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長引く鼻水の原因はダニアレルギー?日医大・大久保公裕先生に聞く

アレルギー性鼻炎といえば毎年春の花粉症が思いだされますが、ダニが原因となるアレルギー性鼻炎をご存知でしょうか。春や秋の季節の変わり目に自宅でくしゃみや鼻水がひどくなってしまう方はダニアレルギー性鼻炎かもしれません。日本医科大学大学院頭頸部・感覚器科学教授の大久保公裕先生にダニアレルギー性鼻炎の効果的な対策について聞きました。

梅雨の時期や台風が来たときに要注意

ダニは、湿度が高い環境を好みます。室内の温度や湿度が高まる梅雨の時期や、台風が来たとき、ダニは繁殖しやすいと言われています。また、近年は隙間のない気密性の高い住宅が多くなり、ダニが繁殖しやすい環境になっていることが指摘されています。

ダニアレルギー性鼻炎は、生きたダニだけでなく、その死骸や糞に曝露されることによっても発症します。

実は、秋のアレルギーに関しては原因としてダニが最も多く存在することが指摘されています。ダニアレルギー疾患としては、喘息や鼻炎が知られています。

大久保先生によると、対策に関しては室内の掃除をこまめにすることや、掃除、空気清浄機や防ダニシーツ、布団カバーの使用といった生活環境を改善することが重要とのことです。

患者さんは花粉症ほど強く訴えないようです。ダニに曝露される量は花粉ほどではないために、くしゃみや鼻水などの症状は花粉症ほどひどくならない、あるいはダニアレルギー自体の認知度がいまだに低いことが考えられます。

梅雨の時期や台風が来たときはダニに要注意

舌下免疫療法の錠剤に注目

ダニアレルギー性鼻炎に対し、医療機関で受ける治療としては花粉症と同様の経口の抗アレルギー薬のほか、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、経口の抗アレルギー薬のように症状を一時的に抑えるという対称療法ではありません。アレルギーの原因物質(アレルゲン)を主成分とした薬剤を少しずつ摂取し、免疫つけることによって自身の体質を変えていく治療法です。
以前から皮下注射がありましたが、2015年に舌下免疫療法を医療機関で受けられるようになりました。舌下免疫療法は2014年にスギ花粉に対する舌下のエキス製剤が保険適用として認可されたのが初めてで、2015年にはダニアレルギー性鼻炎に対して舌下の錠剤が保険適用として承認されました。また、小児に関しては2018年3月から保険適応となりました
なお、花粉症に関しては2018年5月に舌下の錠剤が承認されることになりました。

数年間継続すると治療を中止した後でも効果が長期持続する報告あり

患者さんは、舌下免疫療法の認定医師から処方されて治療を受けることができます。舌下錠剤の使用法は、舌の下に薬剤を置いて溶解するまで保持した後に飲み込み、その後は5分後まではうがいや飲食を避けるというものです。治療開始以降から薬剤に含まれるアレルゲンの量を多くしていくことにより、免疫をつけて体質を変えていきます。
舌下免疫療法は、ダニに曝露されてもアレルギーを発症しにくくなる効果が期待できます。数年間にわたって服用したほうがよいと言われています。というのは、舌下免疫療法を数年間にわたって継続することにより、治療を中止した後でも長期にわたって効果が持続するという報告もあります。
国民病といわれているアレルギー性鼻炎ですが、花粉症もダニアレルギー性鼻炎も患者さんによっては根治が可能な方もいます。ただ、服用は毎日ですので、治療を継続するための自己管理は患者さん自身が工夫することが必要です。医療機関の医師などに相談することも重要です。
年中にわたって鼻炎に悩んでいるあなたにはダニアレルギーかもしれません。生活環境の改善もあわせてダニアレルギーに対する舌下免疫療法を受けることも手かもしれません。

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公開日:2018/06/04
監修:日本医科大学大学院 頭頸部・感覚器科学 教授 大久保公裕先生