「ヘルペス」とは、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、水ぶくれができる病気のことです。帯状疱疹、口唇ヘルペス、性器ヘルペスなど様々な種類が存在します。気になるその正体や症状について紹介します。
エイズ感染の感染経路は主に性的接触によるものとされており、性器ヘルペス感染症も同様です。性器ヘルペス感染症になると、エイズに感染する危険性が高まり、さらに、エイズ感染者が性器ヘルペス感染症を伴っている場合、ほかの人に対し感染させやすくなります。 目次 エイズの発生動向 ヘルペスとエイズに関連性は? 予防して安心な生活を エイズの発生動向 厚生労働省エイズ動向委員会によると2014年の全国の新規感染報告件数は455件とのことです。前年の報告件数は484件で29件少なくなっています。年齢でいうと、エイズ患者は20歳以上に幅広く分布し、特に30歳代、40歳代に多い傾向が続いています。 また、エイズ感染の感染経路は主に性的接触によるものとされています。同委員会の2014年のエイズ患者報告例の中で、異性間・同性間を合わせると性的接触は感染経路別内訳の83.1%を占めています。 ヘルペスとエイズに関連性は? ヘルペスは、大きく分類すると、単純ヘルペスと帯状ヘルペスに分けられますが、性器ヘルペス感染症はその単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる病気であり、主に性交渉によって感染するものです。 エイズ患者がヘルペスウイルスに感染すると、エイズウイルスによって免疫力が低下しているため、ヘルペスを発症しやすくなるだけでなく、危険度も増します。逆に、性器ヘルペスが何度も再発を繰り返すことでエイズウイルスに感染するリスクが高くなることもあります。性器ヘルペスに感染すると、粘膜に傷やただれが生じ、皮膚が弱まってしまうので、エイズウイルス以外の感染症にもかかりやすくなってしまいます。 体内にある単純ヘルペスウイルスをすべて消してしまうような治療法はまだ存在しませんが、症状の期間短縮や予防ができる有効な抗ウイルス剤があります。基本的には、抗ウイルス薬の外用薬や内服薬で治療を行いますが、ヘルペスが悪化し、全身症状、免疫不全などの重症例が出た場合には、入院しながら抗ウイルス薬の点滴静脈治療を行います。また、現在ではエイズウイルスに感染しても、エイズ発症を抑え、健康を維持することが可能になっています。 単純ヘルペスウイルスに感染しているかどうか自分で気づいていない人たちも多く、そのため性交渉におけるヘルペスとエイズの相互的な関係は複雑化しています。 予防して安心な生活を ヘルペスの感染能力は非常に高いため間接的な接触でも感染してしまう場合もあります。手指などを介しての感染や、タオルや便座・食器などを介しての感染もありえます。つまり、感染源は「患部に触れたものはすべて」ということです。 しかし、タオルや食器などを介する際における感染能力の持続性は低いため、洗浄・洗濯後に感染能力は消滅します。発症が確認された場合には、タオルなど患部に触れるものの共有はしないようにしましょう。 性器ヘルペス感染症やエイズに感染する可能性を低くするためには、性交渉時にコンドームを正しく使用することが大切です。もし感染したとしても、処置が早ければ早いほど、症状は軽く済みます。少しでも症状が出た場合には、すぐに医師に相談しましょう。 ■関連記事 要注意!新生児のヘルペス もしヘルペスにかかったらどうしよう? 原因は、症状は?ヘルペスはこんな病気 公開日:2016/10/31
HIVウイルスに感染すると、免疫機能が低下し、さまざまな病気を発症するようになります。HIVウイルスへの感染と関係が深いといわれているのが、「単純ヘルペス2型」ウイルスです。お互いに感染しやすくなるといわれています。 目次 HIVウイルスって?ヘルペスウイルスとの関係性もある? 互いに影響しあうHIVウイルスとヘルペスウイルス 予防・早期発見を心がけよう HIVウイルスって?ヘルペスウイルスとの関係性もある? 世界中で多くの死者を出しているAIDS。この病気は、「HIV」ウイルスに感染することで発症します。 「HIV」とは、「Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)」を指し、このウイルスがリンパ球やマクロファージ(ともに白血球の1種)に感染すると、免疫機能が低下し、さまざまな病気を発症するようになります。この病気の状態が「AIDS(Acquired Immuno-Dediciency Syndrome)」(後天性免疫不全症候群)です。 近年では、治療薬の開発が進み、早期に服薬治療を受ければ、免疫力を落とすことなく、通常の生活を送ることもできるようになってきています。しかし、いまだに深刻な感染症のひとつであることに変わりはなく、感染の予防は重大な課題となっています。 このHIVの主な感染経路には、「性的感染」「血液感染」「母子感染」が挙げられます。 「性的感染」で最も多いのは、性行為による感染です。「血液感染」は、輸血や注射器、医療現場での針刺し事故などから、感染者の血液が他者の血管中に侵入することにより起こります。「母子感染」は、母親がHIVに感染している場合、出産時の産道からの感染、母乳による感染、胎内感染が考えられます。 互いに影響しあうHIVウイルスとヘルペスウイルス HIVウイルスへの感染と関係が深いといわれているのが、「単純ヘルペス2型」ウイルスです。 「単純ヘルペス2型」ウイルス(HSV-2)は性器ヘルペスの原因となるウイルスで、主に性交渉により感染し、極めて高い感染力を持っています。同じ「ヘルペス」ウイルスでも、帯状疱疹を発症させるウイルス(VZV)とは種類の異なるものです。 そして、HSV-2とHIVは互いに影響を与えあうことが分かっています。 HSV-2は、HIV感染者の60~90%が感染しており、HSV-2に感染すると、HIVへの感染率も高くなります(WHO Herpes simplex virus Fact sheet N400 2015より)。これは、性器ヘルペスを発症していると、性器の炎症部分からHIVウイルスに感染しやすくなるため、と考えられます。 また反対に、HIVへの感染がHSV-2の発症の原因となることもあります。HIV感染したことによる免疫不全が原因で、性器ヘルペスの再発のサイクルが短くなり、頻繁に発症するようになります。 予防・早期発見を心がけよう HIV(エイズウイルス)、ヘルペスウイルスのどちらに感染していても、お互いに感染しやすくなってしまいます。HIVはコンドームなしの性行為で感染することが多いと言われています。そして、性器ヘルペスも主に性行為で感染します。セックスの相手の性器にできていたヘルペスだけでなく、口唇ヘルペスのウイルスがオーラルセックスなどで性器に感染し、性器ヘルペスを発症することもあります。 現在では、体の中にあるHIVを完全に取り除くことはできません。ただ、さまざまな治療薬の開発により、体内にいるHIVの増殖を抑え、免疫力を維持することは可能になっています。たとえ感染しても、適切な治療を継続して行えば、普通の生活を送ることもできるようになっています。ただし、これには、早期発見することが大切です。エイズ発症後では、治療はかなり難しくなります。HIVの検査は、全国の保健所で「匿名」「無料」で受けることができるので、少しでも疑いがあったら、検査を受けるようにしましょう。 ■関連記事 要注意!新生児のヘルペス もしヘルペスにかかったらどうしよう? 原因は、症状は?ヘルペスはこんな病気 公開日:2016/08/29
ヘルペスは母子間で感染することがあります。大人にとってはそれほど重症にはならないヘルペスですが、赤ちゃんが感染すると、皮膚が柔らかく、かきむしってしまったりして、症状がひどくなる場合もあります。母子間でヘルペスがどのように感染してしまうのでしょうか。 目次 母子感染に気を付けたいヘルペスウイルス 授乳で感染する場合も 赤ちゃんのヘルペスの症状とは 母子感染に気を付けたいヘルペスウイルス ウイルスが体の中に潜伏し、体調が悪くなると発症するヘルペス。普段ならそれほど深刻に考えないものですが、赤ちゃんを育てているお母さんにとっては心配なものです。 ヘルペスは母子間で感染することもあります。大人にとってはそれほど重症にはならないヘルペスですが、赤ちゃんに感染した場合は、皮膚が柔らかく、かきむしってしまったりして、症状がひどくなる場合もあります。 このため、赤ちゃんにはヘルペスがうつらないように、できる限りの注意をしたいものです。それでは、母子間でのヘルペスの感染はどのようにして起こってしまうのでしょうか。 授乳で感染する場合も 単純ヘルペスウイルスは、母乳を通じて感染した例も報告されていて、感染の可能性がまったくないとは言えません。特に重症の場合には、ウイルスが母乳に存在する場合もあります。 とはいえ、通常はこのような可能性は低いと考えられており、絶対に授乳してはいけないということはありません。心配な場合は医師に相談するのがよいでしょう。 母乳からの感染よりも気をつけたいのは、患部への接触による感染です。キスや頬ずりはもちろん、ヘルペスに触った手で赤ちゃんに触るだけで感染することもあります。また、感染時に使ったタオル・食器の共有なども避けた方がいいです。お母さんがヘルペスを発症しているときは、赤ちゃんになるべく触れないように注意し、もし赤ちゃんと触れ合うのであれば手をよく洗うようにしましょう。 赤ちゃんのヘルペスの症状とは ここで、赤ちゃんにヘルペスが感染したときの、症状について紹介します。 ヘルペスウイルスに初めて感染した乳幼児に最も多い症状が「ヘルペス性歯肉口内炎」です。急に高熱が出て、口の中に水疱ができたり、歯茎が腫れ上がって出血したりすることもあります。赤ちゃんの場合は脱水症状を起こしやすいため、重症の場合には入院して点滴治療を行う必要があります。 また、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんがヘルペスに感染した場合は、皮膚の抵抗力が弱いため重症化しやすくなっています。このようなときに、赤ちゃんが患部をひっかいてしまうと、さらにほかの場所にも感染が広がってしまうため、注意が必要です。 ウイルスのついた手で目を触ってしまうなどして、ウイルスが目に入ると「ヘルペス性角膜炎」を起こす可能性もあります。ヘルペス性角膜炎は、再発を繰り返すと視力障害が残ったり、角膜が薄くなって穿孔(せんこう)したりすることもあるため、赤ちゃんが患部を触った手で目を触らないように、注意してみてあげましょう。 単純ヘルペスの場合には、放っておけば2週間くらいでかさぶたになり、ポロっと取れて治ります。しかし、乳幼児の場合は、皮膚が柔らかくて敏感なので、放置しておくと、それがシミのような跡になってしまうこともあります。それを防ぐには、抗ウイルス薬やぬり薬を処方してもらい、早期に治療することが大切です。赤ちゃんがヘルペスにかかったかな、と思うような症状がある場合には、早めに病院を受診するようにしましょう。 ■関連記事 要注意!新生児のヘルペス もしヘルペスにかかったらどうしよう? 原因は、症状は?ヘルペスはこんな病気 公開日:2016/09/26
母親が性器ヘルペスに感染している場合、産道を介して赤ちゃんが新生児単純ヘルペスウイルス感染症になる可能性があります。新生児ヘルペスの危険性や対応方法を詳しく解説します。 目次 ありふれたウイルスが新生児に 致死率が高い新生児ヘルペス 初めての感染には特に注意 まずは母体が感染しないようにする 感染が妊娠のどの時期かにより対応が異なる 不安がある場合は医師に相談を ありふれたウイルスが新生児に ヘルペスウイルスはありふれたウイルスです。なかでも単純ヘルペスウイルスは日本人の過半数が感染しているとされています。 単純ヘルペスウイルスにも、1型と2型があり、1型は口唇ヘルペス、ヘルペス口内炎などとして症状が現れることが多く、これらは病気としてもありふれていますが、2型の場合は性器ヘルペスになることがあり、その感染者が妊婦の場合、産道を介して赤ちゃんが新生児単純ヘルペスウイルス感染症になる可能性があります。 致死率が高い新生児ヘルペス 分娩時などに新生児が感染する新生児ヘルペスは、ヘルペスウイルスが血液中に入り、さまざまな影響をもたらします。新生児ヘルペスは全身型、中枢神経型、局在型(表在型)の3つのタイプに分類され、生後数日から10日までに発症することが多いようです。 それぞれの型を説明します。全身型は全身の臓器に影響を与え、肝機能障害、呼吸障害のほか、活動量や哺乳力が低下するといった症状が現れます。脳炎を起こす中枢神経型は抗ウイルス剤の使用により、命の危険がなくなったとしても、後遺症をもたらしてしまう可能性があります。局在型は目や皮膚など、体の表面に発症します。 初めての感染には特に注意 母親が性器ヘルペスだと、必ず新生児ヘルペスにかかるというわけではありません。ただ、徳島県医師会によれば、母親がヘルペスに初めての感染だと産道感染の確率は30%から50%以上もあると考えられ、再発の場合は数%に留まります。そのため、特に初感染の場合は注意が必要です。 まずは母体が感染しないようにする このように、新生児に命の危険があり、注意すべき新生児ヘルペスですので、その感染の予防が必要になります。母体が感染しなければ、新生児が感染することはほとんどありませんので、まずはその予防に努めるべきでしょう。 性器ヘルペスは主に2型の単純ヘルペスウイルスの感染が原因となりますが、1型が性器ヘルペスの原因にならない訳ではありません。したがって、口唇ヘルペスなどからの感染で性器ヘルペスになる可能性があることを認識しておく必要があるでしょう。 感染が妊娠のどの時期かにより対応が異なる そして、もしも、妊娠中に性器ヘルペスが確認されたら、その時期が問題になります。ただちに治療したいところではあるものの、妊娠初期であれば、胎児に悪影響が出る可能性がある抗ウイルス薬は使用できません。 妊娠中期であれば抗ウイルス薬が使用できます。また、出産予定日までひと月を切ったような時期ですと、産道での感染を避けるための帝王切開を考える必要があります。 不安がある場合は医師に相談を 命に関わる新生児ヘルペスですが、赤ちゃんが感染しないよう努力することは可能です。新生児をヘルペスウイルスから守るためには、まずはお母さんが感染しているかどうかが問題になります。 症状がなくてもヘルペスウイルスに感染している可能性があるなら、産婦人科などで相談しましょう。 公開日:2016/05/23
ヘルペスは、身近にあるウイルスが原因で多くの方が感染している珍しくはない病気です。そんな身近なヘルペスは、できてしまってから薬で治療するだけでなく、普段の食事に気をつけることで発症の予防を助けることができる可能性があります。 目次 身近に潜むヘルペス 食べ物で免疫力を持続させてヘルペスを予防する ヘルペスとアルギニン 身近に潜むヘルペス ヘルペスと聞くと何か特別な病気と思われる方もいらっしゃると思います。ですが、身近にあるウイルスが原因で多くの方が感染している珍しくはない病気なのです。 例えば幼い頃多くの方が発症する水疱瘡、そして大人も発症する帯状疱疹などもヘルペスウイルスに分類されます。有名な口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどもあります。そんな身近なヘルペスは、できてしまってから薬で治療するだけでなく、普段の食事に気をつけることで発症の予防を助けることができるかもしれません。 食べ物で免疫力を持続させてヘルペスを予防する ヘルペスは体の免疫力が低下したときや何らかの刺激を受けたときに症状を発症することが多いと言われています。そのため、免疫力を高めて持続させて行くのも発症予防のひとつと言えそうです。 免疫力をアップさせるために必要な栄養素として、ビタミン類や鉄分などがあります。そのほかの栄養素に亜鉛、セレン、リコピン、フコイダン、ゴマリグナン、乳酸菌、オリゴ糖などがあります。 ビタミンAは油に溶けやすいビタミンなので、野菜炒めなどで吸収力をアップさせましょう。ビタミンAは、皮膚や粘膜の代謝を正常に保つはたらきをします。 ビタミンCは水に溶けやすい栄養素です。最近ではデトックスウォーターとして、いちごやキウイなどのフルーツとミントなどのハーブを水にいれて飲むことが流行中です。ビタミンCは免疫細胞のはたらきを高め、鉄分の吸収率を高めてくれます。鉄分は免疫細胞の殺菌能力を活性化します。 ビタミンEも、油に溶けやすいビタミンです。抗酸化作用があり皮膚の代謝を高めます。 ビタミンB2は水に溶けやすいビタミンです。不足すると口角炎や口内炎などがおこりやすくなります。しっかりと摂取すれば粘膜を正常にはたらかせます。 これらのビタミンは身近な食品に含まれていますので、積極的に摂取すれば予防の一助となりそうです。 ヘルペスとアルギニン ヘルペスと言えば、アルギニンというアミノ酸成分がクローズアップされています。アルギニンを含む食べ物として、大豆類、肉類、中でも豚ゼラチン(皮に多く含まれる)や牛肉、鶏肉、エビやマグロ、かつお節、ごまなどが挙げられます。 さまざまな説がありますが、アルギニンを摂取しすぎるとヘルペスを発症してしまうという説もあります。しかし、科学研究費助成事業研究成果報告書(平成25年6月13日)によると、アルギニンはヘルペスウイルスを不活化させるとの研究結果が報告されています。 まだ研究段階なので断定はできませんが、アルギニンを含む食べ物やサプリメントを摂取することで、ヘルペスの予防に役立つ可能性が出てきました。 アルギニンの過剰摂取は体に悪いので、適量を摂取することによって体の免疫力を高めヘルペスの発症を予防することが期待できます。また、発症してからもヘルペスを早く治す手助けとなることが期待できます。 ■関連記事 要注意!新生児のヘルペス もしヘルペスにかかったらどうしよう? 原因は、症状は?ヘルペスはこんな病気 公開日:2016/06/13
ヘルペスは性器に現れることがあり、その性器ヘルペスは男女によって症状が異なります。また、ほとんどの場合は性交渉により感染しますが、性交渉以外で感染するケースも存在します。性器ヘルペスの症状や予防法について詳しく解説します。 目次 ありふれたヘルペスウイルスが性器にも 男性と女性で症状が異なる 性交渉により感染する性器ヘルペス 性器ヘルペスに感染しないためには タオルや便座からも感染 症状に気づいたら泌尿器科や婦人科へ ありふれたヘルペスウイルスが性器にも 寝不足や疲れがたまっている時などに現れるヘルペス。ヘルペスは口の周りなどに現れるありふれた病気です。このヘルペスは単純ヘルペスウイルスに感染したことにより発症するもので、その症状は体力が低下している時などに現れやすくなります。 そしてそのヘルペスが性器に現れることがあります。単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、口の周りに現れる口唇ヘルペスは1型の場合が多く、性器ヘルペスは2型が多いものの、1型が原因の性器ヘルペスもあります。 男性と女性で症状が異なる 性器ヘルペスは男女によってその症状が異なります。男性の場合は亀頭や陰茎、大腿部、臀部、直腸粘膜や肛門周辺で、痛みやかゆみ、赤い発疹や水ぶくれができたり、発熱することもあります。そして、女性の場合は外陰部や膣入り口付近の場合が多く、ほかに臀部や子宮頚部にも赤い発疹や水ぶくれ、ただれなどの症状が現れることがあります。 そして、一般にヘルペスは初めての感染時に強い症状が現れ、性器ヘルペスの場合、男性では尿道にも症状が現れることがあり、また、倦怠感、リンパ節の膨張が見られることもあります。 女性では排尿困難、歩行困難になってしまうこともあり、妊娠時であれば、胎児が新生児ヘルペスになってしまう危険性もあるので、注意が必要です。 性交渉により感染する性器ヘルペス 性器ヘルペスのほとんどは性交渉により感染します。性器ヘルペスに感染していると、相手にうつしてしまうことになります。したがって、自分に性器ヘルペスの症状がある時には性交渉を控えなければなりませんが、ヘルペスの場合、感染していても必ずしも症状があるとは限りません。 性器ヘルペスに感染しないためには 多くの性感染症はコンドームなどの使用により、その感染を予防することができますが、性器ヘルペスではコンドームに覆われていない部分の感染を防ぐことは不可能です。そのために、性器ヘルペスを完全に予防する方法はありません。 しかし、性交渉の相手が特定の人のみならば、その可能性を下げることは可能です。特定のパートナーの異変には気がつきやすく、それに気がつけば、患部に触れない、触れた場合はよく手を洗うなどの対処を行うことが可能になります。 タオルや便座からも感染 性器ヘルペスで注意しなければならないのは、原因となるのが2型の単純ヘルペスウイルスに限らないという点です。1型でも性器ヘルペスになるため、自分の口唇ヘルペスからパートナーが感染、性器ヘルペスになってしまう可能性がありますので、あらゆる性交渉に注意しましょう。 また、タオルや便座を介して感染することもありますので、同居人にその症状がある時にはタオルを共有しない、便座とお尻の間にタオルやガーゼなどを挟んでもらい、直接便座に触れないようにしてもらう必要があります。 症状に気づいたら泌尿器科や婦人科へ 男女で症状が違う性器ヘルペスは、男性の場合、治療は泌尿器科で行われることが一般的です。そして、女性の場合は婦人科が多いようです。また、皮膚科や性病科でも診療が可能です。 ヘルペスは再発しやすく、体内のヘルペスウイルスを完全に撲滅することは困難ですが、抗ウイルス薬により、その増殖を抑制することは可能です。性器ヘルペスは自分だけの病気ではありません。体内でウイルスが猛威を振るう前に、異変に気づいたらできる限り早く、これら医療機関の診察を受けてください。 ■関連記事 要注意!新生児のヘルペス もしヘルペスにかかったらどうしよう? 原因は、症状は?ヘルペスはこんな病気 女性を悩ます排尿障害やデリケートゾーンの疾患「GSM」とは 日本抗加齢医学会セミナー 公開日:2016/06/20
ヘルペスは感染力が強いので、直接的な接触のほかに、ウイルスがついたタオルやグラスなどからも感染することがあります。感染しないための注意点を解説します。 目次 ヘルペスに感染しないためには? ヘルペスに感染してしまったら… ヘルペスに感染しないためには? ヘルペスとは、水ぶくれが集まった状態のことを指し、代表的なものには、単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスや性器ヘルペス、水痘・帯状疱疹ウイルスによる水ぼうそうや帯状疱疹などがあります。ヘルペスウイルスに一度感染すると、再発を繰り返しやすいため、できるならば感染を防ぎたいと思う方も多いでしょう。 感染症の予防方法としてよく知られているのが、予防接種ですが、残念ながら今のところ、単純ヘルペスへの感染を予防できるワクチンは開発されていません。このため現在の段階では、ヘルペスウイルスへの感染を防ぐには、ヘルペスウイルスを持つ人との接触に気をつけることが有効な手段となるでしょう。単純ヘルペスウイルスは感染力が強いので、直接的な接触のほかに、ウイルスがついたタオルやグラスなどからも感染することがあるので、注意が必要です。 ヘルペスに感染してしまったら… ヘルペスは一度感染すると、体調を崩したときなどに繰り返し発症します。このようなときに有効な成分が「リジン」です。ヘルペスウイルス保持の人がリジンを飲むことで、発症の確率を減らすことができた、ということが医療センターなどで実証されています。 リジンは蕎麦や牛肉に多く含まれており、サプリメントとしても商品化されているので、試してみるのもいいでしょう。また、ビタミンCや亜鉛には皮膚の修復作用があるため、この成分をリジンと一緒に摂取すると、より予防に効果的でしょう。 反対に、ヘルペスを引き起こしやすい食べ物にはナッツ、大豆、玄米、レーズン、エビなどがあります。これらの食べ物には、ヘルペスウイルスの栄養素となるアルギニンを多く含んでいるからです。 ヘルペスのみならず多くの病気にいえることですが、十分な睡眠、バランスのとれた食事、ストレスをためない、といったことも予防には大切なことです。 ■関連記事 要注意!新生児のヘルペス もしヘルペスにかかったらどうしよう? 原因は、症状は?ヘルペスはこんな病気 公開日:2016/03/22
角膜ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの角膜への感染による病気です。このウイルスは口唇ヘルペスのような皮膚に現れる単純疱疹の原因でもあります。 目次 体内に潜む単純ヘルペスウイルスが原因 上皮型と実質型 特効薬による治療が一般的 再発を起こすこともある角膜ヘルペス 治療を根気よく 体内に潜む単純ヘルペスウイルスが原因 角膜ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの角膜への感染による病気です。このウイルスは口唇ヘルペスのような皮膚に現れる単純疱疹の原因でもあります。 ただ、この単純ヘルペスウイルスに感染したとしても、そのほとんどは発症しません。発症者の多くが発症よりも前に感染しており、発症していなくても、高齢者のほとんどは感染しているとされています。 元々感染していた単純ヘルペスウイルスが、気温低下などの環境の変化、風邪からの発熱などによる体の抵抗力の低下が引き金となり、発症することになります。 上皮型と実質型 角膜は上皮、実質、内皮の三層で構成されていますが、角膜ヘルペスは上皮にできる上皮型と、その下の層にできる実質型(円板状角膜炎)の2つの種類に分けられます。上皮型角膜ヘルペスの症状は眼の充血とごろつき感、光に過敏になってまぶしさを感じるようになります。 実質型の場合はこれらに加え、著しい視力の低下が加わり、ごくまれに失明することもあります。そして、片方の眼が角膜ヘルペスを発症しても、もう片方にうつることは少なく、他人への伝染の可能性も低いのも特徴です。 特効薬による治療が一般的 角膜ヘルペスの治療では、主に点眼薬と内服薬を使用した薬物療法が行われていて、現在は特効薬ともいえるヘルペスウイルスの増殖を抑制するアシクロビルの点眼薬や内服薬が使用できます。 そのため、治療はしやすくなっていますが、実質型の場合、体の免疫機能を抑制するための副腎皮質ステロイド系の点眼薬が必要になります。 再発を起こすこともある角膜ヘルペス 比較的治りやすい角膜ヘルペスですが、再発しやすいという特徴もあります。角膜ヘルペスは症状が治まっても、神経の奥の三叉神経節などにウイルスが潜んでおり、症状がなくなったからといって、患者独自の判断で治療をやめてしまうべきではありません。 再発を繰り返したり、症状が長引いたりしますと、角膜に白い痕が残ることもあり、視力の低下が著しい場合は、視力回復のための角膜移植が必要になります。 治療を根気よく 普段からの規則正しい生活による体調管理を行い、体の抵抗力を高めることが、角膜ヘルペスの予防法といえますが、残念ながら、その発症と再発を100%防ぐ方法は見つかっていません。 眼に異変を感じたときに迷わず眼科を受診することが必要です。症状が出たときに適切な治療を根気よく行うことと、医師の指示に従うことが大切です。その可能性は低いものの、角膜ヘルペスには失明の可能性があることを忘れてはなりません。 公開日:2016/02/15
ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスが引き起こす「単純ヘルペス脳炎」という病気は、重篤な症状を示すことがあり、注意が必要な病気です。単純ヘルペス脳炎とはなんでしょうか?その原因や症状についてご紹介しましょう。 目次 迅速な対応が大切! 新生児期の単純ヘルペス脳炎について 成人の単純ヘルペス脳炎について 迅速な対応が大切! 「ヘルペス」というと、口の周りにできる「口唇ヘルペス」や、性器周辺にできる「性器ヘルペス」などが一般的に挙げられます。症状としては、患部の皮膚の湿疹や水ぶくれといったものがありますが、適切な治療を行えば1週間程度で治るものです。しかし、このヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスが引き起こす「単純ヘルペス脳炎」という病気は、重篤な症状を示すことがあり、注意が必要な病気です。日本では年間に約350人が発症するといわれていて、場合によっては高度後遺症を残したり、亡くなったりすることもある病気です。 単純ヘルペスウイルス1型、または2型の初期感染時、または再活性時に発生するもので、新生児ヘルペス脳炎と、小児期・成人のヘルペス脳炎ではその病態が異なります。以前はこの病気にかかると、6~7割の患者さんが亡くなっていましたが、現在では抗ヘルペスウイルス薬が開発され、早期に治療ができるかどうかが重要なポイントとなっています。 この単純ヘルペス脳炎とは?その原因や症状について、新生児期のものと、成人のものにわけてご紹介しましょう。 新生児期の単純ヘルペス脳炎について 新生児ヘルペス脳炎は、母親の性器ヘルペスから産道感染することが最も多いといわれています。 症状としては、発熱や哺乳力の低下、活気がないといったものがみられ、その後、痙攣、肝機能異常、呼吸障害、出血傾向が認められるようになります。治療には、一刻も早い抗ウイルス剤の投与が必要で、投与のタイミングが予後を大きく左右します。このため、ヘルペス脳炎が疑われた時点で(確定していなくても)、治療が開始されます。 抗ウイルス剤の開発により、以前と比べて致命率は減少しましたが、運動麻痺や知的障害、てんかんなどの後遺症をもたらす場合もあるため、治療後も医師による十分な経過観察が必要です。 成人の単純ヘルペス脳炎について 新生児や小児期のヘルペス脳炎がヘルペスウイルスへの初期感染に伴って発症することが多いのに対して、成人の場合はほとんどがウイルスの再活性化によるものです。 急性期の症状としては、発熱や頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣、記憶障害、言語障害、人格変化、異常行動、脳神経症状など様々なものがあります。早期治療の重要性は新生児期の場合と同様で、中枢神経症状がみられた場合は、まずヘルペス脳炎を念頭に置いた診断、治療が必要とされています。 公開日:2016/03/07
唇の周辺などに水ぶくれを起こしたりするヘルペス。ヘルペスのウイルスの型による病気の特徴と、ワクチンの有効性について、ご紹介します。 目次 ヘルペスをワクチンで防ぐことはできるの? 単純ヘルペスウイルスワクチンは開発途中 ヘルペスをワクチンで防ぐことはできるの? 唇の周辺などに水ぶくれを起こしたりするヘルペス。ヘルペスウイルスには8種類のウイルスが知られていますが、代表的なものには、口唇ヘルペスを起こす単純ヘルペスウイルス1型、性器ヘルペスを起こす単純ヘルペスウイルス2型などがあります。 日本人では1型には50~70%、2型には5~10%の人が感染しているといわれていて、再発を繰り返すのが特徴です。一度感染していまうと再発を繰り返す、というのなら、感染する前に防ぐことができないものなの?という疑問も出てきます。 感染症に有効、といってまず思い浮かぶのが、ワクチンを用いた予防接種です。ヘルペスウイルスに有効なワクチンがあれば、問題解決!ところで、水ぼうそうの原因もヘルペスウイルスだと、聞いたことがありませんか?水ぼうそうには予防接種のワクチンがあります。 それでは、このワクチンを接種すれば、ヘルペスを防ぐことができるのでしょうか?ヘルペスのウイルスの型による病気の特徴と、ワクチンの有効性について、ご紹介しましょう。 単純ヘルペスウイルスワクチンは開発途中 前述のとおり、ヘルペスウイルスには8つの種類が確認されていて、口唇ヘルペスを引き起こすものと、水ぼうそうを引き起こすものでは、種類が異なります。 口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、角膜ヘルペスなどを起こすのは、単純ヘルペスウイルス1型。単純ヘルペスウイルス2型は性器ヘルペスなどを引き起こします。水ぼうそうや帯状疱疹を引き起こすものは、水痘・帯状疱疹ウイルスと呼ばれます。 このように、ひとくちに「ヘルペス」といってもその種類はさまざまであるため、水ぼうそうのワクチンは、水痘・帯状疱疹ウイルスには有効ですが、ほかのヘルペスウイルスには効き目がありません。 単純ヘルペスウイルスを防ぐためのワクチンは、2016年現在、開発段階にあり、残念ながらまだ実用化はされていません。このため、予防接種による口唇ヘルペスや性器ヘルペスの予防はできませんが、発症後に抗ヘルペスウイルス薬による治療を行うことが可能です。ヘルペスは、適切な処置をするのが早いほど、症状が軽く済み回復も早い病気です。ヘルペスが疑われるような症状が現れた場合は、早めに病院へ行きましょう。 また、ヘルペスは感染症であるため、ほかの人にうつしてしまう可能性もあります。患部を触った手でほかの人や、自分の体のほかの部分に触ったりしないように注意しましょう。 ■関連記事 要注意!新生児のヘルペス もしヘルペスにかかったらどうしよう? 原因は、症状は?ヘルペスはこんな病気 公開日:2016/03/14
「ヘルペス」とは、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、水ぶくれができる病気のことです。帯状疱疹、口唇ヘルペス、性器ヘルペスがよく知られています。実は、ヘルペスウイルスはごく一般的なウイルス。気になるその正体や症状について紹介します。 目次 ヘルペスの正体はウイルス ヘルペスの気になる症状:帯状疱疹 ヘルペスの気になる症状:口唇ヘルペス ヘルペスの気になる症状:性器ヘルペス 再発しやすい病気 ヘルペスの正体はウイルス 「ヘルペス」は、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、水ぶくれができる病気のこと。これだけ聞くと、なんだか少し怖い気もしますが、実はヘルペスウイルスはごく一般的なウイルスです。くちびるのまわりに水ぶくれができる口唇ヘルペスの場合、2012年には、世界人口の67%がウイルスに感染していたというデータ もあるほどです。しかし、そのほとんどは症状がなく、大半が感染していることに気付いていません。※参考:単純ヘルペス、性器ヘルペス(ファクトシート) 2017年1月 WHO(厚生労働省検疫所FORTH) ヘルペスウイルスは、感染すると症状が治った後も人の細胞の中にじっと隠れていて、普段は症状が出てこないのが特徴です。ところが風邪や疲れなどで体の抵抗力が落ちると、突然出てきて暴れ出してしまいます。例えば「帯状疱疹」は、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが長い間体内に隠れていた後、突然暴れだしてしまう病気です。 ただ、一口に「ヘルペス」といっても症状はいろいろあります。ヘルペスウイルスはいくつかの種類があり、それによって引き起こされる病気も違ってきます。 主なヘルペスウイルスと病気 ●水痘・帯状疱疹ウイルス 水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹 ●単純ヘルペスウイルス1型 口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、ヘルペス性角膜炎、カポジ水痘様発疹症、性器ヘルペス、ヘルペス性脳炎など ●単純ヘルペスウイルス2型 性器ヘルペス、臀部ヘルペス、ヘルペス性髄膜炎 参考サイト:Herpes.jp ヘルペスの気になる症状:帯状疱疹 「帯状疱疹」は文字通り、お腹から背中にかけて帯状に水ぶくれが現れる病気です。一般的には体の左右どちらか一方に出ますが、病気などで免疫力が低下しているときには帯状のものに加えて水ぼうそうのような水ぶくれが全身に出る場合があります。さらにウイルスは神経を通って皮膚に出てくるため、激しい痛みを伴うことが多いのも特徴のひとつ。 はじめの症状はチクチクした痛み。数日するとその部分が赤くなって、水ぶくれができてきます。体のどこにでも症状は出ますが、胸から背中にかけてが一番多く、顔や手足、お腹やおしりの下などにも現れることもあります。 痛みが始まってから、かさぶたになって治るまで約3週間~1ヵ月くらいかかり、痛みもその頃に消えることが多いようです。しかし、たまに「帯状疱疹後神経痛」といって、皮膚の症状が治った後もかなり長期間痛みが続くことがあるので注意しましょう。 なお、2016年には水ぼうそうワクチン(水痘ワクチン)を「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」を目的に接種することが認められました。このワクチンを接種すると、帯状疱疹になる恐れが低くなり、発症しても症状が軽くなります。ただし、免疫機能に明らかな異常のある人や免疫を抑制する治療を受けている人はワクチンを接種できません。水ぼうそうにかかったことのある50歳以上の方は、元気なときにワクチンを接種しておくとよいでしょう。 ヘルペスの気になる症状:口唇ヘルペス 「口唇ヘルペス」という名前は知らなくても、風邪で体調を崩したときや疲れがたまったときなどに、くちびるの辺りにできるデキモノに悩んでいる人は多いのではないでしょうか?「風邪の華」や「熱の華」ともよばれるこの症状が、実は「口唇ヘルペス」です。日本人の10人に1人が経験したことがあるといわれるほど一般的な病気です。 はじめ、くちびるや口の周りが赤くなり、数日後小さな水ぶくれができます。ムズムズとしたかゆみや、皮膚のほてり、ピリピリとした痛みを感じることもあります。大抵、水ぶくれは2週間くらいでかさぶたとなって治ることが多いようです。 ヘルペスの気になる症状:性器ヘルペス 性器やお尻の周辺の皮膚に赤いブツブツや水ぶくれ、ただれができる病気です。通常、性交渉などで感染してから2日~12日で発症します。はじめてかかったときには強い痛みや発熱をともなう場合がありますが、再発の場合は小さな水ぶくれやただれができるだけの、軽い症状ですむことが多いようです。また、感染しても症状の出ない人や症状に気づいていない人もいるため、自分では気づかないまま人にうつしてしまうこともあります。 再発しやすい病気 帯状疱疹は、一度かかったら、再発することはまれ。しかし、口唇ヘルペス・性器ヘルペスの厄介なところは、なんといっても再発しやすいこと。治ったと思っても、ウイルスは神経細胞のなかにひっそりと隠れていて、再び暴れだす機会をじっと待っています。再発を防ぐためには、日ごろから体調管理や心身のリフレッシュを心がけ、ウイルスに負けない体をつくることが必要です。 もしヘルペスにかかったら?何科に行くの? ヘルペス関連記事の一覧はこちら ヘルペスによって引き起こされる?ヘルペスとエイズの関係 HIVウイルスって?ヘルペスウイルスとの関係性もある? ヘルペスの母子間での感染について 要注意!新生児のヘルペス ヘルペスは身近に!食べ物で予防してみませんか? 性器ヘルペスとは?男女別の症状と予防法 かかったら一生完治しない!?ヘルペスの予防方法 公開日:2004/08/23更新日:2018/05/14
もしヘルペスにかかってしまったら、何科に行けばいいのでしょうか?通常、ヘルペスは皮膚科が得意とする病気です。患部が性器周辺のときは、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科でもよいでしょう。口唇ヘルペスや性器ヘルペスでは、患部を自分自身で触ることで他の部位にうつしてしまう危険もあります。ピリピリ、チクチク、ムズムズといった前兆を感じたら、早めに受診して治療することが大切です。 目次 ヘルペスにかかったら、何科に行けばいいの? 治療法の現状 日常生活ではこんなことに注意しよう 抑制療法とは ヘルペスにかかったら、何科に行けばいいの? ヘルペスも早めの治療が大切です。早い時期に治療を始めるほど、軽い症状ですみますし治りも早くなります。通常、ヘルペスは皮膚科が得意とする病気です。患部が性器の周辺のときは、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科でもよいでしょう。 ところで帯状疱疹の症状では神経痛に似た痛みが伴うこともあるため、初期の段階では整形外科や内科にかかる人も多いようです。しかし、帯状疱疹は、普通は一生に一度しかかからないですし、水ぶくれが出ていないと診断が難しいものです。早期に効果的な治療が受けられるように、私たち患者自身が病気の知識をきちんと身に付けておくことも大切といえそうです。 治療法の現状 ヘルペスの治療には、ウイルスの増殖を抑えるはたらきがある「抗ヘルペス薬」が使われます。抗ヘルペス薬には塗り薬と飲み薬がありますが、症状がひどい場合は入院して点滴注射をすることもあります。 ヘルペスは体内に潜んでいたウイルスが逆戻りをして症状が起きるため、飲み薬で体のもとからヘルペスウイルスの増殖を抑えることが有効といわれています。口唇ヘルペス・性器ヘルペスの再発の場合、ピリピリ、チクチク、ムズムズといった前兆を感じたら、早めに受診して治療を受けることが、早く治すための近道となります。 強い痛みに対しては、鎮痛剤などを投与することもあります。ただ、皮膚の帯状疱疹が治った後に残る帯状疱疹後神経痛の場合は少し状況が違っています。 実は、帯状疱疹後神経痛はヘルペスウイルスによって神経が破壊されてしまうことが原因です。抗ヘルペス薬はヘルペスウイルスが増えるのを抑える薬なので、ヘルペスウイルスが活動していないこの時期の痛みをとることはできません。一旦、傷ついた神経を治療するのは困難ですし、長期間の治療が必要になってしまうこともあります。だから帯状疱疹後神経痛が残らないように、できるだけ早く皮膚科で診てもらいましょう。 抗ヘルペス薬 ●バラシクロビル ●アシクロビル ●ビダラビン など 日常生活ではこんなことに注意しよう 口唇ヘルペスや性器ヘルペスでは、患部を自分自身で触ることで他の部位にうつしてしまう危険もあります。ムズムズやピリピリ感が気になって、無意識に触ってしまうこともあるため注意しましょう。 ●患部に触れた後や、外用薬を塗った後にはしっかり手を洗おう ●患部に触れた指で目を触らないこと ●コンタクトレンズを唾液で濡らして装着しないこと(目に感染して発症する角膜ヘルペスは、失明する危険性があり要注意) ●水ぶくれは破らないこと 抑制療法とは 性器ヘルペスは再発しやすく、年に6回以上再発を繰り返す人には「抑制療法」と呼ばれる治療も認められています。抑制療法とは、頻繁にヘルペスの再発を繰り返す場合に、再発を抑えるため、症状が出ていないときにも抗ヘルペス薬を使用し続ける方法です。度重なる再発は身体的苦痛に加え、人にうつすことへの不安など精神的にもさまざまな苦痛を伴います。このような苦痛や悩みを軽減することもできますので、再発に悩んでいるようであれば医師に相談しましょう。 タオルやお風呂でうつる?ヘルペスQ&A 公開日:2004/08/23更新日:2018/04/23
ヘルペスを他人には相談しにくい人も多いのではないでしょうか。今回は、あなたのヘルペスに対する不安や悩みについてお答えします。 目次 Q. 私のヘルペスはどこからきたの? Q. 再発を繰り返すけど、治らないの? Q. タオルやお風呂でうつるの? Q. ヘルペスウイルスに対抗する力が弱く、特に気をつけたい人は? 私のヘルペスはどこからきたの? 口唇ヘルペスや性器ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルスは、主に直接接触することで感染します。しかし感染力が強く、直接患部に触れてなくても、単純ヘルペスウイルスがついたタオルや食器で感染するケースも。したがって、家族、恋人など、ごく身近で感染するケースが多く見られます。 一方、帯状疱疹は子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが原因です。帯状疱疹を人にうつすことはごくまれ。ただ発症しているときに、水ぼうそうになったことがない人と接触すると、相手が水ぼうそうになってしまうことがあるので注意が必要です。 再発を繰り返すけど、治らないの? 一般に、口唇ヘルペスや性器ヘルペスは時間の経過とともに再発の回数や症状の程度が軽くなるといわれています。口唇ヘルペスや性器ヘルペスは体の抵抗力が落ちたときに再発しやすいのが特徴なので、日ごろからバランスのよい食事をとり、疲れやストレスをためないことが大切です。また症状が出た場合は早めの治療で症状を軽くすることができます。 再発に注意! ●風邪などの病気 ●疲労 ●紫外線 ●アルコール ●ストレス タオルやお風呂でうつるの? 症状が出ている時期は、皮膚の水ぶくれや唾液中にヘルペスウイルスが存在しているため、注意が必要です。ウイルスがついたタオルや食器などを介して感染することもあるので、共用は避けましょう。お風呂でうつる心配はほとんどありませんが、性器やおしりの周囲に症状がある場合は、まれに洋式便座でうつることがあります。 ただ、そんなに神経質にならなくても大丈夫のようです。人から離れたヘルペスウイルスは、熱やアルコール、乾燥、日光(紫外線)などに弱いため、タオルや食器はよく洗い、便座はアルコールを含んだ布で掃除しましょう。 ヘルペスウイルスに対抗する力が弱く、特に気をつけたい人は? ヘルペスウイルスに対する免疫を持っている人は、感染しても症状がでないか、発症しても軽症ですむことが多いです。しかし次のような人はヘルペスに感染すると、重症化しやすいので要注意。ヘルペスを発症しているときは、接触をできるだけ避けましょう。 ●免疫を持っていない人や新生児 ●アトピー性皮膚炎の人 ●白血病、悪性腫瘍、移植手術後など病気で、体の免疫力が落ちている人 まとめ ヘルペスは、みんながもっているウイルスが原因で起こる、ごく一般的な病気です。ただ、人によって感染後すぐに発症する場合や、一生発症しない人もいます。日ごろから心身を健康に保ち、発症したときには早めの治療を開始することで、上手に付き合っていける病気なのです。それに症状が現れたということは、「あなたの体は疲れているよ」という、ヘルペスウイルスからのサインと捉えることもできるのではないでしょうか。 こんなところにイボ?尖圭コンジローマはこんな病気 公開日:2004/08/23更新日:2018/04/23