減塩、低たんぱくの食事はおいしくないといわれますが、ちょっとした工夫でおいしくさま変わりします。北海道の血液透析が中心の病院H・N・メディック北広島のスタッフがご当地食材を生かしたレシピを3食作りました。自慢の1品は夕食の「真鱈の味噌焼きホワイトソース~山わさび風味~」です(第22回日本病態栄養学会学術集会のレシピコンテスト「地域の伝統を生かした腎臓病食」をもとに本記事を作成しました*)。
目次
H・N・メディック(https://www.hnmedic.jp/)は、北海道の札幌市と北広島市にあります。腎臓の病気の患者さんや透析患者さんの病院です。
今回、H・N・メディック北広島では、北海道の食材を多くとりいれ、揚げ物が苦手でも、ちょっとした工夫でエネルギーアップをしながら食べやすい朝・昼・夕のレシピを考えました。3食1人前で総カロリー1804kcal、たんぱく質50g、塩分5gです。
ポイント★味がしまる練りがらし
■ポテトサラダのロールパンサンドウィッチ(1人分)
■朝食分の栄養価
ポイント★旨みをいかした調理法とアルコールをとばしたみりん
■豚丼(1人分)
(豚丼のたれ)
■ごまドッレシング(1人分)
■昼食分の栄養価
ポイント★家族皆で楽しく美味しく食べられる特別感のある献立
■真鱈の味噌焼きホワイトソース(1人分)
(合わせ味噌の調味料)
(ホワイトソース)
■夕食の栄養価
写真提供:医療法人社団H・N・メディック北広島・栄養部
朝の献立のポテトサラダに関しては、練り辛子を使用して味をしめるという工夫をこらしました。マヨネーズも使ってエネルギーアップにつながるようにしました。
昼の献立の豚丼に関しては、豚は強力粉をまぶして焼くことにより、少ない調味料でもタレがよく絡みます。味付けには、減塩しょうゆではなく、うまみの強い濃い口しょうゆを使うことで、ご飯がすすむ一品にしあげました。
一般的な調味料でも使用量に気をつけることや、うまみを大事にすることで、塩分を抑えることができます。
ラーメンサラダに関しては、ゴマドレッシングを使っています。アルコール分を飛ばした、みりんを加えることで、水っぽくならずに減塩ができます。
この方法は、いろいろなドレッシングや調味料を使うときにも役立ちます。
自慢の1品は、家族みんなで楽しみながら特別感を感じられる夜の献立「真鱈の味噌焼き~ホワイトソース山わさび風味~」です。
北国の代表的な魚は「真鱈」です。冬なら鍋物によく使われるもので、鮮度がよければ刺身もおすすめです。ただ、真鱈はエネルギーが非常に低く、鍋や刺身では調味料やしょうゆを多く使いますし、塩分も多めになってしまいます。
そこで、調理法を工夫してエネルギーをアップさせました。
淡泊な味わいの真鱈を味噌漬けにして焼き、コクを出すためにホワイトソース、チーズを乗せ、さらに食感のアクセントとしてパン粉をのせて、オーブン焼きで仕上げました。
最後の風味付けに、山わさびをすった物を使用しています。すべて、北海道の自慢の食材を使用した一品です。
また、主菜をバターライスにすることや、副菜にニンジンのマリネを組み合わせることもエネルギーアップの工夫です。
■材料(2人分)
真鱈 110g、合わせ味噌の調味料(淡色辛味噌 10g、みりん 6g、上白糖 6g、日本酒 4g)、ホワイトソース(牛乳 50g、強力粉 5g、無塩バター 5g、コンソメ 1g、上白糖 0.2g、白こしょう 0.2g、ローリエ 0.2g)、玉ねぎ 40g、油(焼く用)10g、プロセスチーズ(ピザ用)10g、生パン粉 6g、山わさび 6g、クレソン 20g
■作り方
世間では病院給食はおいしくないといわれますが、H・N・メディック北広島の柴田周吾さんは「栄養成分を制限してもおいしい食事はできます」といいます。
本人は、以前に病気で入院した経験があり、そのときの病院食に不満を感じて「これでは、病気が治らない」と思うほどでした。
食事は、病院から一方的に提供するものではなく、調理のコツなど食事に関して患者さんと会話して、楽しくおいしく食べることも治療の一環として大事にしています。
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