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あなたも常習者!?歯ぎしりが怖い理由

自分ではなかなか気づきにくい歯ぎしり。だが、歯ぎしりはほうっておくと、さまざまな二次障害に発展する場合もある。なんと一晩の歯ぎしりは、一生分のそしゃくに匹敵するくらい、歯やあごにダメージを与えるのだ!本当は危険な歯ぎしりについて、ぜひきちんと知っておこう。

歯ぎしりはなぜ本人にわからないの?

夜中にギリギリと大きな音を立てられると、そばで寝ている人はかなわない。目がさめたら最後、気になってなかなか寝つけなくなってしまうだろう。ところが当の本人はすやすやと夢の中。自分自身が立てている音なのに、いったいなぜ気づかないのだろうか。

これは、睡眠中、感覚器の伝達経路が遮断されているため。起きているとき、音は筋肉から脊髄を通って脳へと伝えられる。ところが、眠ってしまうとこの回路がはたらかなくなってしまうのだ。したがって、脳はすぐそばのあごで起こっている騒音を感知できなくなる、というわけ。つまり、誰かに指摘されない限り、自分で歯ぎしりに気づくことはほとんどないといってよい。また、ほとんど音を発することなく、歯をぎゅっと噛み締める歯ぎしりも多いという。このように歯ぎしり人口は意外と多いもの。もしかしたら、あなたも常習者かも!?

原因は噛み合わせとストレス!

それではいったいなぜ、歯ぎしりは起こるのだろう。第一に考えられるのが、あご筋肉の緊張がアンバランスとなっていること。例えば、虫歯があって歯が痛いとき、高さが不適合な金属冠があるとき、歯の抜きっぱなしなどにより、噛み合わせが狂っているときなどは、こうした現象が起こりやすい。もうひとつの理由は、精神的、または肉体的なストレスだ。歯ぎしりすることによって、不安や憂鬱を発散させているのである。

虫歯、耳鳴り、自律神経失調症…歯ぎしりによるおもな二次障害

歯ぎしりは、歯やあごに大きな負担をかける。ぐっと歯を食いしばっただけでも、自分の体重程度の負荷がかかるのに、前後左右にぎりぎりと歯を動かせば、ダメージは計り知れない。なんと、一晩の歯ぎしりは、一生分のそしゃくに匹敵する、と言われているほどだ。もちろん、一晩中歯ぎしりをすることはないが、30分以上続くようなら、悪影響が及んでいる可能性が高い。歯ぎしりによるおもな二次障害は次の通りだ。

歯のダメージ

  • 歯が擦り減る
  • 歯周組織が損傷される
  • 外骨腫(歯の周りの骨が異常に突出する病気)が起こる

あごのダメージ

  • 顎関節症(あごを動かすと音がしたり痛んだりする病気)が起こる

その他のダメージ

  • 耳鳴りがする
  • 熟睡できない
  • 自律神経失調症による、体の諸症状があらわれる

怖いのは睡眠時無呼吸症候群と関連が深いことだ。両者の関係ははっきりとはわかっていないものの、歯ぎしりの直後には、睡眠時無呼吸症が起こることがよくある。睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が停止してしまう症状。睡眠不足から、翌日の生活にさしつかえるばかりではない。脳が酸欠状態となり、突然死を引き起こすこともある怖い病気だ。

歯ぎしりはどうやって治せばいい?

歯ぎしりを治すには専門医に相談するのが一番。歯科医か口腔外科を受診しよう。よく行われるのが、上下の歯が接触しないよう、口の中にマウスピースを入れる「スプリント療法」。筋弛緩剤などによる薬物療法がおこなわれることもある。また、噛み合わせを治すことにより、症状を改善する場合も。ただし、ストレスから歯ぎしりが起こっている場合は、心療内科などを訪ね、心のケアを中心に治療したほうがよいこともある

このように歯ぎしりを放置すると、思わぬ病気に見舞われることもあるので要注意!家族の深刻な歯ぎしりに気づいたら、早めに治療するようすすめよう。

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公開日:2004年12月6日