女性の更年期をどう過ごし、更年期障害をできるだけラクに乗り切るにはどうしたら良いのでしょうか。食生活や運動のポイントを踏まえて、更年期の対処法をご紹介します。 目次 誰にでもあること、そして必ず終わりがあること 更年期を快適に過ごすための10ヵ条 食生活を見直そう!症状を軽減する食事のコツ 適度な運動と、リラックスいろいろ 相性の良い病院との二人三脚がおすすめ 誰にでもあること、そして必ず終わりがあること 一般的に、45~55歳の10年間を「更年期」と呼ぶと紹介しましたが、この10年の間中、さまざまな不快症状に見舞われるわけではありません。 短い人で約1年、長い人でも約5年で症状は軽減するといわれています。確かに簡単に乗り切れる長さではありませんが、救いは必ず終わりがあるということです。更年期、そして更年期にまつわる不定愁訴はきっとおさまります。 次に挙げる10ヵ条は、更年期不定愁訴症候群の治療の先駆者である野末悦子医師が提唱したものです。 更年期を快適に過ごすための10ヵ条 いい友だちを持つこと 家族との関係改善 いいカッコをするのはやめ、あるがままの自分でいること 体を動かす 生き甲斐を持つ おしゃれをする 健康診断を忘れずに受ける 睡眠をきちんととる バランスの取れた食事を、三食きちんと摂る いつも勉強して、新しいことにトライする気持ちを持つ いかがでしょうか。少しは元気な気分になれたでしょうか。ただ、急に「生き甲斐を持て」とか「いいカッコをするな」と言われても困る、とまどうといった人もいるでしょう。たとえ趣味ひとつでも、いきなり言われて「はい、そうですか」と、今日から趣味が持てるわけではありません。 そんなときは、気持ちのままに楽しんでみる、といった意識づくりからはじめるのはどうでしょうか。例えば、雑誌を見ているうちにガーデニングをしてみたいと感じたら、まずやってみます。昨日と今日で興味の対象がガラリと変わってしまってもいいでしょう。気持ちのままに、好奇心の動くままに。そうして、そのときそのときの楽しいことにトライしながら「QOL=人生の質」を向上させていきましょう。明るく、前向きに。きっと更年期ばかりでなく、その後へと続く長い楽しい時間が醸成されていくはずです。 ただ、ここでも注意が必要ですが、上記のようなことを言ったからといって更年期の不定愁訴を、精神論や気持ちの問題と片づけてしまってはいけません。気持ちも不定愁訴を軽減、あるいは改善する要素のなかのひとつ、と捉えることを肝に銘じておきましょう。 食生活を見直そう!症状を軽減する食事のコツ 女性ホルモンのところでも取り上げましたが、更年期に劇的に減少するエストロゲンは、卵巣機能のはたらきのほかにも、重要なはたらきを担っています。 代表的なのが、コレステロールを抑制する、骨粗鬆症を抑えるといったはたらきです。つまり、エストロゲンが減少するということは、これらのはたらきを食生活などでカバーする必要が出てくるということなのです。具体的に、どんなことを心がければ良いかというと… カルシウムを十分に摂る コレステロールを控えた食事をする 塩分を控え、動脈硬化の予防に努める また、更年期ならではの不快な症状は、表のような栄養素を十分に摂る食事で改善していきましょう。 症状を軽減する食事のコツ 症状 多く摂りたい栄養素 はたらきと効果 肩こり、腰痛、冷えなどには ビタミンE ビタミンEは、血液の循環を促すのに効果的です。 だるい、疲れやすいなどには ビタミンB1 ビタミンB1が不足すると、エネルギー代謝がスムーズに行われなくなり、疲れやすくなります。また、憂鬱になったり、落ち着かない気持ちになることも。 貧血による動悸や息切れには 鉄分 更年期には月経量の増加などから貧血になることもあります。鉄分は十分に補給をしましょう。 肌荒れ、かさつきには ビタミンA 不足すると肌のトラブルに。ビタミンEと一緒に摂ると、いっそう効果的です。 便秘には 冷水と、食物繊維 腸のはたらきが弱まって起こる便秘に効果があります。 眠れないときは トリプトファン アミノ酸の一種で、安眠を誘う物質とされるもの。バナナや牛乳、あんず、プルーン、木の実などで摂るのがおすすめです。 適度な運動と、リラックスいろいろ 軽いウォーキングなどの運動は、骨へのカルシウムの吸着率を促進する、血中コレステロールを減らすなど、有意義な効果がいろいろあります。また、精神的なストレスや疲れには、汗を流す運動がとても良い解消法になります。ぜひ習慣にしていきましょう。 また、気持ちが落ち込む、なんとなく落ち着かないといったときは、アロマテラピーを試したり、ハーブティーを飲んでみたり。好きな音楽を聴いているだけでも違ってくるものです。こうした自分なりの気持ちへの対処法も少しずつ身につけていきましょう。 相性の良い病院との二人三脚がおすすめ 女性が、いわゆる更年期障害だと感じるきっかけは実にさまざまです。強いていえば生理不順や不正出血ですが、なかには「だるくて何もする気になれない」といった状況を家族が見かねて病院を受診させるケースもあるようです。治療面では、症状により個人により、ホルモン療法が良い場合もあればカウンセリングが功を奏する場合もあります。また、そうした更年期障害に似た症状のカゲで、命に関わる病気が進行していることもあります。 更年期にあたる年齢になったら、年に一度は健康診断を受けましょう。そして、どんな症状も我慢や無理は禁物です。更年期においては、「困ったときの医者頼み」ではなく、「何かあったら医者が先」。つまり心得は「先手必勝」が絶対です。大きな病気がなければ安心できますし、何より出てきた症状を緩和・軽減する方法を医師とともに進めていけるのです。ぜひ今から、相性の良い医師や病院を意識的に探しておき、体調に違和感を感じたらすぐ医師に相談しましょう。 参考文献:「明るく乗りきる男と女の更年期」赤塚祝子 講談社現代新書 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 更年期にやさしいサプリメント 痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記
ちっちゃくても秘められたパワーはとても大きいのが大豆。大豆にはさまざまな栄養分が凝縮されています。 目次 脅威!大豆パワー 大豆クイズQ&A 脅威!大豆パワー ●たんぱく質 大豆のたんぱく質は、血圧を調整する作用や血中コレステロールを下げる効果があると言われ、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病に有効だと言われている。また、必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)を含んだ良質なたんぱく質は、肉類には負けていない。 ●カリウム カリウムは、体内の余分なナトリウムを外へ排出させてくれる大切なはたらきのあるミネラル。ナトリウムの摂り過ぎは高血圧を招くため、血圧を下げたい場合には、積極的に摂るべし。 ●ビタミンB群 ビタミンB1やビタミンB2が豊富。皮膚や粘膜を健康にし、肌荒れを予防したり、疲れにくくなる効果がある。大豆より、納豆のほうがさらにパワーアップ。 ●ビタミンE 俗に老化防止効果があると言われるビタミンE。血行をよくし、皮膚をつややかにする。また、ビタミンEの抗酸化作用がリノール酸の酸化を防ぎ、そのはたらきを助ける。 ●食物繊維 不溶性の食物繊維が多く、便のかさを増やして便秘を解消し、大腸がん予防に効果的にはたらく。また、水溶性の繊維には、血中コレステロール値を低下させる、血糖値をコントロールするなどの作用がある。 ●レシチン リン脂質の一種で、脂質なのに親和性(水となじむ性質)がある。レシチンには血管内でコレステロールが固まらないようにするはたらきがあるため、動脈硬化予防の成分として注目されている。 ●リノール酸 レシチンとともに大豆脂質に含まれているもの。リノール酸は、多価不飽和脂肪酸と言われるもので、肉類に含まれる飽和脂肪酸に比べ、悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロールを減らさない特徴があるため、動脈硬化予防に効果があると言われている。 大豆クイズQ&A Q. 大豆は「○の肉」と言われるけれど、何の肉? A.「畑の肉」 大豆は、栄養組織が肉などの動物性たんぱく質にとても近く、畑で穫れるため、「畑の肉」と呼ばれる。 Q. 大豆の主成分は糖質(でんぷん)である A. × 大豆の主成分は、たんぱく質。100g中に35~40gも含んでいる。ただし、ほかの豆の多くは糖質が主成分。 Q.「もやしっ子」という表現で使われるように、もやしには栄養がない? A. × 豆類や種子を暗い所で発芽させたものを総称して「もやし」という。「もやしっ子」というのは、日陰でひょろひょろっと育つところからマイナスイメージで使われることが多いが、もやし自体は、実は栄養に富んだ食品である。種子にはほとんど含まれていなかったビタミンCが発芽によって増えるし、そのほかに、ビタミンB1、B2、カルシウム、鉄、食物繊維などの栄養素も備えている。 もやしの種類には、大豆もやし、緑豆もやし、アルファルファなどがある。 Q. 枝豆は、大豆を若いうちに収穫したものである A. ○ 枝豆は、大豆になる前に枝ごと収穫したもの。だから、大豆と同様にたんぱく質が豊富である。また、ビタミンA、B1、B2、カルシウムも多く、大豆には含まれていないビタミンCがたくさん含まれているのも特徴である。また、ビタミンB1、Cはアルコールの分解を助け、肝臓に負担を掛けないようにはたらくため、ビールのつまみとしては最高だ。ただし、消化がよくないのが難点。 Q. 大豆とごぼう。同じ100gなら、食物繊維は大豆のほうが多い A. ○ 大豆100gに含まれる食物繊維は、17.1g、ごぼうは、5.7g。大豆のほうが多い。大豆に含まれる食物繊維は、水溶性:不溶性=10.5%:89.5%で、不溶性が多く、便秘解消に効果的である。 Q. 血栓を防ぐと言われている、納豆の成分「ナットウキナーゼ」は、大豆にも含まれている A. × ナットウキナーゼは血栓を防ぐ物質として話題の物質。これは、納豆菌により合成させるもので、大豆には含まれていない。ちなみにこの名称は、心筋梗塞や脳梗塞の治療に使われる血栓溶解剤、ウロキナーゼにちなんでつけられたとか。 公開日:2001年11月26日
そのまま食べるという手もありますが、大豆は加工食品も豊富にあります。豆を食べるのに飽きたら、ほかの食品も食べてみましょう。大豆を使ったレシピや、家庭でできる豆腐づくりについてもご紹介します。 目次 大豆を使った製品はいろいろ こんなレシピで食べてみよう 豆腐づくりにチャレンジ! 大豆を使った製品はいろいろ ●納豆 蒸し煮した大豆に納豆菌を植え付けて容器に入れ、適温で熟成させたもの。大豆をそのまま食べられ、しかも大豆より消化吸収がよい。発酵途中で生まれるグルタミン酸のおかげで、大豆にはないうまみ成分が納豆にはある。 ●豆腐 大豆加工食品の代表。特に、豆腐を作る過程でできる豆乳は、大豆の栄養素をほとんど受け継いでいる。ちょっと固い木綿豆腐は、水分が少ない分重量当たりの栄養価は高くなり、カルシウムや鉄などのミネラル類も豊富。一方、絹ごし豆腐は、豆乳をそのまま固めるため、水溶性のビタミンB1などは木綿豆腐より多い。 ●生揚げ 豆腐を揚げて加工したもの。木綿豆腐が使われている。揚げてあるため、さらに煮たり焼いたりしてもうまみが逃げず、調理しやすい食品のひとつ。 ●凍り豆腐 高野豆腐とも言われる。豆腐を低温で凍らせ、解凍・脱水し、乾燥させたもの。豆腐と同様、ミネラルが豊富で、消化がいいのが特徴。 ●おから 豆乳のしぼりかすだが、たんぱく質は2割ほど残っている。別名「卯の花」「雪花菜(きらず)」と呼ばれることも。 ●湯葉 豆乳を温め、表面にできた黄色い皮膜を棒ですくい、乾燥させたものが湯葉。たんぱく質と脂質が凝集し、煮物や吸い物など幅広く使える。 ●枝豆 加工食品ではないが、枝豆を収穫しないでおくと大豆になる。枝豆は、大豆と同様にたんぱく質が豊富で、大豆にはないビタミンCが含まれているのが特徴。 こんなレシピで食べてみよう 豆というと、五目煮などが王道。でも、もうちょっと別の食べ方をしてみたい時におすすめのレシピ。大豆の意外な味にちょっとびっくり!? 洋風に食べるには…大豆グラタン ■材料(4人分) 大豆1カップ+水3カップ、ベーコン30g、タマネギ1/2個、固形スープのもと1個、ピザ用チーズ(とろけるタイプのもの)適宜 ■作り方 大豆を水につけ、1晩おく。そのまま火にかけ、ふきこぼれないようにふたの間に箸をはさみ、こまめにアクを取りながら煮る。 豆だけを取りだし、ひたひたの水と固形スープのもとを入れ、10分ほど煮る。 ベーコン、タマネギはみじん切りにし、フライパンで炒める。 2と3を合わせて耐熱皿に入れ、上にピザ用チーズをかけてオーブンかオーブントースターでこんがりするまで焼く。 こんなコロッケ見たことある?…大豆コロッケ ■材料(4人分) 大豆(ゆで)400g、豚ひき肉 200g、タマネギ1/2個、バター大さじ1、生クリーム大さじ4、塩、こしょう、衣(小麦粉、卵、パン粉) ■作り方 大豆は水気を切ってフードプロセッサーか、すり鉢ですりつぶす。 タマネギをみじん切りにしてバターで炒め、さらにひき肉を加えていため、塩、こしょう少々で味付けする。 1と2を混ぜ、生クリームを加え、塩、こしょう少々で味付けし、よく混ぜる。 適当な大きさの俵型にし、小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけ、180度の油でからっと揚げる。 豆腐づくりにチャレンジ! 家庭で豆腐を作れば、豆乳やおからを味わうこともできる。専用の道具がなくてもボールがあればOK! ■材料 大豆300g、にがり大さじ1 ※にがりとは、豆乳に加えて固める凝固剤のこと。天然にがりは、海水を煮詰めて塩の結晶を作り出す過程でできる液体で、主成分は塩化マグネシウム。自然食品店や薬局、デパートなどで手に入る。 ■作り方 大豆は洗って約3倍の水に1晩つけておく。 大豆をミキサーにかけ、すりつぶす。つけておいた水も一緒に。 大きめの鍋に水5カップを煮立てて2を入れる。煮立ってきたら、弱火で5~6分煮る。こがさないように。 ボールの上にガーゼを敷き、3をあけて絞る。絞ったカスがおからで汁が豆乳。 にがりをぬるま湯で溶かしておく。豆乳を鍋に戻し、70度前後まで温め、にがりを2~3回に分けて入れる。 にがりをすべて入れたら、10~15分おく。ふきんを敷いたざるにすくい入れる。 ふきんで全体を包み、平らな皿にのせ、800gくらいの重しをして15~30分おく。 ふきんを取り、できあがった豆腐をたっぷりの水に30分ほどさらしてできあがり! 公開日:2001年11月26日
世界一健康だったはずの日本人が… 男女とも世界一の平均寿命を誇り、「健康大国」といわれて久しい日本。ところが今、その実態に黄色信号が点滅中だ。 厚生労働省は2000年に国民の健康づくり計画「健康日本21」を設け、日本人の食生活や運動量、がん患者の数などを改善しようと70項目について目標値を決め、2010年までの達成を目指した。 しかし、厚生労働省で発足当初の数値と昨年5月までにわかった数値を比較したところ、20~60歳代男性の肥満の割合や、多量に飲酒する人の割合などの項目で、目標値に近づくどころか逆に悪化しているケースがみられた。この結果を受けて、厚生労働省では目標値の見直しも含めた計画の再検討を迫られている。 健康日本21のおもな目標と実数値 項目 目標値 2000年(策定時) 2003年(暫定値) 肥満者の割合(20~60歳代男性) 15%以下24.3%29.5% 日常生活での歩数 【男性】 9200歩以上 8202歩 7575歩 【女性】 8300歩以上7282歩6821歩 多量に飲酒する人の割合 【男性】 3.2%以下4.1%5.3% 【女性】 0.2%以下0.3%0.8% ストレスを感じた人の割合 49%以下54.6%62.2% 自分の体に無頓着だったり、忙しさのあまり健康管理が後回しになったりしている私たち。このままいくと、「不健康大国」に転落してしまう日が来るかもしれない。 数値&セルフモニタリングで、あなたのカラダがわかる 健康診断の結果には、あなたの体の真実がぎっしりつまっている。再度じっくりとチェックし、問題点がないか確認してみよう。その際、生活習慣などについて簡単なセルフモニタリングを行うと、より改善点を発見しやすい。 カラダチェック! 1 空腹時血糖が110mg/dL以上 (基準値109mg/dL以下) 2ヘモグロビンA1Cが5.9%以上(基準値5.8%以下) 3収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上(基準値90~139mmHg) 4拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上(基準値89mmHg以下) 5総コレステロールが220mg/dL以上(基準値140~219mg/dL) 6LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dL以上(基準値70~139mg/dL) 7HDLコレステロール(善玉コレステロール)が39mg/dL以下(基準値40~99mg/dL) 8中性脂肪が150mg/dL以上(基準値30~149mg/dL) 9塩辛い食べものが好き 10喫煙している 11毎日がストレスでいっぱいだ 12BMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))が25以上ある 13肉類中心の食生活で、野菜はほとんど食べない 14外食が多く、食事の時間も不規則 15アルコールを飲む機会が多い 16定期的に運動していない。運動が嫌い 1740代以降である 18(男性の場合)以前に比べ、尿の出が悪くなった。トイレが近くなった 19(女性の場合)イライラしたり、急にのぼせたりすることがある 20(女性の場合)閉経している 結果はこちら! ●1~11にチェックが入ったあなたは… 高血糖、高血圧、高脂血の疑いアリ。血液が流れにくくなり、血管を傷めつけている可能性も…。さっそく食事内容や生活習慣の見直しが必要だ。ドロドロ血対策&ボロボロ血管対策へGO! ドロドロ血&ボロボロ血管対策は、お早めに ●12~16にチェックが入ったあなたは… 肥満の疑いアリ。特に内臓型肥満は生活習慣病と関係が深いことから、「メタボリックシンドローム」という新しい診断基準も設けられた。この春こそダイエット成功を目指すなら、肥満対策へ。 これでスッキリ!肥満&ホルモン系のトラブル ●17~20にチェックが入ったあなたは… 男性も女性も、中高年になるとそれぞれ特有のトラブルが見られることもある。鍵を握っているのは、ホルモンバランスの乱れだ。心当たりのある人は、男性&女性特有の悩み対策へどうぞ。 これでスッキリ!肥満&ホルモン系のトラブル
三大死因の2位・3位は血液&血管の不調によるもの 私たちの体の中にある血管をすべてつなげると、およそ9万キロメートル。地球を2周する長さに匹敵するともいわれている。この長い血管の中を血液が流れ、全身の細胞に酸素や栄養素を送り届け、不要になった二酸化炭素や老廃物を回収している。 血液がサラサラと流れてくれればいいのだが、栄養過剰やストレスが原因で、血液の中に余分な糖や脂肪、たんぱく質が残ってしまうと、赤血球同士、あるいは血小板同士をくっつかせ、流れにくくなる。これがドロドロ血の正体だ。 いっぽう、血管自体も年齢とともに弾力を失っていく。そこをドロドロ血が無理やり通っていくので、絶えず圧力が加わり、血管内壁に傷がつく。傷口から悪玉コレステロールが入り込み、血管内を狭くしたり、血管そのものを固くしたりして、動脈硬化が起こる。 日本人の三大死因は、がん、心疾患、脳卒中の順となっているが、2位と3位の心疾患と脳卒中の原因は動脈硬化であることが多い。 ドロドロ血&ボロボロ血管は、つねにセットで考えるべき問題。命に関わる大事態を招く前に、自分の力で血液と血管の健康を取り戻そう。 対策のポイント:毎日欠かさず「サ・カ・ナ・ス・キ・ヤ・ネ」 サラサラ血液を手に入れるためには、やはり食生活の見直しが欠かせない。「何を今さら…」と言うなかれ。あなたの命を守るのは、毎日のほんの小さな積み重ね以外にないのだから。 サラサラ成分とよばれるものはいくつかあるが、まずは細かいことにこだわらず、どんな食材を食べたらいいのかを知っておきたい。例えば「サ・カ・ナ・ス・キ・ヤ・ネ」と覚え、各食材を毎日欠かさず食べることを目標にしてみよう。 食材 サラサラ成分 はたらき 魚 IPA(特に青魚に含まれる) 血液の凝集を抑え、血栓予防 海草 アルギン酸 血糖値やコレステロールを下げる 納豆 納豆キナーゼ 血栓を溶かす 酢 クエン酸 血中老廃物の排出を促し、赤血球の膜をしなやかに キノコ類 β-グルカン 血糖値やコレステロール値を下げる 野菜類 食物繊維、 ビタミンA、C、E コレステロールの吸収抑制。 血管を丈夫にする ネギ類 アルキルチオス リフィネート類 血液の凝集を抑え、血栓予防 大豆がサポート! 血液&血管の健康に活躍 大豆イソフラボンは、血中コレステロール値や血圧を低く抑えることが実験によって立証されているが、さらに悪玉コレステロール(LDL)の低下にもはたらきかけることがわかってきた。大豆イソフラボンは肝臓の細胞にある悪玉コレステロールの受け皿(受容体)をつくる遺伝子のはたらきを活性化するため、血液中の悪玉コレステロールが効率よく肝臓に取り込まれ、スムーズに処理されるというのだ。 また、イソフラボンは血栓抑制にも関わるのではないかとの説もある。血管の一番内側にある細胞を内皮細胞といい、内皮細胞では一酸化窒素という物質がつくられている。一酸化窒素は血管を広げ、血栓をつくるのを防ぐ役割があるが、動物実験によって、大豆イソフラボンが一酸化窒素を作らせる遺伝子のはたらきを高めることがわかった。人体にも有効なのかどうか、研究が進められている。
そのお腹、ボチボチなんとかしなきゃ!肥満は万病のモト 働き盛りの男性を中心に、日本でも肥満が大きな問題となりつつある。特にウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上ある人は要注意。空腹時血糖値、中性脂肪値、善玉コレステロール、血圧などの条件がふたつ以上あてはまれば、メタボリックシンドロームに該当し、動脈硬化のリスクが一気に跳ね上がってしまう。 また内臓脂肪そのものがさまざまな物質を分泌し、血管を詰まりやすくさせたり、インスリンのはたらきを妨げて血糖をだぶつかせたり、血圧を上げたり、血中脂質を増やすなど、血液や血管にダメージを与えることがわかっている。 メタボリックシンドロームの条件 ウエスト周囲径 男性 ≧ 85cm 女性 ≧ 90cm (内臓脂肪の面積は、男女とも100cm2に相当する) これに加え、以下のうち2項目以上が当てはまること 中性脂肪≧ 150mg/dL かつ/または HDLコレステロール<40mg/dL 収縮期血圧(最大値)≧ 130mmHg かつ/または 拡張期血圧(最小値)≧85mmHg 空腹時血糖値≧ 110mg/dL 対策のポイント:脂質のとり過ぎを改め、こまめに動くこと 【食事の改善】+【運動】の2本立てが原則。食事の改善では、1日の総摂取エネルギーを1,200~1,800kcalに抑えるとともに、脂質をとり過ぎないように心がけよう。国民栄養調査によると、過去40年間の平均エネルギー摂取量は横ばいか低下しているのに対し、総摂取エネルギーに占める脂質由来のエネルギー量は年々増加しており、肥満との関係が指摘されている。 中年以降の基礎代謝量低下に歯止めをかけるのが運動だ。腹筋運動やスクワットなら、自宅でも筋肉トレーニングができる。また通勤途中にひと駅歩けば、立派な有酸素運動に。 ダイエットに近道なし!地道に励んで、健康な体を手に入れて欲しい。 男と女…ホルモンバランスを保つには!? 前立腺は男性の膀胱と尿道のつなぎ目にあり、尿道を取り囲んでいるクルミ大の臓器。前立腺の組織がコブのように大きくなる前立腺肥大症は、50歳代男性の60%、70歳代では90%が該当するともいわれているポピュラーな症状。原因は前立腺に大量に含まれるテストステロンという男性ホルモンと、そのはたらきを抑制する生体調節ホルモン・プロスタグランジンのバランスが崩れることと考えられている。前立腺がんは前立腺肥大症とは別のもので、原因は、加齢に伴う女性ホルモン分泌の減少にあるのではないかといわれている。 いっぽう女性の場合も、50歳前後に閉経期を迎えると急速にエストロゲンという女性ホルモンの分泌が減少するため、体全体のバランスが乱れ、ほてり、のぼせ、イライラなどの不定愁訴がみられるが、こうした症状を更年期障害と呼んでいる。また、エストロゲンは骨形成にも関わっているため、閉経後、骨密度が急速に低下していくことも指摘されている。 対策のポイント:ホルモンバランスにはたらきかける食材を 前立腺肥大には、男性ホルモンの代謝に関わる亜鉛を補いたい。亜鉛はカキ、レバー、うなぎなどの食材に豊富に含まれている。尿が出にくいときには、カリウムを多く含んだスイカやトウガンなどの果物・野菜がおすすめ。 前立腺がんや更年期障害は、女性ホルモンとの関係が指摘されている。ポリフェノールの一種・イソフラボンは、体内でエストロゲンと似たはたらきをすることで知られ、大豆や大豆製品に多く含まれている。 大豆がサポート!男性&女性特有のトラブルや肥満解消にも役立つ!? 体内で女性ホルモン・エストロゲンに似た作用を持つ大豆イソフラボン。更年期障害のトラブルにはたらきかけるだけでなく、男性の場合も中年以降に増えてくる前立腺がんの進行をくいとめるのではないかといわれている。 おもしろいことに、大豆イソフラボンはエストロゲン不足をカバーするだけでなく、エストロゲンの作用が強すぎる場合にバランスをとるようなはたらきもあるとか。乳がんはエストロゲンが過剰にはたらき過ぎて起こると考えられている病気だが、日本や中国など、大豆製品を食べる国の女性の乳がんの死亡率は欧米に比べて低く抑えられている。この原因として、エストロゲンが結合するはずの受容体に、先にイソフラボンが取り付いてブロックしてしまうためではないかと考えられている。 さらに脂肪沈着抑制にはたらきかけるのではないかとして、注目を集めている。卵巣を摘出し、腹部に脂肪がついたラットに大豆イソフラボンの一種・ダイズインやグリシチンを与えたところ、脂肪沈着の抑制作用が見られたという。人に対する有効性についても、現在研究中だ。
男性ホルモンが多いとか少ないとか、女性ホルモンが足りないとか…。あなたは、ふだんの生活の中で口にすることがあるだろうか?いつも体内をめぐっているものでありながら、あまり意識することのなかった男性ホルモン・女性ホルモン。それが近ごろ、美容と健康の両面から話題を集めている。なかでも気になるのが、前立腺肥大や更年期障害、骨粗しょう症といった病気への影響。男性ホルモン・女性ホルモンは、健康に過ごす上で見逃せない大切なポイントのひとつだったのだ。 男性ホルモンと女性ホルモン 「男性ホルモン」「女性ホルモン」が、体内でどんなはたらきをしているかを見てみよう。 男性ホルモンのはたらき 男性特有の筋肉質な体のラインにする たんぱく質を筋肉や内臓に変える助けをする 皮脂の分泌を促す 体毛の発育を促す 性欲を高める 女性ホルモンのはたらき 女性特有の丸みをおびた体のラインにする 女性の生理や妊娠をコントロールする 肌や髪を美しく保つ 骨を丈夫にする 自律神経を安定させる 記憶力を保つ 食欲を抑制する 「男性ホルモン」「女性ホルモン」は、男性・女性それぞれ特有の体格や体質づくりばかりでなく、他にもさまざまなはたらきをしている。特に皮脂の分泌を促す、記憶力を保つといったはたらきは、性別を超えて見逃せない大切な役割と言えるだろう。実際に、男性のカラダの中でも女性ホルモンが、女性のカラダの中でも男性ホルモンがつくられ、分泌されているのだ。 もちろん量は大きく違う。男性の体内でつくられる女性ホルモン量は女性の約半分。女性の体内で一生の間につくられる女性ホルモン量がスプーン1杯程度といわれているから、男性は一生でスプーン半分くらいといったところだろう。 一方、女性の体内でつくられる男性ホルモン量は男性の約1/10。健康な男子が1日に分泌する男性ホルモン量は約7mgといわれるので、1日約0.7mg程度の計算になる。 量はごくごくわずかだが、男女ともに、両方のホルモンが必要とされ、つくりだされているのだ。また、こんなわずかな量で、記憶力を保つはたらきまでこなすのだから、その影響力は実に大きい。 女性ホルモンとともに注目される“イソフラボン”とは? 性別を超えて、誰もが必要とする男性ホルモンと女性ホルモン。その中でも熱い話題となっているのが、女性ホルモンだろう。女性ホルモンは当初、肌や髪を美しく保つはたらきから美容界で脚光を集め、医学界では更年期障害の治療法のひとつとして注目されるなど、女性への効能に着目されることが多かった。だが、研究が進むにつれて、前立腺肥大といった男性特有の病気に対しても良い影響があることがわかり、さらにはがんや高血圧といった生活習慣病にも好影響があることがわかってきている。 その一方で、ホルモンそのものを投与することのカラダへの影響の大きさから、より自然な形で女性ホルモンのはたらきを体内に取り込む、つまり女性ホルモンに似たはたらきをする食べ物などを積極的に摂ることで、女性ホルモンのはたらきを助ける方向に、考え方がシフトしてきている。 実際、大豆や葛の根、クローバーなどには女性ホルモンに似たはたらきをする成分が含まれていることがわかっている。なかでも、ふだんよく口にする大豆に含まれている女性ホルモン様成分「大豆イソフラボン」は、身近さの点からも注目され、人気を集めている。また、研究も進み、大豆イソフラボンの健康への好影響もいろいろ解明されてきている。
美と健康の救世主!?…女性の場合 肌のうるおいやハリを保ち、美しさを保つとされ、化粧品にも使われている大豆イソフラボン。実際、大豆イソフラボンを摂ると、メラニンの生成を抑える効果があるなど、美しさへの貢献度は高いようだ。 また、健康面でも注目度は高い。更年期障害による顔のほてりといった諸症状の改善をはじめ、閉経後の女性に多い骨粗しょう症の緩和、さらには乳がんの発生を抑制するはたらきがあるとされ、熱い期待を集めている。 なかでも乳がんについては、日本女性2万人を対象にした調査で、大豆イソフラボンを多く摂ったグループの乳がん発生率は、他のグループに比べて約54%も少なかったという驚くべき結果も報告されている。 通風や男性特有のがんにも効果!?…男性の場合 女性の美と健康への効能が大きく取り沙汰され、女性だけのものといったイメージが強いが、男性の健康に対しての効果が今、見直されてきている。 そのひとつが、前立腺肥大・前立腺がんの抑制効果だ。これはご存知の通り、男性特有の病気で、ホルモン依存性のがんといわれている。これに対して、女性ホルモンと似たはたらきをする大豆イソフラボンが効果を発揮し、発生を抑制するというのだ。 また、患者の90%以上が男性とされる痛風も、大豆イソフラボンを積極的に摂ることで抑制されるのではないかといわれている。 生活習慣病の分野でも熱い期待 高血圧、動脈硬化、がん…。男女の別なく増え続ける生活習慣病の治療と予防の現場でも今、注目を集めているのが大豆イソフラボンだ。 このキッカケとなったのは、日本では女性の更年期障害や骨粗しょう症などが比較的軽く、心筋梗塞などの心臓疾患も少なく、世界一の長寿国であることから、欧米の医学者が日本の伝統食を研究しはじめたことにあるとされている。そして1999年には、米国のFDA(食品医薬品局)が『大豆たんぱく質は心臓病の予防に役立つ』という健康表示を承認。大豆の、ひいては大豆イソフラボンの健康への効果が脚光をあびることになったのだ。 その後、高血圧やコレステロールなどに関するさまざまな研究成果が発表され、生活習慣病の予防のためにも、大豆イソフラボンを積極的に摂る生活が薦められている。なかでも現段階で、効果のほどが着目されているのが、コレステロールと血圧に対する影響。 脂質などの摂り過ぎによって、血液中のコレステロール値が高い状態が長く続くと、動脈硬化などの疾患を招きがち。ところが、大豆イソフラボンを1日約40mg摂る生活を4週間続けたところ、グラフのようにコレステロール値を低く抑えることができたと実験でも実証されている。 また、同様の実験では、血圧も変化。血圧を低く抑えることができることがわかっている。 今後ますます研究がすすめば、さらに大豆イソフラボンの生活習慣病への好影響が実証されていくのかもしれない。
「大豆食といえば日本!」は昔話? 毎食、おみそ汁を食べていますか? 毎日、お豆腐や納豆が食卓に並びますか? 今日、いくつ大豆食品を食べましたか? あなたの答えはどうだろう?毎日3食のなかで、どれだけの大豆食品を摂っているか、おぼろげながら自覚してもらえただろうか? かつての伝統的な食生活では、豆腐に納豆、おみそ汁…と大豆食品が多く、十分に大豆イソフラボンも摂取できていた日本人。それが食の洋風化が進んで久しい現代、摂取量は急激に減少してきている。グラフを見ても一目瞭然。年齢が若ければ若いほど、大豆イソフラボンの摂取量が少なくなっているのだ。 欧米が、日本の伝統食をヒントに、健康のために大豆食品を積極的に取り入れる方向になったというのに、逆に日本では減少しているというのだから、皮肉なもの。ここで、大豆大国として食を見直し、健康的な生活へともう一度、方向修正をしていこう! 積極的に、食事で摂ろう! 大豆イソフラボンを積極的に摂って健康的な生活をめざすなら、まず目標にしたいのが1日約30mgといわれている。 これは、おみそ汁なら6杯、豆腐なら1/2丁、納豆なら2パックに相当する。 日本のかつての伝統的な食生活では、難なくクリアできたであろう量だが、食の洋風化が進んだ現代ではなかなか…。ついつい弱気になりがちだが、例えば今夜は冷奴を半丁、明日の朝は納豆を2パック、その次の日は豆腐ステーキにして…と、上手に洋風化した現代の食生活に組み込んでいってみよう。 また、油揚げやがんも、厚揚げといった豆腐のバリエーションを活用するのもおすすめ。具だくさんのおみそ汁にしておかずがわりにしたり、煮物などの味付けにみそを使うといった手もありそうだ。 季節によっては、枝豆などもおいしく大豆イソフラボンが摂れる食品だ。 外食が多いビジネスマンでも、意識の持ち方で、1日1回は豆腐料理にするなどで、今よりも大豆イソフラボンの摂取量は増やしていけるのではないだろうか。 足りないと感じたら、こんなアイテム 意識して積極的に摂っても、1日約30mgは難しい…。そんな人におすすめなのが、豆乳。グラス1杯ほどで1日に摂りたい大豆イソフラボン量が摂れるスグレモノ。飲むだけだから、時間も手間もかからないと、いいことづくめだ。 だが、豆乳は、独特の青くさいニオイのために、苦手とする人も少なくないようだ。そんな人のためのサポートアイテムも、最近は多く出回っている。特に飲料やサプリメントなら、摂りやすいのでおすすめ。ドリンクタイプなら、吸収性の高い水溶性のイソフラボンを使っているものを選んでみよう。 大豆イソフラボンのよいところは、あくまでも女性ホルモンと似たはたらきなので、作用が穏やかなこと。また、体内の女性ホルモンが過剰になると、そのはたらきを抑える効果もある。不足しがちなときは、賢く補っていきたい。 ただし、食事以外で摂る場合は妊娠中の女性や乳幼児は少し注意が必要。子宮内膜症や乳がんといった婦人科系疾患の治療中の女性は、かかりつけの医師と相談してから摂るのがベスト。上手に摂って、さらに一歩、健康生活を推し進めよう
更年期の体にやさしく作用するサプリメントの数々を紹介します。なかでも、大豆イソフラボンに注目です。そのほか、亜鉛、カルシウムなど、摂り方に注意しながら上手に利用しましょう。 目次 更年期の症状をやわらげる大豆イソフラボン 見逃せないビタミン&ミネラル こんなサプリメントもおすすめ! 診察を受けるときは医師にも相談を! 更年期の症状をやわらげる大豆イソフラボン 大豆イソフラボンは、更年期の症状をやわらげるとして注目されています。また、血管を詰まりにくくして心筋梗塞などを予防するとして話題を呼んでいます。 イソフラボンとは、大豆の胚芽に多く含まれるポリフェノールの一種です。その構造は、更年期障害の原因となる女性ホルモン「エストロゲン」とよく似ており、体内に摂取されるとエストロゲンと同じようなはたらきをします。つまり、ホルモン補充療法と同じように、更年期で激減したエストロゲンを補うカタチになります。このため、顔がほてる、大汗をかくなどの更年期障害特有の症状が緩和されることがわかっています。 また、体内のエストロゲンは、悪玉コレステロールを減らし、血管を広げて詰まりにくくするはたらきがあります。こうしたはたらきもイソフラボンが肩代わりしてくれるため、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞といった血管系の病気を防ぐことができるようです。 エストロゲンのもうひとつの特長である、骨からカルシウムが溶け出すのを抑え、骨量を調整するはたらきもしかり。イソフラボンにも同様の作用が期待できるので、閉経後の女性に多い骨粗しょう症までも抑える効果が期待できるようです。 これらの作用から、乳がんや、男性の前立腺がんをはじめ、さまざまながんの発生を抑える効果があることもわかっています。 ちなみに効果が高ければ、気になるのが副作用ですが、イソフラボンの効果は、体内のエストロゲンより弱く、全体としてはエストロゲンの作用が弱まるため、副作用はないと考えられています。つまり、ホルモン補充療法で懸念されているがん発生率を高めるといった心配はなさそうだということです。 ただ、摂取するときは慎重に。婦人科系の病気を持っている人は必ず医師に相談してから摂るようにしましょう。また、ほかのサプリメントと併用するときにも裏面の注意事項をしっかりチェックします。 上手に摂れば、更年期を快適に過ごす名サポーターになりそうな大豆イソフラボン。だからこそ、摂り方に注意しながら、上手に利用していきましょう。 見逃せないビタミン&ミネラル 更年期には、亜鉛、カルシウム、ビタミンEの効果も見逃せません。 亜鉛はホルモンのバランスを整えるはたらきがあります。女性の場合は、亜鉛が不足すると女性ホルモンのはたらきが悪くなったり月経異常を引き起こしかねません。更年期ともなれば、亜鉛不足がホルモンバランスをいっそう乱れさせて症状を悪化させてしまうことにもつながります。 また、男性の場合でも、亜鉛不足は深刻です。亜鉛は前立腺に多くあり、性ホルモンの合成をサポートして、精子を作ったり、精子の運動を活発にします。不足すれば、推して知るべし、です。 カルシウムは、ご存知の通り、骨や歯を作る原料となります。特に女性の場合は、更年期のエストロゲンの減少をきっかけに、骨粗しょう症や骨軟化症の可能性が高まるのでカルシウムは積極的に摂りたいものです。また、カルシウムが不足すると、高血圧症や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病を促進させるとも言われています。 数あるビタミンのなかでも、更年期に注目したいのはビタミンEです。これは女性ホルモンに似たはたらきがあり、ホルモン分泌のコントロールをサポートします。さらに、細胞の老化を抑え、手足などの血行をよくするはたらきもあるのです。 こんなサプリメントもおすすめ! ちょっと変わったところでは、次のようなサプリメントも更年期におすすめです。 カヴァカヴァ 別名「カバ」とも呼ばれるコショウ科の植物で、臨床的な研究では更年期障害による不安感などの改善に効果が認められています。これはカヴァカヴァに中枢神経をリラックスさせる効果があるためで、欧米では不安や不眠の解消によく利用されているサプリメントです。更年期でこうした神経質な面が出てきたら、試してみる価値がありそうです。特に、ストレスなどの心理的要因が大きい男性の更年期障害には効果的かもしれません。ただし、中枢神経に作用するので、摂取の方法には気をつけましょう。 ザクロ 大豆イソフラボンのように、女性ホルモン「エストロゲン」と同様の分子構造を持つ食品のひとつです。体内でエストロゲンと同じようにはたらくため、更年期の症状をやわらげたり、ハリのある肌や髪を保ち、骨を丈夫に保つ効果が期待できます。また、無理なダイエットなどで更年期に似た症状が見られる若年性更年期や生理不順にも効果的だとされています。 当帰(とうき) 英名「チャイニーズ・アンジェリカ」。中国では古くから女性の強壮に使われてきた漢方生薬で、体を温め、血行を促し、女性ホルモンの分泌を正常に保つなどの効果が知られています。こうした作用から、更年期の症状をはじめ、生理痛など月経前症候群の緩和・改善、冷え性や貧血の改善・予防と、女性にはうれしい効果がいっぱい。また、免疫活性、解熱などの効果もあると言われます。 診察を受けるときは医師にも相談を! サプリメントを摂るなら、裏面の注意事項は必ずチェックを。思わぬところで、ほかのサプリメントとの併用がNGだったり、体調によっては避けたほうが良い場合があるからだ。 また、医師の診察を受ける場合は、必ず摂取しているサプリメントのことを伝えましょう。これは更年期に限りません。サプリメントには副作用がない、もしくは弱いものが多いのですが、医師の処方した薬の作用を弱めたり、逆に強めて思わぬトラブルを招くこともあります。くれぐれもご注意ください。 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 痛み+疲れ+更年期症状で退職するも社会復帰を果たした患者さんの体験記
ほとんどが輸入の大豆 納豆や豆腐の原料となる大豆は、食用油になるもの、調味料のみそ、しょうゆになるものを合わせて約500万トンも輸入されています。 日本の大豆自給率はわずが5%程度ですから、大豆製品の原料のほとんどは輸入品なのです。そこで気になるのが残留農薬です。 大豆加工品の残留農薬テスト 1995年(平成7年)に東京都消費者センターが行った大豆加工品の農薬の残留量のテストによると、納豆では16品目中、産地表示のなかったもの12品目中4品目から3.4ppm~1.0ppmの臭素が検出されました。 しかし、検出値は食品衛生法などで決められている残留基準値を超えていたものはありませんでした。とはいえ、市販されている品のすべてをテストしたわけではありません。 一方、害虫をいぶし出すために何度も臭化メチルで蒸されているのは事実なのですから、基準値を下回る結果が出たとはいえ用心するにこしたことはないでしょう。できれば国産大豆を使用したものを購入した方がより安全です。