乳幼児を持つお母さんは特に注意!風邪とよく似た症状がでるRSウイルス感染症は、重症化すると命に関わる恐れがあります。RSウイルスの基礎知識と予防法、対処法について解説します。 目次 ただの風邪かと思いきや、肺炎などが引き起こされることも… RSウイルスの主な症状 重症化しやすいのは、初めて感染する生後数週間から数ヵ月まで ワクチンはないため、予防にはRSウイルスとの接触を避けることが大切 ただの風邪かと思いきや、肺炎などが引き起こされることも… 小さな子供が風邪をひくと、親としてはとても心配ですが、数日で治ると分かっている点で、少しは安心できるのではないでしょうか。ただし、それが風邪とよく似た病気「RSウイルス感染症」であれば、話は別です。 RSウイルス感染症は、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus:呼吸器合胞体ウイルス)の感染が原因で起きる、乳幼児に流行する感染症の一つです。通常は発熱や咳など、風邪と同じような軽い症状が出ますが、重症化したり、重い合併症が現れたりすると、命に関わる恐れがあります。 流行のピークとなるのは冬ですが、7月頃からかかる子供が増え始め、8月の終わりから9月の初め頃の、秋を迎える時期に流行することもあります。RSウイルスは感染力が強く、1歳までに半数の子供が、そして2歳までにはほぼ全員が、一度は感染すると言われています。大人がかかることもありますが、ほとんどの場合は風邪と同様の、軽い症状しか出ません。 RSウイルスの主な症状 【軽い症状】 熱が出る 鼻水が出る 咳が出る 【悪化した場合の症状】 喘鳴(ぜんめい:ゼーゼーという呼吸音が聞こえる状態)がみられる 呼吸困難になる 呼吸が速くなる 【重い症状】 細気管支炎 肺炎 …など ※突然死の恐れがある無呼吸発作や、意識障害やけいれんを起こす急性脳症などの、重い合併症が現れることもあります。 重症化しやすいのは、初めて感染する生後数週間から数ヵ月まで RSウイルスに初めて感染した子供の約7割は、鼻水などの軽い症状が出るだけですが、約3割は咳が悪化し、喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難症状などが現れます。RSウイルス感染症は、何度も繰り返しかかることがある病気ですが、もっとも症状が重くなりやすいのは、初めてかかったときだと言われています。生後数週間から数ヵ月までの早期の乳児期は、細気管支炎や肺炎などの重い症状が引き起こされやすいので、早めに医師に診てもらいましょう。また、早産による低体重、心臓や肺の病気がある、神経や筋肉の病気がある、免疫機能が生まれつき正常に働かないというような子供も、重症化の危険性が高くなります。 RSウイルス感染症にかかった場合は、それぞれの症状を抑える薬による治療が行われます。実際はRSウイルスに感染していながら、風邪の治療だけを続けている場合は重症化の恐れがあるため、心配であればRSウイルスの検査をしてもらえるよう、医師に申し出ましょう。 ワクチンはないため、予防にはRSウイルスとの接触を避けることが大切 RSウイルスに対するワクチンはないので、予防するには、RSウイルスと子供を接触させないことが大切です。RSウイルスは、感染した子供の咳やくしゃみのしぶきを吸い込んだり、RSウイルスがついた手指や器具と接触したりすることで感染が広まります。そのため、感染した子供や、その子供が使った食器やおもちゃとの接触を避けることは、予防に有効です。ただし、まわりの子供や器具が感染しているか見た目では分からないため、日頃からアルコールや消毒液による身の回りのものの消毒、流水と石鹸による手洗い、赤ちゃん用マスクを付けられる1歳半以上であれば、マスクの着用などをこころがけることも大切です。 早産であることや、呼吸器や心臓の特定の病気があることなど、RSウイルスに感染した後の重症化リスクが高い場合は、パリビズマブという重症化を防ぐ薬の投与の対象となります。流行が始まる秋を迎える時期から、まだRSウイルスに感染していないうちに、月1回注射します。投与の対象となる条件など、詳しくは医師に問い合わせましょう。 RSウイルス感染症は、一般的には医師が書く「登園許可証明書」を幼稚園や保育園に提出する必要がない病気とされています。そのため、症状が治まったと判断されれば、幼稚園や保育園に通っても問題ないと考えられます。ただし、自治体および幼稚園・保育園によっては、保護者が記入した「登園届」の提出が求められることや、登園可能な回復状態の目安が設けられていることがあります。詳しくは、幼稚園や保育園に直接問い合わせてみましょう。 ■関連記事 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために 公開日:2015/10/05
ヘルパンギーナは、手足口病やプール熱と並ぶ代表的な夏風邪で、5歳以下の子供でよくみられる感染症です。ヘルパンギーナの感染経路や予防法、かかってしまったときの対処法をご紹介します。 目次 発熱と、口の内側にできる水疱、のどの痛みが主な症状 咳やくしゃみを介した飛沫感染や、手指を介した接触感染で広まる 予防で大切なのは、なんといっても手洗い・うがい・咳エチケット 発熱と、口の内側にできる水疱、のどの痛みが主な症状 風邪の季節といえば冬ですが、意外と多いのが夏の風邪。手足口病やプール熱と並ぶ代表的な夏風邪に、ヘルパンギーナがあります。ヘルパンギーナは、初夏から秋にかけて、5歳以下の子供でよくみられる感染症です。その病名は、ヘルペス(水疱)とアンギーナ(急性扁桃炎:のどの炎症)を意味するドイツ語に由来します。感染してから2~4日の潜伏期を経て、発症します。 ヘルパンギーナの主な症状 ●発熱 ●口内の水疱 ●倦怠感 ●食欲不振 ●嘔吐 ●手足の痛み ●咽頭痛(のどの痛み) ●咽頭(のど)の赤み …など 症状はまず高熱が現れますが、1~2日ほどで熱は下がります。それと前後して、名前の由来通りの特徴である、口の内側やのどの奥に1~5mmの水疱ができたり、咽頭痛(のどの痛み)が生じたりします。水疱が破れると、口の内側の痛みも生じます。乳幼児では、機嫌が悪くなる、食事やミルクを受け付けないという形で現れ、脱水症状を伴うこともあります。 原因ウイルスが脳に侵入して無菌性髄膜炎(細菌以外の原因による、脳を覆う膜の炎症)を、また心臓に侵入して心筋炎(心臓の筋肉の炎症)を引き起こし、発熱や嘔吐など、ヘルパンギーナと同様の症状が現れていることもまれにあります。 咳やくしゃみを介した飛沫感染や、手指を介した接触感染で広まる ヘルパンギーナを引き起こすのは主に、コクサッキーウイルスA群というグループに分類されるウイルスです。グループ内には複数の種類のウイルスが存在するため、一度かかって治っても、別の原因ウイルスによってまたかかることがあります。ヘルパンギーナは、かかった人の咳やくしゃみ、つばのしぶきなどを介する飛沫感染や、つばや鼻水が付いたおもちゃに触れた手指を介する接触感染、口の粘膜を介する経口感染などによって広まります。 ヘルパンギーナの原因ウイルスに効果を発揮する抗ウイルス剤は、まだありません。そのため、治療はこまめな水分補給や解熱剤の使用、のどの痛みを抑える薬の使用など、それぞれの症状に応じた対症療法が行われます。子供が飲食を嫌がる場合は、そうめん、ゼリー、プリンなどの、のどごしのよいものを用意してあげるとよいでしょう。症状が治まっても数週間は便にウイルスが存在するので、ヘルパンギーナにかかった子供がウンチをしたときのオムツ替えなど、便を扱う際は、使い捨て手袋を用いるとよいでしょう。 通常、症状は2~4日で自然に治まります。ただし、無菌性髄膜炎や心筋炎を合併している場合は、入院が必要になることがあります。 熱が下がってから1日以上が経ち、普段どおりの食事ができるようになったら、一般的に幼稚園や保育園に通っても問題ないと考えられます。登園許可が必要か、プールに入っても良いかなど、詳しいことは通っている幼稚園や保育園に問い合わせましょう。 予防で大切なのは、なんといっても手洗い・うがい・咳エチケット ヘルパンギーナには、ワクチンがありません。そのため、予防するには一般的な風邪と同様に、手洗い・うがいをしっかりと行い、咳やくしゃみが出るときはマスクを着用する「咳エチケット」が効果的です。接触感染を防ぐために、おもちゃの貸し借りにも注意が必要です。 なお、子供に多い病気ではありますが、大人がヘルパンギーナにかかることもあります。大人も、ヘルパンギーナにかかった子供と接するときなどは特に、油断せず風邪予防に努めましょう。 ■関連記事 大人も子供も要注意!「夏に流行る感染症」 海外旅行の怖いお土産 感染症で下痢・嘔吐 公開日:2015/07/21
風邪をひいたときなど、自ら感染が広がるのを防ぐために、咳やくしゃみが人にかからないようにする「咳エチケット」。あなたはマスクを着用するなどして、咳エチケットを心がけていますか?マスク着脱の際の注意点、マスク選びのポイントなどを解説します。 目次 咳エチケットの基本はマスク マスク着脱の際の注意点 マスクをしない人の考えは?どう対処すればいい? マスク選びは楽しみながら! 咳エチケットの基本はマスク インフルエンザや風邪は多くの場合、かかった人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルス・細菌を吸い込む、いわゆる「飛沫感染」で発症します。自分から感染が広がるのを防ぐために、咳・くしゃみが人に直接かからないようにすることを「咳エチケット」と言います。咳エチケットを守るうえで勧められるのが、マスクの着用です。 マスクの着用は、自分自身にもメリットがあります。ウイルス・細菌のカットだけでなく鼻やのどの乾燥を防げることで、自分が感染するのを予防できます。また、冷たい空気の吸入を避けられるため、インフルエンザや風邪とは別に、喘息の症状として咳が出るのを防ぐこともできます。 せっかくマスクを使用していても、正しく着脱しないと、期待される予防効果を得られません。以下の点に注意しましょう。 マスク着脱の際の注意点 つけるときはずすとき ・ガーゼではなく、不織布のものを選ぶ。 ・着用の前に手を洗う。 ・あごの下から鼻まで、隙間がないように覆う。 ・口を覆っていた面に触らないようにする。 ・1日1枚を使い捨てる。 ・使用後のマスクは放置せず、できればフタつきのゴミ箱に捨てる。 ・はずした後も手を洗う。 マスクをしない人の考えは?どう対処すればいい? かつては、発熱や咳などの体調不良をおして学業や仕事に励むことは、頑張っている証拠として賞賛される風潮がありました。感染症に関する知識が不足し、自分が感染源になってしまうという意識が低かった時代だと言えます。咳がひどいのにマスクを着用していない人がいる場合、その人はかつての名残とも言える考え方により、「心配するほどのことはないだろう」と思っているため、咳エチケットが守れていないのかもしれません。こういった人には、なぜマスクを着用しなくてはいけないのかを説明し、必要に応じてほかの人の力も借りながら、できるだけ着用を促しましょう。 咳がひどいときはマスクを過信せず、やむをえない事情がない限りは、学校や会社などを休むことが、感染予防の観点からは望まれます。咳を理由に休むことの理解がまわりの人から得られにくく、自分の評価を落とす恐れがある場合は、「ほかの人にうつすと、かえって迷惑をかけてしまうから」ときちんと説明してはいかがでしょうか。どうしても休めない場合は、必ずマスクを着用して出掛けましょう。可能であれば、用事を終えた後は速やかに早退すると良いでしょう。 なお、マスクがないときに咳・くしゃみをするときは、次のことに注意しましょう。 マスクを着用せずに咳やくしゃみをするときは? ●ティッシュなどで口と鼻をおおい、まわりの人から顔をそむけ、1メートル以上離れます。 ●とっさのときは、感染を広げやすい手ではなく、袖や上着の内側でおおうようにします。 ●手でおおったときは、手を洗います。 マスク選びは楽しみながら! マスクは大きさのほかにも形態や機能、デザインなどの違いによる種類が豊富で、選ぶ楽しみがあります。いずれも薬局、ドラッグストア、コンビニなどで手軽に購入できます。医療現場で用いられる医療用マスク(サージカルマスク)は一般の人も入手できますが、咳エチケットのためには、ガーゼではなく不織布のものであれば、家庭用マスクで十分だとされています。隙間なく鼻やほほを覆うことができる大きさで、形態や機能、デザインの点からもお気に入りのマスクを見つけて、咳の季節を乗り切りましょう。 マスクの種類 形態 プリーツ型立体型 …など 機能 メイクが付きにくい 眼鏡がくもりにくい 肌触りがやさしい …など デザイン 色(黒、ピンク、紫など) 光沢の有無 子どもに人気のキャラクターのプリント …など 公開日:2014/12/08
咳や頭痛、ちょっとした発熱。ただの風邪かと思っていたら、じつはほかの病気だった――ノロウイルスや急性気管支炎、肺炎、溶連菌感染症など、風邪にそっくりな病気を紹介します。 目次 くしゃみ連発に鼻づまり 激しい咳、たんで息苦しくなる 風邪の症状から突然高熱、チアノーゼ いきなりの高熱とのどの痛み 38度以上の発熱に筋肉痛 39度以上の発熱に全身の赤い発疹 発熱、咳、息切れ 咳・たん・微熱が2週間以上 発熱、関節痛、手足のしびれ たんに血が混じる ノロウイルスと風邪の違いは? くしゃみ連発に鼻づまり… アレルギー性鼻炎 ダニ、家の中のほこり、またはスギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉によって起こります。くしゃみや水っぽい鼻水、鼻づまりが特徴で、花粉が原因の場合は、のどのかゆみ、発熱も見られます。春先に多いため、初めて発症した人は風邪と思い込みやすいようです。 風邪と花粉症の違い、見分けるポイント 花粉症はひとつの病気にあらず!? 風邪と違うのはココ! 目のかゆみや充血、涙があれば、まずアレルギー性鼻炎を疑いましょう。このほか、皮膚のかゆみ、下痢などが起こることもあります。発熱はありません。 激しい咳、たんで息苦しくなる… 急性気管支炎 鼻やのどの炎症が、気管支にまで達し、咳やたんが出るようになった風邪を急性気管支炎と呼びます。多くはウイルスが原因です。鼻水、のどの痛みのほか、悪寒やふしぶしの痛み、微熱、咳などの症状が現れます。たばこを吸う人、ダイエット中の人、子供や高齢者は発症しやすいので注意しましょう。 風邪と違うのはココ! 最初はコンコンと乾いた咳が出ますが、やがて少量の白いたんが、さらには緑や黄色のたんがからむようになります。気道が狭くなり、咳の後、苦しげなゼイゼイという音や、ヒューヒューという音がし始めます。重症化すると3~5日間くらい高熱が続きます。 風邪の症状から突然高熱、チアノーゼ… 肺炎 細菌やウイルスに感染して、肺に炎症を起こすことで起こる病気です。原因は、肺炎球菌がもっとも多く、次いでインフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマなどがあります。子供やお年寄りでは、入院治療を要するほど重症化する場合もあるので十分に注意しましょう。日本人の死因としては第3位※を占めており、侮れません。咳、たん、悪寒、発熱などの症状は風邪にそっくりです。※出典:平成28年(2016)人口動態統計 周期的に大流行する「マイコプラズマ肺炎」 65歳以上の方は特に注意!肺炎を予防しましょう 風邪と違うのはココ! 胸の痛み、高熱がしばらく続き、さらに呼吸が浅く速くなって次第に息苦しさを感じるようになります。重症化すると唇や爪が紫色に変色するチアノーゼが起こることもあります。ただし、お年寄りの場合は、さほどはっきりした変化がないこともあります。「食欲不振」「なんとなく元気がない」といった些細な症状から、いきなり悪化するケースもあるようです。 いきなりの高熱とのどの痛み… 溶連菌感染症 原因はA群β溶血性連鎖球菌という細菌です。小さな子供がかかりやすい病気です。発熱、のどの炎症や痛み、頭痛、ふしぶしの痛みなどは風邪とまったく同じです。 風邪と違うのはココ! いきなり39度前後という高熱が出るのが風邪と違うところです。のどの痛みがひどくなり、首のリンパ節がはれ、中耳炎が起こる場合もあります。決定的な違いは、やがて出現する赤くて細かい発疹です。全身に広がり、かゆみを伴います。舌の変化にも注目しましょう。最初は白い苔のようなものが広がりますが、やがていちご状に赤くブツブツが現れます。 38度以上の発熱に筋肉痛… インフルエンザ インフルエンザウイルスが原因の感染症で、重症化することもある油断できない病気です。とくに気をつけたいのはお年寄りや、慢性の呼吸器疾患や心臓病の人。さらに子供の場合は中耳炎や熱性けいれん、ときには急性脳症を起こします。 備えあれば憂いなし!インフルエンザについて知っておこう 風邪と違うのはココ! 突然、38度以上の発熱が起こります。加えて頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感があったら、インフルエンザの可能性がありますので、速やかに病院を受診するようにしましょう。 39度以上の発熱に全身の赤い発疹… 麻疹(はしか) 麻疹は、麻疹ウイルスに感染して引き起こされる感染症です。発熱、咳、鼻水や発疹などの症状が現れます。7~10日で治まりますが、妊婦の場合は流産や早産が起きることもあります。 感染力が強く、免疫をもたない人が感染すると、ほぼ100%発症すると言われています。麻疹が疑われる症状が現れた際は、受診前に医療機関に連絡して、麻疹の可能性があることを伝えましょう。もし麻疹だった場合、受診に来ていた人たちに感染してしまう恐れがあるからです。医療機関からの指示に従い、受診するようにしましょう。 免疫がないと発症率はほぼ100%!麻疹(はしか)を防ぐには? 風邪と違うのはココ! 発熱、咳、鼻水、のどの痛み、目の充血などの風邪に似た症状が現れ、口の中に1mmほどの小さな発疹ができます。熱は2~3日続いた後にいったん下がるものの、再び上がり39度以上の高熱となり、それと同時に全身に赤い発疹が現れます。 発熱、咳、息切れ… MERS(中東呼吸器症候群) MERSコロナウイルスに感染して発症し、発熱、咳、息切れのほか、下痢などの消化器症状が引き起こされます。感染しても、必ずしも症状が現れるとは限らず、症状が出たとしても軽症の場合もあります。ただし、高齢者や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患(持病)がある人は重症化しやすい傾向があります。 なお、流行地域※からの帰国後にMERSが疑われる症状が現れた際は、潜伏期間である14日がまだ経っていない場合、医療機関を受診してはいけません。感染を広げないためにも、必ず最寄りの保健所に電話で連絡をして、指示を仰ぐようにしましょう。 中東からやってきた感染症MERS(マーズ)とは? 風邪と違うのはココ! 主に中東地域で報告されている感染症です。流行国※への渡航歴のある人、その人と接触した場合に注意が必要です。 ※中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A(厚生労働省) 咳・たん・微熱が2週間以上… 肺結核 かつては「国民病」と恐れられた病気でした。 いまだに1日に50人以上の新しい患者が発生しています。初期症状ははっきりしておらず、「咳やたんが続く」「なんとなく体調が悪い」「倦怠感がある」といった程度です。まさに風邪の初期症状とそっくりです。 過去の病気ではない!空気感染で広がる「肺結核」 風邪と違うのはココ! ポイントは「2週間以上続く咳やたん」。食欲不振、体重減少、微熱が長期間にわたって続く、就寝中に大量の汗をかく、といった症状も見られます。咳をすると黄色や緑色のたんが出るようになり、やがて血が混じります。息切れや胸痛なども起こります。 発熱、関節痛、手足のしびれ… 膠原病 厚生労働省の特定疾患に指定されている、全身の血管や皮膚、筋肉、関節に炎症が起こる病気です。原因不明ですが、最近の研究では遺伝やウイルス、紫外線などの影響が指摘されるようになりました。発熱や関節の痛みなどは風邪の症状と似ており、初期に混同されやすいようです。 風邪と違うのはココ! 日光があたると皮膚に赤い斑点ができます。特徴的なのは両頬に出現する、蝶が羽を広げた形のあざ。脱毛、口内炎も見られます。手足の先が冷えると白くなり、しびれる「レイノー現象」もあります。このほか、目や口の乾燥、握力低下、爪の変形などです。 たんに血が混じる… 肺がん たばこや化学物質が原因で起こる、恐ろしい病気です。隣接する臓器や、遠くの臓器までもが浸潤を起こし、最終的には死に至ることになります。初期症状は咳。どうせ風邪だろうとタカをくくったために、取り返しのつかない結果を招くこともあるようです。 本当は怖い咳の真実。風邪だと思っていたら肺がんだったなんて… 風邪と違うのはココ! 症状が進むと咳やたんが激しさを増します。しまいにはたんに血が混ざります。胸や肩の痛み、上腕部の内側に痛みがある場合は肺がんを疑いましょう。さらに瞳孔の縮小がある場合も要注意です。汗かきだった人が急に顔から汗が出なくなった場合も危ないようです。 ノロウイルスと風邪の違いは? 一年を通して発生しますが、特に冬季に流行しやすい傾向があります。抵抗力の強い大人などは軽症で回復しますが、幼児や高齢者などが「お腹に来る風邪」などと放置すると症状が悪化するケースがあります。軽度の場合は、発熱など軽い風邪のような症状にとどまるのでなおさら厄介です。風邪と違うのは、激しい吐き気や嘔吐、腹痛、水様の下痢です。 感染はこうして防ぐ!冬に流行するノロウイルス ■関連記事 市販の風邪薬、もっと上手に利用しよう 「風邪」という病気はない!? 家族がインフルエンザにかかったら!?看護の注意点 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために 公開日:2007/01/29更新日:2018/05/14
暑い季節にも、多くの人が風邪をひいて病院を訪れています。夏風邪の原因となるウイルスは200種類以上もあります。その症状と対策を紹介します。 目次 「夏風邪」なんて、ない!?原因となるウイルスたち なぜ夏に風邪をひくの? 生活習慣から風邪を予防しよう 「夏風邪」なんて、ない!?原因となるウイルスたち 風邪のシーズンといえば冬ですが、暑い季節にも、毎年多くの人が風邪をひいて病院を訪れています。冬にひく風邪に対して、夏にひく風邪を一般的に「夏風邪」と呼んでいますが、医学的に夏風邪という定義はありません。風邪の原因となるウイルスは200種類以上もあり、夏場に流行することが多いのは、エンテロウイルス、エコーウイルス、コクサッキーといった高温多湿の環境を好むウイルスたちです。 主な症状は、のどの痛みや微熱が出るなど。鼻水は少なく、人によっては関節が痛んだり、頭痛がするなどの症状もあります。子供はのどの症状と発熱を伴う、手足口病やヘルパンギーナ、プール熱なども夏に流行することが多いようです。 なぜ夏に風邪をひくの? 「風邪はのどや鼻からひく」といわれますが、これは、のどや鼻の粘膜の抵抗力が弱っているときに風邪ウイルスが体内に侵入することを表しています。粘膜はしっとりとぬれた状態で免疫物質を分泌し、ウイルスや細菌などの外敵から体をガードしていますが、乾燥すると免疫物質の分泌が減ってしまい、免疫力がダウンしてしまいます。冬は当然乾燥しているものですが、最近は夏でもエアコンや扇風機によって部分的に乾燥することがあり、やはり粘膜が乾いて免疫力が低下し、風邪のウイルスに負けてしまうというわけです。 また、暑い時期は大量の発汗によって体内から水分が奪われがちです。その分、粘膜の乾燥に拍車をかけてしまうことになります。 さらに、夏バテによる食欲不振や熱帯夜による寝不足、室温と外気の激しい温度差によって自律神経のバランスが崩れてしまうなど、夏ならではの免疫力低下の要因もあります。こうしたことを考えると、夏は冬と並んで風邪に気をつけたい季節といえるでしょう。 生活習慣から風邪を予防しよう 本人が気づかないうちに感染してしまう風邪ですが、生活習慣を見直すことで予防することもできます。 その1:エアコンの使い方 何よりも冷やし過ぎないことが肝心です(仕事中の適温は28℃前後といわれている)。エアコンや扇風機の冷気を直接体に受けないようにしましょう。また、暑さは動脈を冷やすほうが効果的です。保冷剤などをやわらかいタオルなどで包んで、動脈のある脇の下や鼠径部を冷やすことで、ずいぶんと暑さをしのげます。寝苦しい夜などは、エアコンをつけっぱなしにするより、こうした方法で涼をとってもよいでしょう。 のどの粘膜を乾燥させないよう、室内の湿気を保つことも心がけてください。 その2:風邪をよせつけない体力作り 食欲が低下しがちな季節ですが、免疫細胞の材料となるたんぱく質を始め、粘膜を丈夫にするビタミンB2やB6など、栄養バランスのよい食事を摂るように心がけましょう。水分補給も忘れずに…といっても、冷たい飲み物をなるべく避け、温かい飲み物を飲むようにして、体温を保つことも大切です。 その3:生活習慣 夏に限ったことではありませんが、外出先から帰ったら、手洗い&うがいを必ず実行しましょう。 日焼けをすることも皮膚の免疫力の低下につながるといわれているので、注意が必要です。 また、体温調節機能を保つため、一日一回は汗をかきたいもの。運動する時間がないという人は、シャワーでなく、湯船につかることで汗をかくのもいいでしょう。 休み時だからといって遊び過ぎず、毎日の疲れを回復させる時間を確保することも大切です。 もし風邪をひいた場合、一週間ほどの期間が過ぎれば症状は治まることが多いのですが、長引いたときには症状を軽く見ず、医師を受診したり十分に体を休めるようにしましょう。 夏に風邪をひかないためのポイント ●外出先から帰ったら必ずうがいと手洗いの習慣づけを! ●栄養のバランス&水分補給を心がけましょう ●エアコン以外の暑さしのぎを考えましょう ■関連記事 夏なのに風邪をひくのはなぜ? 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ! 風邪に関するQ&A
風邪は体内の優秀な免疫システムでしか治せません。では、免疫力を高めるためにはどうすれば良いのでしょうか。逆に免疫力が下がるのはどんなときかをご紹介します。 目次 各国の民間療法を検証! 免疫力を下げる生活・高めるポイント 各国の民間療法を検証! 風邪には、世界でもさまざまな民間療法が昔から伝えられています。それらには、免疫力を高める上でも効果的なものが多いようです。 国名 風邪に良い食べ物 風邪に良い理由 日本 ショウガ湯、卵酒 酒こうじが、免疫細胞のひとつ「ナチュラルキラー細胞」の活性値を上げます。 ショウガは体を温めるため、免疫細胞のはたらきやすい状態が整いやすくなります。 アメリカ チキンスープ 良質のたんぱく質がアミノ酸に近い状態まで分解されるため、消化器官に負担をかけず、すみやかに細胞に吸収されやすいです。 イギリス カレー カレー粉に含まれる香辛料は、発熱・発汗作用に優れたものが多く、体を温めるため、免疫細胞のはたらきやすい状態が整いやすくなります。 特にウコンの強い抗酸化力が免疫細胞をサポートします(好酸球などの免疫細胞は、ウイルスを退治するために活性酸素を吹き出すが、その害をみずから受けないためには十分な抗酸化力が必要です)。 アフリカ ヨーグルト 増えた腸内の善玉菌が、免疫のはたらきをサポートします。 免疫力を下げる生活・高めるポイント 拍子抜けされそうですが、免疫力を高める基本のポイントは、十分な睡眠とバランスの良い栄養、そして新鮮な空気にあります。健康な体を維持するのと何ら変わらない3大要素です。つまり、体が元気であれば、免疫力も高いといえます。これに対して免疫力を低くする要素は実に多彩です。 これからは風邪は自分で治す!といった気持ちで、積極的に免疫力を高める生活を心がけるとよいでしょう。もちろん、だからといって痩せ我慢は禁物です。症状がひどいときには医師の対症療法を上手に組み合わせましょう。 免疫力を下げる 要素 理由 歯槽膿漏や虫歯 虫歯菌が胃や腸などに入って増殖すると、そちらに免疫細胞のはたらきが集中し、新しいウイルスが侵入したときにパワー不足になります。こうした可能性は早めのケアで解消しておいたほうが良いでしょう。 ストレス ストレスによってアドレナリンなどが増えると、肝臓からたんぱく質やビタミン、ミネラルなどが排出されてしまい、新しい免疫細胞をつくる養分がなくなってしまいます。 バランスの悪い食事 ストレスと同様に、アドレナリンなどが増え、新しい免疫細胞をつくる養分がなくなってしまいます。 夜ふかし 免疫細胞も他の細胞と同じく、夜の間に古い細胞が死んで排除され、新しい細胞がつくられます。夜に寝ないと、この細胞の入れ替わりができにくいです。また、ふだんから体温が低く、風邪をひいても熱の出ない「陰虚症」体質になりやすいようです。 免疫力を高める 要素 理由 笑顔 ナチュラルキラー細胞の活性値は、笑っている間に上がります。冗談ではなく、免疫細胞にも「笑顔」は効果が大きいようです。笑いの多い生活を心がけましょう。 ビタミン、ミネラルたっぷりの食事 免疫細胞はたんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランス良く必要とします。また、抗酸化力のあるビタミンCをはじめ、ビタミンB群は免疫力を高めるものです。B1~12までバランス良く摂りましょう。 白い野菜 大根、キャベツ、たまねぎ…。白い野菜は、多くの免疫細胞の活性化を高めます。 参考文献:「免疫学個人教授」多田富雄・南伸坊著 新潮社 「ウイルスの時代がやってくる」保健学博士 菅原明子著 第二海援隊
もっとも身近な病気である風邪。風邪にはどんなタイプがあるのでしょうか。また風邪にかかったとき体内では何が行われているのでしょうか。薬では治せない風邪に迫ります。 目次 風邪は薬では治らない 風邪の時々刻々 熱が出ない体は弱っている!? 風邪は薬では治らない あなたは、風邪と思って病院に行ったら「咽頭炎です」とか「気管支炎ですね」と診断された経験はありませんか。風邪=咽頭炎?気管支炎? 実は、風邪とは医学的には「風邪症候群」と言われ、原因の種類に関係なく、呼吸器系の急性炎症の総称(クシャミ、鼻水、ノドの痛み、咳…)として使われる単語です。症状によって以下のように分類されます。 普通感冒 いわゆる「鼻風邪」。クシャミや鼻水、鼻づまりが主な症状で、ノドの痛みや咳、発熱などはほとんどないか、あっても軽いことが多いです。 咽頭炎 ノドの痛みが強く、頭痛や発熱も見られます。 咽頭結膜炎 代表的な夏風邪の一種で、「プール熱」とも呼ばれます。発熱、咽頭炎、結膜炎の3つを伴います。 クループ症候群 咽頭が炎症を起こして腫れ、独特の咳をします。ひどくなると、息を吸うときにぜーぜー音がします。 気管支炎 炎症が気管支に及んだ状態です。咳が次第に激しくなり、痰もからみます。 肺炎 激しい咳と痰が多く、胸の痛みや高熱を伴います。白血球が増加し、レントゲンで肺炎の影が見られます。 異形肺炎 激しい咳や高熱があるなど肺炎と似た症状ながら、白血球の増加はありません。 こうした風邪症候群の原因は、わずかに細菌などによるものもありますが、約8~9割はウイルスによるものです。しかも、200種以上ものウイルスが原因として確認されているため、例えば今日かかった風邪が、どのウイルスによるものかを特定することは困難となります。特定するべく検査をしている間に治ってしまうことがほとんどなため、ウイルスの特定はしないのが一般的なのです。 また、ご存知の人も多いかもしれませんが、今のところ数少ない特殊なウイルスを除いて、ウイルス自体を退治する方法や薬はありません。 もちろん抗生物質もウイルスに効くわけではありません。抗生物質は、風邪による炎症で傷ついた箇所に雑菌などが入り、炎症を悪化させるのを防ぐもの。炎症のない時点で服用しても何の効果もありません。風邪で薬を飲むなら、症状に合わせて飲むようにしましょう。症状も出ないうちから薬で「早めのケア」をすることは、風邪においては体に余計な負担をかけるだけなのです。 風邪の時々刻々 では、ウイルスが体内に入ったとき、体内ではどんな活動が繰り広げられるのでしょうか。ここで活躍するのが、免疫細胞の数々です。ウイルスを退治する免疫細胞たちの、すばらしい活動を見てみましょう。 熱が出ない体は弱っている!? 体内では、さまざまな免疫細胞が緻密に連携しながらウイルスを退治します。その連携プレーは見事!と言うほかありません。あなたの体内でも、この免疫細胞たちのスーパーなシステムが活動しています。 ただひとつ、ここで注意したいのが、同じような場所で、同じように生活していても、風邪をひく人、ひかない人がいることです。また、風邪をひいても軽くすむ人と、症状が重くなる人がいます。この明暗を分けるのが免疫力です。好酸球やキラーT細胞といった免疫細胞の数とパワーで決まると言ってもいいでしょう。 各種の免疫細胞が弱かったり、数が足りなければ風邪のウイルスに負けてしまいます。それぞれの免疫細胞が健康で強く、適切な数だけ存在していることが肝心です。 また、熱が出たからといって安易に解熱剤を使うのも避けたいもの。免疫システムがなぜ発熱して体温を上げるかといえば、免疫細胞が活発に動きやすくなると同時に、ウイルスや細菌が38.5度以上の体温で死滅するからです。しかも当面の問題である風邪のウイルスばかりでなく、知らないうちに体内に潜んでいたほかのウイルスやがん細胞まで死滅させるというのだから、発熱は一種の体内一掃機能でもあります。風邪をひいて熱が出るのは、免疫システムが正常にはたらいている証拠と覚えておきましょう。 ■関連記事 夏なのに風邪をひくのはなぜ? 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ! 風邪に関するQ&A
年に何度もひくという人もいるかもしれない、風邪。あなたはどれだけ「風邪」のこと知っていますか? Q1 病気の中で最もポピュラーなのが風邪。この「風邪」というのは、病名である。 ホント ウソ Q2 風邪を引き起こす病原体は200種類以上ある。 ホント ウソ Q3 風邪は万病のもと。こじらせると命を落とす病気にもなりかねない。 ホント ウソ Q4 咳、鼻水が出るからといって風邪とは限らない。 ホント ウソ Q5 インフルエンザにかかるのは人だけである。 ホント ウソ Q1 病気の中で最もポピュラーなのが風邪。この「風邪」というのは、病名である。 実は風邪という病名はありません。風邪は、主にウイルスによって引きおこされる、呼吸器系の急性炎症の総称で「風邪症候群」と呼ばれているものです。 風邪の症状は、せき、くしゃみ、鼻水、悪寒、頭痛、倦怠感、発熱などが挙げられます。寝こむほどひどいわけではありませんが、日常生活を送るにはかなりの障害となります。 「風邪は万病のもと」というとおり、熱が出るような病気はほとんど風邪のような症状を伴うといっても過言ではありません。それが悪化すると、さまざまな病気に転じていくのです。 風邪には良性の普通感冒(いわゆる風邪)と悪性の流行性感冒(インフルエンザ)があり、良性は放っておいても自然に治っていきますが、悪性のものは気管支炎、肺炎などに発展しかねないので、注意が必要です。 というわけで、正解は「ウソ」 Q2 風邪を引き起こす病原体は200種類以上ある。 風邪の3分の2から4分の3はウイルス性によるもので、残りは細菌やマイコプラズマによるものといわれています。その数はざっと200種類以上にもなります。 ウイルスとは、生きた細胞の中だけで増殖できる極めて特異な微生物で、風邪のほかには、麻疹(はしか)、水痘、ポリオ(小児麻痺)、風疹、肝炎、エイズなどを引き起こすものもあります。 このウイルスは低温と乾燥が好きなので、秋から冬にかけて風邪をひく人が多くなります。さらに、200種類以上もあるので、違う風邪のウイルスに出会うと前の免疫が役に立たず、ワンシーズンに何回も風邪をひくことになってしまうのです。 というわけで、正解は「ホント」 Q3 風邪は万病のもと。こじらせると命を落とす病気にもなりかねない。 たかが風邪。だけどされど風邪です。あなどっているとさまざまな合併症を起こすので、初期症状のうちにしっかり治しておきましょう。 主な風邪の合併症 ●副鼻腔炎(蓄膿) 咳も熱もなく、のども痛くないけど、なんとなく頭が重く、鼻の通りが悪くなっている場合には、副鼻腔炎を起こしていることがあります。これは、顔の骨の中にある空洞(副鼻腔)に風邪の病原体が入り込み、膿が溜まってくる病気で、進行すると脳膜(髄膜)にも影響を及ぼしかねません。 ●中耳炎 上咽頭から両耳に通じる耳管という管に風邪の病原体が入りこんで起こるものです。早めに治さないと鼓膜に穴があいて耳だれになり、慢性中耳炎になって難聴を起こしたり、脳膜に影響を及ぼしかねません。就学前の子供に起こりやすいようです。 ●腎盂・膀胱炎 尿の通路に細菌などの病原体が入り、膀胱炎などを起こすものです。腎臓から尿管の出てくる最初の部分を腎盂といいますが、ここに病原体が入ると高熱が出ることがあります。 ●肺炎 風邪で発熱や痰が1週間以上も続いて治らないときには肺炎になっていることが多いようです。インフルエンザの流行時には、肺炎の発生率は7~15%といわれており、インフルエンザによる「電撃型肺炎」を起こした時には、発病後1~2日で死亡することがあるので注意しましょう。 というわけで、正解は「ホント」 Q4 咳、鼻水が出るからといって風邪とは限らない。 風邪に似た症状を示すので、風邪かな?と間違えやすい病気があります。しばらく様子を見ていると風邪とは違った症状が出てきて気がつくこともあります。鼻水が出ているからといって風邪薬を安易に飲まないようにしましょう。 風邪とまぎらわしい病気 ●アレルギー性鼻炎 ティッシュを1日1箱使うこともあるほど、とにかく鼻水が出ます。ですが、熱や咳はほとんど出ませんし、のどの痛みもありません。花粉によるものは季節的な変動があります。 ●過敏性肺臓炎 ペットとして飼っているインコなどの鳥類の糞のなかにいる真菌類(かび)を埃と一緒に吸い込んでおこるアレルギー性の間質性肺炎です。慢性になると肺線維症になり、肺活量が減少して少し動いただけでも苦しくなるので、要注意です。 ●気管支ぜんそくの初期 気管支がけいれんして細くなり、痰が多く出て気管支が狭くなり呼吸が苦しくなる病気です。初期には風邪と誤診されやすいようです。症状が進むと呼吸困難に陥ることもあります。 ●麻疹(はしか)の初期 はしかの初期症状は、くしゃみ、鼻水、目やに、咳が多くなり、風邪と誤診されやすいようです。口の中の粘膜に白い斑点が出てくると、はしかとわかります。 というわけで、正解は「ホント」 Q5 インフルエンザにかかるのは人だけである。 インフルエンザ・ウイルスに感染するのはヒトだけではありません。そもそもウイルスはある生物の種からほかの生物の種へと移動していく性質(伝播という)があり、ヒトと動物も伝播しやすいのです。ただ、伝播のしやすさがあり、例えば、インフルエンザウイルスはブタからヒトへの伝播はありえますが非常にまれで、ヒトからブタへの伝播は生じやすいです。 また、トリはウイルスの貯蔵庫ともいわれるくらいたくさんのウイルスを持っており、トリのインフルエンザ・ウイルスは気道や消化管からもほかのトリや動物に感染することが知られています。 インフルエンザに苦しむのはヒトだけではないのです。 というわけで、正解は「ウソ」
風邪に効くツボ、漢方薬を紹介します。 目次 風邪に効く!ツボ指圧 風邪に効く!漢方薬 風邪に効く!ツボ指圧 ■印堂(いんどう) 鼻水をとめる特効ツボです。両眉の付け根の中間にあります。親指の先で少し痛いくらいに十文字に押したあと離す、これをしばらく繰り返します。 ■天突(てんとつ) ゴホンときたらこのツボです。胸骨の上縁で、のどの真ん中にあります。人差し指か中指で、骨の裏側を押すようなつもりでやわらかくそっと押すのがポイントです(このツボの下には気管が通っているため、ツボに垂直に押すと気管を圧迫して息苦しくなります)。せきをとめる特効ツボであるほか、のどの痛みや息切れ、しゃっくりにも効きます。 ■魚際(ぎょさい) たんが取れないときはここです。手のひらを上に向けると親指の付け根に盛り上がったところがありますが、この真ん中にあるのがツボです。もう一方の手の親指をツボにあて、残り4本の指で裏側から手を支え、ぐりぐりと円を描くように押しもみします。 ■天柱(てんちゅう) 鼻づまりの特効ツボです。後ろ首の髪の生え際で二本の太い筋肉の左右のくぼみにあります。後頭部で両手を組み、ツボに親指をあてたまま頭を後ろに傾けてツボを強く押します。 風邪に効く!漢方薬 タイプ 漢方薬 ひきはじめ(発熱・頭痛を伴うが汗は出ず、寒気がするタイプ) 葛根湯(かっこんとう) ひきはじめ(くしゃみ・鼻水など水っぽい症状があるタイプ) 小青竜湯 (しょうせいりゅうとう) ひきはじめ(のどカゼタイプ) 駆風解毒湯(くふうげどくとう) こじらせたとき(微熱・だるさが続く) 小柴胡湯(しょうさいことう) こじらせたとき(胃腸にきている) 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) こじらせたとき(カラ咳が時々出て、痰は粘っこいが色は白い) 柴朴湯(さいぼくとう) こじらせたとき(顔がはれぼったく、尿が少ない) 五苓散(ごれいさん) ワンポイントアドバイス ひいたなと思ったら、温かくして寝ましょう。特に葛根湯を使うようなときは、汗をかかせることが目的なので、熱いお粥や生姜とネギのスープを飲むとよいようです。 一方、のど風邪の場合は、発汗のさせすぎはのどの乾燥を強めることになるので逆効果になります。 また、こじらせた場合は体力が落ちているので、とにかく睡眠を十分とることです。
食生活の乱れや加齢、ストレスなどで免疫力が低下するとインフルエンザに感染しやすくなります。免疫力アップにおすすめの乳酸菌とは? 目次 インフルエンザが流行中!さらに拡大の恐れも 整腸作用だけではない!乳酸菌のインフルエンザ予防効果 BCGワクチンより免疫活性化力が強い乳酸菌「HK L-137」とは? インフルエンザが流行中!さらに拡大の恐れも 毎年、冬の季節になると、猛威をふるうインフルエンザ。食生活の乱れや加齢、ストレスなどで免疫力が低下すると、インフルエンザを引き起こすインフルエンザウイルスに感染しやすくなります。免疫力は、健康な人でも20~30代をピークに、年齢を重ねるごとに低下していきます。そのため高齢になるにつれて、インフルエンザのリスクは高くなると言えます。 整腸作用だけではない!乳酸菌のインフルエンザ予防効果 免疫力を高めるには、普段から栄養バランスのよい食事を心がけ、睡眠を十分にとることが重要です。免疫力を高める働きをもつものとして、主にヨーグルトやチーズ、みそ、ぬか漬けなどの発酵食品に含まれている乳酸菌があります。乳酸菌は整腸作用でおなじみですが、免疫細胞を活性化する作用もあります。免疫細胞が活性化され、免疫力が高まった状態は、ウイルスに対していわばバリアで守られているようなもの。つまり、乳酸菌を摂取することで、インフルエンザを予防する効果も期待できるのです。 BCGワクチンより免疫活性化力が強い乳酸菌「HK L-137」とは? 乳酸菌にはいろいろな種類があり、その一つにL-137があります。L-137は漬け物などの発酵に関わる安全性の高い乳酸菌で、免疫活性化力が強いことで知られています。そんなL-137を加熱殺菌して、さらに免疫活性化力を強く、かつ腸に届きやすくした乳酸菌があります。それがHK L-137です。 HK L-137がもつ免疫活性化力の強さは、BCGワクチン以上。免疫活性化力を調べる実験で、あまりにも高い数値が出たために実験ミスを疑い、何度も実験をやり直したというエピソードがあるほどです。 HK L-137の免疫力アップ効果は、摂取して数週間後から現れます。また、免疫細胞の寿命は数日だと言われています。そのため、免疫力が高い状態をキープするには、HK L-137を継続的に摂取することが必要だと言えます。日頃のインフルエンザ対策として、手洗い・うがいやマスクの装着とともに、HK L-137も取り入れてはいかがでしょうか? 公開日:2015年1月19日
風邪薬とは、風邪そのものを治すものではなく、風邪の諸症状を緩和するためのものです。市販薬を使うとき、なんとなく感じる素朴な疑問を専門医の先生にうかがいました。 目次 風邪薬の選び方 Q. 市販の風邪薬を使用しても、なかなかよくなりません! Q. 1種類の風邪薬でよくならない場合、いろいろな種類の薬を試したほうがよい? Q. 風邪薬でインフルエンザは治らない? Q. 抗生物質で風邪は治らないって本当? Q. 栄養ドリンク剤と飲んでもいい? Q. 風邪薬との食べ合わせ飲み合わせで注意したほうがいいものはある? 風邪薬の選び方 薬は、「病原体に対するもの」と、「病原体にかかった体に対するもの」のふたつに大別できますが、風邪薬は後者の方にあたります。風邪のウイルスはあまりに数が多く、ひとつひとつに対しての薬を作るわけにはいきません*。つまり風邪薬とは、風邪そのものを治すものではなく、風邪の諸症状を緩和するためのものになります。市販の風邪薬を買うなら、自分のいちばん強い症状に合わせて選ぶといいでしょう。 ただ、風邪をひくたびにいろいろな症状が出ることもあります。そういうときのために、家庭にひとつあると便利なのが総合感冒薬です。「寒気がする」「喉の調子がヘン」など風邪の初期症状なら、総合感冒薬で十分です。ただし、用法・用量は必ず守ること。早く治したいからといって用量以上に服用すると、思わぬ副作用を招くこともあります。 *インフルエンザのウイルスに対する処方薬はある。 症状 分類 薬 熱が下がらない体が痛い解熱薬、鎮痛薬アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 鼻がつまる血管収縮薬(スプレータイプ)オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ナファゾリン、フェニレフリン 鼻水がよく出る血管収縮薬(飲み薬)プソイドエフェドリン 鼻がつまる くしゃみがよく出る抗ヒスタミン薬クレマスチン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン たんがよく出る去たん薬グアイフェネシン せきが止まらないせき止め薬コデイン、デキストロメトルファン、ベンゾナテート 参考資料:「メルクマニュアル医学百科最新家庭版」日経BP社 風邪薬の素朴なギモンにお答えします! 「薬を飲んでも治らない!」「こんな服用の仕方は大丈夫?」など、市販薬を使うとき、なんとなく感じる素朴な疑問。専門医の先生にじっくりうかがいました。 Q. 市販の風邪薬を使用しても、なかなかよくなりません! A. 風邪の混合感染(二次感染)の可能性があります。 混合感染(二次感染)とは、風邪をひいて喉や気管支の粘膜の免疫力が落ちたとき、細菌が侵入して、肺炎などの別の病気を発症してしまうこと。風邪薬が効かないほどこじれた場合は、混合感染の可能性がありますから、医師による診断を受けてください。 Q. 1種類の風邪薬でよくならない場合、いろいろな種類の薬を試したほうがよい? A. 1回の風邪で5日くらい風邪薬を飲んでも治らないときには、病院に行くこと。 いろいろな種類の風邪薬を試すよりも、病院へ。市販薬を飲んでいた後に、病院でもらう処方薬を服用しても問題はありません。 Q. 風邪薬でインフルエンザは治らない? A. 治りません。 よく間違えている人がいますが、風邪とインフルエンザとは別物。急に40度前後の熱が出て全身関節痛や全身倦怠感が強く、起きているのもつらいといった症状がみられる場合には、インフルエンザにかかっている可能性があります。こうなると市販薬で治すのはムリなので、病院へ行くこと。 Q. 抗生物質で風邪は治らないって本当? A. 風邪のウイルスに対応するわけではありませんが、混合感染を防ぐために処方されることも。 抗生物質は細菌の増殖を抑える薬で、風邪の原因であるウイルスに直接関与するわけではありませんが、風邪が長引いたり、喉に膿が出ていたりするなど、細菌の二次感染が疑われる場合には処方されることがあります。 Q. 栄養ドリンク剤と飲んでもいい? A. 栄養ドリンク剤の成分にもよりますが、交感神経興奮剤との飲み合わせはNG。 風邪をひいた時は栄養補給が大切。栄養ドリンク剤も上手に活用したいものです。ただし、薬に交感神経興奮剤が含まれている場合は、薬の効果が過剰になる恐れもあるため、避けましょう。ちなみに、栄養ドリンク剤を飲むとシャキッと元気になったような気がしますが、これはカフェインやアルコールなどが含まれているため。風邪が治ったわけではないので、あまり頼り過ぎるのは考えものです。 Q. 風邪薬との食べ合わせ飲み合わせで注意したほうがいいものはある? A. 薬の成分によっては、気をつけたほうがいい場合もあります。 下記のような場合、薬の成分によっては気をつけたほうがいいケースもあります。またどんな薬であれ、アルコールと一緒に服用するのは絶対にやめてください。 ●解熱鎮痛剤+アルコール、ニンニク、トウガラシ …胃があれて薬が効きすぎることもあります。 ●解熱鎮痛剤+炭酸飲料水、お菓子、キャベツ …薬の効果が減少し、効きが悪くなることもあります。 ●抗ヒスタミン剤+アルコール …酔い方が強くなったり、眠気などが増したりすることもあります。 ■関連記事 風邪と間違いやすい病気 「風邪」という病気はない!? 家族がインフルエンザにかかったら!?看護の注意点 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために
私たちの体は風邪ウイルスにやられっぱなしというわけではありません。備わっている免疫システムと、免疫力を高める方法をご紹介しましょう。 目次 体が持っているふたつの免疫力 風邪のウイルスは、粘膜でブロック! 食事で、免疫力アップ! タオル三枚で風邪をシャットアウト!? 体が持っているふたつの免疫力 風邪をひいている人が一度くしゃみをすると、なんと周囲に10万個もの飛沫が飛び散り、その中の一部は、空気中に30分も浮かんで漂っているそうです。この飛沫には風邪のウイルスが含まれ、別の人の体内に侵入することで新たな風邪の患者を誕生させてしまいます。 ただし、私たちの体も風邪ウイルスにやられっぱなしというわけではありません。本来備わっている免疫システムが機能し、ウイルスや細菌などの病原体と闘っています。 免疫には、病原体を体内に侵入させないようにする「守りの免疫力」と、病原体を退治する「攻めの免疫力」のふたつがあります。 「守りの免疫力」がはたらいているのは、鼻や呼吸器などの粘膜、皮膚、腸管といった、直接外界とつながっている部分。外敵の侵入を阻止し、全身のバリア機能を高めています。 一方、「攻めの免疫力」を担当しているのは、マクロファージや顆粒球、リンパ球などの白血球チームです。血液循環に乗って全身をくまなく見張り、病原体を見つけると食べてくれたり、強力に攻撃を仕掛けて排除してくれます。 このふたつの免疫力がバランスよくはたらいて、私たちの体は健康が保たれているのです。 風邪のウイルスは、粘膜でブロック! 風邪のウイルスを体内に入れないように頑張っているのが「守りの免疫力」です。喉や鼻などの粘膜が第一関門となり、ウイルスをブロックしています。しかし、乾燥や、暴飲暴食、栄養の偏りなどで粘膜が弱ると、ブロック機能が弱まり、風邪のウイルスを体内に侵入させてしまいます。鼻水や喉の痛みといった風邪の代表的な症状は、粘膜がウイルスと闘っている証拠。風邪の予防対策は、この粘膜を元気に保つことから始まります。 具体的には、外から帰ったら必ずうがいと手洗いをすること。言い古されたことですが、うがいをすると口腔内の細菌数が減ることが証明されていますし、目に見えない飛沫粒子が手につき、その手で顔や口を触って風邪に感染することは意外と多いようです。手を洗って清潔に保つことは、風邪の予防に有効です。 さらに、粘膜を乾燥させないため、室内を適度な湿度(約50%)に保つこと。加湿器などを利用してもいいでしょう。 食事で、免疫力アップ! 「守り」と「攻め」のどちらの免疫力も、毎日どんなものを食べているかによって大きく左右されるものです。ぜひ免疫力をパワーアップさせる食材を積極的に摂りましょう。風邪の回復を助ける食材とともに、ご紹介します。 食材 成分 期待される作用 イチゴ、パセリ、みかん、レモンなど ビタミンC 体内に侵入したウイルスを攻撃したり、白血球のはたらきを強化して免疫力を高めます シソ、にんじん、モロヘイヤ、ホウレン草、春菊、あしたばなど β-カロテン(ビタミンA) 粘膜や皮膚を強化したり、白血球のはたらきを活性化させます 緑茶、赤ワイン、コーヒー、ココア、ナスなど ポリフェノール 白血球のはたらきを高めたり、助けます レバー、かつお・まぐろなどの青魚 ビタミンB2・B6、ナイアシン 皮膚や粘膜の材料となります キノコ類(しいたけ、まいたけ、しめじ、えのきだけなど) β-グルカン 白血球のはたらきを活性化させます アブラナ科野菜(キャベツ、はくさい、大根、ブロッコリーなど) インドール類、イソチオシアナートなど 白血球のはたらきを活性化させます 豚肉、ニンニク、豆腐・納豆・枝豆などの大豆製品、胚芽精米など ビタミンB1 体のダルさや疲労感を回復します 卵、牛乳、肉類、魚類など たんぱく質 免疫細胞の材料となったり、体力を回復させます ミネラルウォーターや白湯など 水分 鼻や喉の粘膜の乾燥を防ぎます また、体温を下げるような冷たい食べ物は避けるようにしましょう。体温が0.5度下がると免疫力は30%以上も低下するとの報告もあります。温かいものを食べて体を温めるのも、免疫力アップの秘訣です。 コラム:タオル三枚で風邪をシャットアウト!? 風邪のウイルスは低温と乾燥の環境下で急激に増殖します。暖房が普及した現在、冬に風邪が流行るのは、寒さのせいよりも空気の乾燥によるところが大きいようです。喉の粘膜や気道から出ている免疫物質を含んだ分泌液が乾燥し、免疫力が落ちてしまいます。それを防ぐために心がけたいのが、加湿です。 家庭に加湿器がない場合の裏ワザとして、夜寝る前、部屋に濡れタオルを3枚かけておく方法もあります。室内の湿度も、ちょうど50%程度に保たれるとか。ぜひ一度お試しください。 ■関連記事 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪に関するQ&A 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ!
風邪とは、正確には「風邪症候群」といい、気道の炎症によるさまざまな症状の総称です。風邪とインフルエンザと花粉症は間違えられやすいのですが、似て非なるものということを知っておきましょう。 目次 バカは風邪をひかない? 紛らわしい!風邪とインフルエンザと花粉症 夏風邪と冬の風邪は違うのか!? バカは風邪をひかない? 「バカは風邪をひかない」とはよく聞く言葉ですが、意外なことに辞典などにはあまり載っていません。 その意味するところもいろいろで、「頭が悪い代わりに体が丈夫だから風邪をひかない」「バカな人は風邪をひいたことさえ気がつかない」という失礼な説や、「神経質な人よりも、リラックスして過ごしている人のほうが病気にかかりにくい」とする説もあります。 逆に「夏風邪はバカがひく」という言葉もあり、こちらは「本来冬にひくはずの風邪に、夏にかかるウッカリ者」という意味のようです。昔は「風邪は寒い冬にひくもの」という思い込みがあったことから、こうした言葉が生まれたのでしょう。 昔から何かとからかいの対象にされてきた風邪ですが、いまでもいちばん身近な病気であることには変わりがありません。なにしろ、「毎年1人あたり平均5~6回風邪をひく」といわれるほどなのです。 紛らわしい!風邪とインフルエンザと花粉症 気軽に「風邪」と呼んでいますが、正確には「風邪症候群」といい、気道の炎症によるさまざまな症状の総称です。 風邪の原因は、ほとんどの場合がウイルスです。インフルエンザもウイルスが原因なので、両者を混同している人もいますが、症状はまったく違います。「2~3日前から調子が悪い」というなら、風邪。養生して風邪薬を飲めば治ります。突然体の節々が痛み、高熱が出るのはインフルエンザです。風邪薬では治らないので、直ちに病院へ行きましょう。ちなみにアメリカでも、風邪は「cold(感冒)」、インフルエンザは「flu(流感)」として、まったくの別扱いとなっています。 また、風邪と花粉症も間違えやすいようです。くしゃみや鼻水が出たり、鼻がつまっても、数日で治ってしまえば風邪。かゆみを伴うなら、花粉症です。 このように、風邪とインフルエンザと花粉症は似て非なるもの。それぞれの違いを表で確認しておきましょう。 インフルエンザ 風邪 花粉症 キーワード 「(熱で)フーフー」「2~3日前から調子が悪い」「かゆい、かゆい」 原因 ウイルスウイルスアレルギー体質 発症と進行 突然発症、急激に進行いつのまにか発症し、徐々に進行季節的なきっかけで発症し、進行することはあまりない 初期症状 悪寒、頭痛くしゃみ、鼻水、喉の乾燥感くしゃみ、鼻水 主な症状 発熱、関節痛、筋肉痛鼻水、鼻づまり、咳くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ 発熱 約39~40度平熱~39度ほぼ平熱 食欲 ないあまり変わらないことが多いあまり変わらないことが多い ワクチン あるないある(減感作療法で使用) 合併症 肺炎、脳症、脳炎などないまれに気管支喘息 夏風邪と冬の風邪は違うのか!? 風邪のウイルスは200種以上もあり、一生かかっても全種類の風邪に感染することはできないといわれています。夏風邪と冬風邪では、同じ風邪でもウイルスが違うため、症状も違っています。 冬風邪の原因となるウイルスはRSウイルス、コロナウイルス、レオウイルス、インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスやパラインフルエンザ1型・2型などで、11月から3月にかけて流行し、主な症状は鼻水、のどの痛み、咳などがあります。 一方、夏風邪で活躍するウイルスはアデノウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーA型・B型、エコーウイルス、エンテロウイルス、パラインフルエンザ3型など。主な症状は頭痛、発熱、喉の痛みなどで、熱が高くなるときが多いようです。5月から8月にかけて発症します。 プール熱(咽頭結膜熱)や、はやり眼(流行性結膜炎)も夏風邪の一種で、アデノウイルスによるものです。 ■関連記事 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪に関するQ&A 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ!
発熱から咳・痰まで、風邪の症状にあった薬の成分の解説や、意外に陥りがちな風邪薬の誤用ケースを紹介します。 目次 たくさんある風邪薬の種類を把握しよう 風邪薬は飲み方にも注意しよう! たくさんある風邪薬の種類を把握しよう 日頃から予防に気を使っていても、ひょんなきっかけでひいてしまうのが「風邪」の憎らしいところ。ひいてしまったときには安静を保って栄養をたっぷりとり、体の抵抗力の回復を待つのが基本です。しかし、感染中の諸症状は体力の回復を妨げる一因にもなるため、市販の風邪薬で軽減するのも賢い方法です。風邪薬にはたくさんの種類がありますが、 風邪薬の分類と代表的な成分の特徴を把握し、自分の症状にあった薬を選びましょう。 風邪薬の分類と代表的な成分の特徴 症状 分類 薬 熱が下がらない体が痛い 解熱薬、鎮痛薬 アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 鼻がつまる 血管収縮薬(スプレータイプ) オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ナファゾリン、フェニレフリン 鼻水がよく出る 血管収縮薬(飲み薬) プソイドエフェドリン 鼻がつまるくしゃみがよく出る 抗ヒスタミン薬 クレマスチン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン 痰(たん)がよく出る 去痰薬 グアイフェネシン 咳(せき)が止まらない 咳止め薬 コデイン、デキストロメトルファン、ベンゾナテート 参考資料:「メルクマニュアル医学百科最新家庭版」日経BP社 風邪薬は飲み方にも注意しよう 市販されている風邪薬でも、飲み方を間違えると体に思わぬ影響を及ぼすこともあります。陥りがちなNGケースをみてみましょう。また、このように飲み合わせの間違いや誤用による害を受けないためにも、薬は必ず薬剤師と相談して購入するように心がけたいものです。その際、持病のある人や、現在通院している人はその状態もしっかり報告し、自分にあった薬を選んでもらいましょう。もちろん、服用する前にはしっかり説明書に目を通し、用法・用量を守ることも忘れてはいけません。 NG:栄養ドリンクと風邪薬を一緒に飲んでしまった 滋養強壮によい栄養ドリンクには、「カフェイン」が含まれているものが多いです。風邪薬の成分にもカフェインが含まれているものがあるため、カフェインの効果が強すぎて頭痛を招いてしまう可能性があります。 NG:インフルエンザの子どもに市販の解熱剤を使用 解熱剤に含まれる「メフェナム酸」という成分には、インフルエンザ脳症を引き起こす危険があります。また、アスピリンはインフルエンザ脳症とよく似た「ライ症候群」を、イソプロピルアンチピリンは「ピリン疹」という湿疹を引き起こす可能性があるので、自己判断で解熱剤を用いず、すぐに病院に連れて行くようにしましょう。 NG:去痰薬を飲んでアレルギー症状が悪化してしまった 「塩化リゾチーム」という痰をとる薬は卵由来の成分であるため、卵アレルギーの人が服用すると症状を悪化させてしまうこともあります。また血栓のある人は、のどの諸症状に効く「トラネキサム酸」を、高血圧や心疾患のある人は咳止めに使われる「塩酸メチルエフェドリン」を飲むと症状を悪化させることもあるので、アレルギーや持病をもっている人は必ず薬剤師に告げ、説明書をよく読んでから服用しましょう。
睡眠中はウイルスへの抵抗力が弱まる時間です。それは睡眠中に副交感神経のはたらきが優位になるため。睡眠中でも予防できる風邪対策について紹介します。 目次 たっぷり寝たのに、風邪を引いてしまうワケ ベッドに入ると咳が出るのはどうして? 寝る前におさえておきたいポイント エキナセアハーブティはいかが? たっぷり寝たのに、風邪を引いてしまうワケ 風邪をひかないように日頃から十分気をつけていても、朝目が覚めたときにのどがイガイガし、「しまった!」と思ってしまうことがあります。もちろん、睡眠は1日の疲れをとり、風邪に対抗するための体力を回復するために欠かせませんが、睡眠中は残念ながらウイルスへの抵抗力が弱まる時間でもあります。 風邪を引いたことに気づく時間帯 臼田篤伸医師による調査 日本プライマリ・ケア学会誌にて発表 風邪に対する見識の深い歯学博士の臼田篤伸医師が335人に対して行った調査によると、起床時に風邪に気づく人が全体の半数近くを占めています。 臼田医師によると、睡眠中の風邪は自律神経のはたらきと関係しているといいます。自律神経には活動時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経の2種類があり、睡眠中はこの副交感神経が主としてはたらいています。 副交感神経が優位になると体の各器官のはたらきを緩慢にするため、唾液の分泌や唾液を飲み込む動きが著しく少なくなり、のどが極端に乾燥してしまいます。実は、この乾燥した「のど」こそが、ウイルスの繁殖に最適な環境です。鼻やのどが乾燥すると異物を排出する繊毛のはたらきが鈍るので、ウイルスがより侵入しやすい環境をつくってしまいます。しかも、睡眠時には体温も下がっているため、ウイルスにとっては体内に入り込む絶好のチャンスなのです。 ベッドに入ると咳が出るのはどうして? しかし、副交感神経はしっかり体の防衛手段も整えています。ウイルスを攻撃する「リンパ球」という細胞を白血球の中に増やし、侵入を防ぐ役割を命じているのです。このリンパ球は上気道に侵入してきたウイルスの存在に気づくと、体内への侵入をせきとめるために壮絶な闘いを繰り広げます。 つまり、リンパ球とウイルスとの闘いが、上気道の炎症によるのどの痛みや鼻水・鼻づまり、咳などの症状を引き起こしやすくしているのです。 さらに、睡眠中の咳には筋肉の弛緩も影響しています。副交感神経の作用によりのどにある扁桃腺の筋肉の緊張がゆるみ、息が通りにくくなってしまうことも一因としてあげられます。 寝る前におさえておきたいポイント もちろん睡眠中に風邪をひくことを怖れて、睡眠時間を減らしてしまっては本末転倒です。十分に睡眠をとって体を休めなければ、体力が回復せず体の抵抗力も弱まってしまいます。そこで、冬のシーズンには、睡眠中に風邪をひく確率を少なくするための工夫をぜひ実践しましょう。いずれも誰でもかんたんに実行できる方法です。 睡眠中の風邪予防のポイント ●ベッドの脇に水を置いて、適度な湿度を保っておく ●トイレに起きたときには、必ず水やほうじ茶を1杯飲み、のどの乾燥を防ぐ ●のどの乾燥を防ぐため、口は閉じて寝る。マスクを使うのもオススメ ●のどを温かく保つため、首の周りにタオルや手ぬぐいを巻いて寝る ●シーツもしっかり体を温めるタイプのものを選ぶ エキナセアハーブティはいかが? 「風邪をひきそうだけど、まだ薬を使うほどじゃない」「日頃から風邪をひかない体づくりをしたい」という方におすすめなのが、ハーブティー。最近注目されているのが、「エキナセア」というキク科のハーブで、アメリカ先住民族の間では万能薬として用いられてきました。このハーブに含まれる多糖類が免疫細胞を活性化し、風邪などの感染症の予防だけでなくアレルギー体質の改善などにも有効に作用することが知られています。 風邪をひきそうなときや、ひきはじめに飲むと効果的です。最近では、気軽に楽しめるティーバッグタイプのものやサプリメントなども販売されています。ただし、キク科植物のアレルギーの方や糖尿病の方は、控えるようにしましょう。また、摂り過ぎると発熱や吐き気をもよおすこともあるので、1日の目安量をしっかり守りましょう。 エキナセア 学名:Echinacea angustifolia 種類:北米原産のキク科の植物 使用部分:主に根、茎 ■関連記事 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪に関するQ&A 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ!
風邪のウイルスにはどんな種類があるのでしょうか。「風邪」と一口に言っても、なんとその種類は200種以上もあります。主な風邪ウイルスの仲間を紹介します。 目次 ウイルスの種類は200種以上! 風邪回復の5大原則とマスクの役割 ウイルスの種類は200種以上! 「ウイルス」によって引き起こされる感染症の代表格が、風邪(普通感冒)。「風邪を引いたら医者に行って、すぐに抗生物質をもらってこよう」と思っている人も多いようですが、実は風邪の初期にはほとんど効き目はありません。抗生物質は細菌をやっつける薬のため、ウイルス性の感染症である風邪には直接関係はなく、こじらせて気管支炎や扁桃腺炎などに移行する可能性がない場合には、特に必要はないのです。 ところで、風邪のウイルスにはどんな種類があるのでしょうか。「風邪」と一口に言っても、なんとその種類は200種以上もあります。代表的なものには、ライノウイルス、コロナウイルスなどがありますが、種類が多すぎるため、感染してもどのウイルスのしわざかは医師でもなかなか判別できないのが実状です。 主な風邪ウイルスの仲間 名称 特徴・主な症状 ライノウイルス/コロナウイルス 冬に流行するウイルスの主流。鼻やのどの症状を引き起こします。治りは比較的早いです。 アデノウイルス 晩冬から初夏にかけて流行します。咽頭炎、気管支炎などののどの奥の炎症や結膜炎につながることもあります。 エンテロウイルス 夏に流行するウイルスです。のどの痛みや高熱、せきなどの症状が特徴的。 インフルエンザウイルス インフルエンザを引き起こすウイルスです。大きくA型、B型、C型の3タイプに分かれ、大流行を起こすのはA型です。 SARSコロナウイルス SARSを引き起こすウイルス。中国広東省から広まり、2003年春までにアジア~東南アジアを中心に感染が拡大しました。治療法が確立していないため、世界中を震撼させています。 風邪回復の5大原則とマスクの役割 風邪(普通感冒)はよほどこじらせて肺炎などの病気を併発しない限り、生命の危機まで心配する必要はありません。たいていは、風邪の不快な症状を対症療法で抑えながら以下のポイントに注意していれば、徐々に回復していきます。 風邪回復の5大原則 ゆっくり睡眠をとり、心身を休める 体を温かく保ち、のどの乾燥を防ぐ 消化がよく栄養のあるもの(特にたんぱく質、ビタミンB1、ビタミンCなど)を摂る 熱がある場合には水分をたくさん摂る 手洗い、うがいで常に清潔を保つ 風邪につきもの「マスク」の役割 乾燥した「のど」は、ウイルスの繁殖に最適な環境です。のどが乾燥すると異物を排出する粘膜が乾燥して繊毛のはたらきが鈍り、ウイルスが侵入しやすくなってしまいます。繊毛とは鼻や気管にあり、ちりやほこりをはじめ、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ役割をしています。風邪を予防するにはのどのうるおいを保つことはとても大切です。マスクを着用すれば、冬の乾燥した空気からのどのうるおいを守ることができます。最近では、マスクの保湿性に着目してより密閉性の高いマスクも発売されています。 もちろん、マスクには外からのウイルス感染を防いだり、他人に風邪を移さないようにするという役割もあります。ちょっと恥ずかしいと思うかもしれないが、風邪の予防にはマスクの活用がおすすめです。 ■関連記事 夏なのに風邪をひくのはなぜ? 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪に関するQ&A
風邪を治す特効薬はありません。バランスのとれた栄養と十分な睡眠がいちばん必要です。のどが痛い、鼻水が出るなど風邪の症状が出始めたときに試してほしい野菜を使った民間療法を集めました。 目次 風邪に効く特効薬はない のどが痛いときに 鼻水が出るときに とにかく体を温めたいときに ビタミン豊富!栄養満点の食事なら 風邪に効く特効薬はない 風邪を引いたときの対処法は、薬もいいのですが、なんといってもバランスのとれた栄養をとり、十分な睡眠をとることです。軽い症状ならこれだけでもずいぶん回復できるでしょう。もちろん、症状が軽くても重くても、薬さえ飲んでいれば大丈夫、というわけでなく、栄養や睡眠をとることは必要不可欠です。 風邪によく効くと言われている野菜がだいこんやねぎ。風邪を引いたら、薬の前に試してみましょう。 のどが痛いときに だいこんあめ だいこんを1cm角に切り、底の浅いビンに入れてハチミツか水あめをだいこんが浸るくらい入れます。2日ほどしてだいこんが浮いてきたら、はちみつをそのままかお湯に溶かして飲みます。だいこんを食べてもOKです。 長ねぎの湿布 ねぎの白い部分を10cmくらいに3本切り、縦に裂いて広げ外側をしんなりするまで火であぶり、ねぎの油分がにじみ出てきたら、タオルかガーゼで包み、裂いたねぎの内側の面がのどに当るようにして巻きます。20~30分ほど巻いたら新しいねぎと交換し、1日3~5回湿布を繰り返します。 紅茶や緑茶でうがい お茶に含まれるカテキンには殺菌能力があります。安いお茶でもいいので、朝起きた時や外から帰った時に紅茶や緑茶でうがいしましょう。風邪にかかる前から試してみてください。 鼻水が出るときに しょうが湯 中国で生薬に使われるしょうがには、血液の循環をよくして体を温め、発汗させる作用があります。しょうがをおろし、その汁ひとつまみ分を湯のみに入れ、熱いお湯を注ぎます。そのまま飲んでもいいですし、好みで黒砂糖かはちみつを少々加え、よくかき混ぜて飲むのもおすすめです。鼻がつまった時に効果的です。 長ねぎの汁 ねぎの白い部分を1/2本ほどみじん切りにし、さらに包丁でたたいて細かくします。ガーゼなどに包んで絞り、絞り汁を脱脂綿につけて鼻の周りに塗りましょう。 とにかく体を温めたいときに 梅干湯 梅干としょうがの絞り汁、好みで黒砂糖を湯のみに入れ、熱いお湯を注いで飲みます。梅干を焼いてそのまま食べたり、お湯を注いでつぶして食べてもいいでしょう。 卵酒 寒気がするときには、卵酒がいちばんです。日本酒1カップ程度に卵を1個入れ、火にかけます。半熟になったら、好みではちみつや黒砂糖を入れて、熱いうちに飲みましょう。お酒が苦手な人は、先に一度沸騰させてアルコールを飛ばしておきます。 ビタミン豊富!栄養満点の食事なら にんじんスープ ビタミンAは、鼻やのどの粘膜を丈夫にし、風邪のウイルスの侵入を防ぎます。体内でビタミンAに変わるカロチンを多く含む、にんじんを食べましょう。 にんじん1本を輪切りにして、1カップの水でゆで、にんじんが柔らかくなったらゆで汁ごとミキサーにかけ、クリーム状にします。これを火にかけて、牛乳大さじ2、塩・こしょうで味を整えるとよいでしょう。 熱があるときは、冷たくしたスープを飲んでもよいでしょう。
風邪には医学的な治療方法というものはありません。たかが風邪と軽く見ずに、十分な休息をとって安静にすることが、とても大切な「風邪の治し方」です。風邪をひいたときに気を付けたいポイントをまとめました。 目次 風邪には治療方法がない! 風邪対策の基本は十分な休息! 風邪には治療方法がない! 風邪のウイルスを殺せる治療方法はありません。結局は、「きちんと休み」自分自身の体がウイルスに打ち勝ってくれるのを待つ、応援するのが一番の「治し方」なのです。 そして日頃から免疫力のつく生活づくりをすることが、風邪にかからない、かかっても軽く済むなど、早く治せる方法となります。 風邪対策の基本は十分な休息! わかっていてもなかなかできないのが、「十分な休息」をとるということ。よくあるのが、咳や鼻水など、風邪の代表的な症状が現れ、「風邪かもしれない」と思っても、「まあ大丈夫だろう」ですませてしまうケースです。忙しい生活を続け、そして結局、風邪をひいてしまった経験のある人は多いのではありませんか? 確かに、忙しいときはなかなか休息がとれないものです。日常生活を送っているうちに、自然に治っていることもあります。しかし、せっかく風邪のひき始めを自覚していたのに、休む時間を惜しんだばかりにこじらせてしまった場合は悔やみきれないものです。たかが風邪と軽く見ずに、十分な休息をとって安静にすることは、とても大切な風邪対策といえるでしょう。 温度・湿度コントロール ウイルスは高温・多湿に弱いです。風邪をひいている人の場合、寒いと発熱は必要以上に進むので部屋は暖かくしましょう。だからといって部屋を30度にも上げてしまうと、体の抵抗力がなくなり、良くありません。最近は一年中エアコンで快適な生活がおくれます。しかし、少しは寒さへの抵抗力を培わなければ、かえって自律神経が弱くなってしまいます。しかもエアコンだけでは、乾燥が進みます。冬は部屋を20~25度にし、むしろ湿度の方を上げましょう。部屋の湿度を上げる方が、薬を飲むよりも、よほど予防・回復にも有効です。湿度が50%になると、ウイルスは約3%の生存率しかありません。できれば加湿器を併用し、60~80%にしましょう。 バランスのとれた栄養を 忙しいと、栄養バランスがどうしても偏りがちになります。特に不足しがちなのが、食物繊維の多い食品やビタミン類です。しかしよく知られているように、風邪を治すにはやはりビタミンCが必要です。ウイルスに荒らされた細胞の再生を1~2週間で回復するように助けます。ただし、本格的な風邪のときには、通常の5~10倍は必要となるので、とても食品からでは摂りきれません。ビタミン剤や健康補助食品に頼るのも良いでしょう。特定保健用食品(トクホ)なら厚生労働省にも認められているので安心です。 風邪といえばおかゆというイメージをお持ちの方も多いでしょう。極端に食欲が落ちている場合はそれで良いのですが、食べられるうちは食べられるものを食べましょう。意外とたんぱく質なども不足しやすいので、たまごを使ったものなどが良いでしょう。とにかく栄養のあるものを食べ、水分を十分に摂ります。ただの水だけではなく、スープやヨーグルトなどもおすすめです。 これらは風邪にかかる前も同様です。特に忘れがちなのが冬の水分補給。湿度の嫌いなウイルスを水でやっつけましょう。 冬も有酸素運動 もちろん風邪にかかる前の予防としてですが、普段からウォーキングなどの運動をおすすめします。軽い有酸素運動は血行が良くなり、過剰な暖房に頼らずに体を暖める能力をつけることができます。またウイルスを発見・撃退する白血球のパトロール回数が多くなるので、それだけ風邪にかかりにくくなります。 ただし、あまり激しい運動をすると、口呼吸になり、のどの奥にウイルスが取りつきやすくなるので、気をつけましょう。 あくまで無理のない範囲で試してみてはいかがでしょうか。 手洗い 風邪にかからないためには、やはり人込みは避けたいところです。人が集まるところには、ウイルスも集まっているからです。ウイルスがたくさんついていると思われるものは何でしょうか? 推定では、カラオケボックスのマイクが一番多いとされています。続いて、公衆電話の受話器、満員電車の吊革となっています。ならばそれらに触らなければ、大丈夫なのでしょうか?ということも残念ながらありません。 ウイルスは「いない場所はない」と言ってもよいほど、そこら中に存在しています。しかし逆に、カラオケマイクに触ってしまっても大丈夫な方法があります。それは基本中の基本「手洗い」です。空気中に浮遊しているウイルスが直接のどに感染する以上に多いのが、手についたものが口に入るというパターンです。ならば、口に入る前に手から洗い流してしまいましょう。 ストレスの解消 残業、体の冷えなどで、体に余計なストレスを与えない生活を作りましょう。ストレスは自律神経を弱め、免疫力・抵抗力が低下します。これは体だけのストレスではありません。心のストレスでも、体に影響があります。ある医師によると、張っていた気持ちが急に弛んでしまったときや、心が深く傷ついたとき、ヒトは風邪にかかりやすくなります。もしかすると、あなたにも身に覚えがあるのではないでしょうか?そんなときこそ、自分に優しくしましょう。 マスク まず風邪のウイルスの玄関口が「鼻」と「のど」です。そこでウイルスを防ぎきれれば、全身が風邪になることはありません。しかし、冬は乾燥でのどが痛んでしまいます。なるべく口呼吸をしない、よく水分を摂って、のどを乾かさないなどします。そこで、おすすめが「マスク」です。 ウイルスはごく小さいものなので、マスクの繊維をラクに通りすぎることができます。それでもウイルスの侵入を約3割減らすことができます。すでにかかってしまっている人の場合、せきやくしゃみで2~3メートル先まで、10~200万個ものウイルスをまき散らすことになるので、エチケットとして使いましょう。 さらに良いのは、口や鼻が乾きにくくなることです。「ちょっとマスクは恥ずかしい…」という方は、外出中にシュガーレスのアメやガムはどうでしょうか。だ液が出て、口が乾きにくくなります。もちろん、くしゃみをするときは口だけでなく鼻までハンカチでおおってしましょう。 たばこ 喫煙者で毎年、風邪をひきやすいという人は、たばこの影響を疑った方が良いかもしれません。たばこは風邪ひきには厳禁です。たばこ1~2本でも大量のビタミンCが破壊され、のどの修復が大幅に遅れてしまいます。そして、ウイルスが取りついて大活躍している「のど」の粘膜に対し刺激が強すぎます。悪くするとウイルスをやっつけきれず、肺炎ということもありえます。 ■関連記事 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪に関するQ&A 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ!
風邪をひいたら、どうしますか?誰でもかかるものなので、その対処方も人によってさまざまな工夫や信じていることがあります。ここでは、風邪に関する「本当のところはどうなの?」を見てみましょう。 目次 お風呂は入っても大丈夫? 汗をかけば風邪が治る? こたつで寝ると風邪をひく? 冬は厚着をした方が風邪をひかない? お風呂は入っても大丈夫? 本当は入らない方が良いとは聞くけれど、汗もかいて気持ち悪いし…ということもあるはず。確かに、できれば入らない方が良いですが、熱がおよそ38度くらいまでならば、入っても大丈夫です。 ひき始めのときには、40~41度のやや高めのお風呂にサッと入るようにします。汗や皮膚についた水分は体を冷やしてしまいますので、出たらすぐ体をよくふきます。頭は洗うと冷えやすいので、洗わないで我慢した方が良いですが「どうしても」というときには、体と同様、早く乾かすことが大切なので、すぐドライヤーをかけましょう。 もちろん高熱のときには、お風呂は厳禁です。 汗をかけば風邪が治る? 正しくは「汗をかくと治る」のではなく「汗をかくと治り始めのサイン」です。無理矢理汗をかかせて、サインを早く出しても、実際に体がウイルスに勝利していなければ、意味がありません。むしろ体力を消耗するだけです。ストーブをガンガン焚くなどは、止めておきましょう。 ただし、冷やさないことは大変重要なので「暑く」ではなく「暖かく」しておきましょう。 もちろん、薄着はいけません。そのとき、汗をかいたら、体が冷えないよう、こまめに着替えたり、汗をふくようにします。 こたつで寝ると風邪をひく? 「風邪には冷やさないことが大切」となれば、一晩中暖めてくれるこたつは良いようにも思えます。ほかにも電気カーペットや電気毛布などを使っている人もいるでしょう。しかし、人間が熟睡するには、昼間よりも体温が下がっているときの方が眠りが深くなります。こうした電気の暖房器具は体温よりも高い温度で暖めるようにできています。すると、本人は眠れたつもりでも、実際には熟睡できていないので、体は疲れてしまい、風邪にかかりやすくなってしまいます。 冬は厚着をした方が風邪をひかない? 特に寒がりの女性の場合、冬といわず夏でも靴下や手袋をして寝る人もいます。当然、寝巻きは何枚も重ね着状態…。そこまで行かなくても「暖める」ことを考えると、冬は着込んで寝る人も多いでしょう。しかし、厚着をすると肌の新陳代謝が悪くなり、抵抗力が弱まってしまいます。特に手足は温度感覚のアンテナともなる場所なので、温度差に対する体の順応能力が悪くなります。 手足・体がどうしても冷えてしまう人の場合、普段からウォーキングなどの有酸素運動で、脂肪が燃えやすい体づくりをしていくと、血行が良くなり、冷えも改善されます。 ■関連記事 夏なのに風邪をひくのはなぜ? 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ!
なぜ「風邪は万病のもと」なのでしょうか?いろいろな理由が考えられますが、生活習慣病を抱える人は重症化しやすいようです。また、風邪はひどくなると、命に係わる合併症を引き起こします。たかが風邪と侮らず、しっかり治しましょう。 目次 生活習慣病+その予備軍の方は要注意! 風邪の怖い合併症 生活習慣病+その予備軍の方は要注意! ところで、なぜ「風邪は万病のもと」なのでしょうか?「風邪から体調を崩し、さまざまな合併症を起こすから」「風邪ではないけれど、まるで風邪のような初期症状の病気がたくさんあるから」など考えられます。しかし、もうひとつ別のことからも注意したいものです。 風邪にかかると、糖尿病、心臓疾患、肺疾患、腎臓疾患などの、いわゆる「生活習慣病」の人が重症化しやすいのです。こうした生活習慣病を抱える、あるいはその可能性がある人は、風邪に強い体づくり・生活づくりをする必要があるでしょう。 風邪の怖い合併症 風邪はひどくなると、命に関わる合併症を引き起こします。「たかが風邪」と侮らず、以下のような合併症に陥らないために、風邪はしっかり治しましょう。 肺炎 二次感染(風邪をひいた後に再びかかる風邪)により起こり、命の危険もあります。薬に頼り鼻水などの症状をおさえ続け、本当に必要な休養や栄養を摂らないと起こることもあります。特に高齢者は、肺活量が低下し、たんを出す力も低下しているので、かかりやすいようです。37度以上の熱が1週間以上続くようなら、専門医を訪ねた方が良いでしょう。 中耳炎 鼓膜の奥の中耳に、細菌が感染し炎症を起こしたものです。耳は、ウイルス・細菌が取りつく鼻やのどと「耳管」で結ばれており、ほとんどがそこから感染します。耳の強い痛みや難聴がおこり、進めば耳だれが出る場合もあります。専門医にかかれば、2~3日で痛みはとれますが、治ったわけではありません。難聴が残らないように完治するまで通院する必要があります。 急性扁桃炎 扁桃炎は、常在する細菌が体の免疫力が弱ったときに、その勢いを増して増殖し、体中に細菌の毒素を出して発熱を起こさせる病気です。急激にひどい寒気を伴う高熱が出たり、咽頭痛、嚥下(えんげ)痛を生じるため、食事を取ることも困難になります。ほかに、全身がだるくなったり、頭痛、関節痛や頚(けい)部痛なども生じます。 急性扁桃炎が慢性化すると慢性扁桃炎となり、リウマチ性関節炎、心筋炎、心内膜炎、腎炎など、ほかの重い病気の原因になることもあるので、十分に注意をしましょう。 必ず専門医にかかるようにしましょう。 急性腎盂炎 急性腎盂炎とは、38度以上の発熱と腰痛が主症状となる尿路感染症です。通常は、2週間ほどの抗生物質の点滴で治癒します。ただし、治療開始が遅れたり、感染症の原因菌に、投与された抗生物質が効かない場合などは、治療期間が長引くことがあります。 脳症 インフルエンザ・ウイルスなどが脳にまで至り、各種の障害や後遺症を起こす病気です。主に乳幼児に起こりやすいと言われています。熱性痙攣や意識障害などが起こる場合、脳症の可能性もあるので「たかが風邪」と侮らず、早めに対処しましょう。
やっと治ったと思ったら、続けてひいてしまうということもある「風邪」。その理由を風邪が進行していく様子とともに考えてみましょう。 目次 ひとり平均5~7回の風邪? 風邪が進行していく様子 ひとり平均5~7回の風邪? 日本人は、1年で平均 5~7回、ひと冬では2~3回は風邪をひいていると言われています。当然、本人も風邪と気がつかない程度のものもあるでしょう。しかし治ったと思ったら、ひどい風邪を続けてひいてしまう、ということもあります。その理由を風邪が進行していく様子とともに考えてみましょう。 風邪が進行していく様子 鼻・のどの奥にウイルスが取りつきます。しかし、粘液分泌細胞から、洗剤や水ならぬ、粘液が出てウイルスを洗い流します。さらにそのウイルスを含んだ粘液(たん)を、せん毛細胞が、ほうきのようにはたらいて、外に掃き出しています。 こうしたウイルス追い出し作戦がうまくいっているときは、風邪にはなりません。 ■2~3日後 鼻やのどが乾燥したり、全身の体調不良などで、ウイルスを追い出すはたらきが弱まっていると、ウイルスはのどの奥の細胞に入り込みます。大抵の場合、何種類かのウイルスが取りついています。 1時間後には100個、1日後には100万個に増え、細胞をやぶって外に飛び出します。それを体は外へ流し出そうとさらに頑張るため、鼻水がひどくなります。つまり、鼻水が多く出るようになっているときには、すでにウイルスは細胞にまで侵入しています。 ■体の抵抗! 血液中のマクロファージ(白血球)は、入ってきて爆発的に増えたウイルスを食べ続け、なんとか数を減らそうとします。同時に視床下部の体温中枢に「発熱してくれ!」のサインを送ります。 ■発熱 ウイルスは35~36度が好きなので、それ以上の発熱では増えなくなってきます。同時に熱が上がると、ウイルスに対抗する免疫物質が活発になり、ウイルスをやっつけます。また、発熱で関節などが痛くなりますので、「体が動かない=休む」ようにしましょう。 ■回復へ ここで順調に回復すれば、再びかかることは少ないようです。 インフルエンザの場合、1回目の感染の場合、体の中に抗体ができるのに約1週間かかります。しかし、一度そのウイルスに感染した後には、体の中を抗体を作るリンパ球がパトロールし、2回目にはたった1日で抗体を作ってしまうので、同じ型にはかかりにくくなっています。 ■再び風邪に? せん毛(のどのほうき役)は風邪で壊されてしまうと、復旧に2~3日の時間がかかります。この間に無理をくり返し、再びウイルス・細菌に感染すると、また風邪をひきます。ウイルスは約200種類もあるのですから、別のタイプはいくらでもあります。しかも、始めはウイルス性の風邪だったとしても、次にかかる時は、もっと恐ろしい細菌の感染が起きやすくなります。 スペイン風邪、アジア風邪など、過去に大流行した風邪での死亡は、こうした細菌感染による肺炎が原因となりました。 くれぐれも「治った!」からといって無理をしてはいけません。
風邪の原因のほとんどはウイルスによるもので、約200種類ものウイルスが「風邪の原因」として確認されています。そのウイルスが好きなのが「乾燥」です。 目次 乾燥が大敵! 風邪はありがたい(?)生活習慣注意報! 乾燥が大敵! 風邪の原因のほとんどはウイルスによるもので、約200種類ものウイルスが「風邪の原因」として確認されています。特に悪質なのが、ご存じ「インフルエンザウイルス」です。そのウイルスが好きな環境が「乾燥」。さらに人間の側にとって都合が悪いことに、ウイルス侵入を防ぐ第一の門「のど」が乾燥すると、異物(ウイルス)を排除するはたらきが弱まってしまうのです。 風邪はありがたい(?)生活習慣注意報! しかし、こうした外的な原因(ウイルスの流行や、寒さ、乾燥)以上にカギとなるのが、今の自分自身の体力や体調、免疫力です。 そしてその状況を作っているのが、次の通りあなたの毎日の生活習慣にあります。 よく12月になると風邪をひき始めますが、それはウイルスの活性化のほかに、年末で多忙となり、生活管理がおろそかになったためではありませんか? 一般的に生活習慣病というのは、体から何のサインもないため、本人の自覚症状がないままに深刻な状態に進行してしまうところが恐ろしいところです。しかし、ここにひとつの目安ができます。それが「風邪」です。 最近、風邪に何度も悩まされているようなら、それは生活習慣の危険信号として、ありがたく(?)受け止め、風邪にも生活習慣病にもかからない生活改善をしていきましょう。 ■関連記事 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪に関するQ&A 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ!
かかったことのない人はいないと思われる「風邪」ですが、風邪で病院に行っても、カルテに「風邪」とは記載されません。「風邪っぽいいくつかの症状」を「風邪」と呼んでいるにすぎないのです。 目次 2つの「風邪っぽいもの」 あなたの風邪はどちら? 2つの「風邪っぽいもの」 「風邪という病気は、この世に存在しません」と言われたら、どう思いますか? こんなにもありふれていて、かかったことのない人はいないと思われる「風邪」。しかし、風邪で病院に行っても、そのカルテに「風邪」とは記載はされません。「これこそが風邪」と特定できる病気ではないのです。 風邪は、主にウイルスによって引きおこる、呼吸器系の急性炎症の総称で「風邪症候群」と呼ばれているもの。つまり「風邪っぽいいくつかの症状」を「風邪」と呼んでいるにすぎません。その症状とは次のような極めて簡単なものです。 発熱 鼻やのどの炎症 痛み(頭、関節など) このなかの主なものが 普通感冒とインフルエンザです。 普通感冒 鼻炎症状が強いので鼻やのどが痛くなりますが、一般的に軽い症状です。経過も良好で、ほとんど1週間で治ってしまいます。 主な症状は、くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛みで、発熱はあまりありません。全身がだるい・頭痛などの症状もありますが一般に軽いです。 インフルエンザ 普通の風邪が咳、のどの痛みから始まるのに対し、寒気やだるさ、関節や筋肉、頭などの 全身の痛みで始まります。熱は高く39~40度にもなり、それが長く続きます。 1~3月に主に流行します。 全身症状が強く、食欲減退、吐き気、下痢などが起こります。 65歳以上の高齢者がかかる場合、死亡率が高くなります。 あなたの風邪はどちら? インフルエンザと普通感冒は、その進行や症状がさらに以下のように異なっています。自分や家族の風邪の正体を把握しましょう。 インフルエンザと普通感冒の違い インフルエンザ 普通感冒 伝染性 大きい20~40%強くない 発病 急性徐々に 初期症状 寒気、頭痛くしゃみ、鼻水、のどの乾き 主な症状 発熱、全身痛などの一般全身症状鼻水、鼻づまり、くしゃみなど鼻やのどの症状 寒気 強いない。あっても弱い 発熱 39~40度37.5度程度 筋肉痛 頭、腰、関節、筋肉など全身に強いないか軽い。あっても頭痛程度 全身のダルさ 強い軽い 食欲不振 あるない 鼻炎・鼻水 後から少しある始めからある 咳 強いない、あるいは軽い 目の結膜充血 しばしばある普通ない 経過 やや長引く。一度ひいた熱がまた上がる場合もある短期間のことが多い 病原 インフルエンザウイルス主にライノウイルスなど 経過後の免疫 あり。3~4ヵ月は続く短期 ■関連記事 市販の風邪薬、もっと上手に利用しよう 風邪と間違いやすい病気 家族がインフルエンザにかかったら!?看護の注意点
昔、おばあちゃんから「風邪には辛いものが効く」と言われたことはありませんか?この効果を科学的に検証しました。風邪に効く特性スープのレシピもご紹介します。 目次 痰を除くはたらきがある 免疫力を高めるはたらきもあるとうがらし 風邪に効く!? 特製とうがらしスープ 痰を除くはたらきがある 昔、風邪をひいたときにおばあちゃんから「風邪には辛いものが効くのよ」と言われたことはありませんか?日本では、とうがらしよりもねぎやしょうがなどがよく用いられたようですが、とうがらし大国のひとつ、インドの医学書では、とうがらし入りのお湯でうがいをすることなどが勧められていました。 そんなとうがらしの薬用効果を、科学的に解明しようとする研究者が増えています。それらの研究からわかってきたことは… ●風邪をひくと咳が出る。どうして? 鼻の中から気管支、肺まで、すべて粘液に覆われています。粘液には肺の奥で作られるものがあり、気管支、鼻や口へと登って蒸発しています。重力に反して粘液が上っていけるのは、粘液がサラサラの液体だからです。 ところが風邪などの呼吸器系の病気になると… 粘液が濃く、ねばねばしてきます。 健康なときのシステムで、粘液を鼻や口まで運べなくなります。 咳が出ます。咳をして粘液を鼻や口に運ぼうとします。 また、粘液がベッタリはりつくことで、気管内に炎症を引き起こします。 ●咳止め薬の役割は? 咳止めの飲み薬は、まず胃粘膜の細胞を刺激して、脳の「粘膜運動中枢」に信号を送ります。この信号を受けて脳は気管支の分泌腺に「水分を出して粘液を薄めろ!」という命令を送ります。 実は、とうがらしの辛味成分カプサイシンにも、これと同じようなはたらきがあります。 免疫力を高めるはたらきもあるとうがらし とうがらしを食べると白血球の一部が活発に動くようになるという報告もされています。とうがらしを食べた12時間後に、その動きが3倍も良くなったといいます。白血球にはウィルスから体を守るはたらきがあります。その動きが良くなるのだから、ウイルスなどの外敵への抵抗力も強くなると考えられています。 風邪に効く!? 特製とうがらしスープ 風邪に効く食べ物はとうがらしだけではありません。しょうが、にんにく、ねぎなど、日本でよく使われる香味野菜には、殺菌、抗菌力など風邪を治す成分が含まれています。「風邪ひいたかな?」というときに、これらをたっぷり使ったスープを飲んでみましょう。いろいろな作り方がありますが、もっとも簡単にできる方法をご紹介します。材料は、好みに応じて増減してください。 特製とうがらしスープ ■材料(1人分) しょうが、にんにくを1/2かけ、ねぎのみじん切り大さじ1杯、とうがらしのみじん切り(小口切りでもいい)を小さじ1杯、インスタントスープ(お吸い物、中華スープ、コンソメスープなど) ■作り方 しょうが、にんにくは、みじん切りにする(おろしてもいい)。 にんにく、しょうが、ねぎ、とうがらしを少量の油でいためる。 香りが出たらスープの分量の水を入れ、煮立ったらスープの素を入れてとかしてできあがり。
ヒトの体温は何度まで上昇可能!? 私たち哺乳類は定温動物である。 定温動物とは、気温に関わらずいつも体温を一定に保つことができる動物のことである。 「そんなこと知っているよ!何をいまさら」と思われた方も多いかもしれないが、ここからが問題。 体温を一定に保つメカニズムはどのようになっているのだろうか。 体温を維持する中枢は間脳の視床下部にあり、外気温や血流温度に合わせて体温を調節している。 例えば外気温が高い場合、視床下部の温熱中枢を刺激し、体温調節中枢の設定温度を低くして体熱の放散を図ろうとする。 運動をしたときや真夏日に汗をかくのは、発汗によって体熱を放散させようとするため。 逆に外気温や血流温度が低いと、視床下部の冷中枢を刺激して体温調節中枢の設定温度を高くし、熱の放散を抑制する。 寒いと体がガタガタふるえるのは、筋肉を動かすことによって体熱を生産し、体温を上げようとするためなのだ。 体温計が42度までしかない理由 こうして私たちの体は平熱に保たれているわけだが、この平熱にも個人差がある。 概して女性の方が男性よりも体温の低い人が多く、35度の女性もいる。 普通、平熱と言われるのは35~36.5度ぐらい。 しかし健康であってもいつも体温が一定というわけではない。 朝方より夕方の方が体温が高くなるし、興奮すればアドレナリンが分泌されて体温が高くなる。 だから平熱が高い人は、強い緊張にさらされることで、アドレナリンがつねに分泌されている可能性が高い。 発熱とされるのは、37度以上。 体温が1度上昇すると13%代謝が増加し、発汗、倦怠感という症状が出る。 気温が1度上がるのと違って、体温が1度上がるのはかなり人体に負担がかかると言うわけだ。 ところで体温計をよく見ると目盛りは35度から42度までしかない。 これはヒトの体を構成するタンパク質の性質と大きな関係がある。 タンパク質は熱で凝固する性質がある。 この凝固の温度が42度以上。 つまり42度以上熱が出てしまったら、ヒトは生命を維持することが不可能になる。 では逆に低温にはどれだけ耐えられるのか。 医療の現場では35度以下を低体温といい、体温を上げるための処置が必要になる。 低体温になると意識の混濁や脈が激しくなるなどさまざまな症状が現れる。 そして20度で心臓が停止してしまうのだ。 ■関連記事 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために
風邪と言えば冬にひくのが普通。冷たい北風に乾いた空気。 これにさらされる冬こそ風邪のシーズン。 ところがこんなに猛暑の夏でも風邪をひくのはなぜ? 暑さと風邪、ここに何か関係があるのか? 「夏風邪はバカしかひかない」と言われる理由 昔から「夏風邪はバカしかひかない」という言葉をよく耳にする。 この言葉の意味をO社のOL、Sさんは「本来寒い冬にひく風邪を暑い夏にひくなんて、頭のネジが緩んでいるってことでしょ。 私、去年夏風邪をひいたときに、会社の人たちからバカしかひかないって言われてメチャクチャ腹が立ったわ」と言ったが、夏風邪=ネジが緩んでいるというのは果たしてホントなのだろうか? 今は引退されて悠々自適の生活をされている元医師のKさんによれば、昔の夏風邪の原因はお腹の冷えにあったという。 エアコンのない時代、あまりの暑さに体に何も掛けずにお腹を出して寝てしまったり、冷たい物を飲み過ぎたりした結果、体を冷やして風邪をひくことになったという訳だ。 「そういうふうに考えなしに行動してしまう人が風邪をひくので、バカしかひかないと言われるようになったんじゃないかねぇ。」 なるほど。ということは、Sさんの言う「夏風邪=頭のネジが緩んでいる」説は正しいのかも知れない。 昔と今では全然違う!?夏風邪の原因 ところで、最近の夏風邪はオフィスのエアコンが原因になっているようだ。 そう、エアコンによる冷やしすぎが夏風邪のもとっていうわけ。 エアコンで空気も乾燥しているし、さらに外気温と室温の差が激しいので、体に負担がかかり抵抗力もダウン。 昔の原因のようにノンキなものではない。 これで風邪をひかなかったらウソってぐらい劣悪な条件が揃っているのだ。 だからSさんが風邪をひくのもごもっとも。 別に頭のネジが緩んでいる訳ではない。 防護策としてはエアコンの設定温度を上げる。 それが無理ならオフィス用に上着や膝掛けを用意するなど、体温調節できるようにすること。 まさに「エアコンを制した者は夏風邪も制す」なのである。 ■関連記事 「今年は夏風邪をひかないぞ」宣言! 風邪をひいたとき、その体内は? 風邪を引き起こすウイルスはこんなヤツ! 風邪に関するQ&A