ズキンズキン、ドクンドクンする片頭痛。台風や爆弾低気圧がやってくる直前から悩まされることはありませんか。もしかすると、天気痛かもしれません。薬局ちぇあーくらぶのセミナー*1で東京八重洲クリニックの岡寛先生が講演した「気圧の変化と身体症状(疼痛・めまい・疲労)の改善法」から、天気痛の1つ、片頭痛について紹介します。
講演によると、台風や低気圧が通過するときに気圧が急激に下がり、そのことによって体内バランスがくずれて、痛みやめまい、疲労が起こることを「天気病」といいます。
痛みは「天気痛」と言われています。代表的なのはズキンズキンとする片頭痛です。
国内の調査結果によると、片頭痛の患者数は推定840万人*2、女性は男性の3~4倍と多く、30歳代、次いで40歳代に発生頻度が高いとの報告があります(図1)。
図1:片頭痛の年代別、男女別の有病率
出典:2020年8月27日開催・薬局ちぇあーくらぶセミナーの岡寛先生の講演「気圧の変化と身体症状(疼痛・めまい・疲労)の改善法」の資料
(図は、Cephalalgia 1997; 17: 15-22)
片頭痛の特徴としては以下が挙げられます。
頭痛の発症メカニズムは自律神経系の交感神経の興奮、筋肉の緊張による血管の圧迫(血管の膨張)や、血液循環の異常などが考えられています。片頭痛は、顔面や頭部の痛みを脳に伝える役割を担い、脳の血管を取り巻いている三叉神経が関わっています。
具体的には、眼や耳(内耳)で気圧の急激な変化を感じて交換神経が興奮すると脳の血管が膨張し、血管に巻きついている三叉神経と血管の隙間がなくなります。血管が脈打つと三叉神経が引っ張られ、脈を打つたびにドクンドクンする片頭痛が起こります(図2)。
図2:片頭痛はどのようにしておこるのか
出典:2020年8月27日開催・薬局ちぇあーくらぶセミナーの岡寛先生の講演「気圧の変化と身体症状(疼痛・めまい・疲労)の改善法」の資料
片頭痛の治療薬に関しては、発症しはじめの段階ではまず患者さんの費用負担も考慮したセデスGS顆粒や、予防効果が期待できるデパケンを処方します。
軽度~中等度のケース、中等度~重度のケース、吐き気もあるケースなどによって以下のような選択肢があります(図3)。
図3:片頭痛の急性期治療薬の使い分け
出典:2020年8月27日開催・薬局ちぇあーくらぶセミナーの岡寛先生の講演「気圧の変化と身体症状(疼痛・めまい・疲労)の改善法」の資料
頭痛で慢性的に悩まされる4つのタイプがあります*2。片頭痛、頭全体が締めつけられる緊張型頭痛、片目の奥に激痛を感じるような群発頭痛、そして最近は薬の服用しすぎによる頭痛が増加しています。
複数の医薬品が処方されていることをポリファーマシー〔poly pharmacy:polyは複数、pharmacyは調剤(薬局、薬学など)という意味〕といいます。通常は、4剤以上の併用をいいます。薬の飲み合わせによって、痛みを抑える薬を飲んでいても頭痛が慢性的に起こりやすくなる薬物乱用頭痛という悪循環に陥った状態が問題視されています。
岡先生は、「ポリファーマシーへの対策として自分が飲んでいる薬がどのような目的で処方されているのか、複数の医療機関に通院している人は、必ずお薬手帳をその都度見せましょう」とアドバイスしています。
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