花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー症状に悩む人は多い。日本ではアレルギー予備軍が急増中とも言われ、誰にとっても他人事ではない問題だ。 都立駒込病院アレルギー膠原病科の猪熊茂子先生に、日本におけるアレルギーの現状やアレルギー対策について教えてもらった。 目次 大アレルギー時代の到来!? 年齢に応じてアレルギーも変わる「アレルギーマーチ」 食物アレルギーに負けるな! 大アレルギー時代の到来!? アレルギーとはご存知「免疫の異常反応」のこと。体内に侵入した異物を排除するためのシステムを「免疫」と呼ぶが、本来の免疫機能が過剰にはたらき、人体に悪い影響を及ぼしてしまう状態が「アレルギー」なのだ。 「免疫」と「アレルギー」は本来同じもの 免疫機能は皮膚と粘膜に現れるが、大きく4つに分類できる。狭義の「アレルギー」はI型だが、一般には、Ⅰ型とⅣ型を指す場合が多い。 免疫機能の分類 即時型 ほんの数分で症状が現れる Ⅰ型 ぜんそく、じんましん、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー・ショック*、多くのアトピー性皮膚炎 遅発型 8~15時間後に症状が現れる Ⅱ型 多くの薬物アレルギー、自己免疫性溶血性貧血、重症筋無力症、不適合輸血など Ⅲ型 血清病の腎炎、関節炎、糸球体腎炎、SLEの腎炎、過敏性肺炎など 遅延型 24~48時間後に症状が現れる Ⅳ型 ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎の一部 アナフィラキシー・ショック…薬剤や昆虫の毒などによって起こる全身性の強いショック症状 今日の日本では、花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患にかかりやすい体質の若者が年々増加中と言われているが、猪熊茂子先生は、 「1980年代の終わり頃を境に、確かにアレルギーの患者さんが変化したように思います。それまではぜんそくで入院する方が多かったのですが、ぜんそく治療が進歩して、替わりにアトピー性皮膚炎などを含むほかのアレルギーの患者さんが増えてきました。日本で特にアレルギー予備軍が急増しているような印象があるのは、日本の衣食住環境が、劇的に西欧化したからではないでしょうか」と言う。 「アレルギーが多くなってきたことの背景には食事の問題と住環境の問題、大気汚染の問題が考えられます。食事で言えば油の摂取の仕方とたんぱく質が原因になっていることがわかっているし、住環境についてはダニの問題ですね。日本人にとってはダニのかけら(死がい)がアレルギーを引き起こす大きな要因なのです。マンションのように密閉され、エアコンで常時25℃前後に設定された部屋は、実はダニにとってもとても住みやすい環境なんです。布団やソファ、カーペットなどダ二のすみかも十分ありますしね。また、ディーゼルエンジンの排出ガスもアレルギーに悪影響を及ぼすことがわかっています」 「戦後の短い時間の中で、日本はがらっと生活環境が変わってしまいました。西欧化と言いますが、ヨーロッパなどの国々では長い間こうした環境に住み慣れているのに対し、日本人の場合は環境の変化によるアレルギーの増加が目立っているようです」 アレルギー疾患有症率 全国調査におけるアレルギー疾患有症率(%) ■乳幼児(0~5歳) ぜんそく・ぜん鳴 アトピー性皮膚炎 アレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎 何だかのアレルギー疾患 男 19.810.28.62.530.8 女 15.710.45.22.925.8 全体 17.910.36.92.728.3 ■小・中学生(6~15歳) ぜんそく・ぜん鳴 アトピー性皮膚炎 アレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎 何だかのアレルギー疾患 男 12.37.122.610.635.3 女 8.57.916.211.529.9 全体 10.47.519.51132.6 ■16歳以上 ぜんそく・ぜん鳴 アトピー性皮膚炎 アレルギー性鼻炎 アレルギー性結膜炎 何だかのアレルギー疾患 男 4.51.720.611.328.2 女 4.11.923.316.732.8 全体 4.31.82214.230.6 出典:厚生省アレルギー総合研究事業研究班・厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー疫学の研究より(1992~1996) 年齢に応じてアレルギーも変わる「アレルギーマーチ」 アレルギーマーチ 赤ちゃんの時には卵や牛乳で腹痛・下痢などの消化器症状や湿疹など皮膚症状を起こし、2~3歳になってからはさらに花粉症などのアレルギー性鼻炎にかかる…。このように年齢に応じて発症するアレルギー(Ⅰ型)が変わっていく様子を「アレルギーマーチ」という。ただ、ひとつひとつの症状がどんどん重くなっていくことはなく、ひとつの症状が改善したら、次の症状が出るケースが多い。 アレルギーマーチからわかることは、年齢が上がるにつれてアレルギーの原因物質が食物たんぱく質からダニやハウスダストへ、さらに花粉へと変化していくことだ。 「生まれたばかりの赤ちゃんは外へ出ることがあまりないですよね。最初にさらされる異物は何かというと食物なんです。腸管の壁がまだ未成熟で丈夫でないうちは、食餌(しょくじ)性のアレルギー反応を起こしやすいと考えられます。年齢とともに変化するアレルギーマーチですが、もちろん途中で治っていく方もいます」 「ただ、アレルギーは体質の問題。アレルギー体質であれば、いつかは発症してしまう可能性が高いのです。それまでアレルギーと無縁に過ごしてきた人でも、40歳を過ぎてぜんそくで入院、なんてこともあるんですよ。リンパ球が抗原と何度も接触を繰り返し、できたIgE抗体がある水準まで蓄積されたときが発症のスタンバイ。私たちの気付かないうちに、ひそかにアレルギーはやってくるのです」 食物アレルギーに負けるな! 特定の食物が原因となる食物アレルギーもⅠ型アレルギーのひとつ。アレルギー物質は多種多様で、牛乳、卵、魚類、エビやカニといった甲殻類、米、小麦、そば、大豆、乳製品などなど、ほとんどの食物にアレルギーを起こす可能性がある。 こうした食物にはたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルといったさまざまな物質が含まれているが、アレルゲンとなるのはある種のたんぱく質だけである。食物が消化される過程でたんぱく質は胃や腸などで小さく分解されるが、未消化のまま体に吸収されるたんぱく質もあり、これがアレルゲンとなってしまうのだ。腸管を通して吸収された食物たんぱく質(アレルゲン)は血液によって体のいろいろな場所に運ばれ、アレルギー症状を起こすことになる。 食物アレルギーの症状 「食物アレルギーは時にアナフィラキシー・ショックと呼ばれる危険な全身症状を引き起こすことがあるので、決して軽んじてはいけません。今では知識が普及してきましたが、やはり自分で『何を食べたら症状が出た』といった記録をつけておき、いつも食品表示をチェックすることを心がけることが大切です。原因がどうしてもわからず、繰り返し症状が出ているようなときは、抗アレルギー剤を飲んだり、発作が始まったときに注射をして抑える薬も出ています」 ■猪熊茂子先生 都立駒込病院アレルギー膠原病科部長。第15回日本アレルギー学会春季臨床大会会長。東京大学医学部卒業後1981年から都立駒込病院にて勤務。獨協医科大学医学部非常勤講師、東京大学医学部講師、昭和大学客員教授を兼任。 専門は膠原病、慢性関節リウマチ、血管炎・気管支喘息、アナフィラキシー、薬剤性障害など。
目次 アレルギー=免疫異常の病気 アレルギーは連鎖する アレルギー=免疫異常の病気 アレルギーは、病気の中でも「個性的」な病気だ。 その原因や発症が複雑で、ひとりひとり異なり、確実な原因やアレルゲンが特定できないこともめずらしくない。しかしそのなかでも多く見られる、現代日本の主な三大アレルギーは以下の通りだ。 花粉症 それまで何のアレルギーもなかった人が、突然発症することが激増している現代的なアレルギーのひとつ。花粉がアレルゲン*となる。 アトピー性皮膚炎 日本の生活環境の激変により、特に子どもたちの間で増えている。食物アレルギーと重なることが多いが、正確なアレルゲン*が特定しにくい。 気管支ぜんそく 「ぜんそく」は、かつては特定の工業地域や幹線道路ぞいに発症することが多かったが、日本全体の大気汚染と、アレルギー体質の人の増加によって、日本人に「一般化」してきている。 *アレルゲン:アレルギーを引き起こす原因となるもので、確認されているものだけで200近くある。花粉、ダニの死骸、ホルムアルデヒドなどの代表的なものだけでなく、寒さなどもアレルゲンとなる。 こうしたアレルギーに共通するのは「体を守るために備わった免疫機能が、あるアレルゲンに対して過剰にはたらいてしまう」ことで起こる病気ということだ。本来、免疫がはたらくのは「体に害のあるもの」がターゲットなのだが、アレルギー体質の人では「日常に一般的にある、毒性がない・強くないもの」もターゲット=アレルゲンとなってしまうのだ。 アレルギーは連鎖する アレルギーで心配なのは「体質だから仕方ない」とあきらめきってしまうと、新たな症状に進行することがあるということだ。 注:アレルギー体質の人が必ず進行するということではない。 1.「アレルギー性鼻炎」は多くのアレルギー体質の人が持つ症状だ。単なる鼻水・鼻づまりと考え、軽く扱われやすいが、あらゆるアレルギーの下地となりやすい。鼻水など「目に見える形」で出ていなくても、神経質になってイライラしたり、集中力がない、などの症状が出ている場合も、アレルギー性鼻炎の可能性がある。 2.「アトピー性皮膚炎」対策は、根気のいるものなので「どうせ体質で治らないんだから」といった態度になってしまいがち(無理もないことですね…。)神経質になるのも良くないが、そこから気管支ぜんそくに移行しやすいということも考え「悪くしない」よう注意したい。 3. 気管支ぜんそくが進行すると、吸引する薬なども必要となり、日常の活動も制限されやすくなる。こうなる前に、なんとか手を打とう!
アトピーはさまざまなものが誘発原因となり、引っかき始めると、もっとかゆくなってしまうという拡大悪循環に陥ってしまう。 目次 アトピーはどうしてかゆくなるの? アトピーはどうしてひどくなるの? アトピーはどうしてかゆくなるの? アレルギーのなかでもツラいアトピー。「かゆみ」の原因は、図の通り、多岐に渡っている。 多くの人の場合、皮膚のバリア機能が弱っている上に、このうちのいくつかが重なって発症している。だからといって「すべて」を排除しようとガムシャラに頑張るのは考えもの…。人によって、どれがアレルゲンになるのかは違うのだ。本当は「卵」は大丈夫なのに敬遠して、栄養の偏りを起こしては本末転倒! まずは、自分のアレルゲンが「どれなのか?」をしっかり検査することからスタートしよう。 アトピーはどうしてひどくなるの? アトピーは「痛いよりも耐えられない」という「かゆみ」が主症状だが、それは拡大悪循環に陥りやすい。そしてこの循環に、はまればはまるほど、かいた場所は、よりひどい状態になってしまう。 まずはこの拡大悪循環に「はまらない」、軽いうちに「先手」をうつことが何より重要だ!
アトピーや乾燥肌を拡大してみると…肉眼では見えない皮膚のトラブル状態が見えてくる。アトピーの状態とは? 目次 見えないけれど…アトピーは皮膚のバリアが壊れやすい ノーマルスキンはしっかりバリア アトピックスキンは表面がボロボロ… 見えないけれど…アトピーは皮膚のバリアが壊れやすい 皮膚はとっても薄いが、実はさまざまな防御機能を持って、その下の大切な筋肉や内臓をガードしている。本来はスーパー・バリアなのだ。また一方で「かゆみ」というのは、皮膚独特の症状。これも本来は皮膚の「バリア」がはたらくためのシステムだ。 「ちょっとした異物(ホコリや菌)」が皮膚につく ⇒それを感知して脳は「かゆみ」という信号を身体に送る ⇒「かく」ことで「かゆみ」という信号を感じないようにする しかし、アトピーでは皮膚のバリアの状態も壊れ、このシステムも過剰にはたらいてしまっている。 ノーマルスキンはしっかりバリア ●体の外から来るものへのバリア 角質細胞がきれいに整っている その上の皮脂も、ごく薄いがしっかりバリアとなる ⇒ホコリや菌などの異物が入りこめない ●皮膚そのもののバリア 水分もしっかりキープ! 潤いと柔軟性で、ザラつき感が少ない ⇒「荒れる」ことが少ない アトピックスキンは表面がボロボロ… ●体の外から来るものへのバリア 一番表面の「膜」となる皮脂が少ない 角質細胞の配列も乱れ、孔(あな)があいていることも… ⇒ホコリや菌などの異物が入りこんでくる ⇒炎症を起こす=「かゆみ」が激化 ●皮膚そのもののバリア 油分、水分とも身体から失われやすい そのため皮膚がザラザラになる ⇒乾燥=「かゆみ」が悪化
アレルギーで大切なのは「自分で勝手に判断しない」こと。専門のお医者さんと、大切な3つの側面から良くしていこう! 目次 見えないけれど…アトピーは皮膚のバリアが壊れやすい アレルギーにはトリプル・パンチ! 見えないけれど…アトピーは皮膚のバリアが壊れやすい アレルギーは最近、一般にひろく知られるようになり「私は○○アレルギーで…」なんて話もよく聞くようになった。しかし、それは本当に専門医に検査・診断してもらい、確認した結果だろうか?アレルギーで一番イケナイことは自分で勝手に「コレは○○アレルギーだ」と決めつけることだ。 こんなコトしてませんか? ケース1:卵や魚介などを食べて、具合が悪くなったので、それをアレルゲンと判断。自分で「それを食べなければいい」と決めた ⇒特に育ちざかりの子どもの場合、栄養の偏りが心配される。 まずはそれが本当に原因なのかの確認第一! ケース2:春になったら鼻水が出るようになった。「コレは花粉症だ」と思い、薬局で薬を買って春の間はずーっと使っている ⇒風邪や別のアレルギーかもしれないのに、売薬を買って対処しても仕方ない。 一般的にはあまり強くないとは言え、売薬での副作用もありうる。 アレルギーにはトリプル・パンチ! アレルギーには、主に図にある3つの側面から治療をする。 アレルギーは「体質」によるところも多いため、「完治」ということは多くの場合、難しい。主な目的は「症状を抑える・悪化させない」になる。しかし一方、アレルギーは症状さえおさまればいい病気でもある。 また「気長に取り組む」ことが肝心で、根気が必要にもなるが、一方で「自分自身で改善できる」ことも多いため、ほかの病気より薬、お医者さん頼みの治療から脱することも可能だ。 だから、特にアトピーの子どもを持つお母さん!あまり難しく考えたり、深刻にならないで。 アレルゲンの除去 まずはアレルゲン=「アレルギーを誘発するもの」から、体を遠ざけるのが、アレルギー治療の基本中の基本!ダニなどの場合、ゼロにすることは不可能だが、「この数なら体は大丈夫」というところまで減らせれば、大きな効果がある。 ダニはあらゆるアレルギーの敵! 生活習慣の改善 免疫も含め体の「強さ」を支えるのは、やっぱり生活習慣!同じアレルゲンでも、体調によって「アレルギー症状が出ない」「出ても軽くてすむ」ということが確認されている。体の「地盤がため」もしっかりやろう。 アレルギー対策「生活習慣」編 症状の緩和 アトピーで皮膚が炎症を起こしただれている、花粉症のあまり鼻水が止まらず生活もままならないなどの場合、まずは激しい症状を薬などでしずめる必要がある。また、そこまで悪くなる「きっかけ」を減らすために、日々の「お手入れ」も大切だ。 アレルギー対策「スキンケア」編 アレルギー・アトピーの薬ってどんなもの?
ダニは色々なアレルギーの「下地」になりやすいと言われている。まだアレルギーでない人も予防の意味で、まずは「布団」からダニ退治するコツを実践してみよう。 目次 ダニー君のホームステイ先はここ! できるコトから始めてみよう ~ダニ-君、布団から追放キャンぺ-ン~ ダニー君のホームステイ先はここ! ダニは、あらゆるアレルギーの「下地」になりやすいと言われている。つまり、あまりたくさんダニに囲まれ続けると、色々なアレルギーが発症しやすくなるのだ! 従って、まだアレルギーを発症していない人も、「予防」の意味でダニー君(ダニ)には注意したい。 ●好きな環境 気温20~30℃、湿度60%以上エアコンの普及などで、ますますダニ-君にとって「居心地の良い家」が増えている ●困ったところ その死骸やフンがアレルギーを誘発!つまり問題は「生きている」ダニ-君ではないのだ ●好きな食べ物 ホコリに含まれている髪の毛、フケ、あか(たんぱく質もの)ホコリのある所には、ダニー君がいると見て間違いない ダニ-君の「お気に入り」場所★ベスト5 第1位 食卓の椅子(ソファー) 第2位 ぬいぐるみ 第3位 じゅうたん・カーペット 第4位 布団・マットレス 第5位 押し入れ できるコトから始めてみよう~ダニ-君、布団から追放キャンぺ-ン~ 上のランキングを見ると、まず椅子・ソファーが気になるが、ここでは特に「布団」についてポイントを上げてみる。というのも、布団は一日の中で、一番長い時間接触しているところだからだ。また無意識に「ポリポリ」かいているのも、布団の中が一番多いはず。ベスト5すべてにとりかかる前に、まずは布団から! まずは掃除機! アトピーなどの場合、布団はたたくと逆に死骸・フンが浮き出てきて「逆効果」ということもある。掃除機の先に、布団用の「アトピーローラー」などをつけて、床と同じようにお掃除(できれば表・裏とも)!ただし、あまり神経質にならないで。2週間に1回でも効果が確認されている。 黒い袋カバーに入れて干す 「黒」は熱を吸収する色。これに入れて干した布団は温度が上がり、ダニー君がいなくなりやすい。黒のビニール袋で作ってもよし、最近では通販などでも気軽に買える。始めはちょっと面倒だが、できれば習慣づけてしまおう! 忙しいときには「包む」ではなく「上からかぶせる」でも、ちょっと効果がアップする。 ダニー君のとの関係は「水に流す」 特に「アレルゲン」として指摘されているのは、ダニー君の「フン」なのだが、これは水で流れてしまう。ならばシーツや枕カバー(なるべく平織りのもの)、寝巻きをこまめに洗うだけでも効果アップ! 「丸洗い」できる物を選ぼう! ダニー君退治には、布団を「買う」段階からもこだわりたい。できるだけ「丸洗い」できる物を購入し、洗濯機で洗ってしまった方が、掃除機をかけるよりラクかもしれない。特に「パイプ枕」などはオススメだ。注意するのは、防ダニ「加工」のもの。薬剤などが使用されている可能性があるので確認すること。
アレルギーも「体調」や「ストレス」に大きく左右される。これらを整えて、アレルギーを発症させないようにしよう! 目次 「体調」を常にキープするには…生活改善実践 ストレス解消はアレルギー解消にも! 「体調」を常にキープするには…生活改善実践 アレルギーの人には… アレルギーも「体調」で大きく左右される。基本の身体が生活習慣で良く保たれ、「体調」が良ければ、アレルゲンに接触しても症状が出ないことだってあるのだ。 アレルギーではない人には… 逆にアレルギーのなかった人が、体調の悪いときにアレルゲンと接触し、そこから発症してしまった!ということもある。アレルギー予防の意味でも、毎日の楽しい生活のためにも体調は常にキープ! ●睡眠は忙しい現代でないがしろにされがちだが、規則正しい深い眠りは、実は生活習慣の最も基本! ●疲労をためない。疲労は免疫力の低下や自律神経の変調をもたらす。こうしたことは案外、肉体疲労などより、体調を崩しやすい原因だ。 ●普段から、鼻で呼吸できる、軽い有酸素運動を!自律神経のはたらきを良くし、アレルギー反応をおさえやすくなる。ある調査によると、口呼吸から鼻呼吸へ変えただけでアレルギーが改善したというケースもある。 ●一定のリズムをもって、体にストレスを与えない、ためない生活をする。ストレスもアレルギーの発症や悪化に確実につながるので、上手にストレス解消。 ●辛い食べ物、アルコールなどの刺激物はほどほどに。たんぱく質などはとりすぎるとアレルギー体質になるとも言われている。 ●たばこはかなりの刺激物だ。アトピーの子どもの前で親がたばこをプカプカ…なんていうのは、あまりオススメできない。 ストレス解消はアレルギー解消にも! ストレスは実は、アレルギーの影の大物犯人。現代のストレス社会を乗り越えるためにも、その中でアレルギーを発症・悪化させないためにも、ストレス解消・リラックス方法は現代人の必須科目だ! 心のストレスには…「笑う生活」 複雑な人間・社会関係の現代では、心のストレスもたまりがち…。しかし心の状態は、アレルギーと深く関わる「免疫」にも影響する。事実、ストレス解消となる「笑い」は免疫力をアップし、自律神経を活性化すると確認された。逆に精神的にショックなことがあると、著しく免疫力がダウンすることも分かっている。 体のストレスには…リラックス方法と運動 体へのストレスもアレルギーと深く結びついている。「ためない」で上手く解消しよう! 体の疲れには、まずは「ほぐす」「しずめる」=リラックスが大切だ。しかし例えば「一日中デスクに座りっぱなし」などの場合は、逆に運動不足が、体へのストレスとなってしまっている。現代日本では、むしろ後者の方が深刻かもしれない。適度な運動は、自律神経を整え、筋肉の緊張をほぐし、その後「ゆったり」できるようになる。 ストレスについて知っておこう いろいろなストレス解消法
肌の「ガサガサ」から始ってしまうアトピーもある。そうなる前に、体もしっかりスキンケアしよう! 目次 「肌荒れ」から始ってしまうアレルギーもある 「肌荒れを起こさない」工夫をしよう! 「肌荒れ」から始ってしまうアレルギーもある アレルギーの人には アトピーなどでは肌が荒れると、これまでのかゆいのが更に悪化することがよくある。またせっかく症状が落ち着いていたのに、何かのきっかけで一度ひっかいてしまった後、ひどい状態に進行してしまった…なんてことも。 アレルギーではない人には アトピーでなくても、冬などに一度ひっかき始めてしまったら止まらなくなって、肌がかさぶたに…なんて経験がある人も多いのでは?「かく」と細かい傷が皮膚につき、そこからホコリや菌が侵入するためだ。 これらを防ぐためにも、「肌荒れを起こさない」工夫をしよう! ここでは主に「体」のスキンケアを扱うので、顔についてはこちらへ。 スキンケアの3つの基本STEPを押さえよう 注:ただし顔にアトピーが出ている人は避けてください。 「肌荒れを起こさない」工夫をしよう! 上手に傷つけずに洗う お風呂に入るとナイロンタワシやタオルで「ゴシゴシ」!あかもよく落ちる気がして気持ちいいようだが、しかし現代人の皮膚が弱ってきている原因のひとつに「洗いすぎ」が問題視されている。そもそも人間の角質は、不要な分は「石けん」の泡だけで十分に落とすことができる。ゴシゴシする必要はないのだ。強くこすれば、それだけ皮膚に傷がつきやすく、アレルギーを誘発しやすくなる 皮膚の水分を逃さない 肌荒れ防止には「保湿」とよくいうが、アトピーが出てない段階でクリームやワセリンをこまめに塗るのは結構、面倒だ。そこで入浴剤!「保湿効果」のあるものは、お風呂を上がってからつけるクリームより50倍も肌への浸透率が良いというデータもある。ただし、すでにひどいアトピーが発症している場合は避けること。また量をケチると効果は半減!きちんと表示通りに入れよう! 水滴をとる アナタが敏感なお肌なら、お風呂あがりに、景品のタオルでは頂けない。タオルの吸水量は多いが、表面のデコボコが意外に刺激となる。一番良いのは日本の知恵「手ぬぐい」。吸い取る量は少ないが、水分はサッと取れ、平織りなので刺激も少ない。しっかり絞って干せば翌日には乾くので、海外旅行などにもオススメの逸品。 「保湿」ケア 顔を洗ったり、オフィスで乾燥するときにはローションや乳液をつけるのに、体はほっぽらかし…では、やっぱりガサガサに。お風呂あがりや「乾燥するなぁ」と思ったら、ぜひ乳液を!ただしすでに「ただれ」「かさぶた」などがある所には、クリーム状のものは禁止。そのときは軟膏を使用すること。
アレルギーの薬にはステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などがある。しかしそれを効果的に、安全に使うには、医師との信頼関係も大切となる。 目次 一番の「薬」はお医者さんとの「信頼関係」 「良いお医者さん」は自分で作ろう 一番の「薬」はお医者さんとの「信頼関係」 アレルギーは「ひとりひとりで違う」病気なので、薬の使い方も実は、とてもデリケートなものだ。「どんな強さのものを」「どのくらいの量」「回数」「どんな使い方」で使用するのか?が判明するのに時間がかかるものなのだ。色々試し、確認しながら進めていく。その間、まず何より大切なのは「お医者さんとの信頼関係」。 「効く」薬を使っても、信頼関係がなければ治らないと言っても良いくらいだ。アレルギーは、医師と患者が力を合わせなければ「最善」の道はなかなか見つからない。そもそも、しかりつけたり脅すようなことを言う、ろくに相手をしてくれないような医師なら、始めから通院は考えものだが、多くは「良いお医者さん」になってくれる。そのためのコツについてはこちら! ステロイド剤ってどんな薬? アレルギー薬の中でも有名なのがこの「ステロイド剤」。副腎皮質ホルモンを合成したもので、特に「炎症」には劇的に効き、2~3日で効果が出始める。しかし「効く」分、依存症や副作用が取りざたされ、同時に「怖い薬」というイメージがある。しかし怖いのはステロイド剤そのものではなく、「使い方」を誤ってしまうこと。そのためにも医師との信頼関係が重要なのだ。 ケース1:アトピーでステロイド軟膏をもらったが、副作用が怖いので「1日3回」と言われたが、1回しか塗らなかった。 →改善しないため長期間使うことになり、結局塗った量は増えてしまった。あるいは医師はもっと強いステロイド剤に変えることになった。 ケース2:ステロイド軟膏を続けていたが、いつになれば止められるのか不安になり、塗るのを止めたらリバウンドして、余計ひどくなった。 →段階的に弱いステロイド剤に変えている途中だったのに、結局もとの強いステロイド剤に戻ってしまった。 ステロイド剤は「ずーっと(しかも強いまま)使う」薬ではない。最初の「ひどい状態」をしずめる「スタートダッシュ」に使うのだ。したがって、短期間のうちにしずめる一番効果的な量・回数が考えられている。それを素人判断で変える前に、まずは「相談」してみよう! 抗ヒスタミン剤ってどんな薬? アレルギーの症状は、「アレルゲンが来た!」という信号となる化学伝達物質のヒスタミンなどが末梢神経に近づき、それが脳に伝わって、初めて出る。そこで、抗ヒスタミン薬でヒスタミンに先回りして末梢神経に密着し、ヒスタミンが近づけないようにガード。すると信号が脳へ伝わらないために発症しないのだ。これは速効性のある「かゆみ止め」に使われる。 抗アレルギー剤ってどんな薬? ヒスタミンそのものが作られたり、放出されるのをおさえる薬。現在、花粉症では、一般的に使われている。アトピーなどでは、かゆくて眠れないときなどに内服で使用する。 「良いお医者さん」は自分で作ろう アレルギー治療で一番良いのは通いやすい「近所の専門医」。しかしそこの医師が、何だかそっけなかったらどうしよう…?「良い医者がいない」とはよく聞くが、診察を受けている側にも「やる気のある態度」が見えなければ、医師もそっけなくなるのは当たり前。むしろ多くの医師は、積極的に質問すれば「この人は治そうという意志があるんだな!」と感じ、積極的に関わってくれるはず。「薬の説明もされなかった」とよく聞くが、その薬を渡されたときに、まず「どんな薬ですか?」と尋ねてみただろうか?医者を「良く」も「悪く」もしているのは、患者の態度にも理由があるのだ。 上手にお医者さんにかかるコツ 1. そのときの診療の目的や質問などはメモに書き出していく(ただし、あまり多くては時間も足りないので1回につき1つに絞って) 2. これまでの状態・経過・取り組んだことの記録などを提示する(カンタンなものでもOK!) 3. 自分で取り組んでみたいことなどは、事前に相談してから 4. 改善しても、勝手に薬と通院を止めないで状態を見せていく
アガリクス茸は本当に効くの?大人になればアトピーは治るの?など、アレルギーやアトピーのギモン、お答えします! 目次 アレルギー体質かどうかは、どうやって調べるの? アレルギーは遺伝するの? アレルギーだと、もう卵や牛乳はダメなの? かゆければ、やっぱり「アトピー」? 大人になるとアトピーは治るの? アガリクス茸などがアレルギーに良いってホント? アレルギー体質かどうかは、どうやって調べるの? 一般的には、病院などで、血液中のアレルギー抗体値(IgE抗体値)を計測して調べる。IgEとは、異物が体に入ってきたときに迎え撃つ武器のひとつで、血液中に多くある(抗体値が高い)ほど、アレルギー反応を起こしやすい=アレルギー体質と考えられる。ただし、アレルギー抗体値(IgE抗体値)が正常値でもひどい症状の場合もあり、逆に抗体値が1万を超えるような(正常では200)人でも無症状の場合もあり、すべてを抗体値だけでは測りきれない部分がある。 アレルギーは遺伝するの? 残念ながら、遺伝的な要素は大きく、両親ともアレルギー体質の場合、ほぼ100%その子どももアレルギー体質と言われている。しかし「体質」なだけで、病気そのものが遺伝するわけではない。子どもが必ず発症するとは限らないのだ。そのためにもダニなどのアレルゲンの除去や、生活習慣改善で「予防」しよう! アレルギーだと、もう卵や牛乳はダメなの? 食べて悪化するようなら止めるべきだが、血液検査(IgE抗体値)では、たまごにアレルギー反応が陽性に出ていても、食べて大丈夫な場合もある。アレルギーでの「食」の基本は、色々なものを少しずつバランス良くが理想的。やみくもに食品排除に走ると、少ない種類のものばかり食べるようになって、かえってそちらにアレルギーが出てしまうこともある。 かゆければ、やっぱり「アトピー」? 皮膚の場合、アトピーやアレルギーでなくても一時的に季節の変わり目などで、猛烈にかゆくなるということもある。特に赤ちゃんの場合、水分が多く「皮脂」が少ないので、意外に皮膚バリアが弱く、カンタンにかゆくなるもの。まずは決めつけず、皮膚バリアを補うスキンケアをしながら、冷静に状況を観察した上で、おさまらないようなら専門医で検診を。 大人になるとアトピーは治るの? 小さい子どものアトピーは、消化や免疫、皮膚などの機能が、まだしっかり安定していないことから起きているケースがほとんどなので、それらが発達してくる5~17歳までに治まるというケースはよくある。しかし根本的にアレルギー体質である場合、これを治すことはできない。したがって大人になれば仕事や家庭で忙しく、そうしたストレスからまた再発ということもある。幼児期にアトピーだった人は、遺伝子に「良い生活習慣で、ストレスをためない生活をしなさい」と言われている人なのだと肝に銘じよう! アガリクス茸などがアレルギーに良いってホント? 青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)や、きのこのβ-Dグルカンなど、「健康食品」への関心は最近ますますヒートアップしている。普通の食品で、しかも特に日本の伝統食が「効く」というのは喜ばしいことだ。しかし、アレルギーは基本的に「○○(だけ)で治る!」というものではない。そうした効果をうたった食品や、治療方法には十分気をつけよう!
64%の人がアトピー炎症反応が軽減 アトピー性皮膚炎の炎症反応が、ウーロン茶によって抑えられるといわれています。 滋賀医科大学皮膚科教室の上原正巳氏らは、外来治療を6ヵ月以上続けている成人アトピー性皮膚炎患者121人に、市販の2.5倍の濃度のウーロン茶を1日400ml、4週間服用させるという調査を行いました。 その結果、皮膚症状が「著しく改善」した人は22人で全体の18%、「かなり改善」した56人と合わせると78人(64%)にも達しました。改善した大多数が服用4~5日目からかゆみが軽減し、紅斑が減少したということです。 抗アレルギー剤と同じくらいの効果 この報告は、アトピー性皮膚炎の治療に使われている抗アレルギー剤の4週投与による症状改善率が50~70%であることを考えると、「ウーロン茶はアトピー性皮膚炎の症状を軽減する効果がある」といえるのではないでしょうか。
アトピー体質とは遺伝的なアレルギー体質 アトピー体質、アトピー素因というのは、簡単にいえば遺伝的なアレルギー体質のことです。 アトピー体質の人には次のような特徴があります。 遺伝的要素が強い 若年時に発症し複数のアレルギー疾患を合併する 血清中のIgE値が高い アレルゲン皮膚反応が陽性 血液中の好酸球が増加する…など これらの因子により、他の人よりもアトピー性皮膚炎やぜん息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、じんましんを起こしやすいのです。 アレルギー反応が皮膚に起こったアトピー性皮膚炎 アトピー体質の人に起こる慢性湿疹を、アトピー性皮膚炎といいます。アレルギー反応が皮膚に起こるわけです。 従来は、子供のころに発症して、成長するにつれて治ると考えられていました。しかし、最近では大人が発症したり、成長しても治らないケースも見られます。 アトピー体質の人は、複数のアレルギー疾患を合併することもあります。一人の患者にアトピー性皮膚炎、ぜん息などのアレルギー疾患が次々と起こることを アレルギーマーチと呼びます。