本人には自覚症状のない、いびき。しかし、家族への安眠妨害だけでなく、重大な病気・「睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」が隠れていることがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、代表的な睡眠障害のひとつで、夜中に何度も呼吸が止まった状態が繰り返される病気です。そのほかの症状は、日中の強い眠気、熟睡感がない、集中力の低下など、高血圧症などの生活習慣病も合併していることも多くあります。
SASの定義は、一晩の睡眠で10秒以上の呼吸停止が30回以上、または1時間に5回以上の無呼吸が起こる状態であり、睡眠中に空気の通り道である気道が閉塞してしまうことによって発生します。
SASの原因は、肥満や加齢、顔面の骨格的な問題などと考えられています。気になる人は、下のリストでチェックしてみましょう!
いびきをいつもかく | YES | NO |
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息が止まっているといわれる | YES | NO |
苦しくて目が覚めてしまう | YES | NO |
トイレに何度もおきる | YES | NO |
口が渇く | YES | NO |
いつも眠く、居眠りをしてしまうことが多い | YES | NO |
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疲れやすい | YES | NO |
仕事に集中できない 生産効率が悪い | YES | NO |
居眠りによる交通事故やニアミスを起こしたことがある | YES | NO |
高血圧症である | YES | NO |
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心疾患を持っている | YES | NO |
肥満もしくは急激な体重の増加 | YES | NO |
糖尿病である | YES | NO |
「Check1」の項目に2個以上のチェックがあり、「Check2」の項目や「Check3」の項目でも1つ以上該当する場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
SASの怖さのひとつは、日中の強烈な眠気による事故。作業能率や集中力の低下により、交通事故や労働災害の原因となりやすく、2004年6月には、厚生労働省でも「重症のSAS患者の約13%が過去五年間に居眠り運転事故を起こしている」という内容の調査報告を発表しています。
2003年、居眠りをした新幹線の運転士がSASと診断されていますし、2012年に関越自動車道で起きた高速ツアーバスの運転手にもSASの症状があったといわれています。SAS患者は交通事故を起こす確率が2~7倍にも高まるとする報告もあり、現在の道路交通法でも「免許の拒否、保留、取り消しまたは停止の対象となる病気」に、「重度の眠気の症状を呈する睡眠障害」が加えられています。
さらに見逃せない問題は、SAS患者は睡眠中の呼吸停止によって酸素不足になることや、しっかりとした睡眠が取れないため、血液がドロドロになって血栓を作りやすく、高血圧、糖尿病、心疾患、脳卒中などの生活習慣病を併発しやすいことです。またED(勃起不全)もSASと深く関係しているとも。
しかしSASは適切な治療によりコントロールできる病気です。早めの受診を心がけましょう。
症状 | 合併症 |
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睡眠中の呼吸の停止 | 肥満 |
大きないびき | 高血圧症 |
熟睡感がない | 狭心症 |
起床時の頭痛 | 糖尿病 |
集中力低下 | うっ血性心不全 |
ED | 睡眠に関連した不整脈 |
抑うつ | 認知障害 |
日本ではSASを発症している人はおよそ人口の2%前後の200万人と推定され、そのうち男性が9割、女性が1割といわれています。ただ、女性の場合は閉経後に発症率が高まることや、大規模調査が実施されていないため、女性患者の割合が本当に1割程度しかないのか、不明な点も多くあります。女性だからといって油断しないようにしましょう。
また、「SAS患者=肥満者」というイメージがありますが、日本人の場合、肥満の関与は60%ほどで、むしろ顎が小さい、顔面の奥行きが狭いなど、アジア人に共通した骨格的な特徴が危険因子となっているといわれています。欧米人に比べ、同じ身長・体重なら、アジア人の方がSASになりやすいとする発表もあるようです。若い女性の間では「小顔」がもてはやされていますが、こうした若年層が中高年になってSASを発症する可能性を指摘する専門家もいます。