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ピロリ菌は塩素で消毒ができる?

胃や十二指腸などの病気や胃がんの原因ともなるピロリ菌。さまざまな感染経路がありますが、水道水は塩素で消毒されているため、ピロリ菌も殺菌されています。

ピロリ菌への感染を防ぐには?

胃の粘膜に生息し、胃や十二指腸などの病気や胃がんの原因ともなるピロリ菌。一度感染すると、多くの場合除菌をしない限りは胃の中に住み続ける厄介な菌です。

では、このピロリ菌に感染しないためにはどのような方法が有効なのでしょうか?

ピロリ菌の大部分は、飲み水や食べ物を通じて人の口から体内に入ると考えられています。ということは、飲み水や食べ物自体にピロリ菌が含まれないように注意することが大切になります。

現代の日本の環境では、水道水からピロリ菌に感染することはほとんどありません。なぜなら、水道水は塩素による消毒が施されていて、ピロリ菌が殺菌されているからです。

塩素が体に悪いということで、浄水器やミネラルウォーターを利用する人も多くなっていますが、塩素も健康を守るためには必要不可欠なものであることがわかります。

水道水からの感染はほぼないと考えられても、人から人への感染はあります。ピロリ菌は、ほとんどが5歳以下の幼児期に感染するといわれていて、母から子などの家庭内感染も原因のひとつと考えられます。

それでは、このピロリ菌に感染するとどのような病気になる可能性があるのか、感染が疑われる場合の対処方法について、ご紹介しましょう。

ピロリ菌が原因となる病気は?

ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症がおこり、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。

ピロリ菌の感染が長引いた場合、胃粘膜の感染している部位が広がり、最終的には胃粘膜全体に広がり、慢性胃炎を引き起こします。また、この慢性胃炎が長期間続くと、萎縮性胃炎となり、食欲不振や胃もたれの症状が現れることもあります。

また、ピロリ菌が原因になると考えられている病気に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍があり、患者さんの約90%がピロリ菌に感染しているという報告もあります。

ピロリ菌を除菌できた場合と、できなかった場合の1年間の再発率を比べると、NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)の論文(2001年)によれば、胃潰瘍ではできた場合は11.4%であるのに対して、できなかった場合は64.5%、十二指腸潰瘍にいたっては、できた場合が6.8%に対して、できなかった場合は85.3%という数字もあげられています。

そのほか、ピロリ菌が原因となる病気としては、胃MALTリンパ腫、突発性血小板減少性紫斑病、機能性胃腸症、胃がんなどがあります。

ピロリ菌への感染が疑われる場合の対処法

このように、さまざまな病気の原因となるピロリ菌は、薬で除菌することができるのをご存知でしょうか?

ピロリ菌の除菌療法を始めるには、その対象となる病気(胃潰瘍、十二指腸潰瘍など)があるかどうかを確かめる必要があります。

検査方法には内視鏡を使うものや、血液や尿を採取し抗体の有無を調べる、吐き出された息を調べる、便を採取して調べる、といった方法があります。

このようにして調べた結果、ピロリ菌がいるとわかった場合は、除菌療法を行います。この療法では抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を服用しますが、正しく薬を服用すれば約75%の確率で除菌は成功します。

公開日:2016/04/04