近年、若者の献血に対する認知・興味が薄れていることもあり、献血者数が激減しています。今回は改めて献血について基礎知識をご紹介します。 目次 献血とは 献血の手順 血液の行方と血液不足 献血とは 血液は人の生命維持に欠かせない役割を担っているが、人工的に造ることができません。そこで病気やけがで血液を必要としている人々に血液を供給するため、献血を呼びかけ、血液をストックすることが必要になります。 献血は、日本赤十字社が運営する献血ルームや献血バスで行うことができ、その際、患者の副作用発生が低く、安全性が高いとされている成分献血や400mL献血が求められることが多いようです。 献血の種類 説明 成分献血 成分採血装置を使用し、血小板や血漿といった特定の成分だけを採血し、体内で回復するのに時間のかかる赤血球は再び体内に戻します。体への負担も軽く、多くの血漿や血小板を献血できるという特長があります。 全血献血 血液中の全ての成分を献血する方法。400mL献血と200mL献血があります。 200mL献血 全血献血で、1回の採血量は200mL。複数の献血者からの血液をあわせて一人の患者さんに輸血するほど、副作用発生の可能性が高くなるため、400mL献血の方が安全性が高いといえます。 400mL献血 全血献血で、1回の採血量は400mL。200mL献血に比べて献血量 が多いことから、少ない献血者からの輸血できるので、安全性を向上させることができます。 Q. 献血は何歳からできるの? 16~69歳の健康で血液成分や体重が献血基準を満たしている男女。 ただし65歳以上の献血については、献血者の健康を考え、60~64歳の間に献血経験がある人のみ受けることができます。 献血の手順 実際に献血はどのように行われるのでしょうか。 1. 受付 日本赤十字社が運営する献血ルームや献血バスなどの献血会場へ行き、献血に関する説明などを受けた後で受付を行います。 2. 献血カードなどの提示 受付時に献血カードを持っている場合は提示、そうでない場合は本人確認のため身分証明書の提示が必要となります。 3. 問診 受付終了後は健康状態を問診表に記入し、献血者の健康を守るためと、血液を必要としている患者をウイルスなどの感染から守るため、医師による問診を行います。 4. 血液検査と献血 その後、血液検査により貧血、血液比重またはヘモグロビン量の測定と血液型の判定を行い、成分献血の場合は、さらに血小板数などの測定も行い献血可能な状態と判断されると採血ベッドに横になり献血が始まります。個人差はありますが、採血にかかる時間は、400mL・200mL献血で10~15分程度、成分献血は採血量に応じて45~90分程度です。 5. 終了 献血終了後は、用意されたドリンクなどを飲みながら休憩場所でしばらく体を休めた後、献血記録を入力した献血カードを受け取り終了します。 希望者には献血後に7項目の生化学検査成績を、成分献血・400mL献血者には、8項目の血球計数検査成績を郵送してくれるので、献血をすることで自分の血液成分の状態を知ることができます。 ■「献血後成分通知」で確認することができる症状 ALT(GPT)/AST(GOT)/γ-GPT/総蛋白/アルブミン/アルブミン対グロブリン比/コレステロール/赤血球数/ヘモグロビン量/ヘマトクリット量/平均赤血球容積/平均赤血球ヘモグロビン量/平均赤血球ヘモグロビン濃度/白血球数/血小板数 ※さらに上記に加え、平成21年3月中旬より糖尿病検査(グリコアルブミン検査)も加えられる予定 血液の行方と血液不足 献血により集められた血液は、血液センターに運ばれ、血液型検査や感染症予防のための抗原・抗体検査、献血後にお知らせする生化学検査などを行い、検査結果と照合し、すべて合格した血液のみが輸血用血液製剤となり冷蔵庫や冷凍庫などでそれぞれの製剤に最も適した条件で保管され、医療機関から発注が入り次第供給されます。 冬場になると献血に足を運ぶ人が減少傾向にあり、さらに平成7年から19年で若者の献血者数が半分に激減していることもあり、血液不足が深刻化しています。 若者に献血を身近に感じてもらおうと、成人式を前に二十歳の献血キャンペーンなどを行ったり、献血ルームでネイルや占いなど、若者が興味を持つようなサービスを行なうなどして、献血への認知や参加を呼びかけています。 献血に協力することで他人の命を救うことができるかもしれないので、まだ経験したことがない方は、まずは一度行かれてみてはいかがでしょうか。 公開日:2009/02/02
健康診断結果、読み解こう! 会社や学校でおこなわれる健康診断。結果の読み方がよくわからず、もらいっぱなしの人も多いのでは?診断結果には体からのたくさんのメッセージが秘められている。読み方を知って、健康度アップにつなげよう! 血圧検査 【血圧値の目安】 血圧は「血液サラサラ度」を知るための大切な手がかり。血液がネバネバしてくると流れにくくなり、より強い力で循環させなくてはならなくなる。その結果、血圧が高くなってしまうというわけだ。高血圧の人は血管に負担がかかり、詰まったり破れたりといった大事故が起こりやすくなる。血圧検査をチェックする前に知っておきたい言葉がある。「最大血圧」と「最小血圧」だ。最大血圧とは心臓がぎゅっと圧縮し、血液が押し出された瞬間の血圧のこと。最小血圧は心臓が広がり血液をため込んでいるときの圧力のことを指す。 その他の検査 ■脂質検査 基準値 こんな結果が出たら要注意! 総コレステロール 140~219(閉経後の女性は150~239) 総コレステロール、中性脂肪のいずれか一方でも基準を上回れば高脂血症とされる。反対に低すぎると問題になるのがHDLコレステロール(善玉コレステロール)。基準値を下回る場合は動脈硬化などを引き起こす可能性が高い。 HDLコレステロール 男性:40~99 女性:50~109 中性脂肪 30~149 ■肝機能検査 基準値 こんな結果が出たら要注意! GOT 35以下 GOT、GPTが高い人は急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんに注意。薬の副作用、アルコール性肝障害の可能性もある。γ-GTPが高い場合はお酒の飲み過ぎの可能性も! GPT 35以下 γ-GTP 55以下 ■血液一般検査 基準値 こんな結果が出たら要注意! 赤血球 (RBC) 男性:400~539女性:360~489 赤血球、血色素、ヘマトクリット値が基準値より低いあなたは貧血に陥っている可能性がある。胃潰瘍や痔、腎臓病、女性なら子宮筋腫を発症している恐れも…。白血球が少ない場合は感染症にかかりやすくなっているといえる。逆に白血球が多ければすでに感染症を発症している危険もある。 血色素 (Hb) 男性:13~16.6女性:11.4~14.6 白血球 (WBC) 3.2~8.5 血小板 (PLT) 13.0~34.9 ヘマトクリット値 (Ht) 男性:38.0~48.9女性:34.0~43.9 検査でわかる こんなこと! 最近は、健康診断以外にも肥満や血管年齢などを測定できる検査がある。 「私って太りやすい体質なの?」……肥満遺伝子検査 自分の肥満遺伝子がどんなタイプで、どこが太りやすいか、どうすれば肥満を防げるかがわかる。市販キットを使えば家庭で手軽に検査でき、結果を届けてもらえる。 「血管の若さ、教えて!」……血管年齢測定器 病院などに設置されている。センサーに指先を乗せるだけで、末梢血管の柔軟性を測定。簡単に血管年齢が測定できる。運動不足や病気の兆候をいち早く見つけることも可能だ。 「隠れ肥満だったらどうしよう」……内臓脂肪計測ソフト 腹部CT写真によるPCソフト。パソコン画面上で皮下脂肪と内臓脂肪とを色分けし、内臓脂肪面積を測定する。全国の病院で導入。
正常値のワナに気をつけよう 検査結果が正常値だからといって安心するのは早い。正常値はあくまで参考値にすぎないからだ。たとえ正常値でも、正常上限や正常下限ギリギリの場合は要注意!こんなときは、いくつかの項目を関連づけて見るようにしたい。 たとえば肝疾患の危険があれば、GPTという酵素の活性が上昇するが、この場合、同時にGOTやLDHも高くなりがち。この3つがともに高めの数値なら、たとえ正常値の範囲内でも発病に注意したほうがよい。 また、「総コレステロール値が正常上限ギリギリで、HDL コレステロールは正常下限ギリギリ」などという場合は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の割合が高い可能性がある。 「逆白衣高血圧」と「白衣高血圧」って? 精神状態などによる変動にも気をつけたい。有名なのが、病院で測ると普段より血圧が低めに出る「逆白衣高血圧」現象。職場ではストレスが多く、血圧が上昇するが、病院では気持ちがほっとして低血圧になるのだ。その反対に、「白衣高血圧」現象もある。白衣の医師や看護師を見ると、つい緊張して血圧が上昇してしまうことを指す。 このほか時間や薬の服用による変動もある。たとえば、健康な人の血圧は、夜寝ている間は低いが、朝方にかけて上昇しはじめ、昼間は高くなる。だが、降圧薬を服用している人では、昼間の血圧が正常でも、朝の血圧が特に高くなる「早朝高血圧」になることが多い。また、寒い冬は血管が収縮し、高血圧になりがちだ。 まずは日ごろから自分の通常値をきちんと把握することが大切。ふだんに比べて、大きな変動が見られたら医師に相談して原因解明するようにしよう。 とくに以下の検査の数値は、個人差が大きく出るので注意しよう。 血圧 煙草を吸う人、糖尿病患者、60歳以上の男性や閉経後の女性は血圧が上がりやすい!時間帯によっても変動しがち。 肝機能 γ-GTPはお酒を飲み過ぎると上昇し、やめると下がる。 自分でできる血管年齢チェック その1・キラキラ星テスト 両肘を曲げて胸の高さに。手のひらを手前に向けた状態から、手首を回し、キラキラ星の振り付けのように手のひらと手の甲を繰り返し回転させる。これをできるだけ早く15秒続ける。 15秒間に25~30回程度、左右の手を規則的に動かせれば問題なし。左右の動きが不規則になってしまう場合や、速度が遅い場合は要注意!小脳の障害や脳出血、脳梗塞を発症している可能性もある。 その2・耳たぶチェック 耳たぶに横じわがスーッと入っている人は要注意!こうした人々は、心電図の結果に異常があったり、善玉コレステロールの値が低下したりしているケースが多いのだ。動脈硬化による血液循環阻害により、皮膚が萎縮してできたしわと思われる。
診断結果が心配なら! 健康診断の結果を見てショックを受けているあなたは、今すぐライフスタイルや食生活を見直してほしい。お酒の飲み過ぎや喫煙、不規則な生活はNG。脂っこい食事や偏食も改めよう。忙しい生活を送っているととかく栄養バランスが偏りがちだが、サプリを上手に利用すれば健康をより強力にサポートできる。検査結果別のおすすめ成分はコレ! 脂質検査で異常値!ドロドロ血液のあなたは? 総コレステロールや中性脂肪が高く、HDLコレステロールが低い人は、血管壁に血液中の汚れがかなりたまっているはず。動脈硬化を引き起こす可能性が大だ! 紅麹 紹興酒の材料として、または漢方薬として、古くから中国で利用されてきた。沖縄でも「豆腐よう」という食材に使われている。血液中コレステロールを低下させる薬「スタチン」の成分を含んでおり、高脂血症の予防や改善に役立つ。また、脳の血流を整えるはたらきもあり、体の冷えやほてりを改善してくれる。 レシチン 細胞膜を構成するおもな成分がこれ。食品では大豆や卵黄、食肉などに含まれる。コレステロールが胆汁とともに排出されるのを助けるため、高脂血症に効果的。このほか、脳の細胞膜を安定させるのでアルツハイマー病の予防や改善にもよい。肝炎にも効果がある。 血糖値が高い!ベタベタ血液のあなたは? 血糖値の高い人は、過剰な糖で血液がベタベタ状態になっている。血糖をエサに集まる、カビや細菌も大繁殖!また、血管壁にくっついた血糖はたんぱく質と化学反応し、このときに出る活性酸素が血管壁を傷つけてしまう。 バナバ ミソハギ科の植物で東南アジアや中国南部、オーストラリアなどに見られる。和名はオオバナサルスベリ。葉に含まれるエキス「コロソリン酸」にインスリンと似た作用がある。ミネラルも豊富。 ヤーコン 中南米アンデスで栽培されていた野菜。見かけはサツマイモに似ているが、食べてみるとナシのような味がする。腸内善玉細菌のビフィズス菌を増やす「フラクトオリゴ糖」が豊富。葉にもインスリンに似た成分が含まれる。ビタミンBや亜鉛、鉄などのミネラルも多い。 桑の葉 古くから中国や日本に伝わる糖尿病薬。葉に含まれる成分「デオキシノジリマイシン」はブドウ糖を分解する酵素のはたらきを抑制し、小腸から血液中へのブドウ糖の吸収を緩やかにする。葉を乾燥したお茶はダイエット茶として知られている。 血圧が高い!ボロボロ血管のあなたは? 血液がドロドロになると、血圧も高くなる。すると血管壁はダメージを受け、厚く硬くなって動脈硬化を招いたり、破裂したりする。 GABA(ギャバ) 玄米の胚芽やかぼちゃなどに含まれている。血圧を下げ、イライラを抑える効果がある。このほか、コレステロールを低下させる作用、中性脂肪を減らすはたらきもあり、血液をサラサラにしてくれる成分といえる。 もろみ酢 米と水、黒麹で作る、沖縄特産の焼酎「泡盛」の副産物。お酒を絞ったあとの「もろみ」が原料で、クエン酸が豊富。クエン酸には血圧を抑えるほか、コレステロール値を下げる効果があるとされる。また、エネルギーを活性化させたり、疲労物質の乳酸をできにくくしたりするはたらきもある。脂肪の合成も阻害する。
3日間でサラサラ血液を手に入れよう! 糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などを招くドロドロ血液やベタベタ血液、ボロボロ血管。健康診断の数値に異常があった場合は、血液や血管にこうした問題を抱えている可能性が高い。サラサラ血液に戻すため、まずは3日間でよいから生活の改善をしてみよう。 血液サラサラパワー ベスト7 青魚に含まれる。もっとも多いのはマイワシ。次がマグロ、サバ、ブリの順。コレステロールや中性脂肪を下げてくれる成分。また、血小板を固まりにくくする成分と固める成分の産生バランスを整え、血栓をできにくくする。 青魚に豊富。もっとも多い魚はマグロ。2位がサバとブリ。次いでサンマ。生活習慣病を予防。 納豆のネバネバした糸に含まれる成分。血栓を作る「フィブリノーゲン」に直接作用し、血栓を溶かす。 大豆に含まれるポリフェノールの一種。女性ホルモン「エストロゲン」と似たはたらきがあり、女性の更年期障害に効果的。 アーモンドやクルミ、胚芽油、卵黄、レタスなどに含まれるビタミンEの1種。強い抗酸化作用で知られる。油に溶けやすく、体内の油に入り込んで酸化を防ぐ。 ニンニクに含まれる「アリシン」という匂い成分や「含硫アミノ酸」という辛味成分は、抗酸化作用やコレステロール低下作用が高い。また、このアリシンはビタミンB1の吸収を高めるため、スタミナ補給に効果があるとされている。 香酢は中国料理で使われる調味料。アミノ酸や有機酸が多く、コレステロールや中性脂肪を低下させる、という報告も。スタミナ不足や体調不良が気になる人にもおすすめの成分。 運動や睡眠でもOK!サラサラ血液への道 簡単な体操だけでも、血液は変わる。たとえば、ウォーキングなどはどうだろう。酸素を体内に大量に取り入れられるウォーキングには、血圧低下効果や血糖値低下効果、心肺機能増強効果、コレステロールや中性脂肪の低下作用、ストレス解消効果があることがわかっている。また、腰から下を左右に振って動かす金魚運動も高血圧に効果的だ。 また、心地よい眠りはサラサラ血液への近道!よく寝付けないという人は寝室の環境改善をしてみては?寝具を変えてみたり、アロマテラピーをしてみたりするのもおすすめ。足がだるい人には足枕もよい。趣味に没頭するリラックスタイムも必要。心身の緊張が強い人は、おなかを膨らませながら息を吸い、吐きながらへこませる腹式呼吸を試してみて。
顔でわかる!あなたの血液状態 健康診断で受ける血液検査。「LDL」「HDL」並んだ数値を前に、「よくわかんないから、まーいいや」と気にせず過ごしていないだろうか?約1分で全身をめぐる血液には、どこにどんなトラブルが起こっているかという情報が取り込まれている。いわば体の回覧板のようなもの。その血液の状態から、体にトラブルが生じているかどうかチェックすることができるのだ。 血液の状態を知るために、日頃から行いたいのが、「顔」で調べるセルフ健康診断。あなたの「顔」の状態から、血液の状態がわかるのだ。毎朝、鏡を見るときに簡単にチェックしよう。 顔がむくむ 腎臓などの血管に動脈硬化が起こっているせいかも?朝起きたとき、手の指が腫れていたら注意してみよう。 顔色が青白い・まぶたの裏が白い ヘモグロビンが減少している状態。貧血の可能性が大きく、消化器潰瘍の疑いも。 顔色が赤い 赤血球が多すぎ。血液が濃くなると、凝固しやすくなる。心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる。 目の周りが黄色い 血液中のコレステロール、中性脂肪多し。心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクも高い。 舌の表面が赤く、つるっとした感じ 赤血球に異常、悪性貧血の疑いあり。 ビタミンB12、葉酸不足の可能性も。 吹き出物が出やすい 血液中にブドウ糖が増え、抵抗力が低下しているせいかも。糖尿病の心配もあり。 耳にしこりがある 耳穴周りの貝殻上の部分にあらわれれば、血液中の尿酸濃度が高いかもしれない。 もちろん、健康診断でわかる血液検査での値は、自分の血液の状態、ひいては体の状態を知るために見逃せない重要な情報。それぞれの項目の見方を知っておき、血液の状態をチェックしよう! 血液からわかるこんなリスク! 動脈硬化 ●LDLコレステロール値 この値が高く、なおかつ活性酸素によって酸化が起こった場合は、悪玉コレステロール増加の危険が。動脈硬化を招きかねないので気をつけよう。 ●HDLコレステロール値 善玉コレステロール値のこと。動脈硬化リスクを下げてくれる。 糖尿病 ●空腹時血糖値 血液中のブドウ糖量を指す。腎臓から血糖が尿の中にあふれてしまうと糖尿病へと発展していく。 ●ヘモグロビンA1c この値が高い場合は、高血糖状態が以前から続いている可能性あり。 心筋梗塞・肝機能障害 ●GOT 心臓と肝臓に多く含まれた酵素のこと。数値が高ければ、心筋梗塞や肝機能障害の疑いあり。 ●GPT 肝機能にかかわる酵素。GOTとともに高ければ、肝機能障害の可能性はますます大きいので気をつけて。 脂質 総コレステロール(mg/dl) 140~219 LDLコレステロール値(mg/dl) 60~139 HDLコレステロール値(mg/dl) (男性)40~99(女性)50~109 中性脂肪(TG)(mg/dl) ~150未満 血糖 空腹時血糖値(mg/dl) ~110未満 ヘモグロビンA1c(%) ~5.8 尿酸 尿酸値(mg/dl) ~7.0 肝機能 GOT(AST)(IU/I) ~35 GPT(ALT)(IU/I) ~35 γ-GTP(IU/I) ~55未満 血液一般 ヘモグロビン(血色素量)(g/dl) (男性)13~16.6(女性)11.4~14.6 血小板数(PLT)(万個/mm3) 13.0~34.9 血圧 収縮期圧(mmHg) 90~139 拡張期圧(mmHg) 90未満 参考:日本人間ドック学会 肝機能に異常をきたしているときは、アミノ酸を分解するγ-GTP、糖を分解するLDH、たんぱく質を分解するLAPも高くなる。標準値を超えている場合は気をつけよう。 ただし、基準を上回らなければそれでよいというものではない。例年との違いがあれば、要警戒!毎年の検査結果は必ず保管しておき、年に一度、健康診断の結果が出たときにだけでも前年の結果を引っ張り出して比較しておこう。
血液検査の値に問題がなくても、安心するのはまだ早い。結果に異常がなくとも、血液の流れが悪い場合には、生活習慣病のリスクは高いのだ。例えば、テレビ番組で芸能人が血液の流れをチェックしているシーンを見たことがないだろうか。ドロドロとした血液の流れはかなり衝撃的だが、悲しくも他人ごとではないのである。 血液タイプとは? 毛細血管の太さはたった7ミクロン。これに対し、赤血球の直径は8ミクロンある。したがって、赤血球が血管を通るためには、細く長くしたり厚くしたり、形を自在に変えなくてはならない。ところが、ドロドロ血液の人は赤血球の形をうまく変えることができず、血管をつまらせてしまう。その結果、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などさまざまな病気へと発展してしまうのだ。 しかも最近は食生活の乱れなどにより、中高年だけでなく若い人の間にもドロドロ血液が増えているとか。さて、あなたの血液タイプは!? サラサラ血液 よどみなく流れており、体のすみずみまで酸素と栄養分を送り届けることができる。バランスのよい食生活や運動習慣を保っている人は、健康な血液を維持できる。 ドロドロ血液 赤血球や白血球が通路につかえたり、血小板が互いにくっつきあうなどして流れが悪くなっている状態。コレステロールや中性脂肪が多い人、肥満の人は要注意だ。 ネバネバ血液 高血糖のため赤血球の膜が変質してしまい、柔軟性が低下している。毛細血管の中を赤血球が通りにくくなり、団子状に固まっている状態。甘いもの好きの人は気をつけて! ベタベタ血液 活性酸素が体内に増えているため、白血球が粘着力アップ!白血球同士が互いにくっつきあい、血行が悪くなっている状態。ストレスの多い人、過労の人、喫煙家がなりやすい。 ザラザラ血液 血小板のはたらきが必要以上に高まっている状態。互いに集まり、血液がザラザラに。お酒の飲み過ぎ、甘いもの好きの人に多い。 サラサラor不健康?血液タイプチェック! 以下の項目に当てはまるものが多ければ、血液が不健康な可能性が高いかも。自分のライフスタイルを見直してみよう。 ■揚げ物や肉料理をよく食べる ■甘いものや果物をよく食べる ■1日1回以上、外食をする ■酸っぱいものはあまり食べない ■この数年間で5kg太った ■たばこを吸っている ■お酒を飲み過ぎてしまう ■運動するのは週1回以下 ■移動に車を使い、あまり歩かない ■ストレスは多い方だ ■疲れがなかなか取れない ■肩こりや腰痛がある
ドロドロorサラサラ?血液タイプチェックで、当てはまる項目が多かったあなた。「血液がドロドロだ~」なんて落ち込むのはまだ早い。血液がドロドロになる原因の多くは、偏った食生活や運動不足によるものといわれている。いまからサラサラ血液を目指そう! まずは、食生活と運動習慣を見直そう! 若者がよく口にする、カロリーの高いファーストフード。エネルギー過多となる一方、運動はほとんどしないという人が多い。また、加工食品の影響も深刻だ。「動物性脂肪が多い」「食物繊維が少ない」「鉄分やたんぱく質が少ない」「酸化した油脂が含まれている」などさまざまなマイナス要素を含んでおり、食べ過ぎると血液にも負担がかかってしまう。 食事の内容だけではなく、食べ過ぎに気をつけたり、お酒やたばこを控えることも大切。そのほか、気をつけたいポイントを挙げておこう。 気をつけたいポイント ●水分を摂る 運動後はもちろん、朝や入浴後にも摂るようにしよう。実は、寝ている間や入浴時には結構汗をかいているのだ。汗をかいて体内の水分が失われると、それだけ血液もドロドロしてしまう。 ●ストレッチで体をほぐす 朝起きたときや寝る前には、ベッドの上でゆっくり全身を伸ばしてみよう。リラックスするとともに、血液の流れもスムーズに。 さらに、サラサラ7成分で血液サラサラ! 血液をサラサラにするには、DHA、EPAなどの魚に含まれる栄養素を活用するとよい。サラサラ血液になるための救世主、「血液サラサラ7成分」を紹介しよう。日頃の食生活に積極的に摂りいれてみよう! サラサラ7成分 ■DHA 赤血球や細胞膜や血管壁を柔らかくするので、血液がサラサラに。余分なコレステロールも効率良く処理される。血中コレステロールも抑制。皮下脂肪の主成分である中性脂肪の増加も抑えられる。アジ、サバ、イワシなどの青魚に豊富。 ■EPA 血液を固まりにくくし、血管をしなやかに。高脂血症を改善するので、肝機能がアップ。中性脂肪の排泄効果が促され、血液がサラサラに。アジ、サバ、イワシなどの青魚に含まれる。 ■ナットウキナーゼ 納豆のネバネバ成分。血管が老化すると、血液を固める成分と溶かす成分のバランスが崩れがち。ナットウキナーゼは余分な血栓を溶かし、脳梗塞や心筋梗塞、エコノミー症候群を予防してくれる。 ■食物繊維 腸をすみずみまできれいに掃除してくれる成分。コレステロールの吸収を抑制するため、血液がサラサラになる。 ■硫黄化合物 血小板の凝集を防いでくれる。タマネギやネギなどの辛味成分に豊富。 ■ポリフェノール 活性酸素に対抗する、抗酸化物質のひとつ。活性酸素を除去することで、血液を健康体に。赤ワインやチョコレート、黒豆などに含まれる。 ■クエン酸・酢酸 赤血球をやわらかくし、自在に形を変えられるようにする。結果的に血流が改善。梅干や食酢などに多い。
健康診断の意義と必要性が今、変わろうとしています。これからどう変わるのか、また注目される在宅検診の現状と、今後の普及が期待される在宅検診での血液検査についてご紹介します。 目次 血液はどこで作られるのか 血液は、何で分類されるのか 血液は何でも知っている !? 血液はどこで作られるのか さて、最初にクイズをひとつ。血管があらゆる器官を含めた体のいたる所へと行き渡り、大量の血液が私たちの体内を循環していることは誰でも知っている。では、その血液は、体内のどこで作られているのだろうか? 実は血液のうち、赤血球、白血球、血小板の3種の血球類は、骨髄の中で作られているのだ。赤ちゃんの場合は、ほとんどすべての骨の骨髄で、大人の場合は頭蓋骨、脊椎(せきつい)、肋骨などの骨髄で作られている。 血液は、こうして作られた血球類と、養分を含んだ黄色っぽい液体=血漿(けっしょう)が混ざりあってできている。血液中の割合は、血球類が40~45%、血漿が50~60%。もちろん、血漿がなければ、血球類は全身に行き渡ることができない。 そして、驚異的なことに、たった一滴の血液の中には、なんと赤血球が約500万個、白血球が5,000~1万個、血小板が約25万個も含まれている。わずか一滴といえど、血液は奥が深いのだ。 血液の成分の図解 血液は、何で分類されるのか 血液型の分類として、誰もが知っている「ABO式」。これは1900年、ウィーン大学の病理学教室の助手だったK・ラントシュタイナーが発見し、その後、ドイツのデュンゲルン博士によって論理立てられたもの。ABO式とは、赤血球の表面の膜についている抗原のタイプによって分類されるもので、違うタイプの血液を輸血すると、最悪の場合、ショック死してしまうこともあるものだ。 ちなみに、このABO式による性格判断が日本ではよく話題にのぼるが、現在のようなカタチで体系立てられたのは日本でのこと。欧米ではあまり取り上げられることがないようだ。と言うのも、ABO式による性格判断は、一歩間違えば差別を生みかねないからだ。事実、白人の有色人種差別に使われたり、旧日本軍では兵士の能力差別に使われたこともあったとか。現在の国際社会を考えると、ABO式による性格判断は楽しむ程度にしておきたい。 血液型の分類には、他にもさまざまある。よく知られているもうひとつの分類「Rh血液型」も、赤血球の血液型の一種。D抗原というものを持つか持たないかでRh(+)とRh(-)に分類される。 また、臓器移植の際に重要となるのは、「白血球の血液型」とも呼ばれるHLA(ヒト白血球型抗原)。白血球の表面にある抗原で、非常に複雑。大きく分けるとA座、B座、C座、DP座、DQ座、DR座の6種があり、さらにそれぞれに数十タイプもの種類があるのだ。しかも、これらのうち、最低でも4~5種類のタイプが一致しないと手術ができないというのだから、臓器移植の難しさがうかがえる。 こうして分類法を見てみると、血液の分類の仕方は枚挙にいとまがない。赤血球の分類だけでも約250種以上あるというのだから、白血球、血小板、血漿などによる分類を入れると押して知るべしだ。 血液は何でも知っている !? 一見、赤い液体にしか見えない血液だが、その中には血球や血漿などさまざまな要素が内包されて、それぞれに数多くの種類やタイプを持っている。親子の血液鑑定や事故・事件の被害者や加害者は、こうした血液内の種類やタイプが解明され、遺伝の仕方などの研究が進んだおかげで実現したものだ。 しかも、多くの血液を必要とすることはほとんどない。ほんのわずかな血液量で、さまざまなことがわかり、人物を特定することもできる。 ヒトのすべての遺伝情報を解明しようというヒトゲノム計画が一段落し、将来的には遺伝子による診断が一般的になるだろうと言われている現在。そして実際に、わずかな血液からその人の遺伝子を取り出すことが可能となっている今、血液は私たち本人以上に、自身のことを知っている存在とすら言えるのかもしれない。 公開日:2003年3月3日
健康診断の意義と必要性が今、変わろうとしています。これからどう変わるのか、また注目される在宅検診の現状と、今後の普及が期待される在宅検診での血液検査についてご紹介します。 目次 変わる健康診断 自分のデータを継続的に持とう! 在宅検診はこうして行われる-検査の流れと種類 血液検査は生活習慣病予防の決め手! 血液検査でわかること 検診結果は、こう見る 変わる健康診断 あなたが最後に健康診断を受けたのはいつだろう!?「あれ、いつだっけ?」という方や「そういえば面倒くさくて最近受けていない」といった方はいないだろうか。また、会社で定期的な健康診断を受けていても「気にするのは健診にひっかかったときだけ」という人も要チェック。 今、医学界は、定期健診による「病気の早期発見・早期治療」から一歩前進しようとしている。それが「予防医学」。つまり、病気を未然に防いでいつまでも元気でいよう!という考え方だ。 この予防医学の考え方を取り入れると、定期健診の意味合いや重要性も従来とはかなり変わってくると予想される。そのひとつは、定期健診が「病気になる前の健康チェック」として位置づけられるように変化するだろうという点だ。つまり、普段の生活の中で健康に留意し、意識的に暮らすことによって、定期健診は文字通り「健康を確認するためのもの」、そして時に、さらに健康的な生活へと前向きに軌道修正するための「指針」となっていくと考えられるのだ。 自分のデータを継続的に持とう! 自分の健診データがあれば、医師にも具体的に相談しやすい 定期健診による自分自身のデータを持っておくことは、病気になった際にも役に立つ。わかりやすく例えるなら、風邪をひいて熱を出した場合だ。平熱35度の人が37度以上の熱を出して病院を訪れたとしよう。日本人の平熱の平均は約36.8度(脇の下で10分間測った場合)であることから、医師はすぐに、患者が平熱よりも2度高く苦しい状態であることを判断できないかもしれない。だが、日々つけていた自分の平熱データを持っていたとしたら、医師は37度の熱が患者にとって高熱であることを了解し、患者の体に合わせた治療を考えてくれるはず。 発熱の話はあくまでも例にすぎないが、定期健診によって自分のデータを継続的に持つということは、このように医師を納得させやすい「データ」を提示できるということ。「平均値」の治療ではなく、「あなた自身の」治療へといち早くシフトしてもらうことができるようになるだろう。余計な検査などを省いて早く自分の体をラクにするために、自己主張すること&自分で自分の体を守ることに他ならないのだ。 しかし、問題はここから。健診の大切さはよくわかるが、忙しい現代、定期的に健診を受けに行くのは、なかなか難しい。病院によっては時間も相当かかる。そこで今、注目を集めているのが「在宅検診」。子供からお年寄りまで、家で手軽に受けられるうえ、精密な検査結果が得られるのだからうれしい。 在宅検診はこうして行われる 検査の流れと種類 今、家で手軽に受けられる在宅検診サービスがぞくぞくと登場している。検査の基本的な流れはほぼ同じ。申し込むと検査キットが送られてくるので、採血・採尿などを行って返送すれば、結果が届く。 基本的な検査の流れ 申し込む→検査キットが届く→自分で採血・採尿などを行う→郵送する→検査結果が届く 現在のところを見まわすと、例えば「胃がん検査」「糖尿病検査」「骨粗しょう症検査」といったように、ある病気に特化して検査している所が多いようだ。 主な在宅検診の種類 ■血液による検査 糖尿病 胃がん 前立腺がん 肝炎 生活習慣病 ■痰による検査 肺がん ■粘液による検査 子宮頸がん ■尿による検査 骨粗しょう症 膀胱がん クラミジア感染症 ■大便による検査 大腸がん 血液検査は生活習慣病予防の決め手! 自分だけのデータを持っておくための在宅検診としてオススメなのが、シンプルな血液検査。一滴にも満たないほんのわずかな血液から、さまざまな検査ができる在宅検診サービスも登場している。定期健診のつもりで手軽に利用できる。 こんなわずかな量からでも、血液からわかることは実に多い。大きく分けると、「栄養状態」「肝機能」「コレステロール」「血糖」「腎機能」「痛風」の6つの方向から自分の現在の健康状態と傾向がわかるのだ。「ドロドロ血」と呼ばれる血液の健康状態から、それによって引き起こされる動脈硬化をはじめ、ほとんどの生活習慣病の可能性を知ることができる。 さらに、こうしたトータルな自分のデータを定期的にチェックすることによって、健康維持のために積極的に応用することもできるだろう。例えば「どうも血糖値が高めの体質のようだ」と感じたら糖分を控えた食事を心がけることができるし、「肝機能が少し弱ってきたな」と思ったらアルコールを控えるといった具合。 血液検査でわかること 血清総たんぱく(TP) 栄養の状態をはじめ、肝臓や腎臓が健康的に機能しているかがわかる。 血清アルブミン(Alb) 総たんぱくの65%を占める成分。減少すると、疲れやすくなったり、だるくなったりしやすい。重症の肝臓病もチェックできる。 GOT(AST) 肝臓障害や心筋梗塞が起こると血液の中に放出され、異常を知らせる。 GPT(ALT) 肝臓に最も多く含まれる酵素。肝臓障害が起きると、血液の中に増える。 γ-GTP アルコールとの関係が深く、飲酒したり、脂肪肝や肝炎が起こると、血液の中に増えてくる。GOT、GPTと併せて比較することで、肝機能の状態がよくわかる。 血糖値(Gluc) 糖尿病の検査に用いられる。ただ、食後2時間以内は、高いのが普通なので、検査は食前か食後2時間以上たってから行うとよい。 総コレステロール(TC) 善玉・悪玉を含めた全体のコレステロール量。 HDLコレステロール(HDL-C) 動脈硬化などを予防する善玉コレステロール量。 中性脂肪(TG) 多すぎると生活習慣病の原因に。また、高コレステロールと合併すると動脈硬化を促進するため、注意が必要。コレステロール値とともに食事による影響を受けるので、早朝の空腹時に検査するほうがよい。 血漿(けっしょう)の尿素窒素 (BUN) 腎臓の機能異常、消化管の出血や糖尿病などでも、異常値を示す。 クレアチニン(CRNN) 腎臓障害がチェックできる。 尿酸(UA) 食事や病気などにより、腎臓からの排泄・吸収などに問題が生じると数値が高くなり、痛風になることも。 ※血液検査の見方については、血液検査の結果をチェック!! こうした本格的な血液検査が、誰でも自宅で手軽に受けられるのだから、忙しい人にはもちろん、家族みんなの健康チェックにも便利だ。また、定期的な検査もしやすい。もちろん、もし病気になったときはデータを持って病院へ行ける、というメリットも大きい。 ただ、自宅で手軽にできるとはいえ、血を出すからには、人によっては痛みを感じることもある。 また、血液の取り方や量が足りないなどの理由で、病院で検査をするのに比べると、精度が劣ることもあるようだ。在宅血液検診を受ける場合は、注意書きをよく読んでから行い、採血したらすぐに返送するよう留意したい。さらに、検診データに納得がいかない場合は、病院などで再検査することも大切だ。 検診結果は、こう見る 在宅検診の結果が届いたら、しっかりチェック。平均値から大きく外れている項目がひとつでもあれば、すぐに病院で診てもらおう! だが、体調に変化がなく、結果がすべて平均値以内なら、次の検診まで、まずは様子をみたい。その数値が、自分の体質の傾向かもしれないからだ。そして、定期的に続けることでデータを蓄積しながら自分の傾向をしっかり把握し、毎日の生活に活かしていきたい。 検診結果の見方チャート しかし、データが平均値以内であっても、自分の数値としては10~15%も大きく変化があった場合は別。早速、医師に相談しよう!体の何らかの異常サインかもしれない。 診断結果の数値を活用する重要なポイントは、将来的に何らかの身体的な異常が出たときに、「平均値」の治療ではなく、「あなた自身の」治療をいち早くしてもらうために役立てるということなのだ。 そして在宅検診で自分の手元にデータを残しておくことは、たとえ住む地域が変わり、会社が変わり、治療を受ける病院が変わろうとも、利用できるデータが手元にある、ということ。こんな心強いことはない。 日々の健康チェックに、病気を未然に防ぐために、また何らかの変化があったときに、在宅での血液検診を上手に利用していきたい。 公開日:2003年3月3日
貧血について、症状だけで判断するのは危険なことです。血液検査を受けましょう。また、貧血が進行していると食生活面の改善だけでは、症状の軽減になかなか結びつかないこともあります。鉄剤についてもご紹介します。 目次 素人判断はしないで 貧血の血液検査 貧血予防薬「鉄剤」とは 素人判断はしないで 貧血について、症状だけで素人が判断するのは危険なことです。自覚症状は感じ方に個人差がありますし、顔色の悪さという症状はあてになりません(爪もまたしかりです)。まぶたの裏の色は、コンタクトレンズによる炎症も考えられるなど、ほかの病気にも同じような症状が多い理由から、病院で血液検査を受けることをおすすめします。 貧血の血液検査 貧血の診断のための血液検査では、具体的に以下のことを調べます。鉄欠乏性貧血の診断を受けると、鉄剤を処方され、食事で鉄を摂るようにとの指導を受けることが多いようです。なお、表中の赤血球の数、ヘモグロビン、ヘマトクリットは、献血の際の血液検査でも出してもらうことができます。 検査項目 内容 診断基準 赤血球の数 酸素を運ぶ主役の赤血球。この数が少ないと体内に酸素不足を招きます。 正常値:男性400万~540万個、女性360万~490万個 ヘモグロビン 赤血球の中で、酸素を運ぶのに主要なはたらきをしているヘモグロビンの量も、検査の重要なポイントとなります。 正常値:男性13.1~16.6g/dl、女性12.1~14.6g/dl ヘマトクリット 一定量の血液中に存在する赤血球の容積の割合を示した数字です。 正常値:男性38.5~49%、女性35.5~44% このほか、貯蔵鉄がどんどん失われているなど、潜在的な貧血を調べるための検査もあります。例えば、血清中のフェリチンの減少の検査です。フェリチンは鉄と結合することのできるタンパクです。これが少ないと、貯蔵鉄も少ないことになります。 また、血清鉄(肝臓や脾臓で貯蔵された鉄を骨髄に運んでいる状態のもの)は、正常値は血清100mlあたり 80~120μgですが、鉄欠乏性貧血ではこの値が減少しています。 貧血予防薬「鉄剤」とは ●鉄剤って何? 貧血が進んでいる場合、食事面の改善だけでは、症状の軽減になかなか結びつかないことが多いようです。そこで、鉄を多く含む錠剤を並行して服用することで、体内の鉄の量を増やす治療が行われることになります。 いろいろな種類のものが市販されていますが、医師の処方で必要なものを必要な期間飲む方が安心です。 ●鉄剤を飲むときの注意点 鉄剤の服用は、体内に貯蔵される鉄の量が十分になるまで、続けないと意味がありません。貧血の自覚症状がなくなっても、貯蔵鉄の量が十分になったとは言えないので、勝手に飲むのをやめないように気をつけましょう。 また、ただ鉄を補給すればいいと、一度にたくさん飲んでも効果はありません。 ●鉄剤を飲むとどうなるの? 鉄剤を飲むと便が黒くなることがありますが、心配はありません。また、以前はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンが鉄の吸収を妨げるために、鉄剤と一緒に飲むことは避けるよういわれていました。しかし、タンニンが抑制する鉄の吸収は治療効果に大きな影響は与えません。そのため、近年では禁止しなくて良いといわれています。
さまざまな病気の発見につながる血液の検査。血糖や中性脂肪は糖尿病、GOT、GPT、γ-GTPでは肝臓の病気を調べられます。血液は、自分の弱い場所を教えてくれます。血液検査の結果の見方として、肝機能、腎機能、代謝など血液の検査による正常値と、異常値の時に考えられる病気について紹介します。日常生活での注意点も知っておきましょう。 目次 血液検査とは 生活習慣の最も典型的な病は血糖(BS)と中性脂肪(TG) 沈黙の臓器・肝臓のささやきを聞こう 血液検査の結果からわかること 健康な血液を作ろう 血液検査とは ちょっと痛い思いをして、血をとられて、一体それで何を調べているのでしょうか?血液の検査は1回で、数10項目にわたる測定が可能な幅の広いものです。同じ血液でも、主に3つの方法で検査し、それぞれ以下のような病気の発見に役立ちます。 ■血液一般検査 検査方法赤血球や白血球の数や形など血液そのもののチェック 見つかる異常・病気貧血、腎不全、心筋梗塞、肝硬変、リウマチ、白血病、肺炎、胆のう、免疫不全、感染症など ■血清学的検査 検査方法病気により発生した抗原抗体反応のようすをさぐる 見つかる異常・病気肝炎、肝臓がん、肝硬変、心筋梗塞、悪性腫瘍、胆石、リウマチ、エイズ、感染症など ■生化学的検査 検査方法血液中にまじる、たんぱく質、糖質、酵素などの成分を検査 見つかる異常・病気肝炎、脂肪肝、肝臓・胆道の病気、糖尿病、各種のがん、心筋梗塞、心不全、高脂血症、脳血栓、甲状腺の病気、肺梗塞など 生活習慣の最も典型的な病は血糖(BS)と中性脂肪(TG) 血糖や中性脂肪は、糖尿病診断の決め手ともなる検査です。診断結果をもらって一番にこの項目を見る人も多いかもしれません。 血糖・中性脂肪の両方の値が高ければ、糖尿病が疑われます。飽食の現代、糖尿病はあまりにも一般化してしまい、特別重い病というイメージが無くなりつつあります。しかし糖尿病の人の平均寿命は日本人全体から見ると約10年は短いと言われています。 「糖尿病そのものでは、そうそう死なないよ」と思われるかもしれませんが、糖尿病は「病気の母」と言われるほど、多くの合併症を起こすものです。はたらき盛りの心筋梗塞による突然死の影には糖尿病が潜んでいます。 日本人の場合、コレステロールの値が高くなくても、中性脂肪が高い場合、特に危険です。また糖尿病の薬は少なからず副作用があり、インシュリンの投与は低血糖を起こす危険もあります。そうなる前に、気づいたら何とかしておきましょう。 沈黙の臓器・肝臓のささやきを聞こう 昨夜の飲みすぎ、ストレス、肥満…となると気になるのは肝臓です。肝臓は割合タフな臓器ですが、ウイルスや酒、薬、脂肪の摂りすぎ、糖尿病などによって大きな痛手を受けることもあります。 「沈黙の臓器」と呼ばれ、タフなだけにダメージを受けても自覚症状がほとんどなく、治療が遅れ困難になってしまうことがしばしばあります。だからこそ定期的に検査を受け、大切な肝臓の健康を見守る必要があります。 特に注目されるのは、GOTやGPT、γ-GTPといった数値です。GOTやGPTは肝臓の異常に敏感に反応する酵素で、臓器や組織にトラブルがあると高値になります。肝炎や肝がんはもちろん、心筋梗塞などでも異常を示します。γ-GTPは特にアルコールなどによる肝臓障害に敏感な酵素で、肝臓や胆道の病気があるとほかの酵素より早く異常を示します。 血液検査の結果からわかること さて、あなたの血液は何を語っているのでしょうか?特に生活習慣病に関係する生化学的検査の数値をみてみましょう。 ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。自分の結果が正常値になかったからといって、すぐにその病気であるとは限りません。正常値自体も医療機関によりバラつきがあります。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 主に肝機能の検査 項目 正常 異常で疑われる病気 GOTGPT 10~405~45肝炎、肝硬変、肝がん、心筋梗塞 γ-GTP 50以下アルコールによる肝臓障害 ZTT 2~14肝炎、肝硬変、高脂血症、悪性腫瘍 A/G比 1.1~2.0肝臓障害、ネフローゼ、悪性腫瘍 主に腎機能の検査 項目 正常 異常で疑われる病気 尿素窒素(BUN) 8~20腎不全、閉塞性尿路疾患、糖尿病、肝硬変 血糖(BS) 空腹時70~110糖尿病 クレアチニン(CRNN) 0.5~1.2腎不全、心不全、尿路閉塞、尿毒症 主に代謝系の検査 項目 正常 異常で疑われる病気 総コレステロール(TC) 130~220(高値)動脈硬化、糖尿病、高脂血症、高血圧症、脂肪肝(低値)肝硬変 HDLコレステロール 40~75低いとき心筋梗塞、狭心症、脳動脈硬化症、脳血栓糖尿病、脂質異常症 中性脂肪(TG) 30~140肥満、脂肪肝、動脈硬化症、糖尿病、アルコール性肝障害 血液の検査は、色々な要素を調べることができます。しかし残念ながら、簡単な検査では「確実に何の病気なのか?」あるいは「数値に異常がなければ本当に問題がないのか?」は断定できません。それでも、あなたの体のどこかが弱っていた場合、それが数値に反映されることは多いようです。GOT、GPTとγ-GTPの数値が境界線にあれば、肝臓に問題が起きているなどの想像がつきます。いくつかの検査結果を組み合わせることで、自分の弱い場所がわかってきます。正常値はあくまで「参考」ですが、ぜひ自分のデータと比較してみましょう。 健康な血液を作ろう 自分の弱い場所がわかったら、今日から気を付けましょう。もちろん明らかに異常値が出ており心配な場合は、精密検査を受け、医師の指示をあおぎましょう。 ●肝臓が弱っているかな?と感じたら 魚、肉、卵、大豆製品など、良質のたんぱく質を十分にとる ビタミンを多く含む野菜などを十分にとる 脂質の多い食品を控えめに お酒は適量。連日は控え、最低週2日の休肝日を むやみに薬を飲まない 食休みをゆっくりとる ●腎臓が弱っているかな?と感じたら 適正なエネルギー量を摂取する。無理な食事制限はしない 薄味に慣れよう。濃い味では食べすぎてしまう おかず中心でバランスのとれた食事をする 1日3食、決まった時間にとる 外食・単品を避ける ●代謝系に問題が?と感じたら 肥満に注意する 青背の魚を意識してとる(血栓予防) 肉の脂身は食べない(動物性油1 対 植物油2に) 卵は1日1個までに 動物のレバーなどを食べない 適度な運動をたしなむ たばこは控える
病気によって異なる血管の状態 血管の中にヨード剤を注入し、X線撮影で血管を映し出す検査です。アンギオグラフィーとも呼ばれます。 血管の状態というのは病気によって異なってくることがあります。例えば、脳梗塞や狭心症があれば、血管が急に狭くなったりふさがったりします。腫瘍があれば血管はそこを避けて走るという変化もあります。こうした血管の状態を調べることで、臓器の病変や腫瘍を診断するわけです。 新しく登場したDSA ただ、造影剤を注入するためや、長時間の検査など、患者にとってはかなりの負担を伴う検査です。まれに、造影剤注入によりショックを起こす危険もあります。 そこで、新しく登場したのがDSA(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィー)です。これは造影剤を注入する前の単純X線画像をデジタル化し、血管造影像のデータから引き算することで血管だけの画像を得るものです。DSAは、造影剤を動脈ではなく静脈に注入できるので安全性にも優れています。