スギ花粉症のシーズンがやって来ました。毎年、この時期に花粉に悩まされている人は、より花粉防御の効果が高い空気清浄機や花粉対策マスク、メガネなどを活用したいと思うでしょう。そこで、企業や研究機関が中心となって花粉問題への対策に取り組んでいる花粉問題対策事業者協議会(JAPOC)では、2015年から市販の花粉対策製品・用品の認証制度を運用しています。認証された空気清浄機やマスク、メガネなどについて紹介します。 目次 認証基準に適合した花粉対策プロダクト・グッズにはJAPOCマーク 認証マーク付きの製品は? 認証基準に適合した花粉対策プロダクト・グッズにはJAPOCマーク 花粉対策といえば、空気清浄機やマスク、メガネなどの製品やグッズが思い浮かびます。しかし、それぞれにおける花粉の防御効果に関しては、企業が個別に定めた試験基準に基づいており、空気清浄機やマスク、メガネなどの性能を比較できる評価基準が明確になっていないのが実情のようです。 そこで、省庁や国の研究機関、企業などがさまざまな花粉問題に取り組むために2012年に設立された花粉問題対策事業者協議会では、花粉対策用の電化製品や用品の分野別に統一した試験規格と認証基準を策定し、認証制度(https://www.kafunbusiness.org/authentication)を2015年から開始しました。 認証基準を満たす空気清浄機やマスクなどには認証マークが与えられます。 認証マーク(JAPOCマーク)の例 JAPOC(Japan anti-pollinosis Council)マークは、JAPOCの「J」が花粉を追い出す姿をモチーフしています。「J」をかこむ円上のデザインは、JAPOCが一事業者あるいは一研究機関だけではなしえない花粉問題対策にオールジャパンで取り組んでいることをあらわしています。 認証マーク付きの製品は? 2017年~2018年に同協議会の認証基準を満たした製品のおもなものは以下になります。 空気清浄機:加湿ストリーマ空気清浄機:MCK70V-W(T) ダイキン工業株式会社 空気清浄機: 加湿空気清浄機:F-VXR90 パナソニック エコシステムズ株式会社 空気清浄機: Dyson Pure Cool™ 空気清浄ファン:TP04 ダイソン株式会社 マスク:超快適マスク 息ムレクリアタイプ かぜ・花粉用 ユニ・チャーム株式会社 メガネ:スカッシーメディカル 名古屋眼鏡株式会社 網戸:空気清浄網戸「ナノキャッチ」用の網部材 株式会社サンエス 衣服用線維:ポランバリアシリーズ 帝人フロンティア株式会社 認証された花粉対策プロダクト・グッズの一覧 https://www.kafunbusiness.org/product 花粉問題対策事業者協議会では、企業や研究機関などが一丸となって花粉の飛散量を少なくすることや、人々が花粉を浴びないようにすること、花粉症状を少しでも抑えることなどに取り組んでいます。取り組みの1つとして、認証制度を2015年から実施しています。毎年の花粉に悩まされている人、これから花粉対策を考えている人は、認証基準をクリアしてJAPOCマークがついたプロダクト・グッズを選定候補として考えるのも手です。 公開日:2019/02/01
スギ花粉症は、アレルギーの病気で国民病といわれており、最近は子供の花粉症が増加していることが問題となっています。腸内環境を改善することがアレルギー対策になるため、薬以外に食事を工夫することも一つの手です。赤坂ファミリークリニックの伊藤明子先生は、腸内環境を改善するヨーグルトとアレルギーを抑える成分を多く含む柑橘類を組み合わせたレシピ「じゃばらヨーグルト」をおすすめしています。作り方を含めて紹介します。 目次 子供や思春期でスギ花粉症が増加傾向 清潔にしすぎると腸内細菌の環境が悪くアレルギーになりやすい じゃばらは花粉症に関わるヒスタミンを抑えるナリルチンを多く含む柑橘類 じゃばらヨーグルトの作り方(10人分) 子供や思春期でスギ花粉症が増加傾向 伊藤先生によると、スギ花粉症は、4人に1人が発症する国民病です。鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版によると、1998年と2008年に実施された全国調査の結果*1では、スギ花粉症の人数が1998年に比べて2008年のほうが増加しているとのことでした。 その傾向のなかで、5歳以降の学童期の子供たちの花粉症が増えていることが問題となっています。 スギは樹齢30年前後から花粉の生産が盛んになりますが、国内のスギの大半が樹齢30年未満のため、今後しばらくは花粉がさらに多くなる予想で、子供の花粉症も増えていく可能性があります。 子供の花粉症への対策としては、医療機関で抗アレルギーの薬が処方されます。また、舌下療法という根治を目指す治療法もありますが、12歳以降しか受けられませんし、花粉が飛散するかなり前から服用を開始し、数年間にわたり毎日続ける治療法です。 近年、アレルギーへの対策として腸からアプローチすることが注目されています。伊藤先生は親が子供のために作ることができるレシピを考案しました。 清潔にしすぎると腸内細菌の環境が悪くアレルギーになりやすい 伊藤先生によると、腸内には多種多様な善玉菌(乳酸菌など)、悪玉菌、日和見菌が住み着き、それぞれのバランスがよい状況が望まれますし、腸内に生息している細菌の種類の多様性が健康な腸を作ることがわかっています。 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘息といったアレルギーの病気になりやすい原因の一つとして、清潔過剰仮説あるいは衛生仮説が指摘されています。清潔を求めるあまり、幼少期に細菌や寄生虫と接触する機会が少ないと、腸内に生息する細菌の種類が多様でなくなることが原因といわれています。 たとえば、田舎や自然のなかで育った子供は、都会で育った子供に比べて腸アレルギーになりにくいとの研究報告*2があります。 じゃばらは花粉症に関わるヒスタミンを抑えるナリルチンを多く含む柑橘類 腸内環境を整えるために食べ物でアレルギーを予防できる可能性があるものとして、伊藤先生は「じゃばら」に着目しました。 じゃばらは、和歌山県北山村の柑橘類で、語源は「邪(じゃ)気を払(はら)う」です。じゃばらには、アレルギーに抑制効果があることが研究で示されているナリルチンという物質が、ゆずやほかの柑橘類と比べて多く含まれています。 ナリルチンに関しては、花粉症をはじめとしたアレルギー症状を起こす際に関わるヒスタミンという物質を抑制するはたらきがあることが研究で示されています。 なお、みかんにはナリルチンはほとんどありません。また、じゃばらの果汁を食べるとかなりすっぱいので、そのまま食べるのは難しいです。 そこで、伊藤先生は、和歌山県北山村産のじゃばら果汁と、善玉菌である乳酸菌が多く含まれるヨーグルトを組み合わせた「じゃばらヨーグルト」が花粉対策レシピとして有用として、調理法を紹介してくれました。 じゃばらヨーグルトの作り方(10人分) ■材料(4人分) じゃばらソース:じゃばら果汁 大さじ7、キビ砂糖 大さじ1、くず粉 大さじ1、メイプルシロップ 適宜 プレーンヨーグルト100g×10人分 ■作り方 じゃばら果汁とキビ砂糖を小鍋で沸かして煮詰める 上記に、水溶きくず粉を入れてとろみをつける メイプルシロップを適宜いれて調整する プレーンヨーグルト100g程度にじゃばらソースを適宜かける 伊藤先生は、2017年に赤坂ファミリークリニックを開業しました。 「子供のときからの病気予防」をテーマにトータルヘルスプロモーション(食と栄養、運動、睡眠、生活習慣、ストレス管理など包括的な取り組み)としてさまざまな活動に従事しています。例えば、子供が0歳のときから予防できる食事療法をお母さんたちに伝えています。 今回、花粉症に着目しました。子供の治療法は限られているので、腸内環境を整えることが花粉症やアレルギーの対策になることを考え、親が子供のために食生活を見直して体によいレシピを作ってあげることが有用としています。 *1:Progress in Medicine2008;28(8):145-156. *2:Thorax. 2017;72(3):236-244. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27672121 公開日:2019/01/23 監修:赤坂ファミリークリニック 伊藤明子先生
秋の時期に、鼻水やくしゃみなどが長引くときがあります。原因として、秋に特有の花粉や、部屋のホコリ(ハウスダストといいます)が考えられます。ハウスダストにはダニの死骸が多く含まれる時期なので注意が必要です。 目次 秋はハウスダストにダニが多く含まれているのでアレルギーを起こしやすい 根治も期待できるアレルゲン免疫療法があります 秋はハウスダストにダニが多く含まれているのでアレルギーを起こしやすい 秋に鼻水やくしゃみなどのアレルギー性鼻炎を起こすことがあります。原因としては、空き地や河川敷などに生える雑草の花粉のほか、部屋のホコリ(ハウスダスト)がります。ハウスダストに関しては、ダニとの関係があります。というのは、秋以降は夏に増えたダニが死にますが、死骸や糞がハウスダストに多く含まれてしまうからです。 根治も期待できるアレルゲン免疫療法があります ダニが原因のアレルギー性鼻炎には、掃除を徹底するなど生活環境を改善するほか、症状に悩んでいる人は医療機関で花粉症と同じような治療を受けることができます。 治療に関しては、アレルギー原因物質(アレルゲン)を主成分の薬剤を少しずつ摂取し、免疫をつけて自身の体質を変えるアレルゲン免疫療法があり、根治の可能性があります。 その1つとして舌に薬剤(錠剤)を置く舌下免疫療法というものを、同療法の認定医師がいる医療機関で受けられるようになりました。 ダニによるアレルギー性鼻炎のほかにスギ花粉症の患者さんも治療を受けられます。ただ、効果が現れるまで数ヵ月間かかりますし、数年間にわたり毎日継続する必要があります。希望する人は医師によく相談しましょう。 長引く鼻水の原因はダニアレルギー?日医大・大久保公裕先生に聞く スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 公開日:2018/09/27 監修:日本医科大学大学院医学系研究科頭頸部感覚器科学分野教授 大久保公裕先生
花粉といえば春のスギ、ヒノキが思い浮かびますが、年間を通してさまざまな花粉が飛んでいます。秋の時期に風邪をひいたと思っていたら、実は花粉症だったという人は少なくありません。秋に注意すべき花粉を紹介します。 目次 秋は空き地や河川敷、畑などに生える雑草の花粉が飛びます 道端、公園やグラウンド、畑、河川敷などの身近な場所に生えています 風邪と花粉症の症状には違いがあります 秋は空き地や河川敷、畑などに生える雑草の花粉が飛びます 秋の時期にも花粉は飛散します。秋に花粉症になってしまうのは、スギやヒノキといった木(木本といいます)の花粉ではなく、空き地や畑、河川敷などに生えている雑草など草(草本といいます)の花粉がおもな原因となります。 鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版では、地域ごとにどの時期にどんな花粉が飛散するのかがわかる花粉カレンダーがあります。 道端、公園やグラウンド、畑、河川敷などの身近な場所に生えています 秋に飛散する草本の花粉はおもに、イネ科のススキやキク科のブタクサやヨモギ、アサ科のカナムグラなどです。 医師などが診療の際に参考にする鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版によると、飛散しやすいエリアは東北、関東、関西、九州が挙げられています。 おもな生育場所は、道端、公園やグラウンド、畑、河川敷などの身近な場所です。なお、春のスギやヒノキの花粉は広範囲に飛散しますが、秋に草本の花粉が飛散する距離は数100mなので、近づかないだけでも防御策になります。 自然豊富な自宅の近くを歩いていて鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどがでてくる場合は、草本の植物による花粉が飛散しているのかもしれませんので注意しましょう。 風邪と花粉症の症状には違いがあります 風邪と花粉症との違いとして、花粉症では次のような特徴がみられます。 鼻水が透明っぽい くしゃみが頻発する 鼻水やくしゃみといった症状が1週間以上続く 晴れた日や風が吹いた日に症状がでてくる 花粉によるアレルギー性鼻炎である花粉症では、上記のような症状の特徴を把握し、外出時は眼鏡やマスクによる防御、家では服についた花粉を取り払うことや、室内の掃除を徹底しましょう。治療に関しては医療機関の医師の先生に相談しましょう。 参考:花粉症環境保健マニュアル2014年1月改訂版(環境省)、鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版 公開日:2018/09/25 監修:日本医科大学大学院医学系研究科頭頸部感覚器科学分野教授 大久保公裕先生
花粉症の予防策のひとつ「アレルゲン免疫療法」(減感作療法ともいいます)について、大久保公裕先生にお話を伺いました。この治療法は、花粉が飛散する時期にツライ症状を経験しなくて済み、患者さんによっては根治も期待できます。皮下注射と舌下療法があり、2018年6月に舌下免疫療法の舌下錠剤による治療が受けられるようになりました。翌年の花粉飛散を見越して始めてみませんか? 目次 アレルゲン免疫療法(減感作療法)を知っていますか? 毎日服用して長期間継続すると、スギ花粉症に対する免疫をつけることができる 翌年の花粉飛散を見越して、5月や夏休み中から舌下免疫療法を開始 舌下錠剤の服用方法は、舌下に1分間保持した後に飲み込む アレルゲン免疫療法(減感作療法)を知っていますか? 2018年は、スギ花粉が多く飛散したようです。毎年この時期が憂鬱(ゆううつ)になる方に、予防策として、アレルゲン免疫療法(減感作療法ともいいます)があります。 アレルゲン免疫療法は、スギ花粉が飛散する前から開始して、スギ花粉のアレルゲンエキスを少しずつ摂取してスギ花粉症への免疫をつけることにより、花粉が飛散する時期にツライ症状を経験しなくて済むこと、患者さんによっては根治も期待できる治療法です。 皮下注射と舌下療法(スギ花粉のアレルゲンエキスを舌に垂らす服用方法)がありますが、2018年6月に舌下免疫療法の舌下錠剤による治療が受けられるようになりました。日本医科大学大学院 頭頸部・感覚器科学 教授の大久保公裕先生に聞きました。 毎日服用して長期間継続すると、スギ花粉症に対する免疫をつけることができる スギ花粉のアレルゲンエキスを用いた舌下免疫療法は、2014年に保険適用となりました。 スギ花粉が飛散するよりも前の段階から投与を開始して,最初の数週間はエキスを増量し、その後は一定量の服用を維持していきます。 アレルゲンエキスを服用して長期間にわたって体に慣れさせて、スギ花粉アレルギーに対する免疫をつけることができると、スギ花粉の飛散期に鼻水やくしゃみ、眼のかゆみといった症状が起こりにくくなることが期待できます。 免疫をつけるために、数ヵ月以上の期間が必要となるので、服用を開始するのは前年からとなります。患者さんによっては、数年間にわたって継続すると、スギ花粉症が根治する可能性もあるという治療法です。 翌年の花粉飛散を見越して、5月や夏休み中から舌下免疫療法を開始 舌下免疫療法の課題としては、毎日服用することと長期間継続することが挙げられます。根治を目指す場合は治療期間が数年になります。いったん、服用をやめると免疫をつけることも途切れますので、最初からやり直しになります。 長期継続のためには自己管理が重要になります。大久保医師によると、 薬袋を冷蔵庫に貼り、起床時に冷蔵庫の扉を開けると薬袋が目に入るようにする 会社や学校に行った際にまず服用する など、独自に工夫を凝らしている患者さんは多いとのこと。 また、4月後半~5月は飛散シーズンが終わるので、患者さんは気が緩んでしまって中断する、あるいは連休で服用を中断しがちになることが考えられます。夏休みがある7月~8月も中断してしまうケースが考えられます。 医療機関では、患者さんが脱落しないように、その時期に患者さん向けにアンケートを実施して意識付けることや声掛けするといった工夫をしています。 大久保医師によると、長期に継続するほど効果を実感できる治療法なので、花粉症を治したい意欲を強く持っている患者さんや、治療法について理解している患者さんでは、花粉の飛散シーズンが終わった5月以降や、学生さんなどでは夏休み中から舌下免疫療法をスタートさせる方が多いとの話でした。 舌下錠剤の服用方法は、舌下に1分間保持した後に飲み込む スギ花粉舌下液を用いた舌下免疫療法は医療機関で受けることができます。スギ花粉のアレルゲンエキスを舌に垂らして2分間そのままの状態にし、その後に飲み込むという方法で服用します。 最近ですが、舌下の錠剤が6月から医療機関で処方してもらえることになりました。大人だけではなく、12歳未満の小児のスギ花粉症患者さんにも治療対象が広がりました。 舌下免疫療法は、処方できる認定医師がいる医療機関で受けることができます。 服用方法としては、錠剤を舌下に1分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがいや飲食を控えることに注意します。 錠剤は、エキスの薬剤と同様に毎日の服用が必要となりますので、長期継続のために自己管理を工夫することが重要です。医療機関の方に自己管理の方法を相談することも手です。医療従事者とともに花粉対策を講じる治療法といえるでしょう。 公開日:2018/05/14 監修:日本医科大学大学院 頭頸部・感覚器科学 教授 大久保公裕先生
花粉症治療には、アレルギー治療薬を用いる「対症療法」やレーザー手術のほか、アレルゲンを含んだ薬を少量ずつ投与して体を慣らしていく「免疫療法」などがあります。その免疫療法の中でも、2014年に登場した舌の下に薬を垂らす「舌下免疫療法」について詳しく解説します。 目次 新たに加わった選択肢「舌下免疫療法」 皮下免疫療法と舌下免疫療法の違いとは? スギ花粉症の免疫療法の副作用 アナフィラキシーの主な症状 新たに加わった選択肢「舌下免疫療法」 花粉症の中でも、日本人に特に多いと言われるスギ花粉症。アレルギー治療薬を用いる「対症療法」が一般的ですが、これらは症状を抑えるのが目的であり、シーズンのたびに行うことになります。これに対して、長期にわたって症状を抑えられる治療として、レーザーや電気メスで鼻の粘膜を焼く手術のほかに、アレルギーの原因であるアレルゲンを含んだ薬を少量から投与して体を慣らし、症状を和らげる「免疫療法」があります。 スギ花粉症の免疫療法と言えば、スギ花粉以外のアレルゲン(ダニ、ハウスダストなど)が原因の病気も対象となる、医療施設で皮下注射をする「皮下免疫療法」が、その役割を担ってきました。それに加えて2014年には、新たな選択肢のひとつとして、自分で舌の下に液状の薬を垂らす「舌下免疫療法」も登場しました。 なお、花粉症の免疫療法には、いくつかの呼び名があります。「アレルゲン免疫療法」「特異的免疫療法」「抗原特異的減感作療法」「減感作療法」などと呼ばれますが、それらはすべて、同じ治療法を指しています。 皮下免疫療法と舌下免疫療法の違いとは? 免疫療法は2~5年続けると、手術をせずに、長期にわたって症状を抑えることや、アレルギー治療薬の使用量を減らすことが期待できます。皮下と舌下のどちらも、まずは問診や、アレルゲンがスギ花粉であることを確かめる検査などを受け、症状や体質を調べてから開始します。 薬は少量から投与し始め、一定量まで徐々に増やしていきます。皮下免疫療法の注射回数(通院回数)は、週に1~2回から始まり、やがて2週間毎、1ヵ月毎へと移行していきます。舌下免疫療法は、1日1回の薬の投与は初回を除いて自宅でできるため、皮下免疫療法よりも通院回数が少なくてすみます。皮下免疫療法では避けられない、注射による痛みを感じることもありません。ただし、薬は日によって決められた量や濃度が異なるとともに、投与後の飲食・うがいや入浴、運動などを避けるべき時間も決められています。そのため、それらを自分で理解して、しっかりと守る必要があります。 皮下免疫療法 舌下免疫療法 薬の投与方法 皮下に注射 舌下に垂らす 薬の投与場所 医療機関 自宅(初回は医療機関) 注射による痛み あり なし 健康保険の適用 あり なし ※2014年3月現在 免疫療法は、どちらの方法も受けられる医療施設が限られているため、受診を考えている医療施設で行われているか、事前に問い合わせておきましょう。また、すぐに治療効果が現れるわけではないので、免疫療法を受けている最中も、マスクや眼鏡の装着などで、スギ花粉との接触はできるだけ避けるようにします。 スギ花粉症の免疫療法の副作用 ほかの病気の治療と同様に、スギ花粉症の免疫療法に用いられる薬でも、副作用は起きる可能性があります。もっとも多いのが、投与後30分以内にみられる急性の過敏反応「アナフィラキシー」で、消化器や呼吸器、皮膚などにおいて、さまざまな症状が現れます。副作用が比較的少ないと言われる舌下免疫療法も例外ではないので、治療中に異常を感じた場合は、すぐに医師に相談しましょう。 アナフィラキシーの主な症状 ●嘔吐 ●腹痛 ●咳 ●呼吸困難 ●痒み ●蕁麻疹 ●顔面蒼白 ●意識の喪失 …など 公開日:2014/03/17
朝目覚めてすぐ、くしゃみが止まらない、鼻づまりがつらく感じるなどの症状が出る「モーニングアタック」。多くの花粉症の人たちを悩ませているこの症状の、原因と予防法について紹介します。 目次 起きてすぐ、くしゃみや鼻水が止まらない! 関係するのは、自律神経のバランスや花粉の吸い込み モーニングアタックを予防するには? モーニングアタックの予防法 起きてすぐ、くしゃみや鼻水が止まらない! 花粉症と長年付き合っていれば、花粉シーズンに外出するときのマスクやメガネの装着などを、当然のこととして実践できている人は少なくないでしょう。それでもなかなか対策しきれないのが、朝の時間帯です。目が覚めてすぐに、くしゃみや鼻水が止まらなくなったり、鼻づまりが普段よりもつらく感じたりします。これは、俗に「モーニングアタック」と呼ばれる現象で、多くの花粉症の人たちを悩ませているようです。 関係するのは、自律神経のバランスや花粉の吸い込み モーニングアタックの原因のひとつとして、起きてすぐの時間帯は、自律神経のバランスがまだうまくとれていないことが挙げられます。昼間は交感神経が優位になるため、体はくしゃみや鼻水などの症状を抑えようとします。しかし、眠りから覚めてすぐは、副交感神経が優位にあります。このため、症状をうまくコントロールできず、モーニングアタックが起きると考えられています。 もうひとつの原因として考えられるのが、睡眠中や起きた直後の花粉の吸い込みです。目が覚め、起き上がろうとすると、たとえわずかな動きであっても、布団や床に積もっていた花粉は自然と撒き上げられてしまいます。それを吸い込み、症状が現れている可能性があります。 モーニングアタックを予防するには? 花粉の吸い込みによるモーニングアタックを防ぐには、通常の花粉症対策と同じく、薬の服用とともに、できるだけ花粉との接触を避けることが大切です。 以下で紹介するような予防法をきちんと行ってもなかなか改善されない場合は、主治医に相談しましょう。 モーニングアタックの予防法 ●布団はできるだけ外に干さないようにする 外に干すと花粉が付いてしまうので、可能であれば布団乾燥機などを利用するのが望ましいです。外に干す場合、ポイントとなるのは時間帯。花粉の飛散量が比較的少ない午前中に干すようにします。中に取り込むときは、布団をはたいて花粉を落としましょう。 ●布団に付いている花粉を拭き取る たとえ外に干さなくても、外から持ち込まれた花粉が布団に付くことはあります。寝ているときや起きた直後に吸い込まないように、布団に付いた花粉は、軽く濡らしたタオルなどで拭き取っておきましょう。口や鼻の近くにある花粉がもっとも吸い込まれやすいので、特に枕のまわりは念入りに拭いておくと良いでしょう。 ●夜に入浴する 風呂に入る、あるいはシャワーを浴びることで、全身の花粉を洗い流すことができます。日中に体に付着した花粉を寝室まで持ち込まないために、普段は朝の入浴を習慣としている人も、花粉のシーズンは夜に入浴することが勧められます。 ●就寝前に薬を忘れず服用する 花粉症の薬に期待したいのは、1日のどの時間帯であっても、効き目が持続していることです。薬によって飲む回数は異なるが、朝の時間帯でも効き目が続いている状態を保てるように、就寝前の服薬を忘れないようにしましょう。 ●空気清浄機を利用する 起きたときに吸い込まないよう、空気清浄機で室内の花粉を取り除きましょう。自動的に運転の開始や停止ができるタイマー機能を備えたタイプであれば、それを使って、眠っている間に除去するのも良いでしょう。 ■関連記事 スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 花粉を防ぐ空気清浄機、マスク、メガネのおすすめは? スギの時期じゃないのに花粉症?秋に飛ぶ花粉とは 子供の花粉症対策に「じゃばらヨーグルト」がおすすめ 公開日:2013/03/11
代表的な花粉症の症状であるくしゃみ・鼻水・鼻づまり以外に、頭痛や咳、目のかゆみなどの症状がある場合は、慢性副鼻腔炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎といったほかの病気を合併していることもあります。そんな花粉症の合併症について詳しく解説します。 目次 花粉症はほかの病気も引き起こす! 花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の合併症 医師にはすべての症状を伝えよう 花粉症はほかの病気も引き起こす! 花粉が飛散する季節になるとよくみられる、くしゃみや鼻水が止まらないおなじみの現象。一般的には花粉症と呼ばれていますが、医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」に分類されます。 ひとつの病気としてとらえられることが多いのですが、複数の症状がみられる場合、厳密にはいくつかの病気があわさっています。「季節性アレルギー性鼻炎と、それに伴う合併症が起きている状態」と考えると分かりやすいでしょう。 花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の合併症 季節性アレルギー性鼻炎の主な症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが挙げられます。そのほかの症状がある場合は、次のような病気が引き起こされていると考えられます。 ●慢性副鼻腔炎【主な症状:鼻水、鼻づまり、頭痛】 鼻と隣り合い、つながっている副鼻腔(ふくびくう)という空洞に炎症が起きる病気です。「蓄膿症」という別名でも知られ、花粉症として現れる場合はアレルギー性鼻副鼻腔炎と呼ばれます。 粘り気のある鼻水が出る場合、それが花粉症によるものか、慢性副鼻腔炎の症状なのかを、厳密に区別することは難しいようです。 慢性副鼻腔炎が合併すると、花粉症の症状として現れた鼻づまりが治りにくくなるという特徴があります。 ●気管支喘息【主な症状:咳、痰】 鼻は喉などと同じ上気道であり、気管支は肺などと同じ下気道。つまり、ひと続きの同じ器官と言えます。花粉症と気管支喘息を合併している場合、どちらか片方が悪化すると、残りのもう片方も悪化してしまうことが多いようです。 また、気管支喘息ではなかった人でも、花粉症をきっかけとして発症してしまうケースもあります。 ●アレルギー性結膜炎【主な症状:目のかゆみ、充血、涙目】 花粉症の症状として語られることの多い、目のかゆみや充血、涙目。これらは厳密に言うと、花粉症の合併症として引き起こされた「アレルギー性結膜炎」によるものだと考えられます。 症状が重い場合、まぶたが腫れることもあります。 医師にはすべての症状を伝えよう ひとことで花粉症と言っても、上記で述べた合併症を含め、症状は人それぞれです。せっかく病院で診てもらっても、症状をしっかりと伝えない限り、先生も手の施しようがありません。ときには、花粉症だと思っていても、似た症状の別の病気が隠れている可能性もあります。「またいつもの症状かな」「言わなくても大丈夫だろう」などと自分で判断せず、症状や悩みはすべて先生に伝えるようにしましょう。 公開日:2012/01/23
花粉症を含むアレルギー性鼻炎と喘息は実は密接な関係があります。離れた場所にある2つの器官の病気が関連しているのはなぜでしょうか?答えは、どちらも気道で起きる病気というところにあります。「アレルギー性鼻炎」と「気管支喘息」の患者が注意しなくてはならないことなどをご紹介します。 目次 花粉症を含むアレルギー性鼻炎と気管支喘息の関係 ひと続きの気道の病気という考え「One airway,one disease」 患者の側からできること アレルギー性鼻炎と気管支喘息の患者はコレに注意 花粉症を含むアレルギー性鼻炎と気管支喘息の関係 春になると悩まされる人が多い花粉症は、季節性のアレルギー性鼻炎のひとつです。花粉症とともに通年性のものも含め、アレルギー性鼻炎の患者は年々増えており、2008年現在、国民の39.4%がアレルギー性鼻炎である(*1)といいます。これは、10年前と比べると約10%上昇したことを示しています。さらに2009年には、大規模な全国実態調査「SACRA(サクラ)サーベイ」によって、成人の喘息患者のうちアレルギー性鼻炎を合併している人が67.3%にのぼることが推定されると報告されました(*2)。 症状が鼻に現れるアレルギー性鼻炎と、気管支に現れる喘息。一見、関わりがなさそうな2つの病気ですが、実は切っても切れない関係にあります。海外で行われた調査(*3)において、喘息患者の60~78%がアレルギー性鼻炎との合併があると報告されています。また、日本国内で2005年に行われた調査(*4)においても、成人の喘息患者のうち、アレルギー性鼻炎との合併がある人が48%を占めるといいます。さらに、どちらかが発症してその治療をしないと、もう一方も引き起こされ、お互いが悪化する可能性があることが明らかになっています。 参考:大田健 第59回日本アレルギー学会秋季学術大会2009年10月29-31日(秋田) 演題番号MS19-#2 ひと続きの気道の病気という考え「One airway,one disease」 離れた場所にある2つの器官の病気が関連しているのはなぜでしょうか。その答えは、どちらも気道で起きるというところにあります。鼻やのどなどは上気道、気管支や肺などは下気道と総称されます。これらは離れた場所にあるものの、ひと続きの空気の通り道となっています。そのうえ、2つの病気は原因となるアレルゲンや、炎症が起きる過程も共通しています。 このことから、アレルギー性鼻炎も気管支喘息も、気道というひとつの器官の病気であるととらえる「One airway,one disease」という考えが、近年医療関係者の間では広まっているといいます。 患者の側からできること 気管支喘息だけでなくアレルギー性鼻炎の症状もきちんと医師に伝えられれば、別々の病気ではなく、ひとつの病気として治療を行うことができます。そのためには、両方が同じ病気だという認識を患者の側ももつ必要があるでしょう。どちらかにかかっている人は、もう一方の可能性があることも意識して、適切な治療法でしっかりコントロールするようにしましょう。 花粉症の患者も人ごとじゃない! アレルギー性鼻炎と気管支喘息の患者はコレに注意 2つの病気は、ひと続きの気道の病気だという認識をもちましょう 放っておくとお互いが悪化するので、すぐに治療しましょう どちらか一方の診察の際、もう一方を治療中であれば治療法が変わる可能性があるので、治療中であることを医師にきちんと伝えましょう *1 鼻アレルギー診療ガイドライン2009 *2 大田健 第59回日本アレルギー学会秋季学術大会2009年10月29-31日(秋田)演題番号 MS19-#2 *3 Grossman J Chest 1997;111:11S-16S. *4 赤澤晃他 気管支喘息の有病率・罹患率およびQOLに関する全年齢階級別全国調査に関する研究2005年度版 公開日:2010/03/01
花粉症といえば、春。春といえば、花粉症。歳時記には春の季語として、「杉花粉症」が載せられているほどだ。ところが、東京ガス都市生活研究所が、首都圏在住の花粉症の男女979人に調査したところ、症状が出る月として9~11月を挙げた人は30.3%もいたという。およそ3割の人が、秋の花粉症に悩まされていることになる。これはいったいどういうことなのだろうか。 目次 秋の花粉症は風邪と間違われやすい! 秋花粉はいつ、どこで飛散している!? 秋花粉の対処法 早めに薬を飲む「初期療法」で予防を 秋の花粉症は風邪と間違われやすい! 花粉症を引き起こすのはスギだけではない。ヒノキ、カモガヤ、カシ、ヒメガマなど、いろいろな植物の花粉が原因になりうる。つまり、花粉症は一年中、気をつけなくてはいけない症状なのだ。 とくに、秋は春に次いで症状が出やすい。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラに加え、猛暑のために植物の生育が早まった場合は、秋にスギ花粉が飛ぶこともある。春のピークを乗り越えたからといって、ゆめゆめ油断は禁物。もしも、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどがあれば、まずは花粉症を疑おう。また、秋の花粉症は、症状が一時的に改善したかと思うと、再び悪化したりする。「なかなか風邪が治らないなあ」などと感じている場合は、花粉症の可能性も大!だ。 秋花粉はいつ、どこで飛散している!? ただし、秋に飛ぶ花粉は春のスギ花粉と違い、飛散量が少ないうえに、飛散範囲が広くない。したがって、花粉の飛ぶ時期にその植物の生えている場所に近づかないようにすれば、発症を防ぐことも可能だ。 植物名 花粉飛散期 特徴 ブタクサ8月~10月日本各地に見られるキク科の植物。道ばたや野原に生えている。葉についた花粉が風の強い日に飛散することもある。 ヨモギ8月~10月北海道、東北以外の地域に生育しているキク科植物。山地や野原に見られる。 カナムグラ8月~10月日本全土の荒地や草むらに生育しているクワ科植物。 ※地方によって花粉の飛散時期は異なります 秋花粉の対処法 1. 草が生い茂る場所は「鬼門」と心得よ! 花粉の飛ぶ植物が生えている野原や草むら、空き地、山などには極力行かないようにしよう。とくに風の強い、晴れた日は要注意!気温が高い日や乾燥している日、前日が雨の日も危険だ。ただし、雨の日は花粉が飛びにくい。 2. 行くときは完全武装で それでも、危険地帯に近づかなければならないときは、マスクやメガネ・サングラス、帽子の着用を。またスカートよりはズボンの方が「吉」。スカートが揺れると、布地に付着した花粉が舞い上がってしまう。レインコート、スカーフなどツルツルした生地のもので体を覆うのも効果的だ。ちなみにバッチリメイクだと、ファンデーションに花粉が付いてしまうことも…。なるべくナチュラルメイクで出かけよう! 3. 外出後ケアとお掃除で花粉をやっつける 外出後は手洗い、洗顔、うがいの徹底を。おすすめは「鼻うがい」。洗面器にぬるま湯を張って塩小さじ2杯を溶かし、これを片方ずつ鼻に入れては出す。さらにシャワーを浴びれば完璧だ!日ごろのこまめな部屋の掃除も重要。花粉がフィルターを通して排気とともに散らばりやすい掃除機より、拭き掃除がおすすめだ。換気も頻繁に行おう。 4. 奥の手はアロマテラピー 「いろいろ頑張ったけど、やっぱり症状が出ちゃった」。そんな人にはアロマテラピーがおすすめ。アロマポットを使ってもよいし、もっと手軽にマグカップにお湯を注ぎ、オイルを垂らして蒸気を吸い込んでもよい。ティーツリー、ユーカリ、ペパーミントを使うと、鼻づまりもすっきり解消する。目がかゆいときは、洗面器のお湯や水にオイルを落として混ぜ、これでおしぼりを作って目に当てよう。ラベンダーが効果的だ。 早めに薬を飲む「初期療法」で予防を 「じゃあ、去年の秋の目のかゆみや鼻のグズグズ、アレは花粉症だったの!?」と思ったあなた。すぐに耳鼻咽喉科を受診しよう。検査の結果、花粉症と判明したら、早めに薬を処方してもらうとよい。花粉の飛ぶ2週間前くらいから第二世代の抗ヒスタミン薬などを飲めば、症状はぐっと軽くなるはずだ! ■関連記事 スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 花粉を防ぐ空気清浄機、マスク、メガネのおすすめは? スギの時期じゃないのに花粉症?秋に飛ぶ花粉とは 子供の花粉症対策に「じゃばらヨーグルト」がおすすめ 公開日:2006年9月11日
アレルギーは体の免疫システムのバランスくずれることが原因でおこります。免疫バランスを改善することが証明された、特別な乳酸菌をご紹介します。 目次 体の中から花粉症を予防する対策が新たに 花粉症のメカニズム 乳酸菌で腸内での免疫バランスを整えよう 体の中から花粉症を予防する対策が新たに 花粉症シーズンには、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、眼のかゆみ、涙目、皮膚のかゆみなど、不快な症状に悩んでいる人も多いでしょう。集中力が低下したり、薬で眠くなったりと憂うつな気分が続く毎日を何とかしたいもの。しかし、つらい症状をもたらす花粉の飛散はとどまることを知りません。 花粉症シーズンは、毎朝のように花粉情報をチェックして、飛散量が多い日はマスクや眼鏡をして出かけるなど、花粉をなるべく体の中に入れない対策が必須となります。 ところが、最近の研究では体の中から花粉症を予防する対策が新たに証明され、気軽に毎日続けてできる対策ということもあり注目を集めています。 花粉症のメカニズム 私たちの体には、危険なもの(病原菌など)から体を守る免疫機能が備わっており、この免疫機能に異常が生じると、免疫を担当している「免疫細胞」が興奮してアレルギー反応を起こし、その結果がアレルギー症状となって現れます。 免疫細胞は全身に分布していますが、腸管にも免疫に関連する細胞があり、腸管での免疫細胞のはたらきでバランスを改善する可能性もあります。 食生活の乱れやストレスの影響によって免疫細胞のバランスがくずれると、花粉と反応する物質(IgE抗体)が作られ、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどのアレルギー症状が発現することが最近の研究でわかりました(図)。すなわち、免疫細胞のバランスを改善すれば、苦しいアレルギーの症状を軽減することが可能になるのです。 乳酸菌で腸内での免疫バランスを整えよう 免疫細胞のバランス改善には、乳酸菌が活躍することがあります。乳酸菌は腸管で免疫細胞を刺激して活性化させることで、くずれた免疫バランスを改善することができるといわれています。 ヨーグルトや飲料類、発酵食品などに入っている乳酸菌にはいくつかの種類があり、さらにその特徴によって菌株まで細かく分類されます。その中でも「ラクトバチルス・アシドフィルスL-92株(以下、L-92乳酸菌)」という乳酸菌は、免疫バランスを改善することによってアレルギー症状を改善することを証明する試験が行われています。その試験では、花粉症の人に対するスギ花粉の影響を「L-92乳酸菌」摂取前後で比べたところ、「眼のかゆみ」と「鼻のかゆみ」が「L-92乳酸菌」摂取によって軽減されることが確認されました (図)。 このように、身近な食品や飲料類から手軽に毎日摂取できる乳酸菌は、花粉症がつらい人にとって心強い味方となることがわかってきました。 今日からでも効率よく積極的に乳酸菌を摂取して、花粉症に負けないための体づくりをしていきましょう。そうすれば、つらい花粉症シーズンも乗りきれるはずです。
10年で10%も増えている!スギ花粉症の実態 春の訪れとともに、花粉症の原因のひとつ、スギ花粉もやってきた。 環境省では、2009年春に飛散するスギ・ヒノキ科の花粉の総飛散量は例年並みや多めな程度と予測している。しかし、花粉の飛散量は年々増えており、今日での「例年並み」は10年前のそれと比較して1.7倍にもなっている。 花粉症の患者の割合も、1998年の16.2%が2008年には26.5%と10年のうちに著しく増加している。(馬場廣太郎: Prog.Med 28: 2001~2012, 2008) スギ花粉症でつらいのは、なんといっても目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状。 さらに、症状があるために外出するのがおっくう、仕事や家事が手に付かない、勉強やスポーツに集中できないなど、普段の生活と比較してパフォーマンスが下がってしまうことだ。 ただ、症状によるパフォーマンスの低下は、適切な治療を受ければ改善される。 花粉症の薬に潜む、インペアード・パフォーマンス 近年、「花粉症のつらさから開放されたい!」と花粉症の薬を服用している人も多くなったが、薬が脳に移行すると『インペアード・パフォーマンス』が起こりうることをご存知だろうか。 インペアード・パフォーマンスとは、抗ヒスタミン薬という花粉症の薬で、引き起こされることがある『気づきにくい能力ダウン』のこと。 具体的には、ミスが増える、仕事や授業の集中力が下がる、作業能率が低下するといった状態だ。眠気と違って薬が原因で起きていることを自覚しにくいことが特徴で、見過ごされてしまうことも多い。 低下していませんか?あなたのパフォーマンスチェック 仕事中に… うっかりミスが増えた いつもより仕事がはかどらない パソコン作業がつらい 運転中にヒヤッとしたことがある 学校で… 忘れ物が増えた 勉強に集中できない いつものように運動できない 授業中、居眠りばかりしてしまう 脳に移行しにくいお薬を 抗ヒスタミン薬は、体内に吸収されると、ヒスタミンという物質のはたらきをおさえ、花粉症の症状や皮膚のかゆみを鎮めてくれる。 しかし、薬の成分が脳に移行すると、脳内のヒスタミン受容体に作用し、日中の眠気を防ぐヒスタミンのはたらきまでおさえてしまうため、集中力や判断力が低下してしまうのだ。これが、インペアード・パフォーマンスと呼ばれている。 体内のアレルギー症状が起きている部位に作用し、脳に移行しにくい薬を選ぶことが花粉症治療時のパフォーマンスを維持する重要なポイントだ。 間違っている!!「眠気=効果」は思い込み 花粉症の薬を処方してもらうとき、眠気の強い薬の方が、効きめがあると思うのは間違い。眠気は、薬が脳に到達することで現れるが、花粉症の症状は、薬が鼻などの組織にはたらきかけてやわらげるからだ。最近では、眠気が少なく効きめの良い薬も増えている。
どのように選ばれている?花粉症の薬 パフォーマンスを下げにくい花粉症の薬を処方してほしくても、医師に要望を伝える勇気がない、どう伝えていいか分からない、という人も多いはず。 そこで今回は、花粉症の薬をどう選択し処方してもらうかについて、あるケースを参考にして専門医と共に考えてみよう。 取材協力/聖路加国際病院 耳鼻咽喉科部長 今井透先生 小学6年生の息子をもつA子さんの場合… 中学受験を控えた小学6年生のA子さんの息子は、熱はないものの、くしゃみや鼻水が止まらないため、耳鼻咽喉科を訪れた。結果、はじめてスギ花粉症だと診断される。 ―― 薬の処方に、要望をだしてもいいのでしょうか? 以前服用した薬と同じものを処方してほしい、薬の効果がないので変更してほしいといった要望をする患者さんは、10人中2、3人位います。 花粉症の薬は、心臓などの薬と違い、患者さんからの要望があれば、わりと意見を聞き入れてもらえやすい薬ですし、言ってもらってかまいませんよ。 ―― 実際に、パフォーマンスを下げにくい薬を希望される患者さんはいますか? 今のところ、患者さんから言われたことはありません。それだけ、気づきにくい症状なのです。 ただ、受験を控えたお子さんの集中力が低下すると困りますし、社会人にとっても作業効率を考えると、とても重要なことですよね。 パイロットやバス・電車の運転手など、危険が伴い、ミスのできない職種では、会社ぐるみで注意しているところもあるようです。 皆さんも日頃から、気にかけておくべきだと思います。 ―― 学校生活に不都合が起きないか心配ですが…。 アレルギー疾患用の「学校生活管理指導表」を利用しましょう。これは、花粉症に対してどんな治療を行い、学校ではどんな点に注意して欲しいかを記入することで、学校、保護者、医師間での連携が取れるようにする用紙です。 薬によって集中力や判断力の低下、授業中の居眠りなどが起こるかもしれないので、その際は知らせて欲しいと記載しておくとよいでしょう。 教師の理解も深まりますし、医師が、薬が合っているかどうかを確認するときにも役立ちます。 ―― 診察を受けるときのポイントは? 現在は、薬の服用で、花粉症の症状をある程度コントロールできるようになってきました。しかし、薬によってパフォーマンスが下がるようでは、治療に対する患者さんの満足度は下がってしまいます。 2009年版の鼻アレルギー診療ガイドラインには、理想的な抗ヒスタミン薬は、効果や安全性はもちろん、眠気や作業効率の低下がみられないものだと掲載されています。今後、眠気やインペアード・パフォーマンスをきたしにくい抗ヒスタミン薬は、ますます注目されていくでしょう。 パフォーマンスの低下が、花粉症の症状によるものなのか、薬によるものなのかを判断するのは難しいことです。しかし、重要なことですので、日頃から注意しておき、そのような症状がみられたら、きちんと医師に伝え、相談してください。 言葉にして伝えにくい場合は、紙に書いて持参したり、問診表に記入しておくのもよいでしょう。
花粉症治療に欠かせない薬。その中心となる抗ヒスタミン薬です。花粉症だけでなく、さまざまなアレルギーのつらい症状を緩和してくれますが、弱点もあります。もっとも知られているのが「眠気」でしょう。弱点は、つらいくしゃみ、鼻水を抑えられるなら仕方のないこととあきらめなくてはいけないのでしょうか。 目次 花粉症の薬の基本「抗ヒスタミン薬」に詳しくなろう! 花粉症の薬の弱点は克服できるのか!? 花粉症の薬の弱点は克服できるのか!? もっと知りたい!「インペアード・パフォーマンス」 取材協力:東北大学大学院医学系研究科 機能薬理学分野教授 谷内一彦先生 花粉症の薬の基本「抗ヒスタミン薬」に詳しくなろう! 花粉症治療に欠かせない薬。その中心となる抗ヒスタミン薬について、詳しく紹介しましょう。 現在医師が処方している抗ヒスタミン薬の多くは第二世代と呼ばれるもので、鼻の粘膜でくしゃみ、鼻水などを引き起こす原因のひとつである「ヒスタミン」をブロックする作用のあるものです。作用持続時間が長く、効果が高いものが多いのが特徴です。ちなみに薬局で購入できる薬はほとんど第一世代と呼ばれるもの。作用持続時間が比較的短いようです。 谷内先生に聞いた!もっと知りたい花粉症の薬 花粉症による鼻水や鼻づまりといった症状は、鼻の粘膜でヒスタミンという物質が増え、鼻の血管や神経を刺激することによって起こります。抗ヒスタミン薬は鼻の粘膜にあるヒスタミン受容体と呼ばれるカギ穴に先回りして入り込み、ヒスタミンをブロックすることで症状が起こるのを防ぐ薬です。 ヒスタミンは鼻の粘膜ではくしゃみや鼻水を引き起こしますが、脳内では集中力を高めたり、日中眠くならないように作用しています。しかし、抗ヒスタミン薬を服用すると、鼻の粘膜だけでなく、脳内のヒスタミンもブロックしてしまうことがあります。脳には脳血液関門というものがあり、勝手に脳内に薬が入り込まないようになっているのですが、古いタイプの抗ヒスタミン薬はこの関門を簡単に通り抜け、大量に脳内に入り込んでしまうものがあります。 花粉症の薬の弱点は克服できるのか!? 抗ヒスタミン薬は第一世代から数えて約50年もの歴史がある薬。その高い効果で、花粉症だけでなく、さまざまなアレルギーのつらい症状を緩和し続けてきました。しかし、残念ながら弱点もあります。なかでももっとも知られているのが「眠気」でしょう。くしゃみ、鼻水を抑えるために薬を飲んでも、眠気が出てしまって、大事な席でうとうと、行楽地に向かう車の運転ができない…なんてことになっては意味がありません。 また最近では、眠気以上に「インペアード・パフォーマンス」と呼ばれる集中力・判断力・作業効率の低下が話題となっています。では、この「眠気」や「インペアード・パフォーマンス」といった弱点は、つらいくしゃみ、鼻水を抑えられるなら仕方のないこととあきらめなくてはいけないのでしょうか。 谷内先生に聞いた!もっと知りたい花粉症の薬 抗ヒスタミン薬で強い眠気が起こったり、インペアード・パフォーマンスと呼ばれる集中力、判断力、作業効率の低下が起こるのは、活動性を高めている脳内のヒスタミンを抗ヒスタミン薬がブロックしてしまうからです。インペアード・パフォーマンスは「気づきにくい能力ダウン」と言われています。これは、自身の集中力・判断力・作業効率が低下していることに気づきにくいだけでなく、その症状が抗ヒスタミン薬を服用したことによる影響とは気づきにくいこと、また本人だけでなく、周囲の方もそのような症状や原因に気づきにくいという意味も含んでいます。 また、眠気やインペアード・パフォーマンスが起こることで、薬が効いていると感じている方もいるようですが、これは錯覚で、効果と副作用の程度に関連性はありません。最近では、高い効果を持続しながら、脳内に移行しにくい薬もありますので、まずは医師に相談してほしいと思います。 もっと知りたい!「インペアード・パフォーマンス」 「インペアード・パフォーマンス」は、たとえば、いつもなら終わっているはずの仕事の量なのに、なぜか集中できない、急ぎの仕事なのに効率が上がらないといったことが、その一例として挙げられます。しかし、効率が低下していることに気づきにくく、気づいてもそれが薬による影響だと思わないことが多いといいます。 本人も気づかないうちに集中力・判断力の低下が起きているというのはなんだかこわい話ですが、最近は新しい薬が開発され、脳内に移行しにくく、眠気やインペアード・パフォーマンスが起こりにくいものがあるといいます。すでに今年の花粉シーズンもピークを迎えています。早めに医師に相談して、自分に合った薬を服用しながら、花粉症と上手につき合いましょう。 谷内先生に聞いた!もっと知りたい花粉症の薬 眠気も薬が脳内に移行することによって起こりやすくなりますが、移行する割合と眠気の強さは必ずしも比例しません。一方、インペアード・パフォーマンスは脳内に薬が移行する割合に比例して起こります。そのため、薬が脳内に大量に移行しても、眠気は感じないが、インペアード・パフォーマンスは起こっているという危険な状態も起こり得ます。脳内に移行しやすい抗ヒスタミン薬では、眠気を感じていないときほど、インペアード・パフォーマンスに注意する必要があるのです。 とくに仕事や勉強に集中したいとき、危険な作業を行うときなどは、医師に相談し、眠気はもちろん、インペアード・パフォーマンス(気づきにくい能力ダウン)が起こりにくい、脳内に移行しにくい抗ヒスタミン薬を処方してもらうことが大切です。
2~4月はスギ花粉の花粉シーズン。日常生活では慎重に対策をしているという方も、ついつい忘れてしまうのが、行楽地へのお出かけ対策。せっかくの楽しい思い出が涙と鼻水とともに流れてしまわないように家族総出で花粉対策をしましょう。花粉シーズンに外出する場合のアドバイスを先生にうかがいました。 目次 大事な仕事、せっかくの旅行…花粉症で台無しに!? 花粉飛散、いつまで続くの? 「医師に相談」知っている人は始めている! 取材協力:聖路加国際病院 耳鼻咽喉科 部長 今井透先生 大事な仕事、せっかくの旅行…花粉症で台無しに!? 2~4月はスギ花粉の花粉シーズンです。家庭だけでなく、会社内でも外出から戻った営業社員が知らず知らずのうちに社内に持ち込んでいたなんてことのないよう、この時期はお互いに協力し合いたいもの。新社会人や転勤などで職場を移動する人など、心機一転がんばろうというこの時期につらい花粉症の症状に悩んでいては台無しです。 また、日常生活では慎重に対策をしているという方も、ついつい忘れてしまうのが、行楽地へのお出かけ対策。せっかくの楽しい思い出が涙と鼻水とともに流れてしまわないように家族総出で花粉対策をしましょう。 今井先生に聞いた!花粉症対策アドバイス 花粉シーズンに外出する場合は飛散情報をこまめにチェックし、飛散量が多い日、多い時間を避けるなどの工夫をしましょう。また、出かけるときは花粉がつきやすいウール素材の衣服を避けたり、マスクをするなどの対策も大切です。行楽地へ向かう方は、現地の花粉飛散情報を確認することを忘れずに。 花粉症は命に関わる病気ではありませんが、私が診ている患者さんでも「目のかゆみがひどく、仕事にならない」、「夜眠れない」など、QOLの低下が問題となります。予防対策を行い、治療をきちんと受けることで、この時期を少しでも楽に過ごしましょう。 花粉飛散、いつまで続くの? 例年であれば4月上旬までがスギ花粉のピークとなります。その後、徐々にスギ花粉の飛散量は減少するが、少し遅れてヒノキ花粉が飛ぶため、ゴールデンウィークまでは油断できません。ゴールデンウィークは長い人で9連休なんて人もいるはずです。せっかくの休みを行楽地で過ごすのだから、花粉症に悩まされず、思い切り楽しみたいですね。 症状が出てしまう前から治療を行うことがベストですが、すでに鼻水、くしゃみに悩みながらも、きちんと治療をしていない方もいるでしょう。あと少しだからとそのままにせず、少しでも早く治療を開始しましょう。くしゃみ、鼻水で眠れない夜は1日でも短いにこしたことはありません。 今井先生に聞いた!花粉症対策アドバイス 4月に入るとスギ花粉の飛散はピークを過ぎますが、同時期にヒノキ花粉が飛散します。スギ花粉症の人の約7割がヒノキ花粉症も併発していると考えられるため、スギ花粉飛散のピークを過ぎてもしっかりと予防対策、治療を続けることが大切です。 また、今年から花粉症に罹る方もいるでしょう。くしゃみや鼻水などの症状が2週間以上続く場合には、花粉症の可能性が高いと考えられます。早めに病院へ行き、治療をはじめましょう。花粉症はその年の花粉飛散量によって症状の出方は異なりますが、残念ながら自然に治る確率はかなり低い病気です。しかし、シーズン前から治療を開始することで、症状が出る時期を遅らせたり、最盛期の症状を軽減させることができます。今シーズン終了時には来年に向けた対策を医師と相談しましょう。 「医師に相談」知っている人は始めている! 花粉症は、症状に合わせていくつかの薬を組み合わせて服用することで、症状が改善されますが、その中心となるのが抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬です。しかし、この抗ヒスタミン薬、強い眠気が出ることで知られています。また、薬を飲むとなぜか仕事がはかどらない、行楽地に向かう車のなかでハンドル操作が遅れるなど、眠気以外の困った症状が出てしまうことがわかっています。 せっかく花粉症対策を万全に行っていても、薬によって日常生活に影響が出ては意味がありません。しかし現在は、副作用が大幅に改善された薬もあります。医師と相談しながら、仕事や生活のスタイルに合わせた治療を行い、快適に花粉シーズンを乗り切りましょう。 今井先生に聞いた!花粉症対策アドバイス 花粉症の治療は、第二世代の抗ヒスタミン薬をベースに、個々の症状に合わせて点鼻薬や点眼薬など、複数の薬を組み合わせて行います。薬局で購入できる薬で対処している方もいらっしゃると思いますが、しばしば眠気が出ることがあります。また、なかには鼻や目だけでなく、のどに炎症が起こり、咳が出る方もいます。薬局の薬には、のどの渇きを感じるものが多く、かえって咳が治りにくくなってしまうことがあるので、注意が必要です。 私が診ている患者さんのなかには「車の運転をするので眠くなりにくい薬がいい」と希望される方がいます。医師が処方する薬の場合、数種類ある抗ヒスタミン薬のなかから、車の運転など集中力を高めないといけないようなケースでも服用できるものを選ぶことができます。医師に生活状況も伝え、QOLを保ちながら、花粉症の治療を行いましょう。
今年も花粉症のシーズンがやってきました。しかし、憂うつな気分で毎日を過ごすよりも、できるだけ快適に過ごすための方法を探したいもの。今からでもまだ間に合う、花粉症の治療法とその中心となる花粉症の薬について、専門医の先生にお話をうかがいました。 目次 花粉症対策、どうすればいい? 花粉症の薬、ここが疑問! 薬の副作用にどう対処する? 取材協力:アクティ大阪耳鼻咽喉科医院 大橋淑宏先生 花粉症対策、どうすればいい? Q. 花粉症の症状を悪化させないためにはどうすればいい? アクティ大阪耳鼻咽喉科医院大橋淑宏先生 できるだけ早く、本来は症状が出る前から治療を開始することが理想です。以前使われていた抗ヒスタミン薬は、即効性はありますが、作用の持続が比較的短時間でした。しかし、現在治療の中心となっている第二世代と呼ばれる抗ヒスタミン薬には、作用持続時間も長く、抗アレルギー作用を有するものもありますので、継続して服用することで症状が大幅に軽減されます。 Q. 初期治療はいつ頃からはじめるのがベスト? 地域によって予想される飛散開始日が異なり、その予想がずれることもありますので、飛散開始予想日の2週間前から薬を服用するよう指導しています。シーズンの終わりに、「症状が出る前に薬を飲んで備えたいが、来年はいつごろ来院すればいいか」と医師に確認すると良いでしょう。症状が出る前から早めに備えることが、シーズンを通して楽に過ごせるコツだと思います。 Q. 今シーズンから症状が出た場合、どうすればいいでしょうか? スギ花粉の時期は、風邪も多い時期なので、強い鼻風邪の可能性もあります。その判断をするためにもアレルギー検査が必要でしょう。その逆に花粉症でも症状の軽い場合、「ずっと鼻風邪を引いている」と思っている人もいます。この季節に鼻風邪かなと思ったときは、まず耳鼻科を受診してみましょう。 Q. すでに症状が出てしまっている場合、治療はどのように行いますか? まず症状を取りのぞく治療を行います。やはり治療の基本となる薬は、今出ている症状を取るだけでなく、明日、あさっての症状を軽減することができる第二世代の抗ヒスタミン薬です。そこにステロイドの点鼻薬や抗ヒスタミン薬以外の内服薬などを追加します。ただし、花粉症の治療は、開始が遅れるほど、症状が改善されるまでの時間が長くなりますので、できるだけ早く医師に相談してほしいと思います。 花粉症の薬、ここが疑問! 治療の柱となる花粉症の薬。しかし、病院で処方される薬と薬局で購入する薬、最近の薬の違いや、効果面についてはまだまだ誤解も多いようです。そこで、花粉症の薬の疑問について、引き続き先生にうかがいました。 Q. 花粉症の薬に眠気はつきものなのでしょうか? 以前は、病院で処方される薬も、強い眠気が出るものが主流でした。そのため、患者さんには「花粉症の薬=眠気が出るもの」という意識が定着してしまったようです。なかには、副作用だから仕方ないというよりも、眠気が出ていることが「効いている証拠」と捉える方もいるほどです。最近は少しずつメディアで取り上げられるようになったため、眠くならない薬をくださいと希望される方もいますが、まだ一握りです。きちんと効果を発揮し、眠くなりにくい薬があることを知らない方がほとんどというのが現状でしょう。 Q. 眠気の強い薬の方が、効果が高い気がしますが… これにはまったく根拠がありません。また、花粉症の症状がつらく、夜も眠れないという方のなかには、眠気が出る薬の方がいいと思う方もいるかもしれませんが、夜間はもともとヒスタミンがあまり分泌されませんので、睡眠の改善度に差はありません。むしろ、眠気が出る薬の場合、夜間の睡眠が改善されても、日中に眠気や倦怠感が残ってしまうので、マイナスでしょう。 Q. 薬局で購入できる薬について教えてください この時期は耳鼻科が混んでいることもあって、病院で受診するのをためらう方も多く、薬局で購入できる薬で対処している方もいます。しかし、現在販売されている鼻炎の薬に入っている成分は、古いタイプの抗ヒスタミン薬です。1日、2日程度で症状が治まるのなら薬局の薬でも構いませんが、何ヵ月も症状が続く花粉症の場合には、病院で処方される新しいタイプの非鎮静性抗ヒスタミン薬の方が、症状は楽になります。 薬の副作用にどう対処する? 今回紹介した花粉症の薬の服用に伴う「自覚できない集中力・作業能率低下=インペアード・パフォーマンス」。その問題点と、薬の服用の注意点について、さらにうかがいました。 Q. インペアード・パフォーマンスについて教えてください 私はこれを「うっかりさん状態」、「今いちパッとせん脳」などと呼んでいますが、本人が気づいていないうちに起こっている集中力や作業能率などの低下がインペアード・パフォーマンスです。何かヒヤッとした経験があっても、それを薬のせいだと思わない、薬の影響だと結びつかないのが問題だと思います。日常生活を送るうえで、作業効率が下がってもいいという方はおそらくいないと思いますが、知らず知らずのうちに起こってしまうのが怖いところです。 Q. 現在病院で処方される薬はみな、インペアード・パフォーマンスが起こりにくいのでしょうか? 必ずしもそうではありません。現在病院で処方される薬の多くは第二世代と呼ばれるものですが、そのなかにも、眠気などの副作用や、脳内に入りこむことでインペアード・パフォーマンスを起こすものがあります。「眠くなりにくい薬にしてください」と医師に伝えたり、確認する方がよいでしょう。 Q. そのほかに、花粉症の薬の服用に関して注意する点はありますか? 点鼻薬などは症状がなくなった時点でやめてもいいと思いますが、基本となる抗ヒスタミン薬は、シーズンが終わるまできちんと飲み続けることが大切です。症状が治まったからといってすぐに薬の服用を止めず、花粉シーズンが完全に終わるまで飲み続けるようにしましょう。 Q. つらい症状に悩む患者さんにアドバイスをお願いします 少しずつではありますが、新しい薬についての情報が、一般の方にも知られるようになってきました。このような情報を敏感にキャッチしている方は、医療機関で、眠くなりにくくて有効性に優れた薬の処方を受け、以前と比べ快適に花粉症の季節を過ごしています。どうすれば楽にこの季節を乗り切ることができるか、まずは医師に相談するところからはじめてください。
花粉症のドライバーを悩ます、運転中のくしゃみ、鼻水…。対策の柱となるのは、やはり薬の服用です。花粉症の薬として主に使われている抗ヒスタミン薬には、眠くなりにくいものもあります。ぜひ医師に相談を。 目次 大事な仕事、せっかくの旅行…花粉症で台無しに!? 花粉飛散、いつまで続くの? 「医師に相談」知っている人は始めている! ドライバーを悩ます、くしゃみ、鼻水の季節 花粉症の症状によって、車の運転に影響が出たことはありませんか? 実はこんなアンケート結果があります。 花粉症の症状があるドライバーに対して行った健康日本21推進フォーラム「ドライバーと『花粉症』に関する調査」(2007年1月)によれば、花粉症によるくしゃみ、鼻水、目のかゆみなどによって、車の運転に影響があると回答した人が8割以上にのぼるというのです。広い視野で、さまざまなものに注意する必要がある車の運転にとって、集中力が切れてしまうこうした症状は大敵でしょう。 花粉症の薬の問題点とは? 花粉症対策の柱となるのは、やはり薬の服用です。しかし、花粉症の薬には以前からひとつ大きな問題点が指摘されています。先ほど紹介したアンケートでは、花粉症の薬の服用によって7割以上の人が眠気を感じるなど、生活に支障を与えるほど影響が大きいというのです。 花粉症の薬として主に使われている抗ヒスタミン薬のなかには大きく分けて、鎮静性抗ヒスタミン薬と非鎮静性抗ヒスタミン薬という2種類があります。このうち鎮静性のものは、鼻の粘膜でくしゃみ、鼻水、鼻づまりを引き起こす原因のひとつ、「ヒスタミン」をブロックすることで、花粉症の症状を抑えると同時に、脳内で作用しているヒスタミンもブロックしてしまうのです。脳内のヒスタミンがブロックされてしまうと、鎮静作用が働き、眠気が起こってしまうといいます。 また、それだけではありません。 抗ヒスタミン薬には、服用した本人が眠いと感じるような「自覚できる副作用」だけでなく、「本人が自覚しない判断力や集中力の低下」が起こるものもあります。これをインペアード・パフォーマンスといいます。花粉症の薬を飲んだ後、「眠気はないのに、今日はいつもより作業がはかどらなかった」と感じた経験のある人は、このインペアード・パフォーマンスによるものと考えていいでしょう。 車の運転とインペアード・パフォーマンス 花粉症の薬を処方される際、医師や薬剤師から「車の運転は控えるように」と言われたことはありませんか。これは、抗ヒスタミン薬の注意書きに、「自動車の運転や機械操作」に「従事させないよう十分注意する」、もしくは「注意させること」と書かれている薬があるから。実際に抗ヒスタミン薬のなかには、集中力・判断力の低下を起こすものがあるといわれています。そのため、アメリカでは、鎮静性抗ヒスタミン薬を服用して運転すると、処罰の対象となる州もあるほどです。車の運転をしたり、受験を控えているといった場合、集中力を切らさないためにも、事前に医師に相談することが大切です。 インペアード・パフォーマンスが起こりにくい花粉症の薬 本人も気づかぬところで集中力・判断力の低下が起こるとなると、花粉症のシーズンの車の運転を不安に思う方もいるでしょう。しかし、非鎮静性抗ヒスタミン薬のなかには、眠気やインペアード・パフォーマンスが起こりにくいものもあります。 鼻の粘膜では、鼻みずや鼻づまりといった症状を引き起こすヒスタミンはブロックしても、脳内のヒスタミンはブロックしないというタイプの薬もあり、これまで懸念されていた眠気やインペアード・パフォーマンスを大幅に減らし、症状を緩和することができるようになりました。 花粉症によるくしゃみ、鼻みず、鼻づまりに悩みながらも、眠くなったり、集中力や判断力が低下することに不安を感じていた方も、こうした薬によって、この季節を以前と比べて快適に、安全に過ごすことができるようになっています。花粉症がつらいから薬を飲みたい、でも車は運転したい、しなければならないという方は、まず医師に相談してみましょう。
花粉症に関するクイズに答えながら、同時に花粉対策も学べてしまう。そんな花粉トリビアを集めてみました。あなたもチャレンジ! 目次 初級編:まずは常識レベルにチャレンジ 中級編:間違っても恥ずかしくはない! 上級編:スゴイ!知っていれば花粉症の達人! 花粉症トリビア~解答編 花粉症トリビア~質問編 Q1. 1日のなかで最も花粉が多く飛ぶ時間帯は? (1)5時~8時頃 (2)12時~18時頃 (3)20時~24時頃 Q2. 花粉が最も飛ぶのはどんな日? (1)雨上がりの晴天日 (2)湿度の高い日 (3)雨の日が続いたとき Q3. 代表的な花粉、スギ花粉の飛散ピークは2月~3月。では、8~10月にかけて飛散がピークを迎える花粉は? (1)シラカバ (2)ブタクサ (3)イネ Q4. 花粉撃退のための工夫はさまざま。ではこのなかで間違っているのは? (1)マスクとメガネ、帽子を着用する (2)洗濯物は乾燥機で乾かす (3)家に入ってから、よく花粉を払い落とす Q5. マスクで花粉を完全防御!より効果をあげる方法とは? (1)マスクの内側にガーゼを入れる (2)寝るときにもマスクとメガネをする (3)同じマスクを使い続ける Q6. 家のなかの掃除にも花粉症対策!このなかで間違っているのは? (1)掃除機をかけるときも窓は閉める (2)花粉が舞うのを防ぐため、なるべくぞうきんがけをする (3)ふとんを外に干したときはよく叩いてから取り込む Q7. 日本人の約2割が発症していると言われる花粉症。ではスギ花粉症はどの世代に最も多い? (1)10~20代 (2)30~40代 (3)50~60代 Q8. 花粉症の原因となるヒスタミンが関係しているまったく別の病気とは? (1)糖尿病 (2)高血圧 (3)胃潰瘍 Q9. その昔、花粉症などのアレルギー反応を抑制していたのではないかと言われていた病気とは? (1)結核 (2)がん (3)うつ病 花粉症トリビア~解答編 初級編 Q1:2「12時~18時頃」 日の出とともに湿度が下がり、空気が乾燥してくると、スギ花粉は飛散しやすくなります。ただし、気流の変化によっては、夜間も飛散が見られるので、注意が必要です。 Q2:1「雨上がりの晴天日」 気温が上がり、湿度が下がると飛散量は増えます。また、その年の飛散量は、前年の夏の気候に左右される。降水量が少なく、日照時間が長いと、翌年春に花粉が大量に飛散します。 Q3:2「ブタクサ」 夏の終わりから秋にかけては、ブタクサやヨモギなどが飛散する。地域によって、時期に多少の違いがあります。 中級編 Q4:3「家に入ってから、よく花粉を払い落とす」 家の外で払い落とすのが正解です。家に入ったらすぐに手・顔などをていねいに洗い、花粉を落としましょう。 Q5:1「マスクの内側にガーゼを入れる」 何層ものフィルターを通すことで、細かい花粉が鼻や口から入るのを防ぐことができます。最近は、花粉専用のマスクもあるが、そこに清潔なガーゼを当てるのが効果的です。 Q6:3「ふとんを外に干したときはよく叩いてから取り込む」 この時期は、ふとん乾燥機を使い、外に干すのは避けましょう。外に干した場合は、叩いてから取り込むと花粉が舞うため、吸い口がローラーの掃除機でよく吸い取りましょう。 上級編 Q7:2「30~40代」 鼻アレルギー診療ガイドラインによると、スギ花粉症は10~19歳で19.7%、20~29歳で18.7%、30~39歳が25.0%、40~49歳が25.6%、50~59歳が20.5%、60~69歳で10.6%となっています。食生活や住宅環境などの変化により、今後は発症年齢が低年齢化していくと予想されています。 Q8:3「胃潰瘍」 ヒスタミンが「H1受容体」にくっつくとアレルギー反応が起こるのに対し、「H2受容体」が相手だと胃酸を出します。H2ブロッカーと呼ばれる胃腸薬がありますが、これはヒスタミンが「H2受容体」にくっつくのを防いで、胃酸が出過ぎるのを抑制するはたらきを持っています。 Q9:1「結核」 花粉症の発症には、免疫細胞のひとつであるヘルパーT細胞のバランスが大きく影響しています。このヘルパーT細胞にはアレルギー反応を起こすTh2と、結核菌などの細菌感染やウイルス感染を起こすTh1があります。昔は衛生環境が悪かったため、感染症を誘導するTh1にかたむいている人が多く、花粉症になりにくかったという説があります。 感染していると発症しにくい話題の細菌!? ヘリコバクターピロリ菌の感染者には花粉症患者が少なく、ピロリ菌への感染が発症を抑制させるはたらきがある可能性が高いという研究結果が、「第92回日本消化器病学会総会」で発表されています。この発表によると、ボランティア95人中、花粉症の症状があった40人のうち、ピロリ菌の感染者は4人で、残りの36人は陰性でした。また、スギ花粉飛散期に行った211人の血液検査の結果、ピロリ菌の感染者のうち、スギ花粉IgE抗体陽性者は32.3%だったのに対し、ピロリ菌陰性の人では67.9%がスギ花粉IgE抗体陽性だったといいます。その昔、結核菌の感染と花粉症の関係が指摘されていたように、時代を超えて、話題の感染症とアレルギーの関係が指摘されたというわけです。
活習慣の改善で、花粉症にならない、もしくはなってしまっても症状が出にくい体づくりはできます。心配するよりまずは実践あるのみです。生活習慣を見直してみましょう。 目次 あなたはできている?花粉症を防ぐ生活習慣十ヵ条 こんな食材にも注目!非「花粉症」食生活の極意 厳選!花粉症対策おすすめ成分 「吸い込まない、持ち込まない」花粉ブロック術 あなたはできている?花粉症を防ぐ生活習慣十ヵ条 毎年春を迎えると涙目や鼻水、くしゃみに悩む…そんな花粉症患者は全国で約2000万人と言われています。花粉症になっていない人でも、この季節が来るたび「今年は危ないのでは…」と不安になってしまうものです。しかし、生活習慣の改善で、花粉症にならない、もしくはなってしまっても症状が出にくい体づくりはできます。心配するよりまずは実践。生活習慣を見直してみましょう。 ■花粉症を防ぐ生活習慣十ヵ条 第一条 ファーストフードやインスタント食品をなるべく控える 第二条 緑黄色野菜や豆類などを積極的に摂り、栄養バランスの良い食生活を送る 第三条 1日3食をなるべく決まった時間に摂る 第四条 睡眠不足にならないよう、規則正しい生活を送る 第五条 花粉予報は毎日欠かさずチェックする 第六条 外出時はなるべくマスクやメガネを着ける 第七条 花粉の飛散量が多い日には、セーターなど目の粗い衣類の着用は避ける 第八条 帰宅時には玄関前で、必ず花粉を払ってから家に入る 第九条 帰宅後はまず顔や手をよく洗い、うがいをする 第十条 窓を開けて換気をする場合は、花粉の飛散が少ない時間帯を選ぶ こんな食材にも注目!非“花粉症”食生活の極意 食の欧米化により高たんぱく、高脂肪な食事が増えたことも、花粉症の原因のひとつと言われています。少しでも症状を改善したいなら、まずは和食を中心に、いろいろな種類の食材をバランスよく食べることからはじめましょう。また、最近は、青魚の脂肪に多く含まれているDHAやEPAにアレルギー反応を抑制する効果があるとも言われています。肉や卵は控え目に、たんぱく質は青魚や大豆などから摂るよう心がけたいものです。 また、花粉症の症状を抑えるのに有用とされる食材の研究も進んでいます。なかでもポリフェノールは、ヒスタミンなどの化学物質の発生を抑制し、活性酸素を除去してくれる強い味方です。上手に利用して、悩み知らずのシーズンを迎えましょう。 厳選!花粉症対策おすすめ成分 シソの葉・実 この成分に注目!:α-リノレン酸、フラボノイド シソは、古くから生薬としても使われてきた香味野菜の代表格。実から抽出される油にはα-リノレン酸が豊富に含まれ、アレルギーを引き起こす原因物質のひとつであるロイコトリエンの生成を抑えてくれます。また、実と葉の両方に含まれるフラボノイドは、IgE抗体を作り出すヒアルロニダーゼやシクロオキシゲナーゼなどの酵素のはたらきを妨げ、過剰になった免疫反応を正常に戻してくれます。ジュースにしてよし、料理に使ってもよし。花粉症対策における万能選手です。 甜茶 この成分に注目!:甜茶ポリフェノール 甜茶は、中国で古くから旧暦の正月(春節)に飲まれているお茶で、バラ科、アカネ科、ブナ科、ユキノシタ科の4種類があります。そのなかでバラ科の甜茶「甜葉懸鈎子(てんようけんこうし)」だけに含まれる甜茶ポリフェノールが、ヒスタミンの過剰な分泌の原因となる物質「シクロオキザーゼ」の活性を妨げ、つらい症状をやわらげてくれます。 バラの花エキス この成分に注目!:オイゲニイン 中国では古くから、バラのつぼみがお茶として飲まれ、健康、美容によいとされてきました。そのバラの花びらから加熱抽出されるエキスに含まれているのが、「オイゲニイン」という成分です。ポリフェノールの一種で、IgE抗体と肥満細胞が結合するのを防ぎ、ヒスタミンの放出を抑えてくれます。 これらの成分は単独で摂るのはもちろん、複数を一緒に摂ることで、多方向からの効果的なアプローチが期待できます。そのため最近では、一度に複数の成分が摂れる「複合サプリ」も登場しています。症状が出る前から、予防として利用するのがおすすめです。 「吸い込まない、持ち込まない」花粉ブロック術 食生活の改善で、体のなかから花粉症対策を行うと同時に、その悩みのもとである「花粉」を吸い込まない、家に持ち込まないための対策も重要になります。 ●花粉の行方に先手を打とう! この時期の外出は、花粉を吸い込まないよう、マスクやメガネを身に着けるようにし、花粉が付着しにくい素材の洋服を着ましょう。また、髪についた花粉は落としにくいので、帽子をかぶるのもひとつの方法です。乾燥で髪が傷んでいると花粉が付着しやくなるので、髪のケアも念入りに。 ●「ついたらすぐ落とす」の原則 完全防御したつもりでも、どこからか付着してしまうやっかいな花粉。そこで徹底したいのが「ついたらすぐに落とす」ことです。花粉を払い落としてから家に入り、すぐに手や顔を洗い、うがいをする習慣を。空気の入れ替えを行う場合も、花粉の飛散が少ない時間帯を選びましょう。毎日の生活習慣が花粉症対策の命運を分けるのです。 さらに完璧を目指せ!ミストで花粉を追い払おう! 知らず知らずのうちに洋服に付着し、家のなかに入り込む花粉。まずは家に持ち込まないことが大切です。そこで活躍するのが、ついてしまった花粉を逃さずキャッチしてくれるスプレーミスト。花粉症の予防や軽減を応援する、お役立ちグッズを賢く活用しましょう。
花粉はどうやって飛ぶの? 「花粉は、自分では飛べない」-そう聞くと意外な感じがしないだろうか? 大気中を自由自在に飛んでいるイメージがある花粉だが、実際には飛ぼうとする意志もなければ羽根もない。自力では動くことすらできず、飛んでもせいぜい短い距離しか移動できない。ではどうやって長い距離を移動するのだろうか? 花粉はスギの木から放出されたあと、大半は自身の重さで落下する。しかし運良く空気中にある上昇気流に遭遇すると、いっきに上空に巻き上げられ、そのまま水平方向の風によって遠方まで運ばれていく。なかには数百キロという長旅に出る花粉もいるそうだ。 文部科学省の観測データによると、花粉濃度が最も高いのは地上600メートル前後。さらに上空の1200メートル地点でも観測されており、その飛行ルートを肉眼で見るのは残念ながら難しそうだ。 都会に花粉症が多いのはなぜ? 花粉を吸いこむことによって発症する花粉症。しかしスギの木など見かけないような都市部の方が、花粉症患者は多いとされる。どうしてなのだろう? 都市部では工場やオフィス、車、人間が集中して大量の熱が出て、中心部ほど高温になるヒートアイランド現象が起きる。この熱が上昇気流をつくり、都市上空に向かって流れていく。すると、上空に向かった空気を補うように周辺地域から空気が入ってくる。一帯の山林から舞い上がった花粉も一緒に。 都市の規模が大きいほど発生する熱が大きく、上昇気流の流れも大きくなって周囲から入り込む空気が増える。大都会はまさに、上空から花粉が降りそそぐ構図になっているのだ。スギの木など見かけないのに花粉症になるという悲劇の理由が、ここにある。 花粉症は今後マシになる? 花粉症患者が爆発的に増えた時期がある。厚生労働省の調査によると、1976~1985年の間に発症した人は、全体の67.5%を占めるという。このピークは、いったい何を意味するのだろうか? 第2次世界大戦後、焼けた国土や家屋を再建するため、雑木林や天然林がつぎつぎに伐採された。それでも足りない木材を確保するため、国を挙げて大量にスギを植林したのである。 これらのスギが若いうちはまだ良かった。しかしスギは、樹齢30年を過ぎると花粉飛散の適齢期に入る。戦後いっせいに植えられたスギが成長し、大量に花粉をばらまくようになるのが、花粉症発症のピークと一致するのは何も不思議ではない。 今後、適齢期に入るスギも多く、スギ花粉の量は増える一方だ。ここ数十年は状況が変わらないと予測されており、花粉症に悩む人にとってはなんとも気の重い話だ。 日本の人工林に占めるスギの割合
花粉症発症のカギは、「ヘルパーT細胞」のバランスと強い関連があるといわれています。バランスが崩れるとIgE抗体が過剰につくられ、花粉症を発症しやすくなるといわれています。そこで頼りになるのが、乳酸菌。ひとくちに乳酸菌といっても、それらがもつ特性はまちまちなので、自分の体の状態にあった乳酸菌選びをこころがけましょう。 目次 注目!花粉症対策のカギはヘルパーT細胞 乳酸菌にあらたな健康パワー アレルギーの原因を自然死においやる乳酸菌 板倉弘重先生から花粉症患者さんへのメッセージ 男性と女性、花粉症になりやすいのはどちら? 注目!花粉症対策のカギはヘルパーT細胞に! 善玉菌を増やして便通を良くするなど、私たちの健康に役立つ乳酸菌。その乳酸菌に、この季節にうれしい健康パワーもあることがわかり、注目を浴びています。 花粉症発症のカギは、「ヘルパーT細胞」のバランスと強い関連があるといわれています。ヘルパーT細胞とは免疫細胞(白血球)のひとつで、ウイルスや細菌などを攻撃するTh1と、アレルギーの原因となるIgE抗体をつくりだすTh2の2種類があります。 この両者のバランスが保たれているとアレルギー症状は起こりにくいのですが、ひとたびTh2が優位になるとIgE抗体が過剰につくられ、花粉症を発症しやすくなるといいます。Th1とTh2がシーソーのようにバランスをとりながら、私たちの体内環境をつくりだしているというわけです。 乳酸菌にあらたな健康パワー アレルギー症状の原因となるTh2が優位になる原因のひとつに、「衛生仮説」があります。 戦後、不衛生な環境で結核や感染症が蔓延していた時代には、私たちの体内ではTh1が過剰だったといいます。これはTh1が体内の悪い菌を追い出そうと戦っていたためです。 ところが現代人の生活環境が衛生的になるにつれ、Th1は戦う相手がいなくなり、すっかり戦意喪失しました。そのスキにTh2がパワーを増し、アレルギー症状をひき起こしはじめたというわけです。 そこで頼りになるのが乳酸菌。乳酸菌も太古の昔から人間と共存し、食品として摂取してきた細菌です。Th1は戦う相手を失っても依然、体を守ろうとファイティングポーズをとっています。そこへ乳酸菌があらわれると、免疫機能は乳酸菌を戦う相手と誤認、ふたたび戦意が復活して攻撃態勢に入り、Th1が活性化されます。このはたらきによりTh2を抑制し、Th1/Th2バランスが改善し、花粉症を発症しにくい体ができるというわけです。 アレルギーの原因を自然死においやる乳酸菌も登場! さらに新しい話題として、最近発見された菌株の中には、Th1を刺激するだけでなく、Th2を自然死(アポトーシス)させることでTh1を活性化させる新しいはたらきのものもあるといいます。アポトーシスとは固体をよりよい状態に保つためにひき起こされる、生体にあらかじめプログラミングされた「生理的細胞死」のこと。語源はギリシャ語の「apo(離れて)「ptosis(下降)」に由来し、枯葉が木から落ちることを意味します。過剰になったTh2をごく自然な形で死滅においやるというのだから、驚くべきパワーです。 この新しい健康パワーは市販されている乳酸菌製品のすべてに認められるわけではなく、現時点では「L-92乳酸菌」という乳酸菌にだけ実証されています。また「L-92乳酸菌」は花粉が飛散する時期に摂取すると症状が改善されたという研究報告もあり、予防に、そして本格的なシーズンを迎えてからの対策にと大活躍です。 ひとくちに乳酸菌といっても、それらがもつ特性はまちまちなので、自分の体の状態にあった乳酸菌選びをこころがけましょう。 小腸や大腸などの消化管壁にはたくさんのリンパ球が存在しています。リンパ球は白血球のひとつで、IgE抗体をつくりだして花粉症の症状をひき起こしやすくします。私たちが食事をして体にとりこんだ食品は直接、あるいは腸内細菌を介してリンパ球の活性化に影響してくるので、どんなものを食べるかは花粉症のかかりやすさに関係してくるでしょう。 花粉症のつらい症状にかゆみや充血、鼻水の増加などがありますが、これらの症状はリンパ球が多数粘膜に集まってくることで悪化します。このリンパ球の集合をおさえ、リンパ球や肥満細胞からの化学物質の放出を抑えてくれる食品成分が見いだされています。 男性と女性、花粉症になりやすいのはどちら? 心筋梗塞や脳卒中では、若いうちは男性の発症が多いが高齢になると女性が多くなるなど、男女差がみられます。花粉症の場合、男女によって発症率の違いなどがあるのでしょうか? 2002年に専門誌に発表された全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とするアンケート調査によると、スギ花粉症の有症率は男性17.5%、女性17.0%。男女間にはほとんど差がなく花粉症を発症しているといえます。一方、年齢別では30歳代が最も多く、10~40歳代で患者全体の約90%を占めるというから、花粉症とはまさしく現代病です。なお、20歳代と30歳代では、若干だが女性に多い傾向がみられるというのが気になる点です。
少しでもアレルギー症状をやわらげたい、花粉症にならない体質づくりをしたい、そんな人はふだんの食生活に気を配ってみましょう。症状をやわらげたり、花粉症になりにくい体質づくりに役立てることは可能です。 目次 食べたものが体を変化させる 実践!花粉に打ち勝つ体づくり 食べたものが体を変化させる 花粉症患者が増加した要因として、日本人の食生活や住環境が変化したことも大きいと言われています。食事をとる回数を1日3回として1年間では1000回以上の計算になり、どんなものを体内にとり入れたかは私たちの体質づくりに大きく影響していると考えられます。 少しでもアレルギー症状をやわらげたい、花粉症にならない体質づくりをしたい、そんな人はふだんの食生活に気を配ってみましょう。症状をやわらげたり、花粉症になりにくい体質づくりに役立てることは可能です。 実践!花粉に打ち勝つ体づくり たばこ、アルコール、高タンパクな肉中心の食事、偏食は症状を悪化させる要因になります。 基本は、栄養バランスのとれた食事をとること。その上で、花粉の飛びはじめる少し前からサプリメントを摂取すれば、症状の緩和を手助けしてくれます。具体的には「くしゃみ・鼻水」には抗ヒスタミン作用をもつ成分を利用し、「鼻づまり」には抗ロイコトリエン作用をもつ成分を利用すると良いでしょう。それぞれの作用が期待できるサプリメントが市販されているので、自分にあったサプリメントを試してみましょう。 何種類かを組み合わせても問題となるような健康被害は報告されていないので、気になるサプリメントを複数同時に試してみるのもおすすめです。 薬味や刺身のツマなど、日本の食卓の名脇役として欠かせないシソ。メインの食材ではないが栄養価はきわめて高く、名前の由来も「紫色で生命を蘇らせる(紫蘇)」からきています。このシソの実から抽出される油にはα-リノレン酸という脂肪酸が含まれており、免疫を調節する機能があることで有名です。花粉が体に入ることで放出されるロイコトリエンをつくりにくくする作用があるといわれ、鼻の症状でお悩みの人にはうれしい味方となります。 甜茶は、中国南西部の山岳地帯に生息するバラ科の植物。古くから広西壮(チュワン)族自治区で「セキを払い、痰を切る」お茶として愛飲されてきました。正式名称を甜葉懸鈎子(てんようけんこうし)という。甜茶に含まれるポリフェノールにはヒスタミンなどの化学物質が放出されるのを抑制し、花粉症のツライ症状をやわらげる効果があるといわれています。また花粉症のほかにアレルギー性鼻炎に効果があるとも。 ●甜茶選びのポイント! 健康によいとして実績のあるお茶ですが、花粉症の症状をやわらげる甜茶ポリフェノールを含むのは、バラ科の甜葉懸鈎子だけとなります。甜茶にはアカネ科やユキノシタ科など複数の種類がありますが、花粉症の味方となるのはバラ科の甜茶なので注意しましょう。 バラの花エキスは、野生種のバラの花びらを加熱抽出した成分です。タンニン類に属するポリフェノールの一種、オイゲニインなどの成分が花粉症やアレルギー性鼻炎をふせぐとして注目を浴びています。オイゲニインはIgEが肥満細胞に結合し、ヒスタミンが放出されるのを抑制するはたらきがあるといわれています。 バラの花エキスによる抗アレルギー効果については、オイゲニインだけでなく複数の有効成分の相乗作用によるとして研究が進行中です。現在のはたらきに加え、潜在能力が期待大の成分です。 ●EPA/DHA 青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などの脂肪酸は、過剰にとったリノール酸系の油とのバランスを整え、免疫のはたらきを正常に戻します。また鼻のツライ症状をひきおこすロイコトリエンの産生を抑制します。 ●βカロテン、セレン、亜鉛 鼻やのどの粘膜を強化してくれるので、花粉の症状が出る部位を保護するのにおすすめ。セレンにはロイコトリエンを破壊する効果も期待されています。
日本せましといえども地域によって花粉症の実態は異なってくるようです。花粉症患者の数を多い順に、都道府県別のランキングをご紹介します。あなたの住む地域ははたして何位でしょうか? 目次 油断禁物!花粉症はとつぜんやって来る! 都道府県別、花粉症患者ランキング発表! 「今年あなたは花粉症になる」そんな予測は可能? IgE抗体値を調べるおもな検査 油断禁物!花粉症はとつぜんやって来る! 花粉症が目に見えるサインもなく「ある日突然」発症するのは、みなさんご存知のとおりです。 花粉を長年吸い続けていると、体内にはIgE(免疫グロブリン)とよばれる抗体がつくられます。IgE抗体は肥満細胞とよばれる細胞の表面に存在していて、IgE抗体が許容量を超えるとたちまち肥満細胞が反応し、ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し、「花粉が侵入した!」と周囲に伝えられます。 すると体内では花粉に対抗するために血管が拡張したり、白血球が活性化するなどの炎症反応が起こります。これが花粉症のツライ症状となります。 「去年、無事だったから今年も大丈夫」と安心しているあなた、このメカニズムからするといつ突然、花粉症デビューをしても不思議ではありません。昨年までに多くの花粉を吸い込んでおり、IgE抗体が許容量の限界まで達している恐れもあります。 花粉症におびえる人にとっては、今年も変わらず油断禁物です。 都道府県別、花粉症患者ランキング発表! 「せめて花粉の飛ぶ時期だけでも北海道に…」 そんな花粉症患者の願ってしまうのも無理はありません。北海道では、森林面積におけるスギ人工林面積は1%以下。道南地域をのぞきスギの分布はほとんどないため、スギによる花粉症患者もまれだといいます。 このように、日本せましといえども地域によって花粉症の実態は異なってくるようです。 下記に、花粉症患者の数を多い順に、都道府県別にランキングしました。あなたの住む地域ははたして何位でしょうか? 出典:「1998年のアレルギー性鼻炎の全国疫学調査」よりアレルギー科,Vol.15,No.2,2003 科学評論社 このマップを見ると、1位は山梨。僅差で長野、高知、静岡とつづきます。 隣接している県同士でも順位がまったく違うところもあり、これは地形差や戦後の植林率の違いによるものでしょうか。北海道46位、沖縄47位と最下位争いを繰り広げているのはうらやましい限りです。 「今年あなたは花粉症になる」そんな予測は可能? ある日突然やってくる花粉症。目には見えませんが、体内では確実に変化が起こっているはずです。それらの変化を事前に察知して、今後、花粉症になってしまうかどうかの予測は可能でしょうか? 残念ながら答えはNO。アレルギー症状は個人の体質や環境、生活習慣などに大きく左右されるため、いつ花粉症を発症するかの厳密な予測は、現在の医学をもってしても困難です。しかし、まったく可能性がゼロというわけではありません。 花粉症は、体内に蓄積されたIgE抗体が許容量を超えたときに、体内で反応が起こってアレルギー症状を発症します。そのため、定期的にIgE抗体値を調べることによって、例えばその値が標準よりも異常に高ければ近いうちに花粉症の症状が出る可能性は高い、などといった予測は可能といえるでしょう。 IgE抗体値を調べるおもな検査 IgE RAST検査 IgEの血中総量を調べることで、アレルギー体質の程度がわかります IgE RIST検査 花粉、ダニ、特定の食品などのアレルゲンごとにIgEを調べる方法。これにより、何に対してアレルギー体質なのかを知ることができます MAST法 血清中の微量なIgE抗体を血清免疫学的方法で検査。精度が高く、現在ひろく使用されています ■関連記事 スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 花粉を防ぐ空気清浄機、マスク、メガネのおすすめは? スギの時期じゃないのに花粉症?秋に飛ぶ花粉とは 子供の花粉症対策に「じゃばらヨーグルト」がおすすめ
花粉症のなかでも、鼻に関する症状はほぼすべての患者にみられ、目に関する症状も約90%の人に出ているそうです。今回は、とくに目に関する花粉症ケアについて、日本コンタクトレンズ学会常任理事・梶田眼科院長の梶田雅義先生にお話をうかがいました。 目次 スギ花粉症患者の90%が、目の症状に悩まされている…!? Q. 花粉のシーズンに目の症状で来院する患者さんは多いのでしょうか? Q. アレルギーの目の症状は、どのように治療するのでしょうか? Q. この時期、目の症状をセルフケアでなんとかするには? Q. コンタクトレンズ使用者で、毎年ひどい目の症状に悩んでいます。 Q. 目の症状に悩むアレルギー患者さんへアドバイス スギ花粉症患者の90%が、目の症状に悩まされている…!? 花粉によるアレルギー症状は、「立て続けにおこるくしゃみ」、「サラサラの鼻水」、「ガンコな鼻づまり」、「しつこい目のかゆみ」の4つに代表されます。そもそもアレルギー性鼻炎の一種と位置づけられ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった、鼻に関する症状はほぼすべての患者にみられますが、さらに、目がかゆい、ごろごろする、痛みがある、目がかすむ、涙が止まらない、まぶしい、まぶたが腫れる、目やにが出る、などの目に関する症状も約90%の人に出ているそうです。 目の表面は角膜と結膜という粘膜に覆われているが、粘膜は文字どおり粘りけのある組織で、花粉などが一度付着するとなかなかはがれません。そのためアレルギー体質の人ではすぐ下を通っている血管を弛緩させて充血を起こしたり、結膜の表面にある神経を刺激してかゆみを引き起こしたり、体自身も涙をあふれさせて花粉を押し流そうとするなど、アレルギー特有の症状が起きやすくなります。 今回は、特に目に関する花粉シーズンのケアについて、日本コンタクトレンズ学会常任理事・梶田眼科院長の梶田雅義先生にお話をうかがいました。 Q. 花粉のシーズンに目の症状で来院する患者さんは多いのでしょうか? A. ここ10年くらいの間で増えてきました。目の症状だけをうったえる患者さんもいます。 スギ花粉によるアレルギーの患者さんは、年々増えている印象です。患者さんの年齢層は、10代後半から50代くらいあたりでしょうか。子どもさんも多いですね。男女比はほぼ同じくらいで、最近では目の症状だけをうったえる患者さんもいます。 Q. アレルギーの目の症状は、どのように治療するのでしょうか? A. 目の症状だけなら、抗アレルギーの点眼薬で十分。早めに使い始めると、予防にもなります。 鼻の症状もある場合は飲み薬も併用しますが、目の症状だけなら、目薬で十分です。抗アレルギーの点眼薬を本格飛散の2週間前に使い始めれば、炎症予防になります。 じっさいに花粉が飛び始めてひどい症状が出た場合は、ステロイドの点眼薬を加えてかゆみを抑え、症状が治まってからふたたび抗アレルギー薬のみに戻すこともあります。 ところで対処療法で使われることの多い抗ヒスタミン薬ですが、飲み薬だけでなく、目薬を点眼した場合でも、眠くなることがあります。車の運転をする人などは要注意。医師に相談し、別の薬を使うようにしましょう。 Q. この時期、目の症状をセルフケアでなんとかするには、どうしたらいいでしょうか? A. サングラスや帽子で花粉を避けるほか、冷やした目薬を使う、防腐剤の入っていない人工涙液で花粉を洗い流す、などの方法があります。 症状をおこさないためには、花粉に触れないことが大切です。サングラスや帽子を利用する、部屋に入る前に衣服についた花粉を払い落とすなどのセルフケアは、徹底しましょう。 また、防腐剤の入っていない人工涙液を使って、目に入った花粉をこまめに洗い流すのもいいでしょう。目薬も冷やしたものを使うと、かゆみを感じにくくなるといわれています。最近では、目薬を冷たいまま持ち歩くためのケースも出ているみたいですよ。 Q. コンタクトレンズ使用者で、毎年ひどい目の症状に悩んでいます。どうしたらいいでしょうか? A. コンタクトについた花粉は、非常に落としにくいので、この時期だけでも1日使い捨てタイプをためしてみては? レンズに着いた花粉もアレルギーの原因のひとつ。いつもレンズを清潔にしていることが、アレルギー対策の基本です。しかし、一度ソフトコンタクトレンズに花粉が付着すると、洗浄液で洗ってもほとんどとれません。むしろ、こすり洗いによってレンズにすり込んでしまう状態です。こうした場合、1日使い捨てのタイプであれば毎日清潔に使うことができ、花粉と瞳との接触機会も減らせると考えられます。 また、1日使い捨てタイプでない、ケアが必要なコンタクトレンズを使う場合には、外したレンズをまず振り洗いして花粉を落とし、そのあとにこすり洗いで皮脂やたんぱく質などそのほかの汚れを落とす方法がいいでしょう。 Q. 最後に、目の症状に悩むアレルギー患者さんへアドバイスをお願いいたします! A. やはり1月下旬から予防を始めることと、セルフケアを怠らないことですね。 最近の患者さんの傾向として、予防のために1月下旬から来院する方が増えているんですよ。これは、とてもいいことだと思います。また、くり返しになりますが、「花粉に触れない・持ち込まない」というセルフケアを実行することも大切です。 コンタクトレンズを使っている人の場合は、使い捨てコンタクトを試してみるとか、人工涙液で花粉をレンズから洗い流すなどを実行してみては?それでも目の症状が気になるときは、必ず専門医を訪れ、症状に応じた適切な処置をとることが肝心です。 春先のムズムズにおすすめの栄養素・成分 高脂肪・高たんぱくに偏った食生活は、スギ花粉などによるアレルギー症状を重くするともいわれていますが、逆に、おすすめの栄養素や成分には、どんなものがあるのでしょうか。 ●α-リノレン酸 シソの実油などの主成分。多価不飽和脂肪酸の一種で、体内でEPAに変換されます。a-リノレン酸の摂取が増えるとアレルギー作用を穏やかにするといわれています。 ●ポリフェノール 植物の葉や花に含まれる、色素や渋味成分。抗酸化作用で知られていますが、なかでも甜茶に含まれる甜茶ポリフェノールや、バラの花エキスに含まれるポリフェノールには、抗炎症・抗アレルギー作用があるとして、研究が進められています。 このほか、免疫調整機能にはたらきかけるといわれるビタミンB6、Cなども不足しないようにしましょう。
大量飛散の翌年がアブナイ 花粉によるアレルギーが厄介なのは、予兆などがほとんどないまま、ある年に突然“デビュー”してしまうことだ。花粉症が発症するまでには、体内ではスギ花粉に対する抗体(IgE抗体)が蓄積されていて、一定量を超えたときに発症すると考えられている。IgE抗体を作りやすいかどうかは、ある程度遺伝的に決まっているそうなので、家族に症状を持つ人がいる場合は「いつかわが身」と覚悟しておいたほうがいいだろう。 特に大量飛散の翌年は、発症のリスクが高まるのではないかと指摘する専門家もいる。というのは、大量に花粉を浴びてしまったため、アレルギー症状を引き起こすIgE抗体が体内で増えてしまっている可能性があるからだ。 「自分だけは大丈夫!」と信じていても、デビューする日が刻々と近づいているのかもしれない。さっそく下記のチェックで危険度をチェックし、いまから備えておこう。 風邪でもないのにくしゃみが止まらないことがある 目が猛烈にかゆくなることがある 風邪でもないのにサラサラした鼻水が止まらないことがある、もしくは鼻がつまることがある 家族に花粉アレルギーの患者がいる ほかのアレルギーを持っている 自宅の近所や通勤路に、スギ林や、田畑・草むらがある 交通量の多い道路がそばにある 毎年、決まったシーズン(春先など)に同じ症状が出る 肉類や卵など、高たんぱくの食品を口にする機会が多い あまり部屋の掃除をしない 結果&対策 5~10個…すでにデビューしているあなた 残念ながら、すでに発症している可能性大。本格飛散の前に早めに対策を打ち、この春をうまく乗り切ろう。飛散開始の2週間前あたりに病院で予防薬をもらっておくと安心。また、サプリメントを利用して、ツライ症状にはたらきかける栄養素を補うのもひとつの手。たとえばシソの種子に含まれるα-リノレン酸や、甜茶・バラの花などバラ科の植物やペパーミントなどに含まれるポリフェノールは、アレルギー症状にはたらきかけるといわれているし、おなかの調子を整える乳酸菌も、免疫の過剰反応にはたらきかけるとして注目を集めている。 1~4個…今年は来そうなあなた デビューの日も近い!?日頃から上記で解説した栄養素を補うほか、体内でこれ以上IgE抗体を増やさないために、花粉を完全シャットアウトすることが肝心。飛散シーズンにはメガネやマスクなど花粉の対策グッズを利用したり、つるつるしたポリエステルや皮素材の衣服を選んだりして、花粉を寄せ付けないようにしよう。室内にこまめに掃除機をかけることもぜひ実行したい。帰宅後に洗顔とうがいを徹底すれば、なおGOOD! 0個……今年はセーフなあなた どうやら今年は心配なさそう。このまま花粉のアレルギーと無縁の人生を全うするため、普段から栄養バランスのとれた食事生活を心がけよう。特に肉類に偏った食事には要注意。鼻の粘膜を傷めるタバコも自粛したいもの。また、ストレスによる自律神経の乱れも誘引になるとか。うまく発散する方法を見つけておこう。
ヨーグルトや甜茶、シソ…。毎年繰り返される、数多くの花粉症対策情報。その真偽について、専門医にたずねました。 目次 ヨーグルトを食べると花粉症が改善される? 甜茶やシソの実油などのサプリメントも、試す価値アリ? 風邪と花粉症は関係がない? 乾布摩擦をするべき!? 肉類は、なるべく食べない方がよい? 目がかゆいときには温める ストレスが花粉症を悪化させる 過度な飲酒は避け、禁煙した方がよい 数多くの花粉症対策。その真偽は? 花粉症対策についての口コミ情報や民間療法は、「効く人もいる」というもので、必ずしも万人に効果があるわけではありません。こうした情報のなかには、後に医学データが蓄積し、医学的な治療法として確立されるものもあるかもしれませんが、いつのまにか消え去っていくものも少なくないので、注意が必要です。 ヨーグルトを食べると花粉症が改善される……△ ヨーグルト科学的な裏づけについては、まだヒトでは証明されていません。また、通常のビフィズス菌では、アレルギーを抑えられないこともわかっています。ただ、この件については、多くの科学者や医師が関心を持って追求しているので、将来もっと具体的なことがわかるかもしれません。 甜茶やシソの実油などのサプリメントも、試す価値アリ……○ サプリメントも、自分の体質にあったものが見つかれば、症状が緩和されることがあります。ただし、サプリメントはあくまでも「健康食品」。即効性を求めて飛びつくのではなく、前もって準備し、継続していくことが大切です。 風邪と花粉症は関係がない……× 病気の起こり方から考えれば、風邪と花粉症は無関係です。しかし、風邪をひいて鼻の粘膜が腫れれば、花粉が侵入しやすくなり、花粉症は悪化しやすいと考えられますし、花粉症のピーク時に風邪をひくと、アレルギー反応で炎症を起こしている鼻や目の粘膜は、二次的に感染した風邪のウイルスやばい菌などにより、さらに炎症がひどくなり、症状が悪化してしまうと言えます。 乾布摩擦をするべき!……△ 自律神経の末端は皮膚の表面にあります。ですから、皮膚を鍛えることは確かに自律神経をコントロールし、結果的に粘膜を強くすると考えられるでしょう。しかし、皮膚の弱い人やドライスキンの人、アトピー性皮膚炎のある人には乾布摩擦はおすすめできません。 肉類は、なるべく食べない方がよい……○ 肉動物性脂肪を摂り過ぎると、リウマチ、乳がんや大腸がんなどが増えるだけでなく、アレルギーの病気も悪くなることが知られています。ですが、1回だけすき焼きを食べたからといって、アレルギーになるわけではありません。あくまで長期の食生活が問題なのです。 アレルギー症状を抑えるとして知られているものに、イワシ、サバ、アジなどの青みの魚の中に含まれているEPAやDHA、シソ油に含まれるa-リノレン酸などがあります。食事などから摂取したa-リノレン酸は、体内でEPAに変わり、その後DHAに変わります。ですから、これらのどれを摂取してもよいのです。ただし、基本は1日30品目を目指して、まんべんなくさまざまのものを食べること。 目がかゆいときには温める……× 一般的には、炎症があるときにはそこを冷やします。火傷を温めないのと同じです。目がかゆいときには、まず顔や目をよく洗い、タオルなどで軽く冷やした後、点眼剤を用いるとよいでしょう。 ストレスが花粉症を悪化させる……○ 花粉症に限らず、アレルギーの病気は過労やストレスなどで体力が低下すると症状がひどくなりがち。この期間は体調や心の状態に気を使う必要があるでしょう。 過度な飲酒は避け、禁煙した方がよい……○ 一度アレルギー性鼻炎になってしまうと、鼻の粘膜がさまざまな刺激に対して過敏になります。タバコや排気ガス、有機物質(シックハウス症候群)などで汚れた空気、さらに温度変化だけでも鼻の粘膜に症状がでるので要注意。アルコールは毛細血管を拡張させるため、鼻の炎症がひどくなります。控えめにお飲みになることがよろしいでしょう。
覚えておこう!市販薬と処方薬の違い 同じ花粉症に対応した薬でも、市販薬と処方薬ではそれぞれ個性が違っている。 花粉症に対応した薬として市販されている内服薬に入っているのは、"第一世代"と呼ばれる抗ヒスタミン薬。使用してから30分ほどで効果が現れるが、人によっては眠くなるなどの副作用もある。一方、病院で処方される抗ヒスタミン薬は"第二世代"と呼ばれ、より根本的な原因にはたらきかけるもの。眠くなりにくい反面、効果が出るまで数日かかることもあり、予防的に飲むのが効果的とされている。 あくまで一般論だが、【市販薬は症状をおさえるもの】、【処方薬は原因を確認しながら症状を予防するもの】と覚えておくといいだろう。また、市販薬を購入するなら、薬剤師さんのいる店で、現在の症状や、他に飲んでいる薬などを相談しながら選んだり、企業のHPで製品の情報をチェックするようにしよう。薬に付いている添付文書もよく読み、副作用や保管方法を守る習慣を。ただし、花粉症以外の病気で薬を飲んでいる人や薬によりアレルギーを起こしたことがある人などは、やはり専門医を受診すること。 大丈夫? こんな薬の使い方 市販薬は、つい自己流で使ってしまうもの。うまく薬の効果を出すために気をつけたいことを、専門医にうかがった。 Q.「目と鼻はつながっているので、点鼻薬か点眼薬のどちらかを使えば両方の症状が治まる」と聞きましたが、本当? 症状が軽いときには改善することもありますが、花粉飛散量が多いときには別々の治療が必要です。 泣くと鼻水が出ることからわかるように、目と鼻はつながっています。花粉症の症状が軽いときには、どちらかを治療するとよくなることもありますが、花粉の飛散量が多いと予想される年には、別々にきちんと治療しないと、症状がコントロールできない場合も多いと考えられます。 Q.「疲れ目」や「乾き目」用の目薬は、花粉症の症状にも対応しますか? うまく使えば、有用といえます。 疲れ目やドライアイの目薬は、アレルギー反応を抑えません。しかしながら、マイルドに粘膜を保護するので、併用することは問題ありません。特に花粉の多い日にうまく使えば有用といえます。 Q. 血管収縮薬の入った点鼻薬や目薬を長期使用すると、症状が悪化することもあるって本当? 間違えた使い方により、副作用がでることも。使用回数や期間は、用法を必ず守りましょう。 血管収縮薬は、主に鼻の症状に用いるもの。ひどい鼻づまりのために点鼻薬が鼻の奥まで届かないような場合には、前もって血管収縮剤を使用し、鼻を通してから点鼻薬を使用するとより効果が高まる場合も少なくありません。この薬は即効性がありますが、持続性に乏しいのが特徴です。薬の性質を知らないで、1日に10回も20回もさすようなことをすれば、当然、副作用が出ますし、治療の妨げにもなってしまいます。使用回数や期間は定められた用法を必ず守ることが大切です。 Q. 使用期限内であれば、開封していても去年の薬を使ってもいい? 1度開封した薬は、1年を過ぎたら使うのを止めましょう。 1度開封した点鼻薬や点眼薬、内服薬は、1年経ったら使用するのを止めましょう。配合変化を起こしたり、汚染されたりしている可能性があります。使用期限をお守りください。 Q. 妊娠中に花粉症の薬を使っても大丈夫? 点鼻薬、点眼薬は使用して問題ありませんが、できるだけ専門医を受診して! 妊婦さんの場合、妊娠7週末までは受精卵が活発に分裂しているため、内服薬の使用は控えたいものですが、この時期であっても、点鼻薬や点眼薬は使用して問題ありません。くしゃみや鼻づまりなどの症状があまりにもひどく、頭がボーっとするなどの妊娠の継続にも問題をきたすような場合には、内服薬を併用したほうがいい場合も。その際は自己判断ではなく、妊婦さんの薬物管理に慣れたアレルギー専門医や耳鼻科医などによく相談することが大事です。 Q. 薬を飲み続けていると、だんだん効かなくなるっていうのは、本当ですか? 習慣性や依存性は全くありませんので、毎年飲むとだんだん効かなくなるということはないです。 花粉症は、花粉の飛散量と症状にかなり密接な関係があります。ですから花粉が多く飛ぶ年にはかなり症状はきつくなりますが、ある意味、当然のこと。それはお薬が効かないこととは別です。 Q. 花粉症の薬と併用してはいけない薬は? ほとんど問題ありませんが、念のため、現在使っている薬を医師や薬剤師に伝えましょう。 花粉症の治療に使われる薬には、併用薬について問題のないものがほとんどですが、念のため、現在使っている薬について医師や薬剤師にあらかじめ伝え、併用についてのアドバイスを受けましょう。 ~ドクターからひとこと~ 「セルフケア」なくして、花粉症から逃れることはできません。 花粉症治療の根本は、鼻や目の粘膜に花粉を入れないこと。眼鏡(サングラス)やマスクを利用して、極力花粉を避けることが大前提です。これをやらずに、どんなに良い薬を使用しても、症状はまずコントロールできないと考えてください。特に、スギ花粉の大量飛散が予想される年には、何よりも花粉から身を守ることを考えてください。 ■関連記事 スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 花粉を防ぐ空気清浄機、マスク、メガネのおすすめは? スギの時期じゃないのに花粉症?秋に飛ぶ花粉とは 子供の花粉症対策に「じゃばらヨーグルト」がおすすめ
花粉症治療の中心は薬物療法 仕事や家事に追われ、なかなか病院に行く時間が取れないが、鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどの不快な花粉症の症状に悩まされているなら、ぜひ一度、専門医の診察・治療を受けたいもの。現在、花粉症治療の中心は薬物療法だ。 代表的なものに、抗アレルギー薬と抗ヒスタミン薬がある。それぞれ種類がいくつもあるので、ひとつの薬で効かなくても諦めず、自分の症状に合うものを探していこう。 1抗アレルギー薬 ヒスタミンやロイコトリエンといった、鼻の粘膜を刺激する物質の放出を抑える作用がある。アレルギー症状の予防として、花粉飛散の2~3週間前に飲む。飛散開始直後に飲んでも、OK。 2抗ヒスタミン薬 もっとも即効性のある薬で、ヒスタミンが三叉神経に与える刺激を弱める作用がある。これまでは眠くなりやすいのが難点だったが、最近では眠気の少ない抗ヒスタミン薬も開発されている。 3セレスタミン 抗ヒスタミン薬とステロイド薬(副腎皮質ホルモン)が配合された薬で、大変よく効く。その効き目から、つい連用したくなるが、ステロイドが入っているため、2週間以上の連用にはくれぐれも注意。主治医の指示を守ること。 症状のある場所に少量で効くので、飲み薬とともにうまく利用しよう。抗アレルギー薬の点鼻薬で効かないときは、ステロイド薬のものを。さらに重症の場合には血管収縮薬(粘膜の血管を収縮させて腫れを取り除く薬)を前もって利用し、抗アレルギー薬やステロイド薬を用いるとよく効く。上手な使い方は、左右の鼻に点鼻後、すぐに上を向くこと。こうすれば鼻の粘膜に沿って薬が置くまで届く。鼻水が増えるときには、ドライパウダータイプを使うことも。 1特異的免疫療法(抗原特異的減感作療法) スギ花粉のエキスを薄めて注射し、アレルギー反応が起きないように体を慣らしていく方法。注射を週に1回からはじめ、徐々に、2週に1回と間隔をあけ、量を増やし濃度を上げていく。効果が出るまでに3ヵ月ほどかかり、その効果を維持するには治療を2、3年続ける必要があるが、長期にわたって花粉症の症状を落ち着かせ、安定した状態にすることができる治療法である。副作用として、注射を打った部位の腫れや皮膚が赤くなることが報告されているが、注射後15分以内に起こるので、病院で適切な処置をすれば治すことができる。 (参考文献:鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版) 2レーザー療法 鼻の粘膜の表面をレーザーで焼く方法。花粉症のほか、ハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎にも使う。ただし、半年ほどで粘膜が再生するので、症状も再発することはよく覚えておこう。飲み薬や点鼻薬の併用も必要。 花粉症の薬にまつわるギモンを解消しよう 「眠くなるのは仕方がないの?」「常用するのが不安」など、花粉症の薬にまつわる素朴な疑問を専門医にたずねてみた。 病院では内服薬、点鼻薬、点眼薬など、いくつかの薬を処方されます。みんな同時に使っても大丈夫なの? 心配があれば、医師、薬剤師にご相談を。 専門のクリニックでは、内服薬と点鼻薬、点眼薬を併用することはごく普通の治療方法です。これにより副作用が出たりすることはないのですが、心配な点があれば医師や薬剤師と相談してください。 花粉症の治療薬は、「眠くなる」とか「口が乾く」とかいう噂を聞きました。何か強い薬なのでしょうか? 眠くなるからそれだけ強いというわけではありません。 花粉症で一番よく用いられる薬は、「抗ヒスタミン薬」というお薬です。古くから使われていた第1世代の抗ヒスタミン薬のほとんどが眠気を催しますが、比較的近年開発された第2世代の抗ヒスタミン薬の中には以前のものとは比較にならないくらい、眠気が少ないものもあります。ですから眠くなるからそれだけ強いというわけではありません。 薬理学的に言うと抗ヒスタミン薬というのは、作用も単純で、眠い以外には副作用はあまり認められません。ですからステロイド薬などとはかなり異なる薬と考えてよいでしょう。 薬を飲めば鼻の症状はおさまるけれど、顔の皮膚や口の中、目のかゆみは治まりません。これは薬が合わないため?何かいい対策はありませんか? 医師と相談の上、いくつかの薬を併用してみては? 抗ヒスタミン薬はステロイド薬ではないので、効果はある程度限定されたものといえます。鼻の症状は治まってもそれ以外の症状がとれない場合には、別のお薬を併用することを考えた方がよいでしょう。例えば目のかゆみには抗アレルギー薬の目薬、それ以外の症状には別のタイプの抗ヒスタミン薬を使うといった方法です。 しかしながら内服薬の併用については薬の性質をよく知った医師と相談した上で行うべきでしょう。どんなお薬もそうですが、たくさん飲めばそれだけ効くわけではありませんし、予期しない副作用が出ることもあるので、素人判断は禁物といえます。 花粉症で、どんな症状が出たらお医者さんに行ったほうがいいのでしょう? 市販薬を飲んで、かえって眠くなる、鼻や目が乾くといった症状がみられたら、専門医へ。 晴れて暖かく、ソヨソヨ風が吹いている日に、突然目や鼻がかゆくなる、風邪もひいていないのに鼻がつまる、くしゃみが出るなどの症状がある場合には、花粉症を疑うべきでしょう。時間がなければ町の薬局で症状を説明し、花粉症の薬をもらうとよいでしょう。それらの中には上に述べたような抗ヒスタミン薬や、血管を収縮させる薬などが入っています。これで症状がおさまれば、しめたものです。かえって眠くなったり、症状治まるが鼻や目がカラカラになってしまうなどの問題が起きた場合には、その時点でアレルギー科や、耳鼻科、または花粉症の治療によく慣れた内科のクリニックへ相談に行くとよいでしょう。 「一回で効く注射」って、どんなもの? 注射は年々効かなくなると聞いたのですが、本当ですか? ケナコルト注射にご注意を。ステロイドホルモンを使った注射で、副作用が多く、おすすめできません。 「一度の注射で3~4週間効果が持続し、鼻炎・結膜炎・喘息症状が全く無くなってしまう」という注射があると、聞いたことはありませんか?これは「ケナコルト注射」といい、ステロイドホルモンを使った注射です。免疫力の低下、注射部位がへこむ、気分のムラ、特に女性の場合は生理不順や骨粗しょう症など、深刻な副作用が起こる場合がよくあるので、アレルギー専門医では行っていません。決しておすすめできない方法です。 現時点で花粉症治療に使う注射は、減感作療法で用いるものが一般的です。減感作は続けていても効かなくなるということはありません。一方ケナコルトについてですが、私たちは一度も使ったことがないので、効かなくなるかどうか、お答えできません(残念ながら!)。
花粉症の発症のピークは20~30代で、大人のアレルギー疾患ともいえるでしょう。また、花粉症は都市に住む人ほど有病率が高い傾向にあります。それはいったいなぜなのでしょうか。新たなアレルギー「口腔アレルギー」にも用心しましょう。 目次 花粉症になりやすい年齢とは? 「脱・都市型生活」で花粉症を克服できるか!? 新たなアレルギー「口腔アレルギー」にご用心 花粉症になりやすい年齢とは? アレルギー性の病気には、花粉症のほか、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息などがありますが、それぞれ発症しやすい年齢が違います。これらのアレルギー性の病気が発症するためには、それぞれ特有の抗体が、体内である程度作られる必要があり、その期間によっていつ頃発症するかがだいたい決まってきます。 抗原(アレルギーを引き起こす物質)の量が多ければ、短期間に抗体が作られるため幼少期に発症し、少量であれば長い時間がかかるので大人になってから発症するというわけです。 花粉症の場合は、一年のうちでも一定の期間だけ抗原(=花粉)にさらされるため、一定量の抗体が蓄積されるには長い期間が必要となります。そのため発症のピークは20~30代で、大人のアレルギー疾患ともいえるでしょう。 ただ、最近では低年齢でも多く発症が見られるようになり、小学生の児童でも花粉症になるケースが珍しくないようです。できるだけ子どもにスギ花粉を浴びせないようにする、規則正しい生活習慣や栄養バランスのとれた食事を心がけるなどが大切です。特にリノール酸、動物性脂肪の摂り過ぎには用心しましょう。 「脱・都市型生活」で花粉症を克服できるか!? 例えばスギの木の多い地方の山林で働いている人は、常に大量のスギ花粉にさらされていますが、都会に住む人に比べて花粉症の患者は少なく、さほど重症でもないといいます。花粉症は都市に住む人ほど有病率が高い傾向があるが、それは花粉症が花粉を吸い込む量だけに関係しているのではないからです。ディーゼルエンジンなどの排気ガス、ハウスダスト、さまざまなストレスなど、花粉症とは無関係に見える複数の原因が、多くの人に花粉症を発症させ、重症化させています。 それならば、都会を捨てて地方に住めば、花粉症は克服できるのでしょうか? 実は、そう簡単にいかないのが、花粉症の難しいところです。一度花粉症になった人は、別の花粉にもアレルギーになりやすく、例えば、東京でひどい花粉症に悩まされていた人が北海道や小笠原に転勤になり、しばらくは快適に過ごしていたものの、数年後に今度は北海道特有のシラカバ花粉症や、小笠原特有のハイビスカス花粉症を発症するケースもよくあるとか。 花粉症は、一度発症すれば高齢になって体の免疫が低下したり、鼻の粘膜の機能が退化するまで何らかの症状が毎年続くものです。自然治癒率はかなり低いため、一生モノの病気としてつきあっていくしかありません。 新たなアレルギー「口腔アレルギー」にご用心! 近年増えてきたアレルギー性の病気に、「口腔アレルギー」がある。これは、キウイやメロン、リンゴなどの果物や野菜を食べると、食材に含まれている「糖たんぱく」という物質が口内の粘膜に触れてアレルギー症状を起こし、口の中がかゆくなったり、喉がいがらっぽくなったりする病気です。食物アレルギーが喘息や呼吸困難、じんましん、下痢などの症状を示すのに対し、口腔アレルギーは口の中に症状が出るのが特徴です。原因が動物性たんぱく質(イカ、エビ、卵など)でない点にも注意しましょう。 なぜ増えてきたのか、花粉症との関連はあるのかなど、詳しいことは今のところ解明中ですが、アレルギーを引き起こす花粉抗原と共通の性質を持つ物質が、特定の果物や野菜にも含まれていてアレルギー症状をもたらすという説もあります。生で食べると症状が起きる場合でも、ジャムなどにして十分煮込んだりすると症状が出なくなることもあります。 いずれにせよ、果物や野菜を食べた後、口内にかゆみや違和感を覚えたら、アレルギーの専門医に一度相談してみましょう。 ■関連記事 スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 花粉を防ぐ空気清浄機、マスク、メガネのおすすめは? スギの時期じゃないのに花粉症?秋に飛ぶ花粉とは
花粉症のシーズンに備え、みんなはどんな対策を考えているのでしょうか。ユーザーからの声をご紹介します。 目次 Q. 花粉飛散前の予防策は? Q. いざ症状が出たら…? Q. そのほか、ひとこと! Q.花粉飛散前の予防策は? 「12月に入ったらサプリメント(甜茶やバラの花エキス、シソの実油など)を飲む」 「1月にはいってから漢方薬を処方してもらう」 「今年がラクだったので油断している。辛さを忘れている」 「花粉が飛び始める前に病院へ行き、薬を飲んでいます」 Q.いざ症状が出たら…? 「病院に行く時間がないので、症状に合った市販薬(目薬、点鼻薬、鼻炎薬)を駆使して乗り切る!」 「症状が出たら医者に行って薬をもらう」 「マスク!恥ずかしいと思っていましたが、この間、風邪をひいたときにマスクをしたらだいぶ楽になったので」 「マスクにスーッとするウェットなものをはさむといいよ!」 Q.そのほか、ひとこと! 「鼻の粘膜をレーザーで焼くという方法に興味があります」 「なるべくなら薬は控えたい」 「病院の薬は、市販薬より強い気がします」 油断しているノンビリ派もいるようですが、早めの対策で症状はラクになるもの。自分に合った花粉症対策を見つけましょう。
スギ花粉の飛散量は、その年の天候が大きく左右しています。また、花粉が飛び始めるのはスギの花が開花したときのため、その年が暖冬の場合、花粉シーズンが早まり、寒い日が続くと遅くなります。また、スギ花粉の飛散量の特異日が3月7日です。花粉の動きをチェックしましょう。 目次 暑い夏、暖かい冬には花粉の量が多くなる 九州と北海道では約1ヵ月の差 3月7日は花粉飛散の「特異日」!? 早めの対策が功を奏す 暑い夏、暖かい冬には花粉の量が多くなる スギ花粉の飛散量は、その年の天候が大きく左右しています。日本で花粉症を引き起こすのは主にスギの雄花の花芽。この花芽ができるのは毎年7~8月頃で、25~30度の高い気温が適しています。また、雨が少ないことも花芽の成長には欠かせない条件です。 スギ花粉の飛散量は少ないと予測されている年でも、冬の気温にも大きく左右されるのでまだまだ油断はなりません。また、予測に安心して対策を手控えていると、反対にいつもよりひどい症状に悩まされないとも限りません。花粉症対策は飛散量の多少にかかわらず、毎年休まずに行いましょう。 九州と北海道では約1ヵ月の差 飛散の開始時期はどうでしょうか?スギの花粉が飛ぶのはスギの花が開花したときですが、気候が暖かいと開花も早まります。そのため、その年が暖冬の場合、花粉シーズンが早まり、寒い日が続くと遅くなるようです。 さて、日本狭しといえども、花粉の飛散の開始時期には南と北で約1ヵ月もの開きがあることをご存知でしょうか?1日の平均気温が7~8度、日中の気温が10度を超える頃にスギの花粉が飛び始めるようになるため、南部の地方のほうが早く、北部の地方のほうが遅くなるのが通常です。 全国の花粉飛散開始時期(平均) ●九州地方、四国南部…2月上旬頃 ●中部地方、関東南部…2月中旬頃 ●関東北部…2月下旬頃 ●東北地方…3月中旬頃 3月7日は、花粉飛散の「特異日」!? 「10月10日は、晴れの特異日」― 天気予報で、一度はこんな言葉を耳にしたことがあるかもしれません。「特異日」とは天気予報用語で、「科学的に解明されているわけではないが、毎年かなりの確率で同じ気象状況が現れる日」のこと。ほかにも、11月3日(晴れの特異日)、9月15日(雨の特異日)は、9月26日(台風の特異日)などが有名です。 ところで、スギ花粉の飛散量の特異日が3月7日と言われていることをご存知だろうか。 スギ花粉は、1月1日からの最高気温の合計が450℃を越えると本格的に飛びはじめるとされますが、例年だと、だいたい2月中旬にあたります。飛散のピークを迎えるのは合計気温が750℃に達したときで、飛び始めから6~8週間後。例年3月の上旬で、その近辺での晴れの特異日と重なる3月7日が、スギ花粉の大量飛散の特異日となったそうです。 早めの対策が功を奏す スギ花粉の飛散は早春がピークとなりますが、1月の気候によっては例年より開始時期が早まることもありえるので、年明けからしっかり予防対策を練っておきたいもの。 また、症状が始まる前から対策を開始することが大切です。そもそも花粉症はアレルギーの一種。アレルギーに強い体を早めに早めに作っておくことが肝要なのです。花粉(アレルギーの原因物質:アレルゲン)に対する免疫力を高めておけば、少しでも症状を軽くできます。なお、比較的軽めの抗アレルギー薬などは、効き始めるのに時間がかかるので、やはり早めの対策がおすすめです。
花粉症の代表的な症状があらわれるのが「鼻」「目」です。「鼻」「目」に有効な対策についてご紹介します。花粉症の症状はシーズンが終わると引いていきますが、鼻づまりを放っておくと「鼻性注意不能症」になることもあります。シーズン中はしっかり症状を抑えて、快適な春を迎えましょう。 目次 花粉症対策:鼻のポイント 花粉症対策:目のポイント 花粉症対策:薬のポイント 花粉症対策:鼻のポイント 鼻づまりを放っておくと「鼻性注意不能症」に! 花粉症の症状はシーズンが終わると引いていきます。しかし、鼻づまりの場合は、対策をとらないでいると、頭がぼーっとしたり、集中力が低下する「鼻性注意不能症」になることもあります。しっかり症状を抑えておくことが必要です。対策を怠らず、快適な春を迎えましょう。 冬~春先に耳鼻咽喉科で診断を 花粉症と症状の似ているものの代表例として「蓄膿症」がありますが、蓄膿症は細菌感染による炎症であり、アレルギー性の鼻炎症状とは異なります。適切な対策のためには、何が原因で鼻の諸症状が起きているのか、耳鼻咽喉科で検査をするとよいでしょう。 ●鼻鏡検査 特殊な器具によって鼻の穴を開き、直接鼻の粘膜の状態を目で確かめる。正常な鼻の粘膜は薄いピンク色だが、アレルギー症状があると、うっ血や充血により赤くなる。 ●鼻汁細胞検査 鼻水を採取し、顕微鏡で好酸球の有無を調べる。好酸球はアレルギー反応が起きたときに血管からしみ出す白血球の一種。鼻汁の中に見られれば、アレルギー反応あり。 ●血液検査 血液のIgE抗体の濃度を調べる。アレルゲンが侵入すると血液中にIgEという抗体が増える。花粉シーズン以外で濃度が高ければ、花粉以外のアレルギーであることも。 ●X線検査 アレルギー以外の要因を調べる検査。鼻の奥の状態がX線によって、しっかり写し出されるため、鼻の奥の炎症なども調べられる。 蒸気を吸い込むと楽になる「温熱療法」 自宅で簡単にできる対策法として「温熱療法」というのもあります。温熱療法は体温より少し高い42~43度の水蒸気を1回に10分ほど、1日数回吸い込む方法です。最近では、家庭用の小型の蒸気吸入器も発売されているので、症状がひどい場合には利用してみてはどうでしょうか。ただし、あくまでも治療のメインとなる方法ではないので、補助的に利用しましょう。 花粉症対策:目のポイント 目薬は抗アレルギー効果のあるものを 花粉シーズンの目のケアは、目の際やまつ毛などにも花粉がついていることがあるので、まず顔を洗ってから目薬を使うようにしましょう。 最近では、クロモグリク酸ナトリウムやマレイン酸クロルフェニラミンなどの抗アレルギー作用のある薬を薬局で買うことができます。普通の目薬よりも花粉症に適しているので利用してみるとよいでしょう。症状がひどすぎる場合にはステロイド配合の目薬もありますが、作用が強いので、必ず眼科医に相談して処方してもらって利用しましょう。 コンタクトはどうしたらいい? 最近では、コンタクトを利用している人も多いです。しかし、コンタクトをつけていると目とコンタクトの間に花粉が入り込み、長時間目が花粉に接することになるため、症状が悪化することがありみあす。症状がひどい場合には、外出時には目をしっかりガードする花粉症用のメガネをかけるなど工夫をしましょう。また、抗アレルギー用の目薬などを利用する場合には、コンタクトをいったん外して、5~10分してから装着するようにします。 冷あん法で目の症状を抑える 目のかゆみや充血が激しいときには、冷やしたタオルを閉じたまぶたの上に数分間当て、これを数回くり返す「冷あん法」もおすすめです。局所に冷たい刺激を与えることで、知覚神経のはたらきを一時的に鈍らせ、かゆみの症状を抑えることができます。 花粉症対策:薬のポイント どんな薬が効果的? 花粉症シーズンには、症状に合った薬を正しく選んで、飲みつづけることが大切です。 抗ヒスタミン剤などは眠気の副作用があるので服用を控えていた人も多いと思いますが、眠気が抑えられるタイプも発売されています。また、水なしで飲める手軽なタイプなどもあるので、上手に利用すると花粉症シーズンのストレスも軽減できるでしょう。 薬の開発は日進月歩。以前に利用してみたが、あわなくてそれきりという人でも、自分にあうものが見つかる可能性もあります。改めて、医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか?
花粉症予防に大切なのは、毎日の食生活と、花粉を寄せ付けない生活です。控えた方がよい食べ物をはじめ、サプリメントで摂れるおすすめ成分、空気清浄機の置き場所など、意外に見落としがちなポイントをご紹介します。 目次 花粉症対策:食事のポイント 花粉症対策:生活のポイント 花粉症対策:食事のポイント 控えた方がよいものは? 花粉症の症状を悪化させないためにも、日頃の食生活には十分気を配りたいもの。例えば、高たんぱく質食品や嗜好品は花粉症の悪化に関係しているといわれているので、なるべく控えるようにしましょう。 ●高たんぱく質食品 肉、卵、魚卵などの高たんぱく質食品を食べ過ぎると消化酵素の分泌が追いつかず、十分アミノ酸に分解できずに腸で吸収されてしまうことがあります。分解が不十分なままに吸収されると、体は「異物」とみなして抗体が増え、アレルギーを引き起こす要因となることもあります。 ●刺激物・アルコール・たばこ 香辛料をたっぷり使った激辛食品やアルコールなどの刺激物は、鼻の粘膜の毛細血管を広げてうっ血や充血を引き起こしやすくします。その結果、鼻づまりがひどくなることもあるので、食べ過ぎには注意しましょう。また、たばこの煙に含まれる有害物質も鼻の粘膜を刺激し、花粉症の症状を悪化させてしまいます。自分だけではなく、周囲の人のためにもぜひ禁煙を心がけましょう。 この天然成分で花粉症予防 サプリメントやドリンク、お茶など、花粉対策の食品類も店頭にたくさん並ぶようになりました。花粉症シーズンを快適に過ごすためにも、副作用の少ないこうしたアイテムを利用することもひとつの方法です。 ●バラの花エキス バラの花びらから抽出したエキスは、すぐれた抗アレルギー作用があることで知られています。花粉症だけではなく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などにも効果的です。●プロポリス ミツバチが集めた樹液と、ミツバチの唾液が混ざり合ったヤニ状の成分です。ヒスタミンの過剰放出を抑えて花粉症の症状を抑える効果があります。また、殺菌作用のほか、抗酸化作用、抗ウイルス作用など幅広い効用もあります。 ●シソエキス 赤シソのエキスには、花粉症の症状を引き起こすきっかけとなるIgE抗体を少なくする作用があるといわれています。また抗炎症作用もあるため、花粉症の諸症状を抑える効果も期待されています。 ●甜茶 バラ科の甜茶に含まれる甜茶ポリフェノールは、ヒスタミンの放出を抑えて花粉症の症状の緩和に役立つとされています。花粉症のみならず、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状にも有効です。 花粉症対策:生活のポイント ペットについた花粉も払おう 近頃、ペットを飼う人が増加していますが、ペットの毛は花粉の温床になってしまいます。いくら飼い主が完全防備をしていても、外に連れ出した花粉まみれのペットを室内に入れたのでは効果はありません。散歩をさせる場合には花粉の飛散量の少ない早朝を選び、風邪の強い日や湿度の低い日には控えるようにしましょう。また、家に入れる前には毛をブラッシングして花粉をしっかり払うようにします。 空気清浄器は置き場所を工夫 室内に空気清浄機を設置するのも効果的ですが、大切なのは置き場所です。花粉症の症状があらわれるのは目や鼻。つまり、顔の高さに空気清浄機を置いておくことで、花粉症の吸い込みや付着がカットできます。また、ベッドルームに置く場合には、ふとんのそばに置きましょう。部屋の片隅に置いておくより効果があるので、ぜひ試してみてください。 床は掃除機をかけるだけではなく、水ぶきも 部屋に入った花粉を除去するには、こまめな掃除が大切ですが、掃除機だけでは十分に花粉を取り除けないものです。掃除機をかけたあとは、必ず水ぶきを心がけましょう。また、布製のソファや座布団には必ずカバーをかけ、こまめに洗濯をして取り替えるようにします。もちろん、カバーを取り外したら掃除機でていねいに吸い取ることも忘れずに。 掃除機をかけるときには、目立つところだけでなく、部屋の隅やベッドの下、棚の上や下など、ホコリがたまりそうなところもくまなく吸い取っておきましょう。
花粉症に泣かないためにはシーズン前からの対策が欠かせない。病院でもらう薬にも飛散時期に合わせて飲むタイミングがある。ほかにも生活習慣から対策を考えたり、お茶やハーブなども利用してみては? 目次 病院に行くなら耳鼻咽喉科へ 病院で処方される花粉症の薬 生活習慣から花粉症対策 お茶やハーブで花粉症ケア 病院に行くなら耳鼻咽喉科へ しつこい目のかゆみやくしゃみ、止まらない鼻水…。「どうやら花粉症かもしれない」と思ったとき、あなたはどこの病院で診察を受けようとするだろうか。花粉症は本来アレルギー性鼻炎と同じ。まずは耳鼻咽喉科の医師に診てもらうことをおすすめしたい。さらに目や気管支などの症状が特にひどい場合は、耳鼻咽喉科の医師に相談し、眼科・呼吸器科に行ってみよう。 本格的な花粉飛散の前に医師の診察と指導を受け、花粉シーズン前・ピーク時に合わせて薬を服用することで花粉症の症状を緩和させることが期待できる。 予防内服として花粉シーズンの始まり(例年2月10日頃)の2週間前から抗アレルギー剤を飲み始めるなど、まだ症状の出ない時から早めに手を打っておこう! 病院で処方される花粉症の薬 病院で処方される花粉症の薬は大きく分けて「抗アレルギー剤」「抗ヒスタミン剤」「ステロイド剤」の3種類。飲み薬のほか、点鼻薬や目薬、塗り薬などがある。 抗アレルギー剤 花粉症の原因となる免疫細胞の細胞膜を安定させ、花粉との反応を防ぐことでアレルギーの発生を根本から抑える。眠気などの副作用があり、多くは予防的に使われる。 抗ヒスタミン剤 鼻の粘膜の免疫細胞に花粉がつくとアレルギー症状を起こす「ヒスタミン」が放出されるが、このヒスタミンのはたらきを抑えるのが「抗ヒスタミン」剤。即効性が期待できるので症状が出ているときに用いられることが多い。眠気や喉の渇きなどの副作用もあるが、最近では眠くなりにくいタイプも出ている。 ステロイド剤 症状がひどく、抗ヒスタミン剤やアレルギー剤で効果が出ないときに処方される。長期にわたって使用すると顔がむくむ、脱毛するなどの全身的副作用の可能性もあるので短期間使用する。 ところで抗ヒスタミン剤はなぜ眠たくなるのかご存知だろうか?ヒスタミンは脳の中にも存在していて、何かを考えたり意識を集中させたりするはたらきがある。胃から吸収された抗ヒスタミン剤の成分が脳内のヒスタミンの活動まで抑えるので眠くなり、思考力も鈍ってしまうのだ。 生活習慣から花粉症対策 花粉症はなかなか根治しにくい病気だが、逆に予防しやすい病気でもある。幸い最近では予防に必要な花粉の飛散量や時期に関する情報が入手しやすく、また花粉回避のためのグッズも各種そろっている。医師の診断や処方される薬とあわせれば、不快な症状をかなり軽減させることも可能だ。まずは普段の生活習慣から花粉症に備えよう! ●花粉との接触を極力避ける 花粉を体内に取り込まないことが最大の予防策。風の強い日には窓を開け放しにしない、布団や洗濯物はできるだけ外に干さない、外出時は帽子、マスク、メガネなどで花粉をシャットアウトする、帰宅後は手洗い、うがい、洗顔をして皮膚についた花粉をきちんと落とすなどを心がけよう。 花粉症予防のファッション&グルメ ●食事 たんぱく質と脂肪を摂り過ぎないこと。牛や豚の肉、牛乳・バター・チーズなどの乳製品はいずれも高たんぱく・高脂肪・高カロリー。実は高たんぱく・高脂肪の食事が体の中のIgE抗体を作る助けをしているという報告もある。くれぐれもこうした動物性食品に偏り過ぎず、バランスの取れた食事を心がけたい。 花粉症予防のファッション&グルメ ●ハウスダストにご用心 花粉症を誘発・悪化させているのがハウスダストと呼ばれる家の中のほこりやダニなどのフン・死骸だ。花粉症の子供のほとんどがチリダニアレルギーを合併しているとも。花粉症シーズンだけでなく年間を通して掃除機をきちんとかけたり、カーテンやカバー類、シーツ、パジャマなど洗濯できるものはよく洗うなどして、ハウスダストから自分自身と家族を守ろう。 やっぱり基本は掃除 ●自律神経を鍛えよう! 花粉症などアレルギーの病気は自律神経のバランスが崩れ、副交感神経に大きく傾いたときに症状が悪化する。乾布摩擦、冷水摩擦などで皮膚を鍛えたり、精神的なストレスを解消させることで、交感神経と副交感神経のバランスを整えるようにしよう。 お茶やハーブで花粉症ケア 花粉症に効き目があるといわれているハーブやお茶もいくつかある。薬ではないので花粉症を治療できるわけではないが、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった気になる症状を緩和させるために毎日の生活に取り入れてみてはいかが?シーズン前から継続して用いるのがコツ。 お茶 甜茶(てんちゃ) バラ科の茶葉。鼻アレルギーの予防や症状を緩和する作用があると言われている。 緑茶 緑茶に多く含まれるカテキンが化学伝達物質の放出を抑え、症状を悪化させるのを防ぐ。 ハーブ シソ シソの葉や種に含まれるポリフェノールが花粉症の不快な症状を引き起こす化学物質と、IgE抗体の生成を抑える。 ネトル ヨーロッパ、アジア原産。和名をセイヨウイラクサという。IgE抗体の過剰な生成を抑える。 羅漢果(らかんか) 中国原産、ウリ科。独特の甘味成分を持っている。抗炎症作用があるとして喉の薬に用いられる他、抗アレルギー作用もあると言われている。 アロマオイル ペパーミント、ユーカリ どちらも鼻づまりや鼻水、目のかゆみを楽にしてくれる。ハンカチに1滴たらして外出時に持ち歩いたりお湯に2~3滴たらして蒸気を吸い込んだりして使う。かぶれることがあるので原液を直接肌につけないこと。
花粉症は「アレルギー」の一種で、健康な体を保つために欠かせない「免疫」と体内でのしくみは同じシステムです。花粉に対抗して体内でIgE抗体が増えすぎることで起こります。花粉症の症状があらわれるまでを見てみましょう。 目次 「免疫」と「アレルギー」は本来同じもの 花粉症の真犯人「IgE抗体」 「免疫」と「アレルギー」は本来同じもの 花粉症がアレルギー反応のひとつであることは、ご存じのとおりです。実はこの「アレルギー」、意外なことに健康な体を保つために欠かせない「免疫」と体内でのしくみは同じです。 人体には体の外から侵入してくる異物に対して、その物質を排除するはたらきがあります。外部から侵入してきた物質(抗原)に、対抗する物質(抗体)を作って体を守ろうとするのですが、抗体が一定量になったとき、同じ抗原が進入してくると、その抗原が抗体と結びつき、それまでと違った反応を示すようになります。 ■免疫とアレルギー この反応が体にとって都合よくはたらく場合を「免疫」といい、人間が病気から体を守るために活躍するシステムです。例えばはしかやおたふく風邪に2度かからないのは、この免疫のはたらきによるもの。 しかし、免疫は時と場合によっては人体に不快な症状を招き、さまざまな病気の原因ともなることがあります。これが「アレルギー」で、I・II・III・IV型の4つに分類されます。アレルギー性鼻炎や花粉症は典型的なI型アレルギーにあたります。 花粉症の真犯人「IgE抗体」 人体は外から侵入してきた抗原に対し抗体を作って自分を守ろうとしますが、花粉症の場合、花粉という抗原に対し、体は「IgE抗体」と呼ばれる抗体を作って反応します。IgE抗体はすべての人に同じように作られるわけではなく、作られやすい体質が生まれつき決まっています。この体質をアレルギー体質といい、IgE抗体は花粉症のほかにもアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などと深く関わっています。 IgE抗体が作られるしくみ 1. 抗原(花粉)の侵入 2. マクロファージ マクロファージと呼ばれる細胞が抗原の侵入をキャッチ。抗体産生リンパ球(Bリンパ球)に伝える。 3. 抗体産生リンパ球(Bリンパ球) 抗体を産生 4. 抗体産生を抑制するリンパ球(Tリンパ球) 抑制機能の低下 5. 肥満細胞 ヒスタミンなどの化学物質で満たされた細胞。肥満細胞の表面にIgE抗体が付着し、蓄積される。 ※肥満細胞は体の肥満とは関係ない。 6. 再び抗原(花粉)の侵入 花粉がIgE抗体と反応し、肥満細胞からアレルギーを起こす化学物質が放出され、目のかゆみや鼻水といった花粉症独特の症状をあらわす。 IgE抗体は、原因となる花粉との接触を何度か繰り返すうちに体内に蓄積されていきます。この蓄積が一定の水準に達したとき、発病する条件が整った状態になります。この状態で再度花粉に接触すると抗原(花粉)とIgE抗体が結びついて花粉症の症状が現れます。 IgE抗体が蓄積されつつある人でも、一定の水準に達していなければ症状は出ません。いわば花粉症予備軍で、このまま花粉との接触を続けていれば、いつかは発病してしまいます。 このIgE抗体、もともとは寄生虫に対する抗体だったとも言われ、闘うべき相手がいなくなってしまったので、はたらきが少し変化したのではないかと考えられています。 目や鼻に現れる花粉症の症状 肥満細胞から放出されたヒスタミンなどのアレルギー症状をおこす化学物質は、神経や血管を刺激します。知覚神経が刺激されると「目や鼻のかゆみ」や「くしゃみ」「鼻水」「涙」といった症状を示します。血管が刺激されるとうっ血やむくみが生じ、「鼻づまり」「目の充血」といった症状に現れます。
風邪の初期症状と紛らわしい花粉症。風邪と花粉症の違い、見分けるポイントをご紹介します。また、日本ではスギ以外に花粉症をおこす植物はたくさんあります。花粉症の原因植物について開花期を示したものを「花粉カレンダー」といい、花粉症対策をたてる上で大変役に立ちます。「花粉カレンダー」もご紹介します。 目次 風邪じゃない!その症状は「花粉症」 風邪と花粉症の違い、見分けるポイント 一年中「花粉症」!?花粉カレンダー リンゴやオリーブも花粉症の原因になるの? 風邪じゃない!その症状は「花粉症」 春。花粉症にかかっている人にとっては毎年憂鬱な季節です。 花粉症とは、植物の花粉が原因で起こるアレルギー性の病気のことです。日本ではスギ花粉症が代表的ですが、これは戦後に単純一斉林として造林されたスギの木の多さによるもの。しかもそのスギ林はちょうど今、花粉産生の適齢期に入っており、花粉症患者の増加と悪化につながっています。残念ながらこの状態はしばらく続くとか…。 「自分は花粉症じゃないから大丈夫!」というあなたもご用心!花粉症はある日突然発病するものです。花粉症の4大症状は「くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ」。一見「風邪かな?」と思うことが花粉症の症状だったりするのです。 風邪と花粉症の違い、見分けるポイント 風邪と花粉症の違い 症状 風邪 花粉症 くしゃみ 続いても3~4回 10回前後も続けて出るのが特徴。1日中止まらないこともあります 鼻水 最初のうちは普通の鼻水だが次第に粘っこくなってくる 透明でサラサラした鼻水が止まらず、花粉の飛散が終わるまで続きます 鼻づまり 数日間続いて治る 頑固な鼻づまりが長く続く。鼻がつまって夜も眠れないほどです。 目のかゆみ 目に症状が出ることはほとんどない 花粉が目に入ると目をゴシゴシこすりたくなるほどのかゆみを感じます。これは両目に見られ、白目の部分が充血したりまぶたが腫れることもあります 花粉症と風邪を見分けるポイント ●目の症状…風邪では目に症状が出ることはほとんどありません。 ●熱があるかどうか…花粉症では全身がだるく熱っぽくなるが、風邪のように38℃台まで熱が上がることはまずありません。 鼻の症状と目の症状が一緒に現れるようになったら、あなたもとうとう花粉症にかかってしまったことになります。さらに目・鼻以外にも全身に現れるこんな症状に心当たりはないでしょうか? 一年中「花粉症」!?花粉カレンダー 日本ではスギ以外に花粉症をおこす植物はたくさんあります。春先に限らず、夏、秋にも花粉が飛散するので、いくつもの植物にアレルギー反応を示す人は、1年の大半を花粉症の状態で過ごしてしまうことさえあります。 花粉症の原因植物について開花期を示したものを「花粉カレンダー」といい、花粉症対策をたてる上で大変役に立ちます。 出典:佐橋紀男東邦大学教授資料より「花粉症」少年写真新聞社 リンゴやオリーブも花粉症の原因になるの? スギ花粉症は北海道や沖縄ではほとんど見られませんが、思いがけない植物によって花粉症が引き起こされています。いずれもその地域を代表するような植物が、各地方での花粉症原因植物となっています。日本全国、どこに住んでいても何だかの花粉症を発病してしまう可能性が十分にあるのです。 各地域による花粉症原因植物 ●北海道…シラカバ ●東北地方…リンゴ ●中部地方…クルミ ●関東地方…クヌギ、コナラ ●北陸地方…クロマツ、アカマツ ●近畿地方…オオバヤシャブシ ●中国地方…ネズミサシ ●四国地方…オリーブ ●九州地方…カラムシ ●沖縄地方…モクマオウ
抗アレルギー剤などを用いた治療は、一般的に「薬で症状を抑える」もの。もっと根本からアレルギーを治療する方法はないのだろうか。実は「減感作療法」という治療法がある。 目次 減感作療法とは? コレが効く!?試してみよう、民間療法 頑固な鼻づまりには手術が有効なことも 減感作療法とは? 治療の目標 これは花粉症(アレルギー症状)を引き起こす原因となっているスギ花粉などの抗原(アレルゲン)エキスを、長い時間をかけて少しずつ注射し、体を徐々に慣れさせ、アレルギーが起こらない体質に変えていく治療法。人間の「体質」そのものを、スギ花粉などに過剰に反応しないようにするのだ。 効果 かつては約50%だった効果も、さまざまな改良を経て、現在75%以上にまで高まっている。治療に使う抗原の副作用も、かなり改善されてきている。 治療プログラム まず春が過ぎ、花粉症の症状がおさまった頃から治療を開始する。スギ花粉症であれば、スギ花粉のエキスを薄めた液(抗原)を注射。 週に1~2回、毎回1~2本の注射を10週間~6カ月続ける。その後、ひと月に1~2本の注射を、数年にわたって打つ。トータルで30~40本の注射が必要。薄い濃度から始めて、少しずつ濃い濃度のものに変えていく。途中、症状が消えたとしても、最低2~3年かけて根治させる。 問題点 減感作療法は成功すれば、それ以降は薬を使わなくてすむようになる素晴らしい成果が得られる。特に女性の場合、将来の妊娠・出産時の薬の副作用のことを考えると、オススメしたい治療だ。でも、何年もかかる治療はかなりの根気が必要で、しかも減感作療法を行っている病院や医師は限定される点などが問題で、あまり一般化されていないようだ。 コレが効く!?試してみよう、民間療法 花粉症は日本では40年程度の歴史の浅い病気なので、「風邪の時には卵酒」のようにコレなら効く!というものはなく、ひとりひとりが工夫しながら自分ならではの民間療法を探っている。以下に紹介したのは、ウワサの民間療法。アナタには効果あり!? おろししょうが湯・塩の番茶での洗浄 洗面器にお湯をはり、しょうがの絞り汁を5~6滴たらし、これで鼻を洗う。スポイトなどを使うとやりやすい。しょうがの代わりに冷ました番茶に自然塩を入れたものでもよい。鼻に直接入れるのが苦手な場合は、タオルに染み込ませて鼻に当てたり、脱脂綿に染み込ませ鼻に詰める程度が安全でオススメ。 お茶(日本茶・中国茶・紅茶) がんや動脈硬化、インフルエンザにも効くと言われるお茶。ラットを使った実験では、お茶の中のカテキンやカフェインにより、アレルギー症状が抑えられたという報告がされている。人間への効果としてはまだ研究中だが、緑茶にはビタミンCも含まれるので、1日10杯以上は飲みたい。 甜茶(てんちゃ) 中国で「風邪に効く」として処方され、飲まれている甘いお茶だが、日本では薬としては認可されていない。しかし最近、花粉対策に人気が高く、ガムやキャンディー・お茶などの「嗜好品」として出回っている。注意したいのは、甜葉の中にもいくつか種類があるということ。抗アレルギー有効成分が含まれているのは、バラ科の甜茶のみという説もある。 ハーブティー 「エルダーフラワー」は西洋では「インフルエンザ特効薬」とも呼ばれるほど、炎症に効く。くしゃみ、鼻水、眼のかゆみ、頭痛などを抑える。さらに「ローズヒップ」をブレンドすると、より効果的。ローズヒップは、炎症で失われるビタミンCを豊富に含む。そして、粘膜や毛細血管の炎症を鎮めてくれる。 アロマテラピー いわゆる「西洋薬」の歴史が100年。しかしヨーロッパでは、それ以前、何千年にわたってのハーブ・薬草の歴史があった。古来からの知恵を是非、上手に取り入れたいもの。ハーブには生理作用、心理作用、抗菌作用があると言われる。ユーカリやペパーミント、ラベンダー、ローマンカモミールなどがオススメ。 頑固な鼻づまりには手術が有効なことも 花粉症の症状で多分最もツライのが「鼻づまり」。薬でも効かない頑固な鼻づまりには手術が有効なこともある。 鼻のレーザー手術 治療の目標 レーザー光線で、アレルギー反応が起きる「舞台」となる鼻の粘膜をやんわりと焼く。すると、花粉(抗原)が入ってきても、粘膜の過剰な反応を抑えることができ、鼻水、鼻づまりなどの症状を簡単に止められる。 しかし、そもそも花粉症は、アレルギー体質が基礎になって起こる、免疫系の全身病の一種。手術は、局所(鼻の粘膜)だけなので、病気そのものを完全に治すためのものではない。 メリット 日帰りできる外来手術で、出血や痛みなど患者の負担になるものが少ない。麻酔は局所麻酔。鼻の中に麻酔のガーゼを入れる時に少し痛いくらいで、手術中は痛みも出血もほとんどない。 医師や病院によって異なるが、2~8回のレーザー照射で、手術時間も1回につき5~20分間と短い。これで上手くいけば、減感作療法よりも効果的に、鼻水・鼻づまりなどが解消!また、子供にも手術できるところが良い。
花粉症に対する治療の中心は、薬物療法。大きく分けると、花粉症の症状を和らげるための「 対症療法 」と、症状が現れないようにする「 予防的治療 」がある。仕事などが忙しいと花粉症の症状がひどくなってからしか病院に行かないケースも多いが、最近では症状が出る前に抗アレルギー薬を服用する予防的治療をすることも多いので、早めに病院へ行こう。 以下、花粉症治療に使われる主な薬を挙げてみた。 目次 抗アレルギー薬 抗ヒスタミン薬 ステロイド剤 漢方薬 抗アレルギー薬 どんなはたらきをする薬? スギなどの花粉症において、いまのところ一番使われている薬で、肥満細胞の中でヒスタミンなどの化学伝達物質が作られるのを阻害したり、またできてしまったヒスタミンが肥満細胞から放出されるのを阻害したり、それでも出てきた場合、ヒスタミンが末梢神経に近づくのを防ぐ効果がある。 どうやって使う薬? 内服薬のほか、鼻や目がツライ時に局所的に使う点鼻薬と点眼薬もある。抗アレルギー薬は、効果が現れるまでに1~2週間は必要になるので、花粉が飛び始める前から飲み始め、花粉が飛ばなくなるまで飲みつづけることが必要。 副作用は? 抗アレルギー薬が花粉症対策の一番の薬に挙げられている理由は、比較的副作用が少なく安全性が高いということからきている。長期間服用すると胃腸・肝障害などが起こることもあるが、特に花粉症の場合は、長くても3~4ヵ月の期間限定の服用なので、ほとんど副作用はないと言われている。 ただし注意したいのは、抗ヒスタミン作用をあわせ持つ抗アレルギー薬(塩基性抗アレルギー薬)の場合、抗ヒスタミン薬と同様の副作用が出ることもある。処方された薬がどんなタイプなのか聞いておくと良いだろう。 抗ヒスタミン薬 どんなはたらきをする薬? くしゃみ、鼻水、かゆみのひどい時に用いる薬。速効性があるが、鼻づまりと重度の症状にはあまり効果が期待できない。 どうやって使う薬? 鼻炎薬(内服薬)や点鼻薬、点眼薬など色々な種類がある。 抗ヒスタミン薬は、速効性に優れていることから、くしゃみ、鼻水、かゆみなどで、生活に支障があり、鎮静化させたい時に使うことが多い。しかし副作用を考えると、基本的には、抗アレルギー薬を服用し、その「お助け係」として時々、点鼻薬、点眼薬などで用いるようにしたい。 副作用は? 一般的な副作用として、ボーっとしたり、とても眠くなる、ダルい、口が渇く、胃腸の具合が悪くなるなどがある。特に車の運転や危険な作業をする人、また肝臓疾患や心臓疾患がある人、前立腺肥大の人、緑内障、ドライアイの人などは使用する際、注意が必要なので、専門や担当の医師・薬剤師に相談しよう。 ステロイド剤 どんなはたらきをする薬? ほかの薬ではどうしても治まらない場合の対症療法として使われる薬。激しい花粉症でも劇的に症状を抑えられる。くしゃみ、鼻水などの他、アレルギー全般の症状を抑えることができ、特に炎症を抑える力が強いので、一番治りにくい鼻づまりに効く。しかし、さまざまな副作用があり、使い方には十分な注意が必要。 どうやって使う薬? 内服薬や注射で使用される。「もう、どうにも生活ができない!」というひどい症状の時に、最後の頼みの綱としてとっておこう。また、点鼻薬の局所ステロイド剤もあり、鼻全般の症状に局所的に使用することもある。 副作用は? ステロイド剤は、短い期間で量を少なく使うのであれば、安全な薬だが、使う量や期間によって副作用が心配になる。主な副作用は、胃腸障害、顔などのむくみ、高血圧・心不全・糖尿病などの生活習慣病の悪化、皮膚・髪の毛などが弱くなる、など。 きちんと医師の指導を受け、正しい使い方をすることで、副作用を回避できるので、ちゃんと処方を守ろう。 漢方薬 どんなはたらきをする薬? 西洋医学では、現れた症状を抑えるための対症療法の薬を発展させてきたが、東洋医学の漢方が目指すのはまず病気の原因を体の変調に求め、それに対する一種の原因療法である。 漢方薬を使用する場合には、信頼できる漢方の専門医にきちんと診断を受け、西洋薬との折り合いをつけながら改善していこう。 どうやって使う薬? 小青竜湯(しょうせいりゅうとう) 体を温める。発汗をうながす。せきを止め、痛みを和らげるなどのはたらきがある。鼻水、くしゃみ、鼻炎などの症状に効く。重くて長い花粉症に。半年にわたる、長期の服用が必要な場合もあり。主に20~30歳代の、体力が充実し、栄養も十分なタイプ向き。 葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせいきゅうしんい) 鼻づまりで眠れない時などに効果的。首から肩にかけて筋肉のコリがあり、鼻水に多少粘りがあるような症状をもち、やや体力がある人向き。 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう) 主に中高年の、やせ型で血色もすぐれず、寒気を感じる、体力が弱っている人向き。麻黄による覚醒作用があるので、抗ヒスタミン薬のように眠くならない。 副作用は? 漢方というと「副作用がない」と思いがちだが、漢方薬も選び方や使い方には、注意しなくてはならない。 風邪などで処方されることの多い「小柴胡湯」などは、肝臓疾患の患者に肝機能改善の目的で投与されたところ、死亡8例をふくむ、肺炎に至るきわめて重い副作用を起こしている。 「漢方を使ってみようかな…」と思ったら、「漢方なら副作用は、まったくない」などという宣伝だけで押し通す薬局や医師には十分注意し、よく見きわめながら、相談できる専門家を探すことから始めよう!
花粉症の代表的な症状の くしゃみ、鼻水、目がかゆい 。これらは一見普通の風邪の症状と似ていて、花粉症だと気がつかないことがあります。しかし、アレルギーは症状の軽いうちに手を打った方が、ひどくならずにすみます。さて、その症状は本当に風邪でしょうか?花粉症の症状や、検査方法についてご紹介します。 目次 風邪?それとも花粉症?こんな症状は要注意! 花粉症かどうかの検査は病院で!花粉症の検査方法 風邪?それとも花粉症?こんな症状は要注意! 花粉症の主な症状 ●鼻では?…くしゃみを連発する、鼻水が止まらない、夜も眠れないほど、ひどい鼻づまり ●眼では?…かゆくてたまらない、涙が止まらない、充血している ●その他…ぼーっとしてしまい、思考力がなくなる、頭痛がする 風邪やインフルエンザと花粉症の症状の違い ●インフルエンザのような高熱は出ない。あっても微熱 ●頭痛などがあっても、関節痛はインフルエンザほどひどくはない ●くしゃみや鼻水、せきが出ても、風邪のようなのどの痛みは少ない 花粉症と似た症状の風邪以外の病気 ●通常のアレルギー性鼻炎…ほこり、ダニの死骸・フンなどのハウスダストが原因 ●中高年の血管運動性鼻炎…寒さなどの気温差や、湿度の差で起こりやすい 花粉症かどうかの検査は病院で!花粉症の検査方法 普通、風邪をひいた時に出るくしゃみは、せいぜい続けて3~4回ぐらいですが、花粉症の場合はそれこそ7~8回、あるいは十数回続けて出ることがあります。こうなったら、「風邪かな?」ではなく「花粉症かな?」と疑ってみましょう。 病院へ行くと、次のような検査方法で花粉症かどうかを見極めます。 花粉症の検査方法 鼻鏡検査、鼻X線検査 鼻粘膜の状態を「鼻鏡」を使って、直接診るのが鼻鏡検査。X線検査は、副鼻腔炎、鼻中隔わん曲などを確認します。こうした検査で、鼻炎の原因がアレルギーかどうかを調べます。 スギ花粉症の約10%の人が副鼻腔炎を合併しているそうです。 鼻汁中好酸球検査 鼻汁を採取して、顕微鏡で好酸球の数を調べます。好酸球は白血球の一種で、アレルギー反応が起こっている場所に、たくさん集まっています。多量に含まれていれば陽性です。眼科では、目やにや涙で同様の検査をします。 血清抗体検査RAST法、MAST法 血液中にIgE抗体があれば陽性です。さらに、原因となっている花粉の種類を特定します。ただし健康保険では、1回の検査で10種類までしか調べることができません。 皮膚反応テスト 皮膚に小さな傷をつけ、花粉エキスを腕に入れたり、注射することで皮膚反応を調べます。15~20分後、20mm以上赤く腫れたら陽性です。その花粉がアレルギー原因の可能性があります。 鼻誘発テスト 花粉エキスなどをしみ込ませた紙片(抗原ディスク)を鼻の粘膜に貼り、アレルギー反応が起こるかどうかを調べます。くしゃみなど、花粉症の症状が出れば陽性です。眼に症状が出ている場合は、花粉などを直接、点眼して反応をみる「眼誘発テスト」があります。 ■関連記事 スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 花粉を防ぐ空気清浄機、マスク、メガネのおすすめは? スギの時期じゃないのに花粉症?秋に飛ぶ花粉とは 子供の花粉症対策に「じゃばらヨーグルト」がおすすめ
花粉症とは、簡単に言えば花粉によって起こるアレルギー性の病気です。しかも、困ったことに大人になってからでも突然発症します。いったい、どんな人がかかりやすい病気なのでしょうか。 目次 花粉症は、どんな人がかかりやすい? 花粉症の原因となる植物 花粉症は遺伝する? 花粉症は、どんな人がかかりやすい? 「花粉症」は、昭和36年に日本で初めてブタクサによる花粉症患者が発見され、その2年後にスギ花粉症患者が発見されました。以来、花粉症患者は増えつづける一方です。 花粉症とは、簡単に言えば、花粉によって起こるアレルギー性の病気のことです。しかも、困ったことに大人になってからでも突然、発症します。いったい、どんな人がかかりやすい病気なのでしょうか。 ●アレルギー体質の傾向が強い人 アトピー、食物アレルギー、小児喘息など、一般にアレルギー体質の傾向が強い人が、かかることが多いと言われています。特に、ダニの死骸などのハウスダストにアレルギーがある子供の70~80%は、花粉症もあるといいます。逆に、アレルギーがない子供の花粉症は、30%以下。アレルギー体質と花粉症には明らかな関係があるようです。 ●生活が乱れている人 例えば、食生活が乱れ、インスタント食品やコンビニ食、ファーストフード、スナック菓子ばかりを食べている人は要注意です。こうしたものには添加物も多く、アレルギーへの影響は大きいと言われています。また、肉などのたんぱく質の摂り過ぎもアレルギー体質になりやすいとか。 ほかに、睡眠不足、生活時間が不規則な場合も、自律神経が乱れ、免疫機能が正常にはたらかなくなり、アレルギーを引き起こす原因になります。もちろん、ストレスもその立派な原因のひとつです。乱れた生活では、花粉症を招くだけかもしれません!? ●都市的な生活をしている人 周りはアスファルトで舗装され、交通が激しくコンクリートの建物が多く、気密性の高いマンションなどに住んでいたり、ビルで働いている人のことです。特に自動車の排気ガスによる大気汚染は花粉症の増加につながる原因です。実際、スギ花粉の飛散数が多い非汚染地区より、飛散数が少ない大気汚染地区の方がスギ花粉症を訴える人が多いケースがあります。 花粉症の原因となる植物 花粉症の主な原因は、一般に風によって受粉する花粉です。スギ花粉はその代表で花粉症患者の約8割を占めているといいますが、そのほかにも原因となる植物はあります。なかでもヒノキ花粉はスギ花粉とよく似た糖たんぱく構造をしており、スギ花粉に反応する人はヒノキ花粉にも反応しやすいようです。 ちなみに、スギ花粉とヒノキ花粉の飛ぶ時期は少しずれており、スギ花粉は2月上旬から飛び始め、3月中旬にピークを迎え5月初旬におさまるのに対し、ヒノキ花粉はそれより3~4週間遅れ、4月の上旬にピークを迎えます。 花粉症を起こす主な植物 木本花粉 スギ科(スギ) カバノキ科(シラカンバ、ハンノキ、オオハシバミ) ブナ科(ブナ、コナラ、クヌギ、クリ) ニレ科(ケヤキ、アキニレ、オヒョウ、エノキ、ムクノキ) 草本花粉 イネ科(カモガヤ、ススキノテッポウ) キク科(ブタクサ、ヨモギ、セイタカアワダチソウ) クワ科(カナムグラ) 花粉症は遺伝する? 残念ながら、アレルギー性の病気には遺伝が深く関わっています。つまり、花粉症にも遺伝が関わっています。 両親にスギ花粉症がある場合、子供がかかる可能性は55~60%、片親だけが花粉症の場合は子供は30~50%、両親ともに花粉症でない場合は、10~30%の子供がかかるというデータがあります。 しかし、アレルギー性の病気の発症は、遺伝のみで決定されるものではありません。生活習慣や環境にも大きく左右されるのです。 ■関連記事 スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に 花粉を防ぐ空気清浄機、マスク、メガネのおすすめは? スギの時期じゃないのに花粉症?秋に飛ぶ花粉とは 子供の花粉症対策に「じゃばらヨーグルト」がおすすめ
ある調査によると、花粉に悩まされている人の取り組みで、薬による治療よりも「花粉を避けること」の方が、症状を軽減できたという回答もあった。アレルギー対策の基本は、アレルゲン(花粉など)に触れないこと。外出のときには、こんな工夫をしてみよう! 目次 花粉症予防のフッションは「クールに花粉を寄せつけない!」 花粉症予防のグルメは「ホット&ヘルシー!」 花粉症予防のフッションは「クールに花粉を寄せつけない!」 帽子 髪の毛は花粉の「溜まり場」と化すので、長い場合は縛る。短い人も、できればツルツルした素材のつば付きの帽子を。家に入る前、花粉をしっかり落とす。外出後、髪はなるべく早く洗おう。 メガネやサングラス 花粉症用のゴーグルタイプや、サイドにカバーのついたものにすると、花粉が眼の粘膜につくのを激減できる。 マスク できれば花粉症用マスクを。効果をアップさせるには、中に湿らせたガーゼをはさむのも良い。使ったら必ず、洗ったり、はたいたりする。「コレ、高かったから…」といって、長期間使い続けないで、早めに交換を。 露出禁止 花粉がつくのを防ぐには、皮膚をむき出しにしない。できればスプリングコートを着用する。手足の露出は避けよう! 素材 洋服も帽子も、羽毛のものより、化学繊維や綿で表面がツルっとしたものを! 静電気防止スプレーをするのも有効。 帰宅前 花粉を家に持ち込まないよう、玄関の外で洋服・帽子・髪などをよく払い落とす。眼には見えないが、必ず花粉はついている。もちろん家族全員で協力を! 外出頻度 そもそも飛散の多いときには、なるべく出かけないようにできると、なお良い。 花粉症予防のグルメは「ホット&ヘルシー!」 原則的に「体を温めてくれる」ものを 穀類・豆類(もち米・とうもろこし・みそ・豆腐) 芋類(ジャガイモ・さつまいも) 野菜類(ダイコン・ニンジン・タマネギ・カボチャ) 果物類(栗・ナツメ・レイシ)など。 αリノレン酸 アレルギーをおさえるαリノレン酸が含まれる野菜や海草類を多く摂る。シソが良いとされるのは、このαリノレン酸が多く含まれるためでもある。 禁・リノール酸 一時ブームとなった食用油だが、血管の透過性を高め、鼻炎などを起こしやすくするので、なるべく避ける。 EPA 青魚 に多く含まれ、免疫のはたらきを正常化してくれる。アジ・イワシなどがオススメだ。 お茶 ジュース類などのペットボトル系飲料は体を冷やすので、なるべく避ける。飲むなら、アレルギー症状の改善効果が期待できる日本茶や甜茶(てんちゃ)を。
花粉の飛散が多い時期はもちろん、普段も家の中から、掃除で花粉、ホコリ、ダニを追放したい。同じ「掃除」でも、ちょっとの工夫で大きな差が出る。眼に見えない花粉だからこそ、「知恵」を使ってたくさん追い出そう! 目次 なぜ掃除が大切なの? 掃除で花粉を追い出す!ちょっとの違いで大きな差 なぜ掃除が大切なの? 特に花粉の飛散時期には花粉症の人も、そうでない人も1日1回必ず「掃除」を! さらに深刻な人の場合、本当は窓や扉を開ける度に心掛けたいのだが、その理由とは…? ●「花粉に接触しない」ため 部屋を閉めきっていても入ってくるのが花粉。 これを除去するためにも、飛散量が多い時期はできれば毎日掃除したい。 ●ダニに要注意! ダニの死骸やフンは、あらゆるアレルギーの「下地」になりやすい。特に花粉症で粘膜がデリケートになっている時期は、花粉でなくても刺激となってしまうので注意して除去したい。 掃除で花粉を追い出す!ちょっとの違いで大きな差 同じ「掃除」でも、ちょっとの工夫で大きな差が出る。 眼に見えない花粉だからこそ、「知恵」を使ってたくさん追い出そう! ●掃除は朝のうちに 花粉が多く飛ぶのは主に午前9時~午後3時。その時間を避けて掃除したい。特に朝、まだ人が動いていないときには、ホコリも花粉も舞い上がっておらず、床に落ちているので効率的! ●排気は窓の外へ! 掃除機を使うときには、ホースをつけ足して長くし、本体は外に出しながら使う。 ●もちろん風の強い日は、掃除の際も窓を開けない。 最近は、排気循環型の掃除機や、フィルターの細かいものも売られているので、そうしたものを選ぶのも手だ。 ●空気を湿らせてから 乾燥していると、ホコリも花粉も舞い上がりやすい。加湿器などで湿度を上げてからの方がより効果的。もっと望ましい濡れ雑巾やモップという方法もある。 ●空気清浄器も! 掃除をしてもフワフワ空気中に漂っている見えない花粉は、空気清浄器などで!もちろん、フィルターをこまめに掃除。 ほかにも、こんな工夫で家から花粉を追い出そう! ●床をフローリングに じゅうたんやタタミは、知らない間に花粉もホコリもダニもたまりやすい。できれば取り除き、フローリングにすると、より良い ●布団や洗濯物は、飛散時には外に干さない 花粉が多く飛ぶのは午前9時~午後3時、この時間は、ガマンして、室内で乾かすか、乾燥機などを使おう。 ●布団に掃除機を! 布団を干した後、できればアトピー用のローラーなどをつけた掃除機をかけると、とても効果的! ●布団や家具を選ぼう! 毛足が長い寝具やソファーなどの家具は、フワフワして気持ちよさそうだが、花粉やホコリ、ダニがたまりやすい。ツルツルした手触りのものに変えよう。 ●アレルギーには「シンプルな生活」 植物や置き物、ぬいぐるみなどが飾ってある部屋は、アットホームな感じで素敵だが、どうしても花粉、ホコリ、ダニの居場所が多いということ。和風や超モダンの、究極のシンプル・ライフを目指そう!
多くの人を悩ませる「花粉症」。日本で多いのはスギ花粉症ですが、世界にも花粉症はあります。 目次 世界初の花粉症 世界三大花粉症 ほかにもこんな花粉症 世界初の花粉症 現代病の代表とも言われる花粉症。その花粉症が世界で初めて「病気」として発見されたのは、1819年のイギリスと言われています。農夫が干し草を扱っているときに突然、くしゃみなどを発症したり、鼻水や、眼の充血、ときには喘息のような症状を起こす人もいました。しかし当時は、花粉のアレルギーという考えはなく「枯れた草に触ったため」と思われ「枯草熱」と名づけられたそうです。そして後の1873年、本当の原因がイネ科の牧草の花粉であると立証されました。このイネ科花粉症は、世界の三大花粉症のひとつとして、現在も人々を悩ませています。 世界三大花粉症 イネ科花粉症 主にヨーロッパ各地でみられます。 家畜の肥料として欠かせないイネ科の牧草カモガヤが原因となっています。 日本では4~6月頃、北海道と東北地方で見られます。これは、お米をとるために作っているイネではなく、牧草や芝草として、日本へ導入された外来種の花粉が飛散し、空き地や道ばたで繁殖し広がりました。 ブタクサ花粉症 主にアメリカでみられます。 1900年頃から注目されていて、アメリカでは5~15%の人が、かかっていると言われています。 日本では9~10月頃おこる秋の花粉症として有名です。ブタクサは「マッカーサーの置き土産」と呼ばれ、帰化植物として日本に入ってきた当初、多くの人が悩まされました。ブタクサ花粉症の人は、バナナやキウイなどを食べると、口のまわりや、のどがかゆくなったり、目が腫れるなどの食物アレルギーも多いと言われています。身に覚えのある人は、ぜひ注意しましょう。 スギ花粉症 日本のみでみられます。 我が国固有の植物・スギの花粉を原因とする、つまり日本にしかないスギ花粉症も、なんと世界三大花粉症にランク・イン! 1~4月にかけて猛威をふるいます。花粉症の約8割の原因が「スギ」。日本の花粉症と言えば、スギといってもよいくらいなのです。 ほかにもこんな花粉症 三大花粉症のほかにも、こんなもので花粉症は起きることがあります。 ヒノキ花粉症 スギの次に有名になってしまったヒノキ花粉症。ヒノキの花粉はスギ花粉と似ているため、重複してかかりやすいので注意しましょう。しかもスギのピークに続いて起こるため、かかると春の苦しい時期がさらに長くなってしまいます。 カバノキ科花粉症 2~5月頃に花粉が飛散するカバノキ科には、シラカバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ、ハシバミ、クマシデなど、アレルギーを起こしやすいものがあります。 ブナ科花粉症 もともと日本に多くあったブナ科には、ブナ、コナラ、シイノキ、クリ、マテバシイなどがあります。しかし、ブナ科の植物はスギ、ヒノキの植林で減少したため、比較的少なくなりました。 キク科花粉症 有名なキク科の花粉症はブタクサですが、それ以外にもヨモギやクワモキなどで花粉症を起こすことがあります。花粉が飛散するのは8~10月頃です。 職業性花粉症 野菜や果物の専門的な栽培で起こる花粉症。モモ、ナシ、ブドウ、イチゴ、トウモロコシなどが確認されています。 公開日:2014年12月4日
花粉症のくしゃみ・鼻水・鼻づまり・涙は、花粉が何か悪さをして出させているわけではなく、体が必要と思って出しているものです。そのはたらきを見てみましょう。 目次 花粉症の症状が出るのは、体にとって必要なこと せき・くしゃみの飛距離とは? 鼻水・涙の役割とは? 花粉症の症状が出るのは、体にとって必要なこと 花粉症のツライ、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・涙…。本来は人間に害がないはずの、スギなどの花粉に過剰反応して出るものです。これらは、花粉が何か悪さをして出させているわけではありません。体が必要と思って出しているのです。それぞれきちんと、わけがあっての反応なのです。くしゃみや鼻水を恨む前に、そのはたらきを見てみましょう! せき・くしゃみの飛距離とは? 鼻やのどに花粉などの異物が侵入してきた時、その攻撃の先鋒として出るのがくしゃみです。くしゃみは、粘膜から異物を吹き飛ばす役割をしています。 東京都立衛生研究所の検査・測定によると、せき・くしゃみは驚くべき勢いで、のどや鼻の粘膜についた異物を除去することが分かっています。下の測定値は、花粉ではなく、風邪などのウイルスを飛ばす場合ですが、そのパワーを推し量ることができます。 除去技飛距離ウイルス除去数 せきおよそ 2m約10万個 くしゃみおよそ 3m約200万個 鼻水・涙の役割とは? くしゃみに続いて現れるのが鼻水。鼻の中に入った異物を洗い流すためのものです。普段、鼻水は1日に約1リットル出ていると言われています。花粉症では、その何倍も出てしまうのだから大変です。 こうしたことが眼でも行われると、涙がボロボロという状態になってしまいます。涙は普段、1日約2~3ミリリットル。乾燥や異物から守るため、常に循環しながら「薄い膜」のように眼をおおっています。 鼻水・涙ともに、ウイルスなどの侵入を抑える役割を果たしています。 公開日:2014年12月4日