インフルエンザは、時には社会に大きな影響を及ぼす病気なので、まことしやかな憶測が飛び交い、誤解が生じて都市伝説化することがあります。例えば、「今年は流行が早くはじまったからピークも早い」、「あの薬は耐性があるから飲むと危ない」などと断定していても、事実とは異なることがあります。お住いのエリアの現状を把握することが重要です。2019年10月に都内で開催されたセミナー*1で、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の池松秀之先生が最近の流行事情と治療動向などを解説しました。 目次 流行ウイルスはA型、隠れインフルといわれたB型が中心 インフルエンザの流行開始が早まってもピークが早まるとはいえません インフルエンザウイルスは頻繁に変異するので毎年の流行事情は異なる 予防接種は発症してから重症化を防ぐためにも重要 高熱に苦しむ時間を減らすために早く治療を受けることが重要 耐性ウイルスが問題かどうかはリアルな流行状況と人への病原性から判断すべき 流行ウイルスはA型、隠れインフルといわれたB型が中心 池松先生は、同医会で毎年発行するインフルエンザ診療マニュアルの最新版(2019-2010年シーズン版)などから、インフルエンザの最新情報をふまえて講演しました。 講演によると、ヒトに病気をもたらすインフルエンザウイルスはおもにA型、B型、C型の3種類です。このなかで、C型の症状は一般的に非常に軽く、最近の流行で問題となるウイルスはA型とB型です。 A型は香港型(H3N2の系統)と2009年の新型インフルエンザで出現したH1N1の亜型の2種類*2、B型は山形系統とビクトリア系統に分類されます*3。 A型のH1N1に関しては、新型ウイルスとして出現した2009年は10代の感染例が多く、40歳以降の感染例は少なかったのですが、最近は中年~高齢者の感染例が増えています。 同じA型で香港型(H3N2)は、1968年のいわゆる「香港かぜ」の原因で、半世紀も流行が続いています。成人以降の感染例も多く、高齢者で肺炎の合併やインフルエンザの集団発生が問題になります。 B型に関しては、子供をはじめ19歳以下に多かったのですが、最近は中高年層でもインフルエンザ迅速診断キットを使用して診断される機会が増えていること、39℃を超える高熱のケースは少ないことが知られています。症状は、高齢者では軽い例が少なくないことから、「隠れインフル」という言葉が世間を賑わしましたが、それらにはB型が多く含まれていたのかもしれません。 インフルエンザの流行開始が早まってもピークが早まるとはいえません 最近10年間の流行状況を見ると、例年では流行は12月から顕著になり、ピークは1月末くらいのケースがよく見られます。 1月のピークはA型の流行が多く、B型のピークはそれより遅いことが多いのですが、2013-14年と2017-18年のシーズンは同時流行しました。2018-19年のシーズンは、B型の流行は見られませんでした。 A型に関しては、最近10年間ではH1N1と香港型(H3N2)の2つの亜型のウイルスによる流行が交互にみられることが多かったのですが、隔年現象とは言い切れません。 「去年はB型の流行がなかったので今年はBに注意」、「昨年は香港型(H3N2)が流行したから今年はH1N1」という憶測には必ずしも信憑性はありません。 現状に関しては、国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップ2019年第49週 (12月2日~12月8日)2019年12月11日現在(https://nesid4g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html)を見ると、警報レベルを超えている保健所地域は15か所(1道6県)、注意報レベルを超えている保健所地域は181ヵ所(1都1道2府31県)でした。 インフルエンザウイルスは頻繁に変異するので毎年の流行事情は異なる A型インフルエンザでも、H3N2(香港型)とH1N1では、症状に違いがみられるかは関心事です。池松先生らが最近の数シーズンで患者さんの最高体温を集計して分析した結果を見ると、H1N1、H3N2ともに0歳~19歳の最高体温の平均は39℃以上でした。どちらのウイルスに感染しても最高体温に大きな差はありません。つまり、病原性が強いウイルスはどちらかとはいえません。 流行時の患者さんの症状は毎年同じではなく、微妙に異なります。インフルエンザウイルスは変異を頻繁に繰り返すので、毎年の流行ウイルスの特徴や感染による病状は年度ごと変化している可能性があります。 流行予測は難しいです。どのウイルスが強い病原性を持つのかは、実際の流行状況と患者さんの病状を把握しないといけません。憶測は都市伝説になりやすいので、惑わされないことが大切です。 予防接種は発症してから重症化を防ぐためにも重要 インフルエンザは、ウイルスが細胞に侵入して増殖し、さらに別の細胞にウイルスが侵入して増殖していきます。急に高熱になるのは、ウイルスが急速に増殖するからです。 高熱が発症のサインといえますが、その段階で何もせずに放置すると、まれに重症化する危険性があります。 子供では急性脳症や異常行動、高齢者や免疫が低下した人では肺炎などが問題になります(異常行動に関しては、これまでの調査結果から薬を服用していない場合でも現れることがあるとの報告があります)。 そこで、まずは予防接種を受けることが重要です。 高熱に苦しむ時間を減らすために早く治療を受けることが重要 高熱になって発症したら、体内でウイルスが増殖するのを食い止める抗インフルエンザ薬の服用が重要です。池松先生らが患者さん800人以上を対象にした研究結果があります。 研究では、発熱(発症)した日時、治療が始められた日時、解熱まで記載してもらった日誌記録を解析して、発症して治療を受けるまでの時間が12時間以内、13~24時間、25~36時間、36~48時間でグループ分けして、治療開始から解熱するまでの時間と発症後から解熱するまでの時間を検討しました。 結果を見ると、治療開始から解熱するまでの時間はどのグループでも同程度で、発症後に治療を受けるまでの時間が短いほど発症から解熱するまでの時間が短く、発症後12時間以内に治療を受けたグループと36~48時間後で治療を受けた人のグループでは、解熱するまでの時間の差が大きいことが明らかになりました*4。 高熱に苦しむ時間を減らして重症化しないために、発熱したら早く治療を受けることが推奨されます。 耐性ウイルスが問題かどうかはリアルな流行状況と人への病原性から判断すべき 国内の治療薬はノイラミニダーゼ阻害薬4種類、2018年に発売されたキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬など*5がありますが、池松先生らの検討では、発症後から解熱までの時間に薬剤間で差がありません。飲み薬、吸入薬、注射などがあります。 A型インフルエンザで解熱までの時間は25~30時間に対し、B型では40時間程度と長い可能性があるとの研究結果はありますが、薬剤間では差はあるとはいえません。 薬で問題となるのは耐性ウイルスです。2019年はキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の耐性ウイルスの話題が報道されました。 また、医学会から12歳未満の子どもについて、「臨床データが乏しいなかで使用を慎重に検討すべき」との提言があり、さまざまな憶測が飛び交いました。 池松先生によると、さまざまな誤解を解くために、以下の事実を述べていました。 慎重投与というのは、薬が効きにくい変異ウイルスの報告があったことと、薬は発売後1年しかたっていないなかで、今後は何が起こるのかはわからない状況ですので、当然の話として慎重投与という話になります。 薬が効きにくくなる変異ウイルスによる流行があれば問題になりますが、2019年12月3日現在*6の国内では、薬が効きにくくなる変異ウイルスによる流行は把握されていません。医師が薬を処方してはいけないというレベルではないのです。 インフルエンザは学級閉鎖をはじめ社会に大きな影響を及ぼします。だから、都市伝説のような風評が広がりやすいのですが、ネット上で飛び交う情報には気をつけましょう。 インフルエンザの流行がはじまって、流行のピークや患者さんの病状の特徴、流行によって社会的にどのような影響があるのかどうかはリアルタイムの情報でないとわかりません。 国内の流行状況については、国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップやインフル様疾患発生報告(学校欠席者数)などのサーベイランス情報を閲覧できます。下記を参考にしてください。 国立感染症研究所:https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/813-idsc/map/6101-flu-map-3.html *1:セミナーは、2019年10月23日に塩野義製薬主催で報道関係者を対象に開催されました。インフルエンザは例年、11月、12月頃から流行が始まり、1月頃にピークを迎えますが、2019年9月にインフルエンザ流行期に入ったとの報道がありました。流行に関する報道は異例とも言えるので早めの対策が求められますが、最近は真偽を問わず様々な情報が飛び交い、市民を混乱させていることも事実です。そのために、最新のインフルエンザ情報を含めて改めて理解してもらうために開催されました。 *2:A型インフルエンザでは、H1N1、H3H2のHとNはウイルス表面に突き出たタンパクのヘマグルチニン〔Hemagglutinin、H1~H16の16種類〕と、ノイラミニダーゼ(Neuraminidase、N1~N9の9種類)のことで、HとNの組み合わせでウイルス型が決まります。 H1N1は、2009年に出現して世界的流行〔パンデミック(Pandemic)〕を起こした新型ウイルスです(A/H1N1pdm09と呼ばれます)。 *3:国内の予防接種は、南半球の流行ウイルスと世界保健機関(WHO)の勧告をもとに、A型とB型それぞれ2種類を用いてワクチンが製造されます。 2019-20年シーズンは下記 A型:A/Brisbane(ブリスベン)/02/2018 (IVR-190) (H1N1) pdm09 A/Kansas(カンザス)/14/2017 (X-327) (H3N2) B型:B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統) B/Maryland(メリーランド)/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統) *4:Clinical Infectious Disease 2005 ; 40 : 1309-16 *5:ノイラミニダーゼ阻害薬のオセルタミビル(商品名タミフル)、ザナミビル(商品名リレンザ)、ペラミビル(商品名ラピアクタ)およびラニナミビル(商品名イナビル)、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬のバロキサビルマルボキシル(商品名ゾフルーザ)ならびにM2阻害薬のアマンタジン(商品名シンメトレル)があります。 *6:国立感染症研究所の抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランス 2019年12月03日を参照してください。 ■参考 日本臨床内科医会・一般のみなさまへ:http://www.japha.jp/general/ ■関連記事 インフルエンザ 家族がインフルエンザにかかったら!?看護の注意点 公開日:2019/12/18
海外では、地域によっては感染症が流行していることもあります。海外に行く際は予防接種を受けましょう。海外でかかりやすい感染症と予防接種を受ける際のポイントをご紹介します。 目次 出発の1ヵ月前までには、どの予防接種を受けるべきか医療機関で相談を! 海外でかかりやすい感染症 予防接種による重い副反応はまれだが、体質などによっては医師に相談が必要 渡航先が冬の場合は、インフルエンザの予防接種も忘れずに! 出発の1ヵ月前までには、どの予防接種を受けるべきか医療機関で相談を! 海外旅行は、出発前の準備をしているときからワクワクした気持ちになるものです。しかし、海外は楽しいことばかりではありません。地域によっては、感染症が流行していることもあります。感染症にかからないようにするためには、予防接種を受けることが勧められます。国によっては入国する際に、特定の予防接種を受けたことの証明書を提示するよう求められることがあります。渡航しようとしている国で必要になるか、詳しくは在日大使館や検疫所などで事前に確認しましょう。 予防接種は複数回の注射が必要であり、また十分な免疫を獲得するには、接種後に一定の時間がかかります。そのためできれば出国の3ヵ月以上前、それが難しければ1ヵ月前までに、医療機関でどの予防接種を受けるべきか相談しましょう。受けることが勧められる予防接種は、渡航先や滞在期間によって異なります。厚生労働省検疫所のWebサイトに掲載されている「海外渡航で検討する予防接種の種類の目安」を参考にしてください。 海外でかかりやすい感染症 ■黄熱 感染経路 蚊が媒介 主な症状 発熱、黄疸 生活上の注意 ・皮膚を露出しない ・虫よけを塗る ・殺虫剤を散布する 予防接種の対象者 感染リスクのある地域に渡航する人 ■A型肝炎 感染経路 飲食物から感染 主な症状 発熱、黄疸、全身倦怠感 生活上の注意 ・水はミネラルウォーターを飲む ・加熱した料理を食べる 予防接種の対象者 途上国に中・長期(1ヵ月以上)滞在する人。特に40歳以下 ■B型肝炎 感染経路 性行為で感染 主な症状 発熱、黄疸、全身倦怠感 生活上の注意 ・行きずりの性行為を控える 予防接種の対象者 血液・体液に接触する可能性のある人 ■破傷風 感染経路 傷口から感染 主な症状 口が開かない、けいれん 生活上の注意 ・皮膚を露出しない 予防接種の対象者 冒険旅行などでけがをする可能性の高い人 ■狂犬病 感染経路 動物から感染 主な症状 恐水症(液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするため水を恐れる)、けいれん 生活上の注意 ・動物に近寄らない 予防接種の対象者 イヌやキツネ、コウモリなどが多く、特に近くに医療機関がない地域へ行く人 動物研究者など、動物と直接接触する人 ■ポリオ 感染経路 飲食物から感染 主な症状 発熱、手足の麻痺 生活上の注意 ・水はミネラルウォーターを飲む ・加熱した料理を食べる 予防接種の対象者 流行地域に渡航する人 ■日本脳炎 感染経路 蚊が媒介 主な症状 発熱、意識障害 生活上の注意 ・皮膚を露出しない ・虫よけを塗る ・殺虫剤を散布する 予防接種の対象者 流行地域に長期滞在する人(主に東南アジアでブタを飼っている農村部) 予防接種による重い副反応はまれだが、体質などによっては医師に相談が必要 海外でかかりやすい感染症の予防接種は、検疫所や特定の内科、「トラベルクリニック」「予防接種外来」「トラベラーズ外来」などを掲げている医療機関で受けることができます。予防接種を受けられる医療機関は、厚生労働省検疫所のWebサイトにある予防接種実施機関検索などから探すことができます。 子供も、大人と同様に予防接種を受けることができます。小さな子供は病気に対する抵抗力が大人ほど強くないため、感染症が発症しやすく、また発症した際は重症化する可能性が高くなります。感染症のリスクが高い地域へ小さな子供を連れて行くときは、予防接種の必要性について、医師と相談しましょう。 医薬品の使用によって生じる好ましくない作用は「副作用」と呼ばれますが、ワクチンの使用における好ましくない作用は「副反応」と呼びます。予防接種を受けた後に、注射をした部位の腫れや痛みなどの軽い副反応は起きることがありますが、ショック症状やけいれんなどの重い副反応はまれにしか起きません。ただし、アレルギー体質の人や、以前に予防接種で副反応が起きたことがある人は、そのことを事前に医師に伝えましょう。また、妊婦には接種できないワクチンがあるので、妊娠していることも医師に伝える必要があります。 渡航先が冬の場合は、インフルエンザの予防接種も忘れずに! 海外でかかりやすい感染症の予防は万全でも、特に日本が夏の場合はつい忘れがちなのが、渡航先がインフルエンザのシーズンであること。インフルエンザが流行する時期は北半球が12~3月、南半球が6~9月ですが、熱帯地域では年間を通して流行していることもあります。旅行中に多くの時間を過ごすバスや飛行機などの中は密閉されているため、咳やくしゃみの飛沫を通して感染するインフルエンザのリスクが高い空間だと言えます。日本では、新たなシーズン用のインフルエンザワクチンの予防接種が可能となるのは、一般的に10月以降です。海外へ行くときだけに限りませんが、予防接種や手洗い・うがいなどで、インフルエンザの対策を忘れずにしましょう。 予防接種に健康保険は適用されず、自費払いとなります。ワクチンの種類や受ける施設によって異なりますが、インフルエンザを除いた海外でかかりやすい病気の予防接種は、一般的に1回につき5,000~10,000円の接種を2回行います。予防接種は、自分の身を守るために受けるものです。わずかな手間やお金を惜しんだばかりに、取り返しのつかないことになる恐れもあります。「滞在期間は短いから大丈夫」「まわりのみんなは受けていないから、自分も受ける必要はない」などと考えずに、受けることをお勧めします。 せっかくの楽しい海外旅行。健康には万全の備えをして、安心して旅をお楽しみください。 公開日:2016/04/25
風邪をひいたときなど、自ら感染が広がるのを防ぐために、咳やくしゃみが人にかからないようにする「咳エチケット」。あなたはマスクを着用するなどして、咳エチケットを心がけていますか?マスク着脱の際の注意点、マスク選びのポイントなどを解説します。 目次 咳エチケットの基本はマスク マスク着脱の際の注意点 マスクをしない人の考えは?どう対処すればいい? マスク選びは楽しみながら! 咳エチケットの基本はマスク インフルエンザや風邪は多くの場合、かかった人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルス・細菌を吸い込む、いわゆる「飛沫感染」で発症します。自分から感染が広がるのを防ぐために、咳・くしゃみが人に直接かからないようにすることを「咳エチケット」と言います。咳エチケットを守るうえで勧められるのが、マスクの着用です。 マスクの着用は、自分自身にもメリットがあります。ウイルス・細菌のカットだけでなく鼻やのどの乾燥を防げることで、自分が感染するのを予防できます。また、冷たい空気の吸入を避けられるため、インフルエンザや風邪とは別に、喘息の症状として咳が出るのを防ぐこともできます。 せっかくマスクを使用していても、正しく着脱しないと、期待される予防効果を得られません。以下の点に注意しましょう。 マスク着脱の際の注意点 つけるときはずすとき ・ガーゼではなく、不織布のものを選ぶ。 ・着用の前に手を洗う。 ・あごの下から鼻まで、隙間がないように覆う。 ・口を覆っていた面に触らないようにする。 ・1日1枚を使い捨てる。 ・使用後のマスクは放置せず、できればフタつきのゴミ箱に捨てる。 ・はずした後も手を洗う。 マスクをしない人の考えは?どう対処すればいい? かつては、発熱や咳などの体調不良をおして学業や仕事に励むことは、頑張っている証拠として賞賛される風潮がありました。感染症に関する知識が不足し、自分が感染源になってしまうという意識が低かった時代だと言えます。咳がひどいのにマスクを着用していない人がいる場合、その人はかつての名残とも言える考え方により、「心配するほどのことはないだろう」と思っているため、咳エチケットが守れていないのかもしれません。こういった人には、なぜマスクを着用しなくてはいけないのかを説明し、必要に応じてほかの人の力も借りながら、できるだけ着用を促しましょう。 咳がひどいときはマスクを過信せず、やむをえない事情がない限りは、学校や会社などを休むことが、感染予防の観点からは望まれます。咳を理由に休むことの理解がまわりの人から得られにくく、自分の評価を落とす恐れがある場合は、「ほかの人にうつすと、かえって迷惑をかけてしまうから」ときちんと説明してはいかがでしょうか。どうしても休めない場合は、必ずマスクを着用して出掛けましょう。可能であれば、用事を終えた後は速やかに早退すると良いでしょう。 なお、マスクがないときに咳・くしゃみをするときは、次のことに注意しましょう。 マスクを着用せずに咳やくしゃみをするときは? ●ティッシュなどで口と鼻をおおい、まわりの人から顔をそむけ、1メートル以上離れます。 ●とっさのときは、感染を広げやすい手ではなく、袖や上着の内側でおおうようにします。 ●手でおおったときは、手を洗います。 マスク選びは楽しみながら! マスクは大きさのほかにも形態や機能、デザインなどの違いによる種類が豊富で、選ぶ楽しみがあります。いずれも薬局、ドラッグストア、コンビニなどで手軽に購入できます。医療現場で用いられる医療用マスク(サージカルマスク)は一般の人も入手できますが、咳エチケットのためには、ガーゼではなく不織布のものであれば、家庭用マスクで十分だとされています。隙間なく鼻やほほを覆うことができる大きさで、形態や機能、デザインの点からもお気に入りのマスクを見つけて、咳の季節を乗り切りましょう。 マスクの種類 形態 プリーツ型立体型 …など 機能 メイクが付きにくい 眼鏡がくもりにくい 肌触りがやさしい …など デザイン 色(黒、ピンク、紫など) 光沢の有無 子どもに人気のキャラクターのプリント …など 公開日:2014/12/08
毎年インフルエンザの予防接種を受けているのに感染してしまった、という経験ありませんか?インフルエンザワクチンの効果を十分に得るための、接種時期や回数について解説します。 目次 予防接種の効果が現れるまでには2週間ほどかかる 毎年12月中旬までに受けることが重要 年齢別のワクチンの接種量と接種回数 自治体によっては公費負担が行われていることも 予防接種の効果が現れるまでには2週間ほどかかる インフルエンザの予防接種を受けた人の多くは、「これでもう大丈夫」と安心しているかもしれません。しかし、残念ながら予防接種を受けた後でも、インフルエンザにかかることがあります。インフルエンザワクチンは、接種を終えたからといって、すぐに予防効果が現れるわけではありません。十分な効果が得られるまでに、規定の回数の接種を終えてから2週間ほどの期間が必要となります。そのため、タイムラグとも言えるその間にかかってしまう可能性があります。 毎年12月中旬までに受けることが重要 インフルエンザは、毎年12月から3月頃にかけて流行します。そのため、十分な予防効果を得られた状態でインフルエンザのシーズンを迎えるには、12月中旬までに予防接種を終えることが望ましいです。 なお、インフルエンザワクチンの予防効果が続くのは、5ヵ月程度までと考えられています。そのため、「前のシーズンで受けたから、今回は受けなくても大丈夫だろう」という考えは通用しません。インフルエンザワクチンには重症化を防ぐはたらきもあり、接種後にかかってしまった場合も症状を軽減させることができるため、毎年必ず受けるようにしましょう。 インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて製造されます。その点においても、毎年の接種は必要だと言えるでしょう。接種量と回数は年齢に応じて異なり、13歳未満であれば、期待される予防効果が得られるように、2度目の接種までを終えることが重要となります。 また、インフルエンザは3種混合ワクチンであり、どの型が流行しても予防効果が得られますが、ウイルスの突然変異による新型の場合は、予防効果が落ちることがあります。また、100%予防できるとは言い切れないので、予防接種をしても手洗いやマスクの着用などを行うことが勧められます。 年齢別のワクチンの接種量と接種回数 年齢 接種量(1回あたり) 接種回数 (1)6ヵ月以上3歳未満0.25mL2回※注1 (2)3歳以上13歳未満0.5mL2回 (3)13歳以上0.5mL1回※注2・注3 注1:一部のワクチンは「1歳以上3歳未満」において「1回あたり0.25mL、2回接種」となる。 注2:1回目の接種時に12歳だった人が誕生日を迎え、2回目の接種時に13歳になっていた場合は、12歳とみなして2回目の接種を行って良い。 注3:13歳以上でも基礎疾患(慢性疾患)があり、著しく免疫が抑制されている状態だと考えられる人は、医師の判断で2回接種となる場合がある。 出典:厚生労働省 インフルエンザQ&A 自治体によっては公費負担が行われていることも インフルエンザの予防接種は、病気に対する治療ではないため、健康保険は適用されません。そのため、費用は原則として全額自己負担となり、金額は医療機関によって異なります。ただし、自治体によっては、予防接種法で定められた定期接種の対象者(65歳以上、あるいは60~64歳で特定の障害がある人)や、それ以外の人にも公費負担が行われています。詳しくは自分が住む自治体の保健所や保健センター、医療機関、かかりつけ医などに問い合わせてみましょう。 公開日:2013/11/18
秋冬になると必ず流行するインフルエンザ。早めの治療と日頃からの予防のために、手洗い方法や病気の基礎知識をご紹介します。 目次 インフルエンザの基礎知識 段階を追って広がるインフルエンザの感染 インフルエンザの予防には正しい手洗いを! インフルエンザの基礎知識 毎年、秋冬になると必ず流行するインフルエンザ。季節と関係なく、新たな種類のインフルエンザウイルスが原因となって、突然流行することもあります。症状や予防方法を理解して、早めの治療と日頃からの予防を心がけることが大切です。 発症すると、高熱や関節痛などの症状が現れるほか、合併症として肺炎や脳症が起こることもあります。高齢者や妊婦など、免疫力が低下している人が慢性の病気を抱えている場合、インフルエンザにかかるとその病気が悪化することもあるので、特に注意が必要となります。 段階を追って広がるインフルエンザの感染 インフルエンザは、ときには国境を越えて大流行することがあります。このように、感染症が世界的な規模で流行する状態をパンデミックと呼びます。厚生労働省はパンデミックの警戒レベルとして、WHO(世界保健機関)が危険性や流行の度合いから分類した6つのフェーズ(段階)を紹介しています。 パンデミックのフェーズを知ろう! フェーズ1前パンデミック期 動物から見つかった新たな種類のインフルエンザウイルスが、ヒトに感染する可能性があることが確認される フェーズ2前パンデミック期 動物から見つかった新たな種類のインフルエンザウイルスが、ヒトに感染する可能性が高いことが確認される フェーズ3パンデミックアラート期 新たな種類のインフルエンザウイルスによるヒトへの感染が確認されるが、ヒトからヒトへの感染はない、あるいは限られた範囲での感染にすぎない フェーズ4パンデミックアラート期 新たな種類のインフルエンザウイルスによるヒトからヒトへの感染が、小規模の集団で確認される フェーズ5パンデミックアラート期 新たな種類のインフルエンザウイルスによるヒトからヒトへの感染が、大規模の集団で確認される 公開日:2009/11/05
咳や頭痛、ちょっとした発熱。ただの風邪かと思っていたら、じつはほかの病気だった――ノロウイルスや急性気管支炎、肺炎、溶連菌感染症など、風邪にそっくりな病気を紹介します。 目次 くしゃみ連発に鼻づまり 激しい咳、たんで息苦しくなる 風邪の症状から突然高熱、チアノーゼ いきなりの高熱とのどの痛み 38度以上の発熱に筋肉痛 39度以上の発熱に全身の赤い発疹 発熱、咳、息切れ 咳・たん・微熱が2週間以上 発熱、関節痛、手足のしびれ たんに血が混じる ノロウイルスと風邪の違いは? くしゃみ連発に鼻づまり… アレルギー性鼻炎 ダニ、家の中のほこり、またはスギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉によって起こります。くしゃみや水っぽい鼻水、鼻づまりが特徴で、花粉が原因の場合は、のどのかゆみ、発熱も見られます。春先に多いため、初めて発症した人は風邪と思い込みやすいようです。 風邪と花粉症の違い、見分けるポイント 花粉症はひとつの病気にあらず!? 風邪と違うのはココ! 目のかゆみや充血、涙があれば、まずアレルギー性鼻炎を疑いましょう。このほか、皮膚のかゆみ、下痢などが起こることもあります。発熱はありません。 激しい咳、たんで息苦しくなる… 急性気管支炎 鼻やのどの炎症が、気管支にまで達し、咳やたんが出るようになった風邪を急性気管支炎と呼びます。多くはウイルスが原因です。鼻水、のどの痛みのほか、悪寒やふしぶしの痛み、微熱、咳などの症状が現れます。たばこを吸う人、ダイエット中の人、子供や高齢者は発症しやすいので注意しましょう。 風邪と違うのはココ! 最初はコンコンと乾いた咳が出ますが、やがて少量の白いたんが、さらには緑や黄色のたんがからむようになります。気道が狭くなり、咳の後、苦しげなゼイゼイという音や、ヒューヒューという音がし始めます。重症化すると3~5日間くらい高熱が続きます。 風邪の症状から突然高熱、チアノーゼ… 肺炎 細菌やウイルスに感染して、肺に炎症を起こすことで起こる病気です。原因は、肺炎球菌がもっとも多く、次いでインフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマなどがあります。子供やお年寄りでは、入院治療を要するほど重症化する場合もあるので十分に注意しましょう。日本人の死因としては第3位※を占めており、侮れません。咳、たん、悪寒、発熱などの症状は風邪にそっくりです。※出典:平成28年(2016)人口動態統計 周期的に大流行する「マイコプラズマ肺炎」 65歳以上の方は特に注意!肺炎を予防しましょう 風邪と違うのはココ! 胸の痛み、高熱がしばらく続き、さらに呼吸が浅く速くなって次第に息苦しさを感じるようになります。重症化すると唇や爪が紫色に変色するチアノーゼが起こることもあります。ただし、お年寄りの場合は、さほどはっきりした変化がないこともあります。「食欲不振」「なんとなく元気がない」といった些細な症状から、いきなり悪化するケースもあるようです。 いきなりの高熱とのどの痛み… 溶連菌感染症 原因はA群β溶血性連鎖球菌という細菌です。小さな子供がかかりやすい病気です。発熱、のどの炎症や痛み、頭痛、ふしぶしの痛みなどは風邪とまったく同じです。 風邪と違うのはココ! いきなり39度前後という高熱が出るのが風邪と違うところです。のどの痛みがひどくなり、首のリンパ節がはれ、中耳炎が起こる場合もあります。決定的な違いは、やがて出現する赤くて細かい発疹です。全身に広がり、かゆみを伴います。舌の変化にも注目しましょう。最初は白い苔のようなものが広がりますが、やがていちご状に赤くブツブツが現れます。 38度以上の発熱に筋肉痛… インフルエンザ インフルエンザウイルスが原因の感染症で、重症化することもある油断できない病気です。とくに気をつけたいのはお年寄りや、慢性の呼吸器疾患や心臓病の人。さらに子供の場合は中耳炎や熱性けいれん、ときには急性脳症を起こします。 備えあれば憂いなし!インフルエンザについて知っておこう 風邪と違うのはココ! 突然、38度以上の発熱が起こります。加えて頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感があったら、インフルエンザの可能性がありますので、速やかに病院を受診するようにしましょう。 39度以上の発熱に全身の赤い発疹… 麻疹(はしか) 麻疹は、麻疹ウイルスに感染して引き起こされる感染症です。発熱、咳、鼻水や発疹などの症状が現れます。7~10日で治まりますが、妊婦の場合は流産や早産が起きることもあります。 感染力が強く、免疫をもたない人が感染すると、ほぼ100%発症すると言われています。麻疹が疑われる症状が現れた際は、受診前に医療機関に連絡して、麻疹の可能性があることを伝えましょう。もし麻疹だった場合、受診に来ていた人たちに感染してしまう恐れがあるからです。医療機関からの指示に従い、受診するようにしましょう。 免疫がないと発症率はほぼ100%!麻疹(はしか)を防ぐには? 風邪と違うのはココ! 発熱、咳、鼻水、のどの痛み、目の充血などの風邪に似た症状が現れ、口の中に1mmほどの小さな発疹ができます。熱は2~3日続いた後にいったん下がるものの、再び上がり39度以上の高熱となり、それと同時に全身に赤い発疹が現れます。 発熱、咳、息切れ… MERS(中東呼吸器症候群) MERSコロナウイルスに感染して発症し、発熱、咳、息切れのほか、下痢などの消化器症状が引き起こされます。感染しても、必ずしも症状が現れるとは限らず、症状が出たとしても軽症の場合もあります。ただし、高齢者や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患(持病)がある人は重症化しやすい傾向があります。 なお、流行地域※からの帰国後にMERSが疑われる症状が現れた際は、潜伏期間である14日がまだ経っていない場合、医療機関を受診してはいけません。感染を広げないためにも、必ず最寄りの保健所に電話で連絡をして、指示を仰ぐようにしましょう。 中東からやってきた感染症MERS(マーズ)とは? 風邪と違うのはココ! 主に中東地域で報告されている感染症です。流行国※への渡航歴のある人、その人と接触した場合に注意が必要です。 ※中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A(厚生労働省) 咳・たん・微熱が2週間以上… 肺結核 かつては「国民病」と恐れられた病気でした。 いまだに1日に50人以上の新しい患者が発生しています。初期症状ははっきりしておらず、「咳やたんが続く」「なんとなく体調が悪い」「倦怠感がある」といった程度です。まさに風邪の初期症状とそっくりです。 過去の病気ではない!空気感染で広がる「肺結核」 風邪と違うのはココ! ポイントは「2週間以上続く咳やたん」。食欲不振、体重減少、微熱が長期間にわたって続く、就寝中に大量の汗をかく、といった症状も見られます。咳をすると黄色や緑色のたんが出るようになり、やがて血が混じります。息切れや胸痛なども起こります。 発熱、関節痛、手足のしびれ… 膠原病 厚生労働省の特定疾患に指定されている、全身の血管や皮膚、筋肉、関節に炎症が起こる病気です。原因不明ですが、最近の研究では遺伝やウイルス、紫外線などの影響が指摘されるようになりました。発熱や関節の痛みなどは風邪の症状と似ており、初期に混同されやすいようです。 風邪と違うのはココ! 日光があたると皮膚に赤い斑点ができます。特徴的なのは両頬に出現する、蝶が羽を広げた形のあざ。脱毛、口内炎も見られます。手足の先が冷えると白くなり、しびれる「レイノー現象」もあります。このほか、目や口の乾燥、握力低下、爪の変形などです。 たんに血が混じる… 肺がん たばこや化学物質が原因で起こる、恐ろしい病気です。隣接する臓器や、遠くの臓器までもが浸潤を起こし、最終的には死に至ることになります。初期症状は咳。どうせ風邪だろうとタカをくくったために、取り返しのつかない結果を招くこともあるようです。 本当は怖い咳の真実。風邪だと思っていたら肺がんだったなんて… 風邪と違うのはココ! 症状が進むと咳やたんが激しさを増します。しまいにはたんに血が混ざります。胸や肩の痛み、上腕部の内側に痛みがある場合は肺がんを疑いましょう。さらに瞳孔の縮小がある場合も要注意です。汗かきだった人が急に顔から汗が出なくなった場合も危ないようです。 ノロウイルスと風邪の違いは? 一年を通して発生しますが、特に冬季に流行しやすい傾向があります。抵抗力の強い大人などは軽症で回復しますが、幼児や高齢者などが「お腹に来る風邪」などと放置すると症状が悪化するケースがあります。軽度の場合は、発熱など軽い風邪のような症状にとどまるのでなおさら厄介です。風邪と違うのは、激しい吐き気や嘔吐、腹痛、水様の下痢です。 感染はこうして防ぐ!冬に流行するノロウイルス ■関連記事 市販の風邪薬、もっと上手に利用しよう 「風邪」という病気はない!? 家族がインフルエンザにかかったら!?看護の注意点 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために 公開日:2007/01/29更新日:2018/05/14
年に何度もひくという人もいるかもしれない、風邪。あなたはどれだけ「風邪」のこと知っていますか? Q1 病気の中で最もポピュラーなのが風邪。この「風邪」というのは、病名である。 ホント ウソ Q2 風邪を引き起こす病原体は200種類以上ある。 ホント ウソ Q3 風邪は万病のもと。こじらせると命を落とす病気にもなりかねない。 ホント ウソ Q4 咳、鼻水が出るからといって風邪とは限らない。 ホント ウソ Q5 インフルエンザにかかるのは人だけである。 ホント ウソ Q1 病気の中で最もポピュラーなのが風邪。この「風邪」というのは、病名である。 実は風邪という病名はありません。風邪は、主にウイルスによって引きおこされる、呼吸器系の急性炎症の総称で「風邪症候群」と呼ばれているものです。 風邪の症状は、せき、くしゃみ、鼻水、悪寒、頭痛、倦怠感、発熱などが挙げられます。寝こむほどひどいわけではありませんが、日常生活を送るにはかなりの障害となります。 「風邪は万病のもと」というとおり、熱が出るような病気はほとんど風邪のような症状を伴うといっても過言ではありません。それが悪化すると、さまざまな病気に転じていくのです。 風邪には良性の普通感冒(いわゆる風邪)と悪性の流行性感冒(インフルエンザ)があり、良性は放っておいても自然に治っていきますが、悪性のものは気管支炎、肺炎などに発展しかねないので、注意が必要です。 というわけで、正解は「ウソ」 Q2 風邪を引き起こす病原体は200種類以上ある。 風邪の3分の2から4分の3はウイルス性によるもので、残りは細菌やマイコプラズマによるものといわれています。その数はざっと200種類以上にもなります。 ウイルスとは、生きた細胞の中だけで増殖できる極めて特異な微生物で、風邪のほかには、麻疹(はしか)、水痘、ポリオ(小児麻痺)、風疹、肝炎、エイズなどを引き起こすものもあります。 このウイルスは低温と乾燥が好きなので、秋から冬にかけて風邪をひく人が多くなります。さらに、200種類以上もあるので、違う風邪のウイルスに出会うと前の免疫が役に立たず、ワンシーズンに何回も風邪をひくことになってしまうのです。 というわけで、正解は「ホント」 Q3 風邪は万病のもと。こじらせると命を落とす病気にもなりかねない。 たかが風邪。だけどされど風邪です。あなどっているとさまざまな合併症を起こすので、初期症状のうちにしっかり治しておきましょう。 主な風邪の合併症 ●副鼻腔炎(蓄膿) 咳も熱もなく、のども痛くないけど、なんとなく頭が重く、鼻の通りが悪くなっている場合には、副鼻腔炎を起こしていることがあります。これは、顔の骨の中にある空洞(副鼻腔)に風邪の病原体が入り込み、膿が溜まってくる病気で、進行すると脳膜(髄膜)にも影響を及ぼしかねません。 ●中耳炎 上咽頭から両耳に通じる耳管という管に風邪の病原体が入りこんで起こるものです。早めに治さないと鼓膜に穴があいて耳だれになり、慢性中耳炎になって難聴を起こしたり、脳膜に影響を及ぼしかねません。就学前の子供に起こりやすいようです。 ●腎盂・膀胱炎 尿の通路に細菌などの病原体が入り、膀胱炎などを起こすものです。腎臓から尿管の出てくる最初の部分を腎盂といいますが、ここに病原体が入ると高熱が出ることがあります。 ●肺炎 風邪で発熱や痰が1週間以上も続いて治らないときには肺炎になっていることが多いようです。インフルエンザの流行時には、肺炎の発生率は7~15%といわれており、インフルエンザによる「電撃型肺炎」を起こした時には、発病後1~2日で死亡することがあるので注意しましょう。 というわけで、正解は「ホント」 Q4 咳、鼻水が出るからといって風邪とは限らない。 風邪に似た症状を示すので、風邪かな?と間違えやすい病気があります。しばらく様子を見ていると風邪とは違った症状が出てきて気がつくこともあります。鼻水が出ているからといって風邪薬を安易に飲まないようにしましょう。 風邪とまぎらわしい病気 ●アレルギー性鼻炎 ティッシュを1日1箱使うこともあるほど、とにかく鼻水が出ます。ですが、熱や咳はほとんど出ませんし、のどの痛みもありません。花粉によるものは季節的な変動があります。 ●過敏性肺臓炎 ペットとして飼っているインコなどの鳥類の糞のなかにいる真菌類(かび)を埃と一緒に吸い込んでおこるアレルギー性の間質性肺炎です。慢性になると肺線維症になり、肺活量が減少して少し動いただけでも苦しくなるので、要注意です。 ●気管支ぜんそくの初期 気管支がけいれんして細くなり、痰が多く出て気管支が狭くなり呼吸が苦しくなる病気です。初期には風邪と誤診されやすいようです。症状が進むと呼吸困難に陥ることもあります。 ●麻疹(はしか)の初期 はしかの初期症状は、くしゃみ、鼻水、目やに、咳が多くなり、風邪と誤診されやすいようです。口の中の粘膜に白い斑点が出てくると、はしかとわかります。 というわけで、正解は「ホント」 Q5 インフルエンザにかかるのは人だけである。 インフルエンザ・ウイルスに感染するのはヒトだけではありません。そもそもウイルスはある生物の種からほかの生物の種へと移動していく性質(伝播という)があり、ヒトと動物も伝播しやすいのです。ただ、伝播のしやすさがあり、例えば、インフルエンザウイルスはブタからヒトへの伝播はありえますが非常にまれで、ヒトからブタへの伝播は生じやすいです。 また、トリはウイルスの貯蔵庫ともいわれるくらいたくさんのウイルスを持っており、トリのインフルエンザ・ウイルスは気道や消化管からもほかのトリや動物に感染することが知られています。 インフルエンザに苦しむのはヒトだけではないのです。 というわけで、正解は「ウソ」
食生活の乱れや加齢、ストレスなどで免疫力が低下するとインフルエンザに感染しやすくなります。免疫力アップにおすすめの乳酸菌とは? 目次 インフルエンザが流行中!さらに拡大の恐れも 整腸作用だけではない!乳酸菌のインフルエンザ予防効果 BCGワクチンより免疫活性化力が強い乳酸菌「HK L-137」とは? インフルエンザが流行中!さらに拡大の恐れも 毎年、冬の季節になると、猛威をふるうインフルエンザ。食生活の乱れや加齢、ストレスなどで免疫力が低下すると、インフルエンザを引き起こすインフルエンザウイルスに感染しやすくなります。免疫力は、健康な人でも20~30代をピークに、年齢を重ねるごとに低下していきます。そのため高齢になるにつれて、インフルエンザのリスクは高くなると言えます。 整腸作用だけではない!乳酸菌のインフルエンザ予防効果 免疫力を高めるには、普段から栄養バランスのよい食事を心がけ、睡眠を十分にとることが重要です。免疫力を高める働きをもつものとして、主にヨーグルトやチーズ、みそ、ぬか漬けなどの発酵食品に含まれている乳酸菌があります。乳酸菌は整腸作用でおなじみですが、免疫細胞を活性化する作用もあります。免疫細胞が活性化され、免疫力が高まった状態は、ウイルスに対していわばバリアで守られているようなもの。つまり、乳酸菌を摂取することで、インフルエンザを予防する効果も期待できるのです。 BCGワクチンより免疫活性化力が強い乳酸菌「HK L-137」とは? 乳酸菌にはいろいろな種類があり、その一つにL-137があります。L-137は漬け物などの発酵に関わる安全性の高い乳酸菌で、免疫活性化力が強いことで知られています。そんなL-137を加熱殺菌して、さらに免疫活性化力を強く、かつ腸に届きやすくした乳酸菌があります。それがHK L-137です。 HK L-137がもつ免疫活性化力の強さは、BCGワクチン以上。免疫活性化力を調べる実験で、あまりにも高い数値が出たために実験ミスを疑い、何度も実験をやり直したというエピソードがあるほどです。 HK L-137の免疫力アップ効果は、摂取して数週間後から現れます。また、免疫細胞の寿命は数日だと言われています。そのため、免疫力が高い状態をキープするには、HK L-137を継続的に摂取することが必要だと言えます。日頃のインフルエンザ対策として、手洗い・うがいやマスクの装着とともに、HK L-137も取り入れてはいかがでしょうか? 公開日:2015年1月19日
家族がインフルエンザにかかったら早く治すためにも、感染を広げないためにも自宅で療養する必要があります。生活する部屋を分ける、フタ付きのゴミ箱を使用するなど、家庭での看護のポイントを分かりやすく紹介します。 目次 家庭内でのインフルエンザ感染を防ごう インフルエンザの看護で気をつけること 室内の環境にも気を配ろう 家庭内でのインフルエンザ感染を防ごう インフルエンザにかかってしまった人が家庭内にいたら、早く治すためにも、また職場や学校などで感染を広げないためにも、自宅で療養する必要があります。気をつけなくてはいけないのは、療養している間に家の中で家族が感染してしまうこと。栄養のある食事を用意し、十分に休養をとらせる以外にも、看護をするうえで気をつけるべきポイントがあります。 インフルエンザの看護で気をつけること インフルエンザにかかってしまった人が家庭内にいたら、次のようなことに気をつけて看護をしましょう。 ●生活する部屋を分ける インフルエンザにかかった人は、家族とは別の部屋で過ごす必要があります。気の毒に思えるかもしれませんが、家庭内で感染者を増やさないためにも必ず守るようにしましょう。また、風呂場で使うタオルなども共用しないようにします。 ●看護は決められた一人だけがする インフルエンザにかかったと聞けば、当然家族は心配になるものです。だからといって入れかわり立ちかわり様子を見に行けば、最悪の場合、一家全員がウイルスに感染しかねません。そのような事態を避けるためには、可能な限り誰か一人だけが看護をするようにして、ほかの人はできるだけ接触しないようにしましょう。 ●看護をする人も受ける人も、常にマスクは着けたまま 看護をする人が、かかっている人の近くに行くときは、常にマスクを着ける必要があります。かかっている人には、看護を受ける際はもちろん、トイレに行くときなど、休んでいる部屋から出る際にもマスクは着けたままにしてもらいましょう。 室内の環境にも気を配ろう より早く回復し、感染の拡大を防ぐためには、インフルエンザにかかっている人が過ごす部屋の環境にも気をつける必要があります。 ●こまめに換気をする 部屋を締め切っていると、ウイルスが充満した状態になってしまいます。そうならないために、1時間に3回ほどを目安に換気をすると良いでしょう。 ●空気を乾燥させない インフルエンザウイルスは、湿度の低い乾燥した環境を好むといわれています。加湿器などがあれば、湿度を50~60%程度に保つようにしましょう。 ●フタ付きのゴミ箱を使用する ウイルスとの接触をできるだけ避けるために、鼻をかんだティッシュペーパーを捨てるゴミ箱は、フタ付きのものを使用するのが望ましいでしょう。ティッシュペーパーはビニール袋などで密封すれば、感染リスクをより低くすることができます。看護をする人は、そのティッシュペーパーに触った後は、必ず石けんで手を洗うようにしましょう。 ■関連記事 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために
風邪薬とは、風邪そのものを治すものではなく、風邪の諸症状を緩和するためのものです。市販薬を使うとき、なんとなく感じる素朴な疑問を専門医の先生にうかがいました。 目次 風邪薬の選び方 Q. 市販の風邪薬を使用しても、なかなかよくなりません! Q. 1種類の風邪薬でよくならない場合、いろいろな種類の薬を試したほうがよい? Q. 風邪薬でインフルエンザは治らない? Q. 抗生物質で風邪は治らないって本当? Q. 栄養ドリンク剤と飲んでもいい? Q. 風邪薬との食べ合わせ飲み合わせで注意したほうがいいものはある? 風邪薬の選び方 薬は、「病原体に対するもの」と、「病原体にかかった体に対するもの」のふたつに大別できますが、風邪薬は後者の方にあたります。風邪のウイルスはあまりに数が多く、ひとつひとつに対しての薬を作るわけにはいきません*。つまり風邪薬とは、風邪そのものを治すものではなく、風邪の諸症状を緩和するためのものになります。市販の風邪薬を買うなら、自分のいちばん強い症状に合わせて選ぶといいでしょう。 ただ、風邪をひくたびにいろいろな症状が出ることもあります。そういうときのために、家庭にひとつあると便利なのが総合感冒薬です。「寒気がする」「喉の調子がヘン」など風邪の初期症状なら、総合感冒薬で十分です。ただし、用法・用量は必ず守ること。早く治したいからといって用量以上に服用すると、思わぬ副作用を招くこともあります。 *インフルエンザのウイルスに対する処方薬はある。 症状 分類 薬 熱が下がらない体が痛い解熱薬、鎮痛薬アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 鼻がつまる血管収縮薬(スプレータイプ)オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ナファゾリン、フェニレフリン 鼻水がよく出る血管収縮薬(飲み薬)プソイドエフェドリン 鼻がつまる くしゃみがよく出る抗ヒスタミン薬クレマスチン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン たんがよく出る去たん薬グアイフェネシン せきが止まらないせき止め薬コデイン、デキストロメトルファン、ベンゾナテート 参考資料:「メルクマニュアル医学百科最新家庭版」日経BP社 風邪薬の素朴なギモンにお答えします! 「薬を飲んでも治らない!」「こんな服用の仕方は大丈夫?」など、市販薬を使うとき、なんとなく感じる素朴な疑問。専門医の先生にじっくりうかがいました。 Q. 市販の風邪薬を使用しても、なかなかよくなりません! A. 風邪の混合感染(二次感染)の可能性があります。 混合感染(二次感染)とは、風邪をひいて喉や気管支の粘膜の免疫力が落ちたとき、細菌が侵入して、肺炎などの別の病気を発症してしまうこと。風邪薬が効かないほどこじれた場合は、混合感染の可能性がありますから、医師による診断を受けてください。 Q. 1種類の風邪薬でよくならない場合、いろいろな種類の薬を試したほうがよい? A. 1回の風邪で5日くらい風邪薬を飲んでも治らないときには、病院に行くこと。 いろいろな種類の風邪薬を試すよりも、病院へ。市販薬を飲んでいた後に、病院でもらう処方薬を服用しても問題はありません。 Q. 風邪薬でインフルエンザは治らない? A. 治りません。 よく間違えている人がいますが、風邪とインフルエンザとは別物。急に40度前後の熱が出て全身関節痛や全身倦怠感が強く、起きているのもつらいといった症状がみられる場合には、インフルエンザにかかっている可能性があります。こうなると市販薬で治すのはムリなので、病院へ行くこと。 Q. 抗生物質で風邪は治らないって本当? A. 風邪のウイルスに対応するわけではありませんが、混合感染を防ぐために処方されることも。 抗生物質は細菌の増殖を抑える薬で、風邪の原因であるウイルスに直接関与するわけではありませんが、風邪が長引いたり、喉に膿が出ていたりするなど、細菌の二次感染が疑われる場合には処方されることがあります。 Q. 栄養ドリンク剤と飲んでもいい? A. 栄養ドリンク剤の成分にもよりますが、交感神経興奮剤との飲み合わせはNG。 風邪をひいた時は栄養補給が大切。栄養ドリンク剤も上手に活用したいものです。ただし、薬に交感神経興奮剤が含まれている場合は、薬の効果が過剰になる恐れもあるため、避けましょう。ちなみに、栄養ドリンク剤を飲むとシャキッと元気になったような気がしますが、これはカフェインやアルコールなどが含まれているため。風邪が治ったわけではないので、あまり頼り過ぎるのは考えものです。 Q. 風邪薬との食べ合わせ飲み合わせで注意したほうがいいものはある? A. 薬の成分によっては、気をつけたほうがいい場合もあります。 下記のような場合、薬の成分によっては気をつけたほうがいいケースもあります。またどんな薬であれ、アルコールと一緒に服用するのは絶対にやめてください。 ●解熱鎮痛剤+アルコール、ニンニク、トウガラシ …胃があれて薬が効きすぎることもあります。 ●解熱鎮痛剤+炭酸飲料水、お菓子、キャベツ …薬の効果が減少し、効きが悪くなることもあります。 ●抗ヒスタミン剤+アルコール …酔い方が強くなったり、眠気などが増したりすることもあります。 ■関連記事 風邪と間違いやすい病気 「風邪」という病気はない!? 家族がインフルエンザにかかったら!?看護の注意点 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために
インフルエンザは風邪の一種で、感染の予防に有効なのが予防接種といわれていますが、1回で一生効果があるものではありません。インフルエンザや風邪に負けないだけの抵抗力(体力)をつけておく必要があります。 目次 インフルエンザと風邪ってどこが違う? インフルエンザの予防接種とは? インフルエンザや風邪に負けない生活術 インフルエンザと風邪ってどこが違う? 風邪とは、鼻やのどに急性の炎症が起こった状態のこと。風邪の主な原因はウイルスで、その種類は何百とあります。インフルエンザは風邪の症状を起こすウイルスの一種なのです。また、ウイルスのほかにも細菌やマイコプラズマなどの微生物が原因になることもあります。 これらの病原体は、つば(唾液)と共に空中に飛び散って感染します(飛沫感染)。 インフルエンザの特徴は インフルエンザのウイルスは、風邪のほかのウイルスとはまったく違うものですが、症状を見るだけで区別するのは難しいです。特徴として、突然の高熱、のどの痛み、筋肉痛などが挙げられます。もちろん、ほかにも鼻水や嘔吐下痢など風邪と同じ症状が出ることもあります。インフルエンザのこわい点は、気管支炎や肺炎、中耳炎を起こす原因になる点。乳幼児が肺炎にかかると命にかかわることもあります。 しかし、普通の風邪でも高熱が出るケースもあるので、地域ではやっているなどの情報がないと、医師でもインフルエンザと診断するのは難しいようです。病院に行って風邪と診断され、薬をもらった後も症状が改善しないようなら、再度医師に診てもらいましょう。 インフルエンザの予防接種とは? 予防接種は1回で終わりではない インフルエンザの感染の予防、また、万一感染しても軽くすむのに有効なのが予防接種といわれています。しかし、インフルエンザの予防接種は1回で一生効果があるものではありません。インフルエンザのウイルスには多様な種類があり、すべてに対抗できるワクチンは作れないからです。現在インフルエンザのワクチンは、毎年、「その年にはやりそうなウイルスの型」を予測し、それに対抗するものが作られています。つまり、予防接種でインフルエンザを防ごうとするのなら、毎年接種する必要があります。 もちろん、予測した型と実際に流行するインフルエンザの型とが異なることもあります。しかし、毎年予防接種を受けている人は、免疫が蓄積するので、かかった場合でも軽くすむケースが多いようです。 予防接種を受けてもインフルエンザにかかる!? 鶏卵、ゼラチンにアレルギーのある子供は注意! 予防接種の副反応は、ごくまれに発熱や頭痛がある程度で、特に心配はありません。しかし、ワクチンには 鶏卵やゼラチンが含まれているので、アレルギーのある赤ちゃん、子供の場合は接種前に医師に相談しましょう。 インフルエンザや風邪に負けない生活術 インフルエンザや風邪にかかったとしても軽くすませるためにできることは、予防接種だけではない。ウイルスに負けないだけの抵抗力(体力)をつけておくだけでも、かかったときの症状はずいぶん異なるのだ。赤ちゃんや子どもの抵抗力をつけるため、家庭で配慮できることを紹介しよう。 ●動きやすい服装でよく遊ぶ 風邪をひかせるのが怖いからと厚着させるのは逆効果です。着膨れして動きにくく、運動不足になることもあります。大体の目安は生後1ヵ月以内で、大人の着ている枚数より1枚多いくらい、それ以後は大人と同じ枚数か、1枚少ない程度で大丈夫です。枚数よりも、体が動かしやすい服装を心がけましょう。 ●栄養バランスと十分な休養 これは大人にも言えることですが、仕事で疲労しているときに風邪などをひいてしまうとこじれやすくなりまます。赤ちゃんや幼児も、なるべく起床、就寝と三食の時間を規則的にし、栄養バランスを考えた食事がとれるようにしましょう。 ●手洗い・うがいの習慣をつける 外出から帰った後、食事の前には必ず手洗いとうがいをする習慣をつけましょう。8ヵ月~1歳くらいになって、赤ちゃんがママの真似をするようになったら、水を口に含んでペッと吐き出す様子をママが見せてあげます。また、家族やお客さんも、赤ちゃんに触る前には手洗い、うがいの習慣を! ●室内が乾燥しないように注意 乾燥した空気は、のどに負担をかけるもとです。暖房をつけるならまめに換気したり、加湿器を使ったりして、適度な湿度を心がけます。 ●冬場の外出は人ごみを避けて 風邪やインフルエンザは、咳やくしゃみによって感染します。冬場は赤ちゃん連れで、人ごみの多い場所へ外出するのは極力避けるようにしましょう。
かかったことのない人はいないと思われる「風邪」ですが、風邪で病院に行っても、カルテに「風邪」とは記載されません。「風邪っぽいいくつかの症状」を「風邪」と呼んでいるにすぎないのです。 目次 2つの「風邪っぽいもの」 あなたの風邪はどちら? 2つの「風邪っぽいもの」 「風邪という病気は、この世に存在しません」と言われたら、どう思いますか? こんなにもありふれていて、かかったことのない人はいないと思われる「風邪」。しかし、風邪で病院に行っても、そのカルテに「風邪」とは記載はされません。「これこそが風邪」と特定できる病気ではないのです。 風邪は、主にウイルスによって引きおこる、呼吸器系の急性炎症の総称で「風邪症候群」と呼ばれているもの。つまり「風邪っぽいいくつかの症状」を「風邪」と呼んでいるにすぎません。その症状とは次のような極めて簡単なものです。 発熱 鼻やのどの炎症 痛み(頭、関節など) このなかの主なものが 普通感冒とインフルエンザです。 普通感冒 鼻炎症状が強いので鼻やのどが痛くなりますが、一般的に軽い症状です。経過も良好で、ほとんど1週間で治ってしまいます。 主な症状は、くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛みで、発熱はあまりありません。全身がだるい・頭痛などの症状もありますが一般に軽いです。 インフルエンザ 普通の風邪が咳、のどの痛みから始まるのに対し、寒気やだるさ、関節や筋肉、頭などの 全身の痛みで始まります。熱は高く39~40度にもなり、それが長く続きます。 1~3月に主に流行します。 全身症状が強く、食欲減退、吐き気、下痢などが起こります。 65歳以上の高齢者がかかる場合、死亡率が高くなります。 あなたの風邪はどちら? インフルエンザと普通感冒は、その進行や症状がさらに以下のように異なっています。自分や家族の風邪の正体を把握しましょう。 インフルエンザと普通感冒の違い インフルエンザ 普通感冒 伝染性 大きい20~40%強くない 発病 急性徐々に 初期症状 寒気、頭痛くしゃみ、鼻水、のどの乾き 主な症状 発熱、全身痛などの一般全身症状鼻水、鼻づまり、くしゃみなど鼻やのどの症状 寒気 強いない。あっても弱い 発熱 39~40度37.5度程度 筋肉痛 頭、腰、関節、筋肉など全身に強いないか軽い。あっても頭痛程度 全身のダルさ 強い軽い 食欲不振 あるない 鼻炎・鼻水 後から少しある始めからある 咳 強いない、あるいは軽い 目の結膜充血 しばしばある普通ない 経過 やや長引く。一度ひいた熱がまた上がる場合もある短期間のことが多い 病原 インフルエンザウイルス主にライノウイルスなど 経過後の免疫 あり。3~4ヵ月は続く短期 ■関連記事 市販の風邪薬、もっと上手に利用しよう 風邪と間違いやすい病気 家族がインフルエンザにかかったら!?看護の注意点
ヒトの体温は何度まで上昇可能!? 私たち哺乳類は定温動物である。 定温動物とは、気温に関わらずいつも体温を一定に保つことができる動物のことである。 「そんなこと知っているよ!何をいまさら」と思われた方も多いかもしれないが、ここからが問題。 体温を一定に保つメカニズムはどのようになっているのだろうか。 体温を維持する中枢は間脳の視床下部にあり、外気温や血流温度に合わせて体温を調節している。 例えば外気温が高い場合、視床下部の温熱中枢を刺激し、体温調節中枢の設定温度を低くして体熱の放散を図ろうとする。 運動をしたときや真夏日に汗をかくのは、発汗によって体熱を放散させようとするため。 逆に外気温や血流温度が低いと、視床下部の冷中枢を刺激して体温調節中枢の設定温度を高くし、熱の放散を抑制する。 寒いと体がガタガタふるえるのは、筋肉を動かすことによって体熱を生産し、体温を上げようとするためなのだ。 体温計が42度までしかない理由 こうして私たちの体は平熱に保たれているわけだが、この平熱にも個人差がある。 概して女性の方が男性よりも体温の低い人が多く、35度の女性もいる。 普通、平熱と言われるのは35~36.5度ぐらい。 しかし健康であってもいつも体温が一定というわけではない。 朝方より夕方の方が体温が高くなるし、興奮すればアドレナリンが分泌されて体温が高くなる。 だから平熱が高い人は、強い緊張にさらされることで、アドレナリンがつねに分泌されている可能性が高い。 発熱とされるのは、37度以上。 体温が1度上昇すると13%代謝が増加し、発汗、倦怠感という症状が出る。 気温が1度上がるのと違って、体温が1度上がるのはかなり人体に負担がかかると言うわけだ。 ところで体温計をよく見ると目盛りは35度から42度までしかない。 これはヒトの体を構成するタンパク質の性質と大きな関係がある。 タンパク質は熱で凝固する性質がある。 この凝固の温度が42度以上。 つまり42度以上熱が出てしまったら、ヒトは生命を維持することが不可能になる。 では逆に低温にはどれだけ耐えられるのか。 医療の現場では35度以下を低体温といい、体温を上げるための処置が必要になる。 低体温になると意識の混濁や脈が激しくなるなどさまざまな症状が現れる。 そして20度で心臓が停止してしまうのだ。 ■関連記事 インフルエンザを正しく理解しよう!都市伝説に惑わされないために
紅茶でうがいをすると… インフルエンザのウイルスが、紅茶などのお茶に弱いことを、昭和大学医学部細菌学の島村忠勝氏が報告しています。紅茶でうがいをした人は、しなかった人よりインフルエンザにかかりにくいという研究結果が得られたのです。 調査は、1992年(平成4年)の冬から翌年にかけて、約260人を対象に行われました。紅茶でうがいを「する群」と「しない群」に分け、その後のインフルエンザ感染率を比較したところ、「する群」は35.1%、「しない群」は48.8%と、統計学的に有意差がついたということです。 カテキンがウイルスのトゲを包む? 紅茶の濃度は、ふだん飲む濃度の4~5倍の薄さでも十分な効果があるということです。温度は体温と同じくらいがベストですが、「ちょっとぬるめ」を目安にすれば良いとのこと。そして朝夕2回、頭を後ろにそらせるような格好でうがいすると、普通は飲み物が入らない鼻腔まで紅茶が流れていき、きれいに洗浄できるということです。 紅茶に含まれるカテキンがインフルエンザウイルスのトゲを包み込み、感染性を消すといわれています。