花粉症といえば、春。春といえば、花粉症。歳時記には春の季語として、「杉花粉症」が載せられているほどだ。ところが、東京ガス都市生活研究所が、首都圏在住の花粉症の男女979人に調査したところ、症状が出る月として9~11月を挙げた人は30.3%もいたという。およそ3割の人が、秋の花粉症に悩まされていることになる。これはいったいどういうことなのだろうか。
花粉症を引き起こすのはスギだけではない。ヒノキ、カモガヤ、カシ、ヒメガマなど、いろいろな植物の花粉が原因になりうる。つまり、花粉症は一年中、気をつけなくてはいけない症状なのだ。
とくに、秋は春に次いで症状が出やすい。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラに加え、猛暑のために植物の生育が早まった場合は、秋にスギ花粉が飛ぶこともある。春のピークを乗り越えたからといって、ゆめゆめ油断は禁物。もしも、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどがあれば、まずは花粉症を疑おう。また、秋の花粉症は、症状が一時的に改善したかと思うと、再び悪化したりする。「なかなか風邪が治らないなあ」などと感じている場合は、花粉症の可能性も大!だ。
ただし、秋に飛ぶ花粉は春のスギ花粉と違い、飛散量が少ないうえに、飛散範囲が広くない。したがって、花粉の飛ぶ時期にその植物の生えている場所に近づかないようにすれば、発症を防ぐことも可能だ。
植物名 | 花粉飛散期 | 特徴 |
---|---|---|
ブタクサ | 8月~10月 | 日本各地に見られるキク科の植物。道ばたや野原に生えている。葉についた花粉が風の強い日に飛散することもある。 |
ヨモギ | 8月~10月 | 北海道、東北以外の地域に生育しているキク科植物。山地や野原に見られる。 |
カナムグラ | 8月~10月 | 日本全土の荒地や草むらに生育しているクワ科植物。 |
※地方によって花粉の飛散時期は異なります
花粉の飛ぶ植物が生えている野原や草むら、空き地、山などには極力行かないようにしよう。とくに風の強い、晴れた日は要注意!気温が高い日や乾燥している日、前日が雨の日も危険だ。ただし、雨の日は花粉が飛びにくい。
それでも、危険地帯に近づかなければならないときは、マスクやメガネ・サングラス、帽子の着用を。またスカートよりはズボンの方が「吉」。スカートが揺れると、布地に付着した花粉が舞い上がってしまう。レインコート、スカーフなどツルツルした生地のもので体を覆うのも効果的だ。ちなみにバッチリメイクだと、ファンデーションに花粉が付いてしまうことも…。なるべくナチュラルメイクで出かけよう!
外出後は手洗い、洗顔、うがいの徹底を。おすすめは「鼻うがい」。洗面器にぬるま湯を張って塩小さじ2杯を溶かし、これを片方ずつ鼻に入れては出す。さらにシャワーを浴びれば完璧だ!日ごろのこまめな部屋の掃除も重要。花粉がフィルターを通して排気とともに散らばりやすい掃除機より、拭き掃除がおすすめだ。換気も頻繁に行おう。
「いろいろ頑張ったけど、やっぱり症状が出ちゃった」。そんな人にはアロマテラピーがおすすめ。アロマポットを使ってもよいし、もっと手軽にマグカップにお湯を注ぎ、オイルを垂らして蒸気を吸い込んでもよい。ティーツリー、ユーカリ、ペパーミントを使うと、鼻づまりもすっきり解消する。目がかゆいときは、洗面器のお湯や水にオイルを落として混ぜ、これでおしぼりを作って目に当てよう。ラベンダーが効果的だ。
「じゃあ、去年の秋の目のかゆみや鼻のグズグズ、アレは花粉症だったの!?」と思ったあなた。すぐに耳鼻咽喉科を受診しよう。検査の結果、花粉症と判明したら、早めに薬を処方してもらうとよい。花粉の飛ぶ2週間前くらいから第二世代の抗ヒスタミン薬などを飲めば、症状はぐっと軽くなるはずだ!
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