COPDで呼吸が苦しくなってくると、つい動くのを制限しがちになる。しかし、適度な運動はQOLの向上にもつながるのだ。なかには「運動したらますます息が苦しくなる」と思う人もいるだろう。しかし呼吸に必要な筋力がなければ、ますます体は弱まり、寝たきりになってしまいかねない。息切れしないよう、薬物療法で正しいコントロールを行いながら、医師の指示に従って少しでも体を動かすように心がけよう。
息切れがあると、肩をすくめてしまうことが多いため、肩こりを起こす人が多い。
肩こりを解消する首回し運動や、胸の筋肉を伸ばす体側ストレッチを取り入れてみよう。
首を前後左右にゆっくり倒す | |
イスに座って片方の手を上にあげ、耳につける。 そのまま横にゆっくり倒す。左右行う。 |
|
手を前で組み、ゆっくり頭の上へ伸ばす |
また、COPDの場合、積極的に取り入れたいのがウォーキングだ。症状が軽い人なら1日1万歩を目安に、その日の体調に合わせて行おう。ただし、食後すぐやだるさ、むくみがあるときなど、「体調がいつもと違うな」と思ったときは無理をしないこと。
COPDの人が取り入れたい呼吸法は、ずばり腹式呼吸。肺を使うだけでなく、腹式呼吸によって肺の下にある横隔膜の上げ下げをすることで、肺の動きを助ける効果もある。ポイントは、息を吸うときには鼻から、吐くときはゆっくりと吐ききることだ。次に紹介する口つぼめストレッチを実践してみよう。
軽く口を閉じ、鼻から息を吸う | |
口笛を吹く要領で、口をつぼめてゆっくりと息を吐く(吐く時間は吸うときの2倍をめどに) ※吐き出すときには、口元から30cmほど離したところに手をかざし、そこに息を当てるようにゆっくり吐く |
お腹に手をあてて、口つぼめストレッチの要領で、ゆっくり大きく息を吐ききる | |
息を吸ったときにお腹がふくらむように意識しながら、鼻から息を吸う。 横隔膜が下がって肺に空気が入りやすくなる。 ※呼吸のときに、胸が膨らまないよう注意して |
呼吸機能が低下してくると、自然とそれを補うような呼吸をするようになるため、1回の呼吸に大きなエネルギーを使うことになる。そのため、安静にしていても、消費エネルギーが増え、体重が減ってしまう人が多い。急激に体重が減少すると、脂肪や筋肉量が減ってしまうため、体力・免疫力が低下しやすく、さらに体調管理が難しくなってくる。標準体重を基準に、それよりも体重が少ないという人は、主食の炭水化物やタンパク質を積極的に摂るように心がけよう。
一方、肥満の状態にある人は、体脂肪によって胸部が圧迫されることで、ますます呼吸しにくくなってしまう。さらに動いたときに息切れするので、運動するのもつらくなり、筋力が低下、息切れがひどくなるという悪循環を起こしやすい。栄養バランスの取れた高タンパク低カロリーの食事を心がけ、体重減少を目指して。