毎日つづく痛みと疲労、更年期の症状も重なって、仕事を続けられずに退職した患者さんがいます。線維筋痛症と更年期障害に悩まされていましたが、現在は回復して復職もしています。病気を発症してから社会復帰を果たすまでの経過が、患者会の線維筋痛症友の会が主催の市民公開講座で発表されました(市民公開講座は2018年9月30日の日本線維筋痛症学会第10回学術集会で開催)。 目次 万力で押しつぶされるような痛みが毎日続く 仕事帰りにひどい疲労感、仮眠しないと帰宅できない 更年期の症状としてボタボタ流れるくらいの大量の汗にも悩まされる 万力で押しつぶされるような痛みが毎日続く 精神科の看護師Bさんは数年前に線維筋痛症を発症しました。はじめての症状は、右手の薬指のつけ根が万力で押しつぶされるような痛みと腫れ、熱感でした。翌日になると、右手の人差し指と中指にも痛みが移りました。 整形外科を受診したところ、関節リウマチが疑われてステロイドを処方してもらいました。1週間たっても症状がよくならず、リウマチ・膠原病(こうげんびょう)の専門科を紹介されましたが、血液検査とレントゲン検査で異常はなく、痛み止めを処方してもらいました。 症状はおさまらず、そのうち痛みは両手にひろがっていました。 仕事帰りにひどい疲労感、仮眠しないと帰宅できない その時期は、仕事に車で行くことはできたのですが、終業後に駐車場で強い疲労感に襲われ、2時間は仮眠しないと帰宅できない状態でした。足にも痛みが出現しました。 MRIなどの精密検査も受けましたが異常なしとのことでした。以前に子宮を全摘出していたことでメンタルクリニックに通っていたので相談したところ、こころの病気、もしくは幻肢痛という病気ではないかといわれました。 幻肢痛は、たとえば指や腕などをなくしたのに、指や腕の感覚があるという神経の病気です。手足があるのに幻視痛と言われたのはショックだったとのことです。 毎日、激痛で寝たきりに近く、杖をつかないと歩けない状態でしたので退職しました。 東京リウマチペインクリニックを紹介されて院長の岡先生の診察を受けたところ、線維筋痛症と診断されました。 その後の治療経過を見ると、痛みの治療薬のノイロトロピンを処方されました。当初よりも薬の量を多くしてもらったところ、症状が軽くなりました。 更年期の症状としてボタボタ流れるくらいの大量の汗にも悩まされる Bさんは、更年期によくある症状のホットフラッシュ(ほてりや汗など)、倦怠感、不安、イライラ、憂うつなどにも悩まされていました。汗に関しては、シャワーを浴びたような状態で、診察中もボタボタと流れでるくらいでした。 簡略更年期指数(SMI)というものがありますが、100点中76点と長期間にわたる計画的な治療が必要との判定でした。そこで、保険適応のプラセンタ療法のメルスモンを処方されました。 その後、数ヵ月間で大量に汗をかく症状はよくなってSMIの評価は100点中33点と減少しました。 痛みと疲労、更年期症状の大量の汗といった多くの症状に悩まされていたのですが、症状に応じた治療によって体調が良くなったので、現在は時短就労として1日4時間の高齢者のデイサービスの仕事ができるようになりました。 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 更年期にやさしいサプリメント 痛みと疲労に悩む人に役立つ医師&患者会セミナー 公開日:2019/01/18 監修:東京リウマチ・ペインクリニック院長 岡寛先生/線維筋痛症友の会理事長 橋本裕子さん
女性が閉経を迎える前後10年間の時期を更年期といいます。閉経を境に、卵巣ホルモンの分泌量が大きく変化する時期です。その時期に体がだるい、手足が痛い、たくさん汗をかくなどの症状があれば、簡略更年期指数(Simplified Menopausal Index:SMI)でチェックをしましょう。このチェックは医療機関でも使われるもので、治療が必要かどうかの目安にもなります。 目次 簡略更年期指数(SMI)をチェック 51点以上は医療機関で治療を受けることを検討しましょう 簡略更年期指数(SMI)をチェック 設問 強 中 弱 無 1 顔がほてる 10 6 3 0 2 汗をかきやすい 10 6 3 0 3 腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0 4 息切れ、動悸がする 12 8 4 0 5 寝つきが悪い、または眠りが浅い 14 9 5 0 6 怒りやすく、すぐイライラする 12 8 4 0 7 くよくよしたり、憂うつになることがある 7 5 3 0 8 頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0 9 疲れやすい 7 4 2 0 10 肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0 点数の合計 SMIの評価 0~25点 異常なし 26~50点 食事、運動に気を付け、注意を 51~65点 更年期・閉経外来を受診しましょう 66~80点 長期間にわたる計画的な治療が必要 81~100点 各科の精密検査にもとづいた長期の計画的な治療が必要 出典:小山嵩夫 産婦人科漢方研究のあゆみ 1992;9:30-34 51点以上は医療機関で治療を受けることを検討しましょう 更年期とは一般的には40歳代後半から50歳代前半といわれています。閉経を境に、卵巣ホルモンの分泌量が大きく変化する時期です。 その時期に体がだるい、手足が痛い、たくさん汗をかくなどの症状があれば、SMIをチェックすることで自分に起こりやすい症状がどの程度なのかを点数をつけて把握できます。 また、定期的にチェックすることによって、自分はどのような症状に悩まされているのか、以前よりは改善してきているのかがわかるようになります。チェックの結果、51点以上だった場合は、医療機関で治療を受けることを検討しましょう。 閉経を迎えた女性が気をつけなければならないのは、卵巣ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が低下することによって骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や脂質異常症になることです。最近では、痛みや疲れに長期にわたって悩まされる線維筋痛症と重なることも問題視されています。 上記のような病気の早期発見にもつながるので、ぜひSMIチェック表を活用しましょう。 ■関連記事 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 更年期にやさしいサプリメント 痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記 痛みと疲労に悩む人に役立つ医師&患者会セミナー 公開日:2019/01/16 監修:東京リウマチ・ペインクリニック院長 岡寛先生
うつ病は性別を問わずかかる病気ですが、世界的に女性のほうが男性より2倍かかりやすく、女性は5人に1人が一生のうちで一度はうつ病になると言われています。女性が男性よりうつ病にかかりやすいのは、なぜでしょうか。 目次 うつ病のかかりやすさの違いを生むのは、女性ホルモンの変動とストレス 働く女性にとって大きなストレスとなる、いまだに男性社会の職場 妊娠・出産とともに、不妊がうつ病発症のきっかけになることも 更年期は女性ホルモンの減少にくわえて、生活スタイルの変化が起きる時期 女性はうつ病にかかりやすいことを意識して、無理せず十分な休養を うつ病のかかりやすさの違いを生むのは、女性ホルモンの変動とストレス うつ病は性別を問わずかかる病気ですが、世界的に女性のほうが男性より2倍かかりやすく、女性は5人に1人が一生のうちで一度はうつ病になると言われています。厚生労働省の患者調査(2014年)によると、うつ病を含む気分障害の国内の患者約110万人のうち、男性が約40万人なのに対して女性は約70万人。女性のほうが医療機関で受診する機会が多く、またうつ病と症状が重なる不定愁訴が多くみられるためうつ病が発見されやすいという一面は、たしかにあります。しかしそれを考慮に入れても、男女で差があるのは明らかです。 女性が男性よりうつ病にかかりやすいのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンの影響によるものです。精神の安定に関わる女性ホルモンが月経周期などにより変動すると、気分が不安定になりやすく、うつ病のリスクが高まります。 うつ病の発症には環境や性格、体質などさまざまな要素が関係していますが、最大の原因と考えられるのはストレスです。ストレスを日々感じていることに性別の違いはありませんが、女性には男性が感じることのない女性特有のストレスがあります。さらに、女性ホルモンの変動は、ストレスに対する抵抗力の低下をもたらすことも、うつ病のかかりやすさに性差が生じる原因だと考えられます。 働く女性にとって大きなストレスとなる、いまだに男性社会の職場 誰にとっても、仕事は少なからずストレスを感じるものです。しかし、いまだに男性社会の風潮が色濃く残る多くの職場で、女性が感じるストレスは男性と比べて計り知れないでしょう。女性というだけで不当な評価を受けたり、セクハラやパワハラの被害にあったりしてうつ病を発症して、会社に行けなくなったという報告は後をたちません。 反対に、仕事で高く評価されてうつ病になることもあります。重要な仕事を任されて頑張りすぎる場合や、頼りにされて毎日忙しく、結婚・出産を望んでいても思うようにならない場合などは、精神的に追い込まれてしまうのです。 妊娠・出産とともに、不妊がうつ病発症のきっかけになることも 女性ホルモンが変動しやすく、かつストレスを感じやすい周産期(妊娠中・産後)は、うつ病の危険性が高まる時期です。産後から数日の間に、気が滅入って悲しい気分になる「マタニティー・ブルー」になることはありますが、通常は1週間ほどで元気を取り戻します。しかし、時間が経っても改善しない場合は「産後うつ病」の可能性があります。 晩婚化の傾向にある現代では、妊娠を望んでも子どもを授かれない不安や焦り、自分を責める気持ち、周囲からのプレッシャーなどで、うつ病発症のひきがねとなることがあります。不妊治療を行っている人であれば、生理予定日が近づくにつれて高まった期待感と、うまくいかなかったときの失望感との落差は大きなストレスです。「不妊治療を始めればすぐに妊娠できる」と思っていた人にとっては、理想と現実とのギャップも大きいでしょう。また、不妊治療では通院の手間や身体的な負担、経済的な負担なども、心に重くのしかかります。 更年期は女性ホルモンの減少にくわえて、生活スタイルの変化が起きる時期 女性ホルモンが変動し、うつ病のリスクが高まる時期として、更年期が挙げられます。女性ホルモンの分泌量が減少することで、不安やイライラが生じる更年期障害が起きることはよく知られています。そのため、精神状態の異変に気づいても、よく聞く更年期障害の症状だと思い込んでいたら、実際には「更年期うつ病」が隠れていたということもあるのです。 この時期は、子供の独立や親の介護などで、生活のリズムが大きく変わる時期でもあります。子供が進学や就職、結婚などで親元を離れて巣立っていくと、母親としての役目が終わったように感じられる喪失感に襲われる「空の巣症候群」になることがあります。また、親の介護に心身ともに疲れ切ってしまうことがあります。これらは、うつ病を発症するきっかけとして、十分すぎるほど大きなストレスだと言えるでしょう。 女性はうつ病にかかりやすいことを意識して、無理せず十分な休養を 女性がうつ病になるのを防ぐには、「女性は男性の2倍うつ病にかかりやすい」ということを、普段から意識しておくことが大切です。これを頭に入れておけば、仕事などで無理をしそうになったときにブレーキをかけられるようになり、また心の異変を感じたときにしっかりと休めるようになるでしょう。なかなか改善しないときは、「精神科」「心療内科」「メンタルクリニック」などを掲げている医療機関で相談してみましょう。 ■関連記事 うつ病をFacebookから診断できる? 西川伸一先生ブログ・論文ウォッチから 疲れやストレスを感じたら体内時計をリセット!うつ病学会が自己管理のコツを紹介 うつ病に良い栄養は葉酸や鉄分 うつ病は過敏性腸症候群や善玉菌が関係あり うつ病、統合失調症など精神疾患が生活習慣改善により予防できるケースも 公開日:2016/07/04
若い頃は精力的で体力十分、仕事も家庭も順調だったのに、40代を過ぎると体のあちこちに変化が…。女性同様、男性にも更年期障害の症状が現れます。男性の更年期障害「LOH症候群」(加齢男性性腺機能低下症候群)について詳しく解説します。 目次 40代以上の男性は注意!専門医による治療が必要な更年期障害 男性の更年期障害(LOH症候群)の主な症状 年齢のせいだと思い込んだり、うつ病と診断されていたりすることも… 「もしかして…」と思ったら、男性更年期外来やメンズヘルス外来へ 40代以上の男性は注意!専門医による治療が必要な更年期障害 若い頃は精力的で、気力がみなぎり体力も十分。落ち着きがあって、仕事も家庭も順調そのもの。そんな理想の男性像のような人でも、40代を過ぎると性機能が落ちたり、体のあちこちが痛くなったりします。楽々とこなしていたハードワークも昔のようにはできなくなり、まわりからは「怒りっぽくなった」と言われ、なんだか体調も悪く、自分の衰えを感じざるをえません。それらの原因となる病気が思い当たらない場合、加齢やストレスなどで男性ホルモン(テストステロン)が低下することによって引き起こされる男性の更年期障害「LOH症候群」(加齢男性性腺機能低下症候群)かもしれません。女性の更年期障害と同様、男性のLOH症候群でもさまざまな症状が現れます。 男性の更年期障害(LOH症候群)の主な症状 性機能の症状体の症状心の症状 ●性的活動の頻度や意欲の低下 ●ED(勃起機能障害) ●関節痛 ●筋肉痛 ●筋力の低下 ●疲れやすい ●突然の発汗 ●ひげの伸びが遅い ●認知力(判断・記憶など)の低下 ●イライラ・怒りっぽい ●憂うつ ●不眠 個人差はあるものの、男性ホルモンは20代でピークに達し、年齢とともに徐々に低下していきます。40代以上の方は特に、職場でのプレッシャーや雇用の不安、親の介護などに直面することがあります。これらの問題によるストレスと加齢によって、テストステロンが低下し、LOH症候群が引き起こされると考えられます。それぞれの症状に対処するだけでなく、LOH症候群の原因となっている男性ホルモンの低下に対処するには、専門医による診断が必要です。 年齢のせいだと思い込んだり、うつ病と診断されていたりすることも… 年齢を重ねると、多くの人が疲れやすくなり、腰や背中などに痛みを感じるようになります。自分では、年齢によるものなのか、病気の症状なのかという見分けはつきません。そのため、LOH症候群の症状が現れたとしても、年齢によるものだと思い込んでしまい、発見が遅れることが多くあります。 抑うつと呼ばれる憂うつな状態になる、やる気が出ない、不安感が増すといった、うつ病とよく似た症状が現れることもあります。そのため、実際にはLOH症候群でありながら、精神科などを受診してうつ病だと診断されているケースもあります。一般的にうつ病は、抗うつ薬などによる治療が行われます。心の症状がそれで軽減されたとしても、男性ホルモンが低下した状態はそのままであり、ほかの症状は抑えられません。LOH症候群の治療でも、症状に応じて抗うつ薬などが用いられることはありますが、基本となるのは男性ホルモン補充療法です。 男性ホルモン補充療法は、筋肉注射や軟膏のテストステロン製剤で低下したテストステロンを補充して、症状を抑える治療法です。副作用として、赤血球が増える多血症や、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の悪化、まれに肝障害などが起きることがあります。 「もしかして…」と思ったら、男性更年期外来やメンズヘルス外来へ LOH症候群の診断までには、血液中のテストステロンの濃度を測る検査や、問診などが行われます。LOH症候群の方を専門的に診ているのは、男性更年期外来や、メンズヘルス外来などです。ただし、これらを掲げている医療施設は限られているため、お住まいの近くでは見つからないこともあります。その場合は、泌尿器科で相談すると良いでしょう。 公開日:2015/01/26
女性の更年期障害は有名ですが、じつは男性も無縁ではありません。おもな症状は、うつや性機能減退など。でもこれらの症状が起こっているにもかかわらず「ちょっと疲れただけかも」などと見過ごされていることも多いようです。早ければ30代で発症することもある「男性更年期障害」。なにかとストレスの多い人は要注意です。 目次 原因は男性ホルモンの低下だった! ストレス時代に広がる男の更年期 こんな症状に覚えがあれば要注意! どうする?男性更年期障害の克服法 原因は男性ホルモンの低下だった! 「更年期障害は閉経期の女性に起こるもの」と思いこんではいませんか?でも、男性にも更年期障害は起こりうるものです。引き金となるのは、男性ホルモン(テストステロン)の減少です。そもそもこのホルモンの分泌量がピークとなるのは20~30歳。その後、加齢とともに低下していきます。量には個人差がありますが、減り方も人によってまちまちです。通常は女性のように急激に減ることはありません。ですが、ときどき減少のスピードが速い人がおり、こうした場合に更年期障害の症状が見られるとされます。発症時期は40代半ば~50代半ば。早ければなんと30代で発症することもあるようです。 ストレス時代に広がる男の更年期 では、男性ホルモンが低下するのは、どのような原因によるものなのでしょうか?最も大きな原因は、もちろん加齢です。年とともに性ホルモンが減っていくのはしかたのないことです。でも、もうひとつ重大な原因があります。ストレスです。 ストレスと男性ホルモンの分泌量には密接な関係があります。性ホルモンの分泌に関わっているのは、本能をつかさどる大脳辺縁系です。大脳辺縁系は、理性や思考をつかさどる大脳新皮質がはたらいている時には、活動を止めてしまいます。ストレスがかかると、大脳新皮質が酷使されるため、大脳辺縁系は休止状態となります。おかげで、性ホルモンの分泌が妨げられてしまうのです。 男性の場合、仕事で失敗したり、上司に叱られたりして「オレはダメなヤツだ」などと落ちこむと、大きなストレスにつながりやすいようです。ほかにもリストラへの不安、住宅ローンや教育費など金銭面の問題、身内の介護など、あらゆる要素がストレスの原因となります。 こんな症状に覚えがあれば要注意! 当てはまる項目をチェック! (1)性欲(セックスをしたいという気持ち)の低下があるか? (2)元気がなくなってきたか? (3)体力あるいは持続力の低下があるか? (4)身長が低くなったか? (5)「日々の愉しみ」が少なくなったと感じているか? (6)物悲しい気分・怒りっぽいか? (7)勃起力は弱くなったか? (8)最近、運動をする能力が低下したと感じているか? (9)夕食後うたた寝をすることがあるか? (10)最近、仕事の能力が低下したと感じているか? 男性更年期障害の疑いがある人はこんな人! ●(1)または (7)が「はい」 ●(2)~(6)、 (8)~ (10)の8問中、「はい」が3つ以上 出典:米国・セントルイス大学のモーリー医学博士が作成、札幌医科大学医学部泌尿器科 伊藤直樹助教授の訳による 上記の症状のほか、血液検査での男性ホルモン(テストステロン)量も診断の目安となります。セルフチェックで男性更年期障害の疑いがあった人は、医療機関を受診して調べてみましょう。 どうする?男性更年期障害の克服法 その1・ホルモン補充療法 男性更年期障害の治療法として有名なのが「ホルモン補充療法」。男性ホルモンを注射などで補い、症状をやわらげようというものです。ただし、テストステロンなど強力なホルモン療法の長期使用は、前立腺がんや前立腺疾患、心疾患リスクを高めるという説もあります。 その2・薬物療法 抗うつ薬や抗不安薬、バイアグラなどを服用し、うつ症状や勃起障害などを改善します。もちろん、薬で根本治療ができるわけではありませんが、困った症状はある程度解決できるはずです。 その3・スローセラピー 薬物療法とあわせ、カウンセリングをおこないながら症状の改善を目指す医院もあります。名づけて「スローセラピー」。バランスの崩れた自律神経を整える「自律神経訓練法」や考え方、感じ方の癖を直していく「認知行動療法」も実施します。妻が同席し、話を聞く場合もあります。 その4・食事療法 ヤマイモには性ホルモンの前駆物質「DHEA」の合成に必要な栄養がたっぷり。週2~3回、半本ずつ食べるようにすると、効果があるという説もあります。 更年期だからと落ちこんだり、自分を否定したりせず、「これも体からのサイン。ここらへんで一休みして、元気を取り戻そう」と前向きにとらえるようにしましょう。 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 更年期にやさしいサプリメント
必要以上に汗をかいてしまう病気を「多汗症」という。日常生活に支障がでることもあるほど、汗をかいてしまう病気だ。多汗症とはどんな病気なのか、またその治療法を紹介する。 目次 多汗症ってどんな病気? 多汗症の原因は? 多汗症の裏に病気が隠れていることもある 多汗症を治療するには? 多汗症ってどんな病気? 多汗症とは、読んで字のごとく「必要以上にたくさんの汗をかく病気」のこと。特に、緊張したときやびっくりしたときにかく精神性発汗(エクリン腺からの分泌)による汗の異常である。なかでも手のひらや足の裏に限定して大量に汗をかく場合には、「手掌足蹠多汗症(しゅしょうそくせきたかんしょう)」という。 精神性発汗の特徴は、手のひらや足の裏に大量に汗をかくこと。わきの下や顔面を伴うこともあるが、体からはあまり汗が出ない。 多汗症に気づくきっかけは、字を書こうと思ったら紙が濡れて破れてしまった、フォークダンスのとき、他の人と手をつなごうと思ったら自分の手がべたべたしていたなど。汗をかく量も「いつも手足が湿っている」程度の人から「滴り落ちるほどいつも濡れている」人までさまざま。 「ピアノを弾こうとしたら、鍵盤から指が滑ってしまう」とか、「好きな人と手をつなぐチャンスだったのに、手の汗が気になってダメになってしまった」「パソコンが汗で壊れてしまった」など、生活に支障を感じる場合も少なくないようだ。 もちろん、ある程度の汗はかいて当然。誰にでもあることなので必要以上に「私って多汗症?」などと思わないようにしよう。 多汗症の原因は? 以前は、人よりも緊張しやすいからとか、神経質だと汗をかくのだと考えられ、「気の持ちようで汗はかかない」と思われていた。しかし、実際多汗症の人は自宅でリラックスしていても手のひらから汗が出たり、朝目覚めたとたんに汗をかきはじめることもある。 多汗症の場合は、精神的に緊張したから汗がたくさん出るのではなく、緊張したときに発汗を促す「交感神経」が敏感すぎるために汗を多くかいてしまうようだ。そのため、朝目覚めたなど、ごく普通に交感神経が活動しはじめただけで、人一倍汗をかいてしまう。 多汗症は必ずしも精神的な要因による病気とは言えないのだ。 多汗症の裏に病気が隠れていることもある 汗が大量に出る原因として、何らかの病気が関係している場合もある。 汗が必要以上に出る主な病気 更年期障害の症状のひとつ 更年期障害の症状のひとつに、かっと汗をかいたと思ったらすぐにひいてしまうことがある。これは、更年期になって卵巣機能が衰えてくると発汗を抑制するエストロゲンというホルモンの分泌が低下するため。 甲状腺機能亢進症によるもの 甲状腺機能亢進症になると、甲状腺ホルモンが増加して基礎代謝が高まり、全身性の多汗が見られる。 褐色細胞腫によるもの 副腎腫瘍の一種である褐色細胞腫になると、アドレナリンというホルモンが大量に分泌され、この代謝を高めるために多汗になることもある。 多汗症を治療するには? 多汗症を治療したい場合、何科を受診すればよいのだろうか。 実際、多汗症の人は、手の皮膚からの汗だからと皮膚科へ行くケースが多いようだ。また、多汗を精神的なものと考えて、精神科や心療内科へ行ったり、ワキガなどの治療も行っている美容外科へ行くことも。多汗症の治療法はいくつかあるので自分にいちばん合った方法をじっくり選ぼう。そのために複数の科を受診するのもよいだろう。とにかく自分で納得できる方法を見つけることが大切だ。 多汗症の治療方法 ●心身療法 多汗症は必ずしも精神的なものが要因ではないが、場合によっては心身療法によって症状が軽減することがある。 汗に対して恐怖感や強い不安感を持っているなら、この方法を試してみるとよいだろう。なかには多汗が原因で、「人前に出られない」「人の視線が気になって仕方がない」などの心の病にかかってしまうケースもあるからだ。 心身療法では主にカウンセリングによって汗に対するマイナス意識を変えていったり、自律訓練法によって自律神経(交感神経や副交感神経)のはたらきを整えるなどの療法を行っている。 ●薬物療法 多汗症の場合、汗に対する不安を取り除くために、精神安定剤(抗不安剤)を処方されることがある。ただし、この薬は直接汗をとめる作用があるわけではなく、緊張を緩和することが目的だ。また、東洋医学でも多汗症に対する治療があるようだ。ただし、体の体質に対しての治療なので、利用する際は東洋医学専門医か専門薬剤師と相談しよう。 直接、汗に作用する薬としては、汗をかくときに交感神経の末端から出ているアセチルコリンという化学物質を止める薬(抗コリン剤)がある。しかし、この神経遮断薬は、腺からの分泌を止めるための薬で、手のひらだけではなく全身に作用し、また口渇、便秘、胃腸障害などの副作用があると言われている。使用を考えるなら、必ず、医師と相談の上、慎重な判断を。 ●制汗剤の使用 とにかく、一時的なものでもよいので、手のひら、足の裏の汗を止めたいというときは、制汗剤を使用するという手もある。現在、制汗剤は市販されている種類も多く、どのタイプを使用するかは自分の状況に合わせて選ぶとよいだろう。 また、アルミニウム塩などを用いた制汗剤は効果的だと言われている。ただし、これは物理的に汗が出てくるのを止めるだけのものであり、多汗症そのものを治療するものではない。また、アルミニウムは人体への有害性も指摘されているので、使用する場合には、注意事項をよく読み、用法をきちんと守るようにしよう。 ●手術による治療 多汗症の治療には手術もある。 発汗を作用している交感神経をブロックするというもの。手のひらの汗を止める場合、「胸腔鏡下交換神経切除術」と言われる胸腔鏡(スコープ)を使って胸部交感神経を遮断する手術を用いる。全身麻酔をし、わきの下の皮膚を2~4ミリほど切って行われる。傷口も小さく、手術時間も短いため、患者への負担は少ない。 同様に、足の裏の汗を止めるには、腰椎の交感神経をブロックする手術がある。 ただし、どちらの手術も手のひらや足の裏の汗はストップされるものの、術後、手のひらや足の裏以外の部分から汗が出る代謝性発汗(反射性発汗)が起こることがある。 しかし、手術の前に代謝性発汗を予測することは難しく、かなり個人差があることなので、手術をする場合には、医師とよく相談し、心配なことは事前に確認しておくこと。 ●ちょっとした工夫でも汗&ニオイは減らせる 「手術をする程でもないし、治療も大変そう…」という人には、一時的な対処法ではあるが、汗を減らす方法やニオイをとる入浴法がおすすめ。さっそく試してみよう! 汗っかきの人のための知って得する情報 公開日:2003年6月9日
男性の更年期障害、その原因と、男性ならではの症状の傾向、対処法をご紹介します。できるだけラクにスムーズに乗り切る秘訣とはどのようなことでしょうか。 目次 まず認めること。理解し、理解してもらうこと 更年期に心がけたい10ヵ条 生活を見直そう 相性の良い病院との二人三脚を まず認めること。理解し、理解してもらうこと 男性の更年期障害は、やっと認める方向に進んでいるというのが現状で、なかなか思うように治療方法が確立されないのが難しいところです。 これは、男性の更年期障害が精神的な面に多く出がちなことにも関わるのかもしれませんが、中高年男性の自殺の増加と考え合わせると、なんとも残酷な皮肉です。 「男女ともに更年期障害がある」と認知しましょう。そして男性は、更年期の年齢になり、「疲れが取れない」といった症状が出たら、更年期障害の可能性も考えていきましょう。女性は、男性の更年期障害を知り、男性への理解を深めていきましょう。まずは、そこからです。 次に挙げるのは、「更年期の男性のための心得10ヵ条」です。ちなみに、加齢を肯定的に捉える人は、否定的に捉える人より長生きする、という研究結果もあるようです。人生を楽しむ視点が、何よりの薬なのかもしれません。 更年期に心がけたい10ヵ条 体調の変化や衰えを受け入れる がんばらない。無理をしない 生活をできるだけ規則正しく ストレスを減らす工夫をする 生きがいや趣味を持つ むやみに不安感を抱かず、人生を楽しむ気持ちを持つ 健康診断を定期的に受ける 適度な運動をする 加齢を肯定的に見る 何かあったら、すぐ病院を受診する 生活を見直そう ある調査によると、40~50代の男性にどんなときに加齢を意識するかという質問をしたところ、眼精疲労や睡眠の減少、物忘れなどがあげられたそうです。また、それを意識した年齢では、不規則な食生活をしている人や悩みのある人、健康維持の努力をしていない人は、そうでない人に比べて3~6年早く、身体的な加齢を感じているとの結果となりました。 次の表を見てみましょう。これは、上記のような男性陣の中から、早めに加齢を感じた人を対象に検査した血液データです。大差はありませんが、加齢を早く感じる人は血中のビタミン濃度が低い傾向があることがわかります。 更年期男性の「節目」の意識と血液ビタミン濃度(平均±標準偏差) 早期群(46人) 通常群(42人) B1(ng/ml)56±1766±27 B2(ng/ml)76±1376±16 B6(ng/ml)11±514±7 C(mg/dl)1.02±0.371.19±0.33 A(ug/dl)62±1865±13 E(ug/ml)11.2±3.212.5±3.3 出典:「更年期の保健学」細谷憲政監修/杉山みちこ 第一出版 これにはストレスや喫煙などの原因もありそう。更年期にかかる前でも、積極的にビタミン補給を心がけたほうが良いようです。もちろん、女性の場合で紹介した症状を軽減する食事のコツや、適度な運動は、男性にも有効です。併せて取り組んでいきましょう。 相性の良い病院との二人三脚を 女性もそうですが、男性の場合は特に、性欲の減退やEDといったデリケートな性の問題が関係するため、どうしても病院へ行くことを躊躇しがちのようです。でも、そうして躊躇している間にもストレスはどんどんたまり、それらは精神的な落ち込みなどとなって自分自身へ跳ね返ってきます。 定期的な健康診断は、会社で受けていることも多いでしょう。そうした上で、先に見たような症状がある場合は、ぜひ神経精神科もしくは心療内科へ。性欲減退の場合は、バイアグラの処方で自信を取り戻し、精神的にも立ち直った例も少なくありません。でも、このバイアグラにしても心臓疾患のある人には決して処方できない禁忌治療です。自己診断・自己治療はあまりにも危険です。 普段から、相談しやすいホームドクターを探し、何でも話せる土壌を作っておくのがおすすめです。 参考文献:「明るく乗りきる男と女の更年期」赤塚祝子 講談社現代新書
男性の場合は深刻な事態になりやすい!?男性の更年期障害について、なぜ起こるのか、また、その症状を検証します。 目次 男性の更年期障害による症状 ある?ない?男性の更年期障害の歴史 男性の更年期障害は、なぜ起こる?どう影響する? 「婦人科」はあるが「紳士科」はない。さて何科を受診する!? 男性の更年期障害による症状 中高年男性の自殺、その原因のトップにあげられているのが「健康問題」だそうです。もちろん、これが男性の更年期障害とどう関係しているかは、まったくもって不明ですが、女性と違って男性の更年期障害は、いまだその存在すら認められにくいのが現状です。本人も気づかない間に更年期障害となり、周囲にも当然理解されず、苦しんでいる男性が少なくないのかもしれません。男性の更年期障害とは?そして、男性の苦しい状況を理解することから、考えていきましょう。 ※ちなみに、前回触れましたが、「更年期障害」は俗称で、医学的には「更年期不定愁訴症候群」といいます。今回は、わかりやすさを優先させ、あえて俗称で話を進めます。 男女別に見た更年期の症状(Goldzieherによる) 頻度 男性 女性 1神経質(主観的)神経質(主観的) 2疲労のぼせ 3不眠興奮状態 4興奮状態疲労 5抑うつ状態抑うつ状態 6背頸部痛便秘 7頭痛漠然痛 8のぼせ頻脈、心悸亢進 9頻脈、心悸亢進めまい 10記憶力・集中力減退記憶力・集中力減退 11めまい不眠 12便秘頭痛 13漠然痛神経症 14神経症背頸部痛 15視野暗点視野暗点 16知覚異常知覚異常 17寒気寒気 性欲減退 75%ED(勃起不全) 50%月経異常 99%無月経 58% 出典:「更年期障害 これで安心 新しい治療と生活ガイド」ホーム・メディカ安心ガイド 小学館 この表は、ハンガリーのデータなので、そのまま日本人に置き換えることはできないかもしれませんが、男女で微妙に症状が違うのがおわかりいただけるでしょう。男性の場合、身体に影響が出るより先に、神経的な部分に症状があらわれる傾向があるようです。 また、表の下にある通り、性欲の減退、またはED(勃起不全)となる割合が高く、男性はこうした症状が出てはじめて病院へ行くケースが多いといいます。つまり不眠や疲れといった体調の不良は我慢し続けているということです。 ストレスも比重が高まる年代。男性は結構大変な思いをしているといえるかもしれません。これは本人が自覚すると同時に、周囲も理解を深めていく必要があるでしょう。 ある?ない?男性の更年期障害の歴史 著名人が自身の更年期障害を明したことで認知度は高まったとはいうものの、男性の更年期障害は、医学界でも認知があいまいな部分が多いのが現状です。 この、男性における更年期障害の概念が初めて提唱されたのは、1939年。しかし、男性の場合は、女性の閉経のように劇的な変化がないこと、個人差が大きいことが災いして、概念としてはあるものの、認知・治療がはじめられることはほとんどありませんでした。 さらに悪いことに、その後、もうひとつの概念が台頭してきました。それは「中高年の危機」。聞いたことがある人も多いかもしれません。これは、ミッドライフ・クライシスとも呼ばれるもので、35~45歳に起こる転職、離婚、肉親の死などが誘因となって起こる精神的な葛藤です。身体的な変化によってさまざまな症状がもたらされる更年期障害とはまったく違うものですが、更年期障害に見られる精神神経症状と似たところがあるため、誤解された面が少なくありません。 こうして、男性の更年期障害は、あってなきもののごとく扱われてきたのです。 男性の更年期障害は、なぜ起こる?どう影響する? 更年期不定愁訴症候群を引き起こす要因 男性の場合も、女性の場合と同様に、基本はホルモン量の低下が原因です。 男性のホルモンの仕組みを簡単に説明すると、脳の視床下部から出される性腺刺激ホルモン放出ホルモンが、脳下垂体を刺激します。性腺刺激ホルモンが分泌され、それが睾丸に作用して男らしい肉体や性機能を促すテストステロンを分泌させます。 このテストステロンの分泌量は、45歳くらいから緩やかに減少していくのが一般的です。特に、テストステロンの中でも血中のフリーテストステロンが少なくなると、性欲の減退やEDといった症状につながるといわれています。 こうしたホルモンの低下に加え、大きな影響を与えるのが、ストレスです。更年期にあたる45~50歳前後というのは、子供の独立といった家庭的な面はもとより、仕事の上でもストレスの大きな年代です。そうしたストレスが、男性の更年期障害を触発するといわれています。 また、男性に多く見られるのが、うつ的な傾向です。下の項にもある通り、男性の場合は更年期による身体的な変化が、精神的な面に出やすいようです。このため、どうしても精神面、特にうつ状態に陥りやすいとされています。「何もやる気が起きない」「イライラばかりしている」「うつうつとして、仕事をしたくない」…。更年期にあたる年齢になって、こうした症状が出てきたら、早めに病院へ行くのが得策です。 「更年期としてのうつ状態とうつ病」の比較 更年期症状としてのうつ状態 うつ病 誘因 自己愛の傷つき喪失体験、不明のことが多い 顕著な症状 自己不全感、無気力抑うつ感、エネルギーの低下 治療 自己愛の傷つきを癒す、精神療法的アプローチ薬物治療、休養が主体、精神療法は効果が少ない 経過 慢性化、長期化比較的短期、反復性 予後 基本的に健康な人の反応、比較的良好しばしば不良 ※東京慈恵会医科大学精神科の館直彦氏による、更年期うつ状態とうつ病の違い 出典:「明るく乗りきる男と女の更年期」赤塚祝子 講談社現代新書 「婦人科」はあるが「紳士科」はない。さて何科を受診する!? 男性も、更年期の年齢になったら、たとえ「だるい」といった些細な症状でも長引く場合は、病院へ行きましょう。 理由については、女性の場合を参照してもらえればと思いますが、更年期障害はあくまでも「除外診断」という点です。更年期に当たる年齢は糖尿病、高血圧症といった生活習慣病をはじめ、さまざまな病気を発症しやすい年代でもあります。それらの病気による疲労感や倦怠感、だるさである可能性もあるのです。つまり、ほかに病気がないこと、またはほかの病気の治療による作用である可能性が少ないことが、更年期障害と診断される前提なのです。 しかし、ここでひとつ問題が発生します。女性の場合は婦人科があるので、ひとまず何でもこの科を受診してしまう、ということができます。では、男性の場合は?「だるい」だけで、どの科を受診すれば良いのでしょうか。 大別すると、方法はふたつあります。「だるい」「疲れが取れない」といった場合は、まず心療内科もしくは内科へ。そこでさまざまな検査を受け、どこにも異常や病気がないことを確かめてもらいます。その上で、まだ「だるい」などの症状があるなら、今度は心療内科もしくは神経精神科を受診します。慎重を期するのであれば、事前に電話などで男性の更年期障害についても扱っているか問い合わせたり、かかりつけの医師に紹介してもらうのも良いでしょう。 「尿の出が悪い」「性欲はあるのに勃起が維持できない」といった場合は、泌尿器科の出番になります。ちなみにこの年齢の男性が発症しやすい病気のひとつに、精液がつくられる部位の病気・前立腺肥大症があります。50代の男性なら3~4人に1人はその兆候があるといわれるほど多い病気で、症状としては夜間に何度もおしっこに起きる、残尿感があるなどが見られます。これも早期なら薬で治せますが、症状が進むと手術が必要になる厄介な代物です。 まずは病院へ行くことから。男性も無理や我慢は禁物!です。
女性の更年期をどう過ごし、更年期障害をできるだけラクに乗り切るにはどうしたら良いのでしょうか。食生活や運動のポイントを踏まえて、更年期の対処法をご紹介します。 目次 誰にでもあること、そして必ず終わりがあること 更年期を快適に過ごすための10ヵ条 食生活を見直そう!症状を軽減する食事のコツ 適度な運動と、リラックスいろいろ 相性の良い病院との二人三脚がおすすめ 誰にでもあること、そして必ず終わりがあること 一般的に、45~55歳の10年間を「更年期」と呼ぶと紹介しましたが、この10年の間中、さまざまな不快症状に見舞われるわけではありません。 短い人で約1年、長い人でも約5年で症状は軽減するといわれています。確かに簡単に乗り切れる長さではありませんが、救いは必ず終わりがあるということです。更年期、そして更年期にまつわる不定愁訴はきっとおさまります。 次に挙げる10ヵ条は、更年期不定愁訴症候群の治療の先駆者である野末悦子医師が提唱したものです。 更年期を快適に過ごすための10ヵ条 いい友だちを持つこと 家族との関係改善 いいカッコをするのはやめ、あるがままの自分でいること 体を動かす 生き甲斐を持つ おしゃれをする 健康診断を忘れずに受ける 睡眠をきちんととる バランスの取れた食事を、三食きちんと摂る いつも勉強して、新しいことにトライする気持ちを持つ いかがでしょうか。少しは元気な気分になれたでしょうか。ただ、急に「生き甲斐を持て」とか「いいカッコをするな」と言われても困る、とまどうといった人もいるでしょう。たとえ趣味ひとつでも、いきなり言われて「はい、そうですか」と、今日から趣味が持てるわけではありません。 そんなときは、気持ちのままに楽しんでみる、といった意識づくりからはじめるのはどうでしょうか。例えば、雑誌を見ているうちにガーデニングをしてみたいと感じたら、まずやってみます。昨日と今日で興味の対象がガラリと変わってしまってもいいでしょう。気持ちのままに、好奇心の動くままに。そうして、そのときそのときの楽しいことにトライしながら「QOL=人生の質」を向上させていきましょう。明るく、前向きに。きっと更年期ばかりでなく、その後へと続く長い楽しい時間が醸成されていくはずです。 ただ、ここでも注意が必要ですが、上記のようなことを言ったからといって更年期の不定愁訴を、精神論や気持ちの問題と片づけてしまってはいけません。気持ちも不定愁訴を軽減、あるいは改善する要素のなかのひとつ、と捉えることを肝に銘じておきましょう。 食生活を見直そう!症状を軽減する食事のコツ 女性ホルモンのところでも取り上げましたが、更年期に劇的に減少するエストロゲンは、卵巣機能のはたらきのほかにも、重要なはたらきを担っています。 代表的なのが、コレステロールを抑制する、骨粗鬆症を抑えるといったはたらきです。つまり、エストロゲンが減少するということは、これらのはたらきを食生活などでカバーする必要が出てくるということなのです。具体的に、どんなことを心がければ良いかというと… カルシウムを十分に摂る コレステロールを控えた食事をする 塩分を控え、動脈硬化の予防に努める また、更年期ならではの不快な症状は、表のような栄養素を十分に摂る食事で改善していきましょう。 症状を軽減する食事のコツ 症状 多く摂りたい栄養素 はたらきと効果 肩こり、腰痛、冷えなどには ビタミンE ビタミンEは、血液の循環を促すのに効果的です。 だるい、疲れやすいなどには ビタミンB1 ビタミンB1が不足すると、エネルギー代謝がスムーズに行われなくなり、疲れやすくなります。また、憂鬱になったり、落ち着かない気持ちになることも。 貧血による動悸や息切れには 鉄分 更年期には月経量の増加などから貧血になることもあります。鉄分は十分に補給をしましょう。 肌荒れ、かさつきには ビタミンA 不足すると肌のトラブルに。ビタミンEと一緒に摂ると、いっそう効果的です。 便秘には 冷水と、食物繊維 腸のはたらきが弱まって起こる便秘に効果があります。 眠れないときは トリプトファン アミノ酸の一種で、安眠を誘う物質とされるもの。バナナや牛乳、あんず、プルーン、木の実などで摂るのがおすすめです。 適度な運動と、リラックスいろいろ 軽いウォーキングなどの運動は、骨へのカルシウムの吸着率を促進する、血中コレステロールを減らすなど、有意義な効果がいろいろあります。また、精神的なストレスや疲れには、汗を流す運動がとても良い解消法になります。ぜひ習慣にしていきましょう。 また、気持ちが落ち込む、なんとなく落ち着かないといったときは、アロマテラピーを試したり、ハーブティーを飲んでみたり。好きな音楽を聴いているだけでも違ってくるものです。こうした自分なりの気持ちへの対処法も少しずつ身につけていきましょう。 相性の良い病院との二人三脚がおすすめ 女性が、いわゆる更年期障害だと感じるきっかけは実にさまざまです。強いていえば生理不順や不正出血ですが、なかには「だるくて何もする気になれない」といった状況を家族が見かねて病院を受診させるケースもあるようです。治療面では、症状により個人により、ホルモン療法が良い場合もあればカウンセリングが功を奏する場合もあります。また、そうした更年期障害に似た症状のカゲで、命に関わる病気が進行していることもあります。 更年期にあたる年齢になったら、年に一度は健康診断を受けましょう。そして、どんな症状も我慢や無理は禁物です。更年期においては、「困ったときの医者頼み」ではなく、「何かあったら医者が先」。つまり心得は「先手必勝」が絶対です。大きな病気がなければ安心できますし、何より出てきた症状を緩和・軽減する方法を医師とともに進めていけるのです。ぜひ今から、相性の良い医師や病院を意識的に探しておき、体調に違和感を感じたらすぐ医師に相談しましょう。 参考文献:「明るく乗りきる男と女の更年期」赤塚祝子 講談社現代新書 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 更年期にやさしいサプリメント 痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記
更年期とは、卵巣のはたらきが衰え、停止するまでの期間をいいます。閉経を境にして、生殖機能を担う卵巣ホルモンの分泌量が大きく変化しますが、それに伴い、体調にも大きな変化が訪れるのです。 目次 更年期はなぜ起きる? 更年期の症状 避けて通れないなら、前向きに向き合おう 更年期以降に注意する病気 更年期はなぜ起きる? 更年期とは、卵巣のはたらきが衰え、停止するまでの期間をいう。だいたい、50歳前後に閉経を迎えるので、その前後約10年間がそれに当たる。 閉経を境にして、生殖機能を担う卵巣ホルモンの分泌量が大きく変化する。それに伴い、体調にも大きな変化が訪れるのだ。更年期の症状は個人差があり、まったくなにも感じないまま過ぎてしまう人もいれば、体調を崩してしまうほどの症状が出ることもあり、その場合「更年期障害」と呼ばれている。 見過ごせない男性の更年期障害 脳の視床下部からすぐ下にある下垂体を刺激するゴナドトロピン放出ホルモンが放出される。視床下部は卵巣ホルモンを調節するはたらきがある。 ▼ 下垂体からゴナドトロピンが分泌され、卵巣に対し、卵巣ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の分泌を促す。 ▼ 更年期に入ると、卵巣が老化し、卵巣ホルモンの分泌が減少する。すると、視床下部や下垂体から卵巣ホルモンの分泌を促す指令が出るが、だんだん応えられなくなり、視床下部が「なんとかしなくちゃ!」と興奮する。 ▼ 視床下部の近くには自律神経を調整している中枢もあり、視床下部が興奮すると自律神経にも影響が出る。すると、自律神経失調症に似た症状(のぼせやほてり、発汗、頭痛、イライラなど)が更年期の症状として現れる。 更年期の症状 月経不順が始まるのと前後して、ほてり、のぼせ、めまい、発汗、しびれ、頭痛、イライラなどが起こる。ただ、前述の通り、個人差があるので、これらの症状が必ず出るとは限らない。 避けて通れないなら、前向きに向き合おう 更年期の症状に個人差があるのは、更年期に対する気持ちも左右すると言われている。 「更年期になっちゃった…」と家のなかに閉じこもっているより、趣味などで気晴らしをしたり、体を動かすなど、自分が気持ちよくなれることを探そう。「病は気から」ではないが、少しは違うはず。 更年期障害をできるだけラクにスムーズに乗り切るために~女性の場合 更年期障害をできるだけラクにスムーズに乗り切るために~男性の場合 更年期以降に注意する病気 閉経を迎えた女性が気をつけなければならない病気は、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や脂質異常症。 閉経により、卵巣ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が低下する。このエストロゲンは骨量を維持するのに重要な役割を果たすホルモンなのだ。閉経後になってからあわててカルシウムをたくさん摂取するのではなく、若いうちから「貯骨」するようにしよう。 また、エストロゲンには、血液中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やしたり、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増加しないように防ぐはたらきがある。これが、閉経後エストロゲンがはたらかなくなると、血液中の中性脂肪やコレステロールなどが増え、生活習慣病である脂質異常症になってしまうのだ。 公開日:2001年10月22日
めまいがする、汗が止まらない…。もしかしたらそれは、女性ホルモンの影響かもしれません。更年期に現れることがある症状、対策についてご紹介します。 目次 更年期は30代後半からやって来る!? 更年期に現れることがある主な症状 更年期の女性にうれしい、2人に1人しか作れない新成分!? 「エクオール」で女性の更年期も安心! 更年期は30代後半からやって来る!? 家事に仕事に、忙しくも充実した毎日を過ごす現代の女性たち。その中にはある日、家事の最中にめまいがする、通勤電車の中で汗が止まらないといった不調を感じるようになる方がいます。もしかしたらそれは、女性ホルモンの影響かもしれません。女性ホルモンが低下する更年期に差し掛かかった女性は、以下のような症状が現れることがあります。 更年期に現れることがある主な症状 ●ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ) ●めまいがする ●汗が止まらない ●慣れた作業でもドキドキする ●なかなか寝付けない ●イライラする・怒りっぽくなる ●急に不安な気持ちになる ●疲れやすくなる ●何に対しても意欲がわかない ●月経周期が不規則になる ●動悸・息切れがする ●物忘れが多くなる ●骨がもろくなる ●血流が悪くなる …など 女性ホルモンの分泌量のピークは、20~30代。この時期を境に、卵巣機能は低下していきます。更年期は閉経の前後、一般的に40代の中頃から始まるとされています。しかし、早い人では30代後半から不調を感じ始め、更年期の前段階、いわゆるプレ更年期の時期を迎えることもあります。 更年期は、女性なら誰もが迎えるものであり、決して心配はいりません。このことをあらかじめ理解しておけば、「ついに私にもやって来た」と思ったときに、慌てずに対処することができます。 更年期の女性にうれしい、2人に1人しか作れない新成分!? 更年期の女性がまずチェックする栄養成分に、大豆イソフラボンがあります。大豆イソフラボンは、大豆に含まれるポリフェノールで、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きがあります。そのため、更年期には、大豆イソフラボンを積極的に摂取することが、女性の健康維持につながると考えられています。 日本人の2人に1人はエクオールを作り出せない 大豆イソフラボンは体内で腸内細菌によって変換されて、エクオールという成分ができます。これこそが、大豆イソフラボンの女性にうれしいパワーの正体です。日本人の2人に1人は、このエクオールを自分で作り出せません。若い女性はその割合がさらに高く、5人に1人がエクオールを作り出せないことが、近年の研究から分かっています。これは、食生活の欧米化と関係があるのではないかと考えられていますが、作れる人と作れない人になぜ分かれるのかは、現在はまだよく分かっていません。エクオールを作れない体質の方は、せっかく大豆イソフラボンを摂取しても、エクオールを作れる体質の人ほど、その良さを実感できないのです。 「エクオール」で女性の更年期も安心! エクオールを作り出せない体質の方は、市販のエクオール含有食品を利用してみてはいかがでしょう。エクオールを直接摂れば、体質に関わらず、大豆イソフラボンの女性にうれしいパワーを得られます。摂り始めてから1ヵ月ほどで期待できるのは、更年期特有の症状を防ぎ、イライラや不安感から開放されること。定期的に飲み続ければ、おだやかな毎日を続けられるでしょう。さらに、美容や健康面での効果を実感できる場合もあるようです。 ホルモンバランスの変化は、年齢とともに誰にでも起きるものなので、悲観することはありません。反対に軽くみたりもせず、食品やサプリメントなどを試しながら、必要に応じて婦人科などでも相談して、早めに対処しましょう。 エクオールの美容効果の例 ●シワが気にならなくなった ●くすみが気にならず明るくなった ●化粧のノリが良い ●肌につやがあると言われた ●ニキビができにくくなった ●肌にうるおいを感じられる …など 公開日:2015年3月30日
更年期の体にやさしく作用するサプリメントの数々を紹介します。なかでも、大豆イソフラボンに注目です。そのほか、亜鉛、カルシウムなど、摂り方に注意しながら上手に利用しましょう。 目次 更年期の症状をやわらげる大豆イソフラボン 見逃せないビタミン&ミネラル こんなサプリメントもおすすめ! 診察を受けるときは医師にも相談を! 更年期の症状をやわらげる大豆イソフラボン 大豆イソフラボンは、更年期の症状をやわらげるとして注目されています。また、血管を詰まりにくくして心筋梗塞などを予防するとして話題を呼んでいます。 イソフラボンとは、大豆の胚芽に多く含まれるポリフェノールの一種です。その構造は、更年期障害の原因となる女性ホルモン「エストロゲン」とよく似ており、体内に摂取されるとエストロゲンと同じようなはたらきをします。つまり、ホルモン補充療法と同じように、更年期で激減したエストロゲンを補うカタチになります。このため、顔がほてる、大汗をかくなどの更年期障害特有の症状が緩和されることがわかっています。 また、体内のエストロゲンは、悪玉コレステロールを減らし、血管を広げて詰まりにくくするはたらきがあります。こうしたはたらきもイソフラボンが肩代わりしてくれるため、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞といった血管系の病気を防ぐことができるようです。 エストロゲンのもうひとつの特長である、骨からカルシウムが溶け出すのを抑え、骨量を調整するはたらきもしかり。イソフラボンにも同様の作用が期待できるので、閉経後の女性に多い骨粗しょう症までも抑える効果が期待できるようです。 これらの作用から、乳がんや、男性の前立腺がんをはじめ、さまざまながんの発生を抑える効果があることもわかっています。 ちなみに効果が高ければ、気になるのが副作用ですが、イソフラボンの効果は、体内のエストロゲンより弱く、全体としてはエストロゲンの作用が弱まるため、副作用はないと考えられています。つまり、ホルモン補充療法で懸念されているがん発生率を高めるといった心配はなさそうだということです。 ただ、摂取するときは慎重に。婦人科系の病気を持っている人は必ず医師に相談してから摂るようにしましょう。また、ほかのサプリメントと併用するときにも裏面の注意事項をしっかりチェックします。 上手に摂れば、更年期を快適に過ごす名サポーターになりそうな大豆イソフラボン。だからこそ、摂り方に注意しながら、上手に利用していきましょう。 見逃せないビタミン&ミネラル 更年期には、亜鉛、カルシウム、ビタミンEの効果も見逃せません。 亜鉛はホルモンのバランスを整えるはたらきがあります。女性の場合は、亜鉛が不足すると女性ホルモンのはたらきが悪くなったり月経異常を引き起こしかねません。更年期ともなれば、亜鉛不足がホルモンバランスをいっそう乱れさせて症状を悪化させてしまうことにもつながります。 また、男性の場合でも、亜鉛不足は深刻です。亜鉛は前立腺に多くあり、性ホルモンの合成をサポートして、精子を作ったり、精子の運動を活発にします。不足すれば、推して知るべし、です。 カルシウムは、ご存知の通り、骨や歯を作る原料となります。特に女性の場合は、更年期のエストロゲンの減少をきっかけに、骨粗しょう症や骨軟化症の可能性が高まるのでカルシウムは積極的に摂りたいものです。また、カルシウムが不足すると、高血圧症や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病を促進させるとも言われています。 数あるビタミンのなかでも、更年期に注目したいのはビタミンEです。これは女性ホルモンに似たはたらきがあり、ホルモン分泌のコントロールをサポートします。さらに、細胞の老化を抑え、手足などの血行をよくするはたらきもあるのです。 こんなサプリメントもおすすめ! ちょっと変わったところでは、次のようなサプリメントも更年期におすすめです。 カヴァカヴァ 別名「カバ」とも呼ばれるコショウ科の植物で、臨床的な研究では更年期障害による不安感などの改善に効果が認められています。これはカヴァカヴァに中枢神経をリラックスさせる効果があるためで、欧米では不安や不眠の解消によく利用されているサプリメントです。更年期でこうした神経質な面が出てきたら、試してみる価値がありそうです。特に、ストレスなどの心理的要因が大きい男性の更年期障害には効果的かもしれません。ただし、中枢神経に作用するので、摂取の方法には気をつけましょう。 ザクロ 大豆イソフラボンのように、女性ホルモン「エストロゲン」と同様の分子構造を持つ食品のひとつです。体内でエストロゲンと同じようにはたらくため、更年期の症状をやわらげたり、ハリのある肌や髪を保ち、骨を丈夫に保つ効果が期待できます。また、無理なダイエットなどで更年期に似た症状が見られる若年性更年期や生理不順にも効果的だとされています。 当帰(とうき) 英名「チャイニーズ・アンジェリカ」。中国では古くから女性の強壮に使われてきた漢方生薬で、体を温め、血行を促し、女性ホルモンの分泌を正常に保つなどの効果が知られています。こうした作用から、更年期の症状をはじめ、生理痛など月経前症候群の緩和・改善、冷え性や貧血の改善・予防と、女性にはうれしい効果がいっぱい。また、免疫活性、解熱などの効果もあると言われます。 診察を受けるときは医師にも相談を! サプリメントを摂るなら、裏面の注意事項は必ずチェックを。思わぬところで、ほかのサプリメントとの併用がNGだったり、体調によっては避けたほうが良い場合があるからだ。 また、医師の診察を受ける場合は、必ず摂取しているサプリメントのことを伝えましょう。これは更年期に限りません。サプリメントには副作用がない、もしくは弱いものが多いのですが、医師の処方した薬の作用を弱めたり、逆に強めて思わぬトラブルを招くこともあります。くれぐれもご注意ください。 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記
そもそも更年期障害の原因は?どんな症状が出て、どのように診断されるのでしょうか。更年期障害の基礎知識を紹介します。 目次 原因はホルモンのしわざ 更年期障害は除外診断…? 更年期障害による症状ベスト5 原因はホルモンのしわざ 男女ホルモン分泌量グラフ 男女ともに、更年期障害の原因は、ホルモン量の減少です。女性ならエストロゲンという女性ホルモンが、男性ならテストステロンという男性ホルモンが、40代後半あたりから減少しはじめ、さまざまな体調不良を引き起こします。これが更年期障害の正体です。男女ともに、避けて通ることのできない身体的な変化なのです。 男女での更年期障害の大きな違いは、何と言っても女性には「閉経」という劇的な変化が訪れることでしょう。女性なら誰もが経験する大きな変化であるため、更年期における各種症状が、医学的にも認められやすかったと言えるかもしれません。 一方、男性の場合は非常に個人差が大きいようです。テストステロンが減少するといっても、少しずつ徐々に70歳くらいまでかけて減っていくのが一般的です。ほんの数年前まで、男性の更年期障害がその存在すら認められていなかったのは、このためでもあるでしょう。 ちなみに、更年期とは年齢的には、男女ともに40代後半から50代前半を指し、更年期障害もこの年齢に起きるのが一般的です。しかし、近年の不規則な生活やストレスの増加、無理なダイエットなどで早い場合は20歳代でも更年期障害に似た症状が出る人もいるのだといいます。あなたは、大丈夫でしょうか? 更年期障害は除外診断…? ちょうど更年期障害の出る年齢で、体調が良くないと感じた場合、男女ともに、一度は更年期障害を疑ってみてはどうでしょうか。もちろん、勝手に「更年期障害だ!」と決めつけて放置してしまうのは厳禁ですが、健康診断を受けるつもりで病院へ行くきっかけになれば良いチャンスとなります。 例えば自分では更年期障害だと思っていた疲れやだるさが糖尿病から引き起こされていることもありますし、肩こりや頭痛が高血圧症による場合もある。更年期障害の出る時期は、生活習慣病をはじめ、さまざまな病気が起きやすい時期でもあります。 更年期障害は、そうした生活習慣病や神経症などほかの病気がないことがわかってはじめて診断される疾患です。あらゆる病気の可能性がなくなってこそ、診断が下されるという意味で、除外診断と呼ばれるのです。こうした点も含めて考えると、更年期障害と診断されることは一面では歓迎すべきこと、と言えるかもしれません。つまり、「更年期障害」と診断されるということは、前向きに考えれば、「高血圧や糖尿病などほかの病気はありませんよ。大丈夫ですよ」と宣言されているようなものですから。 もちろん、更年期障害では、血中ホルモン量の検査も診断のひとつの決め手となります。ホルモン量が低下していて、しかも、自覚症状があるのが「更年期障害」なのです。 更年期障害 主な診断の目安 ●年齢が40代後半から50代前半である ●自覚症状のみで、検査をしても病気が発見されない ●頭痛や顔のほてりなど複数の症状がある ●天候や生活環境などに影響されやすく、日によって症状の出方が違う ●血中のホルモン量(女性の場合はエストロゲン、男性の場合はテストステロン)が減少している 更年期障害による症状ベスト5 男女では、更年期障害によって出てくる症状も違います。一般に、更年期障害の症状の出方や強弱の個人差は、ホルモンの減少という身体的要因に、ストレスなどの心理的な要因、さらに子供の親離れや老親の介護といった環境的要因の3つが複雑に絡み合って生まれると言われます。 男性の場合は特に後者、つまり心理的要因と環境的要因の影響が大きいと言われ、症状でも疲労感や抑うつ、不眠などが目立つ傾向にあります。 また、ハンガリーのデータとなりますが、更年期障害の人の顕著な特長として、女性は約99%の人が月経異常を、男性は約75%の人が性欲減退を訴えるとされ、男性の場合は性欲の減退が更年期障害のひとつのサインとも言われています。 こうした症状が重なるようなら、一度は病院で受診してみましょう。 更年期障害による症状ベスト5 男性 1位 疲れやすい 2位 肩こり・腰痛・手足の節々に痛みがある 3位 夜眠ってもすぐ目を覚ましやすい 4位 夜なかなか寝つけない 5位 腰や手足が冷える 女性 1位 顔がほてる 2位 腰や手足が冷える 3位 肩こり・腰痛・手足の節々に痛みがある 4位 汗をかきやすい 5位 疲れやすい ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 更年期にやさしいサプリメント 痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記 公開日:2003年2月24日
雑誌や新聞でもよく取り上げられる更年期障害。女性の、そして男性の更年期障害はどう考えられ、どんな治療法が行われているのでしょうか。 目次 男女ともに理解の広がる更年期障害 ホルモン治療は危険!?ホルモン補充療法を受ける場合の男女の注意事項 治療法は男女ではもちろん、個人でも大きく違う 男女ともに理解の広がる更年期障害 急に顔がほてる、大汗が出る、疲れやすい。体は確かに今までと違う不調を示しているのに、病院では特に病気が見あたらず、「気のせい」「歳だから」などとお茶を濁されてしまう…。かつての病院は更年期障害に対する知識や理解が少なかったようですが、今は大分様子が変わってきました。 更年期障害の存在が広く認知され、診断の目安が確立されたとまでは言えないまでも、徐々に確定しつつあり、「更年期外来」も増えています。 特に注目すべきは、男性の更年期障害です。ほんの数年前までは「男性に更年期障害など存在しない」との説が当たり前のように流布されていましたが、ここへ来て存在がほぼ明らかにされ、本格的な治療への研究と取り組みがはじまりました。「男性更年期外来」を新設する病院も出てきています。 男女ともに、気軽に受診することで、ひとりで苦しさと戦い、悩む必要はなくなったと言えるでしょう。 ホルモン治療は危険!?ホルモン補充療法を受ける場合の男女の注意事項 でも、更年期障害への意識が高まり、多くの病院で治療が受けられるようになったとはいえ、更年期障害を乗り切る上で問題がないわけではありません。治療法が必ずしも確立されているわけではないからです。 特に今、不安視されるのがホルモン補充療法です。男女ともに、更年期障害の大きな要因はホルモン量の低下にあります。ならば、その低下したホルモンを補充してあげれば良いとなるわけで、事実、ホルモン補充療法を行うと、顔のほてりや不眠など更年期障害特有の症状が大きく緩和され、さらには閉経後の女性に多く見られる骨粗しょう症の予防にも効果的なことがわかっています。 ですが、問題はここから。そうしたホルモン補充療法を安易に行うと、副作用として女性ならば子宮がんや乳がんを、男性ならば前立腺がんの発生を招くと疑われています。 米国では2002年、閉経後の女性における疾患の発症予防対策を目的に、大規模に実施されていた臨床試験のひとつ・ホルモン補充療法の試験が中止されました。理由は、ホルモン補充療法が、乳がんや心疾患を招く可能性が高いため、とされています。 もちろん、ホルモン補充療法は、更年期障害の数ある治療法のひとつです。誰にでも処方されるわけではありませんが、治療を受けるにあたっては、信頼できる医師と密に話し合い、慎重を期するに越したことはないでしょう。 日本更年期医学会でも、ホルモン補充療法のメリットを示し、米国での実験中止はあくまで米国女性を対象としたもので、日本女性にもあてはまるかどうかはわからないと疑問を投げかけながらも、ホルモン補充療法を行うかどうかは、一人ひとりの患者に合わせて慎重に判断すべき、としています。 ホルモン補充療法を受ける場合の男女の注意事項 男性 前立腺がんの検診を年1回受ける必要がある 女性 次の人は決して受けてはいけない。 乳がん、子宮がん患者と既往者 血栓症、塞栓症の既往のある人 心不全、腎不全、肝疾患により水貯留のある人 肝機能障害のある人 次の人は、受けないほうが望ましい。 子宮筋腫、子宮内膜症の人 高血圧の人 インスリンを必要とする糖尿病の人 治療法は男女ではもちろん、個人でも大きく違う 更年期障害の治療法には、ホルモン補充療法のほかにも、さまざまなものがあります。例えば男性に顕著な症状として見られる「性欲減退」は、アルコールによって男性ホルモンの減少が促されている場合があり、禁酒すれば症状が緩和されるケースもあるようです。 また、男女ともに、不安感が強い、イライラする、何もする気が起きない…といった精神的な症状が多い場合は、カウンセリングがメインの治療法となることもあります。一人ひとり体質や生活環境などの違いから、同じ年齢であっても症状の出方や強さは個人差が大きいため、たとえ似た症状であっても同じ治療法になるとは限りません。 更年期障害の主な治療法 公開日:2003年2月24日
生活習慣や食生活を見直すことで、停滞気味のあなたのホルモンもうまくバランスが取れるようになりますよ!一生を左右するホルモン、上手につきあう方法を考えました。 目次 日常生活から考えるホルモンバランス 食事から考えるホルモンバランス ホルモンコラム:あれもこれもみんな「ホルモン」 日常生活から考えるホルモンバランス 同じ歳なのに若々しい人。妙に老け込んでしまった人。あなたの一生はホルモンバランスによって大きく左右されると言っても過言ではありません。ここではホルモンと上手につきあう方法を考えてみましょう。 生活のリズムを整えよう 人間の体をコントロールしているのは自律神経です。活動的にさせる「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」のスイッチを時と場合でうまく切り替えています。この自律神経を司る視床下部は、ホルモンの分泌も支配するところです。そのため自律神経のバランスが崩れると、視床下部にダメージが及び、ホルモンの分泌が大きく影響されてしまいます。食事や就寝時間などに気を配り、規則正しい生活を心がければ自律神経も規則正しく切り替わり、ホルモン分泌もスムーズになります。 ストレスは早めに解消しよう! 心身にストレスを受けたとき、中心となって処理にあたるのが大脳にある視床下部です。視床下部は感情の中枢であると同時にホルモン分泌のコントロールセンターでもあるので、視床下部にダメージを与えられるとその影響でホルモンの分泌も乱れてしまいます。ストレスを感じたら、積極的に解消することを心がけましょう。スポーツで汗を流す、マッサージを受ける、好きな音楽を聴く、アロマテラピーを利用する…自分なりの解消法を見つけておきたいものです。 急激なダイエットは禁物 安易に過激なダイエットに走ることは、くれぐれも禁物です。特に女性は無理な食事制限などをして体を飢餓状態にしてしまうと、生命を維持する機能にエネルギーが集中したり、女性ホルモンの原料となる脂質(コレステロール)が不足するため、女性ホルモンのバランスに甚大な影響を及ぼしてしまいます。 また、食べたいものを我慢し続けることも大きなストレスとなります。よく言われることだが、「栄養のバランスに気を配り、適度に油分も摂ることがダイエットの近道」というのは真実なのです。 食事から考えるホルモンバランス ホルモンはビタミンやミネラルなどと違い、体内にある細胞でしか作られないため、食事からはほとんど補給できません。しかし、体内で女性ホルモン(エストロゲン)と似たはたらきをする植物エストロゲンと呼ばれる成分を含む食材もあるので、体調に合わせてうまく利用するのも手です。 ●大豆・納豆・豆腐など 大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似たはたらきをする代表的な成分です。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や動脈硬化の予防にはたらきかけると言われます。1日に摂りたい大豆イソフラボンの量は50mg。豆腐半丁、きな粉なら大さじ3杯、豆乳なら1カップに相当します。毎日の食生活に取り入れてみましょう。 ●ごま、小麦、えんどう豆など これらの食品に含まれるレソルシル酸ラクトン類が女性ホルモンに似たはたらきをします。更年期障害や生理不順などに効果があると言われます。 ●アーモンド・かぼちゃ・アボガドなど これらの食品に含まれる豊富なビタミンEも女性ホルモンに似たはたらきをします。ホルモン分泌のコントロールを助けてくれ、生殖機能を正常に保つとされます。更年期障害の長期的な治療にビタミンEが用いられることもあるといいます。 ホルモンコラム:あれもこれもみんな「ホルモン」 ホルモンは実に多種多彩。男性ホルモン&女性ホルモン以外の有名なホルモンをちょっとだけご紹介します。 ●成長ホルモン 脳下垂体前葉から分泌されます。疲労を回復させたり、治癒力を高めたり、子供の背を伸ばしたりする文字通り人を成長させるホルモンです。睡眠時に一番活発に分泌されます。 ●甲状腺ホルモン 甲状腺から分泌されます。目を大きくキラキラと輝かせ、肌をつややかにしますが、過剰に分泌されるとバセドー氏病の原因ともなってしまいます。 ★環境ホルモン これは体内で分泌されるホルモンではありません。生物や人間のホルモン機能を阻害する「内分泌かく乱作用」を持った有毒性の化学物質のことです。環境問題は自分自身の体と密接に関わっているのです。
ホルモンが必要なら、じゃんじゃん補えばいい…そう考えるのは短絡的です。ホルモンにとって大切なのは何よりもバランス。バランスが崩れると、更年期障害や物忘れ、性機能の低下など深刻なトラブルを招くことにつながります。 目次 男女でこんなに違う!ホルモン曲線 大切なのはホルモンのバランス ホルモンのバランスが崩れるとどうなる? ホルモンコラム:彼と彼女のすれ違い…これってホルモンのせい? 男女でこんなに違う!ホルモン曲線 男性も女性も、それぞれの性ホルモンの分泌が体の性質を決定します。男性ホルモンの場合、思春期に増えた分泌量が30代でピークを迎え、65歳くらいまでほぼ横ばいが続いた後緩やかに減少していくのに対し、女性ホルモンは20~30代でピークを迎えた後、50代で急激に減少してしまいます。女性ホルモンのバランスの乱れによる生理不順や更年期障害はわりと聞きますが、男性ホルモンの異常により引き起こされる病気は少ないようです。女性ホルモンを体内で多く分泌している女性は、どうしてもその影響を受けやすくなってしまいます。 大切なのはホルモンのバランス 男性「最近、精力が減退してきたから男性ホルモンを飲めばいい」 女性「いつまでも若々しくいたいから、女性ホルモンをせっせと摂りましょう」 ホルモンの作用を知ると、ついこんな風に考えがちですが、それはあまりに短絡的というものです。例えば、病気でもないのに男性ホルモンを外から多量に摂取すると、体内での分泌が抑制されてしまい、むしろ精力の減退につながるといいます。また女性ホルモンのうち、エストロゲンだけが暴走すると乳がんや卵巣がんの遠因のひとつになることも知られています。大切なのは自分自身に組み込まれているホルモンバランスを整えることです。 ホルモンのバランスが崩れるとどうなる? 男性ホルモンも女性ホルモンも、微妙な環境の変化でバランスを崩してしまうもの。睡眠不足、不規則な生活、運動不足、ストレス、肥満、急激なダイエットなどによりホルモンのバランスが崩れると、体にさまざまな不調が発生します。 更年期障害 閉経前後の女性のホルモンバランスの乱れがさまざまな不定愁訴になって現れます。いわゆる「更年期障害」と呼ばれ、いらいらや疲労感、顔のほてりや肩こりなどの症状があります。一般的に45~55歳くらいの女性に多く見られますが、最近では食生活や生活習慣の乱れから30代でも「若年性更年期障害」が増えてきているといいます。 「更年期障害は女性だけのもの」とたかをくくってはいけません。男性にももちろん、男性ホルモンのバランスの乱れから更年期障害はやってくるのだ。心してホルモンバランスを保ちましょう。 更年期障害をできるだけラクにスムーズに乗り切るために~女性の場合 更年期障害をできるだけラクにスムーズに乗り切るために~男性の場合 物忘れ 記憶力を司るのは女性ホルモンです。男女とも、加齢に従い女性ホルモンの分泌が減少してくるとだんだん物忘れが多くなってきます。女性ホルモン(エストロゲン)の投与により、アルツハイマーの進行が止まったという症例もあります。 性機能の低下 男女ともに性欲そのものを左右するのは男性ホルモンです。男性ホルモンのバランスが乱れると性欲が減退することがあります。また女性の場合、女性ホルモンのバランスが乱れることによって生理不順を招き、性機能が低下してしまいます。 ホルモンコラム:彼と彼女のすれ違い…これってホルモンのせい? 付き合いだした頃は毎日が楽しくて仕方がないのに、やがて訪れるすれ違いの日々。男は「女がわからない」と言うし、女は「男についていけない」と言う。もしかしてこれもホルモンのなせる業なのでしょうか? 脳の構造は性ホルモンに影響されて、男女差があるといいます。一般的に女性は「左脳(理性)」と「右脳(感情)」を結ぶパイプラインが発達しているため喜怒哀楽を感じやすく、男性は「右脳(感情)」の方の情報が少ないため理論的であるとされていますが、果たして…?
女性にあるホルモンが女性ホルモン、男性にあるのが男性ホルモンと思い込んでいませんか?実は女性も男性も体内で両方のホルモンを作っています。そもそもホルモンって何?知っているようで知らなかったホルモンの話をご紹介します。 目次 そもそもホルモンとは? 男性ホルモン&女性ホルモンのはたらき 女性にも男性ホルモンはあるし、男性にも女性ホルモンはある ホルモンコラム:どこが違うの?「ホルモン」と「フェロモン」? そもそもホルモンとは? 「ホルモン」と聞いてあなたは何を想像するでしょうか?男性の逞しさや女性の色っぽさ、はたまた焼肉の臓物系?イメージ先行で具体的にどんなものだか今ひとつわかりにくいホルモン、そもそもはギリシア語で「呼び覚ますもの」「興奮させるもの」「刺激するもの」といった意味の言葉です。定義は以下の通りです。 ●ホルモンは体内にある細胞でしか作られない化学物質で、その数は70種類以上存在するとも言われます ●脳の視床下部、甲状腺、卵巣、睾丸などの内分泌腺で生産、貯蔵され、刺激に応じて血管を通って分泌されます ●それぞれのホルモンには各「標的細胞・器官」があり、そのはたらきをコントロールします ●ホルモンは代謝の調節を行います ホルモンは無色透明ですが、取り出して純化すればただの白い粉です。成分は大きく分けて2種類あり、ひとつがアミノ酸を原料としているもの、もうひとつがコレステロールを原料とした非たんぱく質のものとなります。 アミノ酸を原料とするホルモンには甲状腺ホルモンやアドレナリンなどがあり、非たんぱくホルモンは睾丸・卵巣・副腎皮質から分泌されているいわゆる性ホルモンです。 体内に分布する主な内分泌腺とホルモン 男性ホルモン&女性ホルモンのはたらき 男性ホルモンは男性を男性特有の体つきや思考回路に発育させるホルモンのこと。テストステロン、アンドロステネジオン、デヒドロエピアンドロステロンの3種類の総称として「アンドロゲン」と呼ばれます。健康な男子の場合、1日におよそ7mg程度の分泌があるといいます。 一方、女性ホルモンは、女性特有の体つきや体のリズムを司るものです。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。エストロゲンは排卵の準備をするホルモンで生理の終わりごろから排卵前にかけて分泌が高まります。プロゲステロンは排卵後に分泌され、排卵を抑制するはたらきがあります。女性の体内で分泌される一生分の女性ホルモンの量はおよそスプーン1杯程度。これほど微量でこれだけの威力を発揮する化学物質はほかにはちょっと見当たらないかもしれません。 女性にも男性ホルモンはあるし、男性にも女性ホルモンはある ところで名称のイメージから、男性にあるのが男性ホルモンで女性にあるのが女性ホルモンだと思い込んではいませんか?実は男性の体内でも女性ホルモンが作られますし、女性の体内でも男性ホルモンが作られます。でも、女性には精巣がないし、男性には卵巣がありません…。一体どこで、どうやって作られているのでしょうか? 男性ホルモンは人体の生殖器官と副腎で作られます。女性の生殖器官は卵巣にあたり、男性ホルモンはここで作られています。しかも、女性の体内の男性ホルモンは、女性ホルモンの量に比べて10倍以上も多いそうです。 では男性の場合、女性ホルモンはどこで作られているのでしょうか。実は性ホルモンは変化するもの。コレステロールから弱男性ホルモンと呼ばれるものが作られ、男性ホルモンから女性ホルモンが作られます。男性ホルモンも女性ホルモンも構造はよく似ており、酵素の微妙なはたらきによって全く違うはたらきをする2つのホルモンが誕生するのです。男性の体内の女性ホルモン量は、女性に比べておよそ半分程度のようです。 ホルモンコラム:どこが違うの?「ホルモン」と「フェロモン」? 「ホルモン」と「フェロモン」。どちらもなんとなくセクシーなイメージがあり、名前も似ていることから漠然と似たようなものだと思っている人も多いかもしれません。しかし、両者のはたらきは全く違います。ホルモンは生物の体内で作られ、その体内でしか作用しません。対してフェロモンは体外に放出されて同種のほかの固体に作用するものです。人間のフェロモンについては現在解明中ですが、鼻の中にフェロモンを感知する「鋤鼻(じょび)器官」があるとされ、男女間の相性にも影響があるのでは?とも言われています。 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 更年期にやさしいサプリメント 痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記
運動するとホルモン分泌が刺激され、更年期障害や神経症に効果があります。 目次 女性は脂質異常症と肥満になりやすい 自律神経失調症・精神神経症の改善 女性は脂質異常症と肥満になりやすい 女性が更年期を迎えると、閉経によって女性ホルモンが低下するために急速な動脈硬化が進行しがちです。 特に脂質異常症と肥満になりやすくなります。 更年期の症状は人によって様々です。治療法としては、ホルモン療法によって改善が図られることも多いですが、副作用も心配です。そんな中で、全く副作用の心配のいらない療法が運動による軽快法です。 自律神経失調症・精神神経症の改善 運動すると、ホルモン分泌が刺激され、ほてりや不眠などの自律神経失調症の改善、抑うつ状態や不安などの精神神経症が解決される可能性があります。 運動による更年期症状の改善については、もっと多くの人が関心を寄せるべき事柄かもしれません。
患者によって違う症状の現れ方 室内の空気汚染に起因する化学物質過敏症が増えているといわれます。空気汚染化学物質により、のどの痛みや渇き、発汗異常、手足の冷えなど自律神経系を中心とした多彩な症状が現れます。 やっかいなことに、いったん化学物質にさらされて過敏反応を起こすと、その後も微量の化学物質で色々な症状が現れるのです。 問題は、化学物質そのものが原因となって、一定の症状を起こすわけではなく、要因は患者側にあるという点です。 同じ条件下で発症する人としない人がいる 例えば、Aという化学物質により頭痛が起きるか、発汗異常が現れるかは患者によって決まるのです。 一般的な化学物質中毒なら、原因物質が増えれば100%の人が発症します。しかし、化学物質過敏症では発症する人としない人がいます。これはアレルギーともよく似ています。 発症には個人差が大きく、内分泌の不安定な更年期女性や免疫の低下した高齢者、自律神経系の未熟な小児に起こりやすいといわれています。