ほくろは年齢や性別を問わず、誰にでもあるものですが、ほくろが徐々に大きくなる、色が濃くなる、硬くなるなどの変化があれば、「ほくろのがん」と呼ばれる悪性黒色腫(メラノーマ)かもしれません。悪性黒色腫(メラノーマ)とは?悪性黒色腫(メラノーマ)が現れる部位やその原因、治療法について紹介します。
ほくろは年齢や性別を問わず、誰にでもあるもの。美容的な観点を別にすれば、ほくろがあるからといって、健康上の問題は特にありません。しかし、そのほくろが徐々に大きくなる、色が濃くなる、硬くなるなどの変化があれば、それは通称「ほくろのがん」と呼ばれる悪性黒色腫(メラノーマ)かもしれません。悪性黒色腫は皮膚がんの一種であり、悪性度が高く、肺や肝臓などほかの臓器に転移することもあります。
悪性黒色腫は、メラニン(皮膚の色の構成要素となる色素)をつくる色素細胞(メラノサイト)や、ほくろを構成する母斑細胞(ほくろ細胞)ががん化することで発生します。良性の一般的なほくろが悪性になる可能性は低いのですが、見た目ではそのほくろが良性か悪性かを判断することは難しいようです。高齢者で多く発生する傾向があるものの、若年者でみられることもあります。
悪性黒色腫のはっきりとした原因はよくわかっていませんが、日本人より生まれつき紫外線の影響を受けやすい白色人種に多く発生することから、ほかの皮膚がんと同様、紫外線が関係すると考えられています。また、日本人では足の裏や手のひら、手足の爪などに現れる人が多いため、日常生活における外部からの刺激との関連性も疑われています。予防のためには、過度な日焼けや刺激を与える行為(焼いてほくろをとろうとするなど)は控えるようにしたいもの。ほくろの大きさや色の変化などが気になる場合は、皮膚科で相談しましょう。
悪性黒色腫の治療は進行の度合いによって異なりますが、主に以下のような治療法があります。悪性黒色腫になる前段階である「悪性黒色腫前駆症」という状態で発見できるのがもっとも望ましく、早期発見・早期治療が何よりも大切だと言えるでしょう。
悪性黒色腫の主な治療法
悪性黒色腫の治療の基本。初めにできた病巣は、まわりの皮膚に転移しやすいので、病巣より数cm広い範囲で切除されます。
手術で取りきれない小さながん細胞が、リンパ節などへ転移するのを防ぐため、手術後に一定期間にわたり、静脈内に点滴注射で抗がん剤が投与されることがあります。
悪性黒色腫ではあまり効果がみられませんが、限られた医療施設で行われている速中性子線や重粒子線という種類の放射線を照射すると、効果が得られることがあります。
がんの増殖を抑えるインターフェロンという薬を、手術後の皮膚転移を防ぐことを目的として、単独またはほかの治療法とともに用いられます。
自らの免疫力を高めることで、治療効果が得られることが期待される方法です。採取した免疫細胞を体外で培養して増やし、再び体内に戻す方法などが行われます。
※上記は初発病巣に対する治療で、転移した場合は手術後の化学療法が中心になります。