疾患・特集

リウマチ治療のキーは「情報」 チーム・リウマチの診療現場(2)

関節リウマチや膠原病(こうげんびょう)の診療において、世田谷リウマチ膠原病クリニック/東信よしだ内科・リウマチ科は、テレビや小説の「チーム・バチスタ」のように多職種のスタッフが「チーム・リウマチ」を組んで、患者さん主体の医療を提供しています。治療の重要な鍵として患者さんの背景に踏みこんで気持ちをくみとることを大事にしているため、情報収集に工夫を凝らしています。

看護師や事務などすべてのスタッフが患者と積極的にコミュニケーションを図る

世田谷リウマチ膠原病クリニック/東信よしだ内科・リウマチ科では、医師、看護師、事務スタッフ、理学療法士、臨床検査技師、栄養士など多職種のスタッフが診療に関わっています。
たとえば、患者さん一人ひとりに対して看護師や事務スタッフなどが積極的にコミュニケーションを図り、病気のこと、ふだんの生活などについて親身になって伺い、患者さんに応じた治療内容について理解してもらえるよう、さまざまな取り組みをしています。
学校や仕事、休日の過ごし方、ほかの病気があるかどうか、治療費などの負担などについても伺うようにしています。

正確に経過と不安を聞き取きとってコンプライアンスを確認する問診票

表:問診票 表:問診票
提供:世田谷リウマチ膠原病クリニック/東信よしだ内科・リウマチ科

クリニックでは、関節リウマチ患者さんがクリニックを受診した際、診察室に入る前に待合室で問診票(表)に書いてもらうことにしています。そこで、問診の精度を高めるために工夫しています。
問診票は、前回受診時からこれまでのお身体の具体や変化を伺うことはもちろんですが、下記についても伺います。

  • 「特に先生に伝えたいことをご記入ください」
  • 「余っている薬がありますか?」
  • 「必要な薬がありますか?」

最近では、少し面白い試みとして、下記についても聞いています。

  • 「最近楽しかったことを教えてください」
  • 「最近自分のために購入した一番高いものはなんですか?」
  • 「最近大笑いしたことはなんですか?」

「先生に伝えたいことはありますか?」

患者さんが問診票に記載して、看護師がその内容が電子カルテに入力した後に、患者さんは診察室へ入ります。
「特に先生に伝えたいことをご記入ください」に記載された内容を医師が問いかけることにより、これまで患者さんが緊張して診察室で先生へ伝えられなかったこと、言えなかったことを伝えられることに役立っています。
また、「余っている薬がありますか?」との項目があることにより、もし処方された薬剤が余っている場合には、患者さんのコンプライアンス、認知症状の有無などはもちろん、服薬への抵抗感の聴き取り、副作用の早期発現にも役立っています。

大切なのは服薬への抵抗感を聞き取ること

もし、診察で患者さんに服薬コンプライアンスが低いと感じれば、診察後にスタッフが患者さんに対して服薬することの必要性などを丁寧に説明します。
認知症が疑われる場合には認知機能の精密検査を行い、患者さんに応じた治療に変更することもあります。
大切なのは服薬への抵抗感を聞き取ることです。これにより、患者さんの服薬への恐怖、不安や患者さんが微妙に感じている副作用を察知することがあります。
聞き取りの際に服薬に恐怖や不安を感じている場合には、スタッフはそれを取り去るために面談をします。
また、早期の副作用の出現が心配される場合には医師へそのむねを伝え、重篤化することを防ぎます。
チーム・リウマチは、患者さんと一体となって治療ゴールを目指しています。そこで、次回は治療を受ける際に飲み合わせなどにおける注意点について紹介します。

監修:吉田智彦先生

吉田智彦先生

所属学会
日本内科学会、日本リウマチ学会、日本臨床リウマチ学会、日本リウマチ学会 リウマチ指導医、日本アレルギー学会、日本糖尿病学会 など
略歴

芝学園(東京都港区)卒業
聖マリアンナ医科大学大学院卒

聖マリアンナ医科大学病院リウマチ膠原病アレルギー内科に入局し同大学病院でリウマチ膠原病の診療にあたりながら、難病治療研究センターに所属して研究に従事しました。
平成10年12月から長野県埴科郡坂城町の父のクリニックで診療をはじめ、
平成12年4月~平成14年3月:日産厚生会玉川病院で診療。
平成17年4月~平成18年5月:児玉経堂病院リウマチ内科で診療。
平成18年6月に世田谷区に日本で初めてのリウマチ膠原病の専門クリニックとして世田谷リウマチ膠原病クリニックを開業いたしました。
現在は、世田谷リウマチ膠原病クリニックと長野県埴科郡坂城町の東信よしだ内科の2施設でリウマチ膠原病診療にあたりながら、全国で講演、学会発表、論文発表、市民公開講座などを行っています。

世田谷リウマチ膠原病クリニック
URL:http://www.setagayariumachi.com/

東信よしだ内科・リウマチ科
URL:http://nagano-riumachi.com/

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公開日:2018/12/07