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ベルサイユ宮殿は、糞尿宮殿!?トイレよもやま話

その昔、ベルサイユ宮殿で舞踏会を楽しんだ貴族たちは、どのようにして用を足したのでしょうか?また、西洋人も100年前までは腰掛け式ではなく、和式スタイルでしゃがんでいたといいます。アナタは洋式トイレ派?和式トイレ派?トイレにまつわるちょっとおもしろ話です。

トイレの歴史~ベルサイユ宮殿は、糞尿宮殿!?

厠(かわや)、雪隠(せっちん)、手水(ちょうず)、はばかり、後架(こうか)、不浄…これらはすべてトイレの呼び方。でも、今これらは死語になりつつある。トイレは、呼び方とともにイメージも機能もすべて年月とともに変化してきているのだ。

ベルサイユ宮殿は、糞尿宮殿!?

ちょっと汚い話になるが、17~18世紀ごろまでのヨーロッパの都市では、糞尿とゴミは道路に垂れ流しだったそう。雨でも降ろうものなら、どの街の道路もゴミや糞尿であふれ、どろどろにぬかるんでいたほど。 華やかの代名詞ともいえるあのベルサイユ宮殿でさえ、建物の中庭や廊下、通路などは糞尿であふれていて、たまらないニオイだったそうだ。

では、華麗に繰り広げられる舞踏会のときはどうしていたかというと、18世紀の貴族たちは香を炊いた携帯用の便器や尿瓶を持参していた。用を足すときには、礼儀正しく携帯用便器を使用したが、中身は従者が庭へ捨ててしまっていた、という。もちろん、宮殿に生活する人々も毎日糞尿を庭に捨てていた、というから宮殿はただ事ではないニオイに包まれていただろう!?

トイレの歴史~西洋も和式トイレ!?

西洋も和式トイレ!?

ヨーロッパに腰掛け式便器が最初に現れたのは、14世紀初めのフランス・フィリップ5世の宮廷だそう。でも、庶民はしゃがんで用を足していた。それは、国王が庶民と同じ姿勢で排便をするのを嫌ったからだとか。
さらに、17世紀になると貴族や上流階級にも腰掛け式便器が普及するが、庶民はまだまだしゃがみスタイル。庶民が腰掛けて用を足すようになったのは、水洗トイレが普及しだした19世紀末のことだそう。
西洋人も100年前までは、和式スタイルだったのだ!

ちなみに、14世紀に国王が使用していたトイレは、まるで大きな宝石箱のように金銀をちりばめ、ビロード使いの刺繍を施し、宝石を散りばめてあったとか。そんなところで用を足すなんて、なんだか落ち着かない!?

選ぶなら、和式?洋式?

駅やホテル、デパートなど、最近の新しい建物には、洋式トイレが多くなってきた。しかし、「私は和式派」「家では洋式だけど、外出先では和式」など、和式トイレにこだわる人も少なくない。実際、どちらのトイレがいいのだろうか?

家庭用のトイレは、洋式が主流になってきている。なぜなら、和式トイレは座ったり立ったりするのにとても力がかかる。高血圧の人などはそれだけでも血圧を上げてしまい、トイレで倒れる人も少なくない。また、洋式は痔などのお尻の病気の人にもやさしく、シャワー機能などで清潔を保てるからだ。
ただし、これらは好みの問題。和式が好きな人は和式でも構わないが、高齢者と一緒に暮らす場合には、できるだけ洋式トイレにしたほうが、体にはよさそうだ。

ちなみに、和式便座で温水洗浄便器を使いたい人のために開発された、和式便器の上に置くだけで洋式便器に早代わりする、なんてスグレモノもある!

トイレで健康をチェックするには?

トイレは健康をチェックするためのバロメーター。そのためには、尿や便をした後、トイレの中をのぞくクセをつけたほうがいい。自分の尿や便がいつもと違わないかどうかを確かめるためだ。
そのためには、便器の色は明るい色のほうがいい。濃い色の便器もあるが、尿や便の色を確かめにくいため、白っぽい明るめの色の便器を選んだほうがいいのだ。

近い将来、朝起きてトイレに座れば、体重や血圧、心拍数、尿などの健康データがパッと分かる、優れたトイレが登場する研究も進められているとか。 今後のトイレにぜひ注目したい。

公開日:2020年11月25日
監修:芝浦スリーワンクリニック名誉院長 板倉弘重先生