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こんな症状の花粉症に効く薬

花粉症に対する治療の中心は、薬物療法。大きく分けると、花粉症の症状を和らげるための「 対症療法 」と、症状が現れないようにする「 予防的治療 」がある。仕事などが忙しいと花粉症の症状がひどくなってからしか病院に行かないケースも多いが、最近では症状が出る前に抗アレルギー薬を服用する予防的治療をすることも多いので、早めに病院へ行こう。 以下、花粉症治療に使われる主な薬を挙げてみた。

抗アレルギー薬

どんなはたらきをする薬? スギなどの花粉症において、いまのところ一番使われている薬で、肥満細胞の中でヒスタミンなどの化学伝達物質が作られるのを阻害したり、またできてしまったヒスタミンが肥満細胞から放出されるのを阻害したり、それでも出てきた場合、ヒスタミンが末梢神経に近づくのを防ぐ効果がある。
どうやって使う薬? 内服薬のほか、鼻や目がツライ時に局所的に使う点鼻薬と点眼薬もある。抗アレルギー薬は、効果が現れるまでに1~2週間は必要になるので、花粉が飛び始める前から飲み始め、花粉が飛ばなくなるまで飲みつづけることが必要。
副作用は? 抗アレルギー薬が花粉症対策の一番の薬に挙げられている理由は、比較的副作用が少なく安全性が高いということからきている。長期間服用すると胃腸・肝障害などが起こることもあるが、特に花粉症の場合は、長くても3~4ヵ月の期間限定の服用なので、ほとんど副作用はないと言われている。
ただし注意したいのは、抗ヒスタミン作用をあわせ持つ抗アレルギー薬(塩基性抗アレルギー薬)の場合、抗ヒスタミン薬と同様の副作用が出ることもある。処方された薬がどんなタイプなのか聞いておくと良いだろう。

抗ヒスタミン薬

どんなはたらきをする薬? くしゃみ、鼻水、かゆみのひどい時に用いる薬。速効性があるが、鼻づまりと重度の症状にはあまり効果が期待できない。
どうやって使う薬? 鼻炎薬(内服薬)や点鼻薬、点眼薬など色々な種類がある。
抗ヒスタミン薬は、速効性に優れていることから、くしゃみ、鼻水、かゆみなどで、生活に支障があり、鎮静化させたい時に使うことが多い。しかし副作用を考えると、基本的には、抗アレルギー薬を服用し、その「お助け係」として時々、点鼻薬、点眼薬などで用いるようにしたい。
副作用は? 一般的な副作用として、ボーっとしたり、とても眠くなる、ダルい、口が渇く、胃腸の具合が悪くなるなどがある。特に車の運転や危険な作業をする人、また肝臓疾患や心臓疾患がある人、前立腺肥大の人、緑内障、ドライアイの人などは使用する際、注意が必要なので、専門や担当の医師・薬剤師に相談しよう。

ステロイド剤

どんなはたらきをする薬? ほかの薬ではどうしても治まらない場合の対症療法として使われる薬。激しい花粉症でも劇的に症状を抑えられる。くしゃみ、鼻水などの他、アレルギー全般の症状を抑えることができ、特に炎症を抑える力が強いので、一番治りにくい鼻づまりに効く。しかし、さまざまな副作用があり、使い方には十分な注意が必要。
どうやって使う薬? 内服薬や注射で使用される。「もう、どうにも生活ができない!」というひどい症状の時に、最後の頼みの綱としてとっておこう。また、点鼻薬の局所ステロイド剤もあり、鼻全般の症状に局所的に使用することもある。
副作用は? ステロイド剤は、短い期間で量を少なく使うのであれば、安全な薬だが、使う量や期間によって副作用が心配になる。主な副作用は、胃腸障害、顔などのむくみ、高血圧・心不全・糖尿病などの生活習慣病の悪化、皮膚・髪の毛などが弱くなる、など。
きちんと医師の指導を受け、正しい使い方をすることで、副作用を回避できるので、ちゃんと処方を守ろう。

漢方薬

どんなはたらきをする薬? 西洋医学では、現れた症状を抑えるための対症療法の薬を発展させてきたが、東洋医学の漢方が目指すのはまず病気の原因を体の変調に求め、それに対する一種の原因療法である。
漢方薬を使用する場合には、信頼できる漢方の専門医にきちんと診断を受け、西洋薬との折り合いをつけながら改善していこう。
どうやって使う薬? 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
体を温める。発汗をうながす。せきを止め、痛みを和らげるなどのはたらきがある。鼻水、くしゃみ、鼻炎などの症状に効く。重くて長い花粉症に。半年にわたる、長期の服用が必要な場合もあり。主に20~30歳代の、体力が充実し、栄養も十分なタイプ向き。

葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせいきゅうしんい)
鼻づまりで眠れない時などに効果的。首から肩にかけて筋肉のコリがあり、鼻水に多少粘りがあるような症状をもち、やや体力がある人向き。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
主に中高年の、やせ型で血色もすぐれず、寒気を感じる、体力が弱っている人向き。麻黄による覚醒作用があるので、抗ヒスタミン薬のように眠くならない。
副作用は? 漢方というと「副作用がない」と思いがちだが、漢方薬も選び方や使い方には、注意しなくてはならない。 風邪などで処方されることの多い「小柴胡湯」などは、肝臓疾患の患者に肝機能改善の目的で投与されたところ、死亡8例をふくむ、肺炎に至るきわめて重い副作用を起こしている。 「漢方を使ってみようかな…」と思ったら、「漢方なら副作用は、まったくない」などという宣伝だけで押し通す薬局や医師には十分注意し、よく見きわめながら、相談できる専門家を探すことから始めよう!