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線維筋痛症患者の低血糖対策として間食も有効

線維筋痛症患者さんは、血圧が低下しやすく、その要因としては低血糖に陥りやすいことが永田勝太郎医師から指摘されています。同クリニックでは、線維筋痛症患者さんを対象にした勉強会で、音楽療法士・看護師の資格を持つ雨宮久仁子さんが食生活習慣を改善するコツについて講義しました。意外だったのは、間食が重要な対策になることです。低血糖を予防するための食事の摂りかたなど紹介します。

千代田国際クリニック・患者さん勉強会

線維筋痛症患者さんでは、血圧が低下しやすく、その要因としては低血糖に陥りやすいことが千代田国際クリニック院長の永田勝太郎医師から指摘されています。同クリニックでは、線維筋痛症患者さんを対象にした勉強会を定期的に開催しています。勉強会では、音楽療法士・看護師の資格を持つ雨宮久仁子さんが講師となって、栄養学を踏まえたうえで食生活習慣を改善するコツについて講義しました。意外だったのは、間食が重要な対策になることです(2018年2月3日開催の千代田国際クリニック・「痛み」患者さんのための音楽・食事療法の勉強会より)。

写真:「痛み」患者さんのための音楽・食事療法の勉強会
写真:「痛み」患者さんのための音楽・食事療法の勉強会

一番奥が講師の雨宮久仁子さん。雨宮さんは、音大卒業後に看護師の資格を取得し、千代田国際クリニック看護師として従事しています。勉強会当日は、音楽療法も行われていました。雨宮さんは、「Ombra mai fu(作曲:ヘンデル)」、「なごり雪(作詞・作曲:伊勢正三)」、「幻想即興曲(作曲:ショパン」、「メヌエット(作曲:モーツァルト)」をエレクトーンで演奏していました。

血糖値スパイクによる低血糖に注意する

雨宮さんによると、快適な生活をするために体の調子を整える栄養素としてタンパク質、脂質、炭水化物(糖質)、無機質、ビタミンがあります。これらの5大栄養素の中で重要なのは糖質です。糖質が糖代謝により分解されると体のエネルギー源となるブドウ糖になります。また、脳や神経組織、赤血球などは通常ではブドウ糖をエネルギー源としています。特に、脳は約20~40%のブドウ糖を消費します。
血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことを血糖値と言います。通常、食後に血糖値が上昇すると、膵臓が刺激されて分泌されたインスリンがブドウ糖を細胞に取り込ませて代謝することで、血糖値が下降して正常値に戻るというサイクルを繰り返します。
そこで、食後の血糖値が急上昇と急下降をしてしまう血糖値スパイクに注意しなければなりません。血糖値スパイクの目安は、空腹時と食後高血糖の差が60mg/dL以上と言われています。

血糖値スパイクは糖化や酸化、老化を促します。たとえば、食後の血糖値が高くなる状態を繰り返す生活習慣を続けていると、ブドウ糖がタンパク質や脂質と結合することで終末糖化産物が生成されるといった劣化反応としての糖化も頻繁に起こることになります。
結果的に、血管内皮細胞の機能が障害されて赤血球が血管内をスムーズに移動できないことなどによって血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなります。また、体内の各組織に酸素が供給されにくくなります。循環障害が起こることになるのです。
血糖値スパイクを放置しておくと、動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞などを発症することがあります。また、がんや認知症などの発症にもつながります。
血糖値スパイクで恐いのが低血糖です。低血糖に関しては、食事の摂取の量が少ないときや、エネルギーを消費しすぎてブドウ糖が足りなくなったとき、また膵臓が過敏に反応してインスリンが過剰に分泌されたときや、膵臓の機能が低下したときに起こります。低血糖に注意する目安としては、血糖値が80mg/dL未満と言われています。

膵臓をいたわるためにGI値を参考に食行動の習慣を改善することも有用

過食や過度なダイエット、食べすぎ(ドカ食い)、早食いなどの悪い食習慣を続けていると、膵臓が過敏に反応してインスリンが過剰に分泌されてしまい、結果として血糖値スパイク、さらには低血糖を起こす危険性が高くなります。
そこで、自身のこれまでの食行動を見直して食事や間食の摂りかたを工夫することが身近な予防策になります。

低血糖を防ぐために、食生活の改善点を以下にまとめました。グリセミック・インデックス(glycemic index:GI)に関しては、食品ごとに食後の血糖値上昇度を示しています。具体的には、基準食(ブドウ糖、白米、食パンなど)を摂取した後の血糖値の上昇率を100とした場合、その基準に対して各食品を同量摂取したときの血糖値上昇率のことをいいます。高GI値食品(GI値70以上)、中GI値食品(同56~69)、低GI値食品(同55以下)が目安となります。
普段の食事を見直して、GI値が低い食品に置き換えるという工夫もできます。意外ですが、夜間低血糖をはじめ血糖値が低い状態を放置しないためには間食も重要な対策になります。間食する際は、GI値を参考にして食品を選択することも方策といえます。

雨宮さんは、「食行動の習慣を改めることで血糖値を急激に上げないこと、血糖値の低い状態を放置しないよう心がけることにより膵臓をいたわってあげることが、血糖値スパイクや低血糖を防ぐこと、健康につながります」と強調しています。

写真:低GI値食品「ごまプリン」
写真:千代田国際クリニックの医療スタッフによる手作りの低GI値食品「ごまプリン」

ごまは、食物繊維が豊富でGI値が低く、ゼラチンは動物性蛋白質です。勉強会でクリニックのスタッフが参加者にふるまった、手作りのごまプリンは血糖値を上昇させない食品です。砂糖の代わりにてんさい糖を用いています。

低血糖を予防するための食事の摂りかた

早食い、ドカ食いをしない

  • 早食い、ドカ食いはインスリンの過剰分泌をひきおこし、血糖値スパイクの原因になる。
  • 口に入れたら箸を置く、スプーンではなく箸を使う、利き手でない方で食べるなど、ゆっくり食べる工夫をする。

食物繊維から摂る

  • 食物繊維は消化に時間がかかる。例えば、サラダから食べはじめると満腹感が増す。

タンパク質を多めに摂る

  • 肉や魚を食べるときには、付け合せのソースなどに注意する。
  • 糖質を減らした分、足りないと思ったら、ゆで卵を追加する。

炭水化物(糖質)は最後に摂る

  • 消化に時間がかかり、血糖値はゆるやかに上昇するので、おかずを3分の2食べてからご飯を摂取する。糖質の多いおかずは注意する。
  • 締めのラーメン:腹6分目で、小ラーメンをゆっくり、味わって食べるのならOK。

低GI食品に置き換える

  • GI:glycemic index(グリセミック・インデックス)。食後血糖値の上昇度を示す。GI値が高いものほど血糖値を上げやすい。つまり、血糖値スパイクを起こしやすい。
  • GI値からカレーライスを工夫:白米を玄米、ジャガイモをレンコン、ニンジンをキノコに。

提供:千代田国際クリニック・雨宮久仁子さん