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どうして「冷え性」になるの?冷え性のメカニズム

人間は恒温動物であり、体温を一定に保つ機能が備わっています。冷え性は、この体温調節機能のトラブルが原因で起こります。体温調節機能と冷え性の関係をまとめました。

冷え性は、体温調節機能のトラブルが原因

ご存知の通り人間は恒温動物です。寒いところでも暑いところでも、体温を一定に保つ機能が体に備わっています。もちろん、マイナス30℃など気温の極端な場所では無理ですが、周囲との温度差がだいたい30℃以内であれば自力で体温を維持できるといわれています。
冷え性は、この体温調節機能のトラブルが原因で起こります。その関係をまとめました。

体温調節のしくみ その1

周囲の気温が下がると皮膚から脳に「寒い・冷たい」という情報が伝達されます。

●冷え性の原因

皮膚にある、温度を感じる神経の機能が鈍くなっています。

体温調節のしくみ1

  • 冷暖房完備の生活では、夏も冬も内と外の温度差が激しくなります。こういったところを出入りする生活を続けているために、気温の変化を感じる神経が鈍くなってしまいます。
  • 夏も冬もビールやジュースなど冷たい飲み物や食べ物をとるため、内臓内の温度調節機能も鈍くなってしまいます。
  • ハイヒールなど足に合わない靴をはき続けることで、温度を感じる神経をはじめ、足先の感覚が鈍ってしまいます。

体温調節のしくみ その2

脳内の自律神経から、体温調節のための指令が体の各器官に送られます。

●冷え性の原因

自律神経がうまく機能しなくなります(自律神経失調)。

体温調節のしくみ2

  • 自律神経は、喜怒哀楽などの感情をコントロールする神経中枢(交感神経、副交感神経)の影響を受けているため、強いストレスが続くと上手く機能しなくなることがあります。
  • 自律神経は、女性ホルモンの分泌をコントロールする神経とも密接な関係にあります。このため、出産、閉経時などに自律神経のバランスが崩れ、冷え性になる女性が多いようです。

体温調節のしくみ その3

皮膚の毛細血管が一時的に収縮し、皮膚からの体温の放熱を防ぎます。

●冷え性の原因

血流が悪いため末端まで暖かい血液が流れにくくなります。

体温調節のしくみ3

  • 動脈硬化などが原因で血管が細くなり、末端の毛細血管に温かい血液が流れにくくなっています。
  • 静脈の流れが悪いため、動脈の血液が体中にいきわたる前に冷えてしまいます。この状態を「静脈のうっ血」といい、手足のほか下腹部でもよく起こり、女性の腰の冷え性の主な原因になっています。
  • 貧血(血液の量が少ない)、低血圧(血液を全身に流れさせる力が弱い)のため、温かい血液が毛細血管まで届きません。