国立がん研究センター研究班は、全国がんセンター協議会(以下、全がん協)加盟32施設のがん患者さんのデータを集計・解析して、5年生存率、10年生存率を全がん協ホームページで一般公開しました。2002~2005年にがんと診断され治療を受けた患者さんの10年生存率は56.3%で、がんを発症する臓器(部位)別の10年生存率が高いのは、前立腺95.7%、甲状腺84.3%、乳房83.9%、子宮体80.0%などでした(2019年4月9日プレスリリースより*)。
国立がん研究センター研究班「がん登録データと診療データとの連携による有効活用に関する研究班」は全がん協の協力を得て集計した結果を報告しました。
1997~2010年に、全がん協加盟32施設で診断・治療を受けた60万4910例のデータを集計して、5年生存率(正式には相対生存率といいます)と10年生存率を集計しました。
まず、5年生存率に関しては2008~2010年の32施設における14万675例を分析しました。その結果、5年相対生存率は67.9%でした。
部位別では、前立腺は100%、90%以上は乳房と甲状腺、80%以上は子宮体、70%以上は大腸(結腸がん、直腸がんを合わせています)、子宮頸部、胃などでした(表1)。
部位別10年生存率は、2002~05年の7万285例(20施設のデータ)を分析しました。
その結果、全体の10年相対生存率は56.3%でした。なお、前回集計の2001~2004年の全部位全臨床病期の10年相対生存率55.5%でした。
部位別に見ると、前立腺が95.7%と最も高く、ついで甲状腺84.3%、乳房が83.9%、子宮体が80%などと高く、大腸、胃、子宮頸部は60%台でした(表2)。
研究班では、1999年から診断された患者さんのデータを集計して、部位別の臨床病期別5年生存率や施設別5年生存率を公開しています。
2012年からはがん種、病期、性別、年齢、初回治療など様々な組み合わせで生存率を閲覧することや、より長期にわたる生存率を把握するために10年生存率を閲覧できるデータベースシステムKapWebを公開するなど、先駆的な取り組みを行っています。
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