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お正月太りを楽しく解消!フラを踊ろう

お正月、つい食べ過ぎて体が重い、なんて人も多いのでは?寒い季節、運動もおっくうになりがちだが、こんなときこそ体を動かしたいもの。オススメは、常夏のハワイの伝統的な踊りであるフラダンス。中高年の女性を中心に、さまざまな年代の人たちの間で全国的に人気を集めている。フラダンスは老若男女問わず誰でも気軽にはじめられ、よい運動になることはもちろん、心の健康にもよいとか。最近では、教室やイベントなども増えている。あなたもフラを踊って、楽しくお正月太りを解消してみては?

文字のない時代の物語を伝える踊り

フラダンスのフラは「踊り」という意味。フラは、文字がなかった時代に神々の伝説や先祖の話を伝えるコミュニケーション手段だった。火山の噴火があったとき、神の怒りを静めるために踊るなど、神聖な意味をもち、こうした伝統的な踊りは今でもフラ・カヒコとして伝えられているのだ。

一方、ウクレレなどの楽器を使い、音楽のリズムに乗って踊る現代のフラ・アウアナは自然や愛などをテーマにしたものが多い。

フラへの理解を深めるごとに心もほぐれる

コミュニケーションの手段を起源に持つフラは、1つ1つの動きが意味を持っている。花の美しさを伝える歌なら、手や顔の表情でその美しさや香りなどをイメージしながら表現するのだ。フラの歌詞には、自然の美しさやお国自慢、家族や異性との愛情を歌ったものなど素朴なものが多い。例えば、お国自慢がテーマの「カレオハノ」の歌詞はこんな感じだ。

カレオハノ

カレオハノ
あなたの名前はカレオハノ
私の家 私の家
ケアウカハは私の家
ケアウカハは有名だ

カレオハノ
あなたの名前はカレオハノ
わたしの大地 私の母国
そして海へ戻る
ケアウカハは有名だ

マウナケア山を私は大好きだ
そこは夕暮れになると寒い
耳を傾けよう 耳を傾けよう
耳を傾けよう 風の音に
ケアウカハは一番だ

理解が深まるにつれ、身近な自然に興味がわいたり、「アロハ・スピリット」つまり、自然や人を愛しお互いを尊敬し助け合おうとする気持ちが深まっていく人も多いと言う。

取材に協力してくださったフラスタジオ「ハラウ・オ・カ・マヌ・フラ・レア」主宰、ヘンディ香代子さんによれば、「レッスンに通ううちに、自然に笑顔が増えていく人は多いですよ」とのこと。日本人は自己表現が苦手な人が多いが、フラで表現力を鍛えていくうちに、心のゆとりが生まれ、素直な感情を出せるようになっていくようだ。

楽そうに見えても意外に多い運動量!

フラ

腰を揺らしながら手を横に伸ばしつつ波打つように揺らす。一見、いかにも気楽そうなフラ。しかし、足元をよく見るとさまざまなパターンのステップを踏み、またどのダンサーも背筋をピンと伸ばしていることに気が付く。そして、数分間の曲の間に動きが止まることはない。しかも、踊っている間はカラフルで優雅そうに見えるスカートの下では、膝をずっと曲げた状態なのだ。

また、フラには何十種類もステップがあり、手の動きにしても指先だけではなく腕全体を使う。手や顔は歌の内容を表現するため足とはまた違った動きが絶えず入る。

そう、フラは簡単そうに見えて、実は足の先から顔の筋肉まで使う全身運動なのだ。冬でも1~2時間のレッスンが終われば汗びっしょり。暖房なしでも熱気でスタジオの窓が真っ白に曇るほどだ。

フラの踊り方入門

  1. まず歌詞の意味を知り、曲が伝えようとする内容を理解する
  2. 次に覚えるのが足のステップ(表「基本のステップ例」参照)。曲に合わせてステップを踏む。このとき、膝は常に曲げた状態で、足の動きとともに体重移動も行う
  3. 手や顔で喜怒哀楽など歌の内容を表現する

実際にやってみると、手と足の動きがちぐはぐになってしまったり、表情を作るのが難しかったりするそうだが、そこがフラの魅力でもあるのだろう。シンプルな中に奥深さがあるのだ。
また、フラのよいところは、有酸素運動であるところ。激しい運動ではないので、お年寄りから妊婦、子どもまで誰でも気軽にはじめられる。更年期障害が緩和されたという人もいれば、ストレス解消になったという人もいる。きれいな衣装を着て外に出かけること、教室で仲間ができることの相乗効果もあるだろう。

世知辛い世の中だが、自然や周りの人たちを大切にするハワイの人たちの温かい心を伝えるフラと接することで、心にゆとりが生まれれば、それだけで退散させられる病気もたくさんありそうだ。

「ハラウ・オ・カ・マヌ・フラ・レア」の皆さん
フラスタジオ
「ハラウ・オ・カ・マヌ・フラ・レア」の皆さん

取材協力:フラスタジオ「ハラウ・オ・カ・マヌ・フラ・レア」神奈川県横浜市西区
主宰:ヘンディ香代子

公開日:2004年1月13日