何の前ぶれもなく突然耳が聞こえなくなる病気、突発性難聴。一般的には発症から約2週間以内が治療開始限度と言われています。違和感を覚えたら、とにかく急いで耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。 目次 突然、耳の異常に気づく 精神的ストレスも引き金になる? とにかく急いで!治療のタイムリミット 突然、耳の異常に気づく 何の前ぶれもなく突然耳が聞こえなくなる病気、突発性難聴。 「突発性」とつくように朝起きたら突然、耳の異常に気づくのだと言います。「難聴」と言ってもただ単に聞こえが悪くなるのではありません。「ワーン」「キーン」という不快な耳鳴りがしたり、めまい、悪心・嘔吐などのつらい症状をともないます。ひどくなると立っていられないほどの重い症状にみまわれることもあるようです。 2001年に厚生労働省研究班が行った調査では、突発性難聴で治療を受けている人は推定、年間35,000人。40~50代に発症することが多いのですが、若い人でもめずらしくはありません。 精神的ストレスも引き金になる? 突然襲ってくる怖い病気ですが、いまのところ確かな原因は不明です。内耳の循環が障害されていたり、ウイルス感染が原因と考えられるほか、精神的ストレスもある程度発症の引き金になっていると言われています。 治療法に関してはさまざまな研究がされていますが、原因が不明なだけに確立された治療法はありません。今のところ、副腎皮質ホルモン、循環改善剤、代謝賦活剤、ビタミン剤使用にくわえ、安静を保つなどの治療法が行われています。 ■40代・男性Aさんの例 それは本当に、突然やってきました。ある朝、Aさんが目覚めると耳が詰まったような不快感が…。 仕事が多忙な中、健康のためにとプール通いをしており、最初は水が入って中耳炎にでもなったかと思った。仕事がたてこんでいることもあり、「耳鼻科で膿を抜いてもらえば治るから、急がなくてもいいか…」そう考えて放置。1ヵ月が経ったころ、帰りの通勤電車内で急なめまいが。 「ガタンゴトン」という地下鉄音の反響で吐き気をもよおしつつ、なんとか帰宅。 自分の声が頭の中に反響し、めまいまでして症状はひどくなるばかり。翌朝、急いで近くの耳鼻咽喉科にかけこんだところ、診断されたのは「突発性難聴」という聞きなれない病名でした。 とにかく急いで!治療のタイムリミット A氏のように働きざかりの男性にとってはとくに、突然の難聴がもたらす精神的負担は大きくなります。それまでまったく健康だったのに突然病気になったことのショックに加え、耳の異常を常に自覚しないといけないため、強いストレスを感じることが多いようです。 それまで言葉のコミュニケーションにより築いてきた友人や勤務先、家族との関係がいっきに不安定となり、精神的、経済的な負担も大きいでしょう。 一般的には発症から約2週間以内が治療開始限度と言われており、この期間を過ぎると治る見こみは大幅に減るようです。「聞こえ方がおかしいな」と違和感を覚えたら、とにかく急いで耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。 公開日:2007/10/01
ストレス難聴は、耳そのものではなく、心のトラブルが原因となる病気。とくに、かかりやすいのは、子供たち。原因はいじめや家庭崩壊。もちろん大人もかかることがあるので要注意。 目次 ストレス難聴はどんな病気? 子供に多いストレス難聴 ストレス難聴はなぜ起こる? 子供だけではなく、大人でもストレス難聴に ストレス難聴はどうやって治す? ストレス難聴はどんな病気? 最近、マスコミでよく取り上げられる「ストレス難聴」。正しくは「心因性難聴」と言う。ストレスが原因で耳が聴こえなくなる病気だ。いや、正確に言えば、「聴こえなくなる」のではなく、「聴こえないと感じてしまう」病気だ。 ストレス難聴にかかっている人の耳を調べてみると、音刺激はきちんと聴覚中枢に達している。にもかかわらず、脳は「聴こえない」と受け止めてしまう。この不思議な現象の背景には、心理的なストレスが大きくはたらいている。 子供に多いストレス難聴 ストレス難聴が研究されるようになったのは、第二次世界大戦中のこと。多くの米国兵士が難聴に苦しんだことで注目を浴びるようになった。その病気が、現代日本に増えているという。いったいどういうことなのだろう? ストレス難聴にかかりやすいのは、子供たち。ある研究によると、ピークは8歳、そして13~14歳だと言う。これは、小学校、中学校でそれぞれ、人間関係が形成される時期だからだと言われている。どちらかといえば女の子のほうがかかりやすい。学校の聴力検査で異常が発見されることが多いと言う。いずれにしても早期発見が大切。放置すると、授業についてゆけないほど悪化し、補聴器に頼らざるを得なくなる場合もあるからだ。 ストレス難聴はなぜ起こる? 子供のストレス難聴の原因は、学校におけるいじめが多いとされている。友達に仲間はずれにされたり、暴力を受けたり、教師に冷たくされるなどの出来事が、心に深い傷を残し、それが難聴という形をとってあらわれるのだ。 また、家庭内不和も大きな原因のひとつ。両親の離婚や母親の不在、核家族化による孤独感などが知らず知らず子供の心を追い詰めてしまうことがあるようだ。 子供だけではなく、大人でもストレス難聴に 子供だけではなく、大人でも、日常のストレスからストレス難聴にかかる人も少なくない。親しい人を亡くしたり、失恋したりすると、強い精神的な打撃により耳が聴こえにくくなってしまうことがある。こうした一時的ショックだけではなく、介護など、つねに抱えている問題が原因となることもある。疲労や、睡眠不足がたまっている人も要注意。 ストレス難聴はどうやって治す? 治療の大切な柱が精神的なケアだ。耳鼻科での検査を続けながら、精神科医、心療内科医、心理療法士などの治療・カウンセリングを受けるとよいだろう。同じ病院の中で連携プレイが可能な総合病院ならより安心だ。 何より大切なのは、ストレスを与える環境を見直すこと。いじめが原因なら、友達や担任の先生に事情を打ち明けるなどして、問題を解決するようにしよう。また、家庭内不和を気にしている場合は、家族同士で話し合い、みんなで病気の改善に努力しよう。 もちろん大人の場合も、ストレスを克服するための手段を考えよう。カウンセラーにかかるのもよいし、思い切って長期休暇をとるのもよいだろう。 周りの人たちも、「どうせ気のせいなのだから」などと病気を甘く見ず、十分な理解をもって見守りたいもの。「聴こえない」と訴えることで、本人が発している「SOS」を、きちんと聴きとって! 公開日:2004年1月19日
めまいを感じた場合、めまい以外の症状を確かめ、受診にあたっての手助けとしましょう。めまいを引き起こす病気はいろいろあります。メニエール病や自律神経失調症などの心身症はめまいを伴うことがあります。不眠症もめまいの原因のひとつです。 目次 めまい以外の症状で病気をチェック! ストレスでもめまいは起こる! 不眠症も立派なめまいの原因 めまい以外の症状で病気をチェック! めまいを感じた場合、めまい以外の症状を確かめることが必要です。その症状によって、何科に受診したらいいのかを判断するといいでしょう。 めまいと同時に耳鳴り、難聴がある場合 耳鳴りや難聴がある場合には、内耳に障害がある場合が多いようです。まずは、耳鼻科に行くといいでしょう。この場合には、突発性難聴、メニエール病、内耳炎、聴神経腫瘍などの病気が考えられます。 言語障害、平衡障害がある場合 しゃべり方がすこしゆっくりになったり、歩くときにふらつくような場合、また激しい頭痛を伴うような場合には、脳梗塞や小脳出血などが疑われます。内科(神経内科)での受診がおすすめです。 同じような動作のあと、めまいを繰り返す場合 車をバックさせるために後ろを見たときや、シャンプーをしているときにめまいが起こる、などという場合には、良性発作性頭位眼振の可能性が高いようです。これは、内耳にある耳石器官に障害があるときになりやすいため、耳鼻科へ行くといいでしょう。 ストレスでもめまいは起こる! 過度のストレスが続くと、メニエール病や自律神経失調症やパニック障害、起立性調節障害などの心身症が起こります。これらの障害は、めまいを伴うことがあります。 メニエール病とは、フランスの内科医メニエールによって発見された病気で、吐き気や嘔吐を伴うぐるぐる回るようなめまいを繰り返し、内耳の中に水腫(むくみ)ができるもの。メニエール病は、肉体的・精神的ストレスが誘因となって起こることがあります。 不眠症も立派なめまいの原因 睡眠は人が生きていく上で大切なものです。しかし、最近では夜型人間が増え、同時に睡眠障害を訴える人も増えています。このように、睡眠が規則正しくないと、めまいを起こすこともあります。まさに、生活習慣の乱れがめまいを起こすので、めまいも「生活習慣病」といってもいいほどです。 意外と不眠症がめまいの原因と気がつかない人も多いので、めまいを感じたら、一度自分の睡眠を振り返ってみることが必要です。 参考文献:「めまいを治す」 神崎仁著 慶應義塾大学出版会 公開日:2017年7月31日
もしも、めまいを感じたら?まず、横になって休むことです。休んでも治まらなければ、病院で診察してもらいましょう。その際の手助けとして、めまいが起きた際にメモしておきたいポイントをまとめました。 目次 めまいを感じたら、どうする? 病院で受診するときには 受診する科はめまい以外の症状で判断 乗り物酔いはどうして起こる? めまいを感じたら、どうする? まず、横になって休むことです。左右どちらかを下にしてめまいがひどくなるようなら仰向けに寝ましょう。休んでいてもめまいが治まらないようであれば、近くの内科か耳鼻科で診察してもらいましょう。 めまいが少し治まってきたら、天井や壁などを見てください。模様が揺れて見えないか、揺れて見える場合にはその揺れ方などをチェックしておきましょう。 病院で受診するときには 病院で診察を受ける時には、めまいが治まっていることが多く、問診でその症状を詳しく尋ねられることがあります。そこで、次のような点をメモしておくことをおすすめします。 ●いつ、どこで、何をしていたときに起こったか ●どんなめまいだったか(ぐるぐる回る、ふわふわする、まっすぐ歩けない、など) ●めまい以外の症状(吐気、耳鳴り、手足のしびれなど) ●めまいが起こる前の生活状況(体調、ストレス、睡眠状況など) 受診する科はめまい以外の症状で判断 めまい外来のある病院が近くにあるならそこへ行きましょう。なければ、めまい以外の症状によって受診する科を判断します。 ■内科(神経内科)へ行く場合 視力障害、手足のしびれやマヒ、言語障害、頭痛、不眠、立ちくらみなど ■耳鼻咽喉科へ行く場合 耳鳴り、難聴、顔面神経マヒ、吐気、嘔吐、歩行障害(まっすぐ歩けない)など 乗り物酔いはどうして起こる? 車や電車など乗り物に乗ると、めまい、吐気、顔面蒼白、冷や汗、生あくびなどの症状が出る人がいます。これは、ある本によると「乗り物の動きに反応する、主に前庭器官と視覚の2つの感覚系の間の調節がうまくいかないために起こる、不愉快な運動の錯覚である」のだそうです(「めまいを治す」神崎仁著 慶應義塾大学出版会)。 つまり、眼で見ているものと体が感じる揺れとの調節がうまくいっていません。 乗り物に酔いやすい人は、次のようなポイントを覚えておくといいでしょう。 ●「酔わない」と自分に言い聞かせること ●車なら助手席、電車なら前が見える席に座り、進行方向の景色を見ていること ●テニスや卓球のような球技をすると、速く動く球を追いかける訓練ができるので酔いにくくなる 参考文献:「めまいを治す」 神崎仁著 慶應義塾大学出版会 公開日:2017年7月31日
気になりませんか?子どもの低身長 子どもの成長を語るときに使う「すくすく」という言葉。樹木のように勢いよく成長して欲しい、それはどの親にも共通の願い。身長の伸びは、子どもの成長をはかる上でもっともわかりやすいモノサシだ。 たとえ自分の子どもの背が低くても、「それも個性のうち」「元気ならそれでじゅうぶん」ととらえる親は多い。身長が低くても健康ならそれでじゅうぶんという考えからだ。たしかに、子どもの身長には個人差があるもの。生まれた当初は目立たなくても、成長過程において、周囲との身長差がうまれるのは当然だ。 ただし、子どもの低身長のなかには、医学的な原因が隠れているケースがまれにあることがわかっている。それらのケースにはどんな原因があるのか、くわしくみてみよう。 要注意!なかには病気が原因の低身長も 低身長の子どもは両親も背が低いなど、ほとんどが遺伝的・体質的な原因によるもの。身長は低いが、健康にはまったく問題がないというケースだ。 しかし、なかには成長をうながすホルモンが出ていないことや、染色体や骨の異常によって、子どもの成長にブレーキがかかっている場合がある。低身長のなかでもまれなケースなだけに、見逃される可能性が大きい。 1. 子どもの成長を調節している成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌不足 2. 染色体の異常や先天性の奇形。女の子では染色体異常によるターナー症候群によって身長の伸びだけでなく二次性徴に障害が起こることも 3. 骨や軟骨の異常 4. 心臓・腎臓・肝臓などの主な臓器の異常 5. 親からのネグレクトなどによる心理的ストレス(愛情遮断症候群) 1. 成長ホルモン分泌不全性低身長症 典型的には、生まれたときに脳の下垂体付近にダメージを受けると、成長ホルモンがうまく分泌されなくなる。生まれたときの身長は平均値でも、1歳を過ぎたころから低身長が明らかになり、3歳以降にめだって低くなるのが特徴。出生時に問題がなくても脳下垂体の近くに腫瘍ができるなどの病気が原因で、正常に成長していた子どもがある時点で身長の伸びが鈍くなることもある。また、軽度の成長ホルモン分泌不全では、とくにエピソードはなくても徐々に低身長がめだってくる。 2. ターナー症候群 X染色体の欠失が原因で女の子だけにおきる。2本のX染色体のうち1本しかなかったり、一部が欠けていたりする。ターナー症候群の女の子は低身長であっても均整のとれた体に成長する。しかし8割に二次性徴が見られず、また心臓病や難聴などの合併症の問題もある。 3. 軟骨異栄養症 骨や軟骨そのものに異常があるために身長が伸びない病気。胴体にくらべ手足が極端に短いのが特徴で、この病気は遺伝するが、8割以上が家族に同じ病気がないのに、子どもだけに軟骨の異常が起こる突然変異。 4. 臓器の異常 心臓、肝臓、消化器管などの臓器に異常があると体内に栄養をとりこめず、身長の伸びに影響をおよぼす。低身長から逆に、臓器の異常が発見されるケースも多い。 ほかにも小児慢性腎不全が子どもの低身長の原因となっている場合がある。 チェック!標準身長と比較してみよう 「うちの子は友達の中で頭ひとつ小さい」「同い年のイトコより幼く見える…」そんな不安をもつご両親は、下記のグラフを使って子どもの身長をチェックしてみよう。 このグラフは、「男女別標準成長曲線」といって、子どもたちの身長データを集め、年・月齢別に平均値と基準値を線でつないだもの。これをみれば年齢ごとの標準的な身長の範囲がわかる。 異常をみつける目安は「SD」。SDとは標準偏差を意味し、平均値からどれくらい離れているかをあらわす。子どもの身長が+2SD~-2SDの範囲内にあれば正常で、-2SDを下回るようならば、注意をはらうべき低身長であるとされている。
なぜ「風邪は万病のもと」なのでしょうか?いろいろな理由が考えられますが、生活習慣病を抱える人は重症化しやすいようです。また、風邪はひどくなると、命に係わる合併症を引き起こします。たかが風邪と侮らず、しっかり治しましょう。 目次 生活習慣病+その予備軍の方は要注意! 風邪の怖い合併症 生活習慣病+その予備軍の方は要注意! ところで、なぜ「風邪は万病のもと」なのでしょうか?「風邪から体調を崩し、さまざまな合併症を起こすから」「風邪ではないけれど、まるで風邪のような初期症状の病気がたくさんあるから」など考えられます。しかし、もうひとつ別のことからも注意したいものです。 風邪にかかると、糖尿病、心臓疾患、肺疾患、腎臓疾患などの、いわゆる「生活習慣病」の人が重症化しやすいのです。こうした生活習慣病を抱える、あるいはその可能性がある人は、風邪に強い体づくり・生活づくりをする必要があるでしょう。 風邪の怖い合併症 風邪はひどくなると、命に関わる合併症を引き起こします。「たかが風邪」と侮らず、以下のような合併症に陥らないために、風邪はしっかり治しましょう。 肺炎 二次感染(風邪をひいた後に再びかかる風邪)により起こり、命の危険もあります。薬に頼り鼻水などの症状をおさえ続け、本当に必要な休養や栄養を摂らないと起こることもあります。特に高齢者は、肺活量が低下し、たんを出す力も低下しているので、かかりやすいようです。37度以上の熱が1週間以上続くようなら、専門医を訪ねた方が良いでしょう。 中耳炎 鼓膜の奥の中耳に、細菌が感染し炎症を起こしたものです。耳は、ウイルス・細菌が取りつく鼻やのどと「耳管」で結ばれており、ほとんどがそこから感染します。耳の強い痛みや難聴がおこり、進めば耳だれが出る場合もあります。専門医にかかれば、2~3日で痛みはとれますが、治ったわけではありません。難聴が残らないように完治するまで通院する必要があります。 急性扁桃炎 扁桃炎は、常在する細菌が体の免疫力が弱ったときに、その勢いを増して増殖し、体中に細菌の毒素を出して発熱を起こさせる病気です。急激にひどい寒気を伴う高熱が出たり、咽頭痛、嚥下(えんげ)痛を生じるため、食事を取ることも困難になります。ほかに、全身がだるくなったり、頭痛、関節痛や頚(けい)部痛なども生じます。 急性扁桃炎が慢性化すると慢性扁桃炎となり、リウマチ性関節炎、心筋炎、心内膜炎、腎炎など、ほかの重い病気の原因になることもあるので、十分に注意をしましょう。 必ず専門医にかかるようにしましょう。 急性腎盂炎 急性腎盂炎とは、38度以上の発熱と腰痛が主症状となる尿路感染症です。通常は、2週間ほどの抗生物質の点滴で治癒します。ただし、治療開始が遅れたり、感染症の原因菌に、投与された抗生物質が効かない場合などは、治療期間が長引くことがあります。 脳症 インフルエンザ・ウイルスなどが脳にまで至り、各種の障害や後遺症を起こす病気です。主に乳幼児に起こりやすいと言われています。熱性痙攣や意識障害などが起こる場合、脳症の可能性もあるので「たかが風邪」と侮らず、早めに対処しましょう。
保険適用めざし経過措置 技術革新から生まれた新しい医療技術で、まだ保険の適用を受けていない治療の場合に、新技術の部分だけ、費用を患者の自己負担とし、初診料や入院費などの基本的費用は保険で負担する仕組みが、1984年に制度化されました。 保険診療では、一部に保険適用外の医療を併用した場合には、全医療費が保険の適用外とされるのが大原則で、その場合には全てが患者の自己負担となります。 しかし、大学病院などのように、厚生大臣から特定承認保険医療機関の承認を受けた病院が、高度先進医療技術の承認を受けた技術を使って診断や治療を行う場合は、特定療養費制度の一環として、新技術以外の部分に保険適用が認められます。 新しい医療技術で、疾病の解明、予防、治療に果たす役割が大きく、国民の保健衛生の向上に多大な貢献をすると考えられるものについては、実地の医療への適用が急がれる半面、安全性や有効性のデータが不十分であり、また普及以前のものであるため、利用できる範囲が地域的に限定されるなどの理由から、保険適用に慎重にならざるを得ない面があります。 高度先進医療は、保険適用への経過措置の意味合いがあり、通常は、ここで安全性・有効性を確認し、さらに精度を高めた後に、保険が適用されています。 技術と病院をセットで承認 高度先進医療が承認された技術には、保険適用の場合と同様に、技術料金 (目安) が決められます。例えば、手術後の難聴などの治療に使う人工中耳は 124万円、心筋梗塞の際などに使われる血管内視鏡検査は28万9920円です。 医療内容とそれを行う病院がセットになって承認されるので、どこでどんな医療が行われるかを確認する必要があります。 ※2006年10月1日より、特定療養費制度は保険外併用療養費制度と名称が変更になりました。
不定愁訴のめまい閧揩 めまいや耳鳴りはストレスなど心理的な要因によって起こりやすい不定愁訴です。 いくら調べても原因がはっきりしないこれらの症状を訴えて、耳鼻いんこう科などを受診する人が増えているといいます。 そのために、最近では「めまい外来」を設置したり、耳鼻いんこう科に心理治療部門を併設する施設もわずかながら増えてきています。 ストレスの悪循環 このような不定愁訴はしばしば「気のせい」と片付けられるのですが、本人にとって症状は現実に感じられるものであり、仕事や日常生活に響くほどつらいのです。 特に症状が首から上に集中しているために脳の病気ではないかと心配し、症状からくる不安や緊張から心理的なストレスが増強してますます症状が悪化する、という悪循環が起こってしまいがちです。 心理的な要因を解明 器質的な疾患が原因でないということが分かったら、まずは、適切な心理的アプローチでストレスなど原因となる要因をつきとめます。 できることならその問題を解決し、症状が心因性のものだと理解して不安を軽減する、といった治療が必要です。 「めまい外来」や耳鼻いんこう科の中の心理治療部門は、積極的にそのような治療に取り組んでいます。