進させるため、肥満防止やダイエットにも使われます。
夏バテに効果抜群の夏野菜 食べ物に季節感がなくなったと言われるが、夏は、太陽をさんさんと浴びた野菜が家庭の食卓やビアガーデンのオツマミにも並ぶことが多い。 夏野菜と呼ばれるみずみずしい野菜が、栄養的な面でヒトの身体にどのようにはたらくのかを知っておけば、夏のトラブルにも負けないはず! 枝豆 特徴 大豆の未熟な物 栄養分 タンパク質、カルシウムのほか大豆にはないビタミンCやAも含む 効果 過剰な熱エネルギーを冷まし、体内にたまった余分な水分を排泄する作用がある トマト 特徴 「トマトが赤くなれば医者が青くなる」とも言われるほどのパワーの持ち主!?生活習慣病に効果があると注目も集まり、働き盛りの人たちにはかかせない食べ物になりつつある 栄養分 ビタミンCを100g中20mg含有、野菜の中でも飛び抜けている 効果 ビタミンCの中のルチンは血圧を下げるはたらきがある ストレスへの抵抗力を増す 胃のむかつきをすっきりさせる 脂っぽい食べ物からくる胃のもたれの改善 頭がボーッとしているときにしゃっきりさせるグルタミン酸やアミノ酪酸を含む キュウリ 特徴 キュウリは水分96% 栄養分 栄養的にあまり期待できない 効果 体内に生じた余分な熱を冷まし、調整するはたらきがある 熱を通して食べると、利尿効果を発揮しやすくなる(スープに入れたり炒めたりするのがおすすめ) 足がほてって眠れない場合、キュウリの切り口で足の裏をこすると、清涼感が得られよく眠れる トウモロコシ 特徴 海の家や夏祭りに欠かせないトウモロコシ 冷凍物は1年中出回っているが、やはり夏から秋にかけてが旬 栄養分 玄米並のタンパク質に加え、ビタミンBや繊維は3倍、また糖質は少なくカロリーは玄米の3分の2 ビタミンEやリノール酸も多いが、タンパク質中の一部の必須アミノ酸が少なめ 効果 コーンフレークに牛乳などをかけて食べると栄養的にもかなり整う 胃腸を丈夫にし、元気をつけるはたらきがあるので、食欲がでないときにピッタリ このほかに、オクラやニガウリ、薬味に使う大葉、みょうが、ラッキョウ、新顔のモロヘイヤなども夏らしい野菜だろう。 これらに共通しているのはビタミンが豊富であること、苦みやからみで清涼感を得られること。 大葉などには防腐効果もある。 また、まさに夏しかお目にかかれないスイカは、果肉の90%以上が水分であり、ビタミン類は少ないがカリウムが多く、腎炎や膀胱炎、高血圧にも効果を発揮。 暑い日の口当たりの良さはもちろん、熱を冷まし、暑さを忘れさせてくれるはたらきと利尿効果が高い。 夏の野菜は生で食べたり、簡単にゆでたりするだけで調理が済むものも多い。 また外食のメニューにも登場する頻度が高いので、ぜひ夏には夏生まれのパワーを食べたいものだ。