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無意識に筋肉が動いてしまう!?周期性四肢運動障害とむずむず脚症候群

周期性四肢運動障害は、無意識に筋肉が動いてしまう障害のことで、睡眠の質を低下させる原因にもなります。周期性四肢運動障害の人の多くにむずむず脚症候群が見られるということはありませんが、むずむず脚症候群の人の多くに周期性四肢運動障害が見られる傾向があります。

むずむず脚症候群の人に多い周期性四肢運動障害

むずむず脚症候群は、その名の通り、脚などがむずむずするような不快さを感じたり、脚を動かさずにいられなくなったりする病気です。英語のレストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)のレストレスには「静止することのない」という意味があります。

このむずむず脚症候群は安静にしている時に症状が出やすいため、入眠を妨げ質の良い睡眠を困難にします。そして、むずむず脚症候群の症状が見られる人は、同時に周期性四肢運動障害(Periodic Limb Movements in Sleep:PLMS)の合併が見られることが多いようです。
周期性四肢運動障害は、夜間ミオクローヌス、睡眠時ミオクローヌスとも呼ばれ、これも睡眠の質を低下させます。

睡眠の質を低下させる

無意識に筋肉が動いてしまう周期性四肢運動障害

ミオクローヌスとは、筋肉の不随意運動のこと。自分が意識して動かしているわけではないのに、動いてしまうことをいいます。

この症状が起きやすい部位は股関節、足首、足の指など。国立保健医療科学院・土井由利子主任研究官の調査結果によると、男性2~5%、女性8~12%で周期性四肢運動障害の症状が見られるそうです。そして、比較的中高年に多く見られる傾向があり、妊婦にもこの症状が見られることがあります。

周期性四肢運動障害の人の多くにむずむず脚症候群が見られるということはありませんが、むずむず脚症候群の人の多くに周期性四肢運動障害が見られる傾向があります。

周期性四肢運動障害の診断

その周期性四肢運動障害も、まず診断が必要になります。客観的にこの疾患を診断するためには、本人がその症状に気づいていないことも多いため、観察者の説明が必要な場合もあります。その際、普段の生活で隣に寝ている人が、その人の眠っている時のことを医師に説明することになります。

そして、睡眠時無呼吸症候群の診断にも使用されるような終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と呼ばれる電気的に睡眠の状態を確認できる装置を使用して眠ることになります。

周期性四肢運動障害の治療

むずむず脚症候群も、周期性四肢運動障害も根本的な原因は不明で、治療方法も確立されていません。ただ、これらを合併している場合、むずむず脚症候群に対する治療が行われ、それが周期性四肢運動障害の症状を改善させる可能性があります。

むずむず脚症候群でも、原因のひとつに体内の鉄分不足が疑われており、鉄剤の服用や食事から鉄分を積極的に摂ることになります。カフェインやアルコール類は睡眠の質を低下させるために、あまり摂るべきではないでしょう。

また、薬物療法としては、筋肉の不随意運動の回数を減らすもの、睡眠時に目覚めてしまう回数を減らすものなどが処方されています。

心療内科や睡眠障害の専門医などの受診を

残念ながら、根治のための治療方法は見つかっていないむずむず脚症候群と周期性四肢運動障害ですが、これらは睡眠を妨げるために活動時にも悪影響を与え、生活の質を大きく低下させます。

これらの症状があっても、その病気であることに気づいていない場合も多く、もしも心当たりがある場合は病院などの医療機関での診察が必要になります。心療内科や神経科、精神科を掲げている病院、睡眠障害の専門医がいる病院がおすすめです。

公開日:2016/11/07