疾患・特集

痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記

毎日つづく痛みと疲労、更年期の症状も重なって、仕事を続けられずに退職した患者さんがいます。線維筋痛症と更年期障害に悩まされていましたが、現在は回復して復職もしています。病気を発症してから社会復帰を果たすまでの経過が、患者会の線維筋痛症友の会が主催の市民公開講座で発表されました(市民公開講座は2018年9月30日の日本線維筋痛症学会第10回学術集会で開催)。

万力で押しつぶされるような痛みが毎日続く

右手の薬指のつけ根が万力で押しつぶされるような痛みと腫れ、熱感

精神科の看護師Bさんは数年前に線維筋痛症を発症しました。はじめての症状は、右手の薬指のつけ根が万力で押しつぶされるような痛みと腫れ、熱感でした。翌日になると、右手の人差し指と中指にも痛みが移りました。
整形外科を受診したところ、関節リウマチが疑われてステロイドを処方してもらいました。1週間たっても症状がよくならず、リウマチ・膠原病(こうげんびょう)の専門科を紹介されましたが、血液検査とレントゲン検査で異常はなく、痛み止めを処方してもらいました。
症状はおさまらず、そのうち痛みは両手にひろがっていました。

仕事帰りにひどい疲労感、仮眠しないと帰宅できない

その時期は、仕事に車で行くことはできたのですが、終業後に駐車場で強い疲労感に襲われ、2時間は仮眠しないと帰宅できない状態でした。足にも痛みが出現しました。
MRIなどの精密検査も受けましたが異常なしとのことでした。以前に子宮を全摘出していたことでメンタルクリニックに通っていたので相談したところ、こころの病気、もしくは幻肢痛という病気ではないかといわれました。
幻肢痛は、たとえば指や腕などをなくしたのに、指や腕の感覚があるという神経の病気です。手足があるのに幻視痛と言われたのはショックだったとのことです。
毎日、激痛で寝たきりに近く、杖をつかないと歩けない状態でしたので退職しました。
東京リウマチペインクリニックを紹介されて院長の岡先生の診察を受けたところ、線維筋痛症と診断されました。
その後の治療経過を見ると、痛みの治療薬のノイロトロピンを処方されました。当初よりも薬の量を多くしてもらったところ、症状が軽くなりました。

更年期の症状としてボタボタ流れるくらいの大量の汗にも悩まされる

Bさんは、更年期によくある症状のホットフラッシュ(ほてりや汗など)、倦怠感、不安、イライラ、憂うつなどにも悩まされていました。汗に関しては、シャワーを浴びたような状態で、診察中もボタボタと流れでるくらいでした。
簡略更年期指数(SMI)というものがありますが、100点中76点と長期間にわたる計画的な治療が必要との判定でした。そこで、保険適応のプラセンタ療法のメルスモンを処方されました。
その後、数ヵ月間で大量に汗をかく症状はよくなってSMIの評価は100点中33点と減少しました。
痛みと疲労、更年期症状の大量の汗といった多くの症状に悩まされていたのですが、症状に応じた治療によって体調が良くなったので、現在は時短就労として1日4時間の高齢者のデイサービスの仕事ができるようになりました。

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公開日:2019/01/18
監修:東京リウマチ・ペインクリニック院長 岡寛先生/線維筋痛症友の会理事長 橋本裕子さん