かかったことのない人はいないと思われる「風邪」ですが、風邪で病院に行っても、カルテに「風邪」とは記載されません。「風邪っぽいいくつかの症状」を「風邪」と呼んでいるにすぎないのです。
「風邪という病気は、この世に存在しません」と言われたら、どう思いますか?
こんなにもありふれていて、かかったことのない人はいないと思われる「風邪」。しかし、風邪で病院に行っても、そのカルテに「風邪」とは記載はされません。「これこそが風邪」と特定できる病気ではないのです。
風邪は、主にウイルスによって引きおこる、呼吸器系の急性炎症の総称で「風邪症候群」と呼ばれているもの。つまり「風邪っぽいいくつかの症状」を「風邪」と呼んでいるにすぎません。その症状とは次のような極めて簡単なものです。
このなかの主なものが 普通感冒とインフルエンザです。
鼻炎症状が強いので鼻やのどが痛くなりますが、一般的に軽い症状です。経過も良好で、ほとんど1週間で治ってしまいます。
主な症状は、くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛みで、発熱はあまりありません。全身がだるい・頭痛などの症状もありますが一般に軽いです。
普通の風邪が咳、のどの痛みから始まるのに対し、寒気やだるさ、関節や筋肉、頭などの 全身の痛みで始まります。熱は高く39~40度にもなり、それが長く続きます。
1~3月に主に流行します。
全身症状が強く、食欲減退、吐き気、下痢などが起こります。
65歳以上の高齢者がかかる場合、死亡率が高くなります。
インフルエンザと普通感冒は、その進行や症状がさらに以下のように異なっています。自分や家族の風邪の正体を把握しましょう。
インフルエンザ | 普通感冒 | |
---|---|---|
伝染性 | 大きい20~40% | 強くない |
発病 | 急性 | 徐々に |
初期症状 | 寒気、頭痛 | くしゃみ、鼻水、のどの乾き |
主な症状 | 発熱、全身痛などの一般全身症状 | 鼻水、鼻づまり、くしゃみなど鼻やのどの症状 |
寒気 | 強い | ない。あっても弱い |
発熱 | 39~40度 | 37.5度程度 |
筋肉痛 | 頭、腰、関節、筋肉など全身に強い | ないか軽い。あっても頭痛程度 |
全身のダルさ | 強い | 軽い |
食欲不振 | ある | ない |
鼻炎・鼻水 | 後から少しある | 始めからある |
咳 | 強い | ない、あるいは軽い |
目の結膜充血 | しばしばある | 普通ない |
経過 | やや長引く。一度ひいた熱がまた上がる場合もある | 短期間のことが多い |
病原 | インフルエンザウイルス | 主にライノウイルスなど |
経過後の免疫 | あり。3~4ヵ月は続く | 短期 |
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