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もしかして、私も関節リウマチ?受診のタイミングはいつ?

「もしかして、私も関節リウマチ?」と思っても、すぐに受診するべきかどうかを判断することは難しい。そこで、今回は関節リウマチの自覚症状や受診するタイミング、受診時に医師に伝えた方がいいポイントを伺った。

お話を伺った先生:聖路加国際病院 アレルギー・膠原病科 岸本暢将先生

受診するのはこんなとき

―― 初めて病院を受診する人には、どんな自覚症状があるのですか?

岸本先生:
「手の指がむくんで指輪がぬけない、腫れぼったい、指がしびれる」という自覚症状があり、「もしかしたら…」と関節リウマチを疑って診察に来る人が多いですね。しかし、大半の方は、糖尿病、手を使い過ぎている、変形性関節症といった患者さんで、関節リウマチの患者さんではありません。

―― そうなると、受診するタイミングが分かりづらいのですが、どうすればいいのでしょうか?

岸本先生:
例えば、朝、手がこわばってコーヒーカップの持ち手が握りづらいなど、朝のこわばりの症状が30分以上続いたり、手の指がむくんでいるのではなく、明らかに腫れているといった状態が、タイミングと言えます。
アメリカリウマチ学会では、関節リウマチを診断するための基準を設けていますが、この基準は、関節リウマチになって8年以上経過した患者さんを元に、20年前につくられました。そのため、この基準に当てはまったときには、かなり症状が進行していることが多いため、注意が必要です。そこで、2009年の10月に開催されるアメリカリウマチ学会で、早期に診断するための診断基準へと変更される予定です。

オランダには、「関節リウマチの診断基準は満たさないものの、確かに関節が腫れていてリウマチに近い状態である人」を早期診断することを目的とした「早期関節炎クリニック」があります。そこでの基準は、2つ以上の関節が腫れていて、朝のこわばりが30分以上持続しているというものです。 ヨーロッパの他の地域では、明らかに1つ以上関節が腫れていて、朝のこわばりが30分以上持続していれば、関節リウマチの危険性を疑うところもあるようです。

リウマチ科が近くにない。どうすれば?

―― リウマチ科が近くになく、専門医でない先生に診察してもらうことも多いと思います。その場合、伝えておいた方がよいことはありますか?

岸本先生:
リウマチ専門医でなくても、次のような3つのポイントをしっかり伝えると、関節リウマチが疑われる場合は必要な検査を行い、専門医を紹介してくれるでしょう。

医師に伝えたい症状のポイント

  • 朝のこわばりの有無と持続時間
  • 関節の腫れについて
  • 関節の痛みについて

―― 関節リウマチの血液検査に「リウマトイド因子」の有無を調べる検査がありますが、 陰性[無し]であれば関節リウマチではないと安心していいのですか?

岸本先生:
安心はできません。関節リウマチの早期では、リウマトイド因子が陰性なのに関節リウマチであることが多く、逆に、高齢の場合、関節リウマチでなくても陽性になることが多いからです。
医師は、さまざまな検査結果、患者さんの訴えや症状、炎症の具合などを総合的に判断して診断しています。血液検査は、関節リウマチを診断する補助的な検査であると思っておいてください。

―― 早期診断だけでなく、早く治療を開始し、治療の効果を見極めることも重要だと伺いましたが、どのように見極めるのですか?

岸本先生:
患者さんにとって適切な時期に適切な治療を行うために、患者さんの状態や治療の効果を見極めることを「評価する」と言っており、DAS(ダス)スコアという統一された指標を使って行うことができます。

DASスコア(Disease Activity Score)

関節リウマチの悪化度を把握する指標のこと。患者さんの訴え、関節の腫れ、圧迫したときの痛み、血液検査[炎症の程度をみるCRPや赤沈]の4項目によって、総合的に評価することができる。

近くにリウマチ専門医がいないのであれば、極端な話にはなりますが、最初の診断をするときと治療の評価をすることが多い3ヵ月ごとに専門医を受診するようにし、それ以外での体調の管理は、かかりつけ医に診てもらうというように、医療連携をとることも可能です。
また、日頃の体調を管理したり、診察時に医師に症状の変化を伝えるためのツールとして、リウマチダイアリーなども役立ちます。毎日記録しなくても、1ヵ月に1回、3ヵ月に1回など、診察や治療の評価を受けるときだけ記録するという方法でもかまいません。

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