数あるビタミンの中でも、ビタミンB群に含まれる葉酸。「ビタミンAやビタミンCはよく耳にするけど、『葉酸』って本当にビタミンなの?」という方、まずは葉酸とはどんなものかを知ってください。
「葉酸」という言葉を聞いたことがある?実は、葉酸はビタミンの一種。ビタミンというと、ビタミンAやビタミンCを思い浮かべるが、葉酸は水溶性のビタミンB群の一種だ。
最初に抽出されたのはほうれん草からで、ラテン語で葉を意味する「フォリウム」から名づけられたもの。その名の通り、植物に多く含まれている。
ビタミンとは、人の体を正常にはたらかせるために欠かすことのできない栄養素だ。1日の所要量は炭水化物やたんぱく質に比べてごく微量ではあるが、そうはいっても不足すると体にさまざまな不調が現れてしまう。
現在、健康に必要だといわれているビタミンは主に13種類。水に溶けやすい性質の水溶性ビタミンと、溶けにくい性質の脂溶性ビタミンに分けられる。なかでもビタミンB群は水溶性ビタミンでさまざまな酵素とともに食物の分解を助け、これらの成分の多くを燃やしてエネルギーを作り出している。
ビタミンB群には、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、そして葉酸などが含まれている。
ビタミンはほかの栄養素のはたらきを円滑に進めるための潤滑油のようなはたらきをする。人の体を車に例えるなら、炭水化物やたんぱく質が車を動かすためのガソリンであり、ビタミンは車のエンジンを動かすためのエンジンオイルに当たるのだ。
なかでも葉酸は血液と関係が深く、ほかのビタミンB群、特にビタミンB12と一緒にはたらく。
葉酸が不足すると、体調にどのような変化が現れるのだろうか。
葉酸不足は、悪性の貧血(巨赤芽球性貧血=DNAの合成障害が原因で起こる貧血)、口内炎、食欲不振、舌炎、下痢、顔色が悪い、などの症状が現れる。
さらに、重要視されているのが妊婦の葉酸不足。とくに、妊娠初期(4週~12週)は胎児の細胞分裂がさかんな時期であり、この時期に葉酸不足を起こすと胎児に神経障害が起こりやすくなるといわれているのだ(妊婦と葉酸については、くわしくは妊娠中の女性にはとくに大切!をご覧ください)。
また、「過剰摂取の影響は?」というと、現在のところ摂り過ぎによる疾患は現れていない。葉酸は水溶性ビタミンなので、過剰分は腎臓から尿の中に排出されるため、それほど過剰摂取に敏感になる必要はないのだ。