「まさか男が乳がん*1になるはずがないと思っていた」と述懐する患者さんがいました。乳がんは女性だけの病気ではありません。男性乳がんの会「メンズBC(Breast cancerの略)」では、ふだん相談できない治療の副作用に関する情報とセルフケアに関して、男性だけでなく女性の患者さんも役に立つ情報が共有されました。
男性の乳がんは実態が明らかになっていないことが課題です。そこで、男性乳がんの会「メンズBC(Breast cancerの略)」が2018年に発足し、会合が催されています。
2018年11月17日に開かれた会合では、女性の乳がん経験者さんや、アドバイザリーとして沢田先生も参加して、副作用への対策など、さまざまな情報が寄せられました。
治療の副作用に関しては、おもに以下の情報が寄せられました。
手足のしびれにより歩きにくい、紙を取りにくいことに関しては、沢田先生によると、何種類かの抗がん剤による副作用の可能性があり、男性では症状が出やすい可能性があるとの話でした。
手足のしびれ対策に関しては、患者さんから生活上の工夫として風呂やカイロで温めることや揉むことで楽になったとの体験談がありました。
また、点滴による抗がん剤投与中に手足を冷やすことも有効な方法として挙げられました。会合に参加していた女性の乳がん経験者さんが、実際に抗がん剤治療を受けるときに手足のクーリング(冷やすこと)を実践していたイラストは下記です。
提供:女性乳がん経験者さん
女性乳がん経験者さんによると、抗がん剤を服用した後に、かゆみがひどくて手先が痺れはじめたそうです。
絵を描く仕事をしているため、絵が描けなくなるのは困ると思い、しびれだけでなくかゆみの予防を調べた結果、手足のクーリングに関する研究発表*2を見つけました。
病院で治療を受ける時にクーリングができるかどうか、先生に相談してみることも一案です。
更年期に見られるようなホットフラッシュについての話もでました。沢田先生によると、抗がん剤やホルモン治療による副作用の可能性があるとのことです。
また、皮膚がカサカサしてかゆい、爪がはがれたり割れやすくなることに関しては、ホルモン治療や抗がん剤治療の副作用が考えられるとのことでした。
爪の対策としては、マニキュアを塗ることなどが考えられます。
患者さんから蜂窩織炎(ほうかしきえん)を発症したとの話がありました。
沢田先生によると、乳がんは全身に広がりやすく、乳がんがリンパ節に転移し、リンパ節切除術を受けた人に、リンパ浮腫というむくみ症状が出ることがあるそうです。
むくみの症状に伴って細菌感染により皮膚の急性炎症が起こるのが蜂窩織炎です。特徴としては、リンパ節の切除手術を受けた側の腕に赤い斑点や広範囲に皮膚の赤み、熱感がみられ、痛みを伴います。時には38℃以上の高熱があるので注意すべきとのことでした。
最後になりますが、注意しなければいけないのは、生活やセルフケアに関しては患者さんが勝手な自己判断で行わないことです。医師に相談することがすすめられます。
次回の「メンズBC」の会合予定:2019年2月16日
https://www.cancernet.jp/190216
■関連記事