スイミングは、全身を使った有酸素運動です。有酸素運動とは、酸素をふんだんに取り入れた運動のことで、日頃運動不足だと嘆いている人におすすめです。「泳ぐ」ことが体にいい理由についてご紹介します。 目次 有酸素運動の代表選手! 優れた全身運動 水温が皮膚を刺激! 水の浮力によるリラクセーション効果 有酸素運動の代表選手! ウォーキングやジョギング、スイミングなどのスポーツを有酸素運動と呼んでいる。有酸素運動の特徴は、以下が挙げられる。 ●休みなく20~30分以上、持続して運動することが可能 ●安定した全身運動 ●運動強度がそれほど強くなく、安定して続けられる 人が運動する場合には、血液中の糖や脂肪をエネルギー源として消費する。運動の時間が長くなればなるほど、脂肪を使う割合が増える。有酸素運動は、長時間運動をすることが可能なので、肥満、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病予防や治療に効果的というわけだ。 また、酸素をたくさん取り入れることで、心臓や肺、血管などの機能が強化され、心臓病や高血圧などの予防にも効果がある。 8週間の水中運動の実施にともなう血圧の変化 平均年齢60.2歳の男女94名を対象に調査 出典:「水中ウォーキング健康法」野村武男著 講談社 優れた全身運動 スイミングは水の浮力を利用し、それほど苦しくなく全身を使った運動ができる。 この全身運動はストレッチなどだけでは鍛えにくい筋肉を動かして筋力アップするだけではなく、水平姿勢で泳ぐことによって全身の血液の循環をよくする効果もあるのだ。 水温が皮膚を刺激! 普通、プールの水温は体温より低く設定されている。最初にプールに入った時、「ひゃっ!冷たい!」と感じるが、この刺激が毛細血管を収縮させ、体温を奪われまいとする防衛反応のはたらきで、体内でエネルギーを生み出す。そして、血液の循環を高めて体温を上昇させようとはたらき、その結果、新陳代謝が旺盛となるのだ。 ただし、長時間水の中にいると、体温調節機能の限界を超え、体温が著しく低下し、もとに戻らなくなることがあるのでご用心。 水の浮力によるリラクセーション効果 水の中では浮力がはたらく。陸上とは違い、一種の無重力状態を経験できる。プカプカと水に浮くことで気持ちがリラックスするだけでなく、筋肉の緊張を解放することができ、その結果肉体の疲労を回復させることができるのだ。 公開日:2001年8月27日
水中では使い慣れていない筋肉を使うため、けいれんを起こしやすいようです。予防のために、必ずウォーミングアップを行いましょう。また、スイミングが苦手という人には、アクアウォーキングやアクアビクスがおすすめ。水の浮力を利用するので腰痛やひざが痛い人も有効な有酸素運動が可能となります。 目次 ウォーミングアップは必ず行うこと 泳ぐだけじゃない!アクアウォーキング 泳ぐだけじゃない!アクアビクス クールダウンも忘れずに ウォーミングアップは必ず行うこと ウォーキングがいつでもどこでもどんな時でもできるのに対し、スイミングはチョット苦手…なんて人もいるのでは?そうは言っても、運動効果の高い水中運動。泳ぎが苦手な人は、アクアウォーキング、アクアビクスといった水中運動に挑戦してみよう。 しかし、水中では普段使い慣れていない筋肉を使うため、筋肉のけいれん、特にふくらはぎのけいれんを起こしやすい。水中で急にけいれんすると、動けなくなりおぼれる原因にもなる。これを予防するためには、必ずウォーミングアップを行うこと。 例えばこんなウォーミングアップ 腕を伸ばして前まわし、後ろまわしをする 腕を頭の上にあげ、上体を左右に曲げて屈伸 開脚して脚を伸ばす 脚を前後に開いてアキレス腱を伸ばす 手首、足首をブラブラと動かす 泳ぐだけじゃない!アクアウォーキング 水の力を借りると、陸上よりはるかに楽に歩くことができる。それは、水の浮力によるものだ。だから、ちょっとひざが痛いとか腰痛があるなどの症状があっても、水中では歩くことができる。その方法をちょっとご紹介。 実践!アクアウォーキング 水の深さは胸あたり。歩き方は陸上でのウォーキングと同じだ。 背筋を伸ばし、手を大きく振ってかかとから着地する。腕はひじを曲げて大きく前後に振るとよい。 ただむやみに歩いてもダメ。水の中では体が浮きがちだが、足の裏で踏みしめるようにして歩こう。 1. 手を大きくふりかかとから着地 2. 徐々に大またで歩くように 3. 水になれてなければへりにつかまって 泳ぐだけじゃない!アクアビクス アクアウォーキングと同様に、人気の高いアクアビクス。水中でエアロビクスのように運動するものだ。 陸上でのエアロビクスは、特にジャンプなどをすると着地時にかなりの衝撃を受けるため、足などを痛める原因にもなるが、水の中ならその衝撃が減少する。さらに、水の抵抗力を最大限に利用することで、有効な有酸素運動ができるというわけだ。 その方法は、レベルやその効果によっていろいろある。初めて行うなら、スポーツクラブなどで開催しているアクアビクスコースで指導を受けるとよい。 クールダウンも忘れずに ウォーミングアップと同様に、忘れてはいけないのがクールダウン。水中での運動は思ったより体に負荷がかかっており、筋肉や心肺機能が緊張したままになっている。これをほぐすための運動をすることで、疲れを残さず徐々に体を休めていくことができる。その運動のいくつかをご紹介。 クールダウンその1 壁に手をついて片足を後ろに下げ、前足に体重をかけまがらふくらはぎを伸ばす。 クールダウンその2 脚を伸ばして壁に足の裏を当て、両手で壁を押さえ、脚裏を伸ばしつつ前に曲げる。 公開日:2001年8月27日
腰痛とスイミング 腰痛の改善を対象としたスイミング教室では次のような指導をしています。 ストレッチング(背部伸筋群、大たい屈筋群、下たい屈筋群など) 水中歩行(腰痛にもかかわらず、水中での運動が苦痛を伴わないことを経験する) 各種姿勢での「浮き身」の習得(平衡感覚を身に付ける) それらを習得したらクロールや背泳ぎにチャレンジします。腰痛には背泳ぎが適していますが、胸を張り過ぎて背中を反らせないように注意します。 クロールと背泳ぎを交互に行うバックロールは体の不必要なひねりも少なく、背浮きができれば比較的強度も調節しやすい泳ぎです。 変形性ひざ関節症とスイミング 体重オーバーでひざに余分な負担が掛かること、加齢によりひざの関節が老化していること、ひざを支える大たい四頭筋が弱くなっていることなどが、ひざ関節症の原因と考えられます。 治療として大たい四頭筋を鍛えるには、やはり浮力を受ける水中運動が適切です。クロールでも背泳ぎでも、ばた足を必要とする泳法が適しています。泳げない人は水中歩行だけでも効果が期待できます。 変形性ひざ関節症や腰痛は、急性期には安静が必要ですが、回復期に入ったら早くから運動療法を始めることが大切です。
スイミングとウォーキングの3つの共通点 無酸素運動(短距離走など)も有酸素運動も生活習慣病の改善や健康増進に役立っています。 水を利用した有酸素運動の代表はなんといってもスイミングです。また、泳げなくても水の浮力と抵抗とを利用した水中歩行などの運動を行う水中エアロビクス、アクアビクスも広く知られるようになりました。 スイミングやウォーキングなど有酸素運動の共通の特徴として、20分から30分以上持続可能である、安定した全身運動、運動強度がそれほど高くないの3点があげられます。 有酸素運動とは安定して長く続けられるタイプの運動です。スイミングでは息継ぎが上手にできないと、無酸素運動に近くなってしまいますので、泳ぐことに不慣れな人は、まず正しいスイミングを指導してもらうことから始めましょう。 スイミングは優れた全身運動 陸上運動が主として下肢の筋肉によってその推進力を得ているのに対し、スイミングは下肢はもちろん、上肢の筋肉により推進力を得ています。上肢の動作は、肩を回すという形で行われるので、体幹と上肢に付着するほとんどすべての筋が動員されます。 特に、上半身に対する運動効果は有酸素運動の中でも随一で、普段あまり使うことのない大胸筋、三角筋、上腕三頭筋、僧帽筋などをよく使います。この全身運動により、上下半身がバランス良く発達するのです。 スイミングでは全身の筋肉を使い、また水平姿勢であることにより血液の循環も促進されます。特に血流は、老廃物を多く含む静脈血の心臓への還流が促されるため、疲労の原因となる足や下半身のうっ血症状が改善されます。 そして、水の抵抗に逆らって運動を行うことなどから、ゆっくり泳いでも大きな運動効果が得られるのです。
低い水温が皮膚を刺激する 通常プールの水温は体温より低く設定されています。そのため、プールに入ると水の冷たさに身震いしたり、体がキュッと引き締まるような感じを覚えます。 スイミングでは、水温による皮膚への寒冷刺激と体温が水にどんどん奪われるのを防ごうと、体内でエネルギーを生み出す防衛反応が自然にはたらきます。 そこで心臓は活動が盛んになり血圧を高め、血液循環を速めて体全体を温めようとします。結果として新陳代謝がおう盛となり、健康増進につながるわけです。 また、水温や水圧による皮膚への新鮮な刺激が血液循環を促進し、ホルモンの分泌活動を高めるので、滑らかな肌をつくります。 しかし、水の中に長時間いると、歯がガタガタして震えが止まらなくなることがあります。これは体温の調節機能の限界を越え、水中に多くのエネルギーが放出され、体温が著しく低下したためです。水中での寒冷刺激もほどほどにしないと、かえってマイナスになってしまいますので注意が必要です。 独自の呼吸法が肺を強くする スイミングの呼吸法は、基本的には顔が水面下にある時に息を吐き出し、顔が水面上に出た時に息を吸い込む運動を繰り返します。 初心者はまず呼吸法をマスターすることから始めましょう。呼吸運動に一定のリズムがないと、水を飲んだり、息苦しくなって長く泳ぐことができないからです。 一定のリズムで反復する水泳独自の力のいる呼吸法が肺の活動を活発にして肺機能をより強くし、血液を全身に送り出す心臓のはたらきをも活性化させてくれます。
水圧の負担がプラスになる スイミングは水深30~50cmでの運動ですから、陸上に比べ3~5%ほど余分な圧力を受けます。 水圧によりお腹が縮むと横隔膜が押し上げられて肺の容量が少なくなります。そのため呼吸数は増えます。 水泳中に掛かる水圧はわずかですが、運動を続けると体に大きな負担となります。陸上トレーニングに比べてその分だけ呼吸努力が必要となります。 つまり、水圧の影響で多くのエネルギーを消費しますので、呼吸活動を活発にして十分に酸素を体内に取り入れようとします。 そのため、水につかっているだけでもトレーニングしているのと同じ効果が得られます。 長期間スイミングをしている人に胸が発達し、肺活量が大きい人が多いのは、心臓・肺を含む呼吸循環機能のはたらきを十分に活動させているからなのです。 水の抵抗を生かす 陸上では空気抵抗がありますが、水中では水抵抗という大きな力が運動を妨げます。 スピードを競う水泳競技では、水抵抗をいかに少なくして効率よく泳ぐかが重要な課題ですが、一般の人は特に速く泳ぐ必要はありませんので、逆に利用します。 水抵抗が大きいほど強い力とエネルギーが必要となるため、スイミングを続けていれば筋力は自然にアップして体力づくりにつながります。
覚えればその技術は生涯忘れない スイミングは、年間を通じて、年齢や性別にこだわらずだれもが体力に応じて楽しめ、その上健康と体力づくりに大きな効果が期待できる運動です。スイミングはどうして生涯スポーツとして適しているのでしょうか。 運動の負荷が自由に変えられる 全身を使う 技術の上達が目に見えて分かり、しかも奥が深い マイペースでできる 障害が少ない 腰痛など老化によってもたらされる病気の予防に役立つ このように最適のスイミングも長続きさせて価値あるものにするためには、プールを何度も往復するだけでなく、のんびりと泳ぐことも大切です。 ゆっくり泳ぎでも効果は大 スピードのある泳ぎではないと効果が上がらないと考えがちですが、ゆっくり泳いでも代謝という面からは十分に運動効果が期待できます。それほど「きつい」と感じることなく、体の弱い人でも心拍数を高め、心臓をより活動させることができるからです。 ウォーキングなどは汗ばむ程度に「ややきつく」行わないと心拍数は上がらず、心肺機能の鍛錬にはなりません。 ところがスイミングでは水の抵抗や水圧、運動姿勢などにより、運動中の心拍数増加が陸上での運動中よりやや低めになります。つまり、それだけ心臓に余裕を残して運動ができるわけです。 なお、自分の安静時と泳ぎ終わった直後の心拍数(脈拍)を測定して知っておくことも、健康管理の上で大切なことです。
アクアフィットネスとは アクアフィットネスとは「水の特性を生かした水泳を含む水中運動」の総称です。 水の運動をスポーツとして楽しみ、健康・体力づくりに生かし、運動療法にも役立てようとする考え方がそこにあります。 水中運動には水中歩行(ウォーキング)、水中ランニング(ジョギング)、水中ストレッチング、アクアエアロビクスなど様々な方法があり、体力に応じて楽しむことができます。 高血圧を予防し善玉コレステロールを増加 水泳や水中運動がなぜ高血圧や動脈硬化の予防と改善に良いかというと、水中運動が多くの筋肉を使う有数の有酸素運動であり、心肺機能を高めるからです。運動中に全身の筋肉が引っ張られたり、緩められたりすることにより、筋肉がポンプのように伸縮活動をするので、運動を続けると筋肉に血の新しい道ができ、血液の量が増大します。 血管が広がり、血液量が増えると血圧は下がり、代謝活動が促進されると血管内の善玉コレステロールも増加し、血管の中がきれいになるのです。 しかし、スイミングをやったから高血圧がすぐ改善されるわけではありません。運動は長い期間続けていくことがポイントです。 血糖値を下げる 適度な運動は、食事とともに糖尿病治療の大きな柱です。 水中運動などの有酸素運動によって、筋肉を動かすとインシュリン効果が高まり、糖質がエネルギーとして消費されます。その結果、血糖値が下がり、インシュリンが節約されます。
水中でウォーキングを行えば、安全に効果的な運動が可能に 水中におへそまでつかると、体重は地上の約半分になり、同時に水の抵抗を負荷として利用できます。 水中でウォーキングを行えば、肥満気味の人や、腰やひざなどに障害のある人でも安全に効果的な運動が可能になります。水の抵抗は体の動きの2乗に比例して増加しますので、手足の運動の速度を変えることによって運動強度の調節もできます。 歩幅を大きく、腕も大きく振って 水中歩行の際に注意しなければならない点は、腰から胸元くらいの水深で行うということです。そして中高年男性の場合は10分間に400~500m、女性の場合は300~400mを歩くのが目安となります。25mプールなら、端から端まで約40~50秒位の速さで歩くことになります。 運動効果を高めるには、体を大きく前へ倒す前傾姿勢で、歩幅を大きく取って、腕も大きく振るように歩くのがこつです。そうすれば、水泳と同じように全身の筋肉を活動させる全身運動になります。 水中エアロビクスにも挑戦 水中ウォーキングに慣れてきたら、徐々にスピードを加えて距離を延ばし、ジョギングやランニングに挑戦するとさらに効果的です。 最近は水中エアロビクスを指導するフィットネスクラブも多くなってきましたので、水中リズム運動もメニューに加えると単調になりがちな運動に変化が出て、楽しいものになるに違いありません。