肉体的な疲労が溜まってくると肩がこる、腰が重い・痛いと感じる人は多いでしょう。しかし、単に腰が痛いだけでなく、歩いていると足に痺れを感じる、歩きにくくなるといった症状を伴う腰痛は「腰椎椎間板ヘルニア」の可能性があります。
肉体的な疲労が溜まってくると肩がこる、腰が重い・痛いと感じる人は多いようです。特に2足歩行をする人間にとって身体を支える腰には負担がかかる比率は高く、多くの人が日常生活に支障をきたさない程度には「腰痛」をもっていることでしょう。
しかし、単に腰が痛いだけでなく、歩いていると足に痺れを感じる、歩きにくくなる、荷物を持ち上げた時にお尻から足にかけて痛みが走る、腰から脚にかけて痛みが響く、前かがみになったり座っているのがツライ、といった症状を感じたら要注意。このような症状を伴う腰痛は「腰椎椎間板ヘルニア」の可能性が高いのです。
現在、腰痛に加えて前述のような症状を訴えて整形外科を受診する人は全受診者の20~30%と多いといいます。また、老化に伴う疾患というイメージのある腰痛ですが、実は比較的若年層の腰痛の原因として腰椎椎間板ヘルニアが挙げられるため、年齢が若くても腰痛の症状によっては「疲れて腰が痛いだけ」と軽く見ることは禁物です。
椎間板の一部(髄核)が飛び出して神経を圧迫することで痛みを引き起こす腰椎椎間板ヘルニアですが、この痛みは白血球が反応して起こる炎症反応の一つです。
この白血球のはたらきにより、基本的には炎症が続いた後、自然治癒をすることが多いようです。そのため重度の麻痺を伴わない限りは、最低3ヵ月は手術をせずに楽な姿勢で安静に過ごし、痛みの強い時だけ鎮痛剤などを服用して炎症を押さえて様子を見るというのが主流になっています。ただし薬で炎症を抑えすぎると経過が長引くこともあるので薬に頼るのは必要最小限にします。
腰椎椎間板ヘルニアとは、発症してしまうと回復するまで痛みに耐えるという苦しい治療法が選択される疾患なのです。
体の中心部に激しい痛みを抱えたままの生活は苦痛を伴うため、できればこのような症状が発症するのを避けたいもの。
では、日常生活で腰椎椎間板ヘルニアを予防する方法を考えてみましょう。
椎間板ヘルニアを引き起こす人には、激しい運動をしている、前かがみの姿勢で長時間作業をしている、座り続けている、腹筋や背筋が弱い、肥満といった条件が当てはまるといいます。
そこで、日常生活の中では、姿勢に気をつける、腹筋や背筋を鍛える、腹式呼吸をする、荷物を持ち上げたり、中腰の姿勢に気をつける、水泳、ウォーキングなど適度な運動を習慣づけて肥満を予防し健康体重を維持するなどに気を配ることが大切です。
さまざまな要因の中で少なくとも「肥満」だけは日々の健康管理で回避できるもの。痛い思いをする前に体重計のチェックからはじめてみることが大切かもしれません。