パニック障害(PD)に関する記事をご紹介します。パニック障害(PD)の正しい知識を身につけることで、予防や改善にお役立てください。
パニック障害の症状として「このまま死んでしまうかもしれない…」などと、原因も分からないまま強い恐怖に襲わます。抗うつ薬などで不安を抑え、行動療法などで完治させることが可能とされています。 目次 ある日、原因不明の激しい発作が どこも悪くないことが、さらなる不安を呼ぶ いまや薬で治療が可能な病気 ある日、原因不明の激しい発作が 「パニック」という言葉自体は、ふだんよく使うものです。仕事でアポイントをとっているのに電車が止まって遅刻しそうになったり、高所恐怖症の人が高いところに上らされたりすると大変なパニック状態に陥ることでしょう。 このような、私たちが日常経験する「パニック状態」と「パニック障害」とはまた異なるものです。「パニック状態」の場合はそうした状況に陥る原因がはっきりとしていますが、パニック障害の場合ではそれがありません。 ある日電車に乗っていて突然気分が悪くなり、「このまま死んでしまうかもしれない…」などと、原因も分からないまま強い恐怖に襲われるのです。 そして「また発作が起きたらどうしよう…」そんな不安から日常生活の行動が制限されてしまい、患者さんは非常にツラい毎日を送らざるを得なくなります。 どこも悪くないことが、さらなる不安を呼ぶ 症状としては下記のようなものが主です。 パニック障害に特徴的な発作の症状 ●胸がドキドキする ●冷や汗をかく ●体や手足の震え ●呼吸が速くなる、息苦しい、息が詰まる ●胸の痛みや不快感 ●吐き気、腹部の嫌な感じ ●めまい、ふらつき ●非現実感、自分が自分でない感じ ●狂ってしまうのではという恐怖、死への恐怖 激しい発作から死への恐怖まで感じ、重大な病気が隠されているのではと医療機関を受診するものの、どこも悪いところは見つかりません。それでもいつ再発するかわからない発作に患者は「つぎは人前で倒れたり、吐いたり、失禁したりするのでは…」とさらなる不安に襲われ、外出もままならなくなってしまいます。 いまや薬で治療が可能な病気 日本では、パニック障害は、かつては「心臓神経症」や「不安神経症」として取り扱われ、適切な治療が行われてきませんでした。しかしアメリカでは100人に3人の割合で発症しており、日本でもほぼ同率の患者がいるのではないかと考えられています。 また、パニック障害の原因としては最近、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」「ノルアドレナリン」のバランスが乱れることにより、脳から体への指令や情報伝達がうまくいかず、発作が発症するのではと考えられています。そのため内科で心臓や呼吸器の検査をしても、異常が見つからないというわけです。 現在では、抗うつ薬などで不安を抑え、行動療法(苦手な場所などに慣れさせることで、不安や恐怖を感じなくさせる方法)などで完治させることが可能とされています。パニック障害が疑われたら、本人だけでなく家族など周囲の人も早く察知する必要があるでしょう。 公開日:2008/10/06
私たちは普段、まったく無意識に息をしています。しかし、呼吸とは生きている間、絶え間なく続けるもの。人は一生の間に、なんと6~7億回も息をするといいます。呼吸の仕方ひとつで、心身の健康は大きく左右されるのも道理です。「たかが呼吸」と侮らず、ぜひ正しい方法を身につけて、元気度をアップしましょう。 目次 息が浅いとストレスが増える? 口呼吸が危険な理由とは? 簡単!腹式呼吸法にチャレンジ 息が浅いとストレスが増える? イライラしているとき、不安なとき、焦っているとき――そんなとき、いつのまにか呼吸は浅くなっているもの。浅い呼吸とは、肩や胸だけでおこなっている呼吸のことです。 浅い息は、肺の一部にしか酸素を届けることができません。そうなると、体や心に好ましくない影響が出てきます。これは、血管中の酸素が不足してくるためです。最もダメージが大きいのが、酸素を最も必要とする脳となります。普通の筋肉細胞を1とすると、脳の神経細胞はその20倍の酸素を摂取しなければならないからです。 また、呼吸と自律神経は深い関係にあります。深くゆっくりと息をしていれば、リラックス時にはたらく副交感神経がスムーズに動き、ホルモンの分泌や免疫のはたらきが正常になります。しかし、つねに浅い呼吸を続けていると、この仕組みが狂ってきます。副交感神経のかわりに、緊張したときに動き出す交感神経ばかりがはたらくようになり、体のあちこちに支障があらわれます。 このように、浅い呼吸は脳や自律神経に影響を及ぼし、ストレスをますます増幅させてしまいます。また酸素不足により、内臓の機能低下も招きかねません。 ■浅い呼吸が招く病気 ストレス病、自律神経失調症、呼吸関連筋肉群の凝り、背骨のゆがみ、胃などの内臓・肋骨の下垂、肝機能の低下、便秘、呼吸器系疾患 口呼吸が危険な理由とは? 気がつくと、口をあけっぱなし。口だけでハアハアと息をしていた――そんなことはありませんか?「呼吸は鼻で」。実はコレが正しい呼吸の大前提なのです。 鼻の穴の奥にある鼻粘膜には、細かい繊毛がじゅうたんのようにびっしり生えています。そこからつねに粘液を分泌し、外界から入ってくる異物を排除してくれます。ところがこれが口だと、そうはいきません。排気ガスやホコリ、ちりなどがいくらでも肺に吸い込まれてしまいます。結果的に風邪、肺炎ばかりでなく、健康状態によっては深刻な疾患も引き起こしかねません。 さらに、免疫力が低下し、アレルギー症状が起こることもあります。アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などは、口呼吸が一因となっているケースも少なくないようです。 とくに怖いのは口をあけて寝ている間に舌で喉がふさがり、呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症」です。昼間に眠くなるだけでなく、最悪の場合は体力の消耗から突然死につながることも。 ところで、あなたは口呼吸をしてはいませんか?下のチェック項目で3つ以上当てはまると、口呼吸の可能性大です! 口呼吸チェック! 3つ以上当てはまると、口呼吸の可能性大! 朝起きた時、喉がヒリヒリすることがある 鏡を見ると、口が「へ」の字だ クチャクチャと音を立てて食べる 唇がいつもカサカサしている 何かに夢中な時、口が開いていると言われる いびきをかく 簡単!腹式呼吸法にチャレンジ こうした呼吸の影響力に着目し、反対に意識して息を整えることで、心身の状態をコントロールする――これが呼吸法です。人前で話すとき心を落ち着けるために深呼吸したりするのも、呼吸の力に着目した知恵といえます。ヨガや気功はその最たるものでしょう。 それでは実際に、呼吸法をおこなってみましょう。ここで紹介するのは、最も簡単な「腹式呼吸法」です。深く、ゆったりと息をするためには、お腹で呼吸する「腹式呼吸」が一番です。といっても、まさかお腹そのもので息はできません。下腹を膨らませたり引っ込ませたりすることで、腹圧により深さやリズムを整えるのです。 簡単!腹式呼吸法 1. 仰向けに寝転びます。 2. ゆっくりと口から息を吐きます。体の中の空気をすべて外に出すつもりで、時間をかけて吐きましょう。このとき、お腹が徐々に引っ込むように気をつけます。 3. 鼻から深く息を吸います。舌を上あごにつけるようにするとよいでしょう。このとき、下腹が膨らむように気をつけます。 4. 再び口から息を吐きます。吸った時間よりも1.5倍から2倍かけるつもりで、長く、ゆっくりと。 5. この動作・呼吸を繰り返します。息を吐く時間が吸う時間の4倍くらいの長さになるようにがんばりましょう! 【腹式呼吸のポイント】 ●「吸って吐く」のではなく、「吐いて吸う」という順序を心がける ●お腹の上に本を乗せると、腹式呼吸のようすが目で確認しやすい ●横になることができない場合は、椅子に腰掛けておこなってもよい。おへその下に両手をあてて下腹の動きを意識する 腹式呼吸は、できれば毎日の習慣にしたいもの。天気のよい日などは戸外でおこなってみるのもよいでしょう。続けるうちにちょっとしたストレスや体の不調感とも、きっとサヨナラできるにちがいありません。
近年「心の病」の治療では、特に「薬」はめざましい発展を遂げ、確実に成果を上げています。 目次 今どきの「心の病」の治し方 心と体は分けられない 主な向精神薬と、その用法・目的 今どきの「心の病」の治し方 近年「心の病」は、単に本人の性格や生い立ちだけの問題としてとらえることはほとんどなくなりました。それとともに体(脳など)にはたらきかける治療、特に「薬」はめざましい発展を遂げ、確実に成果を上げています。現在、主に行われている治療方法は以下の通りです。 精神療法 精神分析や行動療法など。主に信頼関係に基づいて「話をする」ということで治療を行います。 自らが不安感をコントロールしていく認知療法なども、最近特に注目されています。 薬物療法 ここ数十年で飛躍的な発展をとげた療法で、現在の精神医療には欠かせません。 専門医が、ドーパミンなど脳内神経伝達物質の活動や解剖学的変化について、想像をはたらかせ薬を処方します。 作業療法 ダンスやお芝居、音楽、美術など、さまざまな活動を通して、社会復帰へのリハビリを行います。 また病状を将来に向け安定させ、再発を予防します。 心と体は分けられない ところでなぜ、薬で「心」を治すことができるのでしょうか? 心も「脳」という体の一部のはたらきであることを前提として、脳生物学が発展し、向精神薬の種類は増加、そのメカニズムの解明も進みました。 うつ病患者の不安感が脳内物質のはたらきであるなら、それを薬でやわらげ、最悪の事態も避けることができます。 しかし、薬は基本的に対症療法となります。増大する不安感を抑えることはできても、不安に感じる原因そのものは取り除けません。そういった意味で、不安の原因を自ら見つめ直したり、上手に不安感を回避する方法を身につけたりする精神療法が大切となります。 しかしさらに考えると、確かに心は体の一部で、誰でも体調の悪い時には不安になるし、病気になれば落ち込みます。心の病が生活習慣病のひとつと言われるようになったのは、生活習慣の乱れの蓄積が体にも心にも病をもたらすからです。 病気になってしまった場合、不安感や焦り、無気力に取りつかれたままでは前に進めません。ときには薬という防具を身につけ、新たな生活習慣を獲得していきましょう。 主な向精神薬と、その用法・目的 心の病に処方する「向精神薬」は、機能異常(ズレ)の症状を改善・正常化するために使われるものです。 抗不安薬 ベンゾジアゼピン系 主に神経症的症状の治療に用いられる。不安、緊張、抑うつ、焦燥、睡眠障害など。うつ病の抗うつ剤と併用されることも多い。 抗精神病薬 フェノチアジン系、ブチロフェノン系、ベンザミド系など 主に精神分裂病的症状の治療に用いる。薬剤によって、鎮静効果、幻覚・妄想の改善。投与量によって、自発性を高める、引きこもりを改善する作用を有するものがある。 抗うつ薬 イミプラミン系など 意欲を高め、気分を明るくし、不安を軽減する効果がある。脳内伝達物質のノルエピネフリンやセロトニンのはたらきを高める。 抗躁薬 炭酸リチウム 高揚した気分や興奮、それにともなう誇大妄想などの症状を安定化する。抗てんかん剤にも同様の効果があるため、そちらが使われることもある。 睡眠薬 ベンゾジアゼピン系など 単独で使用する他、睡眠障害をともなっている元の病気や状態により、抗うつ薬や抗精神病薬と同時に使用することもある。 公開日:1999年3月27日
「心の病」になった時、どんな病院の何科を受ければいいのでしょうか?神経科?精神科?精神病院?クリニック?医療機関の違いを紹介します。 目次 どんな病院の何科に行けばいいの? こんな時には、この科へ! ご存じでしたか?保険証について どんな病院の何科に行けばいいの? 心の病もこじらす前に、なるべく早く専門医に診てもらわなければ、病状は重くなってゆき、治すのも大変になります。うつ病などの場合、自殺してしまう危険もあります。 しかし神経科や精神科など、普段あまり馴染みのない人も多いことでしょう。実際に行ってみると、来ているほかの患者さんも普通の内科などと特に変わりはありませんが、なんだかよく分からないままだと不安なものです。いざという時、一体どんな病院の何科に行けばいいのかもピンとこないかもしれません。 そんな不安を解消するために、具体的な治療や医療機関などをご紹介します。 こんな時には、この科へ! 心の病の病状などによって、受診する科は以下のように主に4つに分かれています。患者さんの受診のしやすさなどを考え「内科・心療内科」などと看板を出しているところも多いようです。また、神経科と精神科はほとんど同じ意味に使われているところもありますので、初めて受診する場合は、あらかじめ電話で症状を伝え、実際に何科の専門医がいるのか確認を。 ●精神科:うつ病や統合失調症などの精神病 ●神経科:ノイローゼや自律神経失調症など神経症 ●心療内科:胃潰瘍や気管支ぜんそく、高血圧、心身症など ●神経内科:脳卒中後遺症やパーキンソン病など、純粋な神経の病気 では、どんな病院・医療機関を訪ねたらいいのでしょう?各医療機関の違い、活用方法は以下の通りです。 診療所・クリニック 身近で気楽に入りやすい医療機関。入院施設がほとんどなく、通院で治療します。診療時間も、サラリーマンが通いやすいよう、夜間・休日にも行っているところも多くあります。 病院 20床以上の入院施設を持ち、外来も入院診療も行います。入院してゆっくり休むことができるようです。 保健所 国民のさまざまな健康問題に応じるため、都道府県および政令指定都市が設置している公的機関。心の病であっても同様に応じてくれます。相談は無料なので、まずは気軽に保健所を利用するのもいいでしょう。 精神保健福祉センター 各地区保健所を支援するためのもので、地区により名称は違う場合もあります。保健所と同様の機能とともに、医療費の公費負担制度など、活用できる福祉制度を教えてもらうこともできます。こちらも相談は無料です。 心理相談機関 専門の臨床心理士やソーシャルワーカーなどによるカウンセリングや相談を行っている民間機関。時間をかけた個人面接などを行います。保険が適用されず自費となり、料金もそれぞれ異なりますので、受診前に相談費用の確認を。 ご存じでしたか?保険証について 保険証を使って診療を受けると、会社にも精神科へ行ったことが分かってしまうのでは?と危惧する人もいるかもしれません。ご安心を。診断名は会社に分からないようになっています。町の小さい診療所であっても、秘密はきちんと守られます。また総合病院などで知り合いに出会っても、具体的に何科を受けに来ているのか?などということは、人には分かりません。 公開日:1999年3月27日