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子供の花粉症対策に「じゃばらヨーグルト」がおすすめ

スギ花粉症は、アレルギーの病気で国民病といわれており、最近は子供の花粉症が増加していることが問題となっています。腸内環境を改善することがアレルギー対策になるため、薬以外に食事を工夫することも一つの手です。赤坂ファミリークリニックの伊藤明子先生は、腸内環境を改善するヨーグルトとアレルギーを抑える成分を多く含む柑橘類を組み合わせたレシピ「じゃばらヨーグルト」をおすすめしています。作り方を含めて紹介します。

子供や思春期でスギ花粉症が増加傾向

伊藤先生によると、スギ花粉症は、4人に1人が発症する国民病です。鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版によると、1998年と2008年に実施された全国調査の結果*1では、スギ花粉症の人数が1998年に比べて2008年のほうが増加しているとのことでした。
その傾向のなかで、5歳以降の学童期の子供たちの花粉症が増えていることが問題となっています。
スギは樹齢30年前後から花粉の生産が盛んになりますが、国内のスギの大半が樹齢30年未満のため、今後しばらくは花粉がさらに多くなる予想で、子供の花粉症も増えていく可能性があります。
子供の花粉症への対策としては、医療機関で抗アレルギーの薬が処方されます。また、舌下療法という根治を目指す治療法もありますが、12歳以降しか受けられませんし、花粉が飛散するかなり前から服用を開始し、数年間にわたり毎日続ける治療法です。
近年、アレルギーへの対策として腸からアプローチすることが注目されています。伊藤先生は親が子供のために作ることができるレシピを考案しました。

清潔にしすぎると腸内細菌の環境が悪くアレルギーになりやすい

伊藤先生によると、腸内には多種多様な善玉菌(乳酸菌など)、悪玉菌、日和見菌が住み着き、それぞれのバランスがよい状況が望まれますし、腸内に生息している細菌の種類の多様性が健康な腸を作ることがわかっています。
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘息といったアレルギーの病気になりやすい原因の一つとして、清潔過剰仮説あるいは衛生仮説が指摘されています。清潔を求めるあまり、幼少期に細菌や寄生虫と接触する機会が少ないと、腸内に生息する細菌の種類が多様でなくなることが原因といわれています。
たとえば、田舎や自然のなかで育った子供は、都会で育った子供に比べて腸アレルギーになりにくいとの研究報告*2があります。

じゃばらは花粉症に関わるヒスタミンを抑えるナリルチンを多く含む柑橘類

腸内環境を整えるために食べ物でアレルギーを予防できる可能性があるものとして、伊藤先生は「じゃばら」に着目しました。
じゃばらは、和歌山県北山村の柑橘類で、語源は「邪(じゃ)気を払(はら)う」です。じゃばらには、アレルギーに抑制効果があることが研究で示されているナリルチンという物質が、ゆずやほかの柑橘類と比べて多く含まれています
ナリルチンに関しては、花粉症をはじめとしたアレルギー症状を起こす際に関わるヒスタミンという物質を抑制するはたらきがあることが研究で示されています。
なお、みかんにはナリルチンはほとんどありません。また、じゃばらの果汁を食べるとかなりすっぱいので、そのまま食べるのは難しいです。
そこで、伊藤先生は、和歌山県北山村産のじゃばら果汁と、善玉菌である乳酸菌が多く含まれるヨーグルトを組み合わせた「じゃばらヨーグルト」が花粉対策レシピとして有用として、調理法を紹介してくれました。

じゃばらヨーグルトの作り方(10人分)

じゃばらヨーグルト

■材料(4人分)
じゃばらソース:じゃばら果汁 大さじ7、キビ砂糖 大さじ1、くず粉 大さじ1、メイプルシロップ 適宜
プレーンヨーグルト100g×10人分

■作り方

  • じゃばら果汁とキビ砂糖を小鍋で沸かして煮詰める
  • 上記に、水溶きくず粉を入れてとろみをつける
  • メイプルシロップを適宜いれて調整する
  • プレーンヨーグルト100g程度にじゃばらソースを適宜かける

伊藤先生は、2017年に赤坂ファミリークリニックを開業しました。
「子供のときからの病気予防」をテーマにトータルヘルスプロモーション(食と栄養、運動、睡眠、生活習慣、ストレス管理など包括的な取り組み)としてさまざまな活動に従事しています。例えば、子供が0歳のときから予防できる食事療法をお母さんたちに伝えています。
今回、花粉症に着目しました。子供の治療法は限られているので、腸内環境を整えることが花粉症やアレルギーの対策になることを考え、親が子供のために食生活を見直して体によいレシピを作ってあげることが有用としています。

公開日:2019/01/23
監修:赤坂ファミリークリニック 伊藤明子先生