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魔女の一撃!?ぎっくり腰はこう対処しよう

重いものを持ち上げたり、激しい運動をするなど、姿勢の変化のはずみに起こる「ぎっくり腰」。あの痛みから、「魔女の一撃」とも呼ばれます。早く治すコツとして、もっとも大切なのは安静にすることです。ぎっくり腰の予防と、回復を早める応急対処法を紹介します。

運動不足が原因で起こる、腰の激痛!ぎっくり腰

腰の激痛!ぎっくり腰

重いものを持ち上げたり、激しい運動をするなど、姿勢の変化のはずみに起こるぎっくり腰。西洋では「魔女の一撃」とも呼ばれるほど、急激に起こる強い痛みが特徴です。しかもイスから立ち上がるなどの日常的な動作でもその可能性はあるというから油断なりません。その痛みの原因は、急激な運動に耐えられずに起こる腰の筋肉の肉離れや腰椎ねんざで、運動不足によるところが大きいといわれています。

つまり、ぎっくり腰の予防は日常生活の姿勢と、腰の筋力強化にあるということです。日ごろから、腰痛体操などを取り入れましょう。

その一撃、まずはこう対処しよう

いざ痛みが起こってしまったときのために、その対処法はしっかりと頭に入れておきたいものです。まず痛みが起こったのが自宅なら、背骨にかかる負担を軽減させるためにすぐに横になりましょう。仰向けに寝て、ひざを曲げたり、ひざ下にクッションを置いて足を高くするのが最も楽な姿勢といわれています。または横向きに寝て、エビのようにおなかをまるめてひざを曲げてもよいでしょう。自分がいちばん楽な姿勢を保ちます。

仕事場や外出先で起こったときには、壁や柱などにもたれて呼吸を整え、落ち着いたら腰を下に垂直に落とすようにして動かないように固定し、ひざを軽く曲げてクッションのように衝撃を吸収させながら歩いて移動しましょう。このとき壁をつたいながら、カニのように横に歩くと少し痛みが楽になります。とにかく腰を動かさないことが鉄則です。

ぎっくり腰を早く治すコツ・最も大切なのは安静

ぎっくり腰を早く治すコツ・最も大切なのは安静

ぎっくり腰は通常2~3日あれば痛みが軽くなってきますが、その間痛みと格闘し続けるのはあまりにつらいものです。そこでねんざや打撲のときに行う応急処置の英語の頭文字を取った「RICE」の原則を使い、少しでも楽に、また回復を早めましょう。なかでもぎっくり腰に対しては「R(安静)」「I(冷却)」「C(圧迫・固定)」を自宅で行うことができます。

RICE(ライス)の原則

  • ●REST(安静)
    1に安静、2に安静がぎっくり腰の治療の鉄則。足を高くしてゆっくり休みます。
  • ●ICE(冷やす)
    発生後間もなく、まだ痛みがあるときには冷湿布をします。脳に伝わる神経に冷たさの刺激が加わることで、痛みの刺激をブロックする作用がはたらくので、痛みがやわらぎます。ただし、一度に長時間行うと、血行が悪くなり、筋肉が硬くなり過ぎてしまいます。筋肉が硬くなると回復の遅れにもつながるので、注意しましょう。
  • ●COMPRESSION(圧迫・固定)
    コルセットやさらしを強く巻いて、腰を圧迫、固定することで、痛みがやわらぎます。さらしの場合は、胸の下からお尻にかけて広く巻くと、より痛みが楽に感じられます。
  • ●ELEVATION(挙上)
    痛みが起こっている部分を心臓よりも高く持ち上げることです。ただしぎっくり腰の場合これは難しいので、手や足などのねんざのときに行うよう、頭に入れておきます。ぎっくり腰の場合はRICまでを自宅で行うのがよいでしょう。

ぎっくり腰は、時間とともに痛みが落ち着き、お尻や足のしびれや感覚のまひなどがない場合には、そのまま安静にしていてもよいでしょう。ただし、発熱や吐き気などほかの症状がある場合には、ほかの病気が隠れている可能性もあるので、整形外科を受診して、レントゲン検査などを行い、原因を確定しましょう。カイロプラクティックや整骨院に行く場合も、まずは整形外科で原因を確定してからのほうが、適切な治療を受けることができます。

ただし、激しい痛みが残っている場合に無理に外出すると、かえって悪化することもあるので、注意が必要です。いずれにしても、魔女の一撃に対抗するには、日々の予防と起こったときの応急処置を忘れずに。

悪化させないために!ぎっくり腰にこれは禁物!

  • ●痛みがあるのに無理して歩いたり、重いものを持ったりしない
    回復が遅れたり、さらに悪化させる恐れがあります。
  • ●温めたり、マッサージをしない
    炎症を起こしている状態なので、強い痛みがあるときに温めるのは禁物です。お風呂も無理して長い時間入らないように。ただし、痛みがやわらいできたら、冷却から温熱に切り替えて、血行を良くして、筋肉をほぐしましょう。この時期になればお風呂でもしっかり体を温めたいもの。
  • ●痛みがあるのに無理をして仕事をしたり、ストレスをためない
    無理をすれば回復は遅れますし、ストレスも腰痛を悪化させるといわれています。
公開日:2007/11/12