疾患・特集

がんになっても動ける体でいるために!がんロコモ対策(1)

最近、がんで逝去された女優さんが亡くなる1ヵ月前に骨折を起こしていました。がんの骨転移やがんの治療で、立つことや歩くことすらままならない「がんロコモ」(がんとロコモティブシンドローム:運動器症候群)になることがあり、そのままにしておくと、骨折や下半身不随で一生寝たきりになる可能性がありますので、がんロコモ対策は重要です。

がんロコモ対策が遅れると歩くことができなくなることも

歩くことができなくなることも

がんロコモは、がんそのもの、あるいはがん治療によって体を動かすことがつらくなることや、足腰が痛くなって動けなくなることをいいます。がんロコモの対策を早くしていないと、普段の生活がとても不自由になります。また、介護してもらう必要性もでてきます。
大阪国際がんセンター緩和ケア認定看護師の田平芳子さんは「動けなくなってからロコモ対策をしても、なかなか回復せずに要介護の状態になる可能性があります」と注意を促しています。リハビリテーションなどのがんロコモ対策に早く取り組むことで、楽に歩けるようになること、足腰が痛い悩みが解決できることもあるとのことです。

原因がわかると問題が解決する場合も

がんロコモ対策では、動くことがつらい理由、足腰が痛い理由が、がんによるものなのか、あるいはがん以外によるものなのかを明らかにすることが重要になります。
例えば、がんの痛みと思ってあきらめていたのが、実は関節の病気だとわかって治療を受けたことで回復したケースや、足腰の痛みの原因が、実はがんの骨転移だとわかって、がんの治療とリハビリテーションによって痛みが軽くなったケースがあります。

がんが骨に転移したのか、がん治療が原因なのか理解しよう

がんロコモは、がんが骨に転移するケース、がんの治療によって骨や関節、筋肉、神経などに障害がおこるケースがあります。以下をご参照ください。

  • ●骨に転移するがんロコモ:
    ・痛み、骨折、麻痺(しびれ)、ふらつき、歩きにくくなる
  • ●治療によるがんロコモ:
    ・抗がん剤の副作用、手術や放射線治療により体を動かすことが困難になる
    ・長期間にわたる入院や安静のために筋力や体力が低下する(廃用症候群といいます)

がんロコモ対策は、骨転移やがん治療、あるいはがんと関係のない病気や障害など、何が原因なのかを理解したうえで、より早く、適切な治療やリハビリテーションを受けること、自身の筋力や体力をつけることが重要です。
田平さんは「体を動かすのが困難だった患者さんが、適切な治療やリハビリテーションを受けて生活が一変したケースがあります。介護状態になる前の対策が重要です」としています。

公開日:2018/10/19
監修:大阪国際がんセンター緩和ケア認定看護師 田平芳子さん