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眠りを誘うナイトミルクの秘密!?

ベッドに入る前に一杯のホットミルク――。映画などで、そんなワンシーンを見たことのある人も多いのではないだろうか?牛乳は昔から、やすらかな眠りに誘う効果がある飲み物とされてきた。精神を病んでいた、英国の女流作家ヴァージニア・ウルフも、眠れない夜は夫のすすめでホットミルクを飲んでいたとか。いったいなぜ、牛乳は不眠によいとされているのだろう。

睡眠ホルモン メラトニンとは?

秘密のカギは牛乳に含まれる「メラトニン」にある。脳の「松果体」という器官から分泌されるホルモンだ。別名、「睡眠ホルモン」。というのも、メラトニンには脈拍や体温、血圧を低下させるなど、睡眠を促す作用があるからだ。

メラトニンの分泌リズム

さらにメラトニンは、「夜間に多く分泌される」という性質も持っている。これは、メラトニン産生が光によって抑制されるため。昼間の光が弱まると、徐々に産生量が増えてゆき、真夜中頃にピークに達する。その後、減少し始め、翌朝になると極端に減って、覚醒が起こる、というわけだ。
ちなみに、メラトニン分泌量は年齢ともに減少する。お年寄りがなかなか寝つけなかったり、明け方に目がさめてしまうのはこのためだ。

こうした性質を生かし、アメリカなどではメラトニンのサプリメントも販売されている。時差ぼけ予防に愛用するビジネスマンや国際線客室乗務員も多いとか。メラトニンを含む牛乳が、格好の催眠薬となるのもうなずける話だ。

おすすめはナイトミルク

ところが今、森と湖の国フィンランドで、ある催眠効果の高い牛乳が人気を呼んでいるという。その名も「ナイトミルク」。夜間に搾乳された牛乳だ。人間と同じく昼行性動物の牛が、夜間により多くのメラトニンを産生するのは、あたりまえといえばあたりまえだが、なんとナイトミルクのメラトニン含有量は通常の3~4倍なのだそう。

昼間の眠気を感じている

実は、フィンランドではたくさんの人が睡眠障害に悩んでいる。ある調査によると、女性の11%、男性の7%が、毎日のように昼間の眠気を感じているという。さらに労働者の半分以上が睡眠障害など、ストレスによる何らかの症状を持っているというデータも。背景には90年代初期の景気後退がある。不況にともなう、失業や短期契約の増加といった雇用環境の悪化が、働く人々のメンタルヘルスを低下させたのだ。

健康に敏感なフィンランドの人々だけに、健やかな眠りを取り戻したい、という思いは真剣なものに違いない。添加成分もなく安心して飲めるナイトミルクに、注目と期待が寄せられているのも納得できる。

ナイトミルクで生活リズムを取り戻し、心穏やかな日々を

厳しい時代に生き、心のバランスを失いがちな点では、私たち日本人も同じだ。なんといっても不眠を招くのは、不規則な生活と心のストレス。最近、日本国内でも発売されているというナイトミルクで、生活のリズムを取り戻し、健やかな日々を過ごしてはどうだろう。牛乳のカルシウム成分やほのかな香りも、きっと心を和ませてくれるはずだ。

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公開日:2004年5月24日