書痙(しょけい)について
手のふるえを症状とする疾患はどれも治療できる病気ですので、受診なさってみては。
こんにちは。最近、手のふるえがひどく、人前だけでなく家で字を書くときに手が震えてしまい困ってらっしゃるということですね。
手のふるえの状態として考えられるものがいくつかあります。ご相談いただきましたように書痙(しょけい)もそのひとつです。字を書こうとすると手指や腕などがこわばり、ふるえてまっすぐに書けなくなるのが「書痙(しょけい)」です。文字を書くとき以外にはふるえがないこと、ふるえだけではなく筋肉のこわばりも感じること、また他の部位のふるえがないことが特徴と言えます。
その他、手のふるえが起こる状態として、本態性振戦(ほんたいせいしんせん)、パーキンソン病、甲状腺機能亢進症などがありますが、主たる症状が手のふるえのみという症状から考えると、安静にしている時に手足にふるえの起こるパーキンソン病や、動悸や発汗の症状も伴う甲状腺機能亢進症は考え難いと思われます。また、糖尿病では低血糖の時にふるえとともに空腹感やいらいら感、冷や汗が現れることがありますが、人前や字を書くときにふるえを感じるということですので、糖尿病の影響ということも考え難いものと思われます。
では、症状に一番近いと思われる本態性振戦についてご説明いたします。本態性振戦とは、ふるえを唯一の症状とする原因不明の神経の病気で、「字を書く時に手がふるえる」「箸で物をつかむ時に手がふるえる」「着衣の時にボタンがかけられない」「人前で挨拶する時に声がふるえる」などの症状が見られます。これらの症状は人前などの精神的緊張が加わると悪化すると言われています。
通常、本態性振戦では「β遮断薬」と呼ばれる薬が効果的です。また、抗不安薬や漢方薬を併用することもあります。薬の効果は早い人では3日、平均1~2週間で現れるようですが、完治するわけではありませんので、症状が治まったあとも、定期的に受診し、上手に症状をコントロールする必要があります。本態性振戦の治療に使われる「β遮断薬」は、もともと高血圧や不整脈の治療に使われてきた薬ですので、血圧を下げたり、脈拍を遅くしたりという作用もあります。必ず医師の指示に従って服用して下さい。糖尿病で定期健診を受けていらっしゃるということですので、「β遮断薬」を服用する場合は必ずそちらの病院の医師に事前にご相談下さい。
本態性振戦であるかは分かりかねますが、一度受診され、しっかりと診断を受けられることをお勧めします。手のふるえを症状とする疾患はどれも治療できる病気ですので、神経内科を一度受診なさってみてはいかがでしょうか。
「ふるえ」ライブラリや「糖尿病」ライブラリもご参考になさって下さいね。
HelCナース
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