人は体の中の不用物や老廃物を便や尿などで体外に排出しています。尿は全身の不用物や老廃物を血液が運んできてくれた液にあたるため、体の調子が悪ければ、尿にもその異常が表れることに。なかなか人には相談しにくいかもしれませんが、体のSOSを見逃さないために、尿のことをよく知っておきましょう。 目次 尿は健康を表わす大切な指標 オシッコはどうやってつくられる? 尿は健康を表わす大切な指標 普段、何気なくしているオシッコは健康状態を確かめる大切な指標だ。1日に約1500ミリリットル前後の尿を排泄するが、体の調子が悪ければ、尿にもその異常が表れる。例えば、血が混じったり、ニオイがいつもと違ったり、オシッコをするときに痛みを伴うなど、さまざまな症状がある。そして、それを自覚できるところが尿のいいところだ。 尿に異常があっても、なかなか人には相談しにくいかもしれない。でも、体のSOSを見逃さないために、尿のことをよく知ってみよう! オシッコはどうやってつくられる? 人は体の中の不用物や老廃物を便や尿などとして体外に排出している。便が食べ物のカスなどであるのに対し、尿は全身の不用物や老廃物を血液が運んできてくれた液にあたる。つまり、体の汚れを落とした廃液というワケだ。 「血液が尿!?」とちょっと驚いたかもしれないが、血液から尿ができるまでのプロセスを取りまとめている器官が腎臓である。 腎臓にはネフロンと呼ばれる尿をつくるための基本単位がある。片方の腎臓には約100万個のネフロンがつまっている。血液がこのネフロンを通るとき、最初のステップでろ過されて原尿になる。その量は1日約150~180リットル。それがさらに尿細管などを流れる間に再吸収されて、最終的に原尿の約1%の1.5~1.8リットルが尿となって排泄されるのだ。 腎臓は1分間に平均1ccの尿をつくりだす。つくられた尿はいったん膀胱にためられる。膀胱は、伸び縮みする袋で、普通は300~500ccの尿がためられるが、150~200ccたまると「尿がたまったな」という感じがしはじめる。 個人差はあるものの、300ccくらいで「オシッコしよう!」と思い、400ccくらいで必死にトイレを探すようになるのだ。 腎臓から膀胱までの構造は、男女ともにほとんど同じであるが、尿道の構造は大きく違い、男性の尿道が20cm前後あるのに対し、女性は4cm程度。そのため、かかる病気は異なってくる。簡単に言えば、男性は尿道やそれを取り巻く前立腺などがあるため、閉塞性の疾患が多く、女性は尿道が短く汚染されやすいので、尿路感染症が多くなる。 公開日:2001年5月7日
尿に異常があった場合、腎臓・膀胱・前立腺などの病気の疑いが考えられます。代表的なものをまとめてご紹介します。 目次 腎臓に関係する病気 尿路に関する病気 前立腺に関する病気 尿検査で早期発見! 腎臓に関係する病気 急性腎炎 腎臓に炎症の起こる病気。腎臓内部で血液の老廃物をろ過する器官のはたらきが低下する。 血尿、たんぱく尿、尿量の減少、むくみなど。場合によっては、発熱や咽頭痛を伴う場合も。 慢性腎炎 急性腎炎の発病後、尿たんぱくや高血圧が1年以上続いているものか、急性腎炎でなくても尿の異常が1年以上続く病気。 高血圧、むくみ、たんぱく尿など。進行すると徐々に腎不全に陥るので要注意。 ネフローゼ症候群 腎糸球体(血液の老廃物を濾し取る機能のある腎臓内の器官)の障害によって起こる病気。 高度のたんぱく尿、低たんぱく血症、高脂血症、むくみなど。慢性化しやすく、症状も軽くなったり重くなったりする。 腎不全 腎機能が急激に低下した状態。慢性腎不全と急性腎不全があり、大半の慢性腎不全は慢性腎炎や糖尿病性腎症などから移行する。 皮膚の紫斑やかゆみ、けいれん、呼吸困難、心不全、嘔吐、など。腎機能が低下すると、尿毒症になる恐れがあり、透析が必要になる。 尿路に関する病気 尿路感染症 尿路(腎臓の腎盂、尿管、膀胱、尿道)の器官に炎症を起こすのが尿路感染症。とくに女性は尿道が短く、菌が入りやすいためかかりやすい。 腎盂炎は、高熱、腰や背中の痛みが特徴。膀胱炎の場合は、頻尿、残尿感、排尿後の不快感が特徴。 腎・尿路結石 腎臓、尿管、膀胱、尿道の尿路に石のようなかたまり(結石)ができる病気。 腎結石より尿管結石のほうが激しく痛む。特に側腹部や腰から背中にかけての部分が激しく痛み、血尿が起こる。結石が尿管にひっかかった場合には、手術が必要。 前立腺に関する病気 前立腺肥大症 男性だけにある前立腺は、尿道を取り囲むような位置にある。その前立腺が加齢とともに肥大して尿道を圧迫してさまざまな障害が起こる病気。 尿道が圧迫されると、尿がちょろちょろとしか出ず、排尿回数が増え残尿感がある。さらに進行すると尿閉といって尿がまったく出なくなることもあり、その場合には手術が必要。 尿検査で早期発見! 日本では、検尿のシステムがかなり確立されており、集団検診のときに検尿が行われる。腎臓病などは自覚症状がないまま進行してしまい、吐き気などの症状が出てきた時にはかなり悪化していることもあるからだ。 現在、腎臓病が進行すると透析以外の治療がなく、莫大な医療費がかかるだけでなく本人の心理的苦痛を増やすことにもなりかねない。そこで、この検診を受けて早期発見することがとても重要なのである。 検尿が行われるのは? 新生児のときの検診 幼児のときの検診 学校での検診 職場での検診 地域での検診 老人の検診 ■関連記事 腎臓は沈黙の臓器、慢性腎臓病(CKD)かどうかチェックしよう 徳島県民に愛される「金時豆入りバラ寿司」を低たんぱくアレンジ 病院おすすめ・ご当地食材で腎臓にやさしいレシピ(5) 健診で見逃されて腎不全や透析?糖尿病性腎臓病(DKD)に注意 公開日:2001年5月7日
せっかく始めた食生活や運動、喫煙など日々の予防策。きちんと効果が出ているかどうか、こまめにチェックしましょう。数値などで改善効果が実感できれば途中で挫折することも防げるはず。年に1回の定期健診や、家庭でできるセルフチェック法をご紹介します。 目次 健康診断を受けよう 家庭でこまめに体重チェック オシッコで自己管理 健康診断を受けよう 健康診断の受診率 平成10年「厚生省・国民生活基礎調査」 生活習慣病は、初期のころは自覚症状がないものが多く、自覚症状が出るころにはかなり重篤な病気に進行していることもあります。つまり、自覚症状を待っていては手遅れということも。 そこで、最も手軽に受けられるのが健康診断です。サラリーマンなら職場や健康保険組合で実施している定期健診がおすすめです。また、自営業の人や家庭の主婦でも40歳以上の国民はすべて年に1回、無料で健診が受けられます。ただし、検査項目は必要最小限に限られているため、40代からはできれば人間ドックなどを利用したほうが安心です。 「忙しくて、そんなもの受けられないよ!」と言っていては、「短い人生だったね」なんてことになりかねません。 家庭でこまめに体重チェック 年に1回の健診以外にも、もっとこまめにチェックして欲しいのが体重です。おそらく、どの家庭にも1台くらいは体重計があるとは思いますが、できれば生理的な老化がはじまる30代になったら、体重計と体脂肪計を備えるようにしましょう。 肥満は生活習慣病の入り口とも言える病気です。しかし、肥満そのものは「ちょっと体が重くなったかな」「ベルトの穴が外側になったかな」程度の自覚症状しかないため、何の対策も立てずにそのまま放っておく人が少なくありません。肥満を予防するということは、自分の体重や体脂肪、肥満度をきちんと把握することから始まります。 BMIによる肥満の測定 1. まず、体重を身長の2乗で割ってBMIを求めます 2. BMIの値をもとに肥満度を測定します BMIチェックはこちら あなたはりんご型?洋なし型? W/H 比 = ウエスト ÷ ヒップ = cm ÷ cm 男性…1.0以上、女性…0.8以上が上半身肥満 例:ウエスト(w)74cm、ヒップ(H)91cmの女性の場合、W/H比は70cm÷91cm=0.81となり、0.8以上…上半身肥満(りんご型)と判定されます。 オシッコで自己管理 人間の生理現象のひとつである尿は、体のさまざまな状態を教えてくれるスグレモノ。これも自分でチェックしやすいもののひとつです。 チェックするポイントは、「色」「ニオイ」「量」「回数」など。いつもとちがうオシッコだと感じたら、病院へ行きましょう。 尿のチェックポイント ■尿の色 健康な人の尿は淡黄色で透明です。黄色の程度は、水分を多くとれば薄くなり、汗をかいたり水分が不足すれば濃くなります。血液、膿、塩類、細菌、精液、便などが混じった場合には、赤くなったりにごったりするので要注意です。 ■尿のニオイ 健康な人はわずかにアンモニア臭がします。ただ、食事の内容によっても変化します。また、糖尿病を患っている場合、尿が果実のような甘酸っぱいニオイになります。 ■尿の量 1日1,500cc前後の尿量があります。水分を多くとれば多くなり、汗をかいたり下痢をすれば少なくなります。ただし、1日の量が100cc以下だと無尿、100~400ccの場合は乏尿といって腎臓になんらかの異常が起こっている場合があります。また、2,500cc以上の場合は多尿といってやはり腎不全などの疑いがあります。 ■尿の回数 健康な人は日中に4~5回、夜間に0~1回排尿します。この回数が異常に多くなったものを頻尿、少ないものを稀尿といいます。頻尿は膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、尿路結石などの疑いがあります。 また、家庭用の尿検査試験紙も普及しています。尿を紙コップに取り、尿試験紙を浸します。その色の変化を色調表と比べて最も近い色を結果とする方法です。 さらに、最近ではトイレで尿糖値が測定できるものもあります。紙コップで尿を取る必要がなく、普通に用を足せば、その場で約1分間で測定が可能です。尿糖値が気になる人は、利用してみるのもいいでしょう。 公開日:2003年2月3日
トイレは便や尿を排泄するところ。トイレほどあなたの健康状態を教えてくれるところはありません。便や尿の状態からどんなことがわかるのでしょうか? 目次 便秘 下痢 血尿 細菌尿・膿尿 頻尿 多尿 便秘 48時間以上排便がなかったり、便意はあるのに排便できず苦しんだりする場合を便秘という。 普通は起き抜けに水を飲んだり運動を心がけることで解消されるが、慢性腸炎、腸閉塞、がんなどでも便秘になることがある。 下痢と交互に便秘になったり、激しい腹痛、嘔吐などがある場合は一度医師に相談を。 下痢 下痢には一時的な腸の機能の異常が原因のものと、腸の病気が原因のものがあり、前者はあまり心配がないが、後者は治療が必要となる。 その見分け方のポイントは、便の中に血液、粘液、膿が混じっていないか、便の色が灰色、赤色、黒色、緑色など普段と違っていないかなどである。 下痢以外に、発熱、腹痛、嘔吐などの症状がある場合は間違いなくなんらかの病気なので内科へ行くこと。 上記のような症状がない下痢なら、水分のとり過ぎや腸が疲れているだけなので様子を見ても良い。 血尿 尿が赤ワインのような色の時は、腎臓や膀胱の病気の可能性大。 排尿の最初の方で血尿が見られる時は膀胱、最後の方の時は腎臓に疾患があると考えられる。 血尿のほかにむくみや動悸、手足のしびれ、疲労感、残尿感などの症状がある場合は、一刻も早く泌尿器科か内科の病院に行くこと。 かぜ薬や下剤など薬を服用した時や、たくさん汗をかくなどして尿の量が少なくなった濃縮尿の時にも尿が赤く見えることがあるが、これは血尿ではない。 細菌尿・膿尿 尿が白く濁ったり、濁ってどろどろしている場合、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎など腎臓や尿路系が細菌に感染したと考えられる。 この場合、排尿時の痛みや発熱、背中の痛みなどを伴うことが多く、放っておくと腎不全になる可能性もあるので必ず医師の診断を受けることが必要。 頻尿 排尿回数が異常に多い場合を頻尿という。 たびたび尿意をもよおしトイレに行くが排尿量は少ないのが特徴。 尿道炎、膀胱炎など尿路が細菌に感染し、その炎症が刺激となって尿意をもよおす。 多尿 排尿回数、排尿量とも多いのが多尿。 水分などを再吸収する腎臓の機能が低下するために尿量が増える。 多尿は、腎臓病でも長いこと腎不全が続いている人や糖尿病の人に多いが、多尿になるまでには、ほかの症状により分かっている場合が多い。 公開日:2001年7月16日
尿に異常があった場合には、腎臓・膀胱・前立腺などの病気の疑いが考えられます。とくに、尿は自分の目で見て分かることが多いため、毎日チェックしましょう。自分でチェックする方法をご紹介します。 目次 尿のチェックポイント 家庭で尿検査をするには? 尿のチェックポイント ■尿の色は? 健康な人の尿は淡黄色で透明。黄色の程度は、水分を多くとれば薄くなり、汗をかいたり水分が不足すれば濃くなる。血液、膿、塩類、細菌、精液、便などが混じった場合には、赤くなったりにごったりするので要注意。 ■尿のニオイは? 健康な人はわずかにアンモニア臭がする。ただ、食事の内容によっても変化する 。また、糖尿病を患っている場合、尿が果実のような甘酸っぱいニオイになる。 ■尿の量は? 1日1500cc前後の尿量がある。水分を多くとれば多くなり、汗をかいたり下痢をすれば少なくなる。ただし、1日の量が100cc以下だと無尿、100~400ccの場合は乏尿といって腎臓になんらかの異常が起こっている場合がある。また、2500cc以上の場合は多尿といってやはり腎不全などの疑いがある。 ■尿の回数は? 健康な人は日中に4~5回、夜間に0~1回排尿する。この回数が異常に多くなったものが頻尿、少ないものが稀尿という。頻尿は膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、尿路結石などの疑いがある。 家庭で尿検査をするには? 尿の異常は意外と重要な病気が隠れていることがある。でも、病院へ行くのは恥ずかしいし、自分の尿が他人と比べて異常なのかどうか…なんて、悩んでしまい、なかなか病院へ行けない人もいるかもしれない。 そんな人は、最近は家庭用の尿検査試験紙が普及しており、自分でチェックすることもできる。でも、その結果、異常が見られたら自分で勝手に診断せず、すぐにかかりつけの医師に相談しよう。 検査方法 試験紙をコップなどに採取した尿に浸して、その色の変化を色調表と比べて最も近い色を結果とする方法。尿の採取には、使い捨てのコップ(紙コップなど)などを使うのがいい。 公開日:2001年7月16日
その昔、ベルサイユ宮殿で舞踏会を楽しんだ貴族たちは、どのようにして用を足したのでしょうか?また、西洋人も100年前までは腰掛け式ではなく、和式スタイルでしゃがんでいたといいます。アナタは洋式トイレ派?和式トイレ派?トイレにまつわるちょっとおもしろ話です。 目次 トイレの歴史~ベルサイユ宮殿は、糞尿宮殿!? トイレの歴史~西洋も和式トイレ!? 選ぶなら、和式?洋式? トイレで健康をチェックするには? トイレの歴史~ベルサイユ宮殿は、糞尿宮殿!? 厠(かわや)、雪隠(せっちん)、手水(ちょうず)、はばかり、後架(こうか)、不浄…これらはすべてトイレの呼び方。でも、今これらは死語になりつつある。トイレは、呼び方とともにイメージも機能もすべて年月とともに変化してきているのだ。 ちょっと汚い話になるが、17~18世紀ごろまでのヨーロッパの都市では、糞尿とゴミは道路に垂れ流しだったそう。雨でも降ろうものなら、どの街の道路もゴミや糞尿であふれ、どろどろにぬかるんでいたほど。 華やかの代名詞ともいえるあのベルサイユ宮殿でさえ、建物の中庭や廊下、通路などは糞尿であふれていて、たまらないニオイだったそうだ。 では、華麗に繰り広げられる舞踏会のときはどうしていたかというと、18世紀の貴族たちは香を炊いた携帯用の便器や尿瓶を持参していた。用を足すときには、礼儀正しく携帯用便器を使用したが、中身は従者が庭へ捨ててしまっていた、という。もちろん、宮殿に生活する人々も毎日糞尿を庭に捨てていた、というから宮殿はただ事ではないニオイに包まれていただろう!? トイレの歴史~西洋も和式トイレ!? ヨーロッパに腰掛け式便器が最初に現れたのは、14世紀初めのフランス・フィリップ5世の宮廷だそう。でも、庶民はしゃがんで用を足していた。それは、国王が庶民と同じ姿勢で排便をするのを嫌ったからだとか。 さらに、17世紀になると貴族や上流階級にも腰掛け式便器が普及するが、庶民はまだまだしゃがみスタイル。庶民が腰掛けて用を足すようになったのは、水洗トイレが普及しだした19世紀末のことだそう。 西洋人も100年前までは、和式スタイルだったのだ! ちなみに、14世紀に国王が使用していたトイレは、まるで大きな宝石箱のように金銀をちりばめ、ビロード使いの刺繍を施し、宝石を散りばめてあったとか。そんなところで用を足すなんて、なんだか落ち着かない!? 選ぶなら、和式?洋式? 駅やホテル、デパートなど、最近の新しい建物には、洋式トイレが多くなってきた。しかし、「私は和式派」「家では洋式だけど、外出先では和式」など、和式トイレにこだわる人も少なくない。実際、どちらのトイレがいいのだろうか? 家庭用のトイレは、洋式が主流になってきている。なぜなら、和式トイレは座ったり立ったりするのにとても力がかかる。高血圧の人などはそれだけでも血圧を上げてしまい、トイレで倒れる人も少なくない。また、洋式は痔などのお尻の病気の人にもやさしく、シャワー機能などで清潔を保てるからだ。 ただし、これらは好みの問題。和式が好きな人は和式でも構わないが、高齢者と一緒に暮らす場合には、できるだけ洋式トイレにしたほうが、体にはよさそうだ。 ちなみに、和式便座で温水洗浄便器を使いたい人のために開発された、和式便器の上に置くだけで洋式便器に早代わりする、なんてスグレモノもある! トイレで健康をチェックするには? トイレは健康をチェックするためのバロメーター。そのためには、尿や便をした後、トイレの中をのぞくクセをつけたほうがいい。自分の尿や便がいつもと違わないかどうかを確かめるためだ。 そのためには、便器の色は明るい色のほうがいい。濃い色の便器もあるが、尿や便の色を確かめにくいため、白っぽい明るめの色の便器を選んだほうがいいのだ。 尿の異常を自己チェック 近い将来、朝起きてトイレに座れば、体重や血圧、心拍数、尿などの健康データがパッと分かる、優れたトイレが登場する研究も進められているとか。 今後のトイレにぜひ注目したい。 公開日:2020年11月25日 監修:芝浦スリーワンクリニック名誉院長 板倉弘重先生
尿の検査では腎臓や膀胱の異常のほか、糖尿病、肝臓病、膠原病、骨髄腫、悪性腫瘍などを発見できます。尿検査の結果とその異常により疑われる病気について紹介します。また、その改善のための注意点も紹介します。 目次 尿検査とは 尿検査は2400年前からあった!? 尿検査の結果からわかること 健康な尿を作ろう 尿検査とは 尿検査は一般検査の中心で、尿中の各種細胞、たんぱく、糖などによって体の基本情報をさぐります。腎臓が、血液によって体中から運ばれてきた不用物を余分な水分とともに排泄するのが尿です。従って、体のどこかに異常があると、排泄されるべきものがされていなかったり、排泄してはいけないものが尿にまじってしまったりします。 尿の検査は、腎や尿路の疾患を発見するのが第一目標ですが、こうしたことからそのほかの器官の機能を知ることもできるのです。具体的には、腎臓や膀胱の異常、糖尿病、肝臓病、膠原病(こうげんびょう)、骨髄腫、悪性腫瘍などを発見する手がかりとなります。 尿の検査は2400年前からあった!? 尿の検査は約2400年もの昔、ヒポクラテスの時代から病気を知る手がかりとして、その色や臭い、量の異常が観察されてきました。 今も尿の観察・分析の重要性は変わっていません。では現代の尿検査はどのようにしているのでしょうか? ■尿量、尿比重など 検査方法尿の量や色、臭い、比重など、尿そのものについての観察 見つかる異常・病気腎不全、慢性腎炎、悪性腫瘍、糖尿病、心不全など ■尿沈渣 検査方法尿を遠心分離器にかけて採取した沈殿物を顕微鏡で観察 見つかる異常・病気尿路結石、尿路腫瘍、尿路感染症など ■尿自動分析装置 検査方法pH、たんぱく、糖などの12項目を分析器で検査 見つかる異常・病気腎臓の異常、糖尿病、腎性糖尿、ネフローゼ症候群など 尿検査の結果からわかること さて、あなたの尿は何を語っているのでしょうか?尿にも生活習慣病をチェックできる数値がたくさんあります。 ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。自分の結果が正常値になかったからといって、すぐにその病気であるとは限りません。正常値自体も医療機関によりバラつきがあります。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 項目 - - 異常で疑われる病気 尿たんぱく - 正常 腎炎、腎硬化症、尿路結石など尿路系の異常 ± + 異常 尿潜血 - 正常 腎臓・尿路系の炎症や腫瘍 ± + 異常 尿糖 - 正常 糖尿病、腎性糖尿、内分泌疾患、肝疾患、神経疾患 ± + 異常 尿ウロビリノーゲン + 正常 肝臓障害、溶血性黄疸、閉塞性黄疸 ± - 異常 たんぱく質は人間の生命活動には欠かせない大切な栄養で、正常であれば腎臓できちんと吸収され、尿に出る量はほんのわずかです。しかし、腎臓に何らかの問題が発生している場合、もれ出してしまいます。 尿糖もまた、エネルギー源として血液中に再吸収されるものですが、体に異常が起き、血糖値が限度を越えると腎臓からもれ出してしまいます。 尿に含まれ運ばれる体の内部の情報。尿は健康メッセンジャーです。しっかり、その教えをキャッチしましょう。 健康な尿を作ろう ●尿にたんぱくが出ていたら まずは再検査を受け、たんぱくの出た原因をさぐる 腎障害であった場合、医師の指示のもと適切な食事療法をとる 1日にとる塩分、たんぱく質の量を制限する カラダを冷やさない 激しい運動を避ける 疲労を防ぐ ●尿に糖が出ていたら まずは精密に検査をし、尿の出た原因や病名をさぐる 医師の指示のもと適切な食事療法をとる 飲みすぎない、食べすぎない 適度な運動をする 肥満に気をつけ、栄養バランスの良い食事に お酒、甘いもの、脂肪を控える 規則正しい生活をする ストレスをためない
1回の血液検査で数十項目の測定が可能 「検査機器の進歩」というと高度ME機器に目が向きがちですが、一般的な臨床検査に使われる機器も日々向上しています。 最も基本となる血液検査は、たった1回の採血から数十項目にわたる測定が可能です。その中には血沈(赤沈)のように採取した血液をそのまま検査する方法と、血球、血しょうなどの各成分に分離して検査する方法があります。 例えば「生化学自動分析装置」は、血液中に含まれるコレステロール、血糖、中性脂肪などの量を自動的に測定する装置です。多数の項目を同時に測定できる便利な機器です。「全自動免疫測定装置」は、免疫反応で生じた血液中の抗原や抗体の量を測定します。がん発生により血液中に現れる、腫瘍マーカーの量も測定できます。 基本的な尿検査 尿検査も基本的な検査です。こちらも、色や量、比重など尿をそのまま調べる方法と、尿中の成分を調べる方法があります。「尿沈査の顕微鏡検査」では尿を遠心分離器にかけて採取した沈殿物を顕微鏡で観察します。pH、タンパク、糖、ウロビリノーゲン、潜血、ケトン体、比重、亜硝酸塩などの成分検査を一度に行う「尿自動分析装置」も有用です。これは糖尿病や腎臓病の診断にも使われます。
尿たんぱくが増える原因 異常値には生体の病理・生理的変化が反映されてはいます。しかし、病気による変化なのかどうかは、精密検査をしてみなければ本当のところは分かりません。 最も身近な例として尿たんぱくについて考えてみます。正常範囲を超える尿たんぱくが認められた場合、すべてが病気というわけではありません。 原因には2つのケースが考えられます。腎臓や尿路系にたんぱくが漏れる要因がある、または病気が存在するかのどちらかです。 病気でなくともたんぱくは増加する しかし、正常な尿にも微量のたんぱくは認められます。ちょっとした体調の変化によってその量が増加することもあり得ます。 また、起立性(体位性)たんぱく尿という状態もあります。起立時に尿たんぱくが増加するものです。体位の変換によって糸球体の内圧が上昇し、正常な場合以上の血清たんぱくが尿中に移行してしまうために起こると考えられています。これは必ずしも病気とはいえません。 少なくとも1回の検査だけでは正常か異常かは判断できないというわけです。
食品成分表の食塩相当量はあくまでも概算 自分でチェックするには、1日に食べた物を、素材ごとに全ての食品についてその量を出し、食品成分表に記載されている食塩相当量を参考に概算してみるという方法があります。 ただしこれは、あくまでも概算に過ぎず、正確な量を知ることは不可能です。1日に排せつした全ての尿を採取して塩分を測り、そこから摂取量を割り出す方法が取られる場合もあります。 汁ものの塩分なら、簡単なチェック法あり また、より身近で簡単な方法として、みそ汁など、汁ものについては、家庭でも測定可能な道具が開発され市販されています。 一つは、試験紙を直接浸し、色の変化によって食塩の量を推定するもの。もう一つは、センター部分を汁の中に入れると塩分濃度が表示されるデジタル塩分計です。 いずれも薬局などで手に入れることができます。
尿1リットルで食塩6~16gの6段階に対応 1分間、尿に浸すだけで尿中の塩分の量を計測することができる食塩テープが市販されています。 これは、夜寝てから朝起きるまでの8時間の間に、尿の中に排せつされた食塩の量(早朝尿中食塩排せつ量)をもとに、前日の食塩の総摂取量を推測するものです。 食塩テープは、プラスチックの台紙に張られた6つのテープが、尿1リットル中の6~16gまで6段階の食塩の量に反応して変色するようになっています。 血圧に問題がない人であれば、食塩テープで測定した結果が10g程度になるように、すでに高血圧の人は6g以下になるように、1日の食塩摂取量をコントロールすると良いとされています。