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貧血の検査、どんなことをするの?「鉄剤」とは?

貧血について、症状だけで判断するのは危険なことです。血液検査を受けましょう。また、貧血が進行していると食生活面の改善だけでは、症状の軽減になかなか結びつかないこともあります。鉄剤についてもご紹介します。

素人判断はしないで

貧血について、症状だけで素人が判断するのは危険なことです。自覚症状は感じ方に個人差がありますし、顔色の悪さという症状はあてになりません(爪もまたしかりです)。まぶたの裏の色は、コンタクトレンズによる炎症も考えられるなど、ほかの病気にも同じような症状が多い理由から、病院で血液検査を受けることをおすすめします。

貧血の血液検査

貧血の診断のための血液検査では、具体的に以下のことを調べます。鉄欠乏性貧血の診断を受けると、鉄剤を処方され、食事で鉄を摂るようにとの指導を受けることが多いようです。なお、表中の赤血球の数、ヘモグロビン、ヘマトクリットは、献血の際の血液検査でも出してもらうことができます。

検査項目 内容 診断基準
赤血球の数 酸素を運ぶ主役の赤血球。この数が少ないと体内に酸素不足を招きます。 正常値:男性400万~540万個、女性360万~490万個
ヘモグロビン 赤血球の中で、酸素を運ぶのに主要なはたらきをしているヘモグロビンの量も、検査の重要なポイントとなります。 正常値:男性13.1~16.6g/dl、女性12.1~14.6g/dl
ヘマトクリット 一定量の血液中に存在する赤血球の容積の割合を示した数字です。 正常値:男性38.5~49%、女性35.5~44%

このほか、貯蔵鉄がどんどん失われているなど、潜在的な貧血を調べるための検査もあります。例えば、血清中のフェリチンの減少の検査です。フェリチンは鉄と結合することのできるタンパクです。これが少ないと、貯蔵鉄も少ないことになります。
また、血清鉄(肝臓や脾臓で貯蔵された鉄を骨髄に運んでいる状態のもの)は、正常値は血清100mlあたり 80~120μgですが、鉄欠乏性貧血ではこの値が減少しています。

貧血予防薬「鉄剤」とは

●鉄剤って何?

貧血が進んでいる場合、食事面の改善だけでは、症状の軽減になかなか結びつかないことが多いようです。そこで、鉄を多く含む錠剤を並行して服用することで、体内の鉄の量を増やす治療が行われることになります。
いろいろな種類のものが市販されていますが、医師の処方で必要なものを必要な期間飲む方が安心です。

●鉄剤を飲むときの注意点

鉄剤の服用は、体内に貯蔵される鉄の量が十分になるまで、続けないと意味がありません。貧血の自覚症状がなくなっても、貯蔵鉄の量が十分になったとは言えないので、勝手に飲むのをやめないように気をつけましょう
また、ただ鉄を補給すればいいと、一度にたくさん飲んでも効果はありません。

●鉄剤を飲むとどうなるの?

鉄剤を飲むと便が黒くなることがありますが、心配はありません。また、以前はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンが鉄の吸収を妨げるために、鉄剤と一緒に飲むことは避けるよういわれていました。しかし、タンニンが抑制する鉄の吸収は治療効果に大きな影響は与えません。そのため、近年では禁止しなくて良いといわれています。